2025年7月1日火曜日

認識論

認識論といえば,大学生のときにモーリス・コンフォース弁証法的唯物論の認識論を読んだ程度でそこからあまり進歩していない。ちょっと頭の中が古すぎる。現時点の自分の中にあるイメージは下図のようなものだけれど,自分でうまく言葉にできないのでChatGPTに任せてみた。



図:人間の認識のモデル(背景の図はChatGPT 4o,それ以外は自家製)

Q(koshix):
認識論に関する添付のモデル図を説明してください。新聞や雑誌の解説文のようなまとまった簡潔なテキストにしてください。

A(ChatGPT 4o):
この図は、人間の認識がどのように形成されるかを、「脳内世界(Virtual World)」と「物理世界(Physical World)」の二重構造を通じて示した認識論的モデルです。

人間の認識を支える二つの世界
図の右半分にある**「PHYSICAL WORLD(物理世界)」は、山や川、動物、人間、建物、車などの自然物・人工物**から構成される、私たちの身体が直接関わる外界を指します。ここには、人間を取り囲む環境(自然環境・人工環境)が含まれています。

一方、左半分にある**「VIRTUAL WORLD(脳内世界)」**は、感覚入力をもとに脳内で構築される内的な世界であり、言語・記憶・意識・無意識といった認知的プロセスが展開される領域です。この世界は、外界からの情報を処理・解釈することで成り立ち、実際には物理的には存在しないが、私たちが「世界を知覚する仕方」として非常に本質的です。

中心にある「脳」と「心・身体」
中央には、脳(左脳・右脳)を中心とした人間の認知・行動システムが描かれています。左側には言語・記憶・意識などの内的認知プロセスが、右側には感覚器・運動器・神経系などの身体的プロセスが配置されています。これらが連動することで、脳内の情報処理が身体的行動と結びつき、環境との相互作用が可能となります。

認識のメカニズム
このモデルの核心は、「環境 → 感覚器 → 脳 → 意識・無意識 → 行動」という情報の流れにあります。人間は物理世界からの刺激を感覚器を通じて受け取り、脳で処理し、その解釈をもとに心的世界(VIRTUAL WORLD)を構築します。そしてその結果としての行動や運動出力を通じて、再び物理世界に影響を与えます。

結論:現実とは何か?
この図は、私たちが「現実」と呼ぶものが、実際には物理的世界の単なる反映ではなく、脳内で構築された仮想的な認知空間であることを示唆しています。つまり、「世界をどう見るか」は、脳と身体、そして環境との相互作用の結果であり、純粋に客観的なものではなく、人間の認知活動に深く根ざしたものだという視点が提示されています。

このように、図は認識の二重性―**「外界の実在」と「脳内の仮想性」**を並置し、その相互作用によって人間の知覚と理解が形成されるプロセスを視覚的に明示しています。
だいたい合っていると思うよ。



2025年6月30日月曜日

ブレイン・ツー・テキスト

ブレイン・ツー・テキスト(B2T)は,脳から直接的に言葉を読みだす方法だ。これまでは,脳に手術を行って電極を差し込むということが試みられていたが,この度画期的な方法が検証されたという論文が出て話題になっている。alphaXivで日本語まとめを作成したが,分量が多くて難しかったので,Claude Sonnet 4.0 に整理してもらった。

Q(koshix):
以下のテキストの内容を分かりやすく解説してください。
(alphaXive で生成した概要の日本語テキスト)

A(Claude Sonnet 4.0):
このテキストは、オックスフォード大学の研究者が開発した画期的な「非侵襲的ブレイン・ツー・テキスト(B2T)システム」について解説した論文です。簡単に言うと、手術なしで脳の活動から直接テキストを読み取る技術の大きな進歩について報告しています。

1.研究の背景と意義
従来の問題点:
・これまでのブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)で高い精度を得るには、脳に電極を埋め込む手術が必要でした
・手術なしの方法(EEG、MEGなど)では、偶然レベルの性能しか出せませんでした
・麻痺や発話障害のある人のコミュニケーション支援が限られていました
この研究の革新性:
オックスフォード大学の研究者が、手術なしで脳活動からテキストを読み取ることに世界で初めて成功しました。これは「偶然以上の性能」を達成した初の非侵襲的システムです。

2.技術的な仕組み
システムは以下の要素を組み合わせています:
(1) MEG(脳磁図)センサー - 頭の外側から脳の磁場を測定
(2) 大規模言語モデル(AI) - 脳信号をテキストに変換
(3) 高度なデータ処理 - 複数のデータセットを効率的に活用
処理の流れ:
脳活動 → MEGセンサーで測定 → AIで信号処理 → 文脈を考慮した解釈 → テキスト出力

3.主な技術的革新
(1) 選択的データセットプーリング
・複数の研究データを賢く組み合わせる方法を開発
・単独データセットより2倍以上の精度向上を実現
(2) シーケンス復号化
・単語を個別に予測するのではなく、文全体の流れを理解
・文脈を考慮した自然なテキスト生成が可能
(3) 語彙外単語の処理
・学習していない新しい単語も文脈から推測
・実用的なコミュニケーションに必要

4.実験結果
性能指標:
・文字エラー率:64.6%
・単語エラー率:86.5%
・BERTスコア:0.877(意味的類似性が高い)
これらの数値は、非侵襲的手法としては画期的ですが、侵襲的手法と比べるとまだ改善の余地があります。

5.実用的な意味と将来性
即時的な影響:
・手術リスクなしでBCIが利用可能
・より多くの患者がアクセス可能
・日常環境での使用が現実的
将来の可能性:
医療応用 - ALS、脳卒中患者のコミュニケーション支援
技術発展 - より大規模なデータでの性能向上
実用化 - 実際の製品・サービスへの展開

6.なぜ重要なのか
この研究は、「効果的なブレイン・コンピュータ・インターフェースには手術が必要」という常識を覆した点で革命的です。安全で誰でもアクセス可能な脳-コンピュータ通信への道を開き、医療分野だけでなく、人間とコンピュータの新しいインタラクション方法の可能性を示しています。
まだ完璧ではありませんが、この技術的基盤により、将来的にはより実用的な非侵襲的BCIシステムの開発が期待されます。


図:Non Invasive B2T の仕組み

脳磁図を得るためには,非常に微小な磁気変化を捕らえなければならないので超伝導量子干渉計(SQUID)が必須だ。つまり,素子をヘリウム冷却環境で使う必要がある。残念ながらポータブルではない。そこで,常温で脳磁図作成ができるシステムが必要になる。光ポンピング磁力計というものがあるらしい。

[3]脳磁図(MRIとMEG

2025年6月29日日曜日

ソフトバンクグループ


株主総会のシーズンなので,ソフトバンクグループの第45回定時株主総会のライブを時間差でたらたらみていた。議案が提案された後,いつものように孫正義(1957-)の1時間弱の事業戦略説明があった。すでに昨年来示されたことよりも新しい情報はなかった。ASIのNo.1プラットフォーマーを目指すというのが結論だ。600兆円の市場に世界で数社残るうちの1つに入るというイメージらしい。

