芥川龍之介が「蜘蛛の糸」を発表して百年。高二の秋の文化祭,クラスの仮装行列のテーマが 蜘蛛の糸だった。お釈迦様の極楽タワーの竹を近所から切り出し,地獄の焔と煙の絵を描いた。犍陀多に続いて蜘蛛の糸(登山部の赤いザイル)に群がる地獄の亡者だったころ。
2024年11月12日火曜日
八犬伝
2024年10月30日水曜日
安部公房伝:安部ねり
2024年10月13日日曜日
ピュア:小野美由紀
たとえば政治的意思決定の場,社会的に地位の高い職業の多くを占めるのは男性である。性暴力の被害者の大多数を占めるのは女性である。直接的な暴力がなくとも,社会に蔓延る性的対象化はその中で育つ人々の安全を損ない,尊厳を損ない,人生を狭め,また加害を正当化する。賃金格差と貧困,もちろん生殖を巡る問題もある。生殖は国家による管理の対象であり,2023年現在の日本では,明治時代につくられた刑法堕胎罪がいまだに存在し,人工中絶の配偶者同意要件は今も撤廃されないままである。
2024年10月8日火曜日
AIとSF(2)
2024年10月2日水曜日
シュレーディンガーの少女:松崎有理
2024年9月10日火曜日
山手線が転生して加速器になりました。:松崎有理
2024年8月26日月曜日
金星の蟲:酉島伝法
2024年8月24日土曜日
松岡正剛
2024年7月15日月曜日
女帝 小池百合子:石井妙子
彼女がキャスターから政治家に転じ、東京都知事に上り詰めた平成という30年間を、小池氏という人物を通じて描けるのではないか。小池氏という政治家をここまで押し上げたのは、小池氏自身の罪なのか、この時代の私たちの罪なのか? そういう視点でなら本にできるという感じはしていました。
Q(koshix):リベラルな論客だと思われていた斎藤美奈子が2020年に石井妙子の著書「女帝小池百合子」を痛烈に批判にした理由がよくわかりません。なにが彼女をそうさせたのでしょうか。また,逆に石井の著書を絶賛していたリベラル派の男性論客のどこに問題があるのでしょうか。小池百合子をどう捉えればよいのでしょうか。A(Perplexity PRO):プロサーチ・リベラルな論客だと思われていた斎藤美奈子の背景を調べる・石井妙子の著書「女帝小池百合子」の内容を調べる・斎藤美奈子が石井妙子の著書を批判した理由を調べる・石井妙子の著書を絶賛していたリベラル派の男性論客の見解を調べる(回答は略)Q(koshix):政策や実績をみても,小池のやってきたことに問題が多いというのは,石井の著書をみるまでもなく,多くの事実が蓄積され,それを我々は目にしていると思います。小池は,カタカナ語を多用し,キャッチフレーズ政治にかまけ,マスコミを誘導し,広報戦略に長けているというのは,ネット上の様々な人物の証言をつなぎあわせてもでてきます。彼女の政策的キャッチフレーズの核をなす,情報公開についても,実際に東京都が行っていることは,その真逆であり,情報を隠蔽しながら,非民主的独断的な振舞いをしているのはあきらかではないでしょうか。あるいは,小池に踏みつけられ,欺かれた多くの市井の人々の声をきけば,どうしても小池を単にフェミニズムの観点だけから擁護する立場が理解できないのです。A(Perplexity PRO):プロサーチ・小池百合子の政策や実績について問題点を検索する・小池百合子のコミュニケーション手法について情報を検索する・小池百合子の情報公開や透明性に関する問題点を検索する・小池百合子に対する一般市民の声を検索する(回答は略)Q(koshix):それらを踏まえて,斎藤美奈子の主張がなぜ発生しているかを分析してください。A(Perplexity PRO):プロサーチ・斎藤美奈子の主張の背景を理解する・斎藤美奈子の小池百合子に対する批判の内容を分析する・齋藤の批判と小池の政策・実績との関連性を明らかにする回答斎藤美奈子の主張が生まれた背景には、以下のような要因があると分析できます:ジェンダーバイアスへの敏感な視点:斎藤は長年フェミニズム批評の第一人者として活動してきました。そのため、『女帝 小池百合子』の内容に潜むジェンダーバイアスや性差別的な表現に対して、特に敏感に反応したと考えられます。