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2024年4月21日日曜日

涼月

涼月(すずつき)は,1942年に竣工した一等駆逐艦である。戦艦大和の沖縄突入作戦に参加し,被弾しながらかろうじて佐世保に帰投した。戦後,北九州港の軍艦防波堤になった。現在の海上自衛隊には,その名を継ぐ護衛艦すずつきが運用されている。

沖縄突入作戦に投入された駆逐艦涼月の最後の艦長が,平山敏夫海軍中佐であり,その孫が元東京都幹部職員の澤章である。なぜこんな話にたどり着いたかというと,小池百合子の学歴詐称疑惑問題からである。

4ヶ月前,「女帝小池百合子文庫版が,カイロ時代の同居人を実名化して出版されたこと,4日前,小池百合子の元側近(環境省審議官,都民ファーストの会事務総長)の小島敏郎が,学歴詐称疑惑についての記者会見をしたことで,4年ぶりにこの件がネット上で大きな話題になっている。

間接情報を除き,小池百合子の直接の関係者についての情報を総合すれば,全体像が見えてくる。なんだかなあの案件である。その直接の関係者の一人が涼月艦長につながる都庁watchTVの澤章だった。


写真:軍艦防波堤の説明写真


   後編(2023.11.10,北原百代
 3.「女帝 小池百合子」告発者実名公表(2023.11.23,上田令子・郷原信郎)
 4.小池百合子氏、学業実態こそ焦点(2024.4.16,黒木亮)
 6.カイロ大学 "学歴詐称疑惑" 告発(2024.4.17,小島敏郎)☆
 7.小池百合子学歴詐称の真相(2024.4.18,山田敏弘)

1.は4年前のカイロ大使館フェイスブックがぶつけられた発端の外国人特派員協会での記者会見,2.は石井妙子による北原百代へのインタビュー,3.は都民ファーストの会の発起人の一人でもあり,その後小池と袂を分かった上田令子による証言,飯山陽の同類かと誤解していたが,意外にまともな方だった。都議会で発言を抹消されるという大変な目に遭っている。4.カイロ・アメリカン大学で修士を取得している黒木亮の最近の見解,

5.7.元ロイター通信社,ニューズウィーク記者の山田敏弘は,チャラいしゃべりだったが,なかかな核心を突いていた。8.とても怪しい人だけれど,カイロ時代の直接の関係者,9.10.それぞれ希望の党と都民ファーストの立ち上げ騒動関与者,自分はこの二人は信用していないけれど部分的な真実は垣間見える。11.東京都知事としての小池の振舞いが非常によくわかる。

P. S. 12.伊東乾は,国際関係実務を知る大学人の立場で,13.浅川芳裕はカイロ大の内情を知る中退者の立場で。


2024年2月27日火曜日

人民の敵

今日,YouTubeのお奨めに現れたのは,外山恒一のチャンネル「人民の敵」だった。

外山恒一のYouTubeというと,我々団ものがあったはずだ。今回のはプロの手が入ったのか,標準的できれいな仕上げになっておりたいへん見やすい。

2007年春の東京都知事選における外山恒一の政見放送は生テレビで見て,いたく感動したのを覚えている。これまでも,東郷健とかありましたが,外山のそれは群を抜いた仕上がりだった。彼の新しいYouTubeチャンネルではその制作裏話を聞くことができた。

(1) あの原稿は,外山が最初に鹿児島県隼人町議会議員選挙に立候補したときに原付街宣用に制作したもので,ほとんどその内容が都知事選で使われることになった。
(2) 都知事選でその原稿を政見放送に使うということは,当初は考えていなかったが後で思いついたことだった。
(3) 原稿の読み方は,カラオケボックスで一文一文周到に吟味しながら,もっとも笑える表現をつなぎあわせたものだった。ものすごい回数練習している。
(4) 政見放送の収録は,NHKと民放1社(2007年はテレビ朝日)の2つ行われ,それぞれ放送される。NHKバージョンとテレビ朝日バージョンは微妙に違うところがある。
(5) 両バージョンの前に東京で行った選挙出馬を模索する集会で試行版のVHSビデオを放映している。それによってようやく供託金の目処がつき始めた。
(6) 政見放送のインパクトは大きかったが,これによって彼の狙っていた対話が拡がることはなかった。ミーハーが集まっただけ。しかし後の教養強化合宿には繋がっていく。

久しぶりに,教養強化合宿の募集案内を眺めていた。過去の学生さん達の体験記が沢山掲載されていて,それらを眺めているとなんだか懐かしい気持ちになってくる。9泊10日正味8日×8時間=64時間講義(+2-3時間/日のメディア視聴)のテキストは,外山恒一『マルクス主義入門』,立花隆の『中核vs革マル』(上),笠井潔の『ユートピアの冒険』,絓秀実の『1968年』である。

外山恒一の政見放送におけるあのような表現が公共の電波に乗せられることが,日本の民主主義の健全性の現れだという言説がよくみられる。ファシストを自称する外山恒一にいわせれば,それはまったく逆だ。今や,日本では選挙制度の中(内側)でしか自由な言論や表現は保障されていない。日常的な活動においてある特定の組織がちょっとビラ撒きをしただけで,選択的に検挙される時代だ。もちろん選挙演説で外からやじるだけでも警察権力によって排除されてしまうのだ。

2023年7月2日日曜日

雨宮処凛


菅野完の論は,日本の現在の思想状況というか,差別的な態度が根強く蔓延って弱者を圧迫している現状を良く説明するものだと思える。

通俗道徳論≒自己責任論≒新自由主義という近似式から,1945年にリセットされた日本の資本主義が,人権という車輪を欠いたまま曲がって走り続け,その結果,自民党や日本維新の会が力を持っている現状もある程度は納得できる(アメリカによる日本支配の構図との関係がどうなっているかはちょっと・・・)。

もう一つ気になったのは,最近の日本維新の会の著しい成長の原因は何かという時間スケールの問題については,必ずしも満足行く答えを与えていないということだ。そんなとき,マガジン9の「なぜ維新なのかについてのロスジェネ的考察」で,雨宮処凛(1975-)が別の角度から議論していた。"自分の力で" がんばって要約すると次のようなものだ。
○日本維新の会への支持が広がっている。それはなぜか。
○特に「ロスジェネ世代の維新支持」という現象を考察する。
○40代以下の世代(ロスジェネ〜ゆとり・さとり〜)は「経営者マインドや為政者マインドをナチュラルに搭載している」例え,末端労働者であっても。
○彼ら世代には,労働組合や労働運動より「いつか一発逆転すること」の方がずっとずっとリアリティがあるから。
○この世代=雨宮は「自由な時代だから,人は可能性に満ちている。夢をかなえろチャレンジしろ。」という脅迫的な圧力にさらされてきた。
○そのロールモデルは,ホリエモン,ひろゆき,ZOZO前澤やユーチューバ−など,全員トリッキーな一発逆転系自己責任論者である。
○我々はずっと政治にDVを受けている。優しいふりをした人に裏切られるより,最初からひどいとわかってる人の方がまだましという気持ちになる。それは究極の消去法であり,唯一できる無意識の自己防衛だ。
○維新は確実に「どうせ世の中も人間もロクなもんじゃない」ということを体現している。そこが「現実がわかっているリアリスト」とある種の人々には見えてしまう。だからこそ,個別議員の犯罪歴などがこれほど暴かれてもほぼノーダメージという状態に繋がっている。
○我々は理想を語る人がマヌケにしか見えないという世界に住んでいる。現実がひどければひどいほど意地悪そうな人が支持を集め、理想を語る人が嘘つきの詐欺師にしか見えない地獄のような逆説にどうしたら対抗できるのか。

ロスジェネ世代の一発逆転のロールモデルであるYouTuberは,通俗的道徳規範の体現者≒禁欲的なジャパニーズプロテスタントではない。そうではあっても,自己責任論者の一種には違いないわけで,新自由主義との相性は抜群だ。

2023年5月17日水曜日

特別注視区域

法律が制定されるときには論争がおこるが,その後は淡々と既成事実の進行が進んでいく。

内閣府に重要土地等調査法のページがある。重要施設(防衛関係施設等)及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止するのが目的であり,法制定当時はとんでもないことになりそうだという感が強かった。

