芥川龍之介が「蜘蛛の糸」を発表して百年。高二の秋の文化祭,クラスの仮装行列のテーマが 蜘蛛の糸だった。お釈迦様の極楽タワーの竹を近所から切り出し,地獄の焔と煙の絵を描いた。犍陀多に続いて蜘蛛の糸(登山部の赤いザイル)に群がる地獄の亡者だったころ。
2024年11月12日火曜日
八犬伝
2024年9月6日金曜日
カモになるな
2024年8月31日土曜日
映画はアリスから始まった
2024年6月16日日曜日
アメリカン・ニューシネマ
◎1.俺たちに明日はない (1967) アーサー・ペン◎2.卒業 (1967) マイク・ニコルズ:サウンド・オブ・サイレンス3.暴力脱獄 (1967) スチュアート・ローゼンバーグ◎4.イージー・ライダー (1969) デニス・ホッパー:ワイルドで行こう○5.真夜中のカーボーイ (1969) ジョン・シュレシンジャー:うわさの男6.ワイルドバンチ (1969) サム・ペキンパー◎7.明日に向って撃て!(1969) ジョージ・ロイ・ヒル:雨にぬれても△8.M★A★S★H マッシュ (1970) ロバート・アルトマン○9.小さな巨人 (1970) アーサー・ペン◎10.いちご白書 (1970) スチュアート・ハグマン:サークル・ゲーム11.ソルジャー・ブルー (1970) ラルフ・ネルソン○12.…YOU...(1970) リチャード・ラッシュ13.ファイブ・イージー・ピーセス (1970) ボブ・ラフェルソン△14.キャッチ=22 (1970) マイク・ニコルズ15.フレンチ・コネクション (1971) ウィリアム・フリードキン16.バニシング・ポイント (1971) ジョン・ブアマン17.ダーティ・ハリー (1971) ドン・シーゲル○18.時計じかけのオレンジ (1971) スタンリー・キューブリック◎19.愛の狩人 (1971) マイク・ニコルズ△20.スローターハウス5 (1972) ジョージ・ロイ・ヒル21.スケアクロウ (1973) ジェリー・シャッツバーグ22.カンバセーション…盗聴 (1974) フランシス・フォード・コッポラ23.チャイナタウン (1974) ロマン・ポランスキー24.続・激突/カージャック (1974) スティーヴン・スピルバーグ25.カッコーの巣の上で (1975) ミロス・フォアマン26.狼たちの午後 (1975) シドニー・ルメット27.タクシードライバー (1976) マーティン・スコセッシ28.ネットワーク (1976) シドニー・ルメット29.ディア・ハンター (1978) マイケル・チミノ△30.地獄の黙示録 (1979) フランシス・フォード・コッポラ
2024年6月15日土曜日
ルート66
2024年5月5日日曜日
オッペンハイマー
2024年4月26日金曜日
ゴジラ-1.0
2023年11月28日火曜日
妖星ゴラス
2023年5月5日金曜日
RRR
2022年11月2日水曜日
戦争と人間(2)
2022年11月1日火曜日
戦争と人間(1)
2022年10月28日金曜日
キュリー夫人
2022年7月3日日曜日
⊃ ∪ ∩ ⊂
連日の熱暑で,干からびかけた奈良公園の鹿がラクダにみえる今日この頃。
WOWOWでデューン砂の惑星の特集をやっていた。原作はフランク・ハーバート(1920-1986)の1965年の作品だ。フランク・ハーバートといえば21世紀潜水艦だったので,ハヤカワ文庫で最初に出版された1973年ごろはまったく関心がなかった。手元にある古書は1982年発行の12刷だったので,たぶん1980年代の中ごろに購入している。読後感は最高で,マイベスト20には確実に入る一冊だ。
特集では,1984年のデヴィッド・リンチ(1946-)監督の「デューン/砂の惑星」,2013年のドキュメンタリー「ホドロフスキーのDUNE」,2021年のドゥニ・ヴィルヌーヴ(1967-)監督の「DUNE/デューン 砂の惑星」が放映された。デヴィッド・リンチ版は日曜洋画劇場でみており,ななかな良かったという印象的がある。このころにハヤカワ文庫版を買ったのかもしれない。
