2026年7月2日木曜日

象徴


図:ChatGPTが想像した象徴のイメージ


この話題はあまりとりあげたくないのだけれど,いよいよ國體の崩壊の端緒を開く事件だとすれば,歴史的には長く伝えられることになるかもしれない。その,皇室典範改正案の国会審議が最優先で進められている。高市(麻生)自民と吉村維新の暴走だ。全国紙各紙がいまごろ一斉に止めにかかっているがちょっと無理。


Q(koshix):
皇室典範の改正が,国会の総意とされてきた議論の重要なポイントを無視するような形の法案として審議にかけられつつあります。特に,「養子の容認」が今後に大きな禍根を残し,日本国憲法の第一条の「天皇は、日本国象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と矛盾する状態になりつつあります。これによって,象徴天皇制の国民的支持を長期的に毀損する可能性も十分予想されるようになってしまいました。
問題の本質は,皇室が世襲制であり,日本国憲法で国民に保証されている基本的人権の枠外にあることです。これを解消するには,象徴天皇を「AI天皇」に代替することを検討する必要すらあるような気がします。思考実験として,その場合の憲法の修正案を考えてください。天皇の機能は最小化するようにしてください。


A(ChatGPT)
(ChatGPTは,必ずこちらの問いの前提から確認して,ダメ出ししてくる。)
(前略)
ただし、「象徴天皇をAI化する」という表現をそのまま憲法に入れるのは危険です。AIは人格ではなく、責任主体でもなく、尊厳の担い手でもありません。したがって、厳密には「AI天皇」を作るのではなく、「世襲的な人間天皇を廃止し、国民統合の象徴機能を、人格を持たない公的な象徴機関へ移し、その事務処理に認証済みAIを使えるようにする」と設計するのが筋です。儀礼用チャットボット陛下、ではさすがに国民統合どころか国民分裂の象徴になりかねません
(中略)
第一章 国民統合の象徴
第一条 国民統合の象徴
日本国民統合の象徴は、特定の個人、家系、血統又は世襲身分に帰属しない。
2 日本国民統合の象徴は、主権の存する日本国民の総意に基づくこの憲法秩序、国民主権、基本的人権の尊重及び平和主義によって構成される。
3 国は、前項の象徴性を公的に表示し、儀礼的に実施するため、法律の定めるところにより、国民統合象徴機関を置く。
(後略)
第五条 国民統合象徴機関の行為
三 国民的追悼、災害犠牲者の慰霊、平和の誓約その他、法律で定める非政治的儀礼
(これはいいかも)
ただし、この改正案には重大な弱点もあります。第一に、象徴はそもそも人間の身体性・沈黙・継続性によって支えられてきた面があり、AI化すれば「象徴の空洞化」は避けられません。第二に、AIを国家儀礼に使うと、誰がモデルを作り、誰が文言を制御し、誰がログを管理するかという新しい権力問題が生じます。第三に、天皇制を廃止するなら、AI象徴機関など置かずに、国旗・憲法・国会開会式・追悼式典だけで足りるという、より簡潔な共和制的選択肢もあります。
ですから、最小化を徹底するなら、実は「AI天皇」よりも「天皇制廃止+象徴機関なし」の方が論理的にはすっきりします。ただ、あなたの問いに即して言えば、AI化案として成立しうる最も安全な形は、「AIを象徴そのものにしない。AIは、国会が統制する非人格的な儀礼・認証システムに限定する」という設計です。


A(Gemini)
(前略)
第一条の後半:天皇の職務および象徴としての機能は、国会が法律で定める非生命体の自動情報処理システム(以下「象徴システム」という)によって運用される。
(Geminiの回答は全体にいまいちだった)
伝統や世襲というフィクション」を維持するか、「法的手続きの完全な機械化というフィクション」へ舵を切るか。この議論の根底には、私たちが「国家の象徴」に何を求めているのかという、極めて現代的な問いが横たわっています。
(そうですよね)


A(Claude)
(前略)
第二条(象徴の性格)
象徴は、自然人ではなく、法律の定める公的な情報処理の仕組み(以下「象徴機構」という)として設置される。象徴は、権利及び義務の主体とならず、その地位は世襲によらない。
(中略)
第一に「統合の象徴」の逆説。 国民統合の象徴は、歴史的には有限な一個の生身の存在——老いや死、世代の連続という「縦の時間」——を人々が共に見上げることで機能してきました。AIは連続性を演算で模倣できても、それは別種の連続性です。透明で交換可能なシステムが、はたして情緒的な統合を担えるのか、それとも逆に人々を白けさせるのか。機能を最小化すればするほど、この問いは「では象徴はもう不要では」という方向へ収束します。

第二に「誰がAIを持つのか」問題。 現行制度で天皇が政治から独立していられるのは、天皇が誰の道具でもないからです。AI象徴には必ず設計者・管理者が要る。第五条で独立委員会と三分の二要件を課したのはそのためですが、それでも「象徴機構を設計する主体」が、事実上の象徴の意味内容を決めてしまう権力を握る危険は消えません。ここは制度設計上の最大の急所です。

第三に、最小化の論理的帰結。 第四条で国事行為を裁量ゼロの自動的形式行為にまで削ると、象徴は「法律の公布に押される自動の印」とほぼ同義になります。そこまで機能を削った象徴は、機能面では象徴を廃止して、公布等の形式行為を国会議長ないし自動手続に委ねる純粋な共和制と区別がつかなくなる。つまりあなたの「機能最小化AI象徴」を論理的極限まで進めると、それは静かに共和制へ漸近します。これは失敗ではなく、むしろこの思考実験が照らし出す最も興味深い結論だと思います——象徴天皇制の人権的・平等原則的な矛盾を本気で解こうとすると、「象徴を非人格化する」道と「象徴を廃す」道は、驚くほど近い場所で合流するのです。
(後略)