この法の目的を達するために,内閣府に土地利用調査会が接地され,注視区域と特別注視区域の指定が行われることになっている。5月12日に第4回の土地利用調査会(第2回の指定)が開かれ,特別注視区域が40箇所,注視区域が121箇所指定されることになった。

防衛関係施設と離島が大半を占め,原子力発電所は川内原発だけ(玄界原発とは伊方原発とか島根原発他の日本海側の原発群はいいのか),空港は新潟空港だけ(自衛隊の隣接部分があるから)となっている。北海道は含まれておらず,日本海側から九州西部,鹿児島,沖縄などが中心になっていた。具体的な区域地図は非公開だ。石川県では,小松基地等だけでなく,金沢駐屯地(第14普通科連隊)も含まれていた。なぜだろう?全国の全ての駐屯地が指定されているわけではない。

2023年4月25日火曜日

維新的なものの勝利

政治学者の白井聡(1977-)がサンデー毎日に書いた,「価値」を入れ替える政治に転換せよ 「維新的なものの勝利」の時代に野党に求められることがTwitterで紹介されていた。てっきり今回の統一地方選挙における日本維新の会の躍進を受けての論評だと思って読み進み,本当にそのとおりと納得しながらタイトルに戻ると,なんと日付は2022.2.28で1年以上前の記事だった。

そういえば,7月の参議院選挙というのは2022年の話だから,そこで驚かなければならないところだ。幸いなことに立憲民主党は2022年の参議院選挙時点での分裂をかろうじて回避したが,この度いよいよ崩壊過程が迫ってきたことがますます明らかになった。

白井は,現在の政治状況が「ポスト・トゥルース」の政治の本格化だと分析している。ポスト・トゥルースを簡潔にいうと「世論を形成する際に,客観的な事実よりも,むしろ感情や個人的信条へのアピールの方がより影響力があるような状況」ということだ。そしてそれは,民主主義の危機や崩壊ではなく,むしろ民主主義の全面化の帰結であり,インターネットのSNSによるフェイクニュースの拡散やエコーチェンバー現象は,民主主義の本質の増幅過程だというのである。

ドナルド・トランプ現象や,安倍晋三現象や,吉村洋文現象だけでなく,日本のあらゆる場面で,真実ではないにも関わらず,我々大衆の価値観と合致するがゆえに,軽々と真実を乗り越えて拡散し浸透するデマゴギーが充満しているわけだ。その実例は,白井の記事にこれでもかというほどあげられている。

そして,これに対抗するためには,客観的な事実を持ってしては何の効果もなく,価値観それ自身を入れ替える必要があるというのが彼の結論だ。デマゴギーのほうに躍らされて右往左往している立憲民主党の執行部をみれば,その一部と国民民主党と日本維新の会が合体して真の二大政党制(自民≒旧体制宗教右派と維新≒新自由主義右派)の時代が訪れるのも近いかもしれない。その露払いの防衛費倍増はすでに片づいている。あとは学術会議を解体して憲法を改正すれば仕上げのできあがりだ。

詳細な統一地方選挙の分析によれば,必ずしも維新が全面的に勝利しているわけではないといえ,地元天理市の市議会議員選挙でもこれまで泡沫候補として落選続きだった日本維新の会の候補がトップ当選するなど,都市部の地方議会を中心に着実に維新的な価値観の浸透(というか表面化)が進行している。そして,無党派層の自民党離れと公明党の切り崩しと共産党の衰退というのが現今の状況だ。なんとも面倒な民主主義の時代が到来している。


2023年4月10日月曜日

教養強化合宿(6)

教養強化合宿(5)からの続き

外山恒一が,Facebookで今回の8日間の合宿で取り上げた人物のリストを公開していた。その数は約165人。一方,前回のnoteに書いていた教養強化合宿余興で登場した人物の数は,約260人。その和集合をとって,重複したものを◎,後者にのみ含まれたものを●で表した。その中で自分が名前くらいは聞いたことがある人は約200名弱(3/4)だった。✓をつけてある。

このリストをHTML化にするにあたって,GPT-4に作業をさせてみた。例えば,次のような自然言語プログラミングを行うわけだ。
『htmlファイル中に人名リストを埋め込もうとしています。次のような1行のテキストデータを,●会田誠(あいだまこと)✓ このようなhtml形式に変換してほしいのです。●<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/会田誠">会田誠</a>(あいだまこと)✓<br /> 以下にデータを与えますので,すべて同様な変換を施してください。』

入力データサイズや一度に出力できるデータのサイズには制限があるものの,正しい結果が得られる。問題は,時間がかかることだ。GPT-4やChatGPTは対話システムとして公開されているので,そのスピードでしか文字が出力されない。毎秒8文字程度なので,このままでは実用的な仕事にならない。 潜在能力はあるし,将来的に出力をファイル化できればこれは簡単にクリアできる話なのだが。

現時点では,GPT-4に直接実行させるのではなく,それを実行するプログラムを考えさせるのがよい。そこで,さきほどの命令に「これを実現するPerlプログラムを書いてください」としてほぼ思った結果が得られた。少し人間の手を加えてチューニングした結果が次のものだ。実行時間問題はこうして解決される。

#!/usr/bin/perl

use strict;

use warnings;

use utf8;


binmode(STDIN, ':encoding(utf8)');

binmode(STDOUT, ':encoding(utf8)');


while (my \$line = <>) {

    chomp \$line;

    if (\$line =~ /([●◎○])(.+?)((.+?))(.+?)([✓_])/) {

        my \$kigou = \$1;

        my \$name = \$2;

        my \$name_kana = \$3;

        my \$prop = \$4;

        my \$check = \$5;

        my \$url = "https://ja.wikipedia.org/wiki/\$name";

        print "\$kigou<a href=\"\$url\">\$name</a>(\$name_kana) \$prop \$check<br />\n";

