主演の吉高由里子(紫式部)は好きじゃないし,サマータイムウイカ(清少納言)も苦手なのだ。NHKの番宣番組の二人のザラザラした不作法な掛け合いは聞くに堪えなかった,二人ともどういう性格なのよ。それはそれとして,大河ドラマといえば,いつも戦国時代のチャンバラもしくは徳川物語ばかりでうんざりしていたので,ほっとする。
「光る君へ」はここまでのところ,ほとんど柄本佑(藤原道長)が主人公の物語のようにみえる。平安時代の時代考証がどうなのかは別として,古典や歴史で学んだことを復習しながら,学びそびれたことを調べながら,現代劇の一種としてみるのは楽しい。
昨日は,清少納言が中宮定子に,香炉峰の雪の話題を持ちかけられたシーンがでてきた。古文の教科書に載っていたので,なんとなく頭に残っているのだけれど,どこがポイントなのかいまいち理解できていなかった。復習したところ,ポイントは白居易(白楽天)の故事にあった。教養主義ですね。
これが白居易の七言律詩,
Wikibooksからの現代語訳は,香 炉 峰 下 新 卜 山 居 草 堂 初 成 偶 題 東 壁日 高 睡 足 猶 慵 起小 閣 重 衾 不 怕 寒遺 愛 寺 鐘 欹 枕 聴香 炉 峰 雪 撥 簾 看匡 廬 便 是 逃 名 地司 馬 仍 為 送 老 官心 泰 身 寧 是 帰 処故 郷 何 独 在 長 安
(第一句)太陽が高くのぼり、睡眠時間も十分なのに、まだ起きたくない。(第二句)小さな家にふとんを重ねて寝ているので、寒さの心配はない。(第三句)遺愛寺の鐘は、枕を高くしてじっと聴き(第四句)香炉峰の雪は、すだれを高く上げて眺める。(第五句)ここ廬山は、世間一般の名声から逃れるためには相応しい地。(第六句)司馬という官職も老後を過ごすためには相応しい官職だ。(第七句)心も身も安らぐ場所こそが帰るべき場所。(第八句)どうして故郷は長安だけであろうか、いや故郷は長安だけではない。
枕草子の第二百八十段(?)では,
雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子しまゐりて、炭櫃に火おこして、物語などしてあつまりさぶらふに、「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ。人々も「さる事は知り、歌などにさへうたへど、思ひこそよらざりつれ。なほこの宮の人にはさべきなめり」と言ふ。
写真:北香炉峰かどうかはわからない廬山の日の出(Wikipediaから引用)
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