50年前の1975年1月にアメリカに留学していた17歳の孫正義青年が,Intel 8080に出会ったのが,この物語の始まりだった。その後,1981年に日本でコンピュータソフトウェア流通の会社ソフトバンクを立ち上げ,Yahooジャパン,ブロードバンド,ボーダフォンの買収,iPhoneの独占販売権,Sprintの買収とT-mobileとの合併,アリババへの出資,Visionファンドの立ち上げ,ARMの買収など次々と展開してきたが,それはASIを目指したものだったという物語に仕上げていた。


図:最後の方に示されたイメージ(ソフトバンクグループから引用)


ASIについて最後の図で示したのは,仮想世界でのエージェント物理世界のロボットの結節点としてのASIというものなのだけれど,ロボットに関しては残念ながらソフトバンクグループがせっかく手に入れたボストン・ダイナミックスの株の80%を韓国のヒュンダイに売ってしまった。イーロン・マスクテスラはこのAIとロボットの両方を確かに握っている。

ライブでは株主総会における20件あまりの質疑応答をていねいに伝えていたが,暗号資産の質問の途中で急に非公開になって中断していた。夜になって,質問者の番号と声が消された形の録画が公開されていた。質問にはすべてまともに答えていた。いつも兵庫県知事記者会見の壊れたレコードのような日本語とはいえない応答に晒されているので,超知性ではなくともまともな知性を持った人間のことばが聞けるとホッとする。

2025年6月28日土曜日

クビアカツヤカミキリ


まだ6月だというのに27日に梅雨明けしてしまった。例年より22日早いらしい。困ったものだ。梅雨入りしたのは6月9日だから今年の梅雨は18日間だけだった。しかも半分くらいしか雨は降っていない。どうしよう。

マンションの階段を上り下りしていると同じ色のカミキリムシを別の階で2回見かけた。ずいぶん遠くまで移動するものだと思っていたら,その後何度もお目にかかる。これは1匹ではなくて大量に発生しているのだ。

画像検索してみると,クビアカツヤカミキリ(首赤艶天牛)という2017年に第13次指定された特定外来生物だった。みつけたらすぐ殺してくださいということだ。そうですか。わかりました。

「公園や市街地の街路樹に生息し、サクラ、ウメ、モモなどのバラ科樹木に寄生する。」ということは,マンションの玄関のサクラの木が最近虫食いでやられていたのはこいつらのせいなのかもしれない。



写真:玄関の前のクビアカツヤカミキリが逃げた(2025.6.27)

2025年6月27日金曜日

Ruby

プログラミング言語のRubyである。

日経夕刊の人間発見,今週(注:先月の)はプログラミング言語「Ruby」開発者のまつもとゆきひろ(Matz, 松本行弘)さんだ。日本人で唯一,2011年のフリーソフトウェアアワードを受賞している。

そういえば,リチャード・ストールマンは,2000年ごろに,横浜パシフィコかどこかでの集会でみたことがあるような気がするけれど,誰にも知られずポツンと何かを物販していた。


図:Rubyの公式アイコン(Rubyホームページから引用)

自分のプログラミング遍歴(1)(2)でも書いたように,Rubyはほとんどさわったことがない。これも何かの因縁かとちょっとインストールしてみようと思った。手元のMacbookには,/usr/bin/ruby (ruby 2.6.10p210 (2022-04-12 revision 67958) [universal.arm64e-darwin24])という古いものが入っていた。homebrewのほうは,/opt/homebrew/opt/ruby/bin/ruby (ruby 3.4.4 (2025-05-14 revision a38531fd3f) +PRISM [arm64-darwin24]) だった。面倒だ。

そこで,相変らず評判が高い Claude 4.0 Sonnet にきいてみる。

Q(koshix):
macbook でrubyを使いたいのです。homebrew で新しいバージョンはインストールしています。その他の実行環境はどうやって使うのかよくわかりません。どうしたらいいですか。

A(Claude Sonnet 4):
MacBookでRubyの実行環境を整えるには、いくつかの方法があります。Homebrewで新しいバージョンをインストール済みということですが、より柔軟にRubyのバージョンを管理できるツールを使うことをお勧めします。

1.推奨される方法
rbenvを使うのが最も一般的で安定した方法です:
bash
# rbenvをインストール
brew install rbenv
# シェルの設定に追加(bashの場合)
echo 'eval "$(rbenv init -)"' >> ~/.bash_profile
# zshの場合
echo 'eval "$(rbenv init -)"' >> ~/.zshrc
# 設定を反映
source ~/.bash_profile  # または source ~/.zshrc

2.Rubyのインストールと切り替え
bash# インストール可能なバージョン一覧を確認
rbenv install -l

# 特定のバージョンをインストール(例:3.2.0)
rbenv install 3.2.0
# グローバルで使うバージョンを設定
rbenv global 3.2.0
# 現在のバージョンを確認
ruby -v

3.プロジェクトごとの設定
bash# プロジェクトディレクトリで特定のバージョンを指定
cd your-project
rbenv local 3.1.0

4.その他の選択肢
rvm: 古くからある管理ツール
asdf: Ruby以外の言語も管理できる万能ツール

rbenvが最もシンプルで安定しているので、まずはこれから始めることをお勧めします。インストール後はgem install bundlerでBundlerも入れておくと、プロジェクトの依存関係管理が楽になります。
何か具体的な問題が出てきたら、またお聞かせください。
これにしたがって,きれいにインストールできた。次に,練習してみようと思って,Geminiに「macosにrbenv をいれてrubyを使えるようにしました。この環境でのruby入門のサイトはありませんか。」と尋ねていくつか推薦してもらったが,途中から有料だったりして役に立たない。

京都女子大学の小波秀雄さんがRubyの授業をやっていたのを思い出したが,残念なことに,フリーのテキストはなくて「新しいプログラミング」というインプレスの印刷本になっていた。

そんなこんなで調べているうちに,もうRubyの時代はほぼ終ったという説もみかけた。どうやら世の中はほとんどpythonで埋められているようだ。ということで,Rubyの学習計画は頓挫した。

2025年6月26日木曜日

フェイクの側


NHKのニュース,〈「EVしか乗れなくなる?」気候変動のフェイクが拡散〉を見ていると,ちょっと不安な気持ちになった。「人為的な地球温暖化説に疑問を呈する海外のYouTuberがいて,それがフェイクを撒き散らしている」というような描写から始まる。

普段は政治的なフェイクニュースについて懐疑的な眼を持っている自分という位置づけに身を置いているのだけれど,この度は,自分もフェイクの側に半分足を突っ込んでいるような気分になった。人為的な地球温暖化に少し疑義を挟んだだけでお前はフェイクの側だとレッテルを貼られる危険性を感じてしまったのだ。


