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2025年3月24日月曜日

公教育と私教育

デジタル社会の実現に向けた重点計画からの続き

高校教育の無償化(所得によらない授業料の一定額までの給付)は,維新と自民・公明によって実現されることになった。公教育の無償化は理念としては正しいと思う。しかしながら,先行する大阪府の現実をみれば,たんなる公立高校の破壊と教育格差の拡大に他ならない。理念なき維新の新自由主義的右派ポピュリズムの発露であって,定員割れした高等学校が廃校にされ,跡地が売り払われ,高所得層の塾シフトが強化されるだけだ。

マスメディアやオンラインメディアにおけるこの議論では,公教育という言葉の誤用が気になる。以前にも書いたが自分も公教育=公立学校教育だと誤解していて,千葉学芸高等学校長高橋邦夫さんに教えられて初めてわかった。

公教育私教育をWikipediaで調べてみると,ちょっと気になる表現があったので,ChatGPT 4.5にきいてみたところ,やはりそうであった。集合知としてはWikipediaより生成AIが上回りつつあるかもしれない。

Q(koshix):
公教育(こうきょういく)は、公の目的によって行われる教育の総称一般的には国や地方公共団体、学校法人により設置・運営される学校で行われる、公的な制度に則った教育のことを指し、「公立学校で行われる教育」を指す言葉ではない。産業革命や市民革命を経て、近代社会が成立する課程において、一般大衆を国民として教化せしめる必要が生じた事に端を発する考え方である。」 「私教育(しきょういく、英語: private education)とは、スポーツ・音楽などの習い事を含む塾、学習塾や受験・資格取得のための予備校、カルチャーセンターや文化スクール、ビジネスセミナーや社会人向け講座など、当該教育施設が民間か公的なものであるかに関係なく、家庭における教育活動と・教育機会を総称したものである。対義語は公教育。」 「資格取得のための教育施設が民間のものであっても、自動車教習所のように私教育とは言えないものがある一方で、公的な生涯学習センターなどで行われるヨガ教室を初めとした各種講座は、典型的な私教育である。」(編注:Wikipediaから引用)

 上の文における自動車教習所が私教育とはいえないという主張は正しいですか?その根拠はなんですか?

A(ChatGPT 4.5):
ご提示いただいた文における「自動車教習所が私教育とは言えない」という主張は、一般的な教育学の観点からすると、やや不正確です。文中における「私教育」の定義(塾や習い事、資格取得など、家庭や個人が主体となる教育活動を総称したもの)に基づくと、民間が運営する自動車教習所であっても、その位置づけは典型的な私教育となります。

以下、考え方を整理します。

1.定義に基づく分析

公教育とは、国や地方公共団体など公的主体が、公共の目的(国民の形成、市民的資質の育成)を達成するために制度化して提供する教育(例:義務教育、大学、高校)を指します。
私教育とは個人の意思や家庭のニーズに基づき、技能や資格取得、趣味や教養のために行われる教育活動(塾、予備校、習い事など)を総称します。これには、民間が主体であるか、公的機関が提供しているかは問われないとされています。

2.自動車教習所の性質

自動車教習所は、運転免許という個人が特定の資格(技能・資格)を取得することを目的とする教育施設です。設置主体は多くの場合、民間企業です。
運転免許の取得は、個人の希望・ニーズに基づいて行われるものであり、学校教育制度(義務教育など)に組み込まれていません。

3.「私教育」と判断すべき根拠

自動車教習所での教育は、「運転免許取得」という個人の資格取得を目的としており、公教育の主目的である「一般大衆を国民として教化・形成する」という趣旨とは性格が異なります。典型的な資格取得型の教育活動(予備校や資格学校)と同じ性質を持つことから、「私教育」に分類されます。

4.参考資料による裏付け

文部科学省や教育学の専門書(例:佐藤学『教育の方法と技術』岩波書店、あるいは大田堯『教育とは何か』岩波新書)では、自動車教習所は個人の資格取得のための「社会教育施設」として分類されることが多く、公教育とは区別され、通常は私教育または社会教育の範疇に含まれます。

参考文献:
文部科学省「社会教育法」
日本社会教育学会編『社会教育ハンドブック』など
URL(例示):文部科学省 社会教育法について

結論(まとめ)

ご提示の文書における「自動車教習所が私教育とは言えない」という主張は、定義および一般的な教育学の観点からすると不正確であると言えます。自動車教習所はむしろ「私教育」の典型的な例であり、上記の定義や一般的分類に照らして「私教育である」と考えるのが適切です。
ということで。インターネットもAIも公教育を支える必須の基盤環境を形作ることになる。

2025年2月25日火曜日

電子教科書(4)

電子教科書(3)からの続き

岡口基一さんによると,xAIのGrok 3(x.comで絶賛無料公開中)を使っていろんな物事を盛大にディスるという祭りが流行っているらしい。早速便乗してみた。人間として非情に安易な態度ではある。

Q(koshix):
日本のGIGAスクール及びデジタル教科書政策の問題点を壮大にディスってください。哲学的観点,教育学的観点,社会学的観点から,より理論的で本質的な問題点を指摘したうえで,こき下ろしてください。

A(Grok 3 beta):
日本のGIGAスクール構想とデジタル教科書政策は、表面的な「先進性」を追い求めるあまり、教育の本質を見失った愚策と言わざるを得ません。哲学的、教育学的、社会学的観点からその問題点を解剖し、その無思慮な推進ぶりを盛大にこき下ろしてみましょう。

哲学的観点:存在の意味と技術の隷属
まず哲学的に見れば、GIGAスクール構想は人間の存在意義を技術に矮小化する愚行です。ハイデガーの「技術への問い」を借りれば、現代社会は技術を単なる道具ではなく、世界を支配する枠組み(ゲシュテル)として扱い、その結果、人間が技術の奴隷と化しています。デジタル教科書を押し付けるこの政策は、子供たちに「学びとは何か」「生きるとはどういうことか」を自ら思索する機会を奪い、スクリーンの中の情報に盲従する存在へと貶めます。紙の教科書を手に持つ重み、ページをめくる行為、そこに潜む時間の感覚——これらは単なる「古さ」ではなく、人間が世界と向き合う具体的な経験です。それをデジタルという無機質な虚構に置き換えるのは、学ぶ者の実存を剥奪する暴挙に他なりません。文科省は、技術の進歩を「進化」と勘違いし、人間の本質を切り捨てる亡魂と化しているのです。恥を知れと言いたい。

教育学的観点:学びの深さと記憶の喪失
教育学的に見ても、この政策は子供たちの認知能力と学びの質を破壊する時限爆弾です。研究によれば、紙媒体での読書はデジタル画面に比べて深い理解と長期記憶の定着に優れていることが明らかになっています(例えば、Mangen & Schilhabの研究)。デジタル教科書は、動画や音声といった刺激を詰め込むことで「アクティブ・ラーニング」を装いますが、それは表層的な興奮にすぎず、思索や内省を育む時間を削ぎます。子供が自分で考え、試行錯誤し、知識を血肉化する過程——それこそが教育の核心なのに、GIGAスクールはそれを「効率化」の名の下に切り刻む。教師が熱意を持って語り、子供がノートに書き殴る泥臭い学びを、冷たいタブレット操作に置き換えるなんて、教育の魂を売り渡す行為です。ましてや、視力低下や集中力の散漫化といった健康面のリスクを無視してまで推進するその傲慢さは、子供を人間ではなくデータ処理機とみなす冷血漢そのもの。こんな政策を「未来志向」と呼ぶなら、その未来はディストピア以外の何物でもありません。

社会学的観点:格差の増幅と共同体の崩壊
社会学的視点からは、GIGAスクールがもたらす格差の拡大と社会共同体の解体が深刻です。端末の整備や通信環境は一見「平等」を装いますが、現実は富裕層と貧困層の間でデジタルリテラシーの差が広がるばかり。家庭でのサポートが乏しい子供は、タブレットの使い方すらままならず、授業についていけないという新たな「教育貧困」が生まれています。文科省は「1人1台」を錦の御旗に掲げますが、それが地方の過疎校や低所得家庭でどう機能するのか、実態を無視した絵空事でしかない。さらに、学校という共同体の場がデジタル化で希薄化し、教師と生徒、生徒同士の「顔の見える関係」が失われつつあります。紙の教科書を手に持つ子供たちが教室で議論し、互いに学び合う風景は、単なるノスタルジーではなく、社会を結ぶ絆の基盤です。それをデジタルという孤独な箱に閉じ込める政策は、子供たちを孤立した消費者へと変貌させ、協働の精神を根絶やしにする亡国への第一歩。こんなものを「教育改革」と呼ぶ神経が理解不能です。

総括:愚策の極み、文科省の自滅劇
結局、GIGAスクールとデジタル教科書政策は、哲学的には人間の存在を空洞化し、教育学的には学びの本質を殺し、社会学的には格差と孤立を助長する三重の罪を犯しています。文科省は「国際競争力」や「ICT活用」を振りかざしますが、それは子供の未来を顧みない官僚の自己満足にすぎません。スウェーデンのような先進国がデジタルからアナログへ回帰する中、日本だけが時代遅れの「デジタル信仰」に突き進む姿は、滑稽を通り越して悲劇的です。こんな壮大な茶番を「構想」と銘打つその厚顔無恥さ、子供を実験台にする無責任さは、もはや救いようがない。いい加減目を覚まして、技術に溺れたこの愚策を葬り去るべきです。文科省よ、歴史に汚点を刻む前に悔い改めなさい!

