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2024年4月23日火曜日

日本古典文学大系

香炉峰の雪からの続き

枕草子原文がネット上にないかと調べてもなかなか適当なものがない。Wikisouceのテキストデータは不完全だ。枕草子三巻本のテキストデータが国語の先生の為のテキストファイル集にある。

国立国会図書館デジタルコレクションには,日本文学大系という活字化された古典文学の全集があった。ユーザ登録するだけで,このあたりは全部オンラインでイメージを見ることができる。
日本文学大系:校註 新訂版(風間書房,1955-)
第1巻 竹取物語,伊勢物語,大和物語,濱松中納言物語,無名草子,堤中納言物語
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668807
第2巻 土佐日記,和泉式部日記,更級日記,枕草子,方丈記,徒然草
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668808
第3巻 落窪物語,宇治拾遺物語
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668810
第4巻 源氏物語上巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668811
第5巻 源氏物語中巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668812
第6巻 源氏物語下巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668813
第7巻 住吉物語,古今著聞集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668814
第8巻 大鏡,増鏡
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668815
第9巻 平家物語
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668816
第10巻 万葉集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668817
第11巻 三十六人集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668818
第12巻 三十六人集,三十六人集補遣,六女集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668819
第13巻 古今和歌六帖,続詞花和歌集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668820
第14巻 八代集上巻,古今和歌集,後撰和歌集,詞花和歌集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668821
第15巻 八代集中巻,拾遺和歌集,後拾遺和歌集,金葉和歌集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668822
第16巻 八代集下巻,千載和歌集,新古今和歌集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1668823


日本文学大系:校註(国民図書,1927-)
第1巻 古事記,風土記,祝詞附壽詞,宣命,高橋氏文,日本書紀
https://dl.ndl.go.jp/pid/1226487
第2巻 竹取物語,伊勢物語,大和物語,濱松中納言物語,無名草子,とりかへばや物語,堤中納言物語
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018047
第3巻 土佐日記,蜻蛉日記,和泉式部日記,紫式部日記,更級日記,東闢紀行,十六夜日記,清少納言枕草子,方丈記,徒然草
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018057
第4巻 宇津保物語
https://dl.ndl.go.jp/pid/1226500
第5巻 落窪物語,狭衣,住吉物語,石清水物語
https://dl.ndl.go.jp/pid/1226519
第6巻 源氏物語上巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018050
第7巻 源氏物語下巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1226543
第8巻 今昔物語上巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1179377
第9巻 今昔物語下巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1226561
第10巻 宇治拾遺物語,古今著聞集
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018049
第11巻 榮華物語。榮華物語系図
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018052
第12巻 水鏡,大鏡,今鏡,増鏡
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018078
第13巻 月のゆくへ,池の藻屑,豊鏡,義経記
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018085
第14巻 保元物語,平治物語,平家物語
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018053
第15巻 源平盛衰記上巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018055
第16巻 源平盛衰記下巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018065
第17巻 太平記上巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018054
第18巻 太平記下巻,吉野拾遺,神皇正統記
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018064
第19巻 お伽草子,鳴門中将物語,松帆浦物語,鳥部山物語,秋の夜の長物語,鴉鷺合戦物語
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018100
第20巻 謡曲上巻
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018058
第21巻 謡曲下巻,古曲拾遺,謡曲小引
https://dl.ndl.go.jp/pid/1226577
第22巻 狂言記,続狂言記,狂言記拾遺,狂言記外篇
https://dl.ndl.go.jp/pid/1018059
第23巻 本朝文粋
https://dl.ndl.go.jp/pid/1226592
第24巻 懐風藻,凌雲集,文華秀麗集,経国集,本朝續文粋
https://dl.ndl.go.jp/pid/3430362
第25巻 国文学研究資料,国文学研究書目,和歌索引,本文索引,総目録
https://dl.ndl.go.jp/pid/1179389

