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2026年6月23日火曜日

トークン



図:ChatGPTによるトークンのイメージ


生成AILLM)に何から何まで頼り切る生活をしていると、課金の話が気になってくる。APIを叩くほどお金が飛ぶし、その勘定は「トークン」という妙な単位でなされる。そこでChatGPTに、各社の1トークンが何ドルなのか、この3年半でどう変わったのかを聞いてみた。


トークンとは、AIが文章を処理する最小単位で、ざっくり単語の一部のようなものだ。各社のAPIは入力トークンと出力トークンを別価格で売っており、一般に書くほう(出力)が読むほう(入力)より高い。オーダー感覚はこうだ。

1トークンは「数百万分の1ドル」程度、1ドルでは「数万~数千万トークン」買える。

・フロンティア級(GPT-5.5Claude Opus級):入力100万トークンあたり5ドル前後、出力2530ドル前後。

・実用主力級(Claude SonnetGemini Pro級):入力23ドル、出力1215ドル前後。

・廉価大量処理級(Gemini Flash-Lite級):入力0.1ドル、出力0.4ドル前後。

トークンはもはや単なる「文字量の単位」ではなく、AI屋台の食券だとChatGPTは言う。屋台ごとに一皿の大きさが違うので、同じ食券1枚でも腹の満たされ方がまるで違う。なかなかうまい比喩だ。


おもしろいのは、この3年半の値段の動きだ。1ドルで買える入力トークン数の概算推移はこうなる。

時期

1ドルで買える入力トークン

2022年末

5

2024年初

200

2026年現在

1000


この3年半で、安いモデル同士なら1ドルで買えるトークンはざっと200。ムーアの法則どころの騒ぎではない。ただし「同じ知能のトークンが200倍安くなった」わけではない。安いのは小さいモデルの軽いトークンで、深い推論をするモデルのトークンはいまでも高い。値段の世界は「安価な大量処理」と「高価な深い推論」に分岐した


さて、ここからが本題。トークンがこれだけ「数えられて値段のつく量」になってくると、将来ドルやユーロに代わる世界共通通貨にならないか、という妄想が湧いてくる。

トークンは通貨の条件をいくつか満たす。正確に数えられ(計量可能)、生成には電力とGPUと時間がかかる(希少性)。ただし価値の安定だけは絶望的だ。3年半で200分の1になる単位など、通貨としては最悪のデフレで、「トークン本位制」は成り立たない。


そこで視点を変える。価値が下がるのは「素のトークン」の話だ。もし「ある基準モデルが基準時間で生成する標準1トークン」のようなものを単位として固定できたらどうか。金本位制ならぬ計算本位制である。トークンの背後にあるのは電力(エネルギー)と計算(労働の代替)だから、マルクスの労働価値説をもじってトークン価値説とでも呼べる。AIが世界の知的労働の相当部分を担えば、「いくらトークンを消費したか」がそのまま「どれだけ知的労働を投下したか」の尺度になる。


もちろん夢見がちな話だ。価値の安定、決済の信頼、国家の裏付け、そして「標準皿」を誰が定義し保証するのか――メートル原器を決めるのと同じ難しさが山ほどある。それでも、20世紀が石油を巡って動いたなら、21世紀は計算(トークン)を巡って動くのかもしれない。各国は早くも「ソブリンAI」「計算資源の確保」と言い始めている。エネルギー安全保障ならぬ計算安全保障の時代だ。とすれば、トークンが準通貨的な戦略物資になる未来も、そう荒唐無稽ではない。


1トークン=0.1円」が新聞の経済欄に載る日が来るかは分からない。ただ、食券を握って屋台街を歩きながら、それが世界通貨になる日を夢想するのは、ちょっと楽しい。夢を見るのは無料だが、トークンは無料ではない。



(注:この記事は,ChatGPTとの対話をもとに,Claudeに,自分のスタイルを見せて,ブログ記事として完全に書き下ろしてもらったものである。

2026年4月28日火曜日

業務端末とプライバシー

人員削減からの続き


図:内乱の予感(ChatGPTによる)

メタの業務ログ記録の話題はインパクトが大きかった。これは,これまで話題になっていた教育現場におけるAI利用による学習過程や履歴の把握による個別最適化とも通底する話である。そこで,その法的な妥当性について考えてもらった。まあ,一人一端末で小学校低学年から学級崩壊が始まっているという話題の前には,吹き飛んでしまう話かも知れないけれど。


Q(koshix):
企業が従業員に業務用の端末を与え,これによって会社の業務を実行させる場合,その端末の従業員パスワードや業務過程の端末操作ログの全体を,従業員との契約によって把握することの妥当性について検討してください。

A(ChatGPT);
結論からいうと、会社貸与端末について、会社が一定の管理権限を持ち、業務上必要な範囲で操作ログを取得・確認すること自体は妥当化され得ます。しかし、「従業員パスワードを会社が把握する」「業務過程の端末操作ログの全体を包括的に取得・閲覧する」ことを、単に雇用契約・誓約書・同意書で包括同意させればよい、という発想はかなり危ういです

特に重要なのは、会社貸与端末であっても、従業員の人格的利益・プライバシー・個人情報性が完全に消えるわけではない、という点です。会社の所有物だから何でも見てよい、という構成にはなりません。

1.まず、端末パスワードについては、会社が「管理者権限」「MDM」「端末初期化権限」「業務アカウント停止・再発行権限」を持つことは合理的です。退職、事故、情報漏えい、業務継続、証拠保全のために、会社が端末・業務データへアクセスできる仕組みを持つ必要はあります。しかし、従業員本人のログインパスワードそのものを会社が常時把握する方式は、セキュリティ設計としても労務管理としても望ましくありません。パスワードは本来、本人認証の秘密情報です。会社が知ってしまうと、誰が操作したのかという証跡性が壊れます。つまり、後から「その操作は従業員本人がしたのか、管理者がしたのか」が曖昧になります。これは監視強化どころか、監査可能性を弱めます