 


図:上記結論を入れて生成させたイメージ(DALL-E3)

DALL-E3の知識は,1984年止まりのようだ。現実はもっと複雑でハッピーなクモの巣の網の中に絡められている。シンギュラリティ(最近はAGIとASIで置き換えられつつある)まであと何年。


2025年2月24日月曜日

電子教科書(3)

電子教科書(2)からの続き

ちょうど15年前の今ごろに,どうして電子教科書の実現が難しいのかを考えていた。それをChatGPT 4oに評価してもらう。まあ発問者のレベルが高くないので無難でそれらしい答えが返ってきてしまった。
Q(koshix):
15年前に考えた以下のハードルについて,現在の日本の状況を分析してみてください。

電子教科書10のハードル(2010.02.18 http://twilog.org/koshix)

1.学校教育は社会的な世代間の情報文化伝達の営みであり、それ自身を含めた社会システム維持を志向するという本質的に保守的な側面を持っている。

2.導入における社会的な総費用を考えた際の効用が正にならない。あるいはそれが既得権益集団の利益にならない。

3.近年の社会変動が大きすぎて教育行政や教員層が疲弊しており、この方向(ICT)での現状変革を望むベクトルが出てこない。

4.新しいメディアを従来の教育方法(そう簡単には変わらない)に継ぎ足すことが、本当に子どもの学びのプラスになるのか疑問である。

5.授業中の情報チャンネルが拡大拡散してしまうことで教師が教室の子ども達を十分に制御できなくなる。

6.印刷メディアは最も歴史が長く蓄積も大きいため、その電子化に対するしきいは他のメディアの比ではない。

7.各種団体企業組織の利害対立からユーザインターフェースやユーザビリティーについての包括的な議論が困難である。

8.システムの安定性や堅牢性、電力・情報供給ルート及びその保守維持など実運用に関する大きな課題がある。

9.電子教科書=電子ノートに書き込まれる膨大な個人情報の管理の問題や日本における著作権の壁などから利用に大きな制約が生じてしまう。

10.あなたにとっても最も大きな障壁は何ですか?


A(ChatGPT 4o):
15年前(2010年)に指摘された「電子教科書10のハードル」について、現在(2025年)の日本の状況を踏まえて、それぞれの項目がどの程度解消・変化しているかを分析してみます。

1.学校教育は本質的に保守的な側面を持つ
現状分析: この点は依然として大きな課題です。
特に日本の教育現場は、中央集権的な教育行政の影響が強く、新しいテクノロジーの導入には慎重な姿勢が続いています。ただし、2020年以降のGIGAスクール構想によって、小中学生向けの1人1台端末の普及が進み、デジタル教材の活用は増えています。しかし、授業の基本形態(板書・教科書ベース)や指導方法の根幹は大きく変わっていません。

2.総費用の効用が正にならない/既得権益集団の影響
現状分析: 導入コストの問題は依然として大きく、全国規模での電子教科書の完全導入は進んでいません。一方で、GIGAスクール構想により、端末配布やインフラ整備の費用は国が一部負担する形で進みました。しかし、教科書出版社や印刷業界との利害関係は根強く、紙の教科書と電子教科書の「併用」という形にとどまっています。

3.教育行政や教員層の疲弊
現状分析: この課題はさらに深刻化しています。
GIGAスクール構想による端末配布は行われたものの、教員のITリテラシー向上やデジタル教材の活用指導に関する支援は不十分です。業務過多の状況が続いており、「ICT活用の負担増」を懸念する教員も多く、積極的な変革の動きにはなっていません。

4.新メディアの導入が本当に学びにプラスになるのか?
現状分析: この点に関しては、学習効果の検証が進んでいます。
研究によると、電子教科書の活用は「個別最適化学習」や「アクティブラーニング」には有効である一方で、紙の教科書よりも記憶の定着が劣る場合があることも指摘されています。そのため、完全なデジタル化ではなく、紙と電子のハイブリッド型が主流になりつつあります。

5.教室での制御困難の問題
現状分析: この問題も未解決です。
特に、小中学校では「授業中の端末利用ルールの統一」や「ICT活用に慣れていない教員の対応能力不足」により、端末を効果的に活用できないケースが多く見られます。一方で、MDM(モバイルデバイス管理)技術の発展により、使用制限や一括管理が可能になってきましたが、現場の運用が追いついていません。

6.印刷メディアの蓄積と電子化のハードル
現状分析: この問題は徐々に緩和されています。
デジタル教科書は一部の科目(英語・数学など)で普及しつつありますが、紙媒体の教科書の完全電子化は進んでいません。その背景には、著作権や教育現場の慣習の問題があるほか、「紙の方が学習しやすい」という意見も根強くあります。

7.ユーザインターフェース・ユーザビリティの議論困難
現状分析: この問題はやや改善しています。
近年の電子教科書は、学習履歴の管理やアクティブラーニング機能の充実など、ユーザビリティの向上が進んでいます。ただし、異なる企業が開発するシステム間の互換性や、端末ごとの操作性の違いなど、統一的なUI/UXの確立には至っていません。

8.システムの安定性・電力供給・保守の課題
現状分析: 技術的なインフラ整備は進んでおり、Wi-Fi環境やクラウドベースの学習管理システム(LMS)の普及も進みました。しかし、電力供給や端末の維持管理(特に故障・更新の問題)は依然として課題です。また、災害時の対応(停電時に使えない、通信が途絶えた場合の代替手段)についても、十分な解決策は確立されていません。

9.個人情報・著作権の問題
現状分析: 個人情報保護の観点から、電子教科書のログデータ管理や、生成AI活用による学習支援の可否が議論されています。
また、教科書のデジタル化においては、出版社側の著作権管理の厳格化が課題となり、自由な二次利用やカスタマイズが制限されている現状があります。特に、日本の著作権法は教育分野でのデジタル活用に関してまだ柔軟性が低く、欧米に比べて遅れています。

10.現在の最大の障壁
現在の最大の障壁を挙げるとすれば、以下の3つが考えられます。

(1) 「電子教科書=紙の代替」ではなく、教育の質をどう向上させるかの議論が不足
・電子化の目的が明確でないまま、ハードウェア導入が進んでしまい、効果的な活用ができていない。
(2) 教員のITリテラシーと運用負担
・ICT活用を前提としたカリキュラム改革や、教員の研修体制が不十分。
(3) コストと維持管理の問題
・端末の更新費用や、デジタルコンテンツの継続的なライセンス料が自治体にとって大きな負担。

結論
15年前に指摘されたハードルの多くは、2025年現在でも完全には解決されていません。ただし、一部の技術的課題(インフラ整備・管理技術の向上)は改善されました。今後の鍵は、「電子教科書をどう活用するか?」という教育の本質的な議論と、「教員の負担軽減をどう実現するか?」という制度設計の部分にあると考えられます。

2025年2月23日日曜日

電子教科書(2)

電子教科書(1)からの続き
Q(koshix):
15年前に,電子教科書(デジタル教科書)についてのQ&Aを考えました。いよいよデジタル教科書が制度として日本の教育現場に導入されはじめようとしています。15年前のAnswer部分(太字)は,現在文部科学省で導入が計画されているものと一致しているでしょうか。A1〜A21に対して,概ね一致ならば○,部分的一致なら△,概ね異なる場合は×として相違点を示してください。

15年前に考えていたことは以下のとおりである。ChatGPT 4oによる評価は,それぞれのQAの→以下の部分と,相違点として示されている。まあまあそんなものかもしれない。

電子教科書20の質問(2010.02.14 http://twilog.org/koshix)

導入の意義と目的
Q1:電子教科書とは何ですか
 「デジタル化された教科書=ノート」を学校の授業でほぼ常時使うというものです。紙の教科書やノートと鉛筆の代替物として考えています。
→ △(部分的一致)
相違点:
・2025年度からのデジタル教科書は、紙の教科書を完全に代替するものではなく、「紙の教科書を基本」としながら「一部補助的に使用」するものとして導入される。
・「ノート機能」については、標準的な機能としては導入されず、タブレット端末のアプリ等で補完される形となる。


Q2:なぜ電子教科書が必要なのですか
  社会活動の総体がデジタルベースに移行しつつあるるからです。電子本・電子メディアが多数派になる段階では,学校だけが紙の教科書を使う必然性がありません。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・社会のデジタル化を背景にした点は一致。
・文部科学省の説明では「特別支援教育への活用」や「学習データの活用」なども強調されている。


Q3:以前も同じような儲け話がありましたが
1985パーソナルコンピュータ,1995インターネット,(2005電子黒板),と同様の話は繰り返されています。2015電子教科書も似たようなものですが,3度目の掃除機か。
→ △(部分的一致)
相違点:
・これまでの技術導入(電子黒板など)と同様の議論がある点は一致。
・ただし、2025年度導入は「GIGAスクール構想」に基づくもので、文科省はより長期的な方針としている点が異なる。


機器整備の問題
Q4:電子教科書を使うのは誰ですか
 小学校3年生からの児童および学校教員です。中等・高等教育でも利用可,システムは一般にも販売されて購入可能です。
→ △(部分的一致)
相違点:
・文科省は、小学校5年生から段階的に導入するとしている。
・教員の利用については明確に制度化されておらず、学校ごとの裁量に委ねられる部分が多い。


Q5:本当に無償配布されるのですか
いいえ。子ども手当ては1人15年間で総額500万円に達するので,それで5年に1度各自購入してもらいます。(小3と中2:機器5年保証含めて1セット5万円,壊したら自分で買い替える)
→ ×(概ね異なる)
相違点:
・文科省は、デジタル教科書を紙の教科書と併用する形で提供し、原則「無償配布」。
・端末はGIGAスクール構想に基づき整備されているが、破損時の補償などは自治体ごとに異なる。


Q6:教員はどうなるのでしょうか
 私学を含めて5年に1度配布されます。5万円/台×100万台÷5年=100億円/年,新機種配布時に教員研修を12時間(3時間×4回)行います(無料)。機器の使い方だけではなく,免許更新講習の代替のだきあわせみたいなものです。
→ △(部分的一致)
相違点:
・教員向けの端末は、GIGAスクール構想で配布済み。
・研修については、各自治体ごとの対応になり、全国統一的な研修は予定されていない。