    }

}

なお,リンク先はWikipediaとしたが,2-3名以外はすべてこれでカバーすることができている。自分が普段書くような簡単なプログラムは,文法を確認しながらロジックを考えるのが面倒だから,GPT-4まかせになってしまうのがほぼ確定だ。で,プログラミング教育とは何?
 外山恒一教養強化合宿の登場人物リストを参照の上編集
会田誠(あいだまこと) 画家 ✓
青島幸男(あおしまゆきお) 放送作家 ✓
赤尾敏(あかおびん) 大日本愛国党 ✓
あがた森魚(あがたもりお) 赤色エレジー ✓
秋田明大(あきためいだい) 日大全共闘 ✓
秋山祐徳太子(あきやまゆうとくたいし) 現代美術家 ✓
アグネス・スメドレー(あぐねすめどれー) 中国共産党 _
浅羽通明(あさばみちあき) 評論家 ✓
東浩紀(あずまひろき) ゲンロン ✓
足立正生(あだちまさお) 日本赤軍 _
天野恵一(あまのけいいち) 評論家 _
雨宮処凛(あまみやかりん) 反貧困ネットワーク ✓
網野善彦(あみのよしひこ) 歴史学者 ✓
荒畑寒村(あらはたかんそん) 社会主義者 ✓
アレクサンドル・ソルジェニーツィン(あれくさんどるそるじぇにーつぃん) 収容所群島 ✓
アレン・ギンズバーグ(あれんぎんずばーぐ) 詩人 _
アンジェイ・ワイダ(あんじぇいわいだ) 映画監督 ✓
アンディ・ウォーホル(あんでぃうぉーほる) 現代美術家 ✓
アントニオ・グラムシ(あんとにおぐらむし) イタリア共産党 _
家永三郎(いえながさぶろう) 教科書裁判 ✓
イサドラ・ダンカン(いさどらだんかん) 舞踏家 ✓
石川一雄(いしかわかずお) 狭山裁判 ✓
石原莞爾(いしわらかんじ) 満州事変 ✓
石牟礼道子(いしむれみちこ) 苦海浄土 ✓
磯部浅一(いそべあさいち) 粛軍に関する意見書 _
五木寛之(いつきひろゆき) 作家 ✓
いとうせいこう(いとうせいこう) タレント ✓
伊藤律(いとうりつ) 日本共産党 ✓
伊藤野枝(いとうのえ) 婦人解放運動 ✓
井上嘉浩(いのうえよしひろ) オウム真理教 ✓
忌野清志郎(いまわのきよしろう) ロック歌手 ✓
宇井純(ういじゅん) 公害問題 ✓
植垣康博(うえがきやすひろ) 連合赤軍 ✓
上杉慎吉(うえすぎしんきち) 君権学派 _
上田耕一郎(うえだこういちろう) 日本共産党 ✓
内田裕也(うちだゆうや) 樹木希林 ✓
ウディ・アレン(うでぃあれん) 映画監督 ✓
宇野弘蔵(うのこうぞう) 宇野経済学 ✓
江田三郎(えださぶろう) 社会市民連合 ✓
江藤淳(えとうじゅん) 評論家 ✓
衛藤晟一(えとうせいいち) 全国学協 ✓
エドガー・スノウ(えどがーすのう) 中国の赤い星 _
榎美沙子(えのきみさこ) 中ピ連 ✓
大島渚(おおしまなぎさ) 映画監督 ✓
太田竜(おおたりゅう) 第四インターナショナル ✓
大塚英志(おおつかひでし) マンガ評論家 ✓
大宅壮一(おおやそういち) 評論家 ✓
岡田嘉子(おかだよしこ) ソ連逃避行 ✓
岡留安則(おかどめやすのり) 噂の真相 ✓
岡林信康(おかばやしのぶやす) 友よ ✓
岡本公三(おかもとこうぞう) テルアビブ事件 ✓
小川紳介(おがわしんすけ) 三里塚シリーズ ✓
奥田愛基(おくだあき) シールズ ✓
小熊英二(おぐまえいじ) 社会学者 _
小倉千加子(おぐらちかこ) フェミニスト ✓
小沢開作(おざわかいさく) 小沢征爾 ✓
小畑達夫(おばたたつお) 日本共産党スパイ事件 _
笠原和夫(かさはらかずお) 仁義なき戦い _
柏崎千枝子(かしわざきちえこ) ゲバルトローザ _
片山潜(かたやません) 社会主義者 ✓
加藤登紀子(かとうときこ) ひとり寝の子守歌 ✓
加藤直樹(かとうなおき) 九月,東京の路上で ✓
椛島有三(かばしまゆうぞう) 日本青年協議会 ✓
神近市子(かみちかいちこ) 婦人運動家 ✓
ガヤトリ・スピヴァク(がやとりすぴゔぁく) 文芸評論家 _
萱野茂(かやのしげる) アイヌ文化 _
香山リカ(かやまりか) 精神科医 ✓
川上音二郎(かわかみおとじろう) オッペケペー ✓
川口大三郎(かわぐちだいざぶろう) 早稲田構内リンチ事件 ✓
川田龍平(かわたりゅうへい) 薬害エイズ ✓
川本三郎(かわもとさぶろう) 評論家 ✓
菅孝行(かんたかゆき) 反天皇制運動連絡会 _
管野スガ(かんのすが) 女性新聞記者 _
樺美智子(かんばみちこ) 60年安保 ✓
カール・リープクネヒト(かーるりーぷくねひと) ローザ・ルクセンベルグ _
木下ちがや(きのしたちがや) こたつねこ ✓
木村三浩(きむらみつひろ) 一水会 _
清義明(せいよしあき) フリーライター ✓
金賢姫(きむひょんひ) 大韓航空機爆破事件 ✓
ギー・ドゥボール(ぎーどぅぼーる) アンテルナシオナル・レトリスト _
熊沢天皇(くまざわてんのう) 皇位僭称者 _
倉橋由美子(くらはしゆみこ) パルタイ ✓
蔵原惟人(くらはらこれひと) 評論家 ✓
栗本慎一郎(くりもとしんいちろう) 経済人類学 ✓
鴻上尚史(こうかみしょうじ) 劇作家 ✓
江青(こうせい) 文化大革命 ✓
荒岱介(あらたいすけ) ブント戦旗派 _
古賀政男(こがまさお) 明治大学マンドリン倶楽部 ✓
粉川哲夫(こがわてつお) 批評家 ✓
小阪修平(こさかしゅうへい) 東大全共闘 ✓
児玉誉士夫(こだまよしお) ロッキード事件 ✓
五島勉(ごとうべん) ノストラダムスの予言 ✓
小林よしのり(こばやしよしのり) ゴーマニズム宣言 ✓
コンスタンチン・スタニスラフスキー(こんすたんちんすたにすらふすきー) 演出家 ✓
権藤成卿(ごんどうせいきょう) 農本主義思想家 _
今野晴貴(こんのはるき) POSSE _
西光万吉(さいこうまんきち) 水平社宣言 ✓
斎藤幸平(さいとうこうへい) 人新世の資本論 ✓
堺利彦(さかいとしひこ) 社会主義者 ✓
坂口恭平(さかぐちきょうへい) 建築家 _
坂口弘(さかぐちひろし) あさま山荘事件 ✓
桜井大造(さくらいたいぞう) 風の旅団 _
桜井誠(さくらいまこと) 在日特権を許さない市民の会 ✓
佐々淳行(ささあつゆき) 警察官僚 ✓
笹川良一(ささがわりょういち) 日本船舶振興会 ✓
佐藤悟志(さとうさとし) 青狼会 ✓
サミュエル・ベケット(さみゅえるべけっと) 劇作家 ✓
沢木耕太郎(さわきこうたろう) ノンフィクション作家 ✓
椹木野衣(さわらぎのい) 美術評論家 _
ジェリー・ルービン(じぇりーるーびん) シカゴ・セブン _
塩見孝也(しおみたかや) 赤軍派議長 ✓
重信房子(しげのぶふさこ) 日本赤軍 ✓
島成郎(しましげお) 全学連書記長 ✓
島田雅彦(しまだまさひこ) 作家 ✓
清水幾太郎(しみずいくたろう) 社会学者 ✓
清水丈夫(しみずたけお) 中核派 ✓
シモーヌ・ヴェイユ(しもーぬゔぇいゆ) 哲学者 ✓
ジャック・ケルアック(じゃっくけるあっく) 小説家 _
ジャニス・ジョプリン(じゃにすじょぷりん) ロック歌手 ✓
ジャン・リュック・ゴダール(じゃんりゅっくごだーる) 映画監督 ✓
正力松太郎(しょうりきまつたろう) 読売新聞社 ✓
ジョニー・ロットン(じょにーろっとん) パンクロック _
ジョルジョ・アガンベン(じょるじゅあがんべん) 哲学者 _
ジョルジュ・ソレル(じょるじゅそれる) 哲学者 _
ジョン・リード(じょんりーど) レッズ ✓
ジョージ・ハリスン(じょーじはりすん) ビートルズ ✓