リベラル派知識人の盲点の指摘:斎藤は、自身もリベラル派として知られていますが、同じリベラル派の男性知識人たちが本書を無批判に絶賛していることに違和感を覚えました。これは、リベラル派内部にも存在するジェンダーバイアスや、政治的党派性による批評眼の曇りを指摘する意図があったと推測されます。ステレオタイプな女性描写への批判:斎藤は、本書が小池百合子を描く際に用いている「女を売りにしている」「媚びを売って地位を得た」といった表現が、能力のない男性が口にする典型的な悪口と同じであると指摘しています。これは、女性政治家を評価する際のステレオタイプな見方に対する批判です。個人的な物語の過度な強調への懸念:斎藤は、社会で活躍する女性を描く際に、個人的な動機や過去のトラウマなどを過度に強調することで、その人物を矮小化していると指摘しています。これは、女性リーダーの能力や業績よりも個人的な背景に注目してしまう傾向への警鐘です。政策批判と人格批判の混同への警告:斎藤の批判は、小池百合子の政策や実績に対する批判と、個人的な属性や背景に基づく批判を明確に区別する必要性を示唆しています。政策や実績に対する批判は正当であっても、それが性差別的な表現や個人攻撃に陥ってはならないという主張です。メディアリテラシーの重要性の強調:斎藤の主張は、ベストセラーとなった本書の内容を批判的に読み解く必要性を示しています。これは、メディアリテラシーの重要性を強調するものであり、特に政治的な文脈において重要な視点です。斎藤美奈子の主張は、単に一冊の本を批判するだけでなく、社会に潜在するジェンダーバイアスや、政治的党派性によって曇らされた批評眼、そしてメディアリテラシーの重要性を広く問いかけるものだと言えます。
2024年6月3日月曜日
心の社会:ミンスキー
Q(koshix):マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」で主張されていることを詳しく説明してください。A(GPT-4o)マーヴィン・ミンスキーの著書「心の社会」(The Society of Mind)は、人工知能と人間の認知科学に関する彼の理論を述べた重要な作品です。この本では、心がどのように機能するのか、特に知能がどのように生じるのかについての革新的な視点が提供されています。ミンスキーは、心を一つの単一のエンティティとして見るのではなく、複数の小さなエージェントの集合体として捉えます。以下に、彼の主張を詳しく説明します。1.心はエージェントの社会であるミンスキーは、心は多数の簡単なエージェント(彼はこれを「エージェント」と呼びます)の集まりであると主張します。各エージェントは単純な機能を持っており、それ自体は知能を持たないが、これらが連携して働くことで複雑な知的行動が生まれるとします。この考え方は、心を理解するためにそれを分解し、各部分の相互作用を研究するというアプローチを示唆しています。2.レイヤード構造と階層的な制御ミンスキーは、心の構造を複数のレイヤーに分けて説明します。各レイヤーは異なる種類のエージェントで構成されており、それぞれが特定のタスクを担当しています。これにより、単純なタスクから複雑な認知タスクまでを処理する能力が生まれます。例えば、低レベルのエージェントは基本的な感覚処理を行い、高レベルのエージェントは抽象的な思考や計画を担当します。3.エージェント間の競争と協力ミンスキーは、エージェント間の関係が重要であると強調します。エージェントは時には競争し、時には協力することで最適な解決策を見つけ出します。この競争と協力のダイナミクスが、柔軟で適応的な知能を生み出す鍵とされています。4.学習と適応エージェントは静的な存在ではなく、経験を通じて学習し、適応します。ミンスキーは、知識の獲得と使用がどのようにエージェントの行動に影響を与えるかを詳細に述べています。特に、問題解決や新しい状況に対応するための適応メカニズムが強調されています。5.心の社会モデルの応用ミンスキーの理論は、人工知能の設計や人間の知能の理解に幅広く応用されています。このモデルは、知能が単一のアルゴリズムやプロセスではなく、複数の相互作用するプロセスの結果であることを示しています。これにより、より複雑で柔軟なAIシステムの開発が可能になります。6.批判と影響「心の社会」モデルは、その独創性と包括性から大きな影響を与えましたが、同時に批判も受けました。一部の批評家は、エージェント間の相互作用の具体的なメカニズムや、どのようにして統一された意識や自己が生じるのかについての説明が不足していると指摘しました。それでも、この理論は人工知能研究における重要な枠組みとなっています。ミンスキーの「心の社会」は、人間の知能と人工知能の両方を理解するための新しい視点を提供するものであり、現代の認知科学やAI研究においてもなお重要な影響を持ち続けています。
