2021年11月17日水曜日

オカジマサエ

 非常勤の授業からの帰り。今日はたまたま家人の用務先が大学の近くだったので,車でピックアップしてもらい,どこかで昼食をとることになった。

選んだのが,広陵町のCafe OMO屋。着いてみれば,田んぼの中にある昔の紡績工場の跡を改装した渋い建物だった。平日にも関わらず駐車場はほぼ満杯であり,店の入口で20分くらい待ってからようやく席につくと周りは若い人ばかりだ。

ランチの牛すじ煮込みカレーを食べながら隣の席の女性グループを見ると,いつの間にかワークショップが始まっていた。そういえば,待ち席の壁に,ひらがな絵本の原画が並んでいたのを思い出した。その作者本人が,絵本のイラストの切り抜きを小さなフレームにコラージュするコツを指導しているのだった。

食後のコーヒーを飲み終わって帰ろうとしたら,出口のあたりでオカジマサエさんが描いた絵本「いいもんみーつけた」を販売している。著者のサインがもらえるとあったので,早速,ワークショップの手を止めてお願いしてみたところ,快く孫のすーちゃん宛のサインをしていただいた。

オカジマサエさんの,声がとびだすひらがな絵本「あいうえお」は,現在た行まできている。帰って,Cafe OMO屋のことを調べていたら,今年の12月26日で閉店になるようだ。残念。


写真:オカジマサエの絵本「いいもんみーつけた」の書影(2021.11.17撮影)

2021年11月16日火曜日

taknal

 NHKの夕方の定番,ニュースほっと関西を見ていたら,大阪ガスの人が開発したスマホ用アプリが紹介されていた。taknalというものだ。「ユーザー同士がすれ違うことで,お互いがオススメする本が交換されるアプリです」ということだが,SNS機能はあえてつけていない。

本屋がまだ健在だったころ,しかもその本屋に通うことができていたころは,新しい本との出会いは毎日のようにあった。今では,インターネットで検索できるとはいうものの,残念ながら,インターネットの検索では思いがけない出会いを得ることが難しい。あくまでも自分の関心空間の近傍でしか探索が進まない。

そこで,スマートフォンの位置情報と,ユーザーのおすすめ情報を掛け合わせて,偶然の出会いを演出したのがこのアプリである。ユーザの情報は100字以内の感想文しか交換されないので(もちろんソーシャルセキュリティホールは色々と作れるだろう),比較的安心して利用できそうだ。

が,残念ながらアプリのバク出しが不十分なのか,iPhone SE2(iOS 14.8)では,自分のおすすめ本を登録できなかった。また,自宅に閉じこもっていると,位置情報による発見の確率も低いままで止まってしまうのも仕方がない。


図:taknalアプリアイコンのイメージ(taknalホームページから引用)

P. S. なお,taknalという名称は「読みたくなる」からきている。やっぱり使えなかった

2021年11月15日月曜日

ピクミンブルーム

日本でテレビ放送が始まった 1953年の生まれなので,テレビ環境には十分適応している。ラジオはどうかというと,遅ればせながら高校生から大学生にかけて深夜放送を聞いて育った。もちろん小学生時代の貸本屋から始まって漫画雑誌も大丈夫。コンピュータが登場するのは大人になってからだったが,これもなんとかクリアできた。

ところが,残念ながら自分が適応できなかった種目がある。コンピュータゲームだ。そのはしりのアーケードゲームは1979年に大流行したスペースインベーダー。柳田さん夫妻が新婚旅行でハマったやつだ。喫茶店のようなところで何回か遊んだことはあるが,はまるにはほど遠かった。

やがて,1983年の任天堂ファミリーコンピュータを嚆矢に,次々と家庭用ゲーム機が登場する。残念ながら,結婚してそろそろ子供ができようかという頃であり,全く興味も関心もなかった。子供たちが成長する過程でも,ゲーム機の類を買い与える機会はなかった。1996年のたまごっちをのぞいては。自宅には,PC-9801があり,後にはMacBookなども使えたのだけれど,ポストペットで遊ぶ程度だった。

やがて,スマートフォンの時代になり,子供から強く勧められて,コロプラ(コロニーな生活☆プラス)を始めた。位置情報ゲームとよばれるジャンルのはしりだ。これは10年経った今も愛用している。その後,ギークの間で流行るイングレスを生み出したNIANTICが2016年にポケモンGOを産み出し,これは1〜2年楽しんだ。

この間,ジャンルとしてのアクションゲーム,ロールプレイングゲーム,シミュレーションゲーム,アドベンチャーゲーム,スポーツゲーム,レースゲーム,音楽ゲームなどは全くの未踏の地として残ってしまった。残念なことである。

PC-9801が登場したころに,ASCIIかOhPCに掲載されていたフライトシュミレータの機械語のプログラムを2ページびっしり必死で打ち込んだ。モノクロ線画で,5MHzの8086(128kBRAM)上で動作するコックピットがすぐクラッシュしていた時代から,はや40年になる。

さて,最近ピクミンブルーム(NIANTIC 任天堂)の宣伝に騙されて,これをiPhoneにインストールした。11月1日公開のところを11月6日にスタートしたので,珍しく早い対応だった。散歩の歩数がゲームのポイントに直結するスマートフォン向けARアプリなので,老人には相応しいものかもしれない。


写真:ピクミンブルームのスナップショット

2021年11月14日日曜日

ゆきだるさん

 「ゆきだるさん」で検索しても,その語源や出典が判然としない。ワンピースに「雪だるさん」が出てきているようだが,これなのか。自分が子供のころはなかったので,最近発明されたような気もする。

プログラミングの練習として,「ゆきだるさん」を描画するProcessingのコードが落ちていたので,写経してみた。

size(600, 600);
background(200, 200, 200);

strokeWeight(4);
stroke(60, 60, 60);
ellipse(300, 200, 150, 150);
ellipse(300, 380, 240, 240);
rect(-10, 480, 610, 480);

fill(0, 0, 0);
arc(270, 200, 20, 30, -0.6, 5);
arc(330, 200, 20, 30, -0.6, 5);

fill(255, 0, 0);
quad(280, 130, 370, 170, 390, 90, 320, 60);

strokeWeight(10);
stroke(144, 64, 36);
line(220, 330, 160, 240);
line(380, 330, 450, 240);


図:Processingによる「ゆきだるさん」

2021年11月13日土曜日

準衛星

準衛星とは,小惑星のうち,ある惑星を周回している衛星のように見えるもの。衛星と準衛星の区別は,惑星の重力圏にあるかどうかで判定され,ヒル圏の内側ならば衛星であり,外側ならば準衛星となる。

ヒル圏(ヒル半径)は,質量の大きな天体$M_1$と小さな天体$M_2$が,距離$r$で周回している時に,非常に軽い天体$m$が天体$M_2$からヒル半径$a (a \ll r)$の距離にあるとして,この$a$に対する条件から決まるものだ。

そのヒル半径 $a$ の位置にある小天体$m$には,天体$M_2$からの重力と,$M_2$に固定された$M_1$の周りの回転系における遠心力が$m$に加わるとして足したものが,天体$M_1$からの重力と釣り合うという条件から求める。

$\dfrac{G M_1 m}{(r-a)^2} = \dfrac{G M_2 m}{a^2}  + m (r-a) \omega^2 , \ \ \ \omega = \sqrt{\dfrac{G M_1}{r^3}}$

この式で,$\dfrac{1}{(r-a)^2} \simeq \dfrac{1}{r^2}(1+\dfrac{2 a}{r})$と近似すれば,$\dfrac{3 a^3}{r^3} = \dfrac{M_2}{M_1}$が得られ,ヒル半径は,$a=r \sqrt[3]{\dfrac{M_2}{3 M_1}}$と求まる。

大陽質量を $M_1=2 \times 10^{30} {\rm kg}$,地球質量を $M_2=6 \times 10^{24} {\rm kg}$,地球の公転軌道半径を $r = 1.5 \times 10^{11} {\rm m}$ とすると,ヒル半径は $a=1.5 \times 10^9 {\rm m}$となり,月の公転半径の約4倍になる。

地球の準衛星の1つ((469219) 2016 HO3)が月のかけらではないかというアリゾナ大学の論文のが今日のポイントだ。2024年の打ち上げが計画されている中国の小惑星探査機鄭和がサンプルリターンに成功すればこの問題を検証することができるかもしれない。


図:2016HO3 の軌道(NASAから引用)

2021年11月12日金曜日

神戸:西東三鬼

対面授業が始まってくれたおかげで,電車の中で読書する時間が戻ってきた。

西東三鬼(1900-1962)の神戸・続神戸を読了。これは,昔,NHKのドラマ人間模様で見た「冬の桃」(1977,脚本:早坂暁,演出:深町幸男,全7回)の原作である。早坂=深町コンビといえば,夢千代日記(1981)も新婚当時よく見ていたが,それと同じフレーバーの名作だった。

冬の桃は1977年の放送だったが,M2の頃に見ていたのではないかもしれない。とすると総合テレビで夜9:00に再放送された1990年だろうか。小林桂樹の渋い演技や,時々挟まる西東三鬼の俳句が,戦時中の神戸の怪しいホテル人々の様子と相まってとても印象的だった。

小説(著者はフィクションではないと書いている)の方も,小説より奇なりのエピソードが積み重ねられる。歯科医の著者が,弾圧によって俳句から距離を置いた,戦中戦後の生活模様が描かれる。

その後,1948年には山口誓子(1901-1994)を主宰とする雑誌「天狼」の編集にあたる。名前は耳にしたことがある雑誌だが,創刊時は奈良県丹波市町(現天理市)の養徳社から出版されている。西東三鬼が編集に携わっていた頃は先鋭的だったのが,後に微温的な雑誌になってしまったとのこと。

養徳社は,天理時報社の出版部門が1944年に株式会社として独立したもので,現在は,天理教関係の一般雑誌などを出版している(天理時報社=印刷会社には,個人の名刺を印刷してもらったことがある)。天理教の出版物といえば,天理道友社だが,こちらは宗教法人格を持っている。


写真:西東三鬼(津山市西東三鬼賞のページより引用)

[1]第三俳句集 今日(西東三鬼,青空文庫)
[2]西東三鬼賞(津山市)

2021年11月11日木曜日

接種済証ケース

 天理市から新型コロナウイルスワクチンの接種済証ケースを送ってきた。色々と気がつく市長さんである。もちろん,本来ならば接種済証明アプリがあれば良いのだけれど,COCOAで懲りたのか,新たな利権構造ができていないのか。地域独自のものはあるようだが全国版がない模様で,厚生労働省もやる気なし。

調べてみると,民間ベースのワクパスというのがある。いいのだけれど,これが乱立したら真正性をどうやって保証するのだろうか?ちょっと試してみると,登録がうまく進行しない。アイコンのデザインもイマイチなのでもう少し様子を見たほうがいい。


写真:天理市の接種済証ケース(2021.11.11撮影)

2021年11月10日水曜日

忌日

 11月10日は特異日だ。母と祖母二人(父の義母と実母)の命日が重なっている。したがって,我が家の女性陣は,特に注意して過ごさなければならない日になっている。

朝の散歩で,らじるらじるから今日は何の日というのが流れてくる。それによると,11月10日は,2009年に森繁久彌,2012年に森光子,2014年に高倉健が亡くなった日らしい。まあ,それはどうでもいいのだけれど・・・


2021年11月9日火曜日

フェルミ分布

 $N$個の粒子系の全エネルギーを$E$とする。$i$番目の箱には,$g_i$個の 区別できない状態 があり,1粒子エネルギー$u_i$を持つ$n_i$個の粒子がこれらの状態に配置されている。ただし,$i=(1,...,M)$とする。各粒子は区別できず,$g_i$個の状態には 1個まで入ることができる。Maxwell=Boltzmann分布の場合と同様の式で,このエネルギー分配の場合の数の対数$\log W$の極値問題を考えればよい。

粒子の区別がないので,その個数だけに着目しなければならない。$i$番目の箱に,$g_i$通りの状態があって,$n_i$個の粒子を配置する場合の数$W_i$を考える。

$n_i$個の粒子とスリットをセットにしたものと,残りの$g_i-n_i$個の状態のスリットを混ぜて並べ,区別できない同種のパターンの数で割ることにすると,$W_i=C_{n_i}^{n_i+g_i-1}=\frac{g_i!}{n_i! (g_i-n_i)!}$とすればよい。

