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2025年1月25日土曜日

失われた30年

1月18日,NHKスペシャルの「岐路に立つ東京大学 ~日本発イノベーションへの挑戦~」が放映された。おもしろかったが,ほとんど松尾研の宣伝番組だった。良いのか悪いのか。結局,東大というのはどうでもよくて,「イノベーション」がキーワードであり,その前提は「失われた30年」なのだ。

これで思い出すのが,数年前に某誌の巻頭に「失われた20年」という言葉を使ったことだ。査読していた大御所からクレームがついて,この表現と文脈は残念ながらお蔵入りになってしまった。40年前だったら言論弾圧だと暴れていたところだが,もう喧嘩する元気もなかった。過去ログを探してみたが,自分が書こうとしたテキストは見つからなかった。

しかたがないので,ChatGPTに明るい未来を聞いてみることにした。まあ,NHKスペシャルとか大阪・関西万博程度の浅い答えしか返ってこなかった。そもそもAIとはそんなものですからね。

Q(koshix):
失われた30年という言葉をよく聞きます。これはどんな社会事象を差していますか。なるべく具体的に説明してください。またその社会的な事象が生じた根本的な原因はなんですか。それらの事象は今後はどのように変化していくことが予想されますか。

A(ChatGPT 4o):
(略)


Q(koshix):
今の説明は表面的でよく耳にするものですが,本質的な問題点がはっきりしないように思います。アッと驚くような切り口で分析してもらえませんか。また,その解決の手段としてもユニークな視点を提供してください。

A(ChatGPT 4o):
確かに、これまでの「失われた30年」の議論は、既存の分析枠組みに基づくものが多く、新しい切り口が不足しているようにも思えます。以下では、「人間の価値観・文化的要因」「国の構造的なパラダイムの硬直性」という視点を軸に、より深い本質的な問題点を考察し、その解決策として斬新なアイデアを提示します。

(以下項目のみ)
本質的な問題点:価値観の「未来不在」と文化の硬直性 (略)
1.「未来のビジョン」の欠如 (略)
2.文化的な硬直性 (略)
3.心理的な「豊かさ」の欠如 (略)

解決の手段:ユニークな視点で未来を切り拓く (略)
1.「希望経済」モデルの創出 (略)
2.文化の「失敗許容」への転換 (略)
3.地域分散型社会の推進 (略)
4.「幸せの再定義」キャンペーン (略)

結論:日本の未来への再挑戦
「失われた30年」の本質的な問題は、経済的要因だけでなく、社会全体の価値観の硬直性や文化的な課題に深く根ざしています。解決のカギは、「挑戦」「多様性」「精神的な豊かさ」を軸にした社会の再設計です。(以下略)


Q(koshix):
なにか,ワクワクするような未来の具体的なビジョンや,誰でもいつでもどこでも今すぐ取り掛かることができる変革の種子はどこかに落ちていませんでしょうか。AIを使っても構いません。

A(ChatGPT 4o):
素晴らしいご質問です!「失われた30年」を克服し、ワクワクする未来を描くためには、現実的でありながら夢を抱かせるビジョンが必要です。また、個人が今すぐ始められる具体的なアクションがあることで、そのビジョンは現実に近づきます。以下では、未来のビジョンと即時に取り組めるアプローチを提案します。

ワクワクする未来の具体的なビジョン

1.人生100年時代の「再教育・再創造プラットフォーム」
・ビジョン:AIとオンライン技術を駆使し、誰もが「新しい自分」を創造できる学びと挑戦の場を提供。50歳を過ぎてから宇宙エンジニア、70歳で起業家、80歳でアーティストになることも現実化。
・実現方法:
 (1) AIが個人の興味・強みを分析し、最適な学習カリキュラムを提供。
 (2) デジタル通貨やマイクロファイナンスを活用し、学び直しを支援。
 (3) 年齢や地域を超えてつながる「学びのマッチングサービス」を構築。

2.分散型エネルギーコミュニティ
・ビジョン:各家庭や地域で再生可能エネルギーを生成・共有する「エネルギーの地産地消」社会。AIが効率的にエネルギー配分を最適化。
・実現方法:
 (1) 家庭用の小型ソーラーパネルや風力発電キットを標準化。
 (2) ブロックチェーン技術を用いた「エネルギー取引プラットフォーム」を構築。
 (3)コミュニティで共有する「エネルギーバンク」を設置し、余剰電力を貯蓄。