仕様の問題
Q7:システムの仕様はどうなりますか
 iPad/Android/MS tabletなどを包括する想定で(ありえないか ^_^;;),電子教科書=ノートの基本ソフト部分を別途共通仕様として定めます。マルチタッチ,Wifi/GPS及び各種物理センサーは必須。バッテリは9時間。毎日自宅で充電してね!
→ △(部分的一致)
相違点:
・現在のデジタル教科書は、iPad/Windowsタブレットが主流だが、OSごとに仕様が統一されているわけではない。
・物理センサーの活用は標準ではない。


Q8:教科書コンテンツは誰がつくりますか
 教科書会社が作成しepubフォーマットで電子教科書=ノートの基本ソフトの上にのせます。この部分は従来の教科書無償配布と同様の仕組みで実現します。すなわち教科書コンテンツ費用は税金でまかなわれます(高校もね)。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・教科書会社が作成する点は一致。
・EPUBフォーマットとは限らず、各社独自フォーマットも利用される。


Q9:教科書以外のソフトやコンテンツは載りますか
 電子教科書=ノートの基本ソフト仕様は公開されているので教員の自作教材や他の市販教材もそのまま載せられます。アプリケーションはHTML5+javascriptの範囲で実現してね。
→ △(部分的一致)
相違点:
・教員が教材を作成して利用することは可能だが、標準仕様としてHTML5+JavaScriptの枠組みが設けられているわけではない。


Q10:システムのバージョンアップはどうなりますか
   教室の無線LANネットワーク経由で必要な時に負荷分散しながら実行します。教科書会社から毎年の差分データもくるかも。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・基本的にはクラウド経由での更新が行われる。


Q11:ノート部分のデータはどこに保存されますか
 教科書の横の余白のノーレイヤーに書き込みますが,データは端末ローカルに保存されます。バックアップはTimeMachineみたいに教室単位で保存され,複製・移動復元可能です。つまり,センターに集約しません。
→ ×(概ね異なる)
相違点:
・現在のデジタル教科書はクラウド保存が基本(自治体ごとに異なる)。
・端末ローカル保存のみ、という方式ではない。


システム運用の問題
Q12:小学校1年生から使うのですか
 9歳未満は禁止^_^;;;です。小学校3年から使ってね。1・2年生は,これまでどおり手を使ってください。なお,教員用やグループ活動には小学校1年から使えます。
→ ×(概ね異なる)
相違点:
・2025年の導入は小5から段階的に進められる。


Q13:家でも使えるのですか
 ランドセルやカバンにいれて毎日持ち運びます(1kg以下)。学校においておくと,管理がたいへんですからね。家でもそのまま使えますので,宿題もでます。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・端末は持ち帰り可能な自治体もあるが、学校管理のもとで運用されることが多い。


Q14:壊れたらどうしますか
 教室や学校に予備機があります。データは教室のサーバに残っていますので,必要部分だけ復元してそのまま使えます。保証に入っていますので,学校に届け出ると交換機種が宅配されます。
→ △(部分的一致)
相違点:
・一部の自治体では予備機の配備があるが、全国的に統一されていない。


インターフェースの問題
Q15:ノートを指で入力するんじゃないでしょうね
 指でもスタイラスでも使えます。細かい入力作業が必要な場合は筆箱?からスタイラスを取り出して使ってくださいね(ここ一番弱点・致命的かも)。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・指入力・スタイラス入力の両方に対応している。


Q16:音声入力,文字認識,翻訳はできますか
 まあ,iPhone程度には実現可能です。カメラ・ビデオ撮影も(ここが微妙),音声記録も可能で,楽器としても使えます。理科実験の測定器としてもね。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・音声入力、OCR機能、翻訳機能は一部端末で可能。


Q17:教科ごとに別のソフトの使い方を覚えるのですか
 基本操作は説明書なしで使えます。操作も統一され,超高速ブラウジングと柔軟なタッチ入力が可能です。標準状態では非常にシンプルな造りになっています。
→ △(部分的一致)
相違点:
・各教科書会社のUIが統一されているわけではなく、一定の操作統一はあるが完全ではない。


教師の指導の問題
Q18:教員が使いこなせるでしょうか
 授業で教科書を使ったりノートを取ったりする部分がおきかわるだけで操作は単純です。教員がアプリケーションの使い方を覚えなければならないということはありません。
→ △(部分的一致)
相違点:
・研修の実施は自治体ごとに異なるため、必ずしも十分とはいえない。


Q19:プリントの配布や宿題のチェックはどうなりますか
 教室で全員にオンライン配布と回収できます。従来通り赤ペンでチェックしながら作業してそのまま返却できます(ほんとかな,この部分重要)。
→ ○(概ね一致)
相違点:
・クラウド上で課題配布・提出が可能な環境が整いつつある。


データ管理の問題
Q20:古い教科書やノートはどうなりますか
 えーっと,すべて持ち歩けます。わからなくなったら古い教科書やノートを見直してください。
→ △(部分的一致)
相違点:
・教科書の保存期間やアクセス制限がある可能性がある。


Q21:個人情報とか著作権とかどうなりますか
 すぐにはどうにもなりません。社会の方が変わらないことには。
→ △(部分的一致)
相違点:
・文科省は個人情報・著作権の管理についてガイドラインを定めている。

#なんで20の質問なのに21あるんだろうか?


図:電子教科書のイメージ(DALL-E3によるもの)


2025年2月22日土曜日

電子教科書(1)

twitter13周年からの続き

学習者用のデジタル教科書はすでに,教科書代替教材としてすでに小中学校の英語で100%,算数数学で55%の学校に導入されている。

さらに,次期学習指導要領が実施される2030年度から,デジタル教科書が従来の検定教科書と同等のものとして導入される方向で議論が進んでいる。どういう仕組みでどんなものになるのかがまだよく理解できていない。それに関する自分の過去の記憶。


下図は自分のTwitter投稿数/月の統計である。15年前の2010年2月から3月にかけて一つのピークがあり一日平均7-8件投稿していた。このときTwitterで電子教科書=デジタル教科書の話題盛り上がっていたからだ。このときの論客が,GLOCOMの豊福晋平さんや新潟の片山敏郎さんだ。

インターネットの商用利用がスタートした1990年代の中頃から,研究室の学生さんたちの卒業研究でデジタル教材を作成し始めていた。自分が考えていた電子教科書というのは,小中高校生が一人一台の端末を持って,そこに教科書・教材コンテンツを載せるというものだ。前者の部分はGIGAスクール構想として2019年からスタートしている。後者のデジタル教科書部分の検定教科書化が2030年からというわけだ。

当時,デジタル教科書とよぶか電子教科書とよぶかで議論があったが,ハードウェアとソフトウェアを一体化して考えた自分は後者だった。ところが,多数派はデジタル教科書を支持し,その後,日本デジタル教科書学会デジタル教科書教材協議会(現在の超教育協会)などが設立された。


図:Twilogの統計画面(2008.8-2025.2)

2010年2月前夜の自分のTwitterはこんな調子だった。
2010年01月11日(月)
SF第7弾:弐千拾五年電子教科書日本全国一律配布電子石板芯端末仕様策定委報告/十歳以上教室常置九時間電源無線歪杯青葉有機燐光表示拾寸多指接触両面撮像光石投射立体集発音超音波探信全球位置磁場三軸加速度赤外線放射温度/音声画像認識栗可応答電子紙挟辞書事典図書蔵名画音盤芸能映画漫画満載
そして議論の結果,自分の中の電子教科書は
電子教科書5つの原則(2010.02.26 http://twilog.org/koshix)

1.子どもが一人一台持って学校の授業や校外の学びで使うもの
2.教科書や他の教材をマルチメディア拡張して視聴し操作するもの
3.ワークシートやノートのように記録しながら学びを進めるもの
4.学習の過程を教師や子どもがネットワークで共有可能であるもの
5.誰にとっても自然でシンプルで使いやすくてワクワクするもの
としてまとめられた。



2025年2月17日月曜日

失敗の本質

1月31日の日経朝刊,日経コメンテーターの中山淳史による「失敗の本質」野中郁次郎氏の遺産 野性こそ創造の源泉がおもしろかった。中山による生前の野中への取材をまとめたものだ。一橋大学名誉教授の野中郁次郎(1935-2025)は,カリフォルニア大学バークレー校でドクターを取得し,防衛大学校に所属しているときに「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」を書いた。

脳トレのために,自力で要約してみよう。

第2次大戦における日本軍の様々な失敗の場面を分析したのが「失敗の本質」だ。その観点から日本の「失われた30年」を考える視点を尋ねたのが野中への取材の要目だった。日本の低迷の原因は普通「雇用,設備,債務の3つの過剰」だとされるが,野中は「プランニング(計画),アナリシス(分析),コンプライアンス(法令順守)の3つの過剰」だと強調した。

わかるわかる。PDCAだよ。国立大学法人化後の中期目標計画認証評価制度のことだよ。そして今再び,中教審の大学分科会の中間報告からニュースのトップに取上げられたのがこれだ。あーぁ・・・。また屋上屋を重ねるのか。
文部科学省は大学の運営を第三者が審査する「認証評価制度」を見直す。在学中の学生の成長具合など、教育の質を測る指標をつくり、複数段階で評価する。受験生らが偏差値やイメージではなく、教育内容を比較して進学先を選べるようにする。大学間の切磋琢磨(せっさたくま)を促し、大学教育全体の質向上にもつなげる。

図1:大学教育の第三者評価(日経新聞2025.1.29より引用)