ジョーン・バエズ(じょーんばえず) フォーク歌手 ✓
白井聡(しらいさとし) 白井克彦 ✓
菅野完(すがのたもつ) 日本会議の研究 ✓
鈴木忠志(すずきただし) 演出家 ✓
スチュアート・ホール(すちゅあーとほーる) 文化理論家 _
ストークリー・カーマイケル(すとーくりーかーまいける) 差別撤廃闘争指導者 _
スラヴォイ・ジジェク(すらゔぉいじじぇく) 哲学者 ✓
大道寺将司(だいどうじまさし) 東アジア反日武装戦線 ✓
高田渡(たかだわたる) フォーク歌手 ✓
高野実(たかのみのる) 高野猛 ✓
高畠素之(たかばたけもとゆき) 国家社会主義 _
滝田修(たきたおさむ) 新左翼活動家 ✓
宅八郎(たくはちろう) タレント ✓
武井昭夫(たけいあきお) 全学連初代委員長 _
竹中労(たけなかろう) ルポライター ✓
田嶋陽子(たじまようこ) フェミニスト ✓
橘孝三郎(たちばなこうざぶろう) 農本ファシスト _
立松和平(たてまつわへい) 作家 ✓
田中清玄(たなかせいげん) CIAフィクサー ✓
田中美津(たなかみつ) ウーマン・リブ _
谷川雁(たにがわかり) 詩人 ✓
谷口雅春(たにぐちまさはる) 生長の家 ✓
田宮高麿(たみやたかまろ) よど号事件 ✓
筑紫哲也(つくしてつや) ジャーナリスト ✓
知花昌一(ちばなまさかず) 平和運動家 _
千葉雅也(ちばまさや) 哲学者 ✓
チャンドラ・ボース(ちゃんどらぼーす) インド独立運動 ✓
チャールズ・マンソン(ちゃーるずまんそん) マンソンファミリー _
陳独秀(ちんどくしゅう) 中国共産党 _
つかこうへい(つかこうへい) 劇作家 ✓
津田大介(つだだいすけ) ツダる ✓
堤清二(つつみせいじ) 辻井喬 ✓
鶴見済(つるみわたる) 完全自殺マニュアル _
ティモシー・リアリー(てぃもしーりありー) 心理学者 _
峠三吉(とうげさんきち) 原爆詩集 ✓
唐十郎(からじゅうろう) 状況劇場 ✓
頭山満(とうやまみつる) 国家主義者 ✓
戸川純(とがわじゅん) 女優 ✓
徳田球一(とくだきゅういち) 日本共産党 ✓
戸村一作(とむらいっさく) 三里塚芝山連合空港反対同盟委員長 ✓
トルーマン・カポーティ(とるーまんかぽーてぃ) 小説家 ✓
仲井戸麗市(なかいどれいいち) RCサクセション ✓
中川敬(なかがわたかし) ソウル音楽家 _
永田洋子(ながたようこ) 連合赤軍 ✓
中野重治(なかのしげはる) 小説家 ✓
中野正剛(なかのせいごう) ジャーナリスト ✓
永山則夫(ながやまのりお) 無知の涙 ✓
ナジ・イムレ(なじいむれ) ハンガリー動乱 _
ナンシー関(なんしーせき) コラムニスト ✓
ナンシー・スパンゲン(なんしーすぱんげん) セックスピストルズ _
難波大助(なんばだいすけ) 極左活動家 ✓
西尾幹二(にしおかんじ) 新しい歴史教科書を作る会 ✓
西部邁(にしべすすむ) 保守思想家 ✓
蜷川幸雄(にながわゆきお) 演出家 ✓
沼正三(ぬましょうぞう) 家畜人ヤプー ✓
野坂参三(のさかさんぞう) 日本共産党 ✓
野田秀樹(のだひでき) 劇作家 ✓
野間易通(のまやすみち) レイシストをしばき隊 ✓
野村秋介(のむらしゅうすけ) 民族派活動家 ✓
萩尾望都(はぎおもと) 漫画家 ✓
萩原朔美(はぎはらさくみ) 映像作家 _
パティ・スミス(ぱてぃすみす) クイーンオブパンク _
花田清輝(はなだせいき) 文芸評論家 ✓
埴谷雄高(はにやゆたか) 小説家 ✓
浜田幸一(はまだこういち) 政治家 ✓
日比野克彦(ひびのかつひこ) アーティスト ✓
ヒューイ・ニュートン(ひゅーいにゅーとん) 公民権運動 _
平岡正明(ひらおかまさあき) 評論家 ✓
平田オリザ(ひらたおりざ) 劇作家 ✓
ビリー・ホリデイ(びりーほりでい) ジャズ歌手 ✓
広瀬隆(ひろせたかし) 東京に原発を ✓
ピート・シーガー(ぴーとしーがー) フォーク歌手 ✓
福田和也(ふくだかずや) 文芸評論家 _
福田恆存(ふくだつねあり) 評論家 ✓
福本和夫(ふくもとかずお) 経済学者 ✓
藤岡信勝(ふじおかのぶかつ) 新しい歴史教科書を作る会 ✓
船本洲治(ふなもとしゅうじ) 革命思想家 _
フランシス・フクヤマ(ふらんしすふくやま) 政治経済学者 ✓
古田重二良(ふるたじゅうじろう) 日本大学理事長 _
不破哲三(ふわてつぞう) 日本共産党 ✓
別役実(べつやくみのる) 劇作家 ✓
ベルトルト・ブレヒト(べるとるとぶれひと) 劇作家 ✓
某Fラン政治学者(五○井郁○) (○の○○○お) 政治学者 ✓
ボブ・マーリー(ぼぶまーりー) レゲエ歌手 ✓
本多勝一(ほんだかついち) 作家 ✓
本島等(もとしまひとし) 長崎市長 ✓
真島昌利(ましままさとし) ギタリスト _
松崎明(まつざきあきら) 革マル派副議長 ✓
松沢呉一(まつざわくれいち) コラムニスト ✓
松下竜一(まつしたりゅういち) 作家 ✓
松本治一郎(まつもとじいちろう) 部落解放同盟 ✓
松本哉(まつもとはじめ) 素人の乱 ✓
マハリシ・ヨギ(まはりしよぎ) 超越瞑想 _
黛敏郎(まゆずみとしろう) 作曲家 ✓
マルコム・マクラレン(まるこむまくられん) セックスピストルズ _
マルセル・デュシャン(まるせるでゅしゃん) ダダイスト ✓
三上卓(みかみたく) 青年日本の歌 _
三上寛(みかみひろし) フォーク歌手 ✓
ミサオ・レッドウルフ(みさおれっどうるふ) 首都圏反原発連合 _
道浦母都子(みちうらもとこ) 歌人 ✓
南伸坊(みなみしんぼう) イラストレーター ✓
宮﨑勤(みやざきつとむ) 連続幼女誘拐殺人事件 ✓
宮崎滔天(みやざきとうてん) 社会運動家 ✓
宮崎学(みやざきまなぶ) 評論家 ✓
宮崎龍介(みやざきりゅうすけ) 白蓮事件 _
宮沢章夫(みやざわあきお) 劇作家 ✓
宮武外骨(みやたけがいこつ) ジャーナリスト ✓
宮本百合子(みやもとゆりこ) 作家 ✓
向井孝(むかいたかし) 社会運動家 _
森達也(もりたつや) ドキュメンタリーディレクター ✓
森田必勝(もりたひっしょう) 三島由紀夫事件 ✓
森田実(もりたみのる) 政治評論家 ✓
森恒夫(もりつねお) 連合赤軍 ✓
安岡正篤(やすおかまさひろ) 思想家 ✓
柳原白蓮(やなぎはらびゃくれん) 歌人 ✓
矢部史郎(やぶしろう) 思想家 _
山岡強一(やまおかきょういち) 映画監督 _
山口二矢(やまぐちおとや) 浅沼稲次郎暗殺 ✓
山崎博昭(やまざきひろあき) 第1次羽田事件 ✓
山下洋輔(やましたようすけ) ドバラダ門 ✓
山田塊也(やまだかいや) コミューン運動“部族” _
山本太郎(やまもとたろう) れいわ新選組 ✓
山本夜羽音(やまもとよはね) 漫画家 ✓
山本義隆(やまもとよしたか) 東大全共闘 ✓
湯浅誠(ゆあさまこと) 社会活動家 ✓
吉本隆明(よしもとりゅうめい) 擬制の終焉 ✓
ラモン・メルカデル(らもんめるかでる) 暗殺者のメロディ _
劉少奇(りゅうしょうき) 文化大革命 ✓
林彪(りんぴょう) 中国共産党 ✓
ルイジ・ピランデルロ(るいじぴらんでるろ) 劇作家・小松左京  ✓
レニ・リーフェンシュタール(れにりーふぇんしゅたーる) 映画監督 ✓
ろくでなし子(ろうでなしこ) 漫画家 ✓
ロバート・ジョンソン(ろばーとじょんそん) ブルースギター _
渡辺京二(わたなべきょうじ) 逝きし世の面影 ✓