より最近に出版されたものだと,岩波書店の日本古典文学大系(-1967)や新日本古典文学大系(-2005),がある。日本版の生成AIを開発するならば,すくなくともこれらの全文データは学習させておくべきだと思う。あと,日本思想大系(-1992)日本近代思想大系(-1992)も必須か。筑摩書房にもいろいろ(近代日本思想大系現代日本思想大系)ある。


話を戻して,古典文学の分かりやすい全集といえば,小学館の日本古典文学全集,新編日本古典文学全集がよいらしい。三段組で,註釈,本文,現代語訳が並んでいる。枕草子はどうかと思ってみると,残念ながら絶版なのでAmazonで古本が9000円以上の値がついている。定価の倍以上だ。

ジャパンナレッジは,小学館系なので,新編日本古典文学全集全巻にもアクセスできるのだが,年間サブスクリプションが 16,500円なので,それはそれで微妙だ。万博に数千億の無駄金(建設会社と広告会社は儲かる)を投じるくらいならば,日本の古典全てのデジタルアーカイブして(情報土木会社が儲かる),国民に無料開放するほうがよほどこれからのAI時代の役に立つような気がするけど。

2023年4月11日火曜日

大規模AI実験を停止せよ

フューチャーオブライフインスティテュート(FLI)は,人類が直面している地球規模の壊滅的かつ実存的なリスクを軽減するために活動する非営利団体である。例えば,人工知能,生命工学,核兵器,気候変動などに関してである。人工知能がもたらす利益とリスクについても詳細な資料が集まっている。

最近,ここから大規模AI実験を停止せよという公開書簡が出され,イーロン・マスク,スティーブ・ウォズニアク,ユバル・ハラリなどを含む3000人以上(4/3/2023)の賛同者が集まっている。その内容をGPT-4で500字程度の日本語に要約してもらったのち修正した。DeepLにかけるより,翻訳と要約が一気に片づくのでとても便利だ(こういうのが危険性の喚起につながるわけだ)。
AI技術が人類の知性に匹敵するようになると、社会や人類に深刻なリスクをもたらすことが研究で示されており、トップAI研究所も認識しています。 
しかし、現在のAI開発競争は抑制が効かず、制御不可能なデジタルマインドが次々と生み出されています。AIシステムが人間と競合するレベルになりつつある今、これらのリスクについて深く考えるべきです。強力なAIシステムは、その効果がポジティブなものであり、そのリスクが管理可能なものであると確信できた場合にのみ開発されるべきです。

そこで、私たちはすべてのAI研究所に対し、GPT-4よりも強力なAIシステムの訓練を少なくとも6ヶ月間停止することを求めます。この期間を利用し、AI研究所や専門家が共同で安全プロトコルを策定し、独立した専門家による厳密な監視を行うべきです。ただし、この要求はAI開発そのものの停止を意味するものではありません

同時に、AI開発者は政策立案者と協力し、AIガバナンスシステムの強化を目指すべきです。最低限、専門の規制機関、高性能AIシステムの監視、AIによる被害の責任追及、AI安全研究の公的資金、AIが引き起こす経済・政治的混乱への対処能力を備えた機関の設立が求められます。

人類はAIと共に繁栄する未来を享受できます。強力なAIシステムを開発した今こそ、「AIサマー」を迎え、これらのシステムを全人類の利益に活用し、社会が適応できる環境を整えるべきです。他の潜在的に危険な技術に対して一時停止をかけてきたように、ここでも同様に行動すべきです。準備が整わないうちに秋を迎えるのではなく、「AIサマー」を長く楽しみましょう。
まあ,どうなるかわわからないが,松岡聡さんや松尾豊さんが煽っているように,日本政府も早々に大金をつぎ込んで自前の大規模言語システムを開発しておくほうがよいのではないか。その際,ネット上のフリーテキストだけでなく,国立国会図書館に所蔵されている全てのテキストをぶち込んで,多少頑なでも根が真面目なLLMを作るのがよいのではないかと夢想する。