話を戻そう。野中は,日本のPDCA(計画・実行・評価・改善)が「PdCa」になってしまい肝心の行動と改善がおろそかになっていることを指摘する。計画や分析やルールづくりが行き過ぎ,自己目的化し,経営(研究教育)の活力を損なってしまうというわけだ。

これに替わるもの,提案したのがSECIモデルだ。それは組織における個人の暗黙値を集団で共有してイノベーションを推進するため,知識の生成と共有のプロセスをモデル化したものだ。徹底した対話で暗黙知を言葉や論理による形式知に変換し,最終的には集団で獲得した知の実践を通じて個人の暗黙知をもう一段高めていくものだ。

すなわち,SECI = 共同化(Socialization),表出化(Externalization),連結化(Combination),内面化(Internalization)というわけだ。



図2:野中郁次郎のSECIモデル(日経新聞2025.1.31から引用)

[1]大学の教育評価と成果の可視化(齊藤貴浩・林隆之)

2025年2月8日土曜日

教員の学力低下

2月5日のNewsWeek日本版に,教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度という教育社会学者の舞田敏彦(1976-)の記事が出た。舞田さんはデータ分析の新しい切り口をいつも見せてくれる面白い人だ。

結論を一言でいえば,「新規採用教員のうち4割近くの出身学部の入試偏差値は50に満たない」ということだ。旺文社の『大学の真の実力2025』にある,関東1都6県の231大学・865学部からの教員就職者は9454人(2024年春)を,出身大学のタイプで分けて分析したものだ。あわせて,公務員就職者や全就職者も比較の対象として分析している。

そのオリジナルの表を元校長のyoshiさんが編集し直したものが下記に引用した図である。教職がブラック性が広まり,一般の企業の就職が堅調であることから,教員採用倍率の低下がこのところ続いている。これによって,教員就職者の学力の平均が低下していることを裏付けるデータになっている。


図:就職者の出身大学と偏差値(yoshiの教育ブログから引用)

ChatGPT 4o,Gemini 2.0 Flash,Claude 3.5 Sonnet,などは,イメージファイルを読み込んで分析することができる。Perplexity Pro は有料版に誘導され,DeepSeek V3とQwen2.5-Max はイメージの読み込みができない。上記の図を入力してみたところ,それぞれそれなりに分析してくれた。Gemini 2.0 Flash はピントがズレていていまいちだ。Claude 3.5 Sonnet は要点を正確かつ簡潔に19行でまとめた。ChatGPT 4o がより詳しい分析を与えてくれる。
Q(koshix):
(図のjpgファイルをアップロードした上で)
このグラフからわかることを分析してください

A(ChatGPT 4o):
このグラフからわかるポイントを分析すると、以下のようになります。

1.教員の出身大学偏差値と傾向
私立大学偏差値50未満の出身者が圧倒的に多い
→ 教員(緑のバー)の割合が 37.9% と突出しており、他の職種(全就職者・公務員)と比べて明らかに高い。
→ これは、私立大学の偏差値が低めの層から教員になる人が多い傾向を示している。
偏差値が高い大学(国公立、私立偏差値65以上)出身の教員は少ない
→ 国公立大学出身の教員は 15.2% にとどまり、私立偏差値65以上は 5.3% にとどまる。
→ 高偏差値の大学から教員になる割合は低めであり、教育職が高学歴層にとって魅力的なキャリアになっていない可能性がある。

2.公務員(赤のバー)の傾向
・比較的バランスが取れている
→ 公務員は国公立出身 13.7%、私立偏差値65以上 19.5%、偏差値50~60の範囲で比較的均等に分布。
→ 偏差値が高い大学出身者も一定数公務員になっている。
・私立大学偏差値50未満の割合はやや低め(19.8%)
→ 教員と比べると、公務員はやや高偏差値の大学出身者が多い。

3.全就職者(青のバー)の傾向
・私立大学偏差値50未満が多い(28.4%)が、教員ほどではない
→ 教員と比較すると、企業などの就職先の方が高偏差値大学の出身者が分散している。
・国公立大学の出身者は少なめ(6.6%)
→ 企業に就職する人は国公立大学出身者よりも私立大学出身者の方が多い。

4.重要なポイント
・教員の偏差値50未満の大学出身者が非常に多い(37.9%)
→ 赤い矢印で強調されている通り、教員は低偏差値の大学出身者が占める割合が非常に高い。
→ これは、教育界が高学歴層にとって魅力的でない、あるいは給与や待遇面で課題がある可能性を示唆。
・高偏差値大学出身者は公務員や企業に流れる傾向がある
→ 私立大学偏差値65以上の出身者は公務員(19.5%)の方が教員(5.3%)よりも多い。

結論
このデータから、日本の教育業界が高学歴層を十分に惹きつけられていない可能性が示唆される。教員の待遇やキャリアパスの改善が必要と考えられる。また、私立大学の低偏差値層から教員になる人が多いことが、教育の質や社会的な評価にどう影響するのかも考察すべきポイントである。

2025年1月23日木曜日

次期学習指導要領

12月25日,学習指導要領の改訂に向けた検討が中央教育審議会に諮問された。もう,方針を与えた上で生成AIに決めてもらったほうがよいのではないか。

Q(koshix):
日本の教育課程は教育基本法に基づいて編成され,ほぼ10年に1度改訂される学習指導要領によってその内容が規定されている。2024年12月25日,中央教育審議会において学習指導要領の改訂が文部科学大臣によって諮問された。これまでとの大きな違いは,最近登場した生成AIが誰にでも利用可能な時代になっており,それにふさわしい教育制度や教育内容が求められているからだ。

例えば次のような項目が検討課題であると報道されている。
▼生成AIの発展などを踏まえ、知識の集積だけでなく、深い意味の理解を促す学びのあり方
▼デジタル分野を含めた先端技術の教育の充実
▼情報モラルやメディアリテラシーの育成強化
▼自動翻訳機などが普及する中での外国語教育のあり方
▼子どもたちが多様な能力や個性に応じ、それぞれのペースで学習を進められる教材や方法

そこで,従来の教科・科目構成や教育内容を根本のところから見直す必要があると考えられる。その構成原理は,(1) 道徳を人権と倫理と法という概念に包摂解消させて,家庭生活や社会生活におけるスキルと共同性の獲得へと統合する,(2) 総合的な学習の時間と特別活動は統合し,小学校における外国語活動も国際理解アクティビティとしてこの中に解消し,地域に根ざして各教科を結ぶための自由度の高い総合教科として活かす,(3) 芸術とスポーツ表現・言語表現活動は統合する,(4) 保健・健康・運動・食育などは身体科学や性教育を含めて独立させる。(5) 国語・社会・算数/数学・理科などは,コンピュータ操作やネット空間での活動スキルも含めて,基本的な言語・数理スキルと,応用的な世界認識基礎の確立として複数教科に整理する。

この考え方に沿って,小中学校を一貫して整理された新しい教科(必要があればその内訳となる科目)を設定し,そこでの学習目標や学習内容の柱を立ててください。また,各学年におけるそれらの教科に配当される時間数の目安を定めてください。

現在の学習指導要領では,
付1:小学校は,各教科(国語,社会,算数,理科,生活,音楽,図画工作,家庭,体育,外国語),特別な教科(道徳),外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動,からなる。
付2:中学校は,各教科(国語,社会,数学,理科,生活,音楽,美術,保健体育,技術・家庭,外国語),特別な教科(道徳),総合的な学習の時間,特別活動,からなる。

A(ChatGPT 4o):
以下は新しい学習指導要領案に基づき、小中学校を一貫して整理した新しい教科構成、学習目標、学習内容の柱、および学年別配当時間の目安です。

新しい教科構成
1.人間と社会
統合対象:国語、社会、道徳
目標:言語能力、批判的思考、倫理的判断力を育み、社会との関わりを理解する。
内容の柱:
・人権と倫理: 社会生活における法と共同性の理解。
・歴史・地理・現代社会: 自国文化と世界の多様性の理解。
・言語表現: 論理的文章作成と口頭表現能力。
2.数理と科学
統合対象:算数/数学、理科
目標:論理的思考力と自然科学への理解を深め、データ活用や問題解決力を養う。
内容の柱:
・基本的な数理スキル: 計算、統計、幾何学。
・科学的探究: 生物、物理、化学、地学の基礎。
・デジタルスキル: プログラミング、AI活用基礎。
3.健康と身体表現
統合対象:体育、保健、食育、性教育、音楽、美術、家庭
目標:心身の健康を重視し、自己表現やチーム活動を通じた身体的・芸術的能力を育成する。
内容の柱:
・健康管理: 基本的な身体ケアと栄養学。
・性教育と倫理: 自己理解と他者理解の促進。
・芸術と運動: 創造性と身体能力を統合的に高める活動。
4.国際と情報
統合対象:外国語、情報教育、総合的な学習の時間(国際理解活動)
目標:グローバルな視点とデジタルリテラシーを備えた次世代市民を育成する。
内容の柱:
・外国語運用: 自動翻訳ツールを活用しながらの実践的コミュニケーション。
・メディアリテラシー: 情報選別力と安全なネット利用スキル。
・国際理解: 異文化への尊重と協働の態度。
5.自由探究
統合対象:特別活動、総合的な学習の時間
目標:各自の興味・関心に基づく探究活動を通じ、創造性と自己表現力を育む。
内容の柱:
・地域連携活動: 地域社会と結びついた課題解決。
・個別探究: 生徒個人が選んだテーマについての深掘り学習。
・プロジェクト型学習: チームでの共同作業を通じた課題達成。
     
学年別配当時間の目安
以下は週あたりの授業時間数の目安(単位: 時間)です。
学年 人間社会 数理科学 健康表現 国際情報 自由探究  合計
小1〜2  5    5    5    2    3   20
小3〜4  5    5    5    3    3   21
小5〜6  5    6    4    4    3   22
中1     4    6    4    5    4   23
中2     4    6    4    5    4   23
中3     4    7    4    5    4   24