2023年3月8日水曜日

行政文書

参議院議員の小西洋之(1972-)が総務省から入手して公開した放送法の政治的公平性解釈を巡る文書(2014年)の件である。

当時の総務大臣であった,経済安全保障担当大臣の高市早苗(1961-)が,参議院予算委員会の質疑の場でそれは捏造文書だと決めつけた。もし真正な文書なら大臣も議員もやめると大見えを切った数日後,現総務大臣の松本剛明(1961-)が行政文書であることを認めて政治的公平に関する文書(78p)として公開した。高市はさっそく議論のポイントをずらしながら逃げ切りを図っている。

もし仮にその行政文書が捏造であるならば,作成当時の総務大臣である高市早苗に責任があることになるのだが,まるで他人事のように,自分の名前が出てくる4ヶ所はでっち上げであると強弁している。どこかでみたと思ったら,大阪維新の橋下に始まり,松井,吉村の常套手段だった。自分が行政の責任者にもかかわらず,大阪府や市の行政担当者をあからさまに非難・攻撃してポピュリズム的な溜飲を下げる手口だ。今回とは少し種類や性質が違うにせよ,行政の責任体系の破壊という意味では共通だ。

行政文書公文書等の管理に関する法律の第二条4項で次のように定義されている。
この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第十九条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
二 特定歴史公文書等
三 政令で定める研究所その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)
この行政文書と独立行政法人が管理する法人文書および特定歴史的公文書の総称が公文書ということになる。

この法律の第十条では各省庁での行政文書管理のために,行政文書管理規則を定めることになっている。総務省の場合は,公文書管理のページの中に,総務省行政管理規則(2011.4)が公開されている。

この第12条に文書主義についての項がある。
(文書主義の原則)
第12条 職員は、文書管理者の指示に従い、法第4条の規定に基づき、法第1
条の目的の達成に資するため、総務省における経緯も含めた意思決定に至る 過程並びに総務省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証するこ とができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成 しなければならない。
これが正しく機能していたおかげで,磯崎陽輔(1957-)が,放送法における政治的公平性の解釈を恣意的に変更しようと強要した過程が記録されることになった。松本総務大臣及び総務省は,礒崎−安倍−高市ラインの当時の蠢動は,公平性の解釈変更ではなく補充的説明であると言い張っている。普通に考えると,解釈変更であり,実際に発動はしていなくともその効果によって,テレビ界の言論が大きく萎縮しているのは間違いない。日曜のサンデーモーニングでは,このニュースは末尾に少しだけ取り上げられたが,強い意思表明などは全くなかった。

面倒なのは,奈良県知事選挙で高市が総務完了崩れを推選して奈良県自民党の分裂をまねいていることだ。天理市長は,反現知事派=高市派だしなあ。


2001.01 NHK ETV特集「戦争をどう裁くか/問われる戦時性暴力」
   中川昭一(1953-2009)・安倍晋三(1954-2022)による圧力
2006.09 第一次安倍内閣発足(-2007.09)
2007.07 礒崎陽輔が参議院議員(大分県選挙区-2019.07)
2012.12 第二次安倍内閣発足(-2020.09)
2013.12 国家安全保障会議の設置
2014.04 礒崎陽輔が内閣総理大臣補佐官(-2015.10)
     自由民主党筆頭副幹事長 萩生田光一・報道局長 福井照
2014.11.21 衆議院解散
2014.11.26 礒崎陽輔から総務省放送政策課へのアクション開始
2014.12.14 衆議院選挙
2015.05 高市総務大臣が参議院総務委員会で調整版回答を答弁


[4]日本版公正原則の現在(魚住真司)


2023年1月25日水曜日

施政方針演説(2)

施政方針演説(1)からの続き

毎年1月の通常国会冒頭に行われる内閣総理大臣の施政方針演説は,時の政権が官僚技術の粋を集めて作成しているものだから,それなりに分析する価値があるような気がしてきた。そこで,首相官邸のホームページで過去の施政方針演説を一覧しようと考えた。だめだった。データは不完全でありかつゴミに埋もれていて過去の施政方針演説が簡単には見つからない。国民の検索活動を妨げようとしているに違いない。

どうして,政府のデジタル活用力はこんなに低いのだろう。あるいは,情報公開の姿勢がまったく見当たらない。担当が変われば以前のURLは簡単に変えられてしまい探し出すのが困難になる。あるいは,存在していた情報はデザイン変更に伴っていとも簡単に廃棄される。国立公文書館のデジタルアーカイブの精神は全く根付いていない。デジタル庁が始めるべきなのは,設計に失敗しているマイナンバーなどではなく全省庁における情報公開とアーカイブの徹底に違いない。

探してみると,ウィキソース内閣総理大臣施政方針演説というのがあって,1965年の第48回国会における佐藤栄作から昨年の2022年の第208回国会の岸田文雄までがアーカイブされていた。その元になっていたのは,東京大学東洋文化研究所政策研究大学院大学によるデータベース「世界と日本」の中の帝国議会・国会内の総理大臣演説だ。ここには,第1回の帝国議会やそれ以前からの内閣総理大臣の演説がほぼ網羅されている。

これを利用して,テキストの形態素解析を行えば,どんなメッセージがそれぞれの施政方針演説に込められているかを分析することができるのではないか。これによって,検証したいのは教育政策との関係であり,失われた30年をもたらした原因がこれらの演説の中に潜んでいないかというアバウトな直感だ。

2月,3月は暇なのでちょっとどうするか考えてみる。

2023年1月24日火曜日

施政方針演説(1)

NHKは国会中継をしないという文句を垂れながら,国会中継の時間になるとチャンネルを変えてしまう不良老人である。NHKテレビが14:00から国会中継を始めたので,いつものように消そうかと思ったが,気の迷いでそのまま岸田首相の施政方針演説を見始めた。

日本では議会のことを英語でいうとき,なぜparliament(こちらが普通)ではなくDiet(ラテン語源)というのか,という面白い話からはじまった。なぜだかはわからなかった。話し方は穏当で聞きやすかったのだが半分ほどで脱落してしまった。そこで,演説全文を再度確かめてみることにする(首相官邸のウェブデザインやりなおしてほしい問題・・・orz)。

第211回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説の全文は約12,200字であり時間は44分かかる(275文字/分=4.58文字/秒)。昨年の第208回国会の場合は約12,100字なので,ほぼ一定になっているのかもしれない。項目のリストは次の通り。

第211国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説(12,200)R5.1.23
一 はじめに(509)
二 歴史の転換点(747・・・明治維新・終戦につぐ分岐点)
三 防衛力の抜本的強化(751)
四 新しい資本主義(3907)
(一)総論(446)
(二)物価高対策(119・・・やらない)
(三)構造的な賃上げ(828→リスキリング:279)
(四)投資と改革(2501)
  (GX)(740→原発:90・・・隠している)
  (DX)(577→マイナンバーカード:379)
  (イノベーション)(481 →教育:111・・・教育は経済政策のごく一部)
  (スタートアップ)(382)
  (資産所得倍増プラン)(252)
五 こども・子育て政策(980)
六 包摂的な経済社会づくり(1492)
  (女性)(282)
  (若者)(166)
  (孤独・孤立対策)(71)
  (地方創生)(799→交通・通信:111)
七 災害対応・復興支援(522)
八 新型コロナ(548・・・もうやめる)
九 外交・安全保障(1961=日米など:315,日中:195,日韓:99,日露:77,北朝鮮:232)
十 憲法改正(116・・・あまりやる気ない=野党分断の手段としてのみ必要)
十一 政治の信頼(259)
十二 おわりに(325)

第208国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説(12,100)R4.1.17
一 はじめに(652)
二 新型コロナ対応(2443)
三 新しい資本主義(3678)
四 気候変動問題への対応(851)
五 全ての人が生きがいを感じられる社会へ(524)
六 地域活性化(463)
七 災害対策(645)
八 外交・安全保障(2136)
九 憲法改正(183)
十 おわりに(513)
この一年で世界は変わってしまった。簡単に防衛費倍増が実現され,自衛隊が米軍の指揮系統下に組み込まれた。つまり,憲法改正で狙う必要があるのはいよいよ24条まわりと緊急事態条項だけになってしまうということだ。立憲民主党が日本維新の会とつるんで翼賛体制が確立し,日本共産党やれいわ新選組も前後左右から叩かれている状況では,それらの改正すら必要がないかもしれない。

2022年12月17日土曜日

外される安全装置

新聞やテレビのニュースは,ほとんど国の広報のようになっていて,旧世代の我々はゆっくりと確実に洗脳され続けている。これらの古いメディアではニュースを見ないという若者達もインターネット空間の空気によって間接的にその影響を受けている。場合によっては,エコーチェンバー効果によって増幅されているかもしれない。その結果,世論調査では2/3が防衛力強化賛成となる。