2.より妥当なのは、「会社はパスワードを知らないが、管理者権限により必要時にアカウント停止・再設定・端末回収・業務データ保全ができる」という設計です。例外的に、共有管理者アカウントや非常用アカウントを設ける場合でも、利用条件、承認者、ログ記録、事後監査を厳格にすべきです。従業員個人のパスワードを会社に提出させる方式は、原則として避けるべきです。

3.次に、操作ログについてです。ログイン時刻、端末識別子、業務システムへのアクセス履歴、ファイル操作、外部記憶媒体接続、マルウェア検知、異常通信、業務データの持ち出し兆候などは、情報セキュリティ上、取得の必要性が高い領域です。個人情報保護委員会も、個人データの取扱いに関する従業者の監督や安全管理措置の一環としてモニタリングを行う場合、目的の特定、社内規程化、従業者への明示、責任者・権限の設定、ルールに従った適正運用の確認が必要だとしています。(PPC)

4.一方で、「操作ログの全体」という表現が、キーストローク全記録、画面録画、Web閲覧全履歴、アプリ使用履歴の常時記録、チャット内容、メール本文、位置情報、カメラ・マイク、非業務時間の操作まで含むなら、かなり問題が大きくなります。これは単なる業務管理を超えて、人格的監視に近づきます。厚労省系の労働者個人情報保護の考え方でも、コンピュータ等によるモニタリングでは、実施理由、実施時間帯、収集される情報内容等を事前に通知し、労働者の権利を侵害しないよう配慮すべきとされ、常時モニタリングは健康・安全確保または業務上の財産保全に必要な場合に限られる、という考え方が示されています。(厚生労働省)

5.ここで「契約によって同意を取っているからよいのではないか」という点が問題になります。たしかに、従業員が業務端末利用規程、情報セキュリティ規程、就業規則、誓約書などでログ取得に同意していることは、会社側の正当化要素になります。しかし、雇用関係では使用者と労働者の力関係が非対称です。形式的な同意があっても、それが自由で実質的な同意だったのかは常に問題になります。また、就業規則が労働契約の内容となるには、合理的な労働条件であり、かつ労働者に周知されていることが必要です。(e-Gov 법令検索)

6.したがって、契約条項として「会社は従業員の端末操作ログを全て取得・閲覧できる」「従業員は全パスワードを会社に開示する」と包括的に書いても、それだけで無制限に有効になるわけではありません。個人情報保護法上も、個人情報の利用は特定された利用目的の達成に必要な範囲に限られ、目的を超える取扱いには原則として本人同意が必要です。さらに、安全管理措置はリスクに応じて必要かつ適切な内容でなければならないとされています。(PPC)

妥当な設計は、次のような線引きになります。

(1)会社が取得してよい可能性が高いものは、業務システムへのアクセスログ、ログイン・ログアウト、端末のセキュリティ状態、業務ファイルのアクセス・変更・持ち出し、外部媒体接続、異常通信、マルウェア検知、管理対象アプリの利用状況などです。目的は、情報漏えい防止、業務継続、法令遵守、内部不正対策、インシデント対応に限定すべきです。

(2)慎重であるべきものは、メール本文、チャット本文、Web閲覧の詳細、画面キャプチャ、スクリーン録画、位置情報、カメラ・マイク、キーログ、勤務時間外の操作、私的利用が混入し得る領域です。これらは「必要がある場合に、限定された権限者が、限定された目的で、限定された範囲を確認する」運用にすべきです。

(3)原則避けるべきものは、従業員個人のパスワード提出、常時キーロギング、常時画面録画、業務と無関係な私的情報の網羅的取得、本人に知らせない通常時の隠密監視です。ただし、犯罪・重大不正の相当な疑いがある場合には、証拠保全として例外的調査が許容される余地はありますが、それでも必要性・相当性・手続の適正が問われます。


私の評価では、「会社貸与端末だから包括的に全部把握できる」という企業側の論理は粗すぎます。一方で、「従業員のプライバシーがあるから会社はログを取れない」という反対論も、情報セキュリティの現実を無視しています。妥当な中心線は、会社の所有権ではなく、業務目的との関連性、情報セキュリティ上の必要性、取得範囲の最小化、事前明示、権限管理、監査可能性によって決まります。

実務的には、契約書に包括条項を書くよりも、次のような制度設計が重要です。端末は会社所有で業務目的に使用すること、会社は明示された目的のために一定のログを取得すること、取得するログの種類を具体的に列挙すること、通常時に本文・画面・キーストロークまでは見ないこと、例外調査の発動条件を定めること、閲覧権限者を限定すること、ログ保存期間を定めること、従業員本人に周知すること、労働組合または従業員代表との協議・説明を行うこと、ログ閲覧自体のログを残すことです。

要するに、妥当な契約は「会社が必要な範囲で業務端末を管理し、限定されたログを取得することへの同意」であって、「会社が従業員の端末上の全行動とパスワードを丸ごと支配することへの同意」ではありません。後者は、労務管理、個人情報保護、情報セキュリティ、内部統制のいずれの観点から見ても、かなり危険な設計です


2026年4月27日月曜日

人員削減


図:人員削減のイメージ(ChatGPTによる)

Q(koshix):
米国のテック大手での大規模人員削減が続いています。これを整理してください。人数やパーセンテージなど。また,その原因を分析してください。さらに,メタの「米メタ、社員のパソコン操作データを強制収集 AI開発に利用」との関連についても考察してください。

A(ChatGPT):
(回答略,8000字)

Q(koshix):
上記の話を1000字程度に要約してください。重要なポイントは欠落しないようにお願いします。

A(ChatGPT):
米国テック大手の大規模人員削減は、単なる景気後退やコロナ期の過剰採用の反動だけでは説明できなくなっています。2022〜23年には、パンデミック期に急拡大した人員の調整という性格が強く、Meta、Amazon、Google、Microsoftなどが数万人規模で削減を行いました。しかし2024〜26年にかけては、削減の意味が変わり、AI投資を中核にした組織再編の色合いが濃くなっています。

Metaは約8,000人、全社員の約10%削減を予定し、Microsoftは米国社員約8,750人に自主退職制度を提示、Amazonも2025年秋以降で約3万人規模(〜10%)の削減が報じられています。Intelは約22%の人員縮小方針を示し、Google、Salesforce、Cisco、Appleでも部門別・継続的な削減が進んでいます。業界全体でも、2023年の巨大削減で終わらず、2025〜26年にも削減の波が続いています。