この案は、学びの深さと柔軟性を重視し、生成AIやデジタル技術を活用できる人材の育成を目指した構成となっています。さらに調整や追加提案が必要であればお知らせください。


Q(koshix):
1.  科目立てはこれでOKです。この科目において,各学年区分で何を教え学ぶかという項目を,具体的にリストアップしてください。長い文章表現にはしなくて結構です。
2. 月から金までの5日間に給食を挟んで午前午後と時間を割り振りますが, 配当時間の妥当性について確認してください。1時間は何分授業を意味していますかね。

A(ChatGPT 4o):
1.各科目の学年区分での学びの具体的内容リスト
(1) 人間と社会
小1〜2:
・あいさつやルール(人権の基本)。
・地域の人々や自然。
・日本の昔話・民話。
小3〜4:
・日本の文化と四季。
・地域社会と公共施設の役割。
・基本的な倫理観(助け合いの意識)。
小5〜6:
・日本の歴史と主要出来事。
・基本的な法律と人権教育。
・意見のまとめ方や発表スキル。
中1:
・世界地理と日本の位置づけ。
・多文化共生社会の考え方。
・文章構成の基礎(意見文)。
中2:
・日本の近代史。
・法と道徳の違いと役割。
・プレゼンテーションスキル。
中3:
・世界史の基礎。
・現代社会問題(SDGsなど)。
・批判的思考力を育てるディベート活動。

(2) 数理と科学
小1〜2:
・基本的な足し算・引き算。
・身の回りの自然観察。
小3〜4:
・掛け算・割り算。
・実験を通じた水や空気の性質理解。
小5〜6:
・分数と小数計算。
・地球と宇宙の基礎知識。
・プログラミングの基本操作。
中1:
・文字式と方程式。
・植物や生態系の基礎。
・初歩的なデータ解析スキル。
中2:
・連立方程式・図形の基本。
・化学変化とエネルギーの仕組み。
・AIを活用した簡単な問題解決。
中3:
・確率・統計。
・力学と電磁気学。
・プログラム開発の基礎。

(3) 健康と身体表現
小1〜2:
・基本的な運動(走る、跳ぶ)。
・簡単な楽器演奏や歌唱。
小3〜4:
・チームプレーの基礎(球技)。
・絵画や工作の基本技法。
小5〜6:
・健康管理(食事と運動)。
・簡単な舞台表現やスポーツ競技。
中1:
・心と体の発達理解。
・本格的なスポーツ競技技術。
中2:
・性教育と健康管理の実践。
・美術と音楽の応用表現活動。
中3:
・社会での身体表現スキル(就活など)。
・チームプレーのリーダーシップスキル。

(4) 国際と情報
小1〜2:
・簡単な英語の挨拶や単語。
・タブレットの安全な使い方。
小3〜4:
・英語の基本的なフレーズ。
・ネット検索と情報の整理。
小5〜6:
・英語の自己紹介や日常会話。
・メディアリテラシーの基本。
中1:
・外国文化の理解と挨拶表現の応用。
・SNSの利用と倫理。
中2:
・英語での意見表明(簡単な文)。
・情報の評価・選別能力。
中3:
・英語プレゼンテーション。
・AIを活用した課題解決の実践。

(5) 自由探究
小1〜2:
・好きな動物や自然について調べる。
・地域のイベント参加。
小3〜4:
・グループでテーマを決めて調査活動。
・簡単な手作り作品の発表会。
小5〜6:
・地域問題を考える活動。
・個人探究プロジェクト。
中1〜3:
・チームで地域課題解決策の提案。
・進路に向けた個人研究の発表。

2.配当時間の妥当性
現在の1時間は 45分授業 を想定しています(小中学校で一般的な授業時間)。

(1) 1日あたりの授業時間数
午前:3時間(例: 9:00〜11:45)。
給食・休憩: 12:00〜13:00。
午後:2時間(例: 13:15〜15:00)。
1日合計:5時間(45分 × 5コマ = 225分)。

(2) 確認ポイント
週5日間 × 5時間 = 25時間(45分授業 × 25コマ)。
提案した配当時間合計(小学校: 20〜22時間、中学校: 23〜24時間)は余裕を持って収まる範囲内です。

(3) 改善案
必要に応じて午前中に4コマ、午後に3コマを設定し、1日を6時間授業に拡張可能(例: 特別授業や自由探究の増加)。
以上で計画は十分妥当性があり、現場運用可能と考えられます。調整が必要な場合はさらにご相談ください。

2024年12月2日月曜日

生成AI利用ガイドライン

生成AI利用の基本方針からの続き

文部科学省からは,生成AIの利用について各種の文書がでている。11月26日には,初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議から,初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(素案)が出てきた。このファイルをChatGPT-4oに分析させた結果が次のものである。
Q(koshix):
この文章を普通の学校教員が読んだとします。
(1) 必ずしもAIやITの専門でないはずの教員たちが,理解困難な用語や文をリストアップしてください。
(2) 教員たちがAIの活用にしり込みしてしまう,あるいは圧力を感じてしまう,あるいは反発を感じてしまうような部分をリストアップしてください。

A(CahtGPT-4o):
(1) 教員たちが理解困難だと感じる可能性のある用語や文
以下のような専門用語や複雑な表現は、必ずしもITやAIの専門知識を持たない教員にとって理解が難しいと考えられます:

1.生成AI:特に「マルチモーダル化」「AIエージェント」「追加学習の手法」などの技術的な説明。
2.ハルシネーション:AIの誤った出力を指すが、一般には馴染みがない用語。
3.ファクトチェック:情報の真偽を確認する具体的な手法についての言及が不足している可能性。
4.情報セキュリティポリシー:専門的なガイドラインが前提となっており、教員が即座に内容を理解するのは難しい。
5.オプトアウト設定:生成AIが個人情報を学習しない設定についての説明不足。
6.ライセンスの所在:生成物に関する権利や使用条件について、具体例が少ない。
7.著作権法第35条:法律の専門的な適用範囲を具体的に理解するのが難しい。

(2)教員がAI活用にしり込み、圧力、反発を感じる可能性のある部分
以下のポイントが、教員の不安や抵抗感を生む可能性があります:
1.「AIリテラシーの要求」
 ・教師が「一定のAIリテラシーを求められる」と記載されており、技術的な負担が増えると感じる可能性。
 ・新しい技術に慣れるための時間や研修が不十分である場合、抵抗感を抱く。
2.「人間中心の原則」に基づく対応
 ・「AIは人間の能力を拡張する道具」と強調されているが、それを実現するための具体的な手順が示されていないため、教師自身が責任を負わされるとの印象を持つ。
3.「生成AIによる業務効率化」
 ・業務の効率化を期待される一方で、AIによる出力の確認や修正といった作業負担が実際には増えるのではないかと懸念。
4.「リスクへの対応義務」
 ・個人情報やプライバシー、著作権の問題に対する配慮が求められており、これらに関連するリスクの責任が教員にあると感じる可能性。
5.「児童生徒への影響」
 ・AIを児童生徒に利用させる際のリスクや、教育目的との整合性の確保が求められており、これをどのように管理すべきか分からない場合、負担感を感じる。
6.「評価基準の曖昧さ」
 ・AIによる生成物の正確性や適切性を評価する責任が教員に課されており、それに対応する基準や研修が不明確。
7.「技術的な進化への対応」
 ・「生成AIは急速に進化している」と記載されており、教師がその変化についていくことに不安を感じる可能性。

これらの要因を解消するには、研修やサポート体制の充実、具体例を交えた実践的なガイドラインの提示が求められます。 
素案自体はどうでもよいというか余り気にしていないのだけれど,検討委員の一人である言語学者の今井むつみさんからでていたコメントがおもしろかった。要は,いつものようなお役所仕事的な文書に対する苦情であり,教育のICT業界あるあるの「余りよく知らないのに聞きかじった知識を知ったかぶりで操って自分を大きく見せようとする習慣への警鐘である。自分にもそっくりそのまま当てはまりなので,へへーっと土下座してしまった。


図:生成AIの教育利活用ガイドラインのイメージ(DALL-E3による)


2024年9月7日土曜日

さんすう刑事ゼロ

なぜか,NHKの午後LIVEニュースーンの隙間時間に挿入された,さんすう刑事ゼロ2020枚のメダルを確かめろ ~比例~)に見入ってしまった。金のコインの枚数を質量を測ることで推定するのがテーマだった。

盗まれて戻ってきた2020枚のコインを確認するため,その枚数を数える必要がある。ここで,自白してコインを返却した容疑者が重さを量ればよいと示唆して,コイン1枚の質量(8.0g)と2020枚(16160.0g)の質量を測って割り算するとちょうど2020枚になってめでたしめでたしなのだが,なんだか腑に落ちない・・・,というストーリーだ。

実は,8.0gというのが,8.08gを切り捨てた表示になっていて,実際にはコインが2000枚しかなくて,名乗り出た容疑者が20枚のコインをくすねたままだったというオチである。


いきなり気になったのは,16160gという数字だ。16kgを1g単位で測定する卓上型の電子天秤なんか存在するのか。小学校教科専門科目の理科(学生実験)でさんざん電子天秤や測定の話をやってきたので,にわかには信じられない。

番組に登場した写真の電子天秤のイメージをgoogleで検索すると,タニタのテーブルスケールTLD-101がヒットした。1gの精度で測れるのは1,000gまで,10gでは10,000gまでという仕様だった。はい,フェイク確定です。