Q(koshix):心を構成するエージェントにどんなものがあるか,またその相互関係がどうなっているかをできるだけ分かりやすく全て列挙してください。A(GPT-4o):マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」において、心を構成するエージェントは非常に多様で、各エージェントが特定の機能を果たすために存在しています。以下に、いくつかの主要なエージェントの種類とその相互関係をわかりやすく説明します。エージェントの種類感覚エージェント (Sensory Agents)役割: 外部環境からの情報を収集し、それを処理して内部に伝える。例: 視覚エージェント、聴覚エージェント、触覚エージェントなど。運動エージェント (Motor Agents)役割: 行動を実行し、身体の動きを制御する。例: 手を動かすエージェント、歩くエージェント、話すエージェントなど。記憶エージェント (Memory Agents)役割: 経験や知識を保存し、それを必要に応じて取り出す。例: 短期記憶エージェント、長期記憶エージェント、エピソード記憶エージェントなど。感情エージェント (Emotion Agents)役割: 感情を生成し、他のエージェントの活動に影響を与える。例: 喜びエージェント、悲しみエージェント、恐怖エージェントなど。思考エージェント (Thinking Agents)役割: 問題解決、意思決定、推論を行う。例: 論理エージェント、計画エージェント、推論エージェントなど。社会的エージェント (Social Agents)役割: 他者との相互作用を管理し、社会的な行動を制御する。例: 共感エージェント、コミュニケーションエージェント、協力エージェントなど。エージェント間の相互関係協力 (Cooperation)例: 感覚エージェントが視覚情報を収集し、それを記憶エージェントに送って過去の経験と照らし合わせ、運動エージェントに適切な行動を指示する。競争 (Competition)例: 異なる解決策を提案する思考エージェントが競い合い、最も適切な解決策が選ばれるプロセス。連携 (Coordination)例: 感情エージェントが恐怖を感じると、運動エージェントに逃走行動を起こすように指示し、同時に思考エージェントが危険の評価を行う。抑制と強化 (Inhibition and Facilitation)例: 感情エージェントが怒りを感じると、抑制エージェントがその感情を制御し、社会的エージェントが適切な反応を見つける。フィードバックループ (Feedback Loops)例: 運動エージェントが行動を実行し、その結果が感覚エージェントを通じてフィードバックされ、記憶エージェントと思考エージェントがその情報を使って次の行動を調整する。具体的な例コップを持ち上げる動作:視覚エージェントがコップを見つける。記憶エージェントが過去の経験を基に最適な持ち上げ方を提供する。運動エージェントが手を動かし、コップを持ち上げる。フィードバックループにより、感覚エージェントが持ち上げた後の重さやバランスを確認し、必要なら運動エージェントに調整を指示する。会話をする:聴覚エージェントが相手の言葉を聞き取る。思考エージェントがその意味を解釈し、適切な応答を考える。記憶エージェントが過去の会話や知識を参考にする。社会的エージェントが応答のトーンや態度を決定する。運動エージェントが言葉を発し、顔の表情を制御する。ミンスキーの理論は、これらのエージェントが相互に作用し合うことで、人間の心の複雑な機能を生み出すというものです。この視点は、AIやロボティクスの設計においても有益であり、複雑なシステムをより効率的に設計するための基盤となっています。