なお,公開書簡についての疑問や異議がいくつか出されているので,参考文献をあげる。不正確な情報とそれに対する反論が混入しているのかもしれない。


[1]Pause Giant AI Experiments: An Open Letter(Future of Life)

2022年12月23日金曜日

NDLデジタルコレクション

個人送信(2)からの続き

国立国会図書館(NDL)のデジタルコレクションが12月21日にリニューアルされた。

プレスリリースによれば次のような内容である。
(1)所蔵資料をデジタル化した 「デジタル化資料」約 311 万点と収集した「電子書籍・電子雑誌等」約 150 万点を検索・閲覧・視聴できる・・・下表との関係が不明・・・
(2)全文検索できる資料が5万点から247万点に増えた。
(3)閲覧画面の改善・・・改善余地がまだあるような・・・
(4)画像検索の実現
(5)シングルサインオンの実現

前回と比較してどのあたりが増えたのかがいま一つはっきりしない。ちゃんと内訳を記録しておけばよかった。全文検索の有り無しはこのデータのままではわからない。

表:NDLデジタルコレクションの内訳(公開,登録者限定,館内限定)
 公開登録者館内小計
電子書籍・電子雑誌1,228,0870218,1281,446,215
雑  誌16,901825,998525,0421,367,941
図  書362,523560,466387,6231,310,612
博士論文15,929125,420123,322264,671
日本占領関係資料70,805029,963100,768
古典籍資料82,10717,235799,349
録音・映像関係資料6,008048,43454,442
歴史的音源6,001042,73148,732
プランゲ文庫016,01728,45944,476
官  報20,9800020,980
憲政資料10,86501,72312,588
他機関デジタル化資料3251,0338832,241
地  図4101,3051,346
パッケージ系電子出版物00338338
特殊デジタルコレクション197045242
     
合  計1,820,7691,546,1691,408,0034,774,941



2022年12月15日木曜日

本は消えるか?

本屋が消えるからの続き

日本の書店数が減少を続け,2045年にはなくなりそうだという話だったが,それは本の購買ルートが書店からアマゾンなどのオンラインサービスに変わっているだけで,本自体はこれまでのように売れていると考えてよいのだろうか。

そこで,日本の出版物の販売額を調べてみた。出版科学研究所は,出版物の取り次ぎ商社大手のトーハン(旧名:東京出版販売株式会社)が1956年に設立し,その後,公共性を担保するために,社団法人全国出版協会に委譲されたものだ。日本の出版業界の売り上げは1996年まで上り調子できたが,消費税の5%への増税を契機に減少の一途をたどっている。それが,次の図の日本の出版販売額の推移でわかる。


図:日本の出版販売額の推移(出版科学研究所から引用)

この25年の雑誌と書籍の販売額の減少傾向を外挿すると(−580億円/年),シンギュラリティの2045年にゼロになる。もっとも,書籍だけをみればあと40年の猶予があるし,電子書籍が急に立ち上がっているので,心配することはないのかもしれない。このデータからも,従来のような書店が消えゆくことは間違いない。

では,図書館はどうなるのだろうか。あの忌まわしいCCC(ツタヤ)に侵食されない公共施設としての矜持を保つことができれば,これまでに蓄積された書籍のアーカイブとして,あるいは電子書籍に対応することで,さらには最新の仮想空間へのアクセスポイントとして生き延びてほしい。

2022年7月16日土曜日

石川県立図書館


7月16日13:00に新しい石川県立図書館がオープンする。

金沢は,谷口吉郎(金沢市名誉市民)と谷口吉生の親子共同作品である玉川図書館,日本海側初の国連寄託図書館である泉野図書館,世界で最も美しい公共図書館ベスト25や世界の魅力的な図書館ベスト20に選ばれている金沢海みらい図書館など,素晴らしい図書館の宝庫だが,これにまた一つ加わることになる。