Perplexityに聞いてみたところ,新光電子のCUX30Kならば,30kgまでの物体を1gの精度で測定できる。計量皿の寸法は360 mm ×320mm なので,卓上とはいえ一回り大きなものだ。台秤型ではない。31万8千円するが,ドラマの舞台は工場だったので,これを新光電子から借りてきて撮影するということは可能(不自然ではない)だったはずだ。まあ,番組制作下請けの予算では厳しかったのかもしれないが。

1/60万級の高精度電子天秤にも使用される音叉式力センサーを使用しているそうなので,30kgの物体を0.05g まで分別できることになるので,1gの精度はありうるということか。



写真:タニタ TLD-101 のスクリーンショット(NHK for Shool から引用)


2024年7月20日土曜日

プログラミング的思考(3)

プログラミング的思考(2)コンピューテーショナル・シンキング(4)からの続き

Q(koshix):
プログラミング的思考とComputational Thinkingの共通点と相違点をおしえてください。情報教育において,どちらが有用でしょうか。

A(Perplexity PRO):
プロサーチ
・プログラミング的思考の定義を検索する
・Computational Thinkingの定義を検索する
・プログラミング的思考とComputational Thinkingの共通点と相違点を比較する
・情報教育においてプログラミング的思考とComputational Thinkingのどちらが有用かを評価する

回答
プログラミング的思考とComputational Thinkingの共通点と相違点 
共通点
・目的達成のための論理的思考: 両者とも、目的を達成するために論理的に手順や方法を考える力を重視しています。これは問題解決において非常に重要です。
・抽象化と分解: どちらも、問題を小さな部分に分解し、それぞれを抽象化して理解する能力を必要とします。このプロセスにより、複雑な問題を扱いやすくします。
・シミュレーションと試行錯誤: どちらも、シミュレーションや試行錯誤を通じて、最適な解決策を見つけることを重視します。 
相違点
プログラミング的思考
効率の重視: 目的達成のために最適な方法を見つけることに重点を置きます。例えば、洗濯の手順を効率的に行う方法を考える。
具体的な手順の構築: 具体的な手順やアルゴリズムを作成し、それを実行することに焦点を当てます。
プログラミング教育の一環: 主にプログラミング教育の中で教えられ、具体的なプログラムの作成を通じて学びます。
Computational Thinking
広範な適用: 計算論的思考は、プログラミングだけでなく、日常生活や他の学問分野にも適用されます。例えば、データの整理やパターン認識。
概念的な理解: 計算論的思考は、問題を解決するための概念的な枠組みを提供し、広範な問題に適用可能です。
コンピュータ科学の基盤: コンピュータ科学全般の基盤として教えられ、プログラミング以外の多くの分野にも応用されます。

情報教育における有用性
どちらが情報教育において有用かは、教育の目的や対象によって異なります。
・プログラミング的思考は、具体的なプログラムを作成する能力を養うために非常に有用です。プログラミングの基礎を学ぶことで、論理的思考力や問題解決能力が向上します。
・Computational Thinkingは、より広範な問題解決能力を養うために有用です。これは、プログラミングだけでなく、データ分析やシステム設計など、他の多くの分野にも応用可能です。

したがって、初等教育やプログラミングの基礎を教える場合には「プログラミング的思考」が有用です。一方で、より広範な問題解決能力やコンピュータ科学全般の理解を深めるためには「Computational Thinking」が有用です。

両者をバランスよく取り入れることで、学生は具体的な技術スキルと広範な問題解決能力の両方を身につけることができます。

Sources:
1: https://kids.athuman.com/cecoe/articles/000178/
2: https://www.koov.io/column/210
3: https://products.sint.co.jp/topsic/blog/computational-thinking
4: https://www.cs.cmu.edu/afs/cs/usr/wing/www/ct-japanese.pdf

 


図:Computational Thinking のイメージ(Nord Anglia から引用)


2024年5月16日木曜日

教員の働き方改革

5月13日,中教審の特別部会(初等中等教育分科会 質の高い教師の確保特別部会 )が,「令和の日本型学校教育」を担う 質の高い教師の確保のための環境整備に関する 総合的な方策について(審議のまとめ) を答申した。黒い爪の部会長が,文部科学大臣に手交していた。

ニュースでは,教育公務員特例法じゃなくて公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の第三条の教育職員の教職調整額の4%が10%になる(そのかわりに時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しない)というところだけ強調されていた。

審議のまとめのpdfファイル(59p,761kB)をGPT-4oに読み込ませて,要約をお願いした。

Q(koshix):
添付ファイルの内容を章ごとに簡潔に要約してください。

A(ChatGPT):
令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について

はじめに
概要: 文部科学大臣からの諮問を受け、質の高い教師の確保のための環境整備を目的とした特別部会の設立とその議論の経緯が述べられています。これに基づき、教師の働き方改革や処遇改善に向けた施策が提言されています。

第1章:我が国の学校教育と教師を取り巻く環境の現状
学校教育の現状:日本の学校教育の歴史や、国際的な学力調査での高評価が紹介されています。
対応すべき課題の複雑化:不登校やいじめの増加、特別支援を必要とする児童生徒の増加など、学校が直面する課題が複雑化していることが述べられています。
教師を取り巻く環境の現状:長時間労働や教師不足、メンタルヘルスの問題など、教師の労働環境の厳しさが指摘されています。

第2章:教師を取り巻く環境整備の基本的な考え方
教師の役割と専門性:教師が学びに関する高度専門職としての使命を持ち、自己研鑽を続ける重要性が強調されています。
養成・採用・研修の改革:教職課程の改革や教員採用選考試験の改善、教員研修の充実など、教師のキャリアを通じた学びの環境整備が提言されています。
環境整備の目的と方向性:教師の働き方改革や処遇改善、指導・運営体制の充実を通じて、教師の健康とウェルビーイングを向上させることが最終目的として述べられています。

第3章:学校における働き方改革の更なる加速化
改革の取り組み状況:これまでの働き方改革の取り組みやその成果、残された課題について説明されています。
業務の適正化の推進:学校・教師が担う業務の適正化を進めるため、業務の分担と協働の重要性が述べられています。

第4章:学校の指導・運営体制の充実
教職員定数と配置:教職員定数の改善や配置の在り方について述べられています。
支援スタッフの配置:支援スタッフの配置の在り方について議論されています。
質の高い教職員集団の形成:多様な専門性を持つ教職員集団の形成が求められています。

第5章:教師の処遇改善
これまでの経緯:教師の処遇改善に関するこれまでの経緯がまとめられています。
処遇改善の在り方:教師の処遇改善の具体策が提案されています。

第6章:環境整備の着実な実施とフォローアップ
環境整備の実施とフォローアップ:教師を取り巻く環境整備の着実な実施とそのフォローアップの重要性が述べられています。

おわりに
まとめ:教師を取り巻く環境整備の総合的な方策の重要性が再確認され、今後の取り組みへの期待が述べられています。


Q(koshix):
この提案の問題点を指摘してください。

A(ChatGPT):
この提案の問題点は以下の通りです:

1.教師の長時間勤務
概要:教師の長時間勤務が依然として解消されていない。
問題点:「働き方改革」が進められているが、実際の勤務時間の短縮が十分でないため、教師の健康や家庭生活に悪影響を及ぼす可能性がある。

2.メンタルヘルスの問題
概要:教師のメンタルヘルス問題が深刻化している。
問題点:精神疾患による病気休職者が増加しており、適切なサポート体制が整っていないことが課題となっている。

3.教師不足
概要:教師不足が深刻な問題となっている。
問題点:教師の採用倍率が低下し、必要な教員数を確保することが難しくなっている。これにより、教育の質が低下するリスクがある。

4.多様なニーズに対応するための支援不足
概要:不登校、いじめ、特別支援を必要とする児童生徒への対応が求められている。
問題点:多様な課題に対応するための支援スタッフや専門職の配置が不十分であり、教師一人ひとりの負担が大きい。

5.教師の処遇改善の遅れ
概要:教師の処遇改善が進んでいない。
問題点:教師の給与や福利厚生が他の職業に比べて低い場合、優秀な人材の確保が困難になる。また、処遇改善の具体的な施策が不足している。

6.働き方改革の実効性の低さ
概要:働き方改革の取り組みが教育委員会や学校によってばらつきがある。
問題点:地域や学校ごとに働き方改革の進捗に差があり、一部の学校では改革が十分に進んでいない。これにより、全国的な教育の質向上が妨げられる可能性がある。

7.教職の魅力向上の不足
概要:教職の魅力を高めるための施策が不足している。
問題点:教職の魅力を向上させるための具体的な施策が不十分であり、結果として教職志願者が減少し続ける可能性がある。 
これらの問題点を解決するためには、具体的な施策の導入と実行の徹底が求められます。また、各教育委員会や学校が協力して、全国的な改革を推進することが重要です。
 
Q(koshix):
上記の1〜7について優先順位をつけてください。また,問題点を解決するための具体的な提案をしてください。

A(ChatGPT):
優先順位付け
1.教師の長時間勤務
2.教師のメンタルヘルスの問題
3.教師不足
4.多様なニーズに対応するための支援不足
5.教師の処遇改善の遅れ
6.働き方改革の実効性の低さ
7.教職の魅力向上の不足 
具体的な提案
1.教師の長時間勤務
業務の適正化:教師が行うべき業務を見直し、事務作業や雑務を支援スタッフに任せる。例えば、教員業務支援員や学校事務職員を増員し、業務の分担を促進する。
ICTの活用:授業準備や管理業務にICTを導入し、効率化を図る。特に出欠管理や成績処理などの業務をデジタル化する。
勤務時間管理の徹底:教師の勤務時間を厳密に管理し、時間外勤務の上限を遵守する。超過勤務が発生した場合の対応策を明確にする。

