仮名手本忠臣蔵(第一部)からの続き
12月まで有効の映画券をもらったのだけれど,なかなか面白そうな映画がみあたらない。消去法で残ったのが,八犬伝だ。テレビでも宣伝していたのでちょっと観たいと思った。原作は山田風太郎の「八犬傳」であり,なんのことはない自宅の本棚に収まっていた。
原作の八犬傳は,南総里見八犬伝の著者の曲亭馬琴と葛飾北斎の対話が中心となる実の世界と,八犬伝の物語のダイジェストに相当する虚の世界が14章にわたって交互に描かれている。実の世界は,物語の中心部分をなす鶴屋南北との問答を含めてほぼ映画で再現されている。一方,虚の世界はそもそももとの八犬伝が長編なので,映画の時間では全く収まらず,ごく少数のエピソードとSFXだけで最後まで突っ走っていった。
江戸時代に二日がかりで,歌舞伎の東海道四谷怪談が上演されていたという場面があり,これは,仮名手本忠臣蔵の中に,東海道四谷怪談が埋め込まれるという構成になっていた。四谷怪談が忠臣蔵の外伝だということは知っていたけれど,上演方法がこんなことになっているとはビックリだ。
高校時代の教科書に載っていた,芥川龍之介の戯作三昧はまさにこの滝沢馬琴だった。最後に八犬伝の口述筆記を行った滝沢家の嫁の土岐村路のくだりも,馬琴の誇張だったという説があったけれど,どうなのだろうか。路女日記を読んだらわかるのかもしれない。
写真:映画「八犬伝」のポスターを引用
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