閉架式だった本多町時代とはうってかわって,非常にオープンで様々な活動との融合にも配慮した設計になっている。円形空間に30万冊の本が見渡せるように配置されているので,一見蔦屋風味を感じるが,スロープで結ばれた各レベルの本棚の高さは手の届くものであり,本の配置についても基本部分はちゃんとNDCを守っている。

ウェブサイトやYouTubeチャンネルもいい感じに仕上がっている。ということで,国内の主な公立図書館のYouTubeチャンネル利用状況を調べてみた。括弧内は,チャンネル登録者数,延べ視聴回数,開設年月である。新図書館のオープン前でも,国立国会図書館,佐賀県立図書館,につづく3位ブループ(宮城,大阪,奈良,高知)のアクティビティが確認できる。


写真:石川県立図書館の閲覧室(同ホームページから引用)

[0]SHOSHO資料検索サイト(石川県立図書館)

P. S. 1950年に開館した平和町児童図書館(金沢市立図書館の分館)は2022年3月31日に閉館していた。

P. P. S. 石川県立図書館は,小立野台地にある金沢大学工学部の跡地に建設された。近所の金沢大学の医学部や薬学部に行ったことはあるが,工学部キャンパスや近くの金沢美術工芸大学キャンパスはなかった。

2022年6月6日月曜日

図書館API

国立国会図書館の実験的なサービスに関係した資料を探していると,図書館APIの記事が見つかった。国立情報学研究所教育研修事業 「大学図書館員のための IT 総合研修」2020 年度「Web API を使ったデータの入手とその整備講義資料で,東京大学情報システム部の前田朗さんによるものだ。

国立国会図書館カーリルCiNii,その他数多の例が挙げられている。例えば,国立国会図書館では,NDC Predictorだけでなく,検索用APIと書影APIがある。カーリルでは,蔵書検索APIと近隣の図書館情報APIが提供されている。ただし,その利用にはアプリケーションキーの取得が必要な場合もある。

 

写真:国立国会図書館の書影APIの見本(APIで埋め込み)

もう少し若かったら,卒業研究で学校APIを作ってもらっていたかもしれない。よく考えて設計を始めないと,単なる検索とどう違うのかという突っ込みだらけになりそうだ。

[1]図書館におけるAPIの公開 −PORTAの事例から−(中嶋晋平)

2022年6月5日日曜日

NDC Predictor

国立国会図書館NDLラボが提供している実験的サービスの一つに,NDC Predictorがある。これは,機械学習による日本十進分類の推測アプリであり,テキストエリアに貼り付けられた書誌情報から日本十進分類(NDC9版)を推測する。

日本十進分類法の最新版は,2014年に改訂された新訂10版である。書籍で2分冊800pからなるが,ネット上の関連資料としては,日本図書館協会NDC10による分類記号順標目表や国立国会図書館 の「日本十進分類法(NDC)新訂 10 版」 分類基準がある。

実際の分類には熟練の技が必要かもしれないので,タイトルや著者や出版者などのざっくりした書誌情報で他のテキストが混ざっていても,第一から第三候補まで推測してくれるのであれば,それはそれで有難そうだ。

さっそく,試してみるが,書名と著者名で検索したところ,「統計力学 著者」は,第一候補が90%以上の確率で421/理論物理学,第二候補が1%以内の確率で426/熱力学となった。各著者の第一候補の確率は,久保亮五が99.9%,鈴木増雄99.8%,田崎晴明99.5%,長岡洋介99.2%,北原和夫・杉山忠男98.8%,湯川諭92.3%となった。稲葉肇の統計力学の形成は,91.9%だった。

REST-APIもオープンになっているので,PCからコマンド入力によって結果を機械可読な形式で取り出すこともできる。早速試してみる。APIというとHTTP-APIのGETしか使ったことがない。4回生の2009年の卒業研究でGoogleMap-APIを使って,自然観察の理科ノートを地図上に貼り付けて時空間の変化を調べようというものだった。