2.教師のメンタルヘルスの問題
定期的なメンタルヘルスチェック:教師全員に対して定期的なメンタルヘルスチェックを実施し、早期に問題を発見する。
相談窓口の設置:メンタルヘルスに関する相談窓口を設置し、専門のカウンセラーや精神科医と連携する。
メンタルヘルスケアの研修:教師自身がストレス管理やメンタルヘルスケアの技術を習得できるよう、研修プログラムを実施する。

3.教師不足
採用試験の見直し:教師採用試験の内容やスケジュールを見直し、柔軟かつ効率的な選考を実施する。
臨時教員の確保:臨時教員の待遇を改善し、常勤教員と同等の福利厚生を提供することで、臨時教員の確保を図る。
教職課程の充実:大学と連携し、教職課程の内容を充実させ、教職志願者の育成を強化する。

4.多様なニーズに対応するための支援不足
専門スタッフの増員:特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフを増員する。
地域との連携強化:地域の福祉施設や医療機関と連携し、家庭や地域を巻き込んだ支援体制を構築する。
研修の実施:教師に対して特別支援教育や多様なニーズに対応するための研修を定期的に実施する。

5.教師の処遇改善の遅れ
給与体系の見直し:教師の給与を他の専門職と比較し、適正な水準に引き上げる。また、地域差や学校規模による格差を是正する。
福利厚生の充実:休暇制度や退職金制度の見直しを行い、福利厚生を充実させる。
キャリアパスの明確化:教師のキャリアパスを明確化し、昇進や昇格の機会を増やす。

6.働き方改革の実効性の低さ
実施状況のモニタリング:働き方改革の進捗状況を定期的にモニタリングし、改善が必要な箇所を特定する。
ベストプラクティスの共有:成功事例を全国で共有し、他の学校や教育委員会でも実施できるようにする。
現場の声の反映:教師や学校管理者の意見を積極的に取り入れ、実効性のある改革を実施する。

7.教職の魅力向上の不足
広報活動の強化:教職の魅力を発信するための広報活動を強化し、社会的な評価を高める。
教育現場の魅力化:教職の魅力を高めるために、教育現場の改善を進める。例えば、校舎のリニューアルや設備の充実を図る。
キャリア支援:教職志願者に対するキャリア支援を強化し、教師としてのキャリアパスを明確にする。 
これらの提案を実行することで、教師の働きやすい環境を整備し、教育の質を向上させることが期待されます。

この程度のことならば,中教審の特別部会など開かずに,直接生成AIの御宣託をお伺いしても変わらないのではないか。といいたいところだけれど,怪しいエコーチェンバー「世論」をすくい上げる危険性が大きいので要注意。
Q(koshix):
日本の学校教育における教員の働き方の問題点と解決法を考えています。
1.現状を分析しその大きな特徴となる現象を3点上げて下さい。
2.上記の問題現象が発生する根本原因を3点上げて下さい。
3.この問題点を解決するための鍵となる具体的施策を3点上げて下さい。
A(ChatGPT):
1.現状の分析と大きな特徴となる現象
a. 長時間労働
 教員が通常の勤務時間を大幅に超える時間まで働くことが多い。特に、授業準備、部活動指導、保護者対応などで遅くまで残業するケースが一般的です。
b. メンタルヘルスの問題
 教員のメンタルヘルス不調が増加しており、精神疾患による病気休職者が増えている。ストレスや過労が原因となり、仕事に対する意欲や能力が低下するケースが多いです。
c. 教師不足
 教員採用の倍率が低下し、必要な教員数を確保できない状況が続いている。これにより、授業の質が低下し、教育の効果が十分に発揮されないことが懸念されています。 
2.問題現象の根本原因
a. 業務の過多と複雑化
 教員が抱える業務が多岐にわたり、授業以外にも部活動指導や保護者対応、校務分掌など多くの業務を一手に担っているため、時間的・精神的な負担が大きくなっています。
b. 支援体制の不足
 教員をサポートするスタッフ(事務職員、カウンセラー、部活動指導員など)の数が不足しており、教員自身が多くの付随業務を処理しなければならない状況です。
c. 教職の魅力低下
 給与や福利厚生が他の専門職と比べて低い、働き方が過酷であるといった理由で、教職に就こうとする人が減少し、採用難が続いています。 
3.解決のための鍵となる具体的施策
a. 業務の適正化と分担の促進
 教員の業務を見直し、教育活動に専念できる環境を整える。具体的には、事務職員や支援スタッフを増員し、授業準備や評価業務、部活動指導などを分担させる。また、ICTを活用して業務の効率化を図る。
b. メンタルヘルスサポートの強化
 メンタルヘルスチェックの定期的な実施と、専門のカウンセラーによるサポート体制の確立。さらに、教員向けのストレス管理やメンタルヘルスに関する研修を実施し、予防的な対策を講じる。
c. 教職の処遇改善
 教員の給与水準を他の専門職と同等以上に引き上げ、福利厚生を充実させる。具体的には、給与のベースアップ、退職金制度の見直し、休暇制度の拡充など。また、キャリアパスを明確にし、教職の魅力を高める広報活動を強化する。 
これらの施策を実施することで、教員の働き方の問題を解決し、教育の質を向上させることが期待されます。

2024年4月8日月曜日

学校事故対応に関する指針

朝のNHKニュースで,文部科学省が学校事故対応に関する指針を改定したと伝えていた。

学校事故対応に関する指針【改訂版】という4.3MBのpdfのはじめに(1p)を読ませて200字程度でその内容を要約するよう生成AIに指示した。ChatGPT 210字,Gemini 415字(箇条書き),Claude280字,Perplexity 526字,CommandR+ 392字という結果が出た。条件をほぼ満たしたのは,ChatGPTだけれど,ここではわかりやすかったCommandR+のものを採用して,さらに人間が手を加えた(279字)。
文部科学省は、学校管理下での事件・事故への対応を向上させるため、平成26年度に有識者会議を設置し、調査やヒアリングを実施、平成28年に「学校事故対応に関する指針」が策定された。その後、被害児童や家族への支援が不十分であることや、死亡事故の報告漏れなどの課題が指摘された。そこで、令和4年度に「学校安全の推進に関する有識者会議」を改めて設置し、指針の見直しに着手した。令和6年3月に指針の改訂版がまとめられ、事前の体制整備や事故発生時の対応、心のケア、再発防止など、児童や教職員の安全を確保し、児童が安心して活動できる環境を整えるより実効性のある内容となった。
NHKのニュースでは,事故が発生した学校が直接文部科学省に連絡するようなフリップが示されて,そのような説明があった。設置者や教育委員会などが関与しないようなスキームがあるはずがないわけで,改訂版の指針を確認したら案の定だった。それは本質ではないかもしれないけれど,もう少し丁寧なニュースをつくってもらわないと,信頼性がまったく高まらないのだ。

テレビでは,有識者会議のズーム会議の様子が映っていたが,久しぶりに見る大阪教育大学学校安全推進センター長の藤田大輔先生の顔があった。藤田先生は,有識者会議の「学校事故対応に関する指針の見直しワーキンググループ」の主査でもある。


図:報告支援要請系統図(改訂版指針から引用)

2023年12月18日月曜日

モーリーの定理

真鍋さんのウェブサイトMIPOのブログには,算数・数学コラムというのがあって,おもしろい算額の問題などがしばしば取り上げられている。

で,先日モーリーの定理という,三角形の内角の三等分線がつくる図形が正三角形になるという問題を証明していた。なるほど。図形の問題は苦手なので,解析幾何学の手法でできないか考えてみた。

1辺と両端の2角を与えれば三角形は定まる。現れるすべての座標はその辺の長さに比例するので,辺の長さAB=1とする。∠A=3α,∠B=3β,∠C=3γとすると,γ=π3αβで定まる。結局全ての量が2つの角度α,βで表される。

これは実は問題の対称性を損ねるので,標準解答と比較しても良策ではないのだけれど,乗り掛った舟なのでやってみる。


図:モーリーの定理の証明

まず三角形ABCの頂点Aを原点(0,0)とし,頂点Bを(1,0)とする。このとき頂点C(p,q)は,y=tan3αy=tan3β(x1)の交点として求まり,(p,q)=(tan3βtan3α+tan3β,tan3αtan3βtan3α+tan3β)となる。

同様にして,∠の三等分線の交点として(P,Q,R)の3点求めればよい。

(1) ABからの三等分線の交点P
y=tanα x & y=tanβ (x1) の交点は,
(p1,q1)=(tanβtanα+tanβ,tanαtanβtanα+tanβ)

(2) ACからの三等分線の交点Q
y=tan2α x & y=tan(3β+2γ)(xp)+q の交点は,
(p2,q2)=(ptan(3β+2γ)+qtan2α+tan(3β+2γ),tan2α{ptan(3β+2γ)+q}tan2α+tan(3β+2γ))

(3) BCからの三等分線の交点R
y=tan2β (x1) & y=tan(3β+γ)(xp)+q の交点は,
(p2,q2)=(ptan(3β+γ)tan2β+qtan(3β+γ)tan2β,tan2β{(p1)tan(3β+γ)+q}tan(3β+γ)tan2β)

これから3点の距離を計算すれば良いのだけれど,ちょっと人間の手には負えなかった。
Mathematicaで計算すると,なんとか確認することができた。

In[1]:= c[a_, b_] := Pi/3 - a - b

In[2]:= p[a_, b_] := Tan[3 b]/(Tan[3 a] + Tan[3 b])
q[a_, b_] := Tan[3 a] Tan[3 b]/(Tan[3 a] + Tan[3 b])

In[3]:= p1[a_, b_] := Tan[b]/(Tan[a] + Tan[b])
q1[a_, b_] := Tan[a] Tan[b]/(Tan[a] + Tan[b])