3.街全体がクリエイティブになる「未来の公共空間」
・ビジョン:公園や図書館、駅などの公共空間が、AIによる個人化された体験や学びの場に変わる。散歩中にAIが気になる情報を教えてくれる「未来散歩」、駅での即席アート作りワークショップなど。
実現方法:
AIチャットボットやARデバイスを公共空間に設置。
公共施設と個人のスマートデバイスが連携して学びや体験を提供。
デジタルツイン技術で、街全体をバーチャルに再現して学びや交流を広げる。

今すぐ誰でも取り組める「変革の種子」

以下は、特別なスキルや資金を必要とせず、誰でもどこでも始められる行動です。

1. AIを活用した「パーソナルプロジェクト」
・アイデア:無料または低コストで使えるAIツール(ChatGPTやStable Diffusionなど)を使って、趣味や学びを新たなレベルに引き上げる。
・例:
 (1) 創作活動: AIで詩や小説を書いてみる。絵画のプロンプトを作り、ビジュアル化する。
 (2) 学びの加速: 興味ある分野についてAIに質問を投げかけ、即座に知識を深める。
 (3) 小さな起業: AIを活用したブログやオンラインショップを立ち上げる。

2.コミュニティでの「小さな挑戦」
・アイデア:地域の人々と協力して、小さな変化を生み出す活動を始める。
・例:
 (1) リペアカフェ: 地域の人々が壊れたものを持ち寄り、修理を楽しむイベントを開催。
 (2) 共有スペースの活用: 公共施設や空きスペースで読書会やスキル交換会を企画。
 (3) ミニソーラー発電実験: 住民で協力して小型発電システムを設置し、運用する試みを始める。

3.「未来日記」をつける
アイデア:5年後、10年後の自分が成し遂げたいことを「実現した未来」として記録する。
方法:
 (1) AIを使い、「未来の生活シナリオ」を生成。
 (2) 具体的な行動目標を逆算し、毎日一歩進む。
 (3) 達成したら記録を共有して、次の目標に進む。

4.小さな「学びと共有」の始まり
アイデア:自分の知識やスキルを身近な人と共有しながら、自分も学び続ける。
例:
 (1) 家族や友人に、学んだ知識や面白い話題を共有する。
 (2) 地域やオンラインでミニ講座を開催。
 (3) 日々の疑問をAIや検索で解決し、知識を増やす。

最後に:変革は小さな行動から始まる
大きな社会変革は、個人の小さな行動の積み重ねから始まります。ワクワクする未来は、すでに私たちの手の中にある技術やアイデアを使うことで現実化できます。例えば、AIを使って新しい趣味を始めたり、地域の人々と一緒に小さなプロジェクトに取り組むことは、変革の第一歩です。
未来を楽しむためには、自分から動き出す勇気と好奇心が大切です。小さな種が大きな木を育てるように、今日始めた一歩が、明日の新しい社会を創るのです!



図:「日本における失われた30年」および,それから脱却する「変革は小さな
     行動から始まる」を適確に表現するイメージを下さい。(DALL-E3による)

P. S. これはいったい何時代のイメージなのかと思う。二河白道ということか。

2023年6月30日金曜日

ヒトは衰退するのか

6月26日の日経朝刊1面トップの記事のタイトルが「ヒトは衰退するのか」だった。テクノ新世 岐路に立つ人類という特集記事の初回なのだ。来月から購読料が値上げされる日経の気分はほとんどSFになっている。他の全国紙ではなかなか考えにくい取り扱いかもしれない。

一つはAIによって,人間の仕事(欧米の場合)の4分の1が自動化されるという話である。これは,ゴールドマン・サックスの2023年3-4月のレポートに基づいているのだけれど,彼らは"Generative AI could raise global GDP by 7%"というタイトルをつけていて,受け取り方や強調の仕方が違う。

もう一つが,地球上の人工物の総重量が生物のそれを越えたというものである。これはワイツマン科学研究所の2020年のnature論文からきているので,早速調べてみたところ原論文が見つかった。なんとなく機械やプラスチックの総量が生き物を越えたのかというイメージだったけれど,そういうわけでもない。


図:地球上の人工物の総重量と生物の総重量(Elhacham et. al. より引用)