今回は,HTTP-POSTを使うので普通のブラウザではアクセスできない。どうするのかと思ったら,curl コマンドを使えばよいということがわかった。具体的には次のようにする。

curl -XPOST "https://lab.ndl.go.jp/ndc/api/predict" --data "bib=統計力学 久保亮五" 

予測に使う文字列は,1000文字以内であり,bib=の後にいれればよい。出力は,JSON形式となり,[ { "value":"推測されたNDCの値, "label":"推測されたNDCのラベル", "score":"推測の確信度(0-1)" }, {第二候補}, {第三候補} ],のようになる。上の例ではつぎのとおり。

[{"value":"421","label":"理論物理学","score":0.9997790320037916},{"value":"426","label":"熱学","score":2.3498150212228626E-4},{"value":"429","label":"原子物理学","score":1.2803195946766326E-5}]

lynxコマンドでも大丈夫かを確かめたところ,標準入力からデータと終了記号をいれてOK。

lynx https://lab.ndl.go.jp/ndc/api/predict -post_data
bib=統計力学 久保亮五
---

[1]開発者のための日本十進分類法

[2]NDCデータ(日本図書館協会)

2022年6月4日土曜日

NDL Ngram Viewer

 NDLラボ国立国会図書館の実験的サービスを提供するサイトである。

そこで,NDL Ngram Viewerが5月から公開されている。国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されている資料のうち,著作権保護期間が満了した図書資料約28万点のOCRテキストデータから集計した,約8.3億種類の単語及びフレーズを使って,ある単語やフレーズが年代別にどのくらい使われているかを可視化するアプリケーションだ。

複数の単語を/で並べて入力すると1つのグラフでこれらを比較することができる。横軸は年代だが,著作権保護期間満了という条件があるため,明治から戦後しばらくまでの間は有効だが,それを外れると例外的な点しかでてこない。正規表現が使えるのでかなり凝った処理ができそうだ。

グラフの横軸が年代で,縦軸に単語の出現頻度あるいは出現確率が出てくる。出現確率は,総N-gram数を分母にと書いてあったので??となった。N-gramというと,昔,全文検索エンジンを勉強していたときにでてきた記憶がある。単語のかわりに文字を単位とし,N文字の並びの出現頻度を使って全文検索を実現するものだ。単語の区切りにとらわれず,すべての文字の並びを切り出して処理していた。総N-gram数というと膨大な数にならないか。

説明をよく読んでみると,「全文テキストデータに対して異体字等の丸め処理を行った後,NormalモードのKuromojiで形態素解析を行い,形態素gramで1gramから5gramまでの総出現頻度が4以上の単語及びフレーズを集計しています」とあった。そういうことね,文字ではなく形態素解析で品詞分解したものを使うのか,しかも 1≦N≦5 なので,これならば適当な数に収まる。

さっそく,「代数学/幾何学/解析学/統計学」や「宇宙/原子/原子核/素粒子」などで調べてみた。「力学/電磁気学/熱力学/統計力学」として力学は使えないことに気付く。なぜならば形態素解析では,熱力学も統計力学も熱+力学,統計+力学に分解されるので,ここからも力学のヒットが生じてしまうからだ。うーん・・・。これは仕方ないのかもしれない。




図:Ngram Viewerの出力(電磁気学/熱力学/統計力学/量子力学)
上段は総Ngram数に対する相対確率,下段は出現頻度の絶対値

2022年5月28日土曜日

個人送信(2)

個人送信(1)からの続き

5月19日から開始された国立国会図書館デジタルコレクションの「個人向けデジタル資料送信サービス(略称:個人送信)」について,申し込みシステムの不備についてさんだんディスっていたが,5月23日に申請受理の連絡メールが届き,無事に使えるようになった。