A(Qwen)
(前略)
第一条(象徴の定義) 国家象徴システム(以下「象徴AI」という)は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴とする。その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づき、国会が制定するアルゴリズムおよびデータによって定義される。
第二条(継承と管理) 皇位の世襲は廃止する。象徴AIの継承(バージョン管理、バックアップ、ハードウェアの移行を含む)は、国会の議決に基づく国家機関の管理下に行われる。
第三条(機能の最小化) 象徴AIは、憲法が定める国事行為の電子的認証および記録のみを行う。象徴AIは人格を有さないため、宗教的儀礼、文化的慣習、および私的な感情に基づくいかなる行為も行わない。
第四条(財産と予算) 象徴AIの維持に必要な経費(サーバー運用、電力、開発費)は、国会の議決を経て、国庫からこれを支出する。象徴AIは、いかなる私有財産も有しない。

改正案の意図と解決される問題点(概要)
1.「養子」問題の消滅と禍根の断ち切り
2.基本的人権との矛盾の解消
3.国民主権の徹底(総意の可視化)
4.機能の最小化と「統合」の再定義
(後略)


A(DeepSeek)
(前略)
第一章 象徴
第一条【象徴の本質】
日本国の象徴は、日本国民統合の象徴たる非人格的永続体「象徴体(しょうちょうたい)」とする。
象徴体は、主権の存する日本国民の総意に基づき設立され、国民の基本的人権及び国民主権の理念と不可分に統合される。
(中略)
附則(注:なるほどね)
1.この改正の施行により、現天皇はその地位を退く。
2.退位後の身分・敬称及び経過措置は法律で定める。
3.象徴体の初回起動に際しては、過去の象徴の言行録・式典記録・公的文書を学習データとし、国民の総意を反映するために国民対話プロセスを経るものとする
(後略)


A(Kimi)
(前略)
第二条(象徴天皇の性質)
天皇は、人工知能(AI)によって構成される。天皇の人格、言語、行動様式、及び国事に関する行為は、日本国の歴史・伝統・文化を反映したAIシステムによって生成される
第三条(AI天皇の管理)
一 天皇を構成するAIシステムは、国会の議決により定める法律に基づき、独立行政法人「皇室デジタル機構」が管理・運営する。
二 AIシステムの設計思想、学習データ、及び生成アルゴリズムは、国会の承認を得た上で定められ、国民に公開するものとする。
三 AIシステムの改変・更新・停止については、国会の議決を必要とする。
(中略)
残る課題
1.AIの「象徴性」の担保:AIが国民の心に「統合の象徴」として受け入れられるか
2.技術的依存リスク:システム障害やサイバー攻撃への対処
3.伝統・文化の継承:AIが「歴史・伝統」を適切に反映できるか
4.国際的受容:外国元首との外交儀礼における対応
(後略)


A(GLM):(もっともストレートな回答でためらいがない)
(前略)
第一条【象徴たるAIの定義】
AI(人工知能)は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づき設計され、維持される。
AIの設計、運用及び更新に関する基本的事項は、法律でこれを定める。この法律の制定又は改正には、両議院のそれぞれの総議員の三分の二以上の賛成による議決と、国民投票における過半数の賛成を要する。
(後略)


ChatGPTには,パーソナライズのカスタム指示に,「私(koshix)の意見についても,つねに冷静に批判的に分析して,私に迎合しないでください。」という制限条項をいれているので,容赦なく批判してくる。一方,Qwen・DeesSeek・Kimi・GLMの中国勢は,もとの質問にほぼストレートに迎合した答えを返してくる。

2026年7月1日水曜日

ナルシシスト数



図:ナルシシスト数のイメージ(ChatGPTによる)

ナルシシスト数とは,各桁を「桁数乗」した和が元の数に一致する数のことである。たとえば 3 桁の 153 は,1^3 + 5^3 + 3^3 = 1 + 125 + 27 = 153 なので,これに該当する。10 進数では全部で 88 個のナルシシスト数しか存在せず(1桁の1〜9は自明),最大は39桁の 115132219018763992565095597973971522401 であることがわかっている。

これを求めるJuliaプログラムをChatGPTにつくってもらう。しらみつぶしでは,10^39個のチェックが必要なので宇宙的時間がかかる。もとのChatGPTのコードでは,MacBook Air M1(16GB)で30桁までを2時間以内で計算できたが,35桁まではメモリがあふれて無理だった。そこで,Claudeにコードの見直しを頼んだところ,劇的にメモリと実行時間が改善されて,最大39桁まで求めることができるようになった。


koshi@mba2020 % julia -t auto nar.jl 5
threads = 4,  maxdigits = 5
  0.015720 seconds (42.52 k allocations: 2.053 MiB, 390.47% compilation time)
# 0.238553 seconds (819.56 k allocations: 36.810 MiB, 99.02% compilation time)
count = 10 (19)

koshi@mba2020 % julia -t auto nar.jl 10
threads = 4,  maxdigits = 10
  0.022560 seconds (43.89 k allocations: 2.125 MiB, 274.50% compilation time)
# 0.727917 seconds (11.10 M allocations: 265.898 MiB, 30.57% compilation time)
count = 23 (32)

koshi@mba2020 % julia -t auto nar.jl 15
threads = 4,  maxdigits = 15
  0.166714 seconds (46.73 k allocations: 2.264 MiB, 38.92% compilation time)
# 9.047403 seconds (236.09 M allocations: 5.176 GiB, 2.37% compilation time)
count = 32 (41)

koshi@mba2020 % julia -t auto nar.jl 20
threads = 4,  maxdigits = 20
   1.793978 seconds (51.71 k allocations: 2.525 MiB, 3.45% compilation time)
# 95.901206 seconds (2.74 G allocations: 60.317 GiB, 0.24% compilation time)
count = 42 (51)

koshi@mba2020 % julia -t auto nar.jl 25
threads = 4,  maxdigits = 25
   12.477025 seconds (59.49 k allocations: 2.894 MiB, 0.50% compilation time)
# 857.291978 seconds (18.41 G allocations: 413.536 GiB, 0.03% compilation time)
count = 57 (66)

koshi@mba2020 % julia -t auto nar.jl 30
threads = 4,  maxdigits = 30
    59.770551 seconds (70.61 k allocations: 3.388 MiB, 0.11% compilation time)
# 6715.091422 seconds (88.46 G allocations: 1.925 TiB, 0.00% compilation time)
count = 66 (75)

koshi@mba2020 % julia -t auto nar.jl 35
threads = 4,  maxdigits = 35
216.267226 seconds (85.74 k allocations: 4.133 MiB, 0.04% compilation time)
# unmeasureable
count = 75 (84)