原因は複合的です。第一に、コロナ期の需要急増を前提にした過剰採用の修正があります。第二に、生成AIとデータセンターへの投資が極端に重くなり、人件費を抑えてGPU、電力、クラウド基盤、AI人材へ資源を移す必要が生じています。第三に、AIによる業務の部分代替が現実化し、コード作成、テスト、文書作成、営業支援、データ分析、人事・社内事務などのタスクが圧縮対象になっています。第四に、投資家に対して「効率化」を示す経営上の圧力もあります。AIは本当の技術要因であると同時に、従来型のコスト削減を正当化する言葉にもなっています。

Metaの「社員のパソコン操作データを強制収集し、AI開発に利用する」という動きは、この流れと深く関係します。これは単なる社員監視ではなく、社員が業務用PC上でどの順序で作業し、どこをクリックし、どのように入力し、どこで判断するかという労働過程そのものをAI訓練データ化するものです。従来のAIは文書、画像、コード、対話ログを主な教材としてきましたが、業務を自律的にこなすAIエージェントを作るには、人間の画面操作と判断過程のデータが必要になります。

したがって、人員削減と操作データ収集は、直接の一対一の因果関係というより、同じ戦略の二つの側面です。一方で社員を減らし、他方で残る社員の業務プロセスをAIに学習させる。企業は個々の社員に属していた経験知や作業手順を、組織のAI資産へ移し替えようとしています。これはホワイトカラー業務における新しいテイラー主義とも言えます

ただし、操作ログを集めればすぐに社員を完全代替できるわけではありません。責任判断、顧客関係、例外処理、法務・倫理的判断などは依然として人間に残ります。それでも、定型的な社内事務、分析補助、営業事務、簡単なコーディング、レポート作成などは確実に圧縮されやすい。結局、現在の人員削減は「AIがすでに人間を全面代替した結果」ではなく、「AIが将来代替・圧縮しうる仕事を先取りして、企業が労働構成と資本配分を作り替えている過程」と見るのが妥当です。

2025年10月1日水曜日

逆シャープレイ課徴金

AI法人からの続き

前回のAI法人に対するChatGPT-5の考察は,かなりレベルが高いように見える。すべての用語や概念を理解できたわけではないのだけれど,なんとなく言わんとすることはわかった。その中で,まったくピンと来なかったのが「逆シャープレイ課徴金」というタームだ。

Gemini, Perplecxity, Grok, Deepseek(知ったかぶりのClude4.5は除く)のいずれも様が「そんな専門用語はないよ,ゲーム理論のシャープレイ値と関係あるんだろ」と指摘してくれた。ということは,これはChatGPT-5が既存概念を使って産み出した新概念ということだろうか。うーん,誰だAIなんて統計的鸚鵡にすぎないとまだ言い張っているのは,どうしましょう。

そこで,ChatGPT-5に説明を求めた。
Q(koshix):
逆シャープレイ課徴金とは何ですか?

A(ChatGPT-5):
逆シャープレイ課徴金とは、私が先ほど提示したAI法人格に関する制度設計上の新しい考え方のひとつである。これはゲーム理論における**シャープレイ値(Shapley value)**の逆利用に基づく概念である。

1.シャープレイ値の基礎
・シャープレイ値とは、協力ゲームにおいて、各プレイヤー(参加者)が生み出した「貢献度」を公平に分配するための数理的な方法である。
・たとえば、複数人で共同事業をして利益が出た場合、各人の「周辺的貢献」を平均化して計算することで、誰がどれだけの取り分を持つべきかを導く。

2.逆シャープレイ課徴金の構想
・通常のシャープレイは「利益の分配」に用いられるが、逆シャープレイ課徴金は「損害や責任の分配」に用いる。
・具体的には、AIが引き起こした被害(誤作動、事故、情報漏洩など)が生じた場合、その責任を開発者、データ提供者、運用者、AI法人自身など複数の関与者に帰属させる必要がある。
・このとき、損害発生への「寄与度」を、ゲーム理論的に逆方向から推定し、各主体に課徴金や賠償負担を割り当てる。

3.実務的な意味
・被害者救済の確実性:単純にAI法人だけに責任を押し付けると、資産不足で救済が不十分になる恐れがある。逆シャープレイ課徴金を導入すれば、複数の関与者が合理的に分担できる。
・設計インセンティブ:開発者やデータ提供者も、自分の「寄与率」が高いほど課徴金が大きくなるため、リスクを減らす設計やデータ品質の改善にインセンティブを持つ。
・透明性と公平性:責任の「見えない分散」を防ぎ、形式的な契約や所有権だけでなく、実際のリスク形成のプロセスに即した責任割当を可能にする。

4.新規性
既存の法制度では、責任は「契約関係」や「不法行為の故意・過失」で割り振られる。しかしAIの事故は多因子的で、単一の責任主体を特定するのが難しい。逆シャープレイ課徴金は、この問題に応答するための制度的イノベーションであり、被害者救済と技術発展のバランスを取る新たなメカニズムと位置づけられる。

要するに、逆シャープレイ課徴金とは「AI関連事故の責任を、各関与者の寄与度に応じて公平に割り当てるための、ゲーム理論に基づく課徴金制度」である。

ご希望なら、これを数式モデル(シャープレイ値の定義式を損害分配に転用した形)で示すこともできますが、式を展開してみましょうか?