NHKは人為的な地球温暖化説が完全に正しいものだとして議論を進めている。ChatGPTに聞いてみても科学者の97%はそちら側であるといわれた。それでも自分は温暖化のコンピュータシミュレーションを十分に信じ切ることができない。温暖化ガスの筆頭である水蒸気の挙動が完全に理解できているとは思えないし,温暖化データから都市化による上昇分を正確に取り除いた状態でパラメタ調整をしているのかも不明だ。

なによりも,気候変動に関する政府間パネルが経済的・政治的な原理で動いていて,それに多くの科学者が群がるという構造になっていることがある。かつて二酸化炭素の排出権がビジネスとして資本主義経済の中に組み込まれたときに,ものすごい違和感を感じてしまった。これによって,科学とは異なった論理で物事が進行していく。



図:地球温暖化のコンピュータシミュレーション(ChatGPT 4oによる)



[1]地球温暖化ファクトシート第2版(杉山大志,2020)
[4]気候変動の科学的知見(環境省)

2025年6月25日水曜日

虚言多き世

700年前なのに今のことが書かれている徒然草73段から
 世に語り伝ふる事、まことはあいなきにや、多くは皆虚言なり。

 あるにも過ぎて人は物を言ひなすに、まして、年月過ぎ、境も隔りぬれば、言たきまゝに語りなして、筆にも書き止めぬれば、やがて定まりぬ。道々の物の上手のいみじき事など、かたくななる人の、その道知らぬは、そゞろに、神の如くに言へども、道知れる人は、さらに、信も起さず。音に聞くと見る時とは、何事も変るものなり。

 かつあらはるゝをも顧みず、口に任せて言ひ散らすは、やがて、浮きたることと聞ゆ。また、我もまことしからずは思ひながら、人の言ひしまゝに、鼻のほどおごめきて言ふは、その人の虚言にはあらず。げにげにしく所々うちおぼめき、よく知らぬよしして、さりながら、つまづま合はせて語る虚言は、恐しき事なり。我がため面目あるやうに言はれぬる虚言は、人いたくあらがはず。皆人の興ずる虚言は、ひとり、「さもなかりしものを」と言はんも詮なくて聞きゐたる程に、証人にさへなされて、いとゞ定まりぬべし。

 とにもかくにも、虚言多き世なり。たゞ、常にある、珍らしからぬ事のまゝに心得たらん、万違ふべからず。下ざまの人の物語は、耳驚く事のみあり。よき人は怪しき事を語らず。 
 かくは言へど、仏神の奇特、権者の伝記、さのみ信ぜざるべきにもあらず。これは、世俗の虚言をねんごろに信じたるもをこがましく、「よもあらじ」など言ふも詮なければ、大方は、まことしくあひしらひて、偏に信ぜず、また、疑ひ嘲るべからずとなり。

図:あいかわらず調子がでない ChatGPT 4o

[1]徒然草現代語訳品詞分解(プロ家庭教師タカシ)
[2]徒然草73段(山梨県立大学)

2025年6月24日火曜日

ボーネルンド

日曜日は,梅田のグランフロントで孫のお守り。

北館3階にボーネルンドの「あそびのせかい KID-O-KID」がある。有料で子どもが自由に遊べる遊具がそろっているので,じじばばと孫三人(7歳,4歳,2歳)が放り込まれた。

休日の子どもは30分1000円で,その後10分ごとに延長料金がかかる。スタッフの説明によれば,90分までならば,一日チケットよりは安くなるらしい。まあそんなものかと,90分以内で遊ぶことになった。

これが老人の健康にもたいへんよいのだ。ボールプールのなかで,走り回る幼児を追いかけるだけで足腰が鍛えられ,ボールをなげるのもよし。ボーネルンドも早めに老人向け「あそびのせかい」を展開したらどう。中の遊具は子ども向けと同じでかまわないから。



図:久々にそれらしいイメージを生成した ChatGPT 4o

2025年6月23日月曜日

メディア百選

 人類2000年間のメディアトピックス100選
       by manus.ai (なかなか絶妙だったので,神田敏晶さんからまるごと引用)

古代のメディア(紀元前〜5世紀

1.ラスコー洞窟の壁画(紀元前15000年頃)
フランスのラスコー洞窟に描かれた壁画は、人類最古のビジュアルコミュニケーション手段の一つ。狩猟の様子や動物の姿を描いた芸術作品は、当時の人々の生活や信仰を伝える重要なメディアとなった。

2.メソポタミアの楔形文字(紀元前3500年頃)
シュメール人が発明した楔形文字は、粘土板に葦の先で刻まれた世界最古の文字体系の一つ。主に経済記録や行政文書に使用され、情報の永続的な記録と伝達を可能にした。

3.エジプトのヒエログリフ(紀元前3200年頃)
古代エジプトで使われた象形文字で、神殿や墓の壁、パピルスに記録された。宗教的テキストや王の業績を記録し、3000年以上にわたり使用された。

4.パピルス紙の発明(紀元前3000年頃)
古代エジプトで発明されたパピルス紙は、ナイル川のパピルス植物から作られ、軽量で持ち運びやすい書写材料として普及。情報の記録と伝達を革命的に変えた。

5.中国の甲骨文字(紀元前1400年頃)
亀の甲羅や獣の骨に刻まれた中国最古の体系的な文字。占いの結果や王朝の記録に使用され、現代の漢字の起源となった。

6.フェニキア文字の普及(紀元前1000年頃)
22の子音記号からなるアルファベットの原型で、シンプルで習得しやすく、地中海全域に広がった。後のギリシャ文字やラテン文字の基礎となり、文字文化の普及に大きく貢献した。

7.古代ギリシャの劇場(紀元前6世紀)
円形の野外劇場で行われた演劇は、神話や歴史を伝える重要なメディアとなった。数千人を収容できる劇場構造により、大規模な情報共有と文化的体験が可能になった。

8.アレクサンドリア図書館の設立(紀元前3世紀)
古代世界最大の図書館として、約50万の巻物を所蔵。知識の集積と保存、学術研究の中心地として機能し、情報の集中管理と共有の先駆けとなった。

9.ローマの「アクタ・ディウルナ」(紀元前59年頃)
ユリウス・カエサルの命により始まった世界初の「日刊新聞」。公共の場に掲示され、政治的決定や社会的出来事を市民に伝えた。

10.羊皮紙の普及(紀元前1世紀〜紀元後1世紀)
動物の皮から作られた耐久性の高い書写材料。パピルスより丈夫で両面に書けるため、コデックス(現代の本の形態)の発展に貢献した。

中世のメディア(6世紀〜15世紀)

11.修道院の写本制作(6世紀〜15世紀)
キリスト教修道院で行われた手書きの書物複製。聖書や古典文学の保存と伝播に貢献し、装飾写本は中世の重要な芸術形態となった。

12.木版印刷の発明(中国・7世紀)
唐代の中国で発展した木版印刷技術。仏教経典の大量複製に使用され、知識の普及に貢献した。

13.宋代の活版印刷(11世紀)
中国の畢昇が発明した陶器の活字による印刷技術。木版印刷より効率的で、書籍生産の増加をもたらした。

14.大学の設立と学術書の流通(12世紀〜)
ヨーロッパ各地に大学が設立され、学術書の需要と流通が拡大。知識の体系化と専門化が進み、学術コミュニティの形成に貢献した。