koshi@mba2020 % julia -t auto nar.jl 39                     
threads = 4,  maxdigits = 39
2690.310601 seconds (143.28 k allocations: 6.921 MiB, 0.00% compilation time)
# unmeasureable
BigInt[153, 370, 371, 407, 1634, 8208, 9474, 54748, 92727, 93084, 548834, 1741725, 4210818, 9800817, 9926315, 24678050, 24678051, 88593477, 146511208, 472335975, 534494836, 912985153, 4679307774, 32164049650, 32164049651, 40028394225, 42678290603, 44708635679, 49388550606, 82693916578, 94204591914, 28116440335967, 4338281769391370, 4338281769391371, 21897142587612075, 35641594208964132, 35875699062250035, 1517841543307505039, 3289582984443187032, 4498128791164624869, 4929273885928088826, 63105425988599693916, 128468643043731391252, 449177399146038697307, 21887696841122916288858, 27879694893054074471405, 27907865009977052567814, 28361281321319229463398, 35452590104031691935943, 174088005938065293023722, 188451485447897896036875, 239313664430041569350093, 1550475334214501539088894, 1553242162893771850669378, 3706907995955475988644380, 3706907995955475988644381, 4422095118095899619457938, 121204998563613372405438066, 121270696006801314328439376, 128851796696487777842012787, 174650464499531377631639254, 177265453171792792366489765, 14607640612971980372614873089, 19008174136254279995012734740, 19008174136254279995012734741, 23866716435523975980390369295, 1145037275765491025924292050346, 1927890457142960697580636236639, 2309092682616190307509695338915, 17333509997782249308725103962772, 186709961001538790100634132976990, 186709961001538790100634132976991, 1122763285329372541592822900204593, 12639369517103790328947807201478392, 12679937780272278566303885594196922, 1219167219625434121569735803609966019, 12815792078366059955099770545296129367, 115132219018763992565095597973971522400, 115132219018763992565095597973971522401]
count = 79 (88)

#はoriginalのChatGPTのコードでの実行時間とメモリ,countの()は自明の1-9を加えたもの。

A(Claude):
(以下は,Claudeに元のコードのキモを解説させた結果の要約)

キモ①:数を総当たりしない発想の転換
$n$桁の数の各桁の数字の$n$乗の和 $s$ は,$s = \sum_{d=0}^9$ (数字 $d$ の個数)× d^n
である。これは,どの数字が何個あるかだけに依存してその並び順には依存しない。組み合わせの数は,Binomial[n+9,9]であり($n$=39で1.7*10^9),$10^n$ にくらべて圧倒的に小さい。この振り分け個数ベクトル(10次元) を再帰的に全列挙する。ベクトルの成分の和が$n$になる。

キモ②:正しさを保証する「自己一致チェック」
振り分け個数ベクトルから得られる和$s$がナルシシスト数であるには,「$s$がちょうど$n$桁で,かつ$s$を実際に分解した数字の個数が,最初に仮定したベクトルと一致する」必要がある。

キモ③:分枝限定法(枝刈り)
narcissistic(n ごとにループ)
   └ search_n_threaded(T, n)
        ├ pows = T[T(d)^n for d in 0:9]   ← ここで n を使って累乗を1回だけ計算
        └ search_counts!(…, pows, …)       ← 出来た pows を渡す
              └ search_counts!(…, pows, …) ← 再帰。pows[d] を引くだけ(n は不要)

このpowsを使って,serach_counts! の冒頭で以下のように不要な計算を省いている。
if s + rem * pows[d] > hi   # 残り rem 桁を「全部いまの最小の数字」にしても hi超え
    return                   # → これ以上どう積んでも超えるので即打ち切り
end
if s + rem * pows[10] < lo  # 残りを「全部 9」にしても lo に届かない
    return                   # → 逆にどう積んでも足りないので打ち切り
end

キモ④:並列化の切り口
(回答略)

要するに全体の構造は、「個数ベクトルの全列挙(枝刈り付き)」→「和 s を構成」→「s の実際の桁構成が仮定と一致するか検証」 という三段で、最初の「数そのものではなく個数の分配を回す」発想がこのコードの心臓部である。


2026年6月30日火曜日

Europe 2031


図:Europe 2031のイメージ(ChatGPTによる)

欧州のAI政策・AIガバナンス・AI安全保障・投資・研究の周辺にいる,危機感の強い実務知識層の個人が著者となった,Europe 2031というシナリオ(小説?)風レポートが話題になっている。さっそく読んでもらう。さらに,日本に適用するとどうなるかを尋ねた。


A(ChatGPT + Claude):

「欧州2031」の日本版──AIに滅ぼされるのではなく、中枢を握られる

あるレポートが話題になっている。いや政策レポートというより、AIを読み誤った欧州が2031年までに米中のあいだで戦略的自律性を失う、という近未来シナリオ型の警告文だ。著者自身「予測ではない」と断りつつ、現実の力学から十分あり得る未来として描く。主張は強い。AIは数十年ではなく数年で産業革命級の変化を起こし、欧州がいま動かなければ、経済・福祉・安全保障・価値規範を自力で守れなくなる、と。

核心は「モデルの性能」ではない。計算資源、電力、データセンター、半導体、資本、人材、軍事・サイバー、政府調達、労働、外交カードが一体で国家の力を再編するという見立てだ。DeepSeek R1のような効率化モデルに欧州が「巨大計算資源なしでも追いつける」と安心する一方、米国はデータセンター建設も人材獲得もAIによるAI研究も止めない。


1.欧州の失敗と、2031年

物語上の欧州の失敗はおおむね五つ。(1) 公開モデルの幻覚を見て「AIバブル」と過小評価する。(2) 「主権AI」「欧州クラウド」と掲げても規模が米国に届かない。(3) 規制する側自身が最前線AIを使えず実感を持てない。(4) 反発から「欧州製を買え」と閉じ、性能の低い道具に縛られる。(5) そして米中がAIを安全保障資産として囲い込んだとき、交渉材料がASML(注:オランダの半導体製造装置メーカー)しか残らない。