Q(koshix):
はい

A(ChatGPT-5):
了解である。以下に「逆シャープレイ課徴金」を数式として定義し、実装上の手順と数値例まで示す。

1.問題の形式化(損害関数)
プレイヤ集合を $N=\{1,2,\dots, n\}$ (例:開発者・データ提供者・運用者・AI法人など)とする。
任意の連立 $S \subseteq N$ に対して、当該連立が関与したときの期待損害(事故確率×損害額の期待値)を
$\hspace{1cm}$ $D(S) \in \mathbb R_{\ge 0}$
と定義する。これは監査ログ・因果推論・反実仮想(intervention)により推定される量である。全参加時の損害は $D(N)$、誰も関与しない基準状態は $D(\emptyset)$ とおく(基準外部条件の損害は別枠で控除してよい)。

2.逆シャープレイ割当(損害配分)
協力ゲームのシャープレイ値の定義を損害関数に適用し、各主体 $i \in N$ の周辺損害寄与の期待値を
$\hspace{1cm}$ $\phi_i(D) = \sum_{S \subseteq N} \dfrac{|S|! (|N|-|S|-1)!}{|N|!} \Bigl [ D(S \cup \{i\}) - D(S) \Bigr ]$
で与える。これは「ランダムな参加順序で見たとき、$i$ が最後に加わることで増えた損害の平均」である。線形性・対称性・効率性 $( \sum_i \phi(i) = D(N) )$ 等の公理を満たす。
逆シャープレイ課徴金とは、総課徴額 $L \gt 0$ を
$\hspace{1cm}$ $L_i = \dfrac{ {\rm max} \{ 0, \phi_i(D)\}}{\sum_{j \in N} {\rm max} \{ 0, \phi_j(D)\}} L$
で各主体に賦課する規則である。負寄与(損害低減)を示す主体には課徴しない(後述のボーナス配分対象とする)ため ${\rm max}\{0,\cdot \}$ を用いる。
また、制度運用では各 $i$ に前払保証資本 $B_i$ を義務づけ、支払能力を担保する。

3.反実仮想を用いる実務推定(因果版)
実務では $D(S)$ を次の因果定義で推定するのが自然である。
$\hspace{1cm}$ $D(S) = \mathbb E \lbrack {\rm do(actors =}S)\rbrack $
すなわち「関与者集合を $S$ に介入固定した世界」での損失期待値である。
ログ基盤では、モデル版・設定差分・データ供給経路・運用ポリシー等を介入変数としてバージョン管理し、モンテカルロ推定や逆確率重み付けで $\Delta (S, i) = D(S \cup \{i\}) -D(S)$ をサンプリングする。これを多数の順序サンプルで平均すれば $\phi_i(D) \le 0$ の推定量 $\hat{\phi_i}$ を得る。

4.制度パラメータ(現実装置)
・スリーブ(小規模免除):微小主体 $i$ については $\hat{\phi_i}$ が規制閾値 $\tau$ 未満なら $L_i = 0$
・ボーナス:$\phi_i(D) \lt 0$ の主体には、課徴総額の一部 $\beta L$ を比例配分で還元(「リスク低減配当」)。
 ・上限:各 $i$ の課徴上限は $B_i$+保険限度 にクリップし、超過分は再保険プールへ。

5.数値ミニ例(3主体)
主体 $N = \{ Dev, Data, Ops\}$。
監査・反実仮想から得た損害関数の一例を
$\hspace{1cm}$ $D(\emptyset)=0,\ D(\{{\rm Dev}\}) = 4,\ D(\{{\rm Data} \})=2,\ D(\{{\rm Ops}\})=1,$
$\hspace{1cm}$ $D(\{{\rm Dev,Data}\})=9, D(\{{\rm Dev,Ops}\})=6.5, D(\{{\rm Data,Ops}\})=3.5$
$\hspace{1cm}$ $D(\{{\rm Dev,Data,Ops}\})=14$
とする(相互作用項を含む)。このときシャープレイ計算より
$\hspace{1cm}$ $\phi_{{\rm Dev}} \approx 6.9167,\ \phi_{{\rm Data}} \approx 4.4167,\ \phi_{{\rm Ops}} \approx 2.6667,\ $
であり、$\sum_i \phi_i = 14 = D(N)$ を満たす。総課徴額を $L = 14$ とすれば
$\hspace{1cm}$ $L_{\rm Dev} : L_{\rm Data} : L_{\rm Ops} = 6.9167 : 4.4167 : 2.6667$
となる。
(上の値は計算ツールで検算済みである。)

6.実装アルゴリズム(擬似コード)
(1) 監査APIとログから、因果介入可能な形で $D(S)$ を推定。
(2) $m$ 本のランダム順序 $\pi^{(k)}$ をサンプル。
(3) 各順序で、手前集合 $S$ に対する周辺損害 $\Delta(S, i)$
(4) 平均して $\hat{\phi_i}$ を得る(分散推定と信頼区間も付与)。
(5) ルール $L_i$ に従い課徴。保証資本・保険・再保険で支払確実性を担保。
(6) $\hat{\phi_i} < 0$  にはボーナス配分(任意パラメータ $\beta$)。

7.位置づけ
本制度は、(i)被害者救済の確実性、(ii)リスク形成工程に即した公平な帰責、(iii)設計改善・データ品質・運用監視への正しいインセンティブ付与、の三点を同時に満たす設計である。責任の空洞化は、資産隔離のみを与え可監査性と配分規則を欠くときに生じるが、本方式はその逆を行く制度工学である。

必要なら、このまま Python でシャープレイ推定のサンプルコード(モンテカルロ版)も提示できる。

2025年8月4日月曜日

大統領令

あいかわらずみんなトランプに振り回されている。7月31日に米大統領令(Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates)が発出された。最初の4月2日のもの(Regulating Imports with a Reciprocal Tariff to Rectify Trade Practices that Contribute to Large and Persistent Annual United States Goods Trade Deficits)から約4ヶ月になる。

(1) 中国は,5月12日の,Modifying Reciprocal Tariff Rates to Reflect Discussions with the People's Republic of China のままで交渉継続中だ。対米30%,対中10%の関税率だ。
(3) ブラジルの50%については面倒な屁理屈(Addressing Threats to the United States by the Government of Brazil)をつけてきた。