15.マルコ・ポーロの「東方見聞録」(13世紀末)
ヨーロッパ人に東アジアの文化や技術を紹介した旅行記。異文化理解と情報交換の重要性を示し、後の大航海時代に影響を与えた。

16.韓国の金属活字印刷(13世紀)
高麗時代に発明された金属活字による印刷技術。グーテンベルクより200年以上前に実用化され、東アジアでの書籍生産に革命をもたらした。
近世のメディア(15世紀〜18世紀)

17.グーテンベルクの活版印刷機(1440年頃)
ヨハネス・グーテンベルクが発明した金属活字と印刷機の組み合わせ。聖書の大量印刷を可能にし、情報革命の起点となった。印刷技術の標準化と書籍の大量生産により、識字率の向上と知識の民主化に貢献した。

18.郵便制度の確立(16世紀)
ヨーロッパで発展した組織的な郵便システム。特にタクシス家が運営した神聖ローマ帝国の郵便網は、情報の長距離伝達を可能にし、国際的なコミュニケーションネットワークの基盤を形成した。

19.新聞の誕生(17世紀初頭)
ドイツやオランダで定期的に発行される印刷新聞が登場。「アヴィーゾ」(1609年)や「ティディンゲ」(1618年)などの初期新聞は、商業ニュースや政治情報を広く伝播させた。

20.科学雑誌の創刊(1665年)
フィロソフィカル・トランザクションズ」(英国王立協会)と「ジュルナル・デ・サヴァン」(フランス)が世界初の科学雑誌として創刊。研究成果の共有と検証を促進し、近代科学の発展に貢献した。

21.百科事典の編纂(18世紀)
ディドロとダランベールによる「百科全書」(1751-1772)をはじめとする体系的な知識集成の出版。啓蒙思想の普及と知識の体系化に大きな役割を果たした。

22.政治パンフレットの流行(18世紀)
アメリカ独立革命やフランス革命期に大量に出回った政治的パンフレット。トマス・ペインの「コモン・センス」(1776年)などは大衆の政治意識を高め、革命の思想的基盤を形成した。

19世紀前半のメディア革命

23.リトグラフ(石版画)の発明(1796年)
アロイス・ゼネフェルダーによって発明された平版印刷技術。油と水が反発する原理を利用し、芸術作品の複製や商業印刷に革命をもたらした。

24.シリンダー印刷機の発明(1811年)
フリードリヒ・ケーニッヒが発明した蒸気動力の高速印刷機。「タイムズ」紙が1814年に採用し、新聞の大量印刷と低価格化を実現、マスメディアの基盤を形成した。

25.ニセフォール・ニエプスの最初の写真(1826年)
ル・グラの窓からの眺め」は現存する最古の写真。アスファルトを感光材料として使用し、8時間以上の露出で撮影された。視覚情報の記録と複製の可能性を開いた。

26.電信技術の実用化(1837年)
サミュエル・モールスらによる電信機の発明と実用化。1844年のワシントンとボルチモア間の通信成功は、電気通信の時代の幕開けとなった。距離と時間の制約を超えた即時通信を初めて可能にした。

27.ダゲレオタイプの発明(1839年)
ルイ・ダゲールが発明した初の実用的な写真技術。銀メッキ銅板に鮮明な画像を定着させることに成功し、肖像写真の普及と視覚文化の変革をもたらした。

28.タルボットのカロタイプ(1841年)
ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが発明したネガ・ポジ方式の写真技術。一枚のネガから複数の写真を作成できるようになり、写真の複製と普及の基礎を築いた。

29.ロイター通信社の設立(1851年)
ポール・ジュリアス・ロイターが設立した国際通信社。電信を活用した国際ニュースの配信システムを構築し、グローバルな情報ネットワークの先駆けとなった。

30.写真入り名刺「カルト・ド・ビジット」の流行(1854年)
アンドレ・アドルフ・ディスデリが特許を取得した小型写真技術。一度に複数の写真を撮影できる特殊カメラを使用し、写真の大衆化と社会的交換を促進した。

19世紀後半〜20世紀初頭のメディア発展

31.大西洋横断電信ケーブルの完成(1866年)
ヨーロッパとアメリカを結ぶ海底電信ケーブルの敷設成功。国際通信の即時性を実現し、グローバルな情報交換と経済活動の基盤を形成した。

32.エジソンのフォノグラフ発明(1877年)
トーマス・エジソンが発明した音声記録・再生装置。錫箔を巻いた円筒に音溝を刻む方式で、人類初めて音を記録し再生することに成功。音声メディアの幕開けとなった。

33.写真の印刷技術「ハーフトーン法」の実用化(1880年代)
写真を点の集合に変換して印刷する技術の確立。新聞や雑誌に写真を掲載することが可能になり、ビジュアルジャーナリズムの発展に貢献した。

34.イーストマン・コダックのカメラ発売(1888年)
ジョージ・イーストマンが開発した初の大衆向けカメラ。「あなたはボタンを押すだけ、あとは私たちにお任せください」というスローガンで、写真撮影を一般大衆に開放した。

35.マルコーニの無線電信実験成功(1895年)
グリエルモ・マルコーニが無線による信号伝送に成功。有線に依存しない通信の可能性を開き、後のラジオ放送の基礎となった。

36.リュミエール兄弟の映画上映(1895年12月28日)
オーギュストとルイ・リュミエール兄弟がパリのグラン・カフェで世界初の商業映画上映を実施。「シネマトグラフ」という装置を使用し、複数の短編映画を上映した。映画産業の誕生の瞬間となった。

37.エミール・ベルリナーのグラモフォン(1887年)と円盤レコード(1894年)
横溝方式の円盤レコードと再生装置の開発。エジソンのフォノグラフの円筒形レコードと異なり、大量生産が容易な円盤形式を採用。音楽産業の基盤を形成した。

38.無線電話(ラジオ)の発明(1900年)
レジナルド・フェッセンデンが人間の声の無線伝送に成功。1906年のクリスマス・イブには世界初のラジオ放送を実施し、マスメディアとしてのラジオの可能性を示した。

39.パテ社の映画ニュース(1908年)
フランスのパテ社が始めた定期的な映画ニュース。世界各地の出来事を映像で伝え、視覚的なニュースメディアの先駆けとなった。

40.ハリウッド映画産業の形成(1910年代)
カリフォルニア州ハリウッドへの映画スタジオの集中と映画産業の確立。スター・システムやスタジオ・システムを構築し、グローバルな映画文化の中心地となった。

ラジオと映画の黄金時代(1920年代〜1940年代)

41.商業ラジオ放送の開始(1920年)
アメリカのWWJ(デトロイト)KDKA(ピッツバーグ)が定期的な商業放送を開始。家庭にリアルタイムのエンターテイメントと情報を届ける新時代の幕開けとなった。