国立国会図書館が所蔵している資料数は4560万点,そのうちデジタル化されたものが279万点,これまでデジタルコレクションで公開されていたものが56万点,個人送信開始によってこれに153万点が新たに加わり209万点となる。特に,雑誌が2万点から84万点だ。なお,博士論文は13万点,図書が56万点。

本好きが激推し!無料で読める「国立国会図書館」のお宝本」というダイヤモンドオンラインの記事があり,次のようなものが紹介されている。

中央公論社の『世界の名著』シリーズ(1966年~)。『玉川児童百科大辞典』(誠文堂新光社,1967),講談社の『スクール図解百科事典』(1966)。『大辞典(縮刷版)』(平凡社、1953年~1954年)。『川柳大辞典』(日文社、1955年)。『現代短歌分類辞典』(イソラベラ社、1954~)。『寛政重修諸家譜』。全国の市町村史。

さっそく,個人登録番号でログインして「世界の名著」で図書館・個人送信に限定して検索してみた。164件の図書がヒットする。ポプラ社の児童向け「世界の名著」,偕成社の「少年少女世界の名著」,講談社の「少年少女世界の名著」に続いて,中央公論社の「世界の名著」がでてきた。ボンヤリしているとログアウトされて,著作権処理中となって読めないモードに切り替わっているので注意が必要だ。


写真:国立国会図書館のデジタル化作戦の最先端風景(NDLより引用)

[1]元司書が語る! 国立国会図書館の絶版本「読み放題解禁」がスゴい(読書猿・書物蔵)

[2]単なる「雑学好き」で終わる人と、本当の教養を手に入れる人の差(読書猿・書物蔵)


2022年5月19日木曜日

個人送信(1)

国立国会図書館の「個人向けデジタル資料送信サービス(略称:個人送信)」が5月19日から開始された。

国立国会図書館のデジタルコレクションは,約10年前に,「国立国会図書館デジタル化資料」として古典籍資料(貴重書等),図書,インターネット資料を提供開始したのが源流となっている。その後,博士論文,録音映像資料,や様々なタイプの資料が加わってきた。

著作権など権利関係に問題がないものは,すでにインターネット公開されている。著作権保護期間が満了していない資料や著作権の確認が完了していない資料のうち,絶版などで入手困難なものは,これまで図書館送信資料として,準備の調った最寄りの図書館で閲覧することができた。

今回は,このカテゴリーに個人向けデジタル化資料送信サービスとして加わる。国立国会図書館に登録した個人が,図書館を経由することなく,入手困難資料約153万点を直接見ることができるようになる。ただし,当面,PCやタブレットでの閲覧に限られており印刷することはできない。

条件として,日本国内に居住していることと面倒なハードルをつけていた。さらに,国立国会図書館の利用者登録が必要ときた。早速申し込んでみると,本人確認書類として免許証,保険証,マイナンバーカードなどから2点が要求された。なんとかクリアすると,分かりにくい登録番号が振られ,確認終了まで5営業日待てと。これだから日本の公共セクターのデジタル化は終わっている。

とりあえず仮登録したところで,アクセスできるよとの指示があるが,パスワードではねられてしまう残念な仕様になっているようだ。パスワードを変更してみたが(できた),やはりアクセスできない。「ダメなものはダメ(オーケー,グァン姉妹)」ならば初めからそう言って下さい。

[1]個人向けデジタル化資料送信サービス 利用規約

2021年7月15日木曜日

カレル大学

石橋や池田に住んでいたころ,あるいは天王寺に通っていたころは,仕事帰りに本屋に寄るのが日課だった。天理に引っ越してからも,大和八木にはかろうじて本屋らしきものがあったので,毎日新刊をチェックすることができた。

でも本屋の消滅が進み始めたころに定年となったたため,本屋にいくのは2,3ヶ月に1度のペースになってしまった。アマゾンやグーグルでは目的の本を探せるかもしれないが,目的としない本に出会うことができない。ネット上でこれを可能にするにはVRが次の段階まで進化して,アーサー・C・クラーク(1917-2008)のダイアスパーの世界が実現するのを待たなければならない。