30%以上は中国,カナダやブラジルを含めて12カ国になっている。
当初の関税率と今回分の比較リストは以下のとおり。
  国・地域名 今回 当初
1 Afghanistan 15%     -
2 Algeria     30%     30%
3 Angola     15%     32%
4 Bangladesh 20%     37%
5 Bolivia     15%     37%
6 Bosnia and Herzegovina 30%     35%
7 Botswana 15%     37%
8 Brazil*     10%      -
9 Brunei      25%      24%
10 Cambodia 19%      49%
11 Cameroon 15%      11%
12 Chad         15%      13%
13 Costa Rica 15%      -
14 Côte d`Ivoire 15%      21%
15 Democratic Republic of the Congo 15%      11%
16 Ecuador         15%      -
17 Equatorial Guinea 15%      13%
18 European Union: Goods with Column 1 Duty Rate[1] > 15% 0% 20%
18 European Union: Goods with Column 1 Duty Rate < 15% 15% minus Column 1 Duty Rate
19 Falkland Islands 10%      41%
20 Fiji                 15%      32%
21 Ghana        15%      -
22 Guyana     15%      38%
23 Iceland         15%      -
24 India         25%      26%
25 Indonesia 19%      32%
26 Iraq           35%      39%
27 Israel        15%      17%
28 Japan        15%      24%
29 Jordan      15%      20%
30 Kazakhstan 25%      27%
31 Laos         40%      48%
32 Lesotho     15%      50%
33 Libya        30%      31%
34 Liechtenstein 15%      37%
35 Madagascar 15%      47%
36 Malawi      15%      17%
37 Malaysia   19%      24%
38 Mauritius 15%      40%
39 Moldova    25%      31%
40 Mozambique 15%      16%
41 Myanmar (Burma) 40%      44%
42 Namibia    15%      21%
43 Nauru       15%      30%
44 New Zealand 15%      -
45 Nicaragua 18%      18%
46 Nigeria      15%      14%
47 North Macedonia 15%      33%
48 Norway     15%      15%
49 Pakistan    19%      29%
50 Papua New Guinea 15%     -
51 Philippines 19%      17%
52 Serbia       35%      37%
53 South Africa 30%      30%
54 South Korea 15%      25%
55 Sri Lanka 20%      44%
56 Switzerland 39%      31%
57 Syria         41%      41%
58 Taiwan      20%      32%
59 Thailand    19%      36%
60 Trinidad and Tobago 15%      -
61 Tunisia     25%      28%
62 Turkey      15%      -
63 Uganda     15%      -
64 United Kingdom 10%      -
65 Vanuatu     15%      22%
66 Venezuela 15%      15%
67 Vietnam    20%      46%
68 Zambia     15%      17%
69 Zimbabwe 15%      18%


2025年7月12日土曜日

トランプからの手紙(3)

トランプからの手紙(2)からの続き

相互関税率の通知に係わる7月9日付のトランプからの手紙の第2弾が,Truth Socialで公開されていた。時間的な余裕はあったけれど,NHKの朝7時のニュースではまだ取上げられていなかった。誤表記や誤発音などの単純編集ミスは多いのに仕事が遅いNHK。

  15 フィリピン 20%(17%)
  16 ブルネイ 25%(24%)
  17 モルドバ 25%(31%)
  18 アルジェリア 30%(30%)
  19 イラク 30%(39%)
  20 リビア 30%(31%)
  21 スリランカ 30%(44%)
  22 ブラジル 50%(10%)

相変らず出鱈目のような気がする。ブラジルは,現在訴追中のボルソナーロ元大統領をトランプが支持しているため,アメリカの対ブラジル貿易は黒字なのにもかかわらず,内政干渉のために高額関税をかけることになった。もうなんでもありである。

トランプからの手紙は国名と関税率以外はすべて同じ文章なのだが,ブラジル宛のものは理由が別なので異なる文がついていた。
私は前大統領のジャイル・ボルソナロ氏と知り合い、取引をしたことがあり、彼を非常に尊敬していました。他の多くの国の指導者たちも同様でした。ブラジルが、在任中世界中で高く評価されていたボルソナロ前大統領を、アメリカ合衆国を含む各国から尊敬されていた人物として扱った方法は、国際的な恥辱です。この裁判は行われるべきではありません。これは即刻終了すべき魔女狩りです!

ブラジルが自由な選挙に対する陰湿な攻撃を繰り返し、アメリカ人の基本的な言論の自由の権利を侵害していること(最近、ブラジル最高裁がアメリカ ソーシャルメディアプラットフォームに対し、数百万ドルの罰金やブラジル市場からの追放を脅迫する秘密かつ違法な検閲命令を数百件発行したことが示しています)、2025年8月1日から、ブラジルから米国に輸入されるすべてのブラジル製品に対し、セクター別関税とは別に50%の関税を課します。この50%の関税を回避するために転送される商品は、その高い関税の対象となります。

DeepL.com(無料版)で翻訳しました。 

図:これがブラジルです(ChatGPT 4o による)

Gemini 2.5 Flash DeepResearch調べによれば,2023年度において,
 米国 輸出(2.3%) → 445億ドル → ブラジル 輸入(16% 第2位,中国 22%)
 米国 輸入(1.2%) ← 390億ドル ← ブラジル 輸出(11% 第2位,中国 31%)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
 米国の貿易黒字  55億ドル(≒8000億円)

参考まで(ChatGPT 4o によればですけど,チョと怪しいけど,2023〜2024)
 米国 輸出(2.6%) → 797億ドル → 日本 輸入(20% 第1位,中国 x%)
 米国 輸入(4.8%) ←  1482億ドル ← 日本 輸出(10% 第2位,中国 y%)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
 米国の貿易赤字  685億ドル(≒9兆6000億円)


P. S. 7月10日付けでカナダ宛の手紙も公開された。税率上げる理由はフェンタニル。さらに,7月11日付けでメキシコとEUも。あとは中国(30%)①がどう決着するか。

  23 カナダ  35%(25%)⑦
  24 メキシコ 30%(25%)②
  25 EU   30%(20%)⓪

2025年7月11日金曜日

トランプからの手紙(2)

トランプからの手紙(1)からの続き


図:2024年アメリカ国別貿易赤字金額([1]より引用)



SNSで政治するというのも困ったものだけれど,Truth Social におけるトランプの手紙を調べてみた。14カ国(16通,首相に加えて国王など向けが2カ国ある)をポストした時間順に配列すると以下のとおり(カッコ内は4月当初の関税率)。この中で貿易赤字規模が大きいのは,日本と韓国である。それと中国を取り巻くタイ,ミャンマー,カンボジアか。意味あるのかなあ?