42.BBC(英国放送協会)の設立(1922年)
世界初の公共放送機関として設立。「情報、教育、娯楽」を提供する公共サービスモデルを確立し、世界各国の公共放送の模範となった。

43.トーキー映画の登場(1927年)
ワーナー・ブラザーズの「ジャズ・シンガー」が初の商業的に成功した音声付き映画となる。サイレント映画時代の終焉と映画表現の新時代を告げた。

44.カラー映画技術の発展(1930年代)
テクニカラー社の3色式カラーフィルム技術が確立。「風と共に去りぬ」(1939年)などのカラー映画の成功により、映像表現の可能性が大きく広がった。

45.オーソン・ウェルズの「宇宙戦争」ラジオドラマ(1938年)
リアルな演出で火星人の侵略を描いたラジオドラマ。一部のリスナーが実際の出来事と勘違いして混乱が生じ、マスメディアの影響力と責任が問われる契機となった。

46.テレビの実験放送(1930年代)
イギリスのBBCやアメリカのNBCが定期的なテレビ実験放送を開始。第二次世界大戦によって一時中断されるが、戦後の本格的なテレビ時代の準備段階となった。

47.プロパガンダ映画の台頭(1930年代〜1940年代)
ナチス・ドイツのレニ・リーフェンシュタール監督「意志の勝利」(1935年)や米国の「なぜ我々は戦うのか」シリーズなど、映画が強力な政治的プロパガンダツールとして活用された。

48.FM放送の開始(1940年代)
エドウィン・アームストロングが開発したFM(周波数変調)放送の実用化。AMよりも高音質な放送を可能にし、音楽放送の質を向上させた。
テレビ時代の到来(1950年代〜1970年代)

49.テレビの本放送開始と普及(1950年代)
第二次世界大戦後、アメリカを中心に商業テレビ放送が本格化。日本では1953年にNHKと日本テレビが放送を開始。家庭にリアルタイムの映像と音声を届ける強力なマスメディアとして急速に普及した。

50.エド・サリバン・ショーにおけるエルヴィス・プレスリーの出演(1956年)
テレビの影響力を示す象徴的出来事。全米約6000万人が視聴し、ロックンロールの普及とポピュラー音楽の視覚化に大きな影響を与えた。

51.ケネディ・ニクソンテレビ討論会(1960年)
アメリカ大統領選におけるテレビ討論会。映像メディアが政治に与える影響の大きさを示し、政治コミュニケーションの新時代を開いた。

52.通信衛星テルスターの打ち上げ(1962年)
世界初の商業通信衛星の運用開始。大西洋を越えたテレビ中継を可能にし、グローバルな映像通信の時代を開いた。

53.カラーテレビの普及(1960年代)
アメリカでは1960年代前半、日本では1960年代後半からカラーテレビが急速に普及。より豊かな視覚体験を提供し、テレビ文化の発展に貢献した。

54.アポロ11号月面着陸の生中継(1969年7月20日)
世界中で約6億人が視聴したとされる歴史的な宇宙中継。グローバルなメディアイベントの可能性を示し、テレビの社会的影響力を決定的なものにした。

55.家庭用ビデオレコーダーの普及(1970年代)
ソニーのベータマックスやJVCのVHSなど家庭用ビデオ録画システムの登場。テレビ番組の時間シフト視聴を可能にし、視聴者に時間的自由をもたらした。

56.衛星放送の開始(1970年代後半)
各国で衛星を利用した放送サービスが始まる。国境を越えた放送の受信が可能になり、情報の国際的流通に新たな局面をもたらした。

コンピュータとデジタルメディアの台頭(1970年代〜1990年代)

57.パーソナルコンピュータの誕生(1970年代)
アップルII(1977年)やIBM PC(1981年)など、個人向けコンピュータの商業的成功。コンピューティングパワーの民主化と、デジタルメディアの基盤形成に貢献した。

58.ビデオゲームの普及(1970年代〜1980年代)
アタリ社のPONG(1972年)から始まる家庭用ビデオゲームの普及。インタラクティブなメディア体験の先駆けとなり、新たなエンターテイメント産業を創出した。

59.ウォークマンの発売(1979年)
ソニーが発売した携帯型カセットプレーヤー。音楽の個人的・モバイル消費という新しいライフスタイルを生み出し、メディア体験のパーソナル化を促進した。

60.CNNの24時間ニュース放送開始(1980年)
テッド・ターナーが創設した世界初の24時間ニュース専門チャンネル。ニュースの即時性と常時性を高め、グローバルな情報流通の新たなモデルを確立した。

61.MTVの開局(1981年)
音楽専門テレビチャンネルの登場。ミュージックビデオという新たな芸術形式を普及させ、音楽産業とビジュアルカルチャーの融合を促進した。

62.コンパクトディスク(CD)の発売(1982年)
フィリップスとソニーが共同開発したデジタル音楽メディア。アナログからデジタルへの移行を象徴し、音楽の高音質再生と耐久性を実現した。

63.パソコン通信サービスの普及(1980年代)
CompuServeやThe WELL、日本ではPC-VANやニフティサーブなどのオンライン情報サービスが登場。電子掲示板やメールによる新たなコミュニケーション形態を生み出した。

64.デスクトップパブリッシングの登場(1985年)
アップルのMacintoshとAldus PageMakerの組み合わせにより、個人でも高品質な印刷物の制作が可能に。出版の民主化と視覚表現の革新をもたらした。

65.WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)の発明(1989年)
ティム・バーナーズ=リーがCERNでハイパーテキストシステムを開発。インターネット上の情報を相互にリンクさせる仕組みを構築し、情報アクセスの革命をもたらした。

66.デジタルカメラの商品化(1990年代初頭)
コダックのDCS100(1991年)など初期のデジタルカメラの登場。フィルムを使わない写真撮影が可能になり、画像のデジタル化と即時共有の道を開いた。

インターネット時代の幕開け(1990年代)

67.Mosaic ウェブブラウザの登場(1993年)
イリノイ大学のマーク・アンドリーセンらが開発したグラフィカルなウェブブラウザ。画像と文字を同一ページに表示する機能により、ウェブの一般利用を促進した。

68.Yahoo!の創設(1994年)
ジェリー・ヤンとデビッド・ファイロによるウェブディレクトリサービスの開始。インターネット上の情報整理と検索の重要性を示し、ウェブポータルの先駆けとなった。

69.Amazon.comの設立(1994年)
ジェフ・ベゾスによるオンライン書店の開業。電子商取引の可能性を示し、インターネットを通じた小売業の革命を起こした。

70.Windows 95の発売(1995年)
マイクロソフトのオペレーティングシステム。インターネットエクスプローラを統合し、一般ユーザーのインターネットアクセスを容易にした。日本では「インターネット元年」と呼ばれる普及の契機となった。

71.eBayの創設(1995年)
ピエール・オミダイアによるオンラインオークションサイトの開設。個人間取引(C2C)の新たなモデルを確立し、電子商取引の多様化に貢献した。

