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2024年4月22日月曜日

香炉峰の雪

NHKの今年の大河ドラマは,平安時代を舞台にした「光る君へ」だ。

主演の吉高由里子(紫式部)は好きじゃないし,サマータイムウイカ(清少納言)も苦手なのだ。NHKの番宣番組の二人のザラザラした不作法な掛け合いは聞くに堪えなかった,二人ともどういう性格なのよ。それはそれとして,大河ドラマといえば,いつも戦国時代のチャンバラもしくは徳川物語ばかりでうんざりしていたので,ほっとする。

「光る君へ」はここまでのところ,ほとんど柄本佑(藤原道長)が主人公の物語のようにみえる。平安時代の時代考証がどうなのかは別として,古典や歴史で学んだことを復習しながら,学びそびれたことを調べながら,現代劇の一種としてみるのは楽しい。

昨日は,清少納言が中宮定子に,香炉峰の雪の話題を持ちかけられたシーンがでてきた。古文の教科書に載っていたので,なんとなく頭に残っているのだけれど,どこがポイントなのかいまいち理解できていなかった。復習したところ,ポイントは白居易(白楽天)の故事にあった。教養主義ですね。

これが白居易の七言律詩
香 炉 峰 下 新 卜 山 居 草 堂 初 成 偶 題 東 壁

日 高 睡 足 猶 慵 起
小 閣 重 衾 不 怕 寒
遺 愛 寺 鐘 欹 枕 聴
香 炉 峰 雪 撥 簾 看
匡 廬 便 是 逃 名 地
司 馬 仍 為 送 老 官
心 泰 身 寧 是 帰 処
故 郷 何 独 在 長 安
Wikibooksからの現代語訳は, 
(第一句)太陽が高くのぼり、睡眠時間も十分なのに、まだ起きたくない。
(第二句)小さな家にふとんを重ねて寝ているので、寒さの心配はない。
(第三句)遺愛寺の鐘は、枕を高くしてじっと聴き
(第四句)香炉峰の雪は、すだれを高く上げて眺める
(第五句)ここ廬山は、世間一般の名声から逃れるためには相応しい地。
(第六句)司馬という官職も老後を過ごすためには相応しい官職だ。
(第七句)心も身も安らぐ場所こそが帰るべき場所。
(第八句)どうして故郷は長安だけであろうか、いや故郷は長安だけではない。
雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子しまゐりて、炭櫃に火おこして、物語などしてあつまりさぶらふに、「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ。人々も「さる事は知り、歌などにさへうたへど、思ひこそよらざりつれ。なほこの宮の人にはさべきなめり」と言ふ。 

写真:北香炉峰かどうかはわからない廬山の日の出(Wikipediaから引用)

2024年1月31日水曜日

三体

昨年12月に録画してあったWOWOWのテレビSFドラマ「三体」(全30話)をようやく視聴した。霊河影視制作(上海)有限公司の作品だ。

原作の三体(第一部)の著者は劉慈欽(1963-)であり,2015年にアジア作家の作品で初めてヒューゴー賞(1953-)の長編小説部門に輝いた。第三部まで出版翻訳されていて,読みたい本リストのトップレベルに置いてある。

最初の10回の前半は,それほどでもなかったけれど,三体のVRゲームのイメージや文化大革命後の紅岸基地のあたりから急に面白くなる。ドラマ三体は,中国の配信プラットホームであるテンセントの作品なのだが,開放改革以前の中華人民共和国の様子をあれくらい描写していてもOKなのか。紅岸基地での物理学的な謎解きやサスペンスの部分がよかった。SFXも素晴らしい。今の日本だとせいぜいがゴジラであって,これほどの骨太の作品はちょっと無理だ。

Netflix版の三体(三部作を予定か)も近々公開されるはずだけれど,どんなものなのだろうか。予告編を見たが,これはこれでいいけれど,やはりいつものアメリカナイズされすぎた映像と世界観が少し鼻につく。中国版の方が主人公もいいし新鮮な感じがする。




2024年1月10日水曜日

紅白歌合戦

昔は,紅白歌合戦が午後9:00に始まっていた。それまではレコード大賞の時間なのだ。

こどもはもう寝る時間だったので,小学生の間はほとんど紅白歌合戦をみることがなかったような気がする。大晦日の晩ご飯の後は早々にお風呂で身を清め,新しい下着に身を包んで寝る準備をする。初夢の定義には諸説あるにしても,良い夢が見れますようにと祈りながら,さっさと布団に入るのがよい子のルーティーンだ。

妹はおませだったので,おばあちゃんの家のテレビで紅白歌合戦を観るのだといって,夜出かけて行った。なぜ自宅でなくて,歩いて5-6分のおばあちゃんの家でテレビを見る必要があったのかがよくわからない。東京オリンピックの年には,自分の家にもカラーテレビがあったような気がするが,どうなのだろうか。そのころオコチャマだった自分はスヤスヤと寝ていた。次の日,今年の紅白歌合戦は紅(あか)が勝ったか白(しろ)が勝ったかというお馴染の話題で盛り上がるのだけれど,歌謡曲にはあまり興味がなかった。なお,当時おばあちゃんの家のお手伝いさんだったかよちゃんは舟木一夫のファンだった。