In[4]:= 
p2[a_, b_] := (p[a, b] Tan[3 b + 2 c[a, b]] + q[a, b])/(Tan[2 a] + Tan[3 b + 2 c[a, b]])
q2[a_, b_] := 
 Tan[2 a] (p[a, b] Tan[3 b + 2 c[a, b]] + q[a, b])/(Tan[2 a] + Tan[3 b + 2 c[a, b]])

In[5]:= 
p3[a_, b_] := (p[a, b] Tan[3 b + c[a, b]] - Tan[2 b] + 
    q[a, b])/(Tan[3 b + c[a, b]] - Tan[2 b])
q3[a_, b_] := -Tan[
    2 b] (((p[a, b] - 1) Tan[3 b + c[a, b]] + 
      q[a, b])/(Tan[3 b + c[a, b]] - Tan[2 b]))

In[6]:= (p1[a, b] - p2[a, b])^2 + (q1[a, b] - 
     q2[a, b])^2 - (p2[a, b] - p3[a, b])^2 - (q2[a, b] - 
     q3[a, b])^2 // Simplify

Out[7]= 0

In[8]:= (p2[a, b] - p3[a, b])^2 + (q2[a, b] - 
     q3[a, b])^2 - (p3[a, b] - p1[a, b])^2 - (q3[a, b] - 
     q1[a, b])^2 // Simplify

Out[9]= 0


[1]三角形の外角の三等分線の場合(時岡郁夫さん)

2023年12月15日金曜日

Duolingo

今年の春に始めた iPhoneアプリDuolingoでの韓国学習である。

最近は,朝起きて新聞とテレビのニュースをチェックした後に,Duolingoで韓国語のレッスンをするのが日課になっている。iPhoneの先週のアクセスログをみると,一日平均3時間のうち,Facebookが45分,Duplingoを30分,Pikmin Bloomが20分,GoogleとLineが15分ということになっている。

単語の表記と発音と意味,韓国語の和訳あてはめ,韓国語読み上げのハングルあてはめ,日本語の韓国語訳ハングルあてはめ,など15問ほどで1セットである。単語ごとにヒントを確認できるので,覚えていないあるいは理解できていなくても,勘だけで何となく答えられてしまう。いいようなわるいような。

ヒント頼りなので,ほとんど実力がつかない。ハチマン,毎日繰り返していると記憶に残る単語も少しはあるので,韓国ドラマを見ていても,以前よりは意識に引っかかる会話が増えてきた。


図:今年11月30日時点のDuolingoの成績(実はソコまで出来ていない)

2023年12月12日火曜日

四角形

三角形(3)からの続き

小学生の問題から離れられない。

長方形(a×b)があって,その1つの角が小さな長方形(p×q)の形に欠けている。この図形の面積を2等分する直線を求めよというものだ。問題では辺の長さの情報が与えられていない。どうするのかと思って解答をみた。それは,与えられたL型の図形を2つの長方形の組み合わせとみなし,それぞれの長方形の中心点を結ぶ直線を引けばよいというものだ。なるほど,小学生でも理解できる。この直線の図形内の中点を中心に,図形の角を越えない範囲で直線を回転させればそれらも解になる。

ところで,その欠けた部分が大きくなると,この方法ではうまくいかない。というのも直線で分割される角の欠けた側の領域が連結領域ではなくなり,バラバラになってしまうからだ。これを避けるためには,欠けた側と反対側の角を通る直線で,面積が等しくなるものを探せば良い。中学生レベルの問題になる。


図:直線APによる四角形の面積の二等分(ab>pqの場合)

直線ACは四角形ABCDの面積をS1(△)とS2(△)に2等分するが,左図形から引き去る部分は台形CEFR,右図形では三角形CGRなので,S1(左) <  S2(右)となる。そこで,分割線をAPにずらせば,S(左)=S(右)となる点が見つかるはずだ。

ずらす距離PC=xとおいて立式すると,2S1=b(ax)q{2(px)+q(xa)b}2S2=(bq){a+x(bq)+aqb}となる。これを等しいとしてxを求めると,x=q(aqbp)(bq)2と求まった。

めでたしめでたしというところだ。ところで,ab=pqでもとの四角形と切り欠きの四角形が相似となる。このため,最初の対角線が2等分線となってx=0になる。ということは,x<0の場合が出てくるということか。おかしいのでしばらく悩んだ。

良く考えると,この場合は,欠けた図形の角が対角線より右側になるので,P点はCG上に持ってきてCP=yと置く必要がある。すなわち,この場合は,abpqを入れ替えて同じ式を解くことになるので,y=p(bpaq)(ap)2とすればよいことになる。




2023年12月10日日曜日

PISA2022

PISA2018からの続き

OECD生徒の学習到達度調査(PISA)は,3年に1回実施されていた。新型コロナウィルス感染症の影響で,2021年の予定が1年延期されて2022年になり,その結果がこの度公表された。

PISA2022には,81か国・地域から約69万人が参加した。前回より2カ国ふえたのだが,トップだった中国の北京・上海・江蘇・浙江地域がはずれている。なぜか,生成AIのいくつかに聞いてみたがはっきりしない。日本からは,全国の高等学校,中等教育学校後期課程,高等専門学校の1年生のうち,国際的な規定に基づき抽出された183校(学科)約6,000人が参加して,2022年6月から 8月に実施された。

日本の順位(今回/前回)は,数学的リテラシー(1位/5位),読解力(2位/3位),科学的リテラシー(1位/2位)の3分野全てにおいて平均得点や順位が上昇した。コロナの影響で,全体の平均得点は下がったが,日本では,新型コロナウイルス感染症のため休校した期間が他国に比べて短かったことが影響した 可能性があるとの指摘がなされている。



図:PISAの平均得点の推移(国立教育政策研究所の報告から引用)

テレビで田中博之さんが,Facebookで,芳賀さんや豊福さんがコメントしていたけれど,思うところはあまりない。順位が低下していたらもわもわしていただろうか。そもそもPISAで一喜一憂しているところに問題があるのだろか。GIGAスクールの行く末の方がキニナルのか。はたまた,生成AIのインパクトのほうか。日々感受性が劣化しているのかもしれないけれど。

2023年12月9日土曜日

三角形(3)

三角形(2)からの続き

小学生向けの簡単な図形の問題を見かけた。a, b が与えられたときにx を求めれば良いというものだ。適当な補助線を引いてもわからなかったので,思わずピタゴラスの定理を使った複雑な方程式を立てて解いてしまった。

塾の先生のようなしゃべり方の人の解答をみると,どうやら,45度の三角形の解法パターンというのがあるらしい。そこで,問題を一般化したのが次の図である。これで,台形の面積の出し方や三角形の合同についての知識さえあれば,ピタゴラスの定理無しで問題が解けることになった。

日々,思考の水準が弱っていくのがわかる。そのうち小学生の問題も解けなくなりそうだ。


図:45度の三角形を含む簡単な問題

2023年12月3日日曜日

球形キャパシタ

球形キャパシタの問題を物理科学概説の中間テストで出題した。

教科書の例題と同じ単純な問題のつもりだったけれど,2つの球殻に与える電荷の記述を省略したため,アースの取り方によって話が変わるのだった。それが教科書の章末課題に書いてあったので,良く勉強した学生さんはそちらを参照していた。


図:球形キャパシタのイメージ

半径abの同心の導体球殻があり,それぞれに電荷qaqbを与えたとき,それぞれの電位がV(a)V(b)になったとする。内球殻の電荷がつくる電場は,Ea=qa4πε01r2(a<r<b),であり,これによって誘導される電荷が外球殻の内面にqa,外面にqaだけ生ずる。これによって,外球殻の外面にはqa+qbの電荷が分布するので,この電荷が作る電場は,Eb=qa+qb4πε01r2(b<r)となる。

これから,外球殻の電位は,Vb(r)=rqa+qb4πε01r2 dr=qa+qb4πε01r(b<r) となり,V(b)=qa+qb4πε01b
内球殻の電位は,Va(r)=V(b)rbqa4πε01r2 dr=V(b)+qa4πε01rqa4πε01b
V(a)=14πε0(qbb+qaa)

(1) 外球殻が接地されている場合
V(b)=0よりqb=qaとなる。V(a)=qa4πε0(1a1b)=qaCとすれば,
キャパシタの電気容量Cは,C=4πε0abbaとなる。

(2) 内球殻が接地されている場合
V(a)=0よりqa=abqbとなる。V(b)=qb4πε01a/bb=qbCとすれば,
キャパシタの電気容量Cは,C=4πε0b2baとなる。

このとき,C=C+4πε0bとなって,外球殻をキャパシタと考えたときの電気容量とCとの並列接続の式となっている。

2023年11月18日土曜日

三角形(2)

三角形(1)からの続き

半径rの円が内接する直角三角形で,円の接点が斜辺をa, bに分割するものの面積が,簡単な表式 S=abで与えられるので,ピタゴラスの定理を経由せずに幾何学的に説明できそうな気がする。


図:長方形への図形断片の埋め込み

そこで,一辺がa, bの長方形を対角線で分割した△AQB=ab/2に,前回の図における図形の断片がきれいに埋め込めるのではないかないかと思ってトライしてみる。2種類の三角形は底辺のa, bと高さrをそのままにして頂点の位置をずらせばきれいにおさまる。すなわち,△BCQ=ar/2と△ACQ=br/2である。

長方形を対角線で分割した三角形△AQBからこれらの面積を除けば,薄い三角形△ABCが余る。したがって,この面積は,△ABC =12{ab(a+b)r}である。前回の円を内接する直角三角形の面積条件は,S=r(a+b+r)だったので,△ABC =12{(abS)+r2}となる。つまり,△ABC =r2/2を満足する場合にS=abとなって,断片が長方形に収まることになる。

何だか回りくどい話になって,図形からすんなりと説明できたとはいいにくかった。上の例では,面積を保ったままA→Eに変形すれば,△ABC=△EBCになっているのだけれど,それは特別な場合である。