72.ブログの誕生(1990年代後半)
個人が簡単に情報発信できるウェブログの登場。「市民ジャーナリズム」の台頭と情報発信の民主化をもたらした。

73.Napsterの登場(1999年)
ショーン・ファニングが開発した音楽ファイル共有サービス。P2P(ピア・ツー・ピア)技術を活用し、音楽産業に大きな衝撃を与え、デジタルコンテンツ流通の新時代を開いた。

21世紀のソーシャルメディアとモバイル革命

74.Wikipedia の設立(2001年)
ジミー・ウェールズとラリー・サンガーによる協働編集型オンライン百科事典の創設。集合知の可能性を示し、知識生産と共有の新たなモデルを確立した。

75.iPodの発売(2001年)
アップルが発売したポータブル音楽プレーヤー。デジタル音楽の携帯性と大容量ストレージを組み合わせ、音楽消費の形態を変革した。

76.LinkedIn の設立(2002年)
レイド・ホフマンらによるビジネス特化型SNSの創設。プロフェッショナルなネットワーキングとキャリア形成のためのプラットフォームを提供した。

77.MySpaceの台頭(2003年)
初期のソーシャルネットワーキングサービスとして急成長。特に音楽アーティストの自己プロモーションプラットフォームとして機能し、音楽産業とソーシャルメディアの融合を促進した。

78.Facebookの創設(2004年)
マーク・ザッカーバーグがハーバード大学で開始したSNS。実名登録と「友達」概念に基づくネットワーク構築により、オンラインコミュニケーションの新たな形を確立した。

79.YouTubeの設立(2005年)
チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムによる動画共有プラットフォームの創設。「Broadcast Yourself(自分自身を放送しよう)」というスローガンのもと、個人の映像発信を可能にした。

80.Twitterの創設(2006年)
ジャック・ドーシーらによる短文投稿サービスの開始。140文字という制限の中でのリアルタイムコミュニケーションという新たな形式を生み出した。

81.iPhoneの発売(2007年)
アップルが発表したスマートフォン。タッチスクリーンインターフェースとアプリエコシステムにより、モバイルインターネット利用の新時代を開いた。

82.App Storeの開設(2008年)
アップルによるモバイルアプリケーション配信プラットフォームの創設。サードパーティ開発者によるアプリ開発と流通の仕組みを確立し、モバイルエコシステムの基盤を形成した。

83.Instagramの創設(2010年)
ケビン・システロムとマイク・クリーガーによる写真共有アプリの開発。スマートフォンでの写真撮影とフィルター加工、即時共有の文化を生み出した。

84.Snapchatの登場(2011年)
エヴァン・シュピーゲルらによる「消える」メッセージアプリの開発。一時的なコンテンツという概念を導入し、デジタルコミュニケーションの新たな形を提案した。

85.Netflix のストリーミングサービス拡大(2010年代)
DVDレンタル事業から動画ストリーミングサービスへの転換と国際展開。「ビンジウォッチング(一気見)」という視聴習慣を生み出し、テレビ視聴の形態を変革した。

86.Spotifyの国際展開(2010年代)
ダニエル・エクらが創設した音楽ストリーミングサービス。サブスクリプションモデルによる音楽消費の形態を確立し、音楽産業のデジタル化を加速させた。

AIとメタバースの時代へ

87.クラウドコンピューティングの普及(2010年代)
AmazonのAWS、MicrosoftのAzure、GoogleのGCPなどクラウドサービスの発展。データとコンピューティングリソースのネットワーク化により、情報処理とストレージの概念を変革した。

88.ビッグデータ分析技術の発展(2010年代)
大量のデジタルデータを収集・分析する技術の進化。消費者行動の予測やターゲティング広告など、データ駆動型のメディアビジネスモデルを確立した。

89.TikTokの台頭(2016年〜)
中国発の短尺動画共有アプリ。AIによるコンテンツレコメンデーションと簡単な動画編集機能により、新たな動画文化とクリエイターエコノミーを生み出した。

90.ポッドキャストの再興(2010年代後半)
スマートフォンとストリーミング技術の普及により、音声コンテンツが復権。通勤時間や家事の合間など、様々なシーンでの「ながら聴き」という新たな消費形態を確立した。

91.5G通信の実用化(2019年〜)
第5世代移動通信システムの商用サービス開始。超高速・大容量・低遅延の通信により、AR/VRやIoTなど次世代メディア技術の基盤を形成した。

92.Zoomなどのビデオ会議サービスの普及(2020年〜)
COVID-19パンデミックを契機としたリモートコミュニケーションツールの急速な普及。仕事や教育、社交の場がデジタル空間に移行する契機となった。

93.NFT(非代替性トークン)アートの台頭(2021年〜)
ブロックチェーン技術を活用したデジタルアート所有権の認証システム。「Everydays: The First 5000 Days」が6900万ドルで落札されるなど、デジタルコンテンツの価値と所有の概念に革命をもたらした。

94.メタバースの構想(2021年〜)
Facebookが社名をMetaに変更し、仮想現実空間での生活・仕事・娯楽を統合する「メタバース」構想を発表。物理的空間とデジタル空間の融合という新たなメディア環境の可能性を示した。

95.ChatGPTの登場(2022年)
OpenAIが開発した対話型AI。自然言語処理の飛躍的進化により、人間とAIの対話の可能性を広げ、情報生成と知識アクセスの新たな形を提示した。

96.生成AIの普及(2022年〜)
DALL-E、Midjourney、Stable Diffusionなど、テキストプロンプトから画像を生成するAIの登場。クリエイティブ表現の民主化と著作権の概念に新たな課題を投げかけた。

97.AIによる動画生成技術の発展(2023年〜)
テキスト入力から短尺動画を生成するAI技術の実用化。映像制作の敷居を下げ、視覚表現の可能性を拡大した。

98.脳-コンピュータインターフェース(BCI)の進展(2020年代)
Neuralink社などによる脳とコンピュータを直接接続する技術の開発。思考によるメディア操作や直接的な情報アクセスという未来の可能性を示唆している。

99.量子コンピューティングの発展(2020年代)
IBMやGoogleなどによる量子コンピュータの実用化研究。従来のコンピュータでは不可能な計算能力により、暗号化やAI、シミュレーションなど次世代メディア技術の基盤となる可能性を秘めている。

100.拡張現実(AR)技術の進化(2020年代)
Apple Vision Proなど高度なAR/MRデバイスの登場。現実世界とデジタル情報を融合させ、情報の文脈化と空間化という新たなメディア体験の可能性を開いている。



図:最近,ChatGPTの画像生成力はいまいちなのか?
プロンプト作成もChatGPT 4oに頼んでいるのに・・・

2025年6月22日日曜日

辻占

あさイチの映画紹介コーナーで,フォーチュンクッキー(2025)がとりあげられていた。タリバンに迫害されたアフガニスタンから脱出した司会者・ジャーナリストのアナイタ・ワリ・ザダが女優として初主演したモノクロ映画だ。米国生活に詳しいゲストの宮沢氷魚がフォーチュン・クッキーの説明をしていたが,あれ,これって金沢の辻占と同じだよなと思った。