アカデミー賞6部門を受賞した2021年版(2部作の前半だった)は,たしかに美しいのだけれど,デヴィッド・リンチ版の怪しいおどろおどろしさがなく,完全除菌されたような印象だ。キャストも1984年版のほうがよかった。もちろん,1984年版のSFXなど今からみればとても残念な状態ではあった。
WOWOWの特集の中で一番よかったのは,チリに生まれたロシア系ユダヤ人アレハンドロ・ホドロフスキー(1929-)のDUNEだった。1975年にDUNEの制作に着手し,最高のスタッフと出演者を集めながら,
メカデザインにSF画家のクリス・フォス,クリーチャーとキャラクターのデザインと絵コンテにバンド・デシネのカリスマ作家メビウス,特撮担当にダン・オバノン,悪役ハルコンネン男爵の城のデザインにH・R・ギーガーを起用。キャストもハルコンネン役にオーソン・ウェルズ,皇帝役にはサルバドール・ダリ,他にもミック・ジャガーやデビッド・キャラダインなどがキャスティングされた。また,音楽をピンク・フロイドやマグマが製作するなど,各界から一流のメンバーが集められた(Wikipedia から引用)。
1年余りで挫折してしまう。その理由は,ホドロフスキーのシュールレアリスムの芸術性がハリウッドに恐怖心を抱かせたということらしい。プロモーション用の分厚い絵コンテ・デザイン集が若干部印刷されて関係者に配布されていた。古本で出てないか探してみたところ,クリスティーのオークションで,3億ドルの値段がついたらしい。チーン。
ホドロフスキーのDUNEは未完に終ったが,そのスタッフやイメージは,その後のSF映画に多大な影響を及ぼしている。まさに,ホドロフスキーのDUNEで改変された,主人公が死んでもその意識が普遍的に実在化するというストーリーをなぞったものになっていた。
2022年6月8日水曜日
科学映像館
1960年代を中心として,日本では数多くの良質の科学映画が制作された。それらをデジタル化して保存・公開することを目的としたのが「NPO法人科学映像館を支える会」であり,科学映像館のサイトや,YouTubeチャンネルで700本以上の科学映画が配信されている。
本部は,埼玉県にあり,埼玉県の歯科医師協会が協力していることもあって,撤去冠の寄付を受け付けている。ジャンルとしては,幅広いものであり,教育,自然,動物,植物,生命科学,消化器・循環器・呼吸器系,骨,皮膚,医学・医療,食品科学,工業・産業,農業・漁業・暮らし,社会,芸術・祭り・神事・体育となっている。
科学映画といえば,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運用しているサイエンスポータルの中のサイエンスチャンネルも科学映画や短い動画クリップを扱っている。YouTubeのチャンネルには,1700本くらいのコンテンツがある。
2000年度の卒業論文で,「物理教育動画データベースの構築」というタイトルで物理実験のビデオクリップのウェブサイトを作ってもらった。当時は類似のデジタルコンテンツはごく限られていた。ユーザ側の負荷を考えて,かなり品質を落とした動画をアップロードしていた。その後YouTubeが2005年にスタートし,20年後の今は,質はともかく大量のコンテンツがあふれている。それが子供たちの学びにつながるかどうかはまた別の話となる。
[1]科学映画の一考察(中谷宇吉郎)
[2]科学映像を守る 記録映画の保存と活用(久米川正好)
2022年2月28日月曜日
オデッサ
ウクライナからの続き
黒海沿岸の港湾都市オデッサは ,人口100万人のウクライナの第三の都市。ちなみに首都キエフは人口300万人弱なので,大阪と同じ規模だ。北130kmのところにチェルノブイリ原子力発電所があり,事故を起こしたチェルノブイリ4号炉への観光ツアーもあるらしい。
そのオデッサが出てくるのが,セルゲイ・エイゼンシュテイン(1898-1948)の映画「戦艦ポチョムキン(1925)」だ。大学に入って,休日には映画を見ることが多かったが,岩波新書の「映画の理論(岩崎昶)」などを読んでいると,モンタージュ理論を確立したエイゼンシュテインは必見ということだ。それで,戦艦ポチョムキンを見に行くことに。