Q(koshix):意識を担うエージェントはありますかA(GPT-4o):マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」において、意識そのものを単独で担う特定のエージェントが存在するという考え方はされていません。むしろ、意識は複数のエージェントの相互作用と協調から生じる現象であるとされています。以下に、意識に関連するエージェントの役割やその相互関係をわかりやすく説明します。意識に関連するエージェント注意エージェント (Attention Agents)役割: 特定の情報や出来事に対して注意を集中させる。意識の焦点を決定し、重要な情報を他のエージェントに伝える。例: 視覚注意エージェント、聴覚注意エージェント。記憶エージェント (Memory Agents)役割: 過去の経験や知識を保存し、必要に応じて取り出す。意識に関連する情報の背景知識を提供する。例: 短期記憶エージェント、長期記憶エージェント。自己モニタリングエージェント (Self-Monitoring Agents)役割: 自己の状態や行動を監視し、自己認識を持つ。意識の一部として、自己と他者の区別を行う。例: 身体感覚モニタリングエージェント、感情モニタリングエージェント。意思決定エージェント (Decision-Making Agents)役割: 得られた情報を基に行動を決定する。意識的な選択と行動を支える。例: 計画エージェント、選択エージェント。社会的エージェント (Social Agents)役割: 他者との相互作用を管理し、社会的な意識を形成する。共感やコミュニケーションに関連する。例: 共感エージェント、コミュニケーションエージェント。
エージェント間の相互関係意識はこれらのエージェントの複雑な相互作用によって形成されます。以下に、その具体的なプロセスを説明します。注意の集中と情報の選別注意エージェントが特定の刺激や情報に集中し、それを他のエージェントに伝達します。これにより、意識の焦点が決まります。記憶との連携記憶エージェントが関連する過去の経験や知識を提供し、現在の状況を理解するための背景情報を提供します。自己モニタリングと自己認識自己モニタリングエージェントが現在の状態や行動を監視し、自己の一貫性を保つ役割を果たします。これにより、自己と他者の区別がつけられます。意思決定と行動選択意思決定エージェントが得られた情報を基に、意識的な選択と行動を行います。このプロセスは、意識的な意思決定の核心部分となります。社会的相互作用社会的エージェントが他者との相互作用を管理し、社会的な意識を形成します。これにより、意識は個人的なものだけでなく、社会的な文脈でも機能します。結論ミンスキーの理論によれば、意識は単一のエージェントによって生じるものではなく、複数のエージェントが協力し合い、相互に作用することで生まれる現象です。これらのエージェントが連携し、情報を交換し合うことで、複雑で高度な意識が形成されるのです。この視点は、意識を理解するための新しい枠組みを提供し、人工知能の研究にも大きな影響を与えています。
Q(koshi):以下の対話で事実とは異なっている部分や不正確な部分を指摘してください。A(Gemini 1.5Pro):全体的に、ミンスキーの「心の社会」の要約としては悪くないですが、いくつか事実と異なる部分や不正確な部分があります。事実と異なる部分・不正確な部分エージェントの種類と役割:対話では、感覚、運動、記憶、感情、思考、社会など、エージェントの種類を具体的に列挙していますが、ミンスキー自身は著書で、特定の種類のエージェントを定義していません。ミンスキーは、エージェントは多種多様で、その機能は状況や組み合わせによって変化すると述べています。エージェント間の関係:協力、競争、連携、抑制と強化、フィードバックループといった関係性は、ミンスキーの理論と一致しています。しかし、対話ではこれらの関係が固定的なものとして説明されている印象を受けます。実際には、エージェント間の関係はより流動的で、状況に応じて動的に変化します。