2020年の10月に前菅政権が日本学術会議会員の任命拒否問題が引き起こしてからもう2年以上になる。学術会議会員は3年ごとに半期改選だから,そろそろ次の選考プロセスが始まる。このタイミングで12月6日に内閣府は,日本学術会議の在り方についての方針を打ち出してきた。その肝は問題となった会員選考過程に手を突っ込むことだ。
会員等以外による推薦などの第三者の参画など,高い透明性の下で厳格 な選考プロセスが運用されるよう改革を進めるとともに,国の機関である ことも踏まえ,選考・推薦及び内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に行 われるよう必要な措置を講じる

という素性の解らない第三者機関を使って,アカデミーの独立性を露骨に侵害しようとしている。津田大介ポリタスTVのゲストとして呼ばれた隠岐さや香は,なぜここまでこだわるのかがわからないといっていた。そうなのである。軍事研究を進めることがねらいだとしても,日本学術会議などは別に大きな支障にはならない。内閣府に別に拵えた総合科学技術・イノベーション会議を使えば,なんでもできるはずである。

あえていえば,安倍晋三=清和会右翼の思い込みによる学者に対するルサンチマンぐらいしか考えられない。日本学術会議に手を突っ込みたがっていたのは清和会的な右派勢力だ。それが,防衛費倍増の財源を巡る清和会と岸田政権の綱引きにからんで話がややこしくなっている。

隠岐さや香が,日本社会のいろいろな分野で安全装置が外されつつあるといっていた。その一番が,ロシアのウクライナ侵攻を奇貨とした防衛費のGDP1%枠の撤廃であり,集団的安全保障の名のもと米国の軍事システムに完全に組み込まれることだった。

社会保障制度を守るために導入するといわれた消費税は,法人税減税のために使われた。さらに, 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が惜しげもなく株に資金を投じはじめ,株価の上昇を支えて,日本の階層分化を推し進めてきた。

一方,電通にしっぽを握られて機能不全に陥ったマスコミは沈黙を続け,泥まみれの東京五輪や大阪万博の後押しをしてきた。それらの総仕上げが,安倍殺傷事件による統一教会の悪行の再確認だったかもしれないが,それすらも押し流すように軍拡の合唱が始まっている。そう,統一教会の資金還流が疑われる北朝鮮ミサイル開発の脅威は既に十分に宣伝していて,世論形成に大きく寄与することになる。

[1]日本学術会議改革問題をめぐって(ポリタスTV)

2022年7月12日火曜日

参院選(2022)の結果

投票日2日前の安倍晋三の暗殺事件は,マスメディアで増幅・浄化されて有権者の投票行動に一定程度の影響を及ぼしたようだが,ビッグウェーブではなかった。淡々と事前予想通りの自民・公明・維新の大勝となった。

・憲法改正のための2/3を越えたということが強調されていたが,そもそも,国民民主党が寝返った選挙前からその状況は大きく変わっていない。参議院総議席数の2/3である164人を余裕で越える180人程度(さらに隠れ改憲派と無所属が加わる)はいる。ウダウダいっている公明党がブレーキにならないのは安全保障法制のときと同じだろう。

・マスコミに焚きつけられて野党共闘を放棄した立憲民主党が大敗することは火をみるより明らかだった。新潟の森ゆう子も山梨も岩手も落としてしまった(小沢系の完全凋落)。対統一教会のキーパーソンの有田芳生も欠くことになる。立憲民主党だけでなく,日本共産党の比例区得票率もどんどん下降している。この結果,大門実紀史(1956-)が落選してしまった。東京選挙区の山添拓(1984-)はセーフだったけれど。

日本維新の会は,比例区で自民の4割をこえる票を集め議席を倍増した。不幸中の幸いは,東京,京都,福岡,愛知,広島,埼玉の各選挙区での進出を阻止できたことだ。安倍効果で維新から自民にシフトしたのかもしれない。松井と吉村が来月にトップを下りるというのが不気味な動きだ。これで前原と融合して保守二大政党を目指すというのは悪夢だ。

社会民主党福島瑞穂(1955-)はかろうじで滑り込み,政党要件は確保された。れいわ新選組はブームが去って伸び悩んでいるが,これが,NHK党や参政党の健闘とリンクしているのかどうかはわからない。NHK党がYouTuberのガ—シーを立てて,でたらめな宣伝を繰り返していたが,選挙ウォッチャーのちだいさんによれば,それが世の中の多数派に受け入れられている(おもしろければよいという)常識らしい。

・問題は,柳田さんも警告してくれていた参政党だ(それまでは泡沫政党だと誤認していた)。排外主義右翼+トンデモオーガニック信仰(有機農法・反ワクチン)のソフト非主流右翼路線で,十分に資金投入されて組織的かつ合理的な選挙活動を展開した結果,比例区得票率3%で1議席を確保し,あっというまに政党要件を満たしてしまった。

・宮田輝や高橋圭三からはじまるタレント候補は,アナウンサー/キャスター候補からはじまり,スポーツ選手候補や元アイドル候補を経由して。漫画家/YouTuber 候補へと進化していくのだろうか。

投票率 54.7%→48.8%→52.1%
議席数 総数 242→245→248

     2/3  162→164→164    比例区政党得票率
    自民 124→113→119 (+6)  自民   35.9→ 35.4→  34.4 (1826万=18)
    公明   25→  28→  27 (-1)   公明   13.5→ 13.1→  11.7 (  618万= 6)
    維新   13→  16→  21 (+6)  維新     9.2→   9.8→  14.8 (  785万= 8)
    N国  0→ 1→  2 (+1)    N国     0→   2.0→    2.4 (  125万= 1)
    参政  0→ 0→  1 (+1)    参政     0→      0→    3.3 (  177万= 1)
    国民   23→  21→  10 (-2*)  国民   (21.0)→   7.0→   6.0 (  316万= 3)
    立憲   24→  32→  39 (-6*)  立憲   (21.0)→ 15.8→ 12.8 (  677万= 6)
    社民  2→ 2→  1  (±0)    社民     2.7→   2.1→   2.4 (  126万= 1)
    共産   14→  13→  11 (-2)    共産   10.7→   9.0→   6.8 (  362万= 3)
    れいわ 1→ 2→  5 (+3)     れいわ (1.9)→   4.6→   4.4 (  232万= 2)
    無所属  12→  17→  12 (-3)
    欠員  4→ 0→  0
    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
    改憲派 162+α → 179+β → 180+γ

2022年7月11日月曜日

テロリズムの定義

7月8日,週刊誌でスキャンダルが暴露された候補者がいる長野選挙区での応援を急遽取りやめて,それほど接戦が伝えられているわけでもない,政調会長高市早苗の地元奈良選挙区へ遊説にきた安倍晋三(1954-2022)が,近鉄大和西大寺駅前の演説会場で銃撃され心肺停止状態となった。その後,平城宮跡からドクターヘリで救急搬送され,5時間後に奈良県立医大附属病院で失血死した。地元のニュースにはついつい反応してしまう。

安倍晋三は自分よりちょうど1歳下で,誕生日も1日違いなので,どうも自分と性格が似ているように思えてならない。困ったものだ。NHKをはじめとしてマスコミは安倍の所業の負の側面には一言も触れず,その「功績(今でも異論があり歴史の評価に堪えられない)」をこれでもかと褒め称えることに終始していて気が滅入る。しかも喪服モードだよ。中曽根康弘(1918-2019)や石原慎太郎(1932-2022)のときよりたちが悪いかもしれない。

1980年の参議院選挙中に首相の大平正芳(1910-1980)が亡くなった。このとき自民党が大勝したように,今回も(そうではなくても自民・公明・維新が優勢だと伝えられている)同じ轍を踏みそうである。安倍晋三は,生前だけでなく死後にも日本社会に大きなダメージを与えるのか。希望が不在のパンドラの箱(希望カードは野党解体に使われてしまった)が開いてしまった。「安倍さんの悲願の憲法改正と防衛費倍増を!」というスローガンが目に浮かぶ。

マスコミや政治家の定型的なコメントでは,「このテロは言論の自由に対する挑戦だ」というような表現が使われている。しかし,これまで奈良県警から断片的に漏れてくる情報では,政治的なテロではないし,言論封殺を狙ったものでもない。政治家に対する暴力の連鎖がテロを誘導するといえばそうだろうし,宗教団体に対する局所テロとはいえるのかもしれないが。