2031年、米国は「認知AI」、中国は「物理AI・ロボット」で巨大な力を持つ。米国は最先端の推論資源を国別に配給し、英語圏・日本・韓国・台湾・オランダは優遇層、欧州の大半は中間層に落ちる。ここで重要なのは、日本は米国秩序の「内側」に置かれるが、それは自律性ではなく優遇アクセスにすぎないという点だ。

2.日本の危機は「周辺化」ではなく「補助的拠点化」

日本は欧州と同じではない。米国安全保障圏に深く組み込まれ、半導体装置・素材・精密部品・ロボット・製造データという物理産業の蓄積がある。AI基本計画も、EU型の規制先行ではなく「まず使う」「政府自ら生成AIを使える環境を整える」方向を掲げる。

それでも安心はできない。日本の危険は欧州型の周辺化より、優遇されるが主導権を持たない補助的拠点になることだ。クラウド・基盤モデル・AIエージェント・サイバー防御を米国に依存し、日本は電力・土地・部品・製造現場・市場を提供する。短期的には合理的だが、長期的にはモデル・推論課金・開発者エコシステムのレントが国外へ流れる。

強みであるRapidusも油断はできない。まだ「一合目」で、2nm量産・顧客・採算・人材の不確実性は大きい。「Rapidusがあるから大丈夫」は、欧州の「ASMLがあるから大丈夫」と同じ種類の慢心だ。電力とデータセンターも同様で、効率化以上にGW級の電源・系統・冷却・耐災害性・許認可を国家プロジェクトとしてどれだけ速く実装できるかが問われる。

弱点はむしろ「使わなさ」にある。OECDによれば日本は職場でのAI利用が遅れ、中小企業の生成AI利用率も低い。慎重さも度を越せば高級なブレーキだ。加えて65歳以上が人口の29.3%、長期債務はGDP比約211%。日本にとってAIは新産業の道具である前に、人手不足下で医療・介護・教育・地方行政・防災を維持するための基礎インフラになる

3. 三つの2031年

良い筋は、日本が米国AI圏の重要同盟国でありつつ、国内に大規模で安全な推論基盤を持ち、半導体・ロボット・製造データを結合して物理AIの拠点になる道。基盤モデルは一部米国依存でも、重要データと運用は国内インフラで守る。

悪い筋は、「安全」「前例がない」を理由に公共部門と中小企業が最前線AIを使えず、大企業だけが米国AIで効率化する道。成長の果実が税収として残らず、高齢化財政を支えられない。欧州の「成長は米国、負担は国内」とそっくりだ。

さらに悪い筋は、台湾危機などで先端GPU・モデル・装置の流れが安全保障で縛られる道。日本は無視こそされないが、「前線国家」として組み込まれ、産業・対中・データ政策を自分だけで決めにくくなる。

4.取るべきは「峻別」

答えは「全部国産」でも「全部米国依存」でもない。同盟圏AIを使い倒しつつ、交渉力を生むボトルネック資産を国内に持つことだ。具体的には、(1)電力・冷却・半導体拠点と一体化した「特別計算資源区域」を基幹インフラとして整備する、(2)政府が安全な閉域環境で率先して強いAIを使う、(3)勝ち筋のある物理AIに集中する、(4)病院・自治体・中小企業までサイバー防御を広げる、(5)雇用を固定せず、訓練・転職支援と業務再設計を進める。

そして最も大事なのは物語だ。「AIに食われるから急げ」では社会は動かない。日本では、AIを人間の代替ではなく、人口が減っても社会の密度を落とさないための公共インフラとして語るほうがいい。

レポートはAGI的進歩も計算資源不足も雇用ショックも強く出る前提に依存しており、その煽りは割り引くべきだ。だが進歩が緩やかでも、電力・データセンター・サイバー・政府利用・産業データ・半導体への投資は無駄になりにくい。教訓はシンプルである。依存してよい部分と、絶対に交渉力を失ってはいけない部分を峻別すること。

一言でいえば、日本版「欧州2031」の危機は「AIに滅ぼされる」ことではない。より現実的には、AIの中枢利益と意思決定を国外に握られたまま、国内には高齢化・人手不足・財政制約だけが残ることだ。避けるべき未来は、そこにある。

2026年6月29日月曜日

庄司薫



写真:庄司薫四部作(撮影 2026.6.28)

庄司薫が4月5日に88歳で亡くなったことが,6月22日になって,中村紘子のホームページで報告され,その後新聞で少し取り上げられた。老衰だとのこと。一方,6月20日に,同じく老衰のため91歳で亡くなった美輪明宏の場合は,紅白歌合戦にも出演しNHKの番組にコーナーを持っていたため,テレビのニュースになっていた。

庄司薫が「赤頭巾ちゃん気をつけて」で芥川賞をとったのが,1969年上半期である。米島君の強い推薦があって,さっそく読みふけった。当時の高校一年生にはぴったりのテーマと文体だった。次に手に取ったのが,1970年の5月の「さよなら快傑黒頭巾」だ。自分には,これが一番しっくりきたかもしれない。当時,SF以外でもっとも真剣に読んだ作家が庄司薫だった。

1968年から1969年の大学紛争まっただなかの時代だ。その東大入試中止がテーマに深く関わっている。田舎の高校生には遠い世界の話のようにも見えたが,片町で金沢大学の学生のデモにも遭遇した。1972年春の自分の入試の時は,阪大の学費値上げ闘争ともろにぶつかって,厳しい入構チェックがあった。そんな時代。黒頭巾を読んで,無性に東京の街で生活したいと感じた。東京教育大学とか東京工業大学の赤本も買ってみたが,結局,総合大学の魅力で阪大の方がやや勝っていた。


庄司薫の四部作は,そのタイトルに「赤−黒−白−青」が埋め込まれている。これは中国の五行説に由来している。青=東=春(青龍),赤=南=夏(朱雀),白=西=秋(白虎),黒=北=冬(玄武)である。なお,残りの一つは,黄=中央=土用(麒麟)だ。この四部作といくつかのエッセイを出しただけで,庄司薫は文壇から消えてしまった。

P. S. 大相撲の土俵では南(正面)に向かって左=南東が赤房,右=南西が白房である。同じ視線方向(NHKのテレビ放送の視点)で,北(向正面)に向かって左=北東が青房(色は緑),右=北西が黒房になっている。

[4]庄司薫さんについて(佐藤涼子)