上の図が日経朝刊で引用されたものだが,バイオマスの値は乾燥重量であった,人工物は,コンクリート,骨材,レンガ,アスファルトがほとんどを占め,これに金属とプラスティックが続く。下の図では,水を含んだバイオマスの重量の値も示されている,これならば,2037年くらいになる。また,廃棄物がグレーで示されている。こちらもかなりの値になる。

人為的な気候変動説については必ずしも十分には信用できなかったが,これを見ると考えが変わるかもしれない。

2022年12月12日月曜日

未来をあきらめない(2)

未来をあきらめない(1)からの続き

USB メモリ / SD カードイメージ書き込みツールのデファクト・スタンダードとなっている Win32 Disk Imagerというソフトの改良版登大遊さんが公開して,しばらく前に話題になった。

自分では使ったことはないが,Raspberry Pi のOSを入れてインストールするときに使うものだ。ご本人は少し改良と謙遜しているが,Google Drive との相性問題を解決し,10MBの 1 EXE+19 DLLファイルを 200kBの1 EXE ファイル1本にまとめ,デジタル署名をつけることで警告画面を無くし,x86版に加えてネイティブで x64, ARM64 版を付け加えたものだ。

話題の焦点は,そこではなくて異例の長文アジテーションとなっている添付のドキュメント Readme.md の方にある。日本の企業やICT技術者の抱える本質的な問題を大きくえぐっている。
最近の企業におけるサイバーセキュリティ問題の多発の原因は、上記のとおり、企業のシステム管理者が、様々な試行錯誤を行なうことをせず、または組織的にそのような正当な試行錯誤行為が禁止され、よって自らの判断を信頼することができない程度に、システム管理業務に必要な専門知識が欠けた状態が、組織的に、また日本全体的に、10 年間程度、誤って維持されてしまったことに起因するのである。なお、先輩玄人システム管理者たちは、10 年以上前にそういった知識を身に付けているから、何ら不自由はない。しかし、後輩の素人システム管理者たちにその秘技を伝授するためには、企業内において、物理的なサーバーやワークステーション、ネットワーク機器、ディスク等を用いて試行錯誤を行なう仕事の場が必要となる。ところが、最近の企業内においては、外注主義や、過度・無意味・または長期的にみると逆にトータルコストが上がってしまうようなクラウド移行などが、一時的に誤って蔓延している状態となっている。このことが、企業のシステム管理部門において最低限必要な IT スキルの維持が困難となった直接的原因である。
また,企業の外注主義を批判し,企業内のおしきせのセキュリティ基本規程に縛られて自分自身の頭による判断ができない素人システム管理者を蔓延させていることへの警鐘を鳴らしている。日本の失われた30年の一つのの典型的な病症である。

これはデジタル庁をつくって旗を振ってもまったくなんともならない大きな問題だ。登さんはその解決のための処方をいろいろな場所で説いている。


2022年11月28日月曜日

世界はSFになる?

10年後,世界はSFになると思う」というAIのレビューをみつけた。著者は@bioshok3さん。

その結論は,ほぼ確実に訪れるであろう未来は一般化知能レベルのAIが2020年代後半から今後社会のあらゆる領域を変えていくであろうこと,である。丁度 1990年後半からのインターネット革命がイノベーションをもたらしたように,30年経って新しい波がきたということらしい。

最近の風潮は,何でもかんでもAIというキャッチコピーでまぶして,利権に結びつけるというものであり,話題も玉石混交でみんな辟易している。知に足のついた[1]丁寧な分析や考察が必要とされている。この論説では,予測集計サイト metaculcus や,合理的推論と意志決定のコミュニティ LessWrong なども参照しながら,未来予測をしている。

少し詳しく見ると,つぎのようにまとめている。
① ANI(狭いAI)~2025年まで
② GI   (一般化知能) 指示待ち人間または猫レベルの知能 2026-2030年頃実現
③ AGI(汎用人工知能) 2035-2040年頃実現
④ ASI (超知能) 2038~2045年頃実現

今,GPT-3などの大規模言語モデルから派生している,テキスト指示からの画像生成AI(text2img),img2img(画像の編集),text2music(音楽生成),text2motion(人間の動き),text2 3D(3次元物体生成),text 2video(映像生成),text2code,text2text(自然言語処理AI)などは,①の範疇のできごとだ。