意識に関する説明:ミンスキーは特定のエージェントが意識を担うとは述べていません。意識は、エージェントの相互作用から創発的に生まれるものとして捉えられています。対話では、注意、自己モニタリング、意思決定といった機能を持つエージェントが意識に関連するとされていますが、ミンスキー自身は、これらの機能を実現するエージェントの具体的な構造については深く言及していません。ミンスキーは、「心の社会」の中で意識の問題を取り上げていますが、完全な解答を与えているわけではありません。改善点・エージェントの種類を具体的に列挙するのではなく、「ミンスキーは特定の種類のエージェントを定義せず、多種多様なエージェントが存在すると述べています」と説明する方が正確です。・エージェント間の関係は、固定的なものではなく、状況に応じて動的に変化することを強調する必要があります。・意識については、「ミンスキーは、意識は特定のエージェントが担うのではなく、エージェントの相互作用から創発的に生まれると考えている」と説明し、具体的なエージェントの構造や機能に言及することは避けるべきです。その他対話では、ミンスキーの「心の社会」をかなり簡略化して説明しています。より深く理解するためには、実際に著書を読むことをお勧めします。
Q(koshix):マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」の目次を列挙することはできますか?日本語に直してください。A(GPT-4o):マーヴィン・ミンスキーの「心の社会」(The Society of Mind)は270の独立したエッセイで構成されており、それらは30の章に分かれています。以下は、その目次の日本語訳です:1.心の社会2.エージェントとエージェンシー3.K-ライン4.エージェントの原則5.心と脳6.常識7.思考の言語8.見ることと想像すること9.学習と記憶10.心の構築11.意識12.反省的思考13.問題解決14.自己認識15.考えることと説明すること16.感情17.動機と目標18.否定的思考の力19.自己20.成長21.幼児期22.子供の心23.学習と理解24.知識の本質25.創造的思考26.高次の思考27.脳の専門化28.心の統一29.心の限界30.心の未来この目次は、ミンスキーが心を「エージェント」という単純な部分の相互作用から成り立つ複雑な社会として描いた方法を反映しています。彼のアプローチは、知能の多様性と複雑さを強調し、単一の原理や単純なシステムではなく、多様なプロセスと目的を持つエージェントの集まりが心を形成するという考え方を示しています。
2024年5月31日金曜日
無書店自治体
・TSUTAYA WAY書店天理店(田井庄町481−5)・未来屋書店 天理店(東井戸堂町381 イオンタウン)・ヤマト屋書店(別所町80−6)・おやさと書店 三島店・Books道友(三島町432−1)・おみちの書籍 天理書房(川原城町306−1)・海老山書店(川原城町72)・西廼書店(柳本町1255)・大塚書籍文具店(櫟本町2423−1)
2024年5月1日水曜日
皆勤の徒:酉島伝法
わお。酉島伝法の『皆勤の徒』はすごいぞ。画期的な作品だ。おそらく、この十年で初めての、百パーセント独創的なSFだろう」と絶賛し、以下のように評している。「『流刑地』と『変身』のカフカが、フィリップ・K・ディックとスティパン・チャップマンとレオノーラ・キャリントンの霊を呼び出して、不気味な地球生物学と遠未来とブラザーズ・クエイをミックスしたコンテクストに放り込んだら?(中略)アンジェラ・カーターがシュールリアリズムに手綱をつけて、プロットのあるストーリーをぎりぎり語れるようにしたのと同様、酉島は、異形の未来に移植されたこの地球で、人間の奇天烈な生態と有機体の奇天烈なライフサイクルをどうにか物語として成立させている。つまり、おそろしく風変わりで先鋭的ではあっても、本書は実験的ではない。実験的な部分があるとすれば、それは、ライフサイクルや生物組織をプロットに組み込む、そのやりかたにある」
2024年4月30日火曜日
四天王寺古本市
2024年4月6日土曜日
言壺:神林長平
2022年12月15日木曜日
本は消えるか?