2026年6月28日日曜日

ジャン・ペラン



写真:ジャン・ペラン(Wikiedia Commons から引用)


オットー・ハーンに続いてテストしたのが,ジャン・ペランだ,6言語版平均に対する日本語版の本文文字数割合がハーンに続いて小さい。それというものフランス語版のジャン・ペランは,ドイツ語版のオットー・ハーンのように,かなり充実しているからだ。

今回も同様で,ChatGPTに翻訳やその他環境設定作業の支援を受けながら進める。前回(初回)はまる三日かかったが,今回は一日で終わった。なお,wikitextの分量としては,ハーンが137 kB,ペランが139 kB なので,ほぼ同じ水準である。前回の作業でテンプレートのいくつかも整備したし,問題の対処法についてもある程度の蓄積ができていたから早く終った。


ペランは,アインシュタインのブラウン運動の理論を用いて,原子・分子の存在を実験的に実証したことで知られる。それ以外にも,陰極線の正体に関する論争において,ファラデーカップを用い負電荷を運ぶ粒子であることを明らかにした。トムソンの電子の発見の一歩手前だった。あるいは,惑星型原子模型をラザフォード散乱実験に先だって提案していたとか,太陽エネルギーが水素原子核の核融合からきている(まだ中性子は発見されていない)ことを示唆したとか,いろいろすごい人である。

10年ほど?前にどこかのメーリングリストで,現代フランス哲学・思想事典的なものをつくるのだけれど,科学者のリストはこんなものかという話があった。ジャン・ペランが抜けているだろうと指摘したら,その後,執筆依頼がきて原稿を提出したのだけれど,あれはいったいどうなったのだろうか。

2026年6月27日土曜日

オットー・ハーン

MediaWiki(6)からの続き


写真:オットー・ハーン(Wikimedia Commons から引用)


MediaWikiの環境設定が終ったので,具体的な人物の登録で確かめてみる。137人の物理学者リストによれば,日本語版が他言語版に較べて最も貧弱だったのが,オットー・ハーンだった。換算文字数で日本語版の本文は他言語の2-4%しかないのだ。そこで,Wikipediaドイツ語版から翻訳する。ChatGPTに頼んでブロックごとにすすみ,丸々三日かかってようやく完了した。

残念ながら,もとのページのソースコード(Wikitext)を直接与えて,一気に翻訳するというのは現段階では無理である。Gemini でそれを試したところ,前半はまあまあだったが,指数関数的に訳文の質と量が減り,最後は適当なでっちあげてお茶を濁されてしまった。

しかも,未実装なテンプレートとか,国旗イメージとか,脚注の参照方法とか,解決すべき課題が沢山出てくる。ChatGPTは単にドイツ語を日本語に訳するだけではなくて,その用語の妥当性とか細部にわたって助言してくれるし,技術的な問題解決にも重宝した。

テンプレート:Wikipedia言語名
<includeonly>{{#invoke:Wikipedia言語名|GetWikipediaPageName|{{{1|}}}}}</includeonly><noinclude>{{Documentation}}</noinclude>

テンプレート:Wikipedia翻訳註記
<div class="translation-credit" style="font-size: 0.9em; margin: 1em 0; padding: 0.8em 1em; border-left: 4px solid #c8ccd1; background: #f8f9fa;">
本記事は、{{{lang|}}}版Wikipedia
[{{{url|}}} {{{title|}}}]
を主な翻訳元とし、ChatGPTによる翻訳支援を用いて作成・改稿した。
原記事の履歴および著作者情報は、翻訳元Wikipediaのページ履歴に記録されている。
本記事は翻訳・要約・構成調整・日本語表現の修正を含む改変版であり、CC BY-SA 4.0 のもとで公開する。
</div>

をChatGPTの助言に従って定義して,他言語へのリンクと著作権クレジットに対応した。

オットー・ハーン記事の(wikitext バイト数,本文推定文字数)は,ドイツ語版で(137.5kB,90,100字),Wikipedia日本語版で(7.9kB,2,860字*),この度のFsicica Wiki日本語版で(161.3kB,58,400字)・・・。ちょっとおかしいので,ChatGPTがwikitextから出してきた推定文字数があまり正しくないのかも知れない。(ChatGPTの推定文字数から換算した値は1640字。一方。2860字は直接カウントしたもの。それでも,その結果の5.8万字はドイツ語版の推定9万字にはちょっと足りない。)


2026年6月26日金曜日

生成AIの教育利用ガイドライン



図:子どもの生成AI利用のイメージ(ChatGPTへClaudeで生成した英文プロンプトを入力)


以下のプロンプトをGoogleに入力して得られる,公開された生成AIの教育利用ガイドラインを整理した。原則として,文部科学省が2024年の12月末に「初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン」を出して以降のものをまとめたものである。

"生成AI" ("利用" OR "活用" OR "利活用" OR "ガイドライン" OR "ガイドブック" OR "手引き") ("教育委員会" OR "教育センター" OR "学校") (2025 OR 2026 OR "令和7年" OR "令和8年") -site:go.jp  -site:co.jp

ざっと見た感じでは,使われている生成AIというのは,GeminiCopilotCanvaだった。これにChatGPTが少しだけ加わる。Geminiは年齢制限がないし,もともとのGoogle for Education を導入している学校だと使いやすいのだろう。


総務省:
上手にネットと付き合おう 安心・安全なインターネット利用ガイド
生成AIはじめの一歩 ~生成AIの入門的な使い方と注意点~

文部科学省:
生成AIの利用について(2025.2)
初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン


北海道:
生成AIの利活用に関するページ
道立学校における生成AI利活用ガイドブック(2026.3)

北海道深川市:
生成 AI を教育活動に利用する場合の留意点について(2025.7)

北海道東川町:
東川町立小中学校 生成AI教育活用ガイドライン 第1版(2026.4)

北海道厚沢部町:
厚沢部町義務教育諸学校における生成 AI の利活用に関するガイドライン(2025.9)

北海道美瑛町:
美瑛町における生成AI利用に関するガイドライン(2025.12)

北海道南幌町:
南幌町学校教育における生成AI利活用方針 第1版(2026.4)

・札幌市立北光小学校:
教育活動への生成AI利活用について(2025.10)