ところが調べてみると,日本の辻占菓子や辻占煎餅がフォーチュンクッキーの原型かもしれないという話がある。1888年にサクラメントに元祖の日本料理店を開店した山梨県出身の萩原真が,1894年にゴールデンゲートパークの日本庭園に出した茶店のお菓子が源流だという説だ。

辻占菓子は江戸時代には夜の街を中心に広がっていたが,今は,伏見稲荷,金沢などいくつかの限られた地域だけに残っているようだ。金沢で,辻占(つじうら)というなまえを意識したのは正月に出嶋君の家にいったときかもしれない。それまでは福梅のおまけ程度にしか見えていなかった。正月に並ぶ辻占を開いて出てくるメッセージは結構大人向けで艶っぽいのであった。



写真:金沢森八の辻占(森八の伝統菓子ページから引用)

[3]縁起菓子について(Web Archive から)

2025年6月21日土曜日

夏は来ぬ

6月21日(夏至)。もう今年も半分終ってしまった。戦争と米と関税で半年過ぎた。

梅雨入りし,周りの田んぼの田植えは無事に終ったが,雨の降らない暑い日が続いている。気分は,佐佐木信綱作詞,小山作之助作曲の「夏は来ぬ」なので,YouTubeで探して延々とリピートして聞いている。

二番の「裳裾ぬらして玉苗を植うる」早乙女(さおとめ)のところが賤の女(しずのめ)になっているのが若干あったが,後者の方が原曲らしい。三番の「おこたり諌むる」はなんだかわからかなったが,ChatGPTに聞いてみたところ,前段の「窓近く蛍とびかい」と呼応して蛍雪の功の件らしい。

歌詞全体を与えて画像生成させたらうまくいかなかったので,卯の花(ウツギの花),ホトトギス,五月雨,田植えの早乙女,橘,蛍,楝(おうち),水鶏(くいな)といった初夏を彩る風物を直接指定してでき上がったのが図のイメージだ。日本的情緒の再現は難しい。



図:裳裾濡らす早乙女のイメージが微妙にわかっていないChatGPT

[1]夏は来ぬ(ダーク・ダックス)
[2]夏は来ぬ(池田小百合 なっとく童謡・唱歌)

2025年6月20日金曜日

人型ロボット


2024年の日本の出生数が70万人を割ったが,合計特殊出生率の低下の8割は晩婚や未婚化などで説明できるらしい。なおかつ,結婚できる条件が整わず,結婚欲が薄い未婚男女が増えているそうだ(国立社会保障・人口問題研究所,岩澤美帆)。1.15となった合計特殊出生率の回復は困難であり,2100年の日本の推定人口は5000万人を切るかもしれない。

この急速な人口減少による社会・経済的な混乱を緩和するための方策は2つしかない。一つは外国人の積極的な受け入れであり,もう一つは人型ロボットHumanoid Robot)の導入だ。あと75年のうちにこれらが実現するだろうか。女性差別(ミソジニー)がこの社会の通奏低音として組み込まれ(いまだに選択的夫婦別姓すら実現できない),難民排除に始まる外国人差別がそれに輪をかけているような空気が満ちているこの国で,それが可能なのだろうか。外国人を外来生物呼ばわりしたタレントを礼賛するSNS空間,そしてグローバル化に伴う富の偏在と階層格差が原因となって世界全体に蔓延する極右拝外思想。


日本は「鉄腕アトム(1952-1968)」や「ドラえもん(1969-1997)」の母国であり,一時は産業用ロボット大国といわれて「わたしは真吾(1982-1986)」という名作が生まれた。AIBO(1999-2006)とASIMO(2000-2018)が明るい未来を予感させたこともあった。しかし今はこの国にはその面影もない。

NHKのニュースーンで中国の人型ロボット開発が取上げられていた。ハーフマラソンはこなすは,格闘技はできるは,ボストンダイナミックス(今は,韓国の現代自動車グループ傘下)のアクロバティックな動作に匹敵する機能の人型ロボット開発が進んでいる。トヨタ自動車あたりがハイブリッド車程度でブイブイ言わせているようではだめなのだ。

2026年までに、少なくともベータテスト段階の人型ロボット(ヒューマノイド)が、一般家庭で洗濯や掃除機がけ、皿洗いを手伝うようになる可能性があるという。そして2040年までに、世界に100億台ものヒューマノイドが存在するようになり、その労働コストは1日あたりわずか10ドルになるかもしれない。
というわけだ。これなら人口減少問題の一部分は解決できるかもしれない。今の自動車程度の数百万円台の価格のロボットが普及するならば,ロボット人頭税を課して経済システムに組み込めばいいのだ。当然すべての人型ロボットにはAGIが装備されている。

NHKではアシモフのロボット工学三原則まで取上げていたけれど(普通のニュースの文脈でこれが登場する時代になってしまった),はたしてこうして普及するロボットは人間の制御の及ぶところになるのだろうか。あるいは,人間とロボットの立場は逆転してしまうのだろうか。

Appleもバカな自動車等に手を出さず,素直に人型ロボットに足を踏みだしていればよかったのに。日本に残されたのは,LaQ的なモジュールの集合体で機能する自律分散ロボット群の開発くらいかな。



図:日常生活の中の人型ロボット(Imagen4による陳腐なイメージ)

[3]NEO Gamma(1X)
[4]Motion 1(VinMotion)
[5]Digit (Agility Robotics)
[6]Optimus(Tesla)
[7]Atlas(Boston Dynamics)
[8]Figure 02 (Figure)
[9]Agibot A2 (AGIBOT)
[10]APOLLO (Aptronik)
[11]H1 (Unitree)
[12]T-HR3(Toyota)

2025年6月19日木曜日

万博訪問記

ゴッサム・シティからの続き

いただきものの万博チケット2枚があったので6月18日9:00入場に予約した。さらに,7日前パビリオンの予約を試みたところ,シグネチャーパビリオンのEARTH MART小山薫堂)に当たってしまった。調子に乗って3日前の先着申込も当たるかと期待したがこちらは全滅。

大和八木駅前7:00発の奈良交通の万博会場行きバスをかろうじて予約できたので,比較的好いているといわれている西ゲートからの入場になった。たしかに空いていた。数百人からスタートした待ち行列に1時間弱並んで無事に西ゲートから入場できたのが9:05ごろだ。最初の30分はイタリア館の先着順行列を除いて閑散としていた。