そんなとき,YouTubeの読書系チャンネルが未知の本を探すための補完になるかもしれない。ヨビノリたくみと斎藤明里のほんタメをみていたら,【全10冊】小説1000冊読んだ私が最近読んだ本というタイトルで,アンナ・ツィマ(1991-)のシブヤで目覚めてを先月末に紹介していた。そうか,深緑野分によればコニー・ウィリス(1945-)なのか。ますます読んでみたくなる。

そのアンナ・ツィマと訳者の阿部賢一・須藤輝彦を招き,実践女子大学文学部准教授のブルナ・ルカーシュが司会をする特別トーク・イベントがあった。アンナ・ツィマとブルナ・ルカーシュが卒業しているのが,プラハにあるカレル大学だ。1348年創設のドイツ語圏最古の大学である。

カレル大学は知らなかったけれど,ヤン・フス,ニコラ・テスラ,カレル・チャペック,フランツ・カフカ,ミラン・クンデラや,多くのノーベル賞学者を輩出しているヨーロッパの主要大学のひとつだった。アルバート・アインシュタインやエルンスト・マッハもこの大学の教員だった。


写真:歴史地区にある旧校舎=チェコ国立図書館(Wikipediaから引用)

2021年5月31日月曜日

平和町児童図書館

社会教育センターからの続き

社会教育センターに併設されていた石川県立図書館は閉架で利用しなかったと書いたが,金沢で図書館といえば,小学生のころに平和町の児童図書館に通っていた。金沢市立図書館の分館の一つであり,現在も開館している。

小学校5年か6年のころに,政岡良一君か横谷富夫君あたりに連れていかれてからときどき通うようになった。寺町の家から歩いて20分くらいだろうか。小柄で無口なおじいさんが窓口を担当していて,利用者もほとんどいなかったが,子供むけの本を読んだり借りて帰ったりした。

夏目漱石の坊っちゃんを借りたのはこの児童図書館だったが,10回くらい繰り返して借りた気がする。あとは,当時発刊されたばかり国土社の発明発見物語全集(1964)だ。板倉聖宣さんらが編集していて,科学史の立場から科学の全分野をていねいに紹介するものだった。ほとんど読んだがいずれも名著だった。20年後に新しく編集されて17冊のシリーズとなっていた。そこには,大教大の理科教育研究室の鈴木善次先生も名を連ねているのだった。

国土社 発明発見物語全集(1964)
1.ピタゴラスから電子計算機まで:数学
板倉聖宣編
2.コロンブスから人工衛星まで:宇宙
板倉聖宣編
3.デモクリトスから素粒子まで:原子
板倉聖宣編
4.らしん盤からテレビジョンまで:電気
板倉聖宣編
5.時計からオートメーションまで:機械
板倉聖宣編
6.くるまから宇宙旅行まで:交通
岩城正夫編
7.酸素ガスからナイロンまで:化学
大沼正則編
8.鉄からプラスチックまで:物質
大沼正則編
9.家畜から人工生命まで:生物
道家達将編
10.おまじないから病気のない世界へ:医学
道家達将編


写真:国土社の発明発見物語全集(1964)の表紙(明倫館書店から引用)

2021年5月16日日曜日

社会教育センター

本多町に社会教育会館ができたのは中学1年のときだった。会館に設置された県立図書館は閉架だったこともあってほとんど利用しなかったが,社会教育センターの方は土曜日に教育映画教室を開いていたので,毎週のように通っていた。

子ども向けの内容も多く,まわりは小学生ばかりだったので,中学生の我々はちょっと浮いていたかもしれない。土曜日の午後になると畦地君,有坂君,出島君,横谷君のいつものメンバーで下菊橋を渡って往復した。