1905年のポチョムキン号における水兵の反乱は歴史的な事件である。オデッサの階段での虐殺シーンは史実ではないらしいが,印象的だったし,全体のモノクロームのロシア革命前夜的なイメージはよかった。後に,1917年のロシア革命がテーマであり,「俺達に明日はない」のウォーレン・ベイティが監督主演した「レッズ」を見たけれど,エイゼンシュタインの迫力には及ばなかった。
2021年12月9日木曜日
女系家族
しばらく前に,映画版の女系家族(大映 1963)をみたが,最近テレビ朝日で二夜連続のドラマスペシャルで女系家族(2時間×2)をやっていた。
山崎豊子(1924-2013)の原作で,大阪船場の商店の婿養子の旦那が亡くなった後の遺産相続を巡るややこしい話だ。新しいテレビドラマの方も,宮沢りえと寺島しのぶががんばっていたけれど,何といっても昔の映画は,当時の時代の空気が感じられておもしろい。
番頭役の中村鴈治郎(二代目)のいやらしい目とか,主人公三人姉妹の叔母役の浪花千栄子の雰囲気がたまりませんね。ストーリー展開はほとんど(多分原作通りなのだろう)同じだった。二号さん役は,宮沢りえの方が若尾文子より,途中からの変貌ぶりがきわだっていたかもしれない。
2021年9月6日月曜日
異端の鳥
異端の鳥(2019)がWOWOWで放映されていた。モノクロームのくっきりとして静謐な映像と象徴的なストーリーが印象的だった。セリフは非常に少なくてほとんどが映像で説明されていくのだけれど,登場した言葉は特定の民族の言語ではなくて,インタースラーヴィクという人工言語だとのこと。
「スラヴ諸国における代表者間の意思疎通を円滑にすることや,スラヴ語を知らない人々がスラブ諸国の人々と意思疎通ができるようにすることを目的としており,後者については、教育的な役割も果たしている」ということなので,補助言語として実際に使われているらしい。
最初のうちは,タイトルを「異端の島(しま)」だと認識して見ていたけれど,あらすじを確認している途中でそうでないことに気付いた。鳥飼いによってペンキを塗られた鳥が空に放たれて群れに合流するのだけれど攻撃されてついには死んでしまう。これがこの映画(The Painted Bird)の意味を端的に象徴している。
P. S. この時期の朝の散歩では,白鷺が目立つて集団行動をしているのに気がつく。
2021年8月5日木曜日
パンケーキを毒見する
8/2(月),新たに埼玉県・千葉県・神奈川県・大阪府への緊急事態宣言が発出されるとともに,東京都と沖縄県への宣言が延長された。8/31(火)までだ。一方,同じ期間に北海道・石川県・京都府・兵庫県・福岡県には蔓延防止等重点措置が実施される。さらには,東京オリンピック閉会式で台風9号が接近する8/8(日)には,同じ期限で,福島・茨城・栃木・群馬・静岡・愛知・滋賀・熊本の8県にも蔓延防止等重点措置が追加されるようだ。
それでもオリンピックは続けるのだった。8/24(火)〜9/5(日)のパラリンピックはどうするのか。
そんなわけで,映画館が閉鎖されないうちにということで,朝から新京極三条のMOVIX京都にパンケーキを毒見する(企画制作:河村光庸,監督:内山雄人)を一人で観に行った。30-40人くらいの観客が入り結構にぎわっていた。席は前後も重ならないようにしてほしい。
主戦場と同じように,インタビューの積み重ねが基本となるドキュメンタリーだ。ただ,当事者に近い関係先からはほとんど出演が断られてしまったようで,短期間での制作はたいへんだったと思う。
途中に挿入されるアニメーションや小芝居(博打)やイメージ映像はあまり成功していない(若林良が,印象操作というまったくトンチンカンな見解を披露していたがそうではないだろう)。全体として掘り下げは物足りなかったが,それでもいくつかの新しい知見はあったので,まだ見ていなければ今のうち(下手するとテレビ放映がないかもなので)。
○上西充子の国会中継解説はとてもわかりやすくてよかった。これだけで1本ドキュメンタリー映画を作ってもらいたいくらいであり,メディアリテラシーの演習になる。