2017年の逢坂誠二(1959-)の国会での質問主意書によれば,日本の法律上のテロリズムの定義は次のようなものである。

警察庁組織令第三十九条では、テロリズムの定義として、「テロリズム(広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動をいう。)」と規定されている。

特定秘密の保護に関する法律第十二条第二項では、テロリズムの定義として、「テロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。)」と規定されている。

容疑者が犯罪の動機としたのが「安倍と宗教団体との密接な関係が原因であり,安倍の政治信条への恨みからではない」からだとすれば,社会に不安若しくは恐怖を与える目的がないことは明らかなように(現時点では)思える。

トロツキズムテロリズムヘイトクライムなどの言葉が意味をずらして,レッテリングに使われることには注意が必要だ。言論封殺が好きなのは,憲法改正で基本的人権の剥奪を目論んだ(でいる最中の)自民党右派の皆さんのはずなのに,安倍の死を逆手にとって,民主主義を守れというあやしげな選挙前キャンペーンを振りまいている。

P. S. まだ事件の全体像がはっきりしていない中,選挙前の7月9日のNHKスペシャルで「安倍元首相 銃撃事件の衝撃」が放送された。Twitterでは,選挙前に他にやることがあるだろうと非難轟々だった。これまでの映像材料をかき集めてざっくりと編集しただけの番組に,御厨貴(1951-)をよんできて,暴力で言論がゆがめられてはいけないとしゃべらせていた。今回の事件の本質の一つであるカルトと政治の関係にはまったく迫れていない。


写真:J. W. ウォーターハウスのパンドラ(Wikipediaから引用)

[1]「宗教団体の名前を伏せる」「各局揃って喪服」……「安倍元首相銃撃事件」テレビ報道への4つの“違和感”(鎮目博道)

[2]アベさんに対する銃撃について思うこと(小出裕章)

2022年7月10日日曜日

参院選の投票率

三春充希(1988-)は,高卒認定試験から東大に入学し,大学院で天体物理を専門とした。ちくま新書の「武器としての世論調査」の著者であり,未来選挙プロジェクトの代表である。

政党支持率の推移を調査して,継続的にfacebookに公開している。また,選挙期間中は,各メディアによる全候補者の情勢を集約して提供している。彼が,衆議院選挙や参議院選挙の投票率の傾向を分析したのが,ちくまwebの特集『武器としての世論調査』リターンズ−2022年参院選編−の記事になっていた[1][2][3]。

最近の国政選挙の投票率を分析して,(1) 最低水準の維持(1990年まで),(2) 投票率の崩壊(1990~1996年頃),(3) 長期低落傾向(2000年頃~)の3つのフェーズに分けた。さらに,(2) の1990年代の投票率の崩壊が都市部で起こっていることを示した。その原因の一つは1994年の衆議院における小選挙区比例代表並立制の導入だ。

それだけでは長期低落傾向は説明できず,バブル崩壊後に投票率も崩壊していることから,ロストジェネレーション就職氷河期の世代(1993-2005年卒=1970-1980年生まれ)以降が政治の空白域を産み出して,それが世代進行しているとした。新聞・テレビからも離れていく世代の政治意識はどのように構築されるのだろうか。

図1:参院選の投票率の推移(ちくまwebから引用)

図2:年代別の政党支持率(ちくまwebから引用)

[1]「今」にいたる世論(三春充希)
[2]野党共闘はどこへ(三春充希)
[3]投票率の底から(三春充希)

2022年5月20日金曜日

侮辱罪

5月18日に,「侮辱罪」の厳罰化法案が衆議院の法務委員会を通過した。

これは「刑法等の一部を改正する法律案」のことであり,その改正法案のほとんどは懲役,禁錮を拘禁刑に統合整理することに関わるものだ。そこに,ネットでの誹謗中傷に起因した自殺事件を口実とした侮辱罪の厳罰化が混入されたものになっている。

改正法案の第一条は,「刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。第二百三十一条中「拘留又は科料」を「一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に改める。」である。

元の刑法第二百十一条は,第三十四章「名誉に対する罪」の一部である。改正法律案の第二条の後段の方で,上記下線部の「懲役若しくは禁錮」が「拘禁刑」に置き換えられる。それにしても,若しくはと又はの使い方がややこしい。

第三十四章 名誉に対する罪
名誉毀き損
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
公共の利害に関する場合の特例
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
侮辱
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
親告罪
第二百三十二条 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。
どう考えても,侮辱という定義の曖昧な概念のせいで,政治家やデマゴーグ達への侮辱罪だという喚き声が言論の自由を萎縮させる構図が露骨に透けて見える。維新の親玉がスラップ訴訟で批判を抑え込もうとしている現実を見れば,全く安心できないのだが,どのマスコミからも大きな批判がなくすんなりと通ってしまいそうだ。

なお,この改正案の第二条は刑法,第三条は刑事訴訟法,第四条は刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律,第五条は刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(続き),第六条は更生保護法,第七条は更生保護法(続き),第八条は更生保護事業法,第九条は更生保護事業法(続き),第十条は少年院法,第十一条は少年鑑別院法,第十二条は少年鑑別院法(続き)となっている。

P. S. 親告罪の第二百三十二条で,上皇の取り扱いはどうなるのかと心配したところ,天皇の退位等に関する皇室典範特例法の附則で,上皇は天皇の上皇后は皇太后の例によるとされていた。

2022年5月3日火曜日

日本國憲法前文

憲法記念日だが,ウクライナへのロシアの侵略戦争が続いている。先の見えない円安で疲弊した我々の心の隙に,右翼デマゴーグ達の好戦的なイデオロギーが陽に陰に染み込んでいく。こんなときは,日本國憲法の前文を写経して心を鎮めるしかない。若者は「最高法規の意志~ 憲法の本質と改正の動向 ~」をチラ見する方が役に立つかも。

   日本國憲法 

 日本國民は、正當に選擧された國會における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸國民との協和による成果と、わが國全土にわたつて自由のもたらす惠澤を確保し、政府の行爲によつて再び戰箏の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主權が國民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも國政は、國民の嚴肅な信託によるものであつて、その權威は國民に由來し、その權力は國民の代表者がこれを行使し、その福利は國民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本國民は、恒久の平和を念願し、人間相互の關係を支配する崇高な理想を深く自覺するのであつて、平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、專制と隷從、壓迫と偏狹を地上から永遠に除去しようと努めてゐる國際社會において、名譽ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の國民が、ひとしく恐怖と缺乏から免かれ、平和のうちに生存する權利を有することを確認する。

 われらは、いづれの國家も、自國のことのみに專念して他國を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に從ふことは、自國の主權を維持し、他國と對等關係に立たうとする各國の責務であると信ずる。

 日本國民は、國家の名譽にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

2022年1月31日月曜日

『歴史戦』

NHKが「歴史戦」という言葉を使い出したので,普通名詞かと思っていたらトンデモない話だった。

検索してみると,右翼カルトの広報媒体である産経新聞が,2014年から特集として組んでいる一連の記事が「歴史戦」というタイトルだったようだ。このシリーズは,慰安婦問題等をターゲットとした「貶める韓国 脅す中国」という歴史修正主義的記事の延長線上にある。

さて,このたびの佐渡金山世界文化遺産への登録である。端島(軍艦島)が2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」として世界文化遺産に登録された際に,韓国との間で戦時中の朝鮮人労働者の問題を巡り揉めた経緯があった。それが今回,再燃することが危惧され,佐渡金山という文化遺産の問題が再び政争の具となってしまった。

発端は,右翼カルトの中心にいる安倍晋三や高市早苗だ。岸田首相との権力闘争も背景にあるのか,性急な登録に慎重だった岸田政権を攻撃し始めた。これにマスコミが乗った。

1/26水 安倍晋三:「いまこそ,新たな『歴史戦チーム』を立ち上げ、日本の名誉と誇りを守り抜いてほしい」(夕刊フジ)。こうして産経用語の「歴史戦」というキーワードを用いて安倍が激を飛ばし,高市が国会でアシストする。