2022年12月14日水曜日
本屋が消える
2022年11月5日土曜日
戦争と人間(3)
2022年8月20日土曜日
玉川児童百科大辞典
個人送信(2)からの続き
国立国会図書館デジタルコレクションの「個人向けデジタル資料送信サービス」の対象に,玉川大学出版部の玉川児童百科大辞典があげられていた。そういえば,1冊持っていたと確認してみたら,玉川新百科1の数学の巻だった。
これは,昭和45年(1970年)9月10日に発行された学習百科シリーズの1冊だ。玉川児童百科大辞典の系列のシリーズで,対象読者は中学生や高校生だ。数学でいえばほぼ高等学校までの内容がカバーされていて,最後の現代数学の章で,記号論理学やカントールの集合論,抽象代数学などがほんの少しだけ含まれている。
この本を買ってもらったのは,高校生の時だった。本屋で見かけてどうしようと迷っていたのを憶えていたのか,ある日父親が買ってきた。小学校の時は,父には毎日のように本屋に連れていってもらって,沢山の本や図鑑を買ってもらった。やがて中学校になると,自分一人で本屋に行くようになり,主にSFやブルーバックスなどをあさっていた。付録:玉川新百科(玉川大学出版部・誠文堂新光社)全10巻の内容
1 数学
2 物理1
3 物理2
4 化学1
5 化学2
6 天文・気象
7 地球・海洋・地質・鉱物
8 生物学
9 動物
10 植物
2022年7月6日水曜日
まひるの月を追いかけて:恩田陸
昔,最も多いときは,年に100冊近く本や雑誌を買っていたかもしれない。ところが,最近,ほとんど本を買わなくなってしまった。通勤帰りに毎日本屋に立ち寄る習慣がなくなったせいだが,そもそも行動範囲内から書店がどんどん消えていることも原因だ。
諸般の事情で少し空き時間があったので,久しぶりに近鉄八木店のジュンク堂書店に立ち寄ると,宮部みゆき(1960-)の文庫新刊「まひるの月をおいかけて」が平積みされていた。手に取って中をパラパラみると,奈良県のあちこちを回る話で,天理という字が目に入ったので思わず買ってしまい,並み居る未読書を差し置いてさっそく読了した。
主人公らは,東京−橿原神宮前駅−橿原神宮−藤原京−今井町−明日香−亀石−橘寺−石舞台−天理駅−山辺の道−長岳寺−大神神社−近鉄奈良駅−奈良公園−新薬師寺−白毫寺−東大寺−法隆寺−中宮寺−飛鳥駅−橘寺と巡り,それにつれて物語が転回していく。
実体験にもとづくような文章だったので,たぶん,宮部みゆきもこのルートを辿ったのだな。天理駅前のビジネスホテルと焼き肉屋はどこだろう。とあらためて本をよく見ると,著者は宮部みゆきではなく,恩田陸(1964-)だった。しかも新刊ではなく,2007年が文庫1刷(単行本は2003年)だ。写真で見る二人の顔形はなんとなく似ているような気がするし,文春文庫の黄色い背表紙をみて条件反射的に宮部みゆきにアサインされていたようだ。奈良のご当地ものということで,書店で平積みされていただけだった。
宮部みゆきは何冊も読んだが,恩田陸は映画化された「夜のピクニック」を始めほとんど読んでいない。ハヤカワSFシリーズということもあって「ロミオとロミオは永遠に」はたぶん買ったような気がするが,期待外れだったので処分してしまった。
2022年4月21日木曜日
渦 妹背山婦女庭訓 魂結び:大島真寿美
最近,読書のスピードが極めて遅くなっている。本日,ようやく大島真寿美の「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」を読了した。2019年の第161回直木賞受賞作品だ。
もうすこし,重くて硬い作品かと予想して読みはじめると,意外に軽い文章だったので,始めのうちは少し慣れなかった。やがて,近松半二の物語についていくことができるようになった。この作品は操り浄瑠璃の竹本座の座付作者である近松半二(1725-1783)をテーマに選んだところが鍵だったと思う。
物語としては,やや物足りなかった。250年前に近松半二は,日高川入相花王(1759),奥州安達原(1762),本朝廿四孝(1766),傾城阿波の鳴門(1768),近江源氏先陣館(1769),妹背山婦女庭訓(1771),新版歌祭文(1780),伊賀越道中双六(1783)と,現在でも頻繁に上演されている,三大名作と近松の世話物以外の主要な浄瑠璃を次々と産み出した。それにも関わらず,操り浄瑠璃が歌舞伎に破れていくところが最も印象に残ったところだ。
もう一つは,妹背山婦女庭訓の主要登場人物のお三輪をふくめて,登場する女性陣がしなやかな強さをもっているところか。半二の妻はお佐久で,娘はおきみなのだが,これがどのようにして伊賀越道中双六の作者として名を連ねた近松加作につながっていくのかいかないのかは,次作の「結 妹背山婦女庭訓 波模様」を待たなければならないのか。
岡本綺堂の戯曲「近松半二の死」は青空文庫でも読める小編だが,そこでは祇園町の娘お作が加作につながることが暗示されている。