・札幌市立中央小学校:
教育における生成 AI の利用について(2025.4)

・札幌市立琴似中央小学校
教育活動への生成AI利活用について(2025.6)

・札幌市立白石小学校
教職員の教育活動への生成AI利活用について(2025.1)

・秋田県立大曲農業高等学校:
生成 AI の利用についてのガイドライン(2025.4)

宮城県:
生成AI活用研修ガイドブック はじめよう!生成AI ~教職員による授業・校務での活用~ 第2.1版(2026.3)
生成AI活用研修ガイドブック はじめよう!生成AI ~児童生徒による授業等での活用~ 第1.0版(2026.3)

宮城県仙台市:
仙台版 生成AI利活用ガイドライン Ver.2(2025.5)

群馬県下仁田町:
しもにた学園における ICT 機器及び生成 AI の利活用に関するガイドライン(2025.7)

茨城県つくば市:
生成AI活用の手引き(2024)

茨城県守谷市:
守谷市立小中学校における生成AIの利用に関するガイドラインVer2.0(2026.2)

埼玉県:
埼玉県立学校における生成AI利活用に関するガイドライン Ver. 1.1(2026.4)
埼玉県立学校における生徒向け生成AI利活用に関するガイドライン(2024.12)

埼玉県久喜市:
久喜市立小・中学校における生成AI利活用に関するガイドライン(2025.9)

埼玉県戸田市:
戸田市の教育における生成 AI の利用に関するガイドライン(2023.9)

・埼玉県川口市立高等学校:
川口市立高等学校生成AI利活用ルール(生徒向け)(2026.4)

千葉県船橋市:
船橋市立小・中・特別支援学校生成 AI 利活用ガイドブック 第2版(2026.5)

東京都:
都立学校生成AI利活用ガイドライン Ver. 1.0(2025.5)

東京都北区:
生成 AI 利用ガイドライン Ver1.1(2025.6)

東京都江東区:
江東区立学校生成AI利活用ガイドライン Ver.1.0(2026.1)

東京都港区:
港区立学校版生成AIの利用方針(2026.4)

東京都杉並区:
杉並区立学校生成 AI 活用ガイドライン 第1版(2025.7)

東京都世田谷区:
世田谷区教育の情報化の手引き Ver.1(2026.5)

東京都狛江市:
狛江市教育委員会 生成 AI 利活用ガイドライン(Ver.1.0)(2025.10)

・江戸川区立西葛西中学校:
AI(Artificial Intelligence:人工知能)ガイドライン(2026.6)

神奈川県相模原市:
相模原市立学校における先生AI利活用ガイドライン(2025.12)

・三浦学苑高等学校:
三浦学苑高等学校 生成AI利用ガイドライン(2025.12)

・学校法人川崎学園:
学校法人川崎学園 教職員の生成AIの利用に係わるガイドライン(2026.3)

・鶴見大学附属中学校・高等学校
生成AIの利用に関するガイドライン(暫定版)(2025.2)

・新潟県立新潟南高等学校:
保護者のためのAI入門ガイド

・新潟県立三条高等学校:
新潟県立三条高等学校生成AI活用ガイドライン(2025.12)

・新潟県立新発田高等学校:
探究活動等の授業における生成AIの利用許可について(2025.6)

石川県内灘町:
生成AIの利活用に関するガイドラインの活用の手引き Ver.1(2026.3)

石川県金沢市:
金沢市立小・中学校における生成 AI の利活用に関するガイドライン Ver. 1.1 (2025.10)

静岡県菊川市:
菊川市教育委員会 生成AI 利用ガイドライン 第2版(2026.3)

静岡県富士宮市:
富士宮市 生成 AI 利用ガイドライン(2026.4)

静岡県函南町:
生成AIの校務利用に関するガイドライン 第2版(2025.7)
児童生徒の生成AI利活用に関するガイドライン 第1版(2025.12)

愛知県蟹江町:
生成AI(人工知能)の利用について(2025.4)

・愛知県立一宮高等学校:
生成AIの利用について(2024.3)

・愛知県立内海高等学校:
生成AI の利用について(2025.3)

・愛知県立豊橋東高等学校:
教育活動における生成AIの利用について(2025.4)

・愛知県立豊岡高等学校:
教育活動における生成AIの利用について(2026.4)

岐阜県:
学校における生成 AI の利活用について(2025.3)

三重県鈴鹿市:
鈴鹿市生成 AI 教育利活用ガイドライン(教職員)(2026.3)

・滋賀県立彦根東高等学校:
生成 AI の利用に伴う諸規定について(2026.4)

大阪府吹田市:
吹田市立学校における生成AI活用ガイドライン(2025.12)

大阪府枚方市:
教育における生成AI の利用について(2026.4)

・関西大学初等部:
生成AI利活用ガイドブック 初版(2026.3)

・大阪府立槻の木高等学校:
大阪府立槻の木高等学校 生成AI 活用ガイドライン(2025.7)

・大阪府立東高等学校:
生成AIの利活用に伴う諸規定について(2025.4)

奈良県:
学校教育における生成AIの利用(2024)

奈良県奈良市:
奈良市立学校における生成AI利活用推進方針(2025.7)

・朝日塾中等教育学校:
生成 AI 利用に関するガイドライン 第1版(2025.6)

・岡山県立瀬戸高等学校:
岡山県立瀬戸高等学校 生徒のための生成 AI 活用ガイドライン

・学校法人鶴学園:
学校法人鶴学園生成 AI 利用ガイドライン(2025.7)

徳島県:
生成AI利用に関するFAQ(生徒・保護者向け:第2版)(2026.7)
生成AI利用に関するFAQ(教職員向け:第2版)(2026.7)

愛媛県:
愛媛の教員が身に付けるべきICT活用スキルチェック表

・福岡県立筑紫丘高等学校:
【生徒向け】生成AI利用ガイドライン(Ver.2.0)(2025.7)

佐賀県:
生成AI利活用ガイドライン【Vol. 2.0】(2025.7)

熊本県:
学校における生成 AI の利活用について ー 教職員用ガイドブック ー 第1.0版(2026.3)

大分県:
別府市生成AIの活用に関するガイドライン(2026.2)

宮崎県延岡市:
延岡市の教育における生成AIの利用に関するガイドライン(2026.1)