最近の紅白歌合戦を見ても,半分以上が名前も知らない歌手やグループで,大半が聴いたこともない曲だ。いやかなり前からそうだったかもしれない。これを定量的に評価できるかと,WikipediaのNHK紅白歌合戦の各回の概要。放送データを眺めてみた。

「知っている」ことの定義が難しい,(1) 歌手やグループの名前だけきいたことがある,(2) 写真のイメージと名前が一致する,(3) その来歴や構成メンバーまでわかっている,(4) 曲の名前だけ聞いたことがある,(5) 曲の歌詞やメロディーの一部を脳内で再生できる,(6) 全曲を歌唱若しくは器楽演奏できる。

とりあえず,歌手名と曲名とメロディーの3セットがリンクして記憶されいるものを5年置きにカウントして全曲数に対する比率を数えてみた。1965-70年に30%程度だったものが,次の10年で20%台になり,1990年以降は10%台で推移している。平成(1989年)に入って,開始時間が前倒しされて二部制になった。視聴率確保のためのテコ入れで懐メロや企画モノが増えることになったので,そこまで知らない曲ばかりというわけでもなかった。

しかし,けん玉はもう勘弁してほしい。

2023年12月19日火曜日

モキュメンタリー

WOWOWで放映していた「ザ・モキュメンタリーズ 〜カメラが捉えた架空世界」を録画していたので,一気見した。

フェイクニュースが蔓延する昨今,「この番組では、現実の私たちと同じように、架空の世界で社会の変化に翻弄される人々を追い、現代社会で実際に起こっている出来事や社会の矛盾を、モキュメンタリーという手法をもって描くことで、真実に迫る。」とあるが,これぞ純正で良質なSFビデオ作品である。
ザ・モキュメンタリーズ ~カメラがとらえた架空世界~(各編30分)
 (編者注:丸括弧内はこちらで付加したキーワード)
#1 「インビジブル・ブルース」(透明人間皮膚移植・マイノリティー)
#2 「(株)わたし」(個人の公開株化「株式人間」・人間の価値)
#3 「WORD HUNTER」(言語省・言語取締官・不正日本語取締法)
#4 「マイナースポーツ・未来の星」(スルーイング・東西日本国)
#5 「ドローン・クライシス」(脱法人工知能搭載野良ドローンとマタギ)
#6 「ハラハラ♥ハラスメント」(ハラスメントバッチ・自由恋愛タブー)
#7 「冷凍睡眠ビジネスの闇」(家庭用冷凍睡眠カプセル)
#8 「仮想俳優A」(フルCGの俳優・最明寺アキラブーム)

本物のドキュメンタリーのような形式で製作されているうえ,非常にていねいなシュミレーションがされているため,うっかりしていると現実と混線してしまいそうになる。放送時間の関係で星新一のショートショートレベルの掘り下げとなり,問題をそこまで深刻に描いているわけではないけれど,ドキュメンタリーの力がこれらにリアリティをもたらす効果は大きい。

各編に出てくる日付が2020年のオーダーだったので調べてみると,最初に放送されたのは2021年の3月・4月だったようだ。なお,モキュメンタリーという言葉は普通名詞だった。


写真:ザ・モキュメンタリーシリーズのタイトルバック(WOWOWから引用)

この延長線上になる「PORTAL-X 〜ドアの向こうの観察記録〜」が2024年1月から8回放送されるそうで,こちらも楽しみ。

2023年9月15日金曜日

成層圏飛行

NHKのコズミックフロント関係の話題が続く。

9月7日に放映されたのが「天空の果てへ 有人気球・成層圏飛行への挑戦」だった。ヘリウム気球を使った有人成層圏飛行の実現を目的とする岩谷技研の1年半の取り組みが丁寧に紹介されていた。ほとんど会社の宣伝番組になっていたけど。なお,有人ではなく成層圏や中間圏での高高度気球での撮影をするスポーツは,スペースバルーンとよばれている。

図:地球大気の鉛直構造(高卒資格.comから引用)

北海道の株式会社岩谷技研は,2012年に個人として初めて33kmの高度からの撮影に成功した岩谷圭介(北海道大学工学部知能工学科卒)が,2016年に設立した旅客技術開発会社である。その目的は,高高度ガス気球並びに旅行用気密キャビンを設計/開発/製造し,気球による宇宙遊覧フライトを実現する,となっている。現在の資本金は3500万円で,従業員が48人だ。

ヘリウムを惜しげもなくふんだんに使って(いるように見えた)気球にかかわる様々な実験を堅実に繰り返しているところに驚いた。社長はじめ若い社員達が多くのの特許を取得しながら一歩づつ着実に目標に向かっていた。48名の人件費を賄うだけの収益があるのか,他人事ながら心配になった。

