11月4日13:00から70分,大神神社三輪山会館の能楽堂(349席)で人形浄瑠璃文楽の奉納舞台が催された。大神神社の大鳥居のそばの駐車場から10分ほどでJR万葉まほろば線(じつは桜井線)の三輪駅があって,線路をはさんで北隣が三輪山会館だ。予約だけでほぼ満員になっていて,我々は255番と256番。
人形浄瑠璃文楽の時代物三大狂言の次にくる演目に近松半二ら合作の妹背山婦女庭訓がある。国立文楽劇場で何度か通しで観ている。その舞台のひとつがこの大神神社(三輪明神)がある三輪の里だ。桐竹勘十郎の挨拶によれば,妹背山婦女庭訓の上演前には,大神神社にお参りするのが恒例になっている。今回は,出演者の竹本織太夫と鶴澤清志郎と神社関係者のご縁で人形浄瑠璃奉納舞台が催されることになった。
前半が,織太夫と清志郎による妹背山の四段目杉酒屋の段の素浄瑠璃,後半が,桐竹勘十郎による道行恋苧環(求女と橘姫は省略)だ。能舞台で距離も近いので三味線の音がよく響く。前半はいつものように半分ウトウトしていたが,後半は三人遣いの特に左遣いや足遣いの黒子達の動きがよく見えて面白かった。ただ,前半の口上の東西声がちょっと激しすぎて・・・。
途中に,大神神社の禰宜の方による,神社の由来の話が面白かった。もう少しゆっくり聞きたかったものだ。大神神社の祭神は大物主神であり,出雲の大国主神の関係者ということである。この地は出雲と結びついていた。最近は箸墓は卑弥呼の墓でないと思うようになったが,そうなると,卑弥呼のいた九州,あるいは神武東征のルーツの高千穂,そして素戔嗚尊起源の出雲がどうやって大和につながっていくのかが知りたい。
奉納公演終了後,大神神社(狭井神社?)の宮水(生水)をいただいて帰路についた。
写真:三輪山会館の能舞台(2025.11.4 撮影)
記事の要約:大神神社に旧「南地大和屋」能楽堂を移設(日本経済新聞 2020.3.19)
奈良県桜井市、日本最古の神社とされる大神(おおみわ)神社の三輪山会館内に、2019年11月、能楽堂が誕生しました。これは、かつて大阪ミナミの料亭「南地大和屋」にあった本格的な能舞台を移設したものです。
舞台の鏡板の松の絵は、日本画の大家、前田青邨が手掛けた逸品。南地大和屋の女将が上方芸能の拠点として1965年に設置した能楽堂は、床下に反響用の壺を備えるなど本格的で、司馬遼太郎も称賛しました。
能楽発祥の地とも縁深い奈良へという運びとなり、近畿日本鉄道会長の口利きで大神神社への奉納が決定。大神神社は本殿を持たず三輪山をご神体とする古い祭祀の形を守り、「風姿花伝」にも由緒が結びつけられるなど能楽と深いゆかりがあります。
能舞台の松は「神が降り立つ依り代」とされ、この格式ある能楽堂が、最古の神社である大神神社に移設されたことは「良縁」として静かな注目を集めています。今後は、大神祭の後宴能などで活用される予定です。(299字)

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