1/27木 岩田明子(NHK解説委員):「5分でわかる 特命チームがカギ?世界遺産登録,歴史戦チーム『政権の歴史認識に基づき事実集めて検証を進め国際社会の理解を得る目的』」(NHKシブ5時パネル)。安倍側近の岩田が昨日の発言に呼応して,「歴史戦」という産経用語で煽り立てる。

同日のニュースウオッチ9でも,まじめな顔をしたキャスターの田中正良が,まっすぐなメガネ視線で視聴者を煽っていた。こうして,『歴史戦』=パブリック・ディプロマシープロパガンダが振りまかれる。その歴史修正主義の洗脳対象は外国政府や外国人ではなく実は日本人自身なのだろう。

2021年11月1日月曜日

錦秋文楽公演2021(1)

   寝る前のNHK開票速報では,自民党過半数割れか?だったはずなのに,朝起きて11月になると,自民党安定多数,維新4倍に,立憲共産惨敗ということだった。野党共闘は1:1の選挙区では確かに効果を発揮したが,1:1:1の場合はそうではなかった。

維新的なムードは洗脳TVが支配する大阪や関西エリアだけではなく,全国にジワリと浸透している。おまけに国民民主と維新の合同会派話が持ち上がり,こうなると改憲勢力は自民261+公明32+維新41+国民11=345であり,楽々と2/3=315を超えているのだった(もちろん国民民主がなくてもだけれど)。こうなると,立憲民主からぼろぼろと崩れ落ちる層が出てくる。維新のような右翼ポピュリズムに対抗するには,れいわのような左翼ポピュリズムを持ってくるしかないのかも。

制度疲労による日本の没落を埋めるのが,一億総非正規化や,公共資産・サービスの民間・外資への切り売り,これが,改憲後に力をさらに増す差別的な右翼イデオロギーと戦争準備経済に支えながら進行するという目も当てらない状況が出現しそうだ。戦後蓄積してきた経済・文化資産はあっという間に消尽されていく。

金木犀香る晩秋の晴れの日,気落ちしながら,久々に維新政権の下でまだかろうじて開かれている文楽公演へと向かうのだった。街は賑わっており,横断歩道は剥げていなかったがペイントされた幅は狭くなっていたかもしれない。

2021年10月13日水曜日

請願権

衆議院選挙の東京8区における,山本太郎と立憲民主党の間での出馬問題についてのトークで,安富歩が請願権について述べていた。新自由主義的な日本維新の会推しで潜在的に学歴差別的傾向を持つ朝日新聞が,あれほどまで山本太郎をディスるのは,2013年の園遊会における天皇への手紙問題以来ではという説だ。

その山本太郎の問題点は,法律上の手続きにあるのであって,天皇への請願が禁止されているわけではないということだった。

日本国憲法第十六条

何人も,損害の救済,公務員の罷免,法律,命令又は規則の制定,廃止又は改正その他の事項に関し,平穏に請願する権利を有し,何人も,かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

請願法

第1条 請願については,別に法律の定める場合を除いては,この法律の定めるところによる。

第2条 請願は,請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し,文書でこれをしなければならない。

第3条 請願書は,請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は,内閣にこれを提出しなければならない

第2項 請願の事項を所管する官公署が明らかでないときは,請願書は,これを内閣に提出することができる。

第4条 請願が誤つて前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは,その官公署は,請願者に正当な官公署を指示し,又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。

第5条 この法律に適合する請願は,官公署において,これを受理し誠実に処理しなければならない。

第6条 何人も,請願をしたためにいかなる差別待遇を受けない。

附則 この法律は,日本国憲法施行の日から,これを施行する。


2021年9月17日金曜日

小型核融合炉

自民党総裁選に,日本会議グループの圧倒的支持のもと,安倍のエイリアスとして出馬した極右新自由主義の高市早苗が,香ばしいトンデモ発言を繰り返している。

曰く,「電磁波で敵基地を無力化」「情報通信省とサイバーセキュリティ庁」「小型核融合炉の開発」なわけだ。

電磁波でというのは,高高度での核爆発による電磁パルス攻撃のことかと思ったけれど,通常爆弾によるEMP弾というのもあるらしい。いずれにせよ,北朝鮮のミサイル阻止には使えない

核融合炉といえば,国際熱核融合実験炉(ITER)トカマクとか国立点火施設(NIF)阪大レーザー科学研究所レーザー核融合などの大規模施設のビッグサイエンスしか念頭になかったので,なにゆうとんねん状態だったが,とりあえず調べてみると,ないことはなかった。

浜松ホトニクスやトヨタがかんでいる光産業創成大学院大学による,爆縮高速点火による小型レーザー核融合実験炉計画のCANDYだ。YouTubeに研究紹介はあるものの,関連する研究論文がほんの少ししかみあたらないので,どこまで進んでいるのかよくわからない。

阪大のレーザー科学研究所の前身のレーザー核融合研究センターを1976年に作ったのは山中千代衛先生だ。激光12号が建設された1980年代初頭は,飛ぶ鳥を落とす勢いがあった。吹田キャンパスに行くたびにセンターの建物の偉容に圧倒された。

山中先生が退官され,平成の時代にはいると,スーパーコンピューターも大型計算機センターや核物理研究センターのものと統合され,看板も無難なものに掛け替えられてしまったのだった。


写真:NIFのレーザ核融合実験装置NOVA(Wikipediaから引用)

追伸:高市が吹き込まれた核融合炉は,京都フュージョンエンジニアリングなのかもしれない。それはブランケットと廃棄系だけなんですけど。小型モジュール原子炉(SMR)とごっちゃになって混乱しているようだ(→そうでもなかった。二正面トンデモだった)。

[1]FUSION DEVICE INFORMTION SYSTEM (IAEA)

[2]小型モジュール式原子炉はたいていが悪策だ(自然エネルギー財団)

2021年9月16日木曜日

綱領

 TBSテレビの平日(月-金)昼(10:25-13:55)の情報ワイド番組「ひるおび」は恵俊彰と八代英輝が総合司会をしている番組だ。この手の情報番組では,ジャーナリスト崩れや芸人が誤った情報を垂れ流すので要注意である。

先日,この八代弁護士が,野党共闘の話題で「共産党は『暴力的な革命』というのを,党の要綱(注:綱領のこと)として廃止してませんから。よくそういうところと組もうという話になるな」という事実無根のデマを平然と垂れ流した。

これに対する批判が集中した後でも,閣議決定というマジックワードを使って平然と責任逃れの誤魔化しに走っていた。衆議院選挙前の情報戦は,このように展開されている。

そんなわけで,これまで読んだことがなかった日本共産党の綱領を読んでみた。他の政党の綱領もざっと眺めてみた。なるほど,こんな感じだったのか。

自由民主党(現状認識+3項目,2100字):1955年の結党時の綱領は3行だった。「文化的民主国家の完成」「自主独立の完成」「経済の総合計画〜福祉国家の完成」などほとんど現在の日本共産党の綱領である。その後,立党50年の2005年に新綱領,2010年に改訂版の綱領を発表している。「政治主導という言葉で意に反する意見を無視し,与党のみの判断を他に独裁的に押し付ける国家社会主義的統治とも断固対峙しなければならない」ということなので,現在の自民党は国家社会主義的統治を行っているらしい。

立憲民主党(基本理念+私たちのめざすもの7項目,1900字):なんだか全体にぼんやりした印象。ピントが甘いというのかまったくインパクトに欠ける。

公明党(7項目,4900字):たいへんていねいに詳しく書かれているのだけれど,現実の自公政権がやっていることとほとんど矛盾しているところが問題。

日本共産党(5章18節48p,16900字):歴史的な記述が丁寧にされている。ポイントは,日本がまだ完全な独立国家ではないこと。しかし,現在の日本において民主主義革命から社会主義革命への道がどうなるのかのイメージがほとんどつかめない。もちろん八代の話は悪質なデマゴギーなのであった。

日本維新の会(8項目,1200字):ポイントはこれ「政府の過剰な関与を見直し,自助,共助,公助の範囲と役割を明確にする。公助がもたらす既得権を排除し、政府は真の弱者支援に徹する」。なるほど,菅首相と完全に一致しているのか,やっぱりね。

社会民主党(4節13項目,6400字):立憲民主党もこれくらい書き込めばいいのに。

れいわ新撰組(私たちの使命+8行,400字):まあ何もないよりは・・・。