○石破茂や村上誠一郎はあたりさわりなかったが,橋本龍太郎の秘書官だった江田憲司が,菅義偉から国会への出馬をサポート・現金付で依頼されたくだりは興味深かった。
○赤旗の編集局にカメラが入り,編集者との話や,小池晃との掛け合いがあったところは,はじめてみる映像でこれは結構貴重なのではないだろうか。
○森功の部分はちょっと消化不良であり,前川喜平の話は安倍絡みで既知のことだった。
今回の映画で最も面白かったのは元朝日新聞の鮫島浩の話だった。彼が新米のときに権力者とは誰かと先輩に聞いて,その答えが,経世会,宏池会,外務省,大蔵省,米国,中国だったというもので,そこには清和会はない。彼らは基本的にずっと主流ではなかったのだ。それが,小泉政権や経世会の解体を経て2度の安倍政権とそれにつながる菅政権として権力を掌握したがために,従来の権力(及びその政策)への仕返しをしているという見立てだ。
たぶん,安倍+菅政権時代の事跡を,マスメディアと政治という背景の元に再編したほうがより面白いものになったと思う。上西充子の部分や辻田真佐憲のコメント,赤旗のくだりや最期の古賀茂明の話はそのまま活かせる。あるいは望月衣塑子の部分をより広く掬い,国谷裕子と菅の話,NHK担当課長更迭の話,などなどネタは尽きることがないだろう。
2021年6月6日日曜日
ゼロの焦点
録画されていた 松本清張のゼロの焦点(犬童一心監督,2009年)をみた。戦後,昭和32年の金沢や能登が舞台になっていて,当時の街の雰囲気がていねいに作られていた。金沢駅の構内アナウンスでは「0番線(七尾線)ホーム」が出ており,昔のホームの雰囲気が彷彿とされた。
雪の降る金沢市内の浅野川沿いの雰囲気,古い町並みと鉄製の広告看板,雪まじりの道のあるきにくさ,市電の4番線で野町や白菊町の工場に向かう様子,金沢弁の使い方など丁寧に描写されている。金沢市長選の婦人候補の陣営で支援者が歌う金沢市民の歌(昭和24年制定)が特に良かった。
ストーリーは,社会派推理作家の松本清張の特徴がはっきりとして,その後のサスペンス劇場の断崖クライマックスの嚆矢となるものだった。広末涼子,中谷美紀,木村多江がくすんだ北陸の冬景色の中に際立った色彩を放っていた。
能登金剛の巌門は小学校4年か5年の修学旅行でも定番のルートになっていたが,旧作のゼロの焦点(野村芳太郎監督,1961年,久我美子−高千穂ひづる−有馬稲子)では,巌門から15km北のヤセの断崖が舞台になっている。今回もそうだったのか。
アマゾンのこのレビューでは,映画の脚本上の違和感がいくつか指摘されており,概ね同感である。なお,金沢市の歌には他に金沢市歌(1923年)と金沢市民憲章の歌(1980年)がある。
2021年5月29日土曜日
アメリカ文化センター(2)
アメリカ文化センター(1)からの続き
アメリカ文化センターの最初の記憶は小学校低学年のころだ。USIS教育映画を上映するというのが,アメリカ文化を普及させる手段としてなっていた。その16mm映画の一つに高高度極超音速実験機X-15を紹介するものがあり,これを見たのがここだったような気がする。あるいはこれは父が借りてきて自宅で見たのだろうか。
X-15は空中母機から発進してロケット推進により高度100kmの宇宙空間まで達してから,滑空によって地上に帰還するというものであり,その後のマーキュリー計画,ジェミニ計画,アポロ計画,スペースシャトル計画と続く米国の宇宙開発の嚆矢をなすものだった。
16mm映画の映写には資格が必要だが,父がこの資格を持っており,アメリカ文化センターから借りてきた16mmの映画を自宅で映写したこともあった。小学校の友達もよんで映写会をするはずだったのが誰も来なかったことがあったような思い出もあるけれど,あれは何だったのか。
1965年公開のフランス映画「頭上の脅威」を見たのも,アメリカ文化センターだったはずだ。小学校6年か中学1年のころだった。センターの館長さん(アメリカ人)か誰かに挨拶させられたような記憶もあるけれど,その後しばらくしてセンターは閉館となるのだった。
[1]占領下米国教育映画についての覚書(中村秀之)