スターリングの公式を適用すると,$\log W = \sum_{i=1}^M \log W_i = \sum_{i=1}^M (g_i\log g_i-g_i -n_i \log n_i +n_i -(g_i-n_i) \log (g_i-n_i) +g_i -n_i)$。これから,$\delta \log W = (\log(g_i-n_i) -\log n_i ) dn_i$となる。

また,粒子数とエネルギーの制約条件をラグランジュ未定乗数法で取り込めば,

$\delta \{ \log W +\alpha (N-\sum_{i=1}^M n_i) + \beta (E - \sum_{i=1}^M u_i n_i) \} = 0$より,$\sum_{i=1}^M(\log(g_i-n_i)-\log n_i -\alpha -\beta u_i)dn_i = 0$。したがって,$\log(g_i-n_i)-\log n_i -\alpha -\beta u_i = 0$

より,$\frac{g_i-n_i}{n_i}=e^{\alpha + \beta u_i}$であり,状態の占有率は$f_i=\dfrac{n_i}{g_i}= \dfrac{1}{e^{\alpha + \beta u_i}+1} = \dfrac{1}{e^{\frac{u_i-\mu}{k_B T}}+1}$となる。

2021年11月8日月曜日

伝書鳩

 日曜日の朝,ベランダにハトがいた。ヒヨドリやその仲間はときどきやってきて手すりに留まっているが,人の気配がするとすぐに逃げてしまう。家の近所はスズメやカラスだけでなく,セキレイやツグミ,池や田んぼにシロサギ,アオサギ,カモなどをたくさん見かける環境だ。

マンションには時々厄介なカワラバト(ドバト)が増える年があって,捕獲駆除サービスをお願いすることもある。ところが,このハトは逃げないのである。よく見ると赤と白の脚輪が左右にあり,何やら文字や数字が書かれている。近寄って写真を撮っても平気で餌になる金木犀の花びらをついばんでいた。

調べてみると,伝書鳩(レース鳩)のようだ。日本伝書鳩協会日本鳩レース協会があって,それぞれ固有の番号をつけている。家に来たハトはどうやら伝書鳩協会山口県周南支部の所属らしい。白い脚輪には連絡先が書いてあるのだけれど,汚れが固着している上にハトが逃げるので読み取れない。

伝書鳩協会のページには,迷い鳩の対処方法が書いてあった。どうしましょうどうしましょうと困っているうちに,夕方にはどこかに行ってしまったので,めでたしめでたしとなった。

月曜日の朝,ベランダにハトが帰ってきた。流石に居付かれると困るので,東京の伝書鳩協会本部に電話してみた。どうやらハトを捕獲してその番号を確認しないことには次の手順に進めないらしい。ハトは賢いし素早いので,カメのような爺さんには簡単に捕まらないのである。

何度も失敗を重ねた末に,ベランダに落ちている草の実などを食べているところを背後から掴むことに成功した。早速,脚輪の番号を確認してもらうと,山口県の飼い主の電話番号が判明したので連絡してみた。滋賀県琵琶湖畔からのレースで迷ったものらしい。調べてみると今年の春にも坂本発の400kmレースがあった。平均分速300mで,20-21時間かけて400km離れた自宅まで帰るものらしく,36羽放って2羽しか帰還していない。おいおい。

どうやら京都の支部(都クラブ)の人が取りに来てくれるらしいが,それまで米粒でもやっといてくださいとのリクエストだった。

P. S. 道に迷ったとかで,夜7時過ぎに取りに来られた。協会の規約ということで,お礼をいただく。やはり長距離のレースでは多くのハトが戻ってこないようで,こういうのはレアケースとのこと。山口県までは郵便局のハト専用パッケージで返送されるらしい。


写真:日曜日のハト(赤が協会脚輪,白が個人脚輪)

2021年11月7日日曜日

ボース分布

ボルツマン分布からの続き 

$N$個の粒子系の全エネルギーを$E$とする。$i$番目の箱には,$g_i$個の区別できない状態があり,1粒子エネルギー$u_i$を持つ$n_i$個の粒子がこれらの状態に配置されている。ただし,$i=(1,...,M)$とする。各粒子は区別できず,$g_i$個の状態には何個でも入ることができる。Maxwell=Boltzmann分布の場合と同様の式で,このエネルギー分配の場合の数の対数$\log W$の極値問題を考えればよい。

粒子の区別がないので,その個数だけに着目しなければならない。$i$番目の箱に,$g_i$通りの状態があって,$n_i$個の粒子を配置する場合の数$W_i$を考える。

$g_i-1$個の状態のスリットと$n_i$個の粒子を混ぜて並べ,区別できない同種のパターンの数で割ることにすると,$W_i=C_{n_i}^{n_i+g_i-1}=\frac{(n_i+g_i-1)!}{n_i! (g_i-1)!}$とすればよい。

スターリングの公式を適用すると,$\log W = \sum_{i=1}^M \log W_i = \sum_{i=1}^M ((n_i+g_i)\log (n_i+g_i)-(n_i+g_i) -n_i \log n_i +n_i -g_i \log g_i +g_i)$。これから,$\delta \log W = (\log(n_i+g_i) -\log n_i ) dn_i$となる。\\

また,粒子数とエネルギーの制約条件をラグランジュ未定乗数法で取り込めば,

$\delta \{ \log W +\alpha (N-\sum_{i=1}^M n_i) + \beta (E - \sum_{i=1}^M u_i n_i) \} = 0$より,$\sum_{i=1}^M(\log(n_i+g_i)-\log n_i -\alpha -\beta u_i)dn_i = 0$。したがって,$\log(n_i+g_i)-\log n_i -\alpha -\beta u_i = 0$

より,$\frac{n_i+g_i}{n_i}=e^{\alpha + \beta u_i}$であり,状態の占有率は$f_i=\dfrac{n_i}{g_i}= \dfrac{1}{e^{\alpha + \beta u_i}-1} = \dfrac{1}{e^{\frac{u_i-\mu}{k_B T}}-1}$となる。

2021年11月6日土曜日

白骨の御文

本願寺第八代の 蓮如上人(1415-1499)が,布教のために教義を手紙の形で書いたものが御文(御文章)である。小学校6年の修学旅行は東尋坊へのバス旅行だった。その途中で蓮如の北陸布教の中心地であった吉崎御坊に立ち寄っている。金沢も浄土真宗(一向宗)の重要な活動地域の一つだったので,蓮如に関わる事跡には事欠かない。

さて,法事では,終盤に御文の中でも有名な白骨の御文を読み上げられることが多い。なんだかよくわからないお経(阿弥陀経,無量寿経,観無量寿経)や正信偈の後にこれが来ると,何回も耳にしているうちになんとなく意味というか雰囲気がわかってくる。

真宗大谷派では,以下のような文節の区切りの最後の一字を下げて読み上げることになっていた(浄土真宗本願寺派の御文章のyoutubeを見るとやはりちょっと違うようだ)。

夫(それ),人間の浮生(ふしょう)なる相をつらつら観ずるに↓,おほよそ,はかなきものはこの世の始中終(しちゅうじゅう)↓,まぼろしのごとくなる一期(いちご)なり↓。

さればいまだ萬歳(まんざい)の人身(にんじん)ノうけたりとゆう事をきかず↓。一生すぎやすし↓。いまにいたツてたれか百年の形躰(ぎょうたい)をたもつべきや↓。我やさき人やさき↓,きょうともしらずあすともしらず↓,おくれさきだつ人は↓,もとのしずく,すえの露よりもしげしといえり↓。

されば朝(あした)には紅顔あツて↓夕(ゆうべ)には白骨となれる身なり↓。すでに,無常の風きたりぬれば↓,すなわちふたつのまなこたちまちにとじ↓,ひとつのいきながくたえぬれば↓,紅顔むなしく変じて↓,桃李(とうり)のよそおいをうしないぬるときは↓,六親眷属(ろくしんけんぞく)あつまツてなげきかなしめども↓,更にその甲斐あるべからず↓。

さてしもあるべき事ならねばとて↓,野外(やがい)に送ツて夜半(よわ)のけむりとなしはてぬれば↓,ただ白骨のみぞのこれり↓。あわれといふも中々おろかなり↓。されば,人間のはかなき事は↓,老少不定(ろうしょうふじょう)のさかいなれば↓,たれの人も早く後生(ごしょう)の一大事を心にかけて↓,阿弥陀佛トふかくたのみまいらせて↓,念彿もうすべきーものなり。 あなかしこ,あなかしこ。

2021年11月5日金曜日

ボルツマン分布

図:ボルツマン分布のイメージ

$N$個の粒子系の全エネルギーを$E$とする。$i$番目の箱には,$g_i$個の区別できる状態があり,1粒子エネルギー$u_i$を持つ$n_i$個の粒子がこれらの状態に配置されている。ただし,$i=(1,...,M)$とする。各粒子は区別できるとして,$g_i$個の状態には粒子がいくつでも入ることができる。このエネルギー分配の場合の数$W$($W$自身は非常に大きな数なので,その対数$\log W$で考える)が最大になるのはどのような粒子配置$\{ n_i / g_i \}$のときかという問題を考える。この条件を式で表すと,

$\displaystyle \delta \log W = \sum_{i=1}^M \frac{\partial \log W}{\partial n_i} \delta n_i = 0, \ \  \sum_{i=1}^M n_i = N\  (\sum_{i=1}^M \delta n_i = 0), \ \  \sum_{i=1}^M u_i n_i=E\ (\sum_{i=1}^M u_i \delta n_i = 0)$

1番目の箱に$N$個の粒子から取り出した$n_1$個の粒子を入れて,$g_1$個の状態に配置する場合の数は,$W_1=C_{n_1}^N g_1^{n_1}$である。続いて,2番目の箱に残りの$N-n_1$個の粒子から取り出した$n_2$個の粒子を入れて,$g_2$個の状態に配置する場合の数は,$W_2=C_{n_2}^{N-n_1} g_2^{n_2}$となる。従って,$i$番目の箱$g_i$に$n_i$個の粒子を入れて配置する場合の数は,$W_i=C_{n_i}^{N-\sum_{k=1}^{i-1}n_k} g_i^{n_i}$となる。これを続けると,最終的な場合の数は,各箱の場合の数$W_i$の積で,$W=\prod_{i=1}^M W_i = \dfrac{N!g_1^{n_1} g_2^{n_2} \cdots g_M^{n_M}}{n_1! n_2! \cdots n_M!}$となる。

自然数$n$の階乗$n!$の対数$\log n!$についてのスターリングの公式は,$n!=n \log n -n \ (n \gg 1)$であるから,これを用いて $\log W$を表すと,$\log W = N \log N - N +\sum_{i=1}^M (n_i \log g_i - n_i \log n_i - n_i )$。そこで,$\delta \log n_i = \frac{1}{n_i} \delta n_i$を用いると,$\delta \log W = \sum_{i=1}^M (\log g_i - \log n_i)\ \delta n_i$となる。

ところで,$n_i$は独立ではなくて制約条件がついている。これを簡単に処理するためにラグランジュの未定乗数法を用いれば,$n_i$を独立変数のように扱うことができる。$\alpha$と$\beta$を,それぞれ粒子数一定,エネルギー一定の制約条件に対応する2つの未定乗数として,

$\delta \{ \log W + \alpha (N-\sum_{i=1}^M n_i) + \beta (E-\sum_{i=1}^M u_i n_i) \}=0$, $\sum_{i=1}^M (\log g_i -\log n_i - \alpha - \beta u_i) \delta n_i = 0$。$\delta n_i$は独立にとってよいので,$\log g_i-\log n_i - \alpha - \beta u_i=0$であり,$n_i = g_i e^{-\alpha} e^{-\beta u_i}$となる。

ここで,状態の占有率$f_i$は,$f_i=\frac{n_i}{g_i}=\frac{1}{e^{\alpha + \beta u_i}}$となる。この$\alpha,\ \beta$は,統計力学的なエントロピーと熱力学的なエントロピーの関係式から定まる。すなわち,$S=k_B \log W, dS = k_B\ d\log W = k_B \sum_{i=1}^M \log \frac{g_i}{n_i} d n_i = k_B  \sum_{i=1}^M (\alpha + \beta u_i) d n_i$

$\therefore dS= k_B (\alpha dN + \beta dU) = -\mu \frac{dN}{T} + \frac{dU}{T}$から,$\alpha = -\frac{\mu}{k_B T},\ \beta = \frac{1}{k_B T}$であり,$f_i = e^{-\frac{u_i - \mu}{k_B T}}$となる。