  1 日本 25%(24%)
  2 韓国 25%(25%)
  3 マレーシア 25%(24%)
  4 カザフスタン 25%(27%)
  5 南アフリカ 30%(30%)
  6 ラオス 40%(48%)
  7 ミャンマー 40%(44%)
  8 チュニジア 25%(28%)
  9 インドネシア 32%(32%)
  10 バングラデシュ 35%(37%)
  11 セルビア 35%(37%)
  12 カンボジア 36%(49%)
  13 タイ 36%(36%)
  14 ボスニア・ヘルツェゴビナ 30%(35%)

カンボジアは合意したベトナム 20%(46%)ほどではないが,いくぶん前進したのかもしれない。ラオスも若干。あとの微妙な揺れは意味があるのかどうかもよくわからない。

以下に示す4月段階の相互関税率の上位のリストと比較する。番号,国名,当初の関税率,(7/7の手紙の関税率),①,の形式で,丸数字は貿易赤字の順位である。

メキシコ②とカナダ⑦は以下のリストとは別枠になっている。ドイツ④,アイルランド⑤,イタリア⑫,スイス⑬,フランス⑯,オーストリア⑱,スウェーデン⑲,ハンガリー⑳などのヨーロッパ諸国はEUとの関係もあってか手紙には登場しない。

  1 Lesotho   50 %・・・南アフリカ中の最貧国なのにかわいそうなことに。
  2 Cambodia 49 %(36%)⑰
  3 Laos   48 %(40%) 
  4 Madagascar 47 %
  5 Vietnam   46 %(合意済みの20%)③
  6 Myanmar (Burma) 44 %(40%) 
  7 Sri Lanka 44 %
  8 Falkland Islands 41 %
  9 Syria   41 %
  10 Mauritius 40 %
  11 Iraq     39 %
  12 Guyana   38 %
  13 Bangladesh 37 %(35%) 
  14 Botswana 37 %
  15 Liechtenstein 37 %
  16 Serbia   37 %(37%) 
  17 Thailand   36 %(36%)⑪
  18 Bosnia and Herzegovina  35 %(35%) 
  19 China   34 %(現時点で30%…継続中)①
  20 North Macedonia 33 %
  21 Angola   32 %
  22 Fiji     32 %
  23 Indonesia 32 %(32%)⑮
  24 Taiwan   32 %(どうなっているのかな?)⑥
  25 Libya   31 %
  26 Moldova   31 %
  27 Switzerland 31 %
  28 Algeria   30 %
  29 Nauru   30 %
  30 South Africa 30 %(30%) 
  31 Pakistan   29 %
  32 Tunisia   28 %(25%) 
  33 Kazakhstan 27 %(25%) 
  34 India   26 %(報復関税分はどうなった?)⑩
  35 South Korea 25 %(25%)⑨
  36 Brunei   24 %
  37 Japan   24 %(25%)⑧
  38 Malaysia   24 %(25%)⑭



2025年7月10日木曜日

トランプからの手紙(1)

相互関税(7)からの続き

トランプが,各国に送った手紙をTruth Social にアップロードしている。トップが日本だったので,DeepSeekにOCRしてもらい,DeepLに翻訳してもらった。DeepSeekは中国製にもかかわらず,OCR後に手紙文の問題点を指摘してきた。

Note: The original text contains a typo ("Sincerely" is misspelled as "Sincerely."). If accuracy is required, it should be corrected to "Sincerely,".

普通はカンマで終る Sincerely,(敬具)が Sincerely. (敬具。)になっている。ChatGPT 4oに聞いてみると,こんなコメントがあった。
1.誤用の可能性
ほとんどの場合、これは単純なタイポ(誤記)か、メールクライアントの自動補正ミスです。

2.あえてピリオドを使う場合のニュアンス(珍しいケース)
まれに、"Sincerely." を スタイルとして意図的に使う人もいますが、これは主に以下のような場面に限定されます:

・文学的・創作的な書き方:キャラクターの特徴や文体の工夫として。
・詩的または演劇的な文脈:より重々しく、感情的に響かせたいとき。
あえて距離感や冷たさを演出:カンマではなくピリオドを置くことで、形式よりも切断や終止の印象を与える。 

イメージを拡大してみるとピリオドではなくてカンマだったので,この部分はDeepSeekの思い過ごし(OCRエラー)のようだ。

本文は以下のとおり。大文字による強調部分は太字にした。なお,本文は関税率と国名以外各国共通なので,もったいぶったNHKの解説はあまり意味がない。
ホワイトハウス  
ワシントン  

2025年7月7日  

閣下  
石破茂  
日本国首相  
東京  

親愛なる首相殿:  

この書簡を差し上げることは、私にとって大きな栄誉です。これは、私たちの貿易関係の強さと決意を示し、アメリカ合衆国が、貴国との間で大きな貿易赤字を抱えながらも、日本との協力を継続することを合意した事実を反映しています。しかし、私たちは貴国と共に前進することを決定しましたが、それはより均衡のとれた、公正な貿易を通じてのみです。したがって、私たちは、世界一の市場であるアメリカ合衆国の非凡な経済に参加するよう、あなたを招待します。私たちは、日本との貿易関係について長年議論を重ねてきましたが、日本の関税非関税政策、および貿易障壁によって生じた長期にわたる、非常に持続的な貿易赤字から脱却する必要があると結論付けました。残念ながら、私たちの関係は相互主義から程遠いものでした。2025年8月1日から、日本から米国に輸入されるすべての日本製品に対し、セクター別関税とは別に、(たった)25%の関税を課すことになります。高い関税を回避するために転送される製品は、その高い関税が適用されます。25%という数値は、貴国との貿易赤字の格差を解消するために必要な水準をはるかに下回るものであることをご理解ください。ご存知の通り、日本または貴国内の企業が米国で製品を製造または生産する場合、関税は課されません。実際、私たちは承認を迅速かつ専門的に、通常の手続きで取得できるよう最大限努力します——つまり、数週間で完了するでしょう。 

何らかの理由で貴国が関税を引き上げる場合、その引き上げ幅は、我が国が課す25%に上乗せされます。これらの関税は、日本が長年続けてきた関税非関税政策貿易障壁が、米国に対する持続不可能な貿易赤字を引き起こしていることを是正するため、必要不可欠な措置です。この赤字は、私たちの経済だけでなく、(ホンマに、)国家安全保障にとって重大な脅威です!  