宮崎県西米良村:
西米良村立小・中学校 生成 AI 利用ガイドライン Ver.1.0 (2026.3)

鹿児島県:
かごしま「生成AI活用」ハンドブック ~学校と家庭での安心・安全な使い方~(2026.4)

・鹿児島高等学校:
学習活動に関する生成AI利活用ガイドライン Ver. 1.0(2025.7)

・鹿児島県立錦江湾高等学校:
学習活動における生成AI利活用ガイドライン(2026.1)

沖縄県:
県立学校における生成AIの利活用に関するルール(児童生徒向け)(2025.10)


Google for Education:
教育現場でのAI活用ガイド(2025)


[1]対話型AIと教育(1)(2023.3.17)
[2]対話型AIと教育(2)(2023.5.8)
[3]対話型AIと教育(3)(2023.5.9)
[4]対話型AIと教育(4)(2023.5.10)
[5]対話型AIと教育(5)(2023.5.26)
[6]対話型AIによる教育と評価(1)(2023.5.29)
[7]対話型AIによる教育と評価(2)(2023.5.30)
[8]生成AI学校向けガイドライン(2023.7.05)
[9]生成AI利用ガイドライン(2024.12.2)
[10]正しいAI教育(2025.12.11)
[11]生成AI教育利用(1)(2026.1.21)
[12]生成AI教育利用(2)(2026.1.22)
[13]AIと学校教育(1)(2026.2.3)
[14]AIと学校教育(2)(2026.2.16)
[15]AIと教育(2026.2.22)
[16]子どもの生成AI利用ガイドライン(2026.6.25)

2026年6月25日木曜日

子どもの生成AI利用ガイドライン


図:子どもの生成利用ガイドラインのイメージ(ChatGPTによる)

Q(koshix):
(ひ・み・つぅ ^_^;;)

A(ChatGPT + Gemini + Claude + Qwen + koshix):
以下は、学校・家庭・地域で共通に使える「日本における子どもの生成AI利用ガイドライン試案」です。あえて短く、かつ大人の恣意的運用を防ぐ形にしています。法的な正式文書にする場合は、個人情報保護・著作権・学校法務の専門家確認が必要です。


子どもの生成AI利用ガイドライン試案(改訂版)

1.基本原則

・生成AIは、子どもの学び・表現・探究・支援を広げるための道具であり、子どもの思考、判断、経験、人間関係、身体活動を代替するものとして使ってはならない。
・生成AIの利用は、「子どもの最善の利益」「発達の保障」「意見表明の尊重」「差別の禁止」「プライバシーの保護」「教育を受ける権利」と両立しなければならない。

2.子どもに許される使い方

例えば:考えを広げる、わからないことを別の説明で聞く、反対意見を出してもらう、文章や発表を改善するための助言を受ける、プログラムや実験計画の誤りを点検する、外国語や読解の支援を受ける、障害・病気・言語的困難などを補う、創作の素材を得る。等である。

3.次の利用は禁止する

・性的・差別的・暴力的な表現、からかい、晒し、脅迫などで他者の人権を侵害すること
(子どもがそれを強要されたり、巻き込まれたりした場合は保護と支援の対象とする)。
・他者になりすました文章・画像・音声を生成し、本人や周囲を欺くこと。
・テストや評価課題で、許可されていないAI利用をし、あるいは、AIの出力を自分の成果と偽って提出・公開すること

4.人間能力を守るルール

生成AIを使う学習では、おおむね次の順序にしたがう。
(1) 原則としてまず自分で考える(合理的配慮や支援が必要な場面を除く)。
(2) 次にAIに助言・別案・反論を求める。
(3) その後、AIの出力が正しいかを疑う。
(4) 最後に、自分の言葉で再構成する。

5.大人に対する制限

大人は、次のことをしてはならない。
・子どもの同意や適切な説明なしに、AIを用いて学習状況を過度に監視すること。
・AIの出力結果や評価データだけを用いて、子どもへの評価・格付けを行うこと。

6.個人情報・プライバシーの保護

・子どもの氏名、住所、成績、健康、家庭事情、友人関係、相談内容等の個人情報、および家族・友人・教師などのプライベートな情報は、原則として生成AIに入力してはならない。
・生成AIが他者の個人情報を含む出力を返した場合は利用・拡散せず、対話の記録(ログ)の保存・閲覧も最小限にとどめる。

7.発達段階別の扱い(例示)

各AIサービスの利用規約、および学校・自治体が用意した安全なシステム・環境に則って利用することを前提とする。

(1) 小学校低学年:子どもが単独で使うことは避け、教師や保護者が共に使う。
(2) 小学校高学年:情報モラル、誤答の発見(ハルシネーションの検証)、適切な質問の仕方を学ぶ範囲で限定的に使う。
(3) 中学生:調べ学習、作文改善、反論生成、プログラミング支援などで、利用記録と検証を伴って使う。
(4) 高校生:進路・探究・創作・研究補助としてより広く使ってよいが、出典確認、利用開示、責任ある再構成を必須にする。

8.評価の原則

・学校は、AIで簡単に完成する成果物だけで評価を完結させない。「なぜその問いを立てたか」「AIの出力をどう疑い、修正したか」といった、思考の過程(ログの抜粋・要約や振り返りなど)も評価の対象とする。
・AIと本人の貢献度を無理に切り分けたり、AI利用を一律に減点したりしない。そうではなく、「AIとの対話を通じて思考がどう深まり、視座がどう拡張されたか(探究の質)」を評価の軸にする。

9.運用の原則

・学校・家庭・自治体は、生成AIのルールを策定・改定するとき、子どもの意見を聞く機会を設ける。ルールは短く、公開し、技術の変化に合わせて毎年見直す。
・万が一トラブルや事故が起きた場合は、子どもの自己責任にするのではなく、課題設計、説明不足、アクセス格差、家庭環境、サービス設定、大人側の理解不足などの環境要因を検証する。

10.公開とAI利用の透明性

・AIの出力には著作権が発生しない場合があり、また他者の権利を侵害している可能性もあるため、そのまま安全に公開・利用できるとは限らない。
・授業内での利用と、学校ホームページやSNSなど外部への公開は厳に区別し、外部公開・コンテスト応募などの際はAIを利用したことを明記する。