2021年11月4日木曜日

TikZの反復と分岐

数理的なモデルと関連した 図を書くのにPowerPointはちょっと使いにくい。MathematicaJuliaでも表現力の自由度が足りない。そこで,PGF/TikZの登場となる。その機能を十分に生かそうとすると,TikZ環境でのプログラミングが必要であり,変数の処理や反復・分岐などが求められる。

PGF/TikZについては,Tantauの1300pを超えるマニュアルがあるのだけれど,これがまた詳しすぎて読みにくい。そんなわけで,日本語の適当な解説書を探すのだけれどこれがまたないのだった。そんなわけで,ボルツマン分布の概念図を作図しようとしていきなりつまづいた。

反復の方は\foreachを使うというところまではいいのだが,これに条件分岐を入れるとなんだかやヤコしい。しかも,堪え性のない老人は,最近の大学生のように真面目に調べずにネット情報を漁ってつまみ食いしようとするものだから,訳がわからない状態になるのであった。

小学生からのプログラミング教育は,いっそのことLaTeX+PGF/TikZにしたらいいのではないかとしみじみ思う今日この頃です。Pictogrammingと合体できないものか。まあグダグダ言いながらなんとか,解決方法の1つが見つかった。

/begin{tikzpicture}
\draw[step=2, dotted] (0,0) grid (13,2);
\foreach \x [count=\i]in {1,3,...,13}
{
\draw (\x,-0.5) node{\$(n_\i,u_\i)\$};
\foreach \y in {1,...,8}
\pgfmathsetmacro{\col}{ifthenelse(rnd*8 > \y,"white",ifthenelse(rnd*8 <\y,"gray","white"))}
\draw[fill,\col] (\x+rnd*1.6-0.8, rnd*1.6+0.2) circle(0.05);
}
\end{tikzpicture}

少し違うタイプの問題が出ても対応できる自信はまったくない,勉強不足なのであった。


図:TikZの例,\foreachとifthenelseとrndを組み合わせたもの


2021年11月3日水曜日

平均自由行程(3)

平均自由行程(2)からの続き

2種類の気体分子A(密度$\rho_{\rm A}$,質量  $m_{\rm A}$,速度 $\bm{v}_{\rm A}$)と気体分子B(密度$\rho_{\rm B}$,質量$m_{\rm B}$,速度 $\bm{v}_{\rm B}$)からなる温度$T$の気体中の分子の平均自由行程を考える。両分子の衝突断面積を$\sigma_{\rm AB}$とし,それぞれはマクスウエル分布$F_{\rm A}(\bm{v}_{\rm A}),\  F_{\rm B}(\bm{v}_{\rm B}) $に従って運動しているとする。

つまり,単位体積中で,速度$\bm{v}_{\rm K} \sim \bm{v}_{\rm K}+d\bm{v}_{\rm K}$にある${\rm K}$種の分子の数は,$dn_{\bm K}= \rho_{\rm K} F(\bm{v}_{\rm K}) d\bm{v}_{\rm K} = \rho_{\rm K} \Bigl( \frac{m_{\rm K}}{2\pi k_B T} \Bigr)^{3/2} \exp (-\frac{m_{\rm K} \bm{v}_{\rm K}^2}{2 k_B T}) d\bm{v}_{\rm K} $となる。

そこで,上記の速度空間にある分子の衝突回数は,相対速度を$\bm{u}=\bm{v}_{\rm A}-\bm{v}_{\rm B}$として,$dZ_{\rm AB} = \sigma_{\rm AB} |\bm{u}| dn_{\bm A} dn_{\bm B}$となる。そこで,単位体積,単位時間当たりの全衝突回数は,$Z_{\rm AB} = \int d n_{\rm A}  \int d n_{\rm B}  \ \sigma_{\rm AB} |\bm{u}| $となる。

次に,衝突する各分子の速度$\bm{v}_{\rm A},\ \bm{v}_{\rm B}$を相対速度$\bm{u}$と重心速度$\bm{V}$で表す。重心速度は,$\bm{V}=\frac{m_{\rm A} \bm{v}_{\rm A}+ m_{\rm B} \bm{v}_{\rm B}}{m_{\rm A}+m_{\rm B}}= \frac{m_{\rm A} \bm{v}_{\rm A}+ m_{\rm B} \bm{v}_{\rm B}}{M}$であり,$\bm{v}_{\rm A}=\bm{V}+\frac{m_{\rm B}}{M}\bm{u},\ \bm{v}_{\rm B}=\bm{V}-\frac{m_{\rm A}}{M}\bm{u}$となる。ただし衝突する2分子の全質量は,$M=m_{\rm A}+m_{\rm B}$であり,換算質量 を$\mu = \frac{m_{\rm A} m_{\rm B}}{M}$とする。

このとき,速度空間での積分は,$\int d \bm{v}_{\rm A} \int d \bm{v}_{\rm B} = \int d \bm{V} \int d \bm{u}$であり,衝突する2分子の運動エネルギーの和も重心運動と相対運動に分離される,$\frac{1}{2}(m_{\rm A}\bm{v}_{\rm A}^2 + m_{\rm B}\bm{v}_{\rm B}^2) = \frac{1}{2}( M\bm{V}^2 + \mu \bm{u}^2)$

そこで,単位体積・単位時間当たりの2種の分子の全衝突回数を,重心・相対座標で表すと,$z_{\rm AB} = \rho_{\rm A} \rho_{\rm B} \sigma_{\rm AB} \Bigl( \frac{m_{\rm A}}{2\pi k_B T} \cdot \frac{m_{\rm B}}{2\pi k_B T} \Bigr)^{3/2} \int d\bm{V} \int d\bm{u}  |\bm{u}| \exp (-\frac{M \bm{V}^2}{2 k_B T}) \exp (-\frac{\mu \bm{u}^2}{2 k_B T})  \\ = \rho_{\rm A} \rho_{\rm B} \sigma_{\rm AB} \Bigl( \frac{M}{2\pi k_B T}  \Bigr)^{3/2}  \int  d\bm{V} \exp (-\frac{\mu \bm{V}^2}{2 k_B T}) \cdot \Bigl( \frac{\mu}{2\pi k_B T}  \Bigr)^{3/2}  \int d\bm{u}  |\bm{u}|  \exp (-\frac{\mu \bm{u}^2}{2 k_B T})$ となる。

$\therefore z_{\rm AB} = \rho_{\rm A} \rho_{\rm B} \sigma_{\rm AB} \Bigl( \frac{\mu}{2\pi k_B T}  \Bigr)^{3/2} 4\pi \int_0^\infty u^3 \exp (-\frac{\mu \bm{u}^2}{2 k_B T}) du = \rho_{\rm A} \rho_{\rm B} \sigma_{\rm AB} \sqrt{\frac{8 k_B T}{\mu \pi}} $

そこで,ある1つのA分子がB分子と単位時間に衝突する回数は,$z_{\rm A(\rm B)}=n_{\rm B} \sigma_{AB} \sqrt{\dfrac{8 k_B T}{\pi \mu}}$

また,A分子=B分子として,ある1つのA分子が他のA分子と単位時間に衝突する回数は,換算質量が $\mu = m_{\rm A}/2$となって,$z_{\rm A}= \rho_{\rm A} \sigma_{AA} \sqrt{\dfrac{16 k_B T}{\pi m_{\rm A}}} = \rho_{\rm A} \sigma_{AA} \sqrt{2} \Bigl( \dfrac{2}{\sqrt{\pi}} \sqrt{\dfrac{2 k_B T}{m_{\rm A}}} \Bigr) = \rho_{\rm A} \sigma_{AA} \sqrt{2} \langle v_{\rm A} \rangle$

したがって,平均自由行程は$\lambda=\dfrac{\langle v_{\rm A} \rangle}{z_A} = \dfrac{1}{\sqrt{2} \rho_{\rm A} \sigma_{\rm AA}}$となり,$\sqrt{2}$が現れる。


2021年11月2日火曜日

錦秋文楽公演2021(2)

 錦秋文楽公演2021(1)からの続き

久しぶりに1日3部通して観劇の日(11:00-20:00)。10月31日が初日で,2日目の月曜日は平日なのでお客さんは少ない。二,三割くらいの入りだろうか。それにしては座席の割り振りがよろしくなく疎密のアンバランスが気になる。ウェブ上の予約システムを改修するだけの予算がないのだろう。

定年後は以前のように国立文楽劇場の定期公演をぜんぶ見るということは無くなったが,コロナのせいでさらに足が遠のいていた。今回は,まだ見ていない段のある蘆屋道満大内鑑ひらかな盛衰記の組み合わせが良かったので,早速予約したのだ。しかし,三分の一くらいは夢うつつだった。

第一部:「葛の葉子別れの段」の咲寿太夫は高音の発声で言葉もはっきりしていて聞きやすい。奥の竹澤宗助の三味線は丁寧な音がすごいなあ,安心して聞いていられる。道行の「蘭菊の乱れの段」は,狐の葛の葉が踊っているのだけれど,もう一つピンとこないのであった。これもできれば通しに近い構成で見たい。

第二部:ひらかな盛衰記の「逆櫓の段」は何度か見ているけれど,「大津宿屋の段」と「笹引きの段」から「松右衛門内の段」とつながることで,ようやく物語の意味とイメージがわかってきた。子どもの取り違えが起因する話だったのね。靖太夫は残念ながら声が出ていなかった。あるいはそうでなかったのかもしれないけれど,そのころは既にこちらが夢の中だった。一方,呂太夫は今日はよく声が出ていたし,清介の力強いバチ捌きとあいまって,感情表現がなかなか良かった。なお,睦太夫と清志郎も頑張っていたのではないでしょうか。

第三部:「辻法院の段」のようなチャリ場が藤太夫には似合う。さて,「神崎揚屋の段」は今回が初めてだった。千歳太夫と富助という安定したペアのおかげで,勘十郎の梅ヶ枝が苦悩するストーリーに没入することができたけれど,これは大変良かったですね。梶原源太の困ったちゃんの男性像との対比も今風で面白いし。そういえば,「神崎揚屋の段」は橋本治プロデュースの竹本駒之助のDVDを持っていたのだった。


写真:国立文楽劇場錦秋文楽公演2021のポスター



2021年11月1日月曜日

錦秋文楽公演2021(1)

   寝る前のNHK開票速報では,自民党過半数割れか?だったはずなのに,朝起きて11月になると,自民党安定多数,維新4倍に,立憲共産惨敗ということだった。野党共闘は1:1の選挙区では確かに効果を発揮したが,1:1:1の場合はそうではなかった。

維新的なムードは洗脳TVが支配する大阪や関西エリアだけではなく,全国にジワリと浸透している。おまけに国民民主と維新の合同会派話が持ち上がり,こうなると改憲勢力は自民261+公明32+維新41+国民11=345であり,楽々と2/3=315を超えているのだった(もちろん国民民主がなくてもだけれど)。こうなると,立憲民主からぼろぼろと崩れ落ちる層が出てくる。維新のような右翼ポピュリズムに対抗するには,れいわのような左翼ポピュリズムを持ってくるしかないのかも。

制度疲労による日本の没落を埋めるのが,一億総非正規化や,公共資産・サービスの民間・外資への切り売り,これが,改憲後に力をさらに増す差別的な右翼イデオロギーと戦争準備経済に支えながら進行するという目も当てらない状況が出現しそうだ。戦後蓄積してきた経済・文化資産はあっという間に消尽されていく。

金木犀香る晩秋の晴れの日,気落ちしながら,久々に維新政権の下でまだかろうじて開かれている文楽公演へと向かうのだった。街は賑わっており,横断歩道は剥げていなかったがペイントされた幅は狭くなっていたかもしれない。

2021年10月31日日曜日

平均自由行程(2)

 平均自由行程(1)からの続き

クラウジウスは,衝突する気体分子の速度は一定だが,相対速度の方向は一様に分布しているとして,平均自由行程の式を導いている。正確にはその速度分布まで含めた考察が必要になるが,とりあえず方向についての平均を考える。

平均自由行程は,分子の相対速度の大きさ$\langle u \rangle$を単位時間当たりの衝突回数$z$で割ったものであるが,相対速度($\bm{u}=\bm{v}-\bm{v}'$)の大きさの向きによる平均値は次のようになる。