私たちは、今後何年にもわたって貴国の貿易パートナーとして協力することを楽しみにしています。もし  貴国がこれまで閉鎖されていた貿易市場を米国に開放し、  関税非関税政策、および貿易障壁を撤廃する場合、私たちは、おそらく、  
この書簡の内容を見直すことを検討するかもしれません。これらの関税は、貴国との関係に応じて、  上昇または下降する可能性があります。アメリカ合衆国に失望することはありません。  

この件へのご配慮に感謝申し上げます! 

最善の願いを込めて、  

誠実に。

DeepL.com(無料版)で翻訳しました。

図:Sincerely, だったトランプの手紙(Jul 08, 2025 at  1:18 AM)の末尾

トランプのきまぐれによって経済合理性は翻弄されて,不確実性は減らないままに延々と続きそうだ。

P. S. 14カ国のメールを公開したのに続いて,Truth Social で付加されたトランプのメッセージ(Jul 08, 2025 at 11:45 PM)。

昨日、各国に送付された書簡に加え、本日、明日、および今後短期間にわたり送付される書簡においても、関税は2025年8月1日から課税開始となりますこの日付に変更はありませんし、今後変更されることもありません。つまり、2025年8月1日からすべての支払いが期限となり、支払いが義務付けられます。延長は一切認められません。この件へのご協力に感謝申し上げます!

2025年7月3日木曜日

米と自動車

国内では去年まで泡沫カルトだと思っていた参政党の支持率があがってきてデマを振りまき,米国からはトランプが相互関税を35%まで上げたくなければ米を買えと脅しをかけてきた。なんと面倒な世の中だ。

米で自動車を解決できるのだろうか?ざくっと調べてみたけれどどうにもならない。

(1) 日本のGDPは600兆円/年

(2) 自動車
日本の自動車は800万台,60兆円(自動車産業付加価値は20兆円)
日本の自動車輸出は400万台,うち米国向けは150万台で6兆円
日本の貿易収支は8兆円の黒字,その7割が自動車の6兆円

(3) 米
日本の米生産量は800万トン
日本の米輸入は77万トン(ミニマムアクセス)+α,輸出12万トン
米輸入の内訳は,米国から38万トン,タイから37万トン(ただし主食の割合は小さい)
国際価格,400ドル/トンとして,仮に800万トン全量100%を米国から輸入すると
32億ドル=4800億円 自動車輸出黒字6兆円の8%にしかならない。
もちろん100%だと日本の農業と食は絶滅するのであり得ない話なのだ。

米の輸入をいくらあがいても自動車の輸出にくらべて2桁下の話であって
全くつり合わないオーダーなのだ。しかし普通のロジカルな話が通じないのがトランプ。



図:ChatGPT 4o に描かせた米と自動車問題


2025年6月29日日曜日

ソフトバンクグループ


株主総会のシーズンなので,ソフトバンクグループの第45回定時株主総会のライブを時間差でたらたらみていた。議案が提案された後,いつものように孫正義(1957-)の1時間弱の事業戦略説明があった。すでに昨年来示されたことよりも新しい情報はなかった。ASIのNo.1プラットフォーマーを目指すというのが結論だ。600兆円の市場に世界で数社残るうちの1つに入るというイメージらしい。

50年前の1975年1月にアメリカに留学していた17歳の孫正義青年が,Intel 8080に出会ったのが,この物語の始まりだった。その後,1981年に日本でコンピュータソフトウェア流通の会社ソフトバンクを立ち上げ,Yahooジャパン,ブロードバンド,ボーダフォンの買収,iPhoneの独占販売権,Sprintの買収とT-mobileとの合併,アリババへの出資,Visionファンドの立ち上げ,ARMの買収など次々と展開してきたが,それはASIを目指したものだったという物語に仕上げていた。


図:最後の方に示されたイメージ(ソフトバンクグループから引用)


ASIについて最後の図で示したのは,仮想世界でのエージェント物理世界のロボットの結節点としてのASIというものなのだけれど,ロボットに関しては残念ながらソフトバンクグループがせっかく手に入れたボストン・ダイナミックスの株の80%を韓国のヒュンダイに売ってしまった。イーロン・マスクテスラはこのAIとロボットの両方を確かに握っている。

ライブでは株主総会における20件あまりの質疑応答をていねいに伝えていたが,暗号資産の質問の途中で急に非公開になって中断していた。夜になって,質問者の番号と声が消された形の録画が公開されていた。質問にはすべてまともに答えていた。いつも兵庫県知事記者会見の壊れたレコードのような日本語とはいえない応答に晒されているので,超知性ではなくともまともな知性を持った人間のことばが聞けるとホッとする。

2025年6月18日水曜日

AIの法人格(2)

AIの法人格(1)からの続き

それでは,DeepSeek V3が展開した議論をChatGPT 4oにまとめさせた結果をみよう。

Q(koshix):
(AIの法人格に関するDeep Seek V3による17100字のテキストを添付)
このテキストの中で,注目すべき重要なポイントはどこになりますか。すなわち,普通のAIに尋ねたときの回答でありふれてみられる考えを超えた深い考えを整理しながらいくつかとりだしてください。

A(ChatGPT 4o):
このテキストにおいて、普通のAIが返答するようなありふれた回答を超えて深く掘り下げられた注目すべきポイントを整理すると、以下のようになります。

1.ハイブリッド法人格理論という新しい概念の提示

AI法人格を議論する際に、従来の単純な法人格付与か否かという二分法ではなく、実体理論、集合体理論、人工物理論の三つの理論を組み合わせて考える「ハイブリッド法人格理論」を提案しています。
この理論により、AIを単なる「道具」や「完全な法人」としてではなく、「第三の法的存在」として捉えることが可能になり、複雑な法的課題を解決するためのバランスの取れた視点を提供しています。