同様のベンチャー企業に,茨城県のスペース・バルーン株式会社がある。こちらの方は2020年に設立され,資本金500万円で従業員7名だ。ホームページはとても綺麗にデザインされていて,会社の目標も宇宙旅行に限定されず様々な応用分野を想定している。


うまくいけば,数百万円程度で2時間上昇+1時間滞在+1時間下降のNear Space(宇宙空間への入口)の旅=成層圏飛行が実現できるかもしれないがどうだろう。なんとなく,アーサー・C・クラーク楽園の泉(こちらは軌道エレベータの話だが)を思い出す。


2023年9月12日火曜日

どうする大学

NHK大河ドラマ「どうする家康」は,評判もずっとイマイチで,最初のうちはあまり見る気もしなかった。ところが,武田信玄が出てきて瀬名と信康が自害するあたりから,次第に面白くなってきた。本能寺の変の直前の信長への接待から,秀吉の台頭,石川数正の出奔や朝日姫の輿入れなど,最近は毎週目が離せない。


9/10のNHK日曜討論が「どうする"研究力低下"これからの日本の大学」だった。法事で外出していたため,録画したものをみた。放送直後から,Twitterで番組の感想を検索していたが,ほとんどその論調は同じだった。政府審議会の証券アナリストはわかっていない,選択と集中がこの危機を招いた,出席の大学関係者はがんばっていた,というものだった。

Twitterでおなじみ病理医の榎木英介科学・政策と社会研究室 代表理事),K2Kニュートリノ実験出身の横山広美(東京大学IPMU副機構長),KEK理事でリサーチアドミニストレーション協会副会長の高橋真木子(金沢工業大学教授),経済財政諮問会議初の民間女性有識者中空麻奈(BNPパリパ証券,アナリスト)というなかなか良いメンバーだった。野依良治が出てこなくてよかった。

さすがNHKなので,朝まで生テレビや維新の記者会見とは違って落ち着いて話が進む。中空麻奈もそこまでヒールに徹していたわけではないし,横山さんや榎木さんも控えめだ。高橋さんは,榎木さんらの主張に共感しながらも,研究機関としてのマネジメントをどうするかという立場で話していた。

まあ,バブル崩壊後の国家予算の逼迫に対応しようとした日本政府の政策の方向(国立大学の法人化と資源の選択と集中)が間違っていたわけだ。2000年のインターネット革命後の社会の変化スピードのために被害は拡大してしまい(研究人材の雇用不安定化,基盤的な大学運営費の縮減による機能喪失),焦れば焦るほど大学が危機的な状況に追い込まれている。これに少子化の波が加わる(以前は2018年問題といわれていたがまだズルズルと続いている)。


2023年9月9日土曜日

年縞博物館

ほぼ一日中テレビをつけっぱなしにしていると,よく叱られる。テレビも時々自動的・自主的に消灯して休むことがある。

NHK等の朝昼夕夜のニュース,NHKの朝ドラ,あさイチ,韓国ドラマ,VIVANT,BSドラマ,映画とコズミックフロントの録画くらいしかみていない。見るものがなくなると,放送大学にチャンネルを替えて,これをバックグラウンドTVにしながら,パソコンのYouTubeを聞き流している。たいへん健康に良くない生活だ。

その放送大学の「情報デザイン」の「〔各論〕空間とコミュニティの情報デザイン」の回で,福井県立年縞博物館が紹介されていた。GPT-4に要約させると次のようになった。
福井県年縞博物館は、年縞(ねんこう)を通じて人類の歴史や時代の変遷を探求する世界初の博物館です。年縞とは、湖の底などに長い時間をかけて積もった泥の層を指し、福井県若狭町の三方五湖の一つ、水月湖の底からは7万年分の年縞が採取されました。この年縞は、歴史の年代決定のための国際標準の「ものさし」(IntCal)に採用され、水月湖は「Lake Suigetsu」として世界的に知られるようになりました。年縞博物館では、この7万年分の年縞を体感するための「年縞ギャラリー」が設けられており、訪問者は年縞の魅力や歴史の深さを実感することができます。

番組では,立命館大学古気候学研究センター中川毅センター長がていねいにその趣旨や特徴を説明されていた。


写真:年縞博物館の7万年分45mの年縞を横向きに展示

2023年6月14日水曜日

鏡の中のミステリー

暇な老人はテレビをつけっぱなしにすることが多い。韓国ドラマを見終わって番組がつまらなくなると,放送大学にチャンネルを替えるのが癖になってしまった。先日,それで「鏡の中のミステリー〜なぜ左右が反対に見えるのか?〜」という高野陽太郎先生の番組にあたった。

従来の説として,ファインマンの説と回転説を紹介した後,それらを簡単に否定してしまった。ええっ。そのうえで,多重プロセス理論という自説を展開する。人による左右の反転の認知は,3つの原理によって産み出される3つの減少の複合体だとのこと。その3つの原理は,(1) 視点変換,(2) 表象