$\langle u \rangle = \dfrac{2\pi \int_0^\pi \sqrt{v^2 + {v'}^2 - 2 v v' \cos \theta }\ sin\theta d\theta}{2\pi \int_0^\pi sin\theta d\theta} = \frac{1}{2} \int_{-1}^1 \sqrt{v^2 + {v'}^2 - 2 v v' t} \ dt $

$\therefore \langle u \rangle = \frac{1}{2} \frac{2}{3} \dfrac{1}{-2 v v'} \Bigl | (v^2+{v'}^2 -2 v v' t)^{3/2} \Bigr |_{-1}^1 = \dfrac{1}{6 v v'} \Bigl\{ |v+v'|^3 - |v-v'|^3 \Bigr\}$

ここで$v=v'$とすれば, $\langle u \rangle = \dfrac{4}{3} v $となり,クラウジウスの平均自由行程は,$\lambda = \dfrac{1}{\frac{4}{3} \rho \sigma }$


2021年10月30日土曜日

マクスウェル分布

平均自由行程の計算にはやはり気体分子速度のマクスウェル分布が必要かもしれない。これは,気体分子運動論でもボルツマン統計正準集団)の一般論からも求められる。ここでは前者についてまとめる。

ある領域内のN個の気体分子が速度 $\bm{v} \sim \bm{v} + d\bm{v}$にある確率を$P(\bm{v})$とし,それが速度分布関数$F(\bm{v})$によって,$P(\bm{v}) = F(\bm{v}) d\bm{v}$ で与えられるとする。このとき,$\int P(\bm{v}) d\bm{v} = 1$であり,物理量 $Q(\bm{v})$の期待値は,$\langle Q \rangle = \int  Q(\bm{v}) P(\bm{v}) d\bm{v} $となる。

ここで,速度の独立性と等方性を仮定すると,$F(\bm{v}) = f(v_x) f(v_y) f(v_z) = F(v^2)$ となる。すなわち,各成分の速度分布関数は共通の関数形の$f(v_i)$で与えられるとともに,$F(\bm{v})$は,速度ベクトルの二乗 $v^2=v_x^2+v_y^2+v_z^2$の関数となる。

先の式の両辺を$v_x$で微分すると,$F'(v^2) 2v_x = f'(v_x) f(v_y) f(v_z) = \dfrac{f'(v_x) }{f(v_x)} F(v^2)$となる。したがって,$\dfrac{F'(v^2) }{F(v^2)} = \dfrac{f'(v_x) }{2 v_x f(v_x)}=-\alpha$となる。最初の等式の両辺は異なった変数の関数なので,その値は定数でなければならず,それを$-\alpha$とおいた。

この微分方程式を解くと,$F(v^2)=A e^{-\alpha v^2},f(v_x)=A_x e^{-\alpha v_x^2}$となる。規格化のための積分をすると,$4\pi \int_0^\infty A e^{-\alpha v^2} v^2 dv = A\bigl( \dfrac{\pi}{\alpha}\bigr) ^{3/2} =1$となるので,$A=\bigl( \dfrac{\alpha}{\pi} \bigr) ^{3/2}$。したがって,$P(\bm{v}) = \bigl( \dfrac{\alpha}{\pi} \bigr) ^{3/2} e^{-\alpha v^2}$

気体分子の運動エネルギーの平均値が,$\int \dfrac{m v^2}{2} P(\bm{v}) d\bm{v} = \frac{3}{2}k_B T$となることから,$\dfrac{m}{2}\bigl( \dfrac{\alpha}{\pi} \bigr) ^{3/2}\dfrac{3}{2\alpha}\bigl( \dfrac{\pi}{\alpha} \bigr) ^{3/2} = \dfrac{3}{2}k_B T$。したがって,$\alpha = \dfrac{m}{2 k_B T}$であり,$F(v^2) = \Bigl( \dfrac{m}{2\pi k_B T} \Bigr) ^{3/2}  e^{-\frac{m v^2}{2 k_B T}} $

25℃1気圧の窒素気体の平均速度は$\langle v \rangle =\sqrt{\frac{8 k_B T}{\pi m}}= 475 {\rm m/s}$,平均自由行程は$9.3 \times 10^{-8} {\rm m}$である。

図:マクスウェル分布の概形


2021年10月29日金曜日

立体角

 平均自由行程を考えるために色々試行錯誤していたら,立体角の計算が必要になった。球の外側にある点から球を見込む立体角である。図のように,半径$a$の球の中心${\rm Q}$から,$\overline{\rm PQ}=\ell (>a)$の距離に点${\rm P}$をとる。

${\rm P}$から球を見込んだ時の球との接円が$x-y$平面にできるとする。接円と$y$軸の交点を${\rm A, B}$とすると,$\overline{\rm PA} = \overline{\rm PB} = \sqrt{\ell^2-a^2}$となる。

立体角$\Omega$は次の積分で与えられる。$\Omega = \int_0^{2\pi} \int_{\pi/2}^{\pi/2+\alpha} \sin\theta d\theta d\phi = 2\pi [-\cos \theta]_{\pi/2}^{\pi/2 + \alpha} = 2\pi \sin \alpha$ 。ただし,$ \alpha = \angle {\rm QPA}$であり,$\sin \alpha = \frac{a}{\ell}$。


図:球を見込む立体角

2021年10月28日木曜日

平均自由行程(1)

ラジオメーター(2)からの続き

平均自由行程の式は,$\lambda=\dfrac{1}{\sqrt{2} \rho \sigma}$とした,$\rho$は気体分子密度,$\sigma$は気体分子の衝突断面積である。で,$\sqrt{2}$がどこから出てきたのかは,簡単そうな難しそうな話だった。

固定された分子群に平均速度$v$の粒子が進んでいるとき,単位時間当たり,長さ直径$d$の円筒内の分子とは衝突することができる。静止している気体分子密度が$\rho$なので,単位時間当たりの衝突回数は,$n=\rho \pi d^2 v$である。そこで一回当たりに進む距離は,$\dfrac{v}{n}=\dfrac{1}{\rho \pi d^2} = \dfrac{1}{\rho \sigma}$となる。ただし,衝突断面積は $\sigma = \pi d^2$である。

簡単そうな話では次のようになっている。全ての粒子が動いている場合,衝突する2分子の速度ベクトルを$\bm{v}$と$\bm{v}'$とすると,相対速度ベクトルは,$\bm{u}=\bm{v}-\bm{v}'$となり,$u=|\bm{u}|$の平均値を先ほどの$v$に当てはめる必要がある。そこで,$\overline{\bm{u}^2}=\overline{\bm{v}^2}-2\overline{\bm{v}\cdot\bm{v}'}+\overline{\bm{v}'^2}$より,$u^2=v^2+v^2$となる。先ほどの$v$は$u=\sqrt{2} v$に置き換えられるから,$\sqrt{2}$があらわれる。ただし,速度ベクトルの相対的な向きはランダムであるとして,$\overline{\bm{v}\cdot\bm{v}'}$=0を用いた。

実のところはもう少し複雑な計算が必要らしいが,その前提として気体分子速度のマクスウェル・ボルツマン分布が必要なのかどうか。混合気体のマクスウェル・ボルツマン分布はどうなるかなど疑問が続く。

[1]衝突頻度と平均自由行程(山崎勝義)

2021年10月27日水曜日

ラジオメーター(2)

 ラジオメーター(1)からの続き

実験的な事実として,ラジオメーターの羽根車が一番よく回転するのは,1Paぐらいの圧力の場合であり,高真空では回転しない。これから,光の放射圧が原因ではないといえる。また,紫外線や白色LEDライトではあまり回転せず,熱を持つハロゲンランプや蝋燭ではよく回転する。さらに,ガラス面に接触した掌でもわずかに回転することやガラス面を冷却すると逆回転することから,赤外線の吸収や放出による残留気体の熱効果であることがわかる。

つまり,羽根車面の色の違いから生ずる温度勾配による内部の残留気体の運動が回転の原因ということになる。それでは,これを記述するのは流体力学の基礎方程式なのか,気体分子運動論の基礎方程式なのか。これを判定するのがクヌーセン数 $K_n$になる。

$K_n = \dfrac{\lambda}{L} = \dfrac{k_B T}{\sqrt{2} \pi d^2 P L}$

ここで,$\lambda$は平均自由行程,$k_B, T, P$はボルツマン定数及び気体の温度と圧力,$\pi d^2=\sigma$ は気体分子の断面積である。また,$L$は問題の系に対する代表的長さである。なお,$\dfrac{k_B T}{P}=\dfrac{V}{N}= \dfrac{1}{\rho}$であり,$\rho$は気体の数密度になる。これから,平均自由行程(速度 / 単位時間当たり衝突回数)は,$\lambda = \dfrac{1}{\sqrt{2} \rho \sigma}$とも表される。

気体の温度を300K,圧力を1Pa,系のサイズを0.1m,気体分子サイズ$d$=1 Å =$10^{-10}$mとして,$K_n=0.9$となる。$K_n$ <0.01 連続領域,0.01 < $K_n$ < 0.1 近連続領域,0.1 < $K_n$ < 10 遷移領域,10 < $K_n$ 自由分子領域 ということなので,これは流体力学よりも気体分子運動論的なボルツマン方程式で扱うのが適当なのではないか。


2021年10月26日火曜日

ラジオメーター(1)

 物理学科同期の同窓会関係の連絡をしていたら,楠本君からクルックス・ラジオメータについての質問があった。

真空に引いた(1 Torr程度)ガラス球の中に,羽根車が取り付けられており,4枚の羽根の片面が黒,他面が銀になっている。これに外部から光(赤外線)を当てると,熱の吸収の不均衡から温度勾配が生じる。それが残留空気の対流?を引き起こして,その反作用で羽根車が軸の周りに回転する。これにより,光の光度を調べることができるというのがラジオメータだ。現在では主に観賞用になっている。

羽根車の回転の原因として,光圧や面上の残留気体の分子運動による説明がされていたことがあったが,いずれも否定されているのか。柳田君からは,でんじろう先生のYouTubeを紹介された。色々な種類の光源による実験や,手作りラジオメータの実験はどは,非常に興味深いものだった。

ただ,まだ完全に理解できているわけではない。熱ほふく流,radiometric force,Knudsen force,エッジ効果と面効果,2Dシミュレーションの妥当性,などなど次々と芋づる式に疑問ワードが湧いて出てくるのであった。


写真:ラジオメーター(共立電子産業から引用)


2021年10月25日月曜日

光の雨:立松和平

 夜の谷を行く:桐野夏生からの続き

一年かかって,ようやく立松和平光の雨を読了。まとまった時間がないと本が読めないのだが,法事で金沢まで往復したサンダーバードの時間を使うことができた。

狂言回しの周辺ストーリーは本質的なものではないと思うので,そこを批判するのはあまり当たらないのではないか。ただ,勾留中の坂口弘死刑囚の著作からの盗作疑惑を指摘されたため,大幅に改訂して文庫本となっているとのこと。

物語の主人公は,玉井潔(坂口弘 1946.11-)である。彼が80歳になっていて,死刑制度が廃止された2026年という時点に時代設定がなされている(Wikipediaには2030年とあるが,玉井が80歳になったばかりで,55年前の事件というキーワードがあることから2026年と推定できる)。その思い出語りの形で,連合赤軍事件(真岡銃砲店襲撃事件印旛沼事件山岳ベース事件)を中心に事件の概要を肉付けしたストーリが描写されている。

前半を印旛沼事件までに費やしていたが,こちらはよく知らなかった。後半の山岳ベース事件は,朝刊に載った写真が生々しくショッキングだったことを憶えている。早岐やす子(21歳) ,向山茂徳(20歳);尾崎充男(22歳) ,進藤隆三郎(21歳) ,小嶋和子(22歳) ,加藤能敬(22歳) ,遠藤美枝子(25歳) ,行方正時(25歳) ,寺岡恒一(24歳) ,山崎順(21歳) ,山本順一(28歳) ,大槻節子(23歳) ,金子みちよ(24歳) ,山田孝(27歳) の14名を概ねカバーした記述がされていた。

立松和平の湿っぽさが内容にマッチしていたのかもしれないが,あらためて山本直樹のレッドをまとめて読んでみたくなる。


写真:光の雨の書影(Amazonから引用)