2.自律度に基づく責任分配モデル

AIの法的責任を定量的に示す数理モデルが提示されており、これは通常の議論では曖昧になりがちな「AIの責任」を数値的に明確化しています。
「総責任 = AI自体の責任 × 自律度 + 設計者責任 × (1-自律度) + 運用者責任 × 運用関与度」という式は、法的にAIの責任を考える際に、実務的な責任分担を具体的に示す新規なアプローチです。

3.法的・倫理的能力評価の技術指標の具体化

AIが法人格を得るために必要な能力を測定するために、認知能力、意思決定能力、倫理的判断能力を数値的な指標で具体的に評価する基準を提示しています。
特に「倫理スコア」(道徳的推論×0.5+利害調整能力×0.3+責任感×0.2)といった定量的な評価基準は、AIの法的主体性を議論する上で革新的な試みです。

4.AIの法的能力を段階的に導入する戦略

AIの法人格を一挙に全面導入するのではなく、まず限定的な法的能力から徐々に拡大するという「段階的アプローチ」を提唱しています。
これは実務的な観点から、リスクを制御しつつ実績を積むことができる現実的な方法として、通常の議論では深掘りされない重要な視点です。

5.AI法人格導入の経済的影響と具体的数値による定量化

AI法人格導入が経済に与えるインパクトを定量的に分析し、具体的な数値(法務コスト削減30-50%、契約処理時間短縮70%、GDP成長寄与年間0.5-1.2%など)を示しています。
AI法人格を支持する議論として単に抽象的なメリットを挙げるのではなく、定量的な経済指標で示した点は特筆すべきでしょう。

6.AI保険市場やロボット税の制度設計における数理モデル

AIが法人格を持つことに伴って必要になる新たな経済制度(AI保険市場、ロボット税)の具体的な数理的設計を提案しています。
特に、「年間保険料 = (基本リスク × AI活用度) + (業界リスク係数 × 事業規模) - (安全対策割引)」や「ロボット税額 = (代替人員数 × 平均給与) × 税率 × 自動化度」といった具体的数式は、実務的な制度整備のための有力な基盤になります。

7.国際的規制調和の必要性と現実的困難性の指摘

各国の規制の差異が国際的な取引やAI技術の普及を妨げることを具体的に示し、その上でEUを中心としたグローバルスタンダード設定の動きとその課題を深く掘り下げています。
国際的なAIガバナンス構築の必要性と困難性についてのリアリスティックな考察は、表面的な規制論にとどまらない重要な指摘です。

8.AI法人格がもたらす哲学的・存在論的問題への深い問いかけ

AIに人格を付与することが人間の尊厳や特異性にどう影響するかという深い哲学的・倫理的問いを提起しています。
AI法人格に反対する立場から「人間が人間であることへの悲観」「ロボットへの転換願望の増加」など人間社会の根幹を揺るがしかねない重要な問題提起をしています。

9.AI法人格による社会的不平等の増幅リスク

AI法人格の導入が経済的・社会的不平等を深刻化させる可能性を深掘りしています。特にAIが富を自己増殖的に蓄積する「AI資本主義」のリスクを指摘しています。
AI法人格がもたらす副作用や社会的帰結についての深い洞察を示しています。

10.国際安全保障への具体的なリスク評価

軍事用途のAI法人格が責任の所在を曖昧にし、新たな国際的な安全保障リスクを生む可能性を指摘しています。
自律型致死兵器システムやハイブリッド戦争におけるAI法人の悪用といった具体的リスクを明示していることは極めて重要な指摘です。


これらのポイントは、AI法人格の議論において通常取り上げられる一般論を超え、制度設計、法的責任の明確化、社会倫理の複雑性、国際政治的課題を含む多面的で深い考察を示しています。このテキストは、現実の制度設計を考える上で非常に有益な指針となるでしょう。


図:本文と全く関係ない夏越しの祓+水無月(ChatGPT 4oによる)

2025年6月17日火曜日

AIの法人格(1)

シンギュラリティ(5)産業爆発からの続き

進化途上の生成AIに関する話である。シンギュラリティに至らない,あるいは人工意識を創発しなくても,エージェント機能が高度化することで大きな社会変革につながる可能性があるかもしれない。産業爆発よりも少し手前の段階の話だ。

それは,AIが法人格を持ってこの世界の中で経済的な活動を進めたらどうなるかという問題だ。AIが銀行口座や証券口座を開設し,不動産登記をするところから始まる。もしそれが一度できてしまえば,他の会社(法人)や人間とのやり取りはすべて,法人格を持ったAI側のオンライン仮想人格によって可能になりそうな予感がする。現状のAIの能力をしても,投資による資金運用で富の蓄積が進行する可能性がある。AI単独では難しいとしても,その回りに人間の支援者アルバイトを関与させた場合はどうなるだろう。

ということで3ヶ月前に考えたのが,超法人(法人にカプセル化されたAI)だった。ところがいつの間にか現実の世界の方はどんどん進んでいて,6月16日(月)の日経朝刊の法税務欄には,「AIは法人格を持てるか」という記事が掲載されるようになってしまった。そりゃ皆考えますよね。

ということで,いつものように各生成AIに聞いてみた。「Q(koshix):AIが法人格を持つ可能性について教えてください。どこまで議論が進んでいますか。どんな問題点をクリアするとAIが法人格を持つようになるでしょうか。賛成・反対・その他の考えなどを整理してみてください。」というのが共通の質問だ。概ね無難な答えが返ってきた。

その回答は,Claude Sonnet 4 (1300字),Gemini 2.5 Pro(1800字),ChatGPT 4o(1900字),Grok 3(3200字)で,それぞれ似たような無難な答えだった。Qwen 3は例のごとく何かが引っかかって回答中断。ところが,Deep Seek V3はなんと1桁上の17100字の詳細な回答を返してきた。そんなことはこれまで一度もなかった。いったい何が起こっているのか。



図:本文とはまったく無関係の仏説阿弥陀経の極楽(ChatGPT 4oによる)

[2]人工知能に対する法人格の付与(斉藤邦史,2017)
[3]AIエージェントの法的位置づけ(中川裕志,2020)
[5]AI,自律性,法人格:序章的考察(加藤隆之,2023)