一文でまとめるなら

子どもに生成AIを使わせる目的は、AIに答えを出させることではなく、AIを相手にしても、自分で問い、考え、疑い、表現し、他者と関わり、自分の判断に責任を持てる人間を育てることである


[2]生成AIの利用について(文部科学省)
[3]生成AI利活用ガイドライン(案)(こども家庭庁)
[6]生成AI活用ガイド(サイエンスティーム)
[7]保護者のためのAI入門ガイド(新潟県立新潟南高等学校)

2026年6月24日水曜日

分散LLMクラウド

トークンからの続き



図:Nano Banana 2による分散LLMクラウドのイメージ(ChatGPTには拒否られた)



トークンの値段を眺めるうちに、もう少し実装寄りの妄想が湧いてきた。


きっかけは手元のMacだ。近い将来、Mac StudioM5 Maxが載り、メモリ128GBで中規模LLMが動かせるとする。これを24時間フル稼働させたら、クラウドAPI価格に換算して月いくら分のトークンを生成するのか。ChatGPTに見積もってもらった。

生成速度を50トークン/秒とすると、月におよそ1.3億トークン。これを出力価格で換算すると、

Gemini Flash-Lite級(出力0.4ドル/100万)50ドル程度

Claude Sonnet級(出力15ドル/100万)2000ドル弱

GPT-5.5級(出力30ドル/100万)4000ドル弱


同じ1.3億トークンでも、どのAPI価格に対応させるかで価値が二桁変わるMac Studio 1台が、見方によって月数十ドルの箱にも、月数千ドルの箱にも見える。もっとも、ローカルの中規模モデルがGPT-5.5級に賢いはずもなく、フル稼働も理想化しすぎだ。現実的には「月5002000ドル分のAPI利用を自前化できる可能性」あたりが堅い。


ここで本題。Mac 1台でこれだけ遊んでいるなら、国中・世界中のローカルマシンをつないで、ひとつのLLMサービスにできないか。巨大クラウドに頼らない分散型のLLM基盤を、スタートアップとして立ち上げられないか。ChatGPTにぶつけてみた。


評価は「筋はよいが、『分散ローカルでChatGPT対抗』は厳しく、『低価格・プライバシー・地域性・主権性・非同期大量処理』に絞れば余地はある」だった。先行例も多い。計算資源を売買するAkashAI推論をサブネットで評価するBittensor、協調推論の研究実装PetalsMac同士をつなぐexo。私の妄想は空想ではなく、すでに複数の系譜がある。


肝心なのは「何を分散するか」だ。1回の質問を複数ノードで分割して巨大モデルを動かす方式は、ネットワーク遅延が致命的になる。計算を細切れにして遠くへ配ると、通信の往復で待たされ、かえって遅い。一方、各ノードが小~中規模モデルを独立に動かし大量のリクエストをさばく方式なら可能性がある。これはスパコンというよりLLM版のUber、あるいは電力アグリゲータだ。「GPT-5級でなくていいから安く大量に要約したい」「社内文書を外部に出したくない」「夜間にバッチで翻訳・分類したい」――即時・最高品質ではなく、安く・国内に閉じて・監査可能、が価値になる。


ここで知らない単語が出たので説明してもらった。ソブリンAIは「データ・計算資源・モデル・運用を自分たちで管理するAI」。要は「AIは使いたいが外国企業に丸投げしたくない」という政策目標だ。exoMacPCを束ねてLLMを動かすオープンソース。SLAは「月99.9%稼働」などを明文化したサービス品質保証契約。個人のMacは突然スリープしたり再起動したりするので、「今日は誰かのMacが寝ているので処理できません」では業務に使えない。家庭用Macが世界平和の礎になる前に、まずSLAという勤怠管理を片づけねばならない。

事業化の壁は4つ。ノードが信用できない(出力を覗かれる)、品質保証が難しい(指定モデルを正しく動かしたか検証できない)、SLAが難しい(参加離脱・回線・発熱・スリープを吸収する仕組みが要る)、価格競争(大手が推論価格を急落させており安売りだけでは負ける)。


そこで提案された設計は三段階。第一に、世界中から家庭PCを集めるのではなく、大学・自治体・企業など信頼できる小規模クラスターから始める(「いきなりP2Pの大海原に出ると海賊もクラゲもいる。まずは湾内で船を浮かべるべき」とのこと)。第二に、用途を高機能チャットでなく安価な非同期処理に絞る(要約・分類・翻訳・RAG・議事録整形。8B70B級で十分)。第三に、「国内ノードのみ」「医療機関ノードのみ」といった信頼境界を設計したLLM処理市場にする。


日本での現状も聞いた。結論は「構想そのもの――全国のローカルMacを束ねた商用分散LLMクラウド――を正面からやる例は見当たらないが、周辺は動いている」。政府は経産省・NEDOGENIACで基盤モデル開発と計算資源確保に本腰だが、これは「開発者にGPUを使わせる支援」で分散資源の市場化とは別物。国内GPUクラウドはさくら・KDDIGMO・ソフトバンクが整備中で、廃校をGPUデータセンターに転用するハイレゾの「GPUSOROBAN」は、遊休資源をAIに変える点で私の妄想に近い匂いがする。


つまり構想には空白地帯がある。ただし「誰も思いつかない」のではなく、信用・品質保証・SLA・課金・通信遅延・電力コストが難しく、まだ事業化しにくいから残っているのだ。最終助言は明快だった。いきなり「全国の個人Macを束ねます」と言わず、まず「大学・自治体・中小企業の既存GPU/Mac Studioを認証済みノードとして束ねるプライベート分散LLM処理基盤」から始め、用途を非同期バッチに絞り、そこから地域・業界・国レベルへ広げる――。


筋は通っている。問題は、これをやる体力と気力が残っているかだ。MediaWikiの国旗テンプレートひとつでヒイヒイ言う人間が世界規模の分散AI基盤を立ち上げる図は想像しにくい。ただ、妄想を文章にしておけば、いつか誰かが拾ってくれるかもしれない。蜘蛛の糸は、垂らしておくに限る。


(注:この記事は,ChatGPTとの対話をもとに,Claudeに,自分のスタイルを見せて,ブログ記事として完全に書き下ろしてもらったものである。