[1]連合赤軍事件スクラップブック


2021年10月24日日曜日

ルーシー

 木星の5つのトロヤ群小惑星を探査する宇宙探査機ルーシーが先週の土曜日(10月16日)にケープ・カナベラル宇宙軍基地から打ち上げられた。あれ,ケープ・カナベラルはケープ・ケネディに改名されていたのではなかったかと思ったが,どうなったのか。

ケネディ暗殺1週間後の1963年11月29日に,NASAの発射管制施設はケネディ宇宙センターに名称が変更されている。マーキュリー計画やジェミニ計画では,隣接するケープカナベラル空軍基地の発射施設が使われていたので,小学生の自分にはケープ・カナベラルは馴染みの名前だった。そのケープカナベラルもケープケネディという地名に変更されたと思っていたが,地名の方は1973年に元に戻されたようだ。知りませんでした。

フロリダ半島中部東岸のこの地域は,ジュール・ベルヌの「月世界旅行」の中で発射砲が設置されたフロリダ半島中部西岸のタンパに近かったので,アポロ計画のころにはちょっとした話題になっていた。

さて,ルーシーという名称は最初期のアウストラロピテクス人骨のルーシーからきているということだが,これはさらにビートルズのルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズが由来ということで,なんだか巡り巡って複雑なことになっている。


写真:サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Amazonから引用)



2021年10月23日土曜日

中性子の寿命パズル

原子核から飛び出した自由中性子の寿命は,宇宙初期の元素合成の話や標準模型におけるCMK行列の値などに関わる非常に重要な物理量である。実験的には,磁場や重力で閉じ込められた超冷中性子の数(ベータ崩壊している電子の数なのか?)を数えるボトル法と,飛行中の中性子が崩壊してできる陽子数を数えるビーム法に分けられる。

ところが,この2つの方法で得られる実験値は,ビーム法 が 888.0 ± 2.0 秒,ボトル法が 879.4 ± 0.6 秒であり,そ の差は 8.6 秒 (4σ) と大きな乖離がある。なお,ボトル法(超冷中性子)の最新のデータは,τn = 877.75 ± 0.28(stat.) + 0.22 / − 0.16(sys.) 秒であり,差は埋まっていない。

これに対して,KEKでは電子を計数する新しいビーム法の実験の準備がされている。また,全く独立な方法として,惑星/月探査機に積んだ表面組成分析用の中性子検出器を用いる方法が提案されている。精度は十分ではないが,水星や金星のフライバイのデータから,τn = 780 ± 60(stat.) ± 70(sys.) 秒を,月探査機のデータからτn = 800 +40/-50(stat.) ± 17(sys.) 秒が得られた。

なお,最新のLunar Prospectorのデータでは,τn = 887 ± 14(stat.) +7 / -4(sys.) 秒となっている。

図:今回の値は電子を測定するビーム法(京都大学のプレスリリースより)

[1]中性子寿命の謎の解明に向けて(KEK,2021.2.17)

2021年10月22日金曜日

原子の四重極能率

 原子核は,構成粒子間の力が面倒なテンソル力だったりする関係で,球形以外の回転楕円体などの形(フットボール型,パンケーキ型)が普通に見られるのだけれど,現代物理学の授業で「原子はみんな球形なのですか?」という質問があった。

原子は,原子核を中心としたクーロン力が支配的なので,どうなのか考えたこともなかった。もちろんE2遷移はあるけれど,基底状態で静的な四重極能率を持つ原子があるのだろうか。さっそく検索してみるのだけれど,なかなかこれといった情報にたどりつかない。分子はいいんですよ,ほとんど自明だから。

そもそも原子の基底状態で,全角運動量が 1 以上のものがあるのだろうか。たかだか100個しかないのだからどこかに簡単なテーブルが見つかるはずだ。あ,電子が奇数個であってその価電子が 0 でない(できれば2以上の)軌道角運動量を持てばばいいわけか。となると3d軌道や4d軌道に奇数個の電子があれば(Sc, V, Mn, Co, Y, Tc)J=3/2か5/2が作れそうなので,原子の電気四重極能率が 0 でない可能性がある。

周期表をあれこれみても電子配置はかいてあるものの,肝腎の全角運動量の情報がないのだ。どうなっているの?四重極能率の計算に全角運動量は関係ないのか?そんなこんなで少しだけかすっているような情報があったけれど,これは原子単体の話ではないかも。


図:電気四重極子の等ポテンシャル面(Wikipediaより引用)

2021年10月21日木曜日

フォトグラメトリ

 水中考古学の山舩幸太郎の話がテレビで流れていた。NHKのカネオ君だったのかな。YouTubeチャンネルもある。沈没船の様子を記録するためには,長期間のダイビング作業が必要であり,コストもたいへんなものになるところ,フォトグラメトリの技術を使って圧倒的に時間と費用が削減できたという印象的な話だった。

そういえば,大学の地学実験の授業ではじめてみたステレオグラムの写真に感動したことを思い出した。ここでは狭義に「デジタルカメラ等で多面的に撮影した複数のデジタル写真をコンピュータで画像解析し,3次元コンピュータグラフィックス等を得るプロセス」のことを考えたい。

AppleのMacBook発表会をみて,ほとんどのYouTuberが単純な性能や機能談義に終始していたところ,トバログ氏が,MacBook Proからみえる今後のAppleの方向性を議論していたのがおもしろかった。それは,Appleが出遅れている 3DCGを利用したVRARなどのMRが重要な役割を果たす世界である。

その兆候は,iPhoneカメラにおけるLiDARセンサーや,次期macOSのMontereyにおけるObjectCaptureという開発者向けAPIなどにみられる。そう,住宅・建築・土木関係や美術館・博物館・考古学あたり,あるいは自動運転・ロボティックス業界の皆様にとってはフォトグラメトリ最強かもしれませんが,一般コンシューマにtiktokのように浸透するには何が必要なのだろうか。VR/ARヘッドセットをかぶるのはちょっと勘弁してほしいのだけれど。


図:photogrammetryのイメージ(lecture.nakayasu.comから引用)

[1] Sketchfab(The Leading Platform for 3D & AR on the web)

2021年10月20日水曜日

MacBook Pro

 4月にMacBook Pro (mid 2012)を壊してしまって MacBookAir (2020 M1)に乗り換えてから半年たった。M1 MacBook Air は大変快調に動作している。夏場に少し熱くなったファンレスマシンだけれど,バックグラウンドで動いていたソフトを1つ外したところ,全く問題なくなった。これからはむしろ掌に冷たいボディの心配をする必要があるかもしれない。

さて,昨日(日本時間2021年10月19日未明)のAppleEventで,新しいM1 Pro/MAX チップを搭載した MacBook Pro が発表された。ネット上ではかなり盛り上がっている。新しいチップは,従来のM1チップに比べて面積が2〜3.5倍(トランジスタ数がMAXで570億個)。CPUコア数は8(高性能4+省電力4)から10(高性能8+省電力2)へ,GPUコア数は8から16/32へと増えている。メモリ帯域幅は200GB/s または 400GB/sで,従来のM1チップの3〜6倍である。

今のM1チップとシングルコアでの性能は変わらないそうで,マルチコアによる性能が1〜2倍の範囲で強化されるということになる。Appleの宣伝では大変素晴らしいことになっているが,あくまでも旧いIntelチップとの比較であり,実運用上どこまで確かなのかは試してみないとわからない。最も,動画編集をしない自分にはそもそも関係ない話かもしれない。

というわけで,新しいMacBookで一番良かったのは,TouchBARの廃止。TouchIDの採用,1080pのフロントカメラ,USB-C (Thunderbolt 4) × 3ポート,Magsafeの復活かな。3.5mmヘッドフォンジャックも残った。それに+10万円の価値があるかどうかという問題だけど・・・。

(1) MacBook Air  13":21.2 × 30.4 × (0.4-1.6) 1.3kg, 8CPU+8GPU, 16G+1T = 20万円

(2) MacBook Pro 14" (Pro):22.1 × 31.3 × 1.5 1.6kg, 10CPU+16GPU,16G+1T = 30万円

(3) MacBook Pro 14" (Pro):22.1 × 31.3 × 1.5 1.6kg, 10CPU+16GPU,32G+2T = 39万円

(4) MacBook Pro 14" (MAX):22.1 × 31.3 × 1.5 1.6kg, 10CPU+16GPU,32G+2T = 43万円

(5) MacBook Pro 14" (MAX):22.1 × 31.3 × 1.5 1.6kg 10CPU+32GPU,64G+4T = 54万円


写真:MacBook Pro 2021 のサイドビュー(Appleより引用)


写真:M1チップの面積(Appleより引用)

2021年10月19日火曜日

ルジャンドル変換(4)

 ルジャンドル変換(3)からの続き

ルジャンドル変換の例題を考えていて,$f(x=0)=f^*(p=0)=0$ならば,積分の図とうまく整合するのだが,そうでない場合にどうなるのかちょっと困った。そこで,簡単な2次関数の例で試してみた。

図:定数分の補正で説明できるルジャンドル変換の例

図左のように元の関数を,$f(x)=(x-a)^2+b$とする。このとき$x$が増加して$f(x)$が減少する部分があるので,正の面積だけでは表現できない。実際,図中で$f'(x)$は$0<x<a$で負になる。そこで,$f(x) = \int_0^x f(y) dy + C$として,初期値を$f(0)=(a^2+b)=C$,$x$軸以下の部分の面積を負の量として考える。

このとき,$f^{*}(p)= \int_{-2a}^p {f^{*}}'(q) dq - C$として,$f(x) + f^{*}(p) = x\,p$が成り立つことになる。図右には,結果としての$f^{*}(p)$のグラフを示している。このように積分領域や定数を適当に調整することで,面積によるルジャンドル変換の解釈はそのまま使えると思われる。

この例では,$x$の範囲は,$0<x$としているが,$x_\min < x < x_\max$の範囲で$f(x)$を定義し,これに対応する $p_\min < p < p_\max$ の範囲の$f*(p)$を考えて,定数分の補正をすれば良い。

2021年10月18日月曜日

ルジャンドル変換(3)

 ルジャンドル変換(2)からの続き

田崎さんの熱力学の付録HのLegendre変換によれば(変数$\alpha \rightarrow p$として),$f(x)+f^*(p) \ge x p$ というYoungの不等式が成り立つとある。ルジャンドル変換を一般化した凸共役性のところでも,フェンシェル=ヤングの不等式として示され,これらはルジャンドル変換の定義(min/maxを用いるもの)から直ちに導かれるとしている。

ところが,積分で表示した場合はどうなのかちょっと困った。まあ,不等号でmin/maxの条件に当てはまらないところを考えるということならば,単調増加する連続関数の積分における不等式で説明できたということにすれば良いのかな。

(例1)$f(x)=a x^2 + b x$のルジャンドル変換。$f'(x)=2 a x+ b =p$から$x=\frac{p-b}{2a}$が最小値を与える$x$である。これを用いて,$f^*(p) = x p - f(x) = x p - (a x^2 + b x) |_{x=\frac{p-b}{2a}} = \frac{(p-b)^2}{4a}$

(例2)$\alpha, \beta > 1, \frac{1}{\alpha}+\frac{1}{\beta}=1$として,$f(x)=\frac{1}{\alpha}x^\alpha$のルジャンドル変換。$f'(x)=x^{\alpha-1}=p$から$x=p^{1/(\alpha-1)}$が最小値を与える$x$である。これを用いて,$f^*(p) = x p - f(x) = x p -\frac{1}{\alpha}x^\alpha |_{x=p^{1/(\alpha-1)}} = p^{\alpha/(\alpha-1)} - \frac{1}{\alpha}p^{\alpha/(\alpha-1)} = \frac{\alpha - 1 }{\alpha} p^{\alpha/(\alpha-1)} = \frac{1}{\beta} p^\beta$となる。すなわち,$\dfrac{x^\alpha}{\alpha} + \dfrac{p^\beta}{\beta} \ge x p$ が成り立つ。

(例3)対応する変数を$(\dot{x}, p)$として,$f(\dot{x})=L(\dot{x},x)=\frac{1}{2}\dot{x}^2-\frac{1}{2}x^2$のルジャンドル変換。$\frac{\partial L(\dot{x},x)}{\partial \dot{x}}=\dot{x} = p$となる。これを用いて,$f^*(p)=H(p,x)=\dot{x} p - L(\dot{x},x) = p^2 - L(p,x) = \frac{1}{2}p^2 +\frac{1}{2} x^2$となる。

2021年10月17日日曜日

ルジャンドル変換(2)

 ルジャンドル変換(1)からの続き

ルジャンドル変換にかかわる関数として,2階微分が正であるC1級関数ではなくて,凸関数という表現を使っているのは,相転移点で微分可能でなくなるような熱力学的関数に対してもルジャンドル変換をしたいがためだとあった。

ということで,ある関数$f(x)$の1階微分$f'(x)$が不連続になるような場合を図示してみると次のようになる。この場合も$f(x)$は連続になっている。

通常,このような場合の関数$f(x)$のルジャンドル変換$f^*(p)$は,次の式で表現されている。

$f^*(p) = - \underset{x}{\min} \{ f(x) - p\, x \} =  \underset{x}{\max} \{ p\, x - f(x) \}$

一階微分できる点の場合はカッコ内を$x$で微分すれば,$p$と$x$が一意的に対応する。そうでない点の場合は,その点の左微分から右微分の値の範囲の$p$に対して,上記の条件から$f^*(p)$を定めることになる。


図:一階微分が不連続な場合のルジャンドル変換のイメージ


2021年10月16日土曜日

ルジャンドル変換(1)

 ルジャンドル変換は,積分を使って表現するとわかりやすいという説と通常の説明の対応について考えてみたい。この過程でtikzにおける塗りつぶし方法を練習した。


図:ルジャンドル変換のための説明図

原点を通る単調増加関数上の点C $(x,p)$があって,図のように矩形の領域をとる。矩形領域内で関数の下の部分の面積を$f(x)$,上の部分の面積を$f^*(p)$とすると,$f(x)+f^*(p)=xp$が成り立つ。$f^*(p)$が$f(x)$のルジャンドル変換になる。同様に,$f(x)$は$f^*(p)$のルジャンドル変換である。$f^*(p)$のルジャンドル変換は$f^{**}(x)$とも書けるから,$f^{**}(x)=f(x)$となって,ルジャンドル変換を2回繰り返すと元の関数に戻る。

この単調増加関数は,$x$の関数とすると$f'(x)$であり,$p$の関数と見れば${f^{*}}'(p)$となる。そこで,$f^*(p)$を求めるには,$p=f'(x)$を$x$について解いて,$x=\varphi(p)$を求めてから,$f^*(p) = x p - f(x) = \varphi(p) \cdot p - f(\varphi(p))$として求めることができる。

いいかえれば,$f(x) = x p - f^*(p) |_{p=f'(x)}$ として,元の関数$f(x)$が,傾き$p$と切片$ - f^*(p)$でも表現されるということになる。
/begin{tikzpicture}
\tikzstyle{every node}=[font = \Large];
\filldraw (0,0) circle(1pt) node[below left]{O};
\draw[->] (-2,0) -- (8,0) node[right]{$x$};
\draw[->] (0,-2) -- (0,8) node[above]{$p$};
\draw[step=1.0, dotted] (-2,-2) grid (8,8);
\draw [dotted, pattern=north west lines, pattern color=blue] (0,0) -- (1,1.3) -- (2,2) -- (3,2.4) -- (4,3)-- (5,4) -- (6,5.4) -- (6,0);
\draw [dotted, pattern=north west lines, pattern color=red] (0,0) -- (1,1.3) -- (2,2) -- (3,2.4) -- (4,3) -- (5,4) -- (6,5.4) -- (0,5.4);
\draw[domain=0:3, thick] plot(\x,{-0.2*(\x-3.5)^2+2.45});
\draw[domain=3:7, thick] plot(\x,{0.2*(\x-2)^2+2.2});
\filldraw (6,0) circle(1pt) node[below]{$x$};
\filldraw (3,2.4) circle(1pt);
\filldraw (6,5.4) circle(1pt) node[right]{C};
\node[below right] at (6.5,5.4) {$f^{'}(x)$};
\node[above left] at (6,5.4) {$f^{*'}(p)$};
\filldraw (0,5.4) circle(1pt) node[left] {$p$};
\draw[blue] (4,1) node{$f(x)$};
\draw[red] (2,4) node{$f^*(p)$};
\end{tikzpicture}

2021年10月15日金曜日

日本人のノーベル賞

日本における最近の科学や経済の衰退傾向から,将来,日本人の自然科学系のノーベル賞受賞者が出なくなるのではといわれることがある。一方,最近の中国や韓国は日本より科学技術,経済分野で先んじてはいるけれど,まだノーベル賞受賞者をどんどん輩出するようにはなっていない。

ある研究や発明がなされたときと,それが評価されて普及するようになるまでには時差があることが,その一因と考えられる。そこで,日本人(日本出身)の自然科学系のノーベル賞受賞者25名の,研究・発明年と受賞年をグラフに書いてみた。研究発表の時点から受賞までには平均で約26年かかっているようだ。

図: 日本人の受賞年(横軸)と研究発表年(縦軸)
(赤は時差が25.9年,オレンジは25.9±5年を表す)

湯川秀樹が最初に受賞してからの50年間では5名だけだったのが,2000年以後の20年間余で20名ということになる。1970年代から1990年代にかけて,日本の経済や科学を取り巻く環境が良かった時代を反映しているのかもしれない。

なお,上記のグラフを書くためのJuliaのコードは以下の通りであり,Gadfly.jl でグラフをオーバレイする方法がわかった。

using Gadfly
using Compose
using DataFrames
X = [1949,1965,1973,1981,1987,2000,2001,2002,2002,2008,2008,2008,2008,2010,2010,2012,2014,2014,2014,2015,2015,2016,2018,2019,2021]
Y = [1935,1947,1957,1952,1976,1976,1987,1985,1987,1962,1973,1973,1960,1977,1979,2006,1985,1985,1992,1997,1996,1992,1992,1985,1967]
Labels = ["湯川","朝永","江崎","福井","利根川","白川","野依","田中","小柴","下村","小林","益川","南部","根岸","鈴木","山中","赤碕","天野","中村","大村","梶田","大隅","本庶","吉野","真鍋"]

p1=layer(x=X, y=Y, label=Labels, Geom.point, Geom.label, Theme(major_label_font="CMU Serif",minor_label_font="CMU Serif",major_label_font_size=12pt,minor_label_font_size=12pt))
p2=layer(x->x-25.9, 1949,2035, color=[colorant"red"])
plot(p1,p2)
p3=layer(x->x-20.9, 1949,2035, color=[colorant"orange"])
plot(p1,p2)
p4=layer(x->x-30.9, 1949,2035, color=[colorant"orange"]) 
plot(p1,p2,p3,p4)

2021年10月14日木曜日

凸関数

 ルジャンドル変換について調べようと,田崎さんの熱力学谷村さんの資料を見ていたら,事前知識として凸関数(Convex Function)が要求された。それは次のようなものだった。

(1) 定義:ある区間で定義された実数値関数 $f(x)$ において,区間内の任意の点,$x_1 < x_2$に対して,$0 < \lambda < 1$ として,$f((1 - \lambda) x_1 + \lambda x_2) \le (1 - \lambda) f(x_1) + \lambda f(x_2)$ を満足する$f(x)$は凸関数であるという。

(2) 凸関数は連続である。

(3) 凸関数が2回微分可能な点$x$では,$f''(x) >0$である(2回微分できない点もある)。

(4) 任意の点$x_0$ で右微分$f'_{-}(x_0)$と左微分$f'_{+}(x_0)$が存在し,次の条件,$f'_{-}(x_0) < \alpha < f'_{+}(x_0)$を満足する定数$\alpha$に対して,$f(x) \ge f(x_0) + \alpha (x - x_0)$となる。

(5) 一階微分可能な点$x_0$では,$f(x) \ge f(x_0) + f'(x_0) (x - x_0)$ が成り立つ。


図:凸関数の定義のための補助図


2021年10月13日水曜日

請願権

衆議院選挙の東京8区における,山本太郎と立憲民主党の間での出馬問題についてのトークで,安富歩が請願権について述べていた。新自由主義的な日本維新の会推しで潜在的に学歴差別的傾向を持つ朝日新聞が,あれほどまで山本太郎をディスるのは,2013年の園遊会における天皇への手紙問題以来ではという説だ。

その山本太郎の問題点は,法律上の手続きにあるのであって,天皇への請願が禁止されているわけではないということだった。

日本国憲法第十六条

何人も,損害の救済,公務員の罷免,法律,命令又は規則の制定,廃止又は改正その他の事項に関し,平穏に請願する権利を有し,何人も,かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

請願法

第1条 請願については,別に法律の定める場合を除いては,この法律の定めるところによる。

第2条 請願は,請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し,文書でこれをしなければならない。

第3条 請願書は,請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は,内閣にこれを提出しなければならない

第2項 請願の事項を所管する官公署が明らかでないときは,請願書は,これを内閣に提出することができる。

第4条 請願が誤つて前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは,その官公署は,請願者に正当な官公署を指示し,又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。

第5条 この法律に適合する請願は,官公署において,これを受理し誠実に処理しなければならない。

第6条 何人も,請願をしたためにいかなる差別待遇を受けない。

附則 この法律は,日本国憲法施行の日から,これを施行する。


2021年10月12日火曜日

フレッツ光 vs eo光

 最近,自宅のネットワークが遅いというクレームが上がってきている。コロナによる在宅勤務が進んでいるからなのか,なんとなくトラフィックが混んでいるような気がする。より大きな問題は,現在利用しているKCNの集合住宅向けインターネットサービス「Kブロードマンションプレミアム320特割」が下り最大320Mbps,上り最大10Mbpsのベストエフォートサービスであることだ。非対称はいいとしても上りが遅すぎるので,まともなビデオ会議が成立しにくいのだ。

ところでマンションの玄関にはフレッツ光(プラン2)とeo光の案内が貼っている。これでFTTHを実現すれば,速くなるんじゃないかなと思ったがいくつか懸念事項がある。(1) ほんとに速くなるのか,(2) アクセスポイントの機器(ONU)はどこに設置されるのか,(3) KCNのメールは使えるのか,などなど。

(1) フレッツ光eo光遅いを組み合わせて検索すると,出るわ出るわ,こりゃダメだ。前者はユーザが多すぎて,分岐が多いことが理由として挙げられている。マンションの共用部の光スプリッタあたりは1Gbpsと書いてあるが,これもベストエフォートなのでどうだか微妙だ。eo光の方は電話してみると,VDSL上下100Mbpsとのこと。なーんだ,紛らわしい。

(2) アクセスポイントが,現在の同軸線(TV)と電話線(NTT)のどちらあたりになるのかを知りたくてフレッツ光(NTT)のサポートに問い合わせたが,対応の官僚的なこと甚だしで,何にもヒントを教えてくれなかった。ウェブサイトもeo光の方が断然親切なのである。これなら同じNTT回線でもソフトバンク光にしたほうがマシかも。

(3) KCNのメールであるが,KCN側にフレッツ光ネクスト対応プランがあるので,これを使えばなんとかなる。最悪は,別プロバイダ回線でもアクセスできるようにKCN側に問い合わせて設定すればいいはずだが面倒だ。KCNのTV共同視聴設備点検に来たお兄さんに聞いてみたが,弱小KCNではマンションのFTTHになかなか手が出せなさそうだ。

(4) 別の解はないかと,Nuro光を調べたが,残念ながら天理市はサービス対象外。ふと,SoftBank Air はどうかと思ったら,これが思いのほか良さげである。いちいち無線ルータを買わなくてこれ一つで済むし,中継機も使える。問題は,天理市のこの辺りが最大200Mbps程度までであり5Gも使えないこと(これだから田舎は悲しい)。ソフトバンクの5G次第でこれも今後の選択肢になりそうだ。

いずれにせよ,現在のKCNのインターネットは2年縛りで継続されているので,解約できるのは,オリンピック開催年(2000+4n)の7月から9月の間だけである。さもなければ,8800円の解約金が取られるという寸法だ。


図:現在のKCNのKブロードプレミアム320の回線速度(朝7:00)

2021年10月11日月曜日

mas

 macOSのアプリは,Mac App Soreを経由してインストールするのが普通である。このためのアプリ名がApp Soreでなので,iOSやiPadOS用のサービス兼アプリの App Storeと同じ名前になっている。微妙にややこしい。

macOSのApp Storeアプリは普通のアプリケーションソフトウェアなので GUI(グラフィッカルユーザインターフェイス)でアクセスする。可もなし不可もなし。この CLI=CUI(コマンドラインインターフェース)版で mas(mas-cli)というものがあることがわかった。しかも,homebrewで簡単にインストールできた。使用例は次の如し。

$ mas list

863486266 SketchBook (8.7.0)
539883307 LINE (7.2.0)
640199958 Developer (9.2.3)
409222199 Cyberduck (7.10.2)
409183694 Keynote (11.2)
405399194 Kindle (1.33.0)
895264364 DjVu Reader Pro (2.5.8)
1380563956 辞書 by 物書堂 (1.2.15)
682658836 GarageBand (10.4.3)
1482454543 Twitter (8.82)
1496833156 Playgrounds (3.4.1)
425424353 The Unarchiver (4.3.3)
1168254295 AmorphousDiskMark (3.1)
1055273043 PDF Expert (2.5.18)
409203825 Numbers (11.2)
497799835 Xcode (13.0)
1153157709 Speedtest (1.22)
409201541 Pages (11.2)
721540800 PDF to DjVu (1.3.0)
1465576485 GraphicConverter 11 (11.5.2)
408981434 iMovie (10.2.5)
1438772273 Cinebench (23.2)
1024640650 CotEditor (4.0.8)
405843582 Alfred (1.2)
1444383602 GoodNotes (5.7.36)
1272842196 egword Universal 2 (2.2.11)
古くなってしまった(outdated)アプリケーションを更新する(upgrade)こともできるらしいのだが,どうもそれはうまくいかなかった(できたのもあるが)。

2021年10月10日日曜日

円筒電荷分布の電場(2)

円筒電荷分布の電場(1)からの続き

 直感的な説明はできた(と思う)ので,次に積分を真面目に計算してみる。

$z$軸を対称軸とする半径$R$の円筒に,面密度$\sigma$の電荷が一様に分布している。$x$軸上の点Pは座標$(r,0,0)$であり,この点における電場を計算しようというわけだ。このためには円筒面上のすべての電荷素片がP点に作る電場を重ね合わせればよい。

いま,円筒面上に点Qをとり,その近傍の電荷素片は$\sigma R d\theta dz$の電荷を持っている。なお,$\theta$は電荷素片を$x-y$平面に射影した点と$x$軸のなす角度である。この点Qの座標は,$(R \cos \theta , R \sin \theta , z)$である。そこで電場の式は次のようになる。

$ \bm{E}(P) = \dfrac{ \sigma}{4 \pi \varepsilon_0} \int_{-\infty}^{\infty} \int_0^{ 2\pi} \dfrac{(r-R \cos \theta , - R \sin \theta ,  -z)}{(r^2-2 r R \cos \theta + R^2 + z^2 )} R d \theta dz $

ここで,$z$軸方向の対称性からP点での$E_z$は0,$y$軸方向の対称性からP点での$E_y$も0となる。さらに,$x$軸方向の電場は,$\theta = 0 \sim \pi$と$\theta = \pi \sim 2 \pi$で同じ寄与となるので,片方を計算して2倍すれば良い。つまり,$E_x$だけが残っていて,

$E_x(P) = \dfrac{2 \sigma R}{4 \pi \varepsilon_0} \int_{-\infty}^{\infty} \int_0^\pi \dfrac{r -R \cos \theta}{(r^2-2 r R \cos \theta + R^2 + z^2)^{3/2}}$

ここで,$s^2=r^2 - 2 r R \cos \theta + R^2$,$z=s \tan \phi$ として,変数$z$を$\phi$に書き換えると,\begin{equation*} \begin{aligned} E_x(P) &= \dfrac{2 \sigma R}{4 \pi \varepsilon_0} \int_{- \pi / 2}^{ \pi / 2} \int_0^\pi \dfrac{r -R \cos \theta}{s^3  (1 + \tan^2 \phi )^{3/2} } d \theta \dfrac{s d \phi}{\cos^2 \phi}  \\  &=  \dfrac{2 \sigma R}{4 \pi \varepsilon_0} \int_{- \pi / 2}^{ \pi / 2} \int_0^\pi \dfrac{r -R \cos \theta}{s^2} d \theta \cos \phi d \phi  \\ &=  \dfrac{4 \sigma R}{4 \pi \varepsilon_0} \int_0^\pi \dfrac{r -R \cos \theta}{s^2} d \theta  \end{aligned} \end{equation*}

さらに,$\tan \theta/2 = t $とおいて有理関数の積分にする。このとき,$d\theta = \frac{2 dt}{1 + t^2}$,$\cos \theta = \frac{1 - t^2}{1 + t^2}$であるから,

\begin{equation*} \begin{aligned} E_x(P) &= \dfrac{\sigma R}{\pi \varepsilon_0} \int_0^\infty \dfrac{r -R \frac{1-t^2}{1+t^2}}{r^2 - 2 r R \frac{1-t^2}{1+t^2} + R^2 } \dfrac{2 dt}{1+t^2}  \\  &=  \dfrac{\sigma R}{\pi \varepsilon_0} \int_0^\infty \dfrac{r (1 + t^2) -R (1 - t^2)}{(r^2 + R^2)(1 + t^2) -2 r R (1 - t^2) } \dfrac{2 dt}{1 + t^2}  \\ &=  \dfrac{\sigma R}{\pi \varepsilon_0} \dfrac{1}{r} \int_0^\infty \Bigl\{ \dfrac{1}{1+t^2} - \dfrac{R^2 - r^2}{(R-r)^2 + (R+r)^2 t^2} \Bigr\}dt \\ &=   \dfrac{\sigma R}{\pi \varepsilon_0} \dfrac{1}{r}  \Bigl[ \tan^{-1} t  - \tan^{-1} \frac{R+r}{R-r} t \Bigr]_0^\infty  dt\end{aligned} \end{equation*}

したがって,$R>r$の場合は,$ E_x(P) =0$,$R<r$の場合は,$ E_x(P) =\dfrac{\sigma R}{\varepsilon_0 r}= \dfrac{\lambda}{2 \pi \varepsilon_0 r}$となる。$\lambda=2\pi \sigma R$は円筒の線電荷密度である。


図:円筒電荷分布がP点に作る電場

2021年10月9日土曜日

円筒電荷分布の電場(1)

球殻のような 球対称の電荷分布については,電荷分布の外側ではそのすべての電荷が球の中心に集中したとして,クーロンの法則を適用した電場を考えればよい。また,電荷分布の内側では,電場を計算したい点より外側の(原点からより遠い)電荷による寄与はすべて打ち消しあい,その点より内側の(原点により近い)電荷だけを先ほどの方法で考えれば良いことがわかっている。

これは,同じ距離の逆二乗則に従うニュートンの万有引力についても同様であって,入試問題などでもよく扱われるし,大学初年級の力学の教科書でも取り上げられることが多い。ちょっと面倒だが,丁寧に積分すれば導けるし,球殻内の点から見込む立体角の性質を使えば,2つの領域からくる万有引力の打ち消し合いのイメージは直感的に理解できる。

ところで,電磁気学の問題で,無限に伸びた軸対称の円筒状の電荷分布による電場を求めるというものがある。球の場合と同様に電荷分布内部の点での電場は,その点より内側の電荷だけを考慮してガウスの法則を当てはめると,対称性を用いて簡単に電場を計算できる。

その,電場を計算する点より外側の電荷による寄与が無視できるということは,当たり前すぎるのか,対称性からゼロになると簡単に書いてあるだけで,あまり丁寧な説明にお目にかかったことがない。もちろん,積分による証明もそれほど見かけない。


図:軸対称円筒電荷が作る電場

ということで,簡単なイメージ図を書いてみた。無限円筒状電荷分布をz軸に垂直な面で切ったものであり,対称性から電場ベクトルはこの平面内で円の中心を通って電荷素片から外側または内側に向く成分だけが残ることになる。

ここにガウスの法則を当てはめれば,外側のF点では,DとEの電荷素片が作る電場要素が同じ大きさの寄与をして加えあう。また,内側のC点では,AとBの電荷素片が作る電場要素が互いに逆向きの寄与をするため打ち消しあう。

このとき,電場の大きさかける面積要素が左辺,電荷面密度かける面積要素を真空の誘電率で割ったものが右辺となる。例えば,右図の Fd+Feで考えれば,$E_r \cdot r \delta \Delta z = \dfrac{\sigma R \delta \Delta z}{\varepsilon_0} $。なお,$\delta$ は面積要素を見込む微小角度である。これから,$E_r  =  \dfrac{\sigma R}{r \varepsilon_0} = \dfrac{\lambda}{2 \pi \varepsilon_0}\dfrac{1}{r}$となる。ただし,$\lambda = 2 \pi R \sigma $は,電荷線密度である。

2021年10月8日金曜日

後期の授業

後期の非常勤のオンライン授業が一回りして いよいよ忙しい。後期は,同志社大学の物質の科学2×2コマ+量子物理学+物理学Ⅲ+物理課題研究プロジェクト+理科2 1/2コマの合計5.5コマと,前期の物理実験デザインプロジェクト1コマに比べて集中している。なんとバランスの悪いことか。

大阪教育大学では11月10日までオンライン授業であり,その後は対面授業となるのだが,3基あるエスカレータの1号機と2号機の更新工事があるので,階段を登らなければならない。おまけに12月から始まる夜間学部の理科2は天王寺キャンパスの夜間7限の授業(19:40-21:10)なのであった・・・orz


写真:12月末まで更新工事中のエスカレーター(撮影:2021.10.1)


2021年10月7日木曜日

名字マップ

 名字マップというのがあった。

この日本の名字マップは,電話帳や住宅地図の表札名の約4千万件のデータを,都道府県ごとに集計し,地図化したものです。表示方法としては絶対数と特化係数が選べます。また,2画面で異なる名字を地図化したり,絶対数と特化係数の地図を比較したりできます。

特化係数:当該の名字が各都道府県でどの程度特化しているかを示したもので、最大値が100であれば、全国的に均等に分布していることになります。

早速試してみたが,マイナーな名字ではあまり有り難みがないのだった。越桐だと,石川2,東京2,福井1,千葉1,奈良1,兵庫1の計8件である。特化係数は石川と福井で2500程度,ついで奈良の1000ということだった。ちょっとこの係数のイメージが掴めない。


図:2種類の名前の特化係数の比較例(© OpenStreetMap contributors

2021年10月6日水曜日

プリンタ廃インクエラー

 昔は,研究室や家庭用のインクジェットプリンタとしてはCANONを使っていたのだけれど,なんで魔がさしたのか,6,7年前に自宅のインクジェットプリンタをEPSONのEP-805AWに変更した。2012年9月の発売だが,買ったときは若干古いモデルになっていたかもしれない。

この機種の修理対応期限は2018年7月になっている。廃インク吸収パッドがいっぱいになると警告が出て,リセットしなければ再び使えなくなる。EPSONのQ&Aサイトには次のようにある

「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました。」または「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に近付いています。」のエラーが表示された場合の対処方法を教えてください。

 PCまたはプリンター本体に廃インク吸収パッドのエラーが表示された場合は,部品交換が必要です。お客様ご自身での部品交換は,行うことができません。部品交換の作業は,弊社修理センターにて承ります。なお,修理対応期限(補修用性能部品の保有期間)が経過した製品については,修理の受付は行われておりません。お手数ではございますが,製品のお買い換えをご検討ください。

えーっ,阿漕な商売である。6年経てば無理矢理買い替えされられるのだった。早速インターネットを調べてみると,1000円くらいで,廃インクカウンタのリセットツールが販売されていて,化粧用コットンで吸収パッドを代替できるという親切なYouTube動画がたくさん公開されていた。

早速トライしてみた。Amazonでリセットユーティリティを注文したところ,最短5分で届くはずがうんともすんとも返事がないので騙されたかと思ったら,6時間後に無事にメールでマニュアルとソフトのダウンロード先と解除パスワードが送られてきた。マニュアルの説明はWindowsのものであって,Macの場合全く参考にはならなかったが,指示通りに進めてことなきを得た。

問題は,吸収パッドのDIYであり,スギ薬局で高いオーガニックコットン(サイズが一番大きかった)を買ってしまって叱られながら,なんとか無事に作業を終えた。安物ドライバの先端が磁化されていないので,奥深いネジの締め付けが一番の難所だった。

とりあえず,今日のところは動いているので良いことにしよう。ダメなら買い替えるしかないけれど,次に買うならインクタンク式かなあ。最終的に元が取れるかどうかわからないけど。


図:WIC Reset Utilityの最終画面(自動的に指示が出て誘導された結果)


写真:廃インク吸収パッドエラーと廃インクタンク(撮影 2021.10.6)




2021年10月5日火曜日

ノーベル物理学賞2021

 今年のノーベル物理学賞が,Syukuro Manabe(米),Klaus Hasselmann(独),Giorgio Parisi(伊)の3名に決まり,ニュースは予想通り(米国籍でも)日本人の眞鍋淑郎さん(1931-)の話題で集中している。NHKでは,最近心配されている日本の科学技術力の低下と結びつけつつ,それを跳ね飛ばす成果だ的なストーリーを組み立てていた。米国で研究基盤を築いた人が1960年代後半に成し遂げたことを,現在の日本と結ぶのはかなり無理筋だと思うけど。

で,あらためてノーベル賞のページを見てびっくりした。全体が環境問題の話なのかと思っていたら,なんとG. Parisi(1948-)が入っている。いや統計物理学が専門でなくても,Parisi-Wuの確率過程量子化は目にしている(スピングラスのレプリカ対称性の破れの方は知らなかった)。なんだこの組み合わせは,と思ってよく見れば,"for groundbreaking contributions to our understanding of complex systems" となっている。小林・益川・南部のときもちょっと驚いたがその比ではない。

複雑系といえば大気運動に端を発するローレンツアトラクタがカオスの先駆けのように扱われているのでまああながちおかしくないのかもしれない。選考委員会による受賞理由説明は次のような組み立てになっていた。

FOR GROUNDBREAKING CONTRIBUTIONS TO OUR UNDERSTANDING OF COMPLEX PHYSICAL SYSTEMS

I. INTRODUCTION (1.5p)

 A. Instability and nonlinearity underlie multiscale complexity and stochasticity

 B. Stochasticity and Disorder Imply Predictability

II. CLIMATE PHYSICS: BACKGROUND AND HISTORY (0.5p)

III. DEVELOPMENT OF MODEL HIERARCHIES (5.5p)

 A. Energy balance models

 B. Generalized Deterministic Energy Balance Models (EBMs)

 C. The Emergence of Numerical Climate Models

 D. Stochastic Theories

IV. USING OBSERVATIONS TO TEST MODELS (1p)

 A. Fingerprinting

V. THE VASTNESS OF THE LANDSCAPE OF DISORDER (2.5p)

 A. Replicas, Spin Glasses and Frustration.

 B. Solving the Replica Symmetry Breaking Problem

 C. Applications and Implications

VI. SUMMARY

賞金の1/2を占めるParisiについては 2.5p程度の控え目な記述だった。やはり物理学に基づくシミュレーションとはいえ,気象学(地球科学)の人達が物理学賞に入るというのは結構インパクトが 大きいので丁寧な説明が必要だったのだろうか。IPCCについての言及も当然あるが,2013年のものであり,今年示された人為的気候変動の確立ということが大きく影響したわけでもないかもしれないが。


図:真鍋淑郎の気候モデル(ノーベル財団より引用)

2021年10月4日月曜日

ビットレート

 ビットレートとは,データを伝送する際の単位時間あたりの伝送情報量であり,単位としては bps(ビット毎秒 B/s)がよく用いられる。情報科学としての厳密は話はややこしいのでざっくりした話をする。

パソコン通信などのネットワークへのアクセスは,1980年前後に音響カプラーの300bpsから始まって,1200bps,9600bpsとモデムの時代を体験してきた。そのうち64kbpsのISDNが普通の家庭にもやってきたので,早速これによってインターネットのアクセスポイントに繋ぐことになる。アクセスポイントはどこだったのか・・・

それはそれとして,今の関心事はマルチメディアデータのビットレートと品質の関係だった。ビットレート=サンプリング周波数 × 量子化ビット × チャンネルなので,CD-DA(音楽CD)の場合は,41.1kHz × 16 bit × 2 = 1441.2k bpsとなる。

非可逆圧縮の音声MP3では,様々なビットレートに対応している。96kbpsが低品質,192kbpsが中品質,256kbpsが高品質だとのこと。自分の教材は144kbpsなので中品質のあたりか。

YouTubeなど映像の場合は,128-384kbpsがビジネス向けのテレビ会議品質とのことで,自分の教材の288kbpsはその範囲では中位になる。10分で20MBのオーダーのmp4ファイルになっていた。

これが,YouTubeの高品質なコンテンツでは,HDの1080p(1920×1080=200万画素)の60fpsでは,6.8Mbpsということになり,10分で500MBのmp4ファイルが必要になる。音楽の方でもハイレゾということで,96kHz×24bit×2 = 4608kbps = 4.6Mbpsのレベルのコンテンツが要求される時代になっている。


2021年10月3日日曜日

USB-DAC

 オンライン授業の1回目を配信した後で,「ノイズが大き過ぎて聞き取れない,ノイズキャンセリングマイク使ってください」というコメントがあった。昨年は,「声が小さい」というのが何件かあったので,できるだけ iPhone内蔵マイクには口を近づけるようにしていた。

そもそも,オンラインデジタル教材は「遠隔授業のばたばた(2)」にあるように,iPhone のボイスメモ(非可逆圧縮)で収録した音声の m4aファイルと,iPadの GoodNotes5による手書きノートの jpgファイルを,MabBookAirに転送して,ffmpegでマージして mp4ファイルにしたものだった。

音声の収録に,iPhone内蔵マイクを使っていたのを反省して,多少はマシだと思われるEarPodsのマイクを使うことにした。これも3.5mmジャックで MacBook Airに繋ぐか,ライトニングで iPhone SE2に繋ぐか迷ったけれど,とりあえずライトニングの方を選ぶことにして,ffmpegの音声のビットレートを 72kから144kに上げてみた。

#!/bin/sh
for arg in "\$@"; do
 sips -z 880 660 \$arg.jpg
 ffmpeg -loop 1 -i \$arg.jpg -i \$arg.m4a -ab 144k -vb 288k -c:v libx264 -pix_fmt yuv420p -shortest \$arg.mp4
done


これで解決するかどうかよくわからないけれど,いきなり数万円のコンデンサーマイクを買うのもどうかと思うし,ちょっと関心がある AirPods Proにしたところで目的は達成できなさそうだ。これに至る過程でいろいろ調べてみたけれど,音声入力は奥が深くて難しい。

(1) USB接続のノイズキャンセリングヘッドセット(数千円から1万円)を探してみたが,どうもしっくりこない。

(2) アナログ–デジタルの変換やインピーダンスと入力ゲインに鍵がありそうで,USB-DACというものがあることに気づいた。3.5mmジャックをUSB-Cに変換するタイプが1500円からある。これだと思ったが調べてみると EarPodsのマイク入力には対応できそうでない。

(3) ソフトウェアでノイズキャンセルをAI的に処理するものとして,Krispがあったので早速無料版をインストールしてみたが,今ひとつ要領を得なかった。

(4) コンデンサーマイクは1万円からあるけれど,大き過ぎてどうもしっくりこない。iPhoneのライトニング端子に直挿しするzoomのiQ7が対応アプリのHandy Recorderとの組み合わせで良さげであるが,もう少し様子見をする(電波でプチプチ雑音が入るのが難らしい)。

(5) なんだかんだいって,結局 余分なコストゼロで済ませられる EarPods 単体が最も良さそうだなあ。

YouTubeばかり見ていると素晴らしい音質に慣れてしまうのだけれど,これらのYouTuber は数万円から数十万円のマイクやオーディオ環境を整えているので,なかなか簡単には手が届かないということを学生さんは理解してくれるだろうか。

あるいは自分の方がどこかで間違っているのかもしれない。なにせ,高齢者なので高音域の感度が全く悪くなっており,変なノイズもそもそも自分では聞き取れていない可能性も高い。聞こえチェックで,60代の10,000Hzがクリアできないのだから。


写真:zoomのiQ7(Amazonより引用


2021年10月2日土曜日

iPhone

 携帯電話からの続き

まだMacWorldExpoがあったころ,2007年の1月9日にスティーブ・ジョブズが iPhone を発表した。これですけどね。ほとんど感動ものでした。

さて,当時の54歳の自分はこのころ何をしていたのだろう。インターネット狂想曲がおさまって5年たち,子供達も大きくなって写真もほとんど残っていない時期だ。研究室の分属学生も少なかった。過去の手帳をみてもほどんど白紙(手帳を失くして買い替えた年だろうか)。

日本では,孫正義のおかげでソフトバンクでiPhoneが買えるようになったのが,2007年6月の米国の発売から約1年後の2008年の7月11日であり,そのちょうど1ヶ月後の2008年8月11日に天理市役所近くのソフトバンクショップで購入したのが,iPhone3Gだ。

それまで使っていた携帯電話と最も違っていてよかったのが,GPS機能のついた地図だった。また,さまざまなセンサーを駆使して視覚・聴覚・触覚に訴えるアプリケーションが次々と登場するのも珍しくて,卒業生との飲み会で散々自慢したのだった。通勤時にはずっと手に持ったままだったので,平端駅で電車から降りるときに足を踏み外したくらいだ。

翌2009年にはiPhone3GSが発売され,ハードウェア機能が大幅に強化されたため,早速機種更新に走った。これでようやく実用的にも使えるマシンとなったような気がする。院生の市川君と「携帯情報端末の加速度センサーによる実感をともなった運動の理解」を書いたのもこのころだ。今では,誰もが当たり前のようにこれを使える環境が整っている。ただ,GIGAスクールの時代であっても,必ずしも体系的かつ全面的にこうした授業プランが展開されているわけではない。

2年後の2011年のiPhone4Sからはホワイトモデルを買うようになった。ここに至ってようやくiPhoneフィーバーがおさまってきたと同時に,電車で周りを見回すとみんなiPhoneを持っているという時代がやってきたのだった。そして,2015年末か年明けにiPhone6Sを買ってしばらくしたころには,必要な機能がほぼ充足されると同時に革新的な新機能の登場も少なくなり,自分の中のiPhone熱も冷めてしまった。新機種に対応しようという気分がなくなったのである。もう歳なのであった。

2020年にiPhone SE2に更新した話は既に書いている。あと何種類の端末と出会うことになるのだろうか。


写真:この頃が一番よかったのか?iPhone 4S(Wikipediaより引用)

2021年10月1日金曜日

携帯電話

 2008年8月11日に最初のiPhoneを手に入れるまでは,普通の携帯電話を使っていた。どの機種だったか既に記憶が薄らぎ始めているので,記録しておこうとしたが,必要な情報に辿り着くのがなかなか至難の技だった。

ケータイを買おうと決めたのは,i-Modeが始まったのがきっかけだった。これでi-Modeの教育コンテンツサイトを作れるならば価値があると思った。仕事帰りに,自転車で24号線沿いのドコモショップまで走ってパナソニックのP502iを入手した。ところがなぜかP502iの情報があまり見つからないのだ。

たぶん,2000年の3月ごろから関西で先行販売されていたようだが,しばらくたった2000年から2001年にかけての冬に購入したのではなかったか。モノクロディスプレイで,幅43mm×奥行き130mm×高さ16mm,重量は約69gのコンパクトなストレートタイプ。本体色はプレシャスブルー(紺色)を選んだ。


写真:P502i HYPER プレシャスブルー(インプレス ケータイWatchから引用)

2000年代の前半は,次々と新しい携帯が登場する新製品ラッシュの時期だった。カメラが搭載されディスプレイがカラー化されて,画面のタッチセンサーを除いて,今のスマートフォンのベースが出来上がった。

NTTドコモ向け端末では,NECのNシリーズがよくなってきたのでこれに乗り換えることになる。2年後の2002年11月に,N504iSが登場した。当時主流の折りたたみ式になり,31万画素のCMOSカメラが搭載され,2.5インチ163×216ドットのTFTカラー液晶画面になった。丸くてぽっちゃりしたボディだった。


写真:の1インチサブディスプレイ面(Wikipediaより引用)

これは,当時のほぼ必要な機能を備えていたので長く使った。次に機種変更したのは,5年後の2007年11月に発表されたN905iμである。薄型化を図るためにN905iよりは若干機能が絞られていたが,デザイン性からこれに決めた。残念ながらiPhoneが2008年夏に始まったので,これは娘に譲ることになった(のではなかったか・・・)。


写真:N905iμの全体像(インプレス ケータイWatchから引用)