印象に残っているのは,NHKのドキュメンタリーの「カラコルムへの道(1963)」である。東京大学のカラコルム遠征隊(京大だと思っていた)によるバルトロ・カンリ初登頂の記録だ。国語の教科書にあった河口慧海の西蔵探検のイメージと重なって記憶に定着した。
・昭和三十八年(1963) 12月19日:県は下本多町の県営アパートを含む県有地3,300平方メートルに、来春から3年計画で社会教育センターを建設することになり、本年度建設費6,500万円を追加予算に計上、県議会の議決を得た。建物は5,490平方メートルの4階建、兼六園の県中央図書館もセンターに収容する。
・昭和三十九年(1964) 6月9日:本多町に建つ石川県社会教育センターの起工式がおこなわれた。
・昭和四十一年(1966) 5月1日:本多町3丁目に完成した石川県社会教育会館が開館した。同会館には社会教育センター県立図書館がはいった。地下1階、地上4階、延べ6,382平方メートル、総工費3億円(兼六園内の旧県立図書館は6月中に取りこわす)。
・昭和五十七年(1982) 12月4日:県社会教育会館の増改築工事が完了し、落成式が行われた。石川県立図書館開館70周年記念式典を挙行(12月9日)。
県立図書館は,明治12年(1897年)に前田家蔵書3万冊が石川県勧業館内に設置された図書室で公開されたものを起源として,明治45年(1912年)に石川県立図書館が開館した。平成28年(2016年)に新石川県立図書館基本構想が検討され,令和元年(2019)年に,小立野の金沢大学工学部跡地で,新石川県立図書館が着工された。


写真:石川県社会教育会館(パブリネットから引用)


2021年4月13日火曜日

蔦屋書店

 京阪枚方市駅前の商業施設,HIRAKATA T-SITEには蔦屋書店が入っている。最近は本屋がどんどん消滅しているが,その中で蔦屋書店だけが生息域を拡大している。春日原始林に蔓延るナンキンハゼみたいなもので,シカが食べないことから森林生態系の変化が危惧されている。まあそもそも春日原始林はアマゾン熱帯雨林で置き換えられてしまったのかもしれないが。

1983年に開業した蔦屋書店の1号店が蔦屋書店枚方市駅前なので,ここは大変由緒正しいTSUTAYAの聖地なのだった。レンタルCD・ビデオのTSUTAYAと併せて,1985年に設立されたカルチャ・コンビニエンス・クラブ(CCC)によって運営されている。このCCCの名前が知れ渡ったのが,図書館の委託管理事業への進出である。当時の樋渡啓祐市長によりCCCが初めて指定管理者となった武雄市図書館では,CCCの関連会社からゴミのような中古書籍を多数購入したり,貴重な地域の歴史資料資料を除籍・廃棄処分したり,改革の名の下に図書館機能をズタズタにしてしまった。

そんなわけで,CCCには悪い印象しか持っておらず,地元の図書館が浸食されないように祈るばかりであるが,蔦屋書店も自分の肌には合わないのだった。

(1) 選書がお洒落な本に偏っており,書店の規模に対して,理工書やしっかりした人文科学書の割合が少ない。本屋ではなくファッション系の小物のお店になってしまっている。あるいはファッションの一部としての見せかけの書籍群。その極限が大きな壁面に糊付けされている洋書の見掛け倒しである。本物の図書館では,一応アクセスは確保されている。大嫌いな安藤忠雄設計のこども本の森中之島も同じ発想だ。

(2) 書籍の配列がでたらめになっている。よくいえばテーマ別で新しい発見を促すともいえるが,あるべき場所に本がないので特定の意図を持って探すのが面倒である。端末で検索せよというならば,アマゾンとどこが違うのか。文庫本が著者のアイウエオ順なのはまだ許せるとして,場合によっては単行本と文庫本が混在し,恣意的な分類をしている。

そんなわけで,仮想空間で自分好みの本屋体験ができるアプリの出現を待っている。