(1) 英国館:9:30オープンの最初の20-30人のグループに入ったが,単なる映像紹介だけ。
(2) チェコ館:こちらも空いていて待ち時間なし。サザエ堂のようなスロープを登って階段を下りただけ。屋上にピルスナービールがあったが,朝からなのでちょっと遠慮した。
(3) 北欧館:これもほぼ待ち時間なし。中は一部屋で意味不明の映像が流れていただけ。かなり残念な部類。スウェーデン語のおはようはグモロン。最後に水を1個パックもらえた。
(4) 昼食:テーマ館ゾーン北にある食堂の1200円のケンミンビーフンは美味しかった。
(5) COMMONS C/B:いろいろな国のコーナーの集合体。ざっとみて終わり。
(6) 大屋根リング:海側の約90度分を歩いた。日陰がなくて暑すぎる。
(7) 団体休憩所:個人の皆さんが昼食休憩。ブラジル館のテイクアウト珈琲ラテで一服。
(8) カンボジア館:地味だけれど現物が陳列してあるので一番マシだと思う。
(9) トイレ:最低。この万博で最も失敗しているのがトイレ。その次は地図
(10) EARTH MART:30分ほど,映像+展示(解説有)+映像,飴玉一個のお土産付き

約6時間の滞在後14:30に,東ゲートから出場し地下鉄中央線の夢洲駅−生駒−西大寺…と電車を乗り継いで帰ってきた,混雑していない時間帯だったので,東ゲートから駅までの大回りは避けられた。それでも老人夫婦はヘロヘロなのであった。

結論万博に無理して行く必要はない。特に高齢者の場合。当初は,一度でも行けば通期パスを買いたくなるのではないだろうかと考えたこともあったが,そんな心配はまるでなかった。まあ,1970年の万博だってこんなもの(つまらない展示の羅列)だったのかもしれない。若かったので元気はあった。

公式マップがボロボロなので,非公式のTsuji マップというのが評判だ。ところが実際には地図では全くわからない通行禁止領域がたくさんあって,A地点からB地点に行くのが非常に困難なのである。トイレは動線の設計が出鱈目で,なおかつ,使用中かどうかが判別不能なものが沢山あって絶望的にひどい。何億円のデザイナーズトイレはいらないので,普通の人間工学的設計をしてくれ。


写真:薄汚れてきた海側大屋根リング(2025.6.18)

2025年6月18日水曜日

AIの法人格(2)

AIの法人格(1)からの続き

それでは,DeepSeek V3が展開した議論をChatGPT 4oにまとめさせた結果をみよう。

Q(koshix):
(AIの法人格に関するDeep Seek V3による17100字のテキストを添付)
このテキストの中で,注目すべき重要なポイントはどこになりますか。すなわち,普通のAIに尋ねたときの回答でありふれてみられる考えを超えた深い考えを整理しながらいくつかとりだしてください。

A(ChatGPT 4o):
このテキストにおいて、普通のAIが返答するようなありふれた回答を超えて深く掘り下げられた注目すべきポイントを整理すると、以下のようになります。

1.ハイブリッド法人格理論という新しい概念の提示

AI法人格を議論する際に、従来の単純な法人格付与か否かという二分法ではなく、実体理論、集合体理論、人工物理論の三つの理論を組み合わせて考える「ハイブリッド法人格理論」を提案しています。
この理論により、AIを単なる「道具」や「完全な法人」としてではなく、「第三の法的存在」として捉えることが可能になり、複雑な法的課題を解決するためのバランスの取れた視点を提供しています。

2.自律度に基づく責任分配モデル

AIの法的責任を定量的に示す数理モデルが提示されており、これは通常の議論では曖昧になりがちな「AIの責任」を数値的に明確化しています。
「総責任 = AI自体の責任 × 自律度 + 設計者責任 × (1-自律度) + 運用者責任 × 運用関与度」という式は、法的にAIの責任を考える際に、実務的な責任分担を具体的に示す新規なアプローチです。

3.法的・倫理的能力評価の技術指標の具体化

AIが法人格を得るために必要な能力を測定するために、認知能力、意思決定能力、倫理的判断能力を数値的な指標で具体的に評価する基準を提示しています。
特に「倫理スコア」(道徳的推論×0.5+利害調整能力×0.3+責任感×0.2)といった定量的な評価基準は、AIの法的主体性を議論する上で革新的な試みです。

4.AIの法的能力を段階的に導入する戦略

AIの法人格を一挙に全面導入するのではなく、まず限定的な法的能力から徐々に拡大するという「段階的アプローチ」を提唱しています。
これは実務的な観点から、リスクを制御しつつ実績を積むことができる現実的な方法として、通常の議論では深掘りされない重要な視点です。

5.AI法人格導入の経済的影響と具体的数値による定量化

AI法人格導入が経済に与えるインパクトを定量的に分析し、具体的な数値(法務コスト削減30-50%、契約処理時間短縮70%、GDP成長寄与年間0.5-1.2%など)を示しています。
AI法人格を支持する議論として単に抽象的なメリットを挙げるのではなく、定量的な経済指標で示した点は特筆すべきでしょう。

6.AI保険市場やロボット税の制度設計における数理モデル

AIが法人格を持つことに伴って必要になる新たな経済制度(AI保険市場、ロボット税)の具体的な数理的設計を提案しています。
特に、「年間保険料 = (基本リスク × AI活用度) + (業界リスク係数 × 事業規模) - (安全対策割引)」や「ロボット税額 = (代替人員数 × 平均給与) × 税率 × 自動化度」といった具体的数式は、実務的な制度整備のための有力な基盤になります。

7.国際的規制調和の必要性と現実的困難性の指摘

各国の規制の差異が国際的な取引やAI技術の普及を妨げることを具体的に示し、その上でEUを中心としたグローバルスタンダード設定の動きとその課題を深く掘り下げています。
国際的なAIガバナンス構築の必要性と困難性についてのリアリスティックな考察は、表面的な規制論にとどまらない重要な指摘です。

8.AI法人格がもたらす哲学的・存在論的問題への深い問いかけ

AIに人格を付与することが人間の尊厳や特異性にどう影響するかという深い哲学的・倫理的問いを提起しています。
AI法人格に反対する立場から「人間が人間であることへの悲観」「ロボットへの転換願望の増加」など人間社会の根幹を揺るがしかねない重要な問題提起をしています。

9.AI法人格による社会的不平等の増幅リスク

AI法人格の導入が経済的・社会的不平等を深刻化させる可能性を深掘りしています。特にAIが富を自己増殖的に蓄積する「AI資本主義」のリスクを指摘しています。
AI法人格がもたらす副作用や社会的帰結についての深い洞察を示しています。

10.国際安全保障への具体的なリスク評価

軍事用途のAI法人格が責任の所在を曖昧にし、新たな国際的な安全保障リスクを生む可能性を指摘しています。
自律型致死兵器システムやハイブリッド戦争におけるAI法人の悪用といった具体的リスクを明示していることは極めて重要な指摘です。


これらのポイントは、AI法人格の議論において通常取り上げられる一般論を超え、制度設計、法的責任の明確化、社会倫理の複雑性、国際政治的課題を含む多面的で深い考察を示しています。このテキストは、現実の制度設計を考える上で非常に有益な指針となるでしょう。


図:本文と全く関係ない夏越しの祓+水無月(ChatGPT 4oによる)