著者は,そこそこな汎用性と実用性は持つが能動性や好奇心は本質的に持たないようなAIを一般化知能と呼んでいる。問題は,能動性や好奇心を獲得した汎用人工知能の段階がいつくるかということなのだが,そこに至れば超知能まではあっという間だという予想だ。

[1]誤変換だったのが,これはこれでありかと思ったところ,既出のフレーズだった

2022年9月10日土曜日

未来人災ビジョン

デジタル社会の実現に向けた重点計画からの続き

経済産業省が今年5月にまとめたのが,未来人材ビジョンだ。ブログのタイトルは,指が勝手に人災に変換してしまったものだけれど,訂正するに忍びない。

このレポートは「DXと脱炭素」の両キーワードを前提に,AIの浸透による労働市場の両極化が進み,外国人労働者にも選ばれない国になっているという認識に立っている。そこで企業ができることは何かという問題設定をしながら,企業ができることというより,社会システム特に教育システムをぶっ壊せというNHK党的なメッセージを送るものだった。

日本の経済が凋落化をはじめたのは1990年代,経済産業省(METI)がまだ通商産業省(MITI)を名乗っていた時代からだ。経済再生政策の決定打に欠ける経済官僚たちは,100校プロジェクトを嚆矢として,硬直的な日本の教育システムに手を突っ込みたくてうずうずしていた。その気持ちはよくわかる。

この未来人材ビジョンでも,あいかわらず企業がまっとうな人材育成システムや多様性を持つ雇用システムを持たないことをこれでもかとデータで示しつつ,その課題を日本の教育システムに責任転嫁しようとしている。いや,世襲が続く日本の社会システムの硬直性が問題であるのはそのとおりなので,だから新自由主義右翼利権移転集団の日本維新の会がこれだけの隆盛を保っていられるわけだ。

その社会の硬直性に穴をあけて,一瞬光が差し込んだのが,20世紀から21世紀にかけてのインターネット革命だった。しかし,社会的な同調圧力が強すぎる日本では,これが逆に作用した。フロムの自由からの逃走というキーワードを情報選択困難症候群と組み合わせて使いたくなる。参議院選挙の結果も推して知るべしだった。

2020年10月30日金曜日

幻想の未来

手元にある筒井康隆の「幻想の未来 」(角川文庫)は1971年の文庫初版だった(山下洋輔の解説だ)。それまでは,ハヤカワ・SF・シリーズ(1957-1974)等に閉じ込められていた日本のSFが,大手出版社の文庫本を通じて拡散していく過程の嚆矢となったもののうちの一冊だ。その後「アフリカの爆弾」や「にぎやかな未来」と続いていった。「幻想の未来」が寺町大通りに出たところの藤沢書店に並んだのを見つけたときは,欣喜雀躍で早速購入したのを憶えている。

「幻想の未来」は筒井康隆の若書き(1968年)の中編だ。Ⅰ 前意識期−後期,Ⅱ 分意識期−前期,Ⅲ 分意識期−中期,Ⅳ 分意識期−後期,Ⅴ 汎意識期−前期,Ⅵ 汎意識期−後期,Ⅶ 静生代−合意期,というサブタイトルに比べて,中身はとっ散らかっている。それでもこの当時は楽しく読んだし,未来を夢見ることができた。

2020 大阪市廃止特別区設置住民投票(11月1日)・アメリカ大統領選挙(11月3日)
2021 名古屋市長選挙(4月23日)・衆議院議員総選挙(10月21日までに)
   東京オリンピック(7月23日〜8月8日)・東京パラリンピック(8月24日〜9月5日)
  (大阪市廃止を勲章として橋下が国政に乗り出し,竹中平蔵や高橋洋一と日本会議を
   組み込んだ,維新・菅自民連立政権が成立するのが最悪のシナリオか。その過程
   で国内の言論や表現の自由度は一層低下して,反知性主義とヘイトと分断が日常化。
   トランプ再選が組み合わされ日本の憲法改正・核武装や中国との武力衝突も視野に)
2022 第26回参議院議員通常選挙(7月22日)
2023 大阪府知事選挙・大阪市長選挙・大阪府議会議員選挙(4月7日)・堺市長選挙(6月9日)
2024 愛知県知事選挙(2月3日)・東京都知事選挙(7月5日)・アメリカ大統領選挙(11月)
2025 特別区設置(1月1日)・第27回参議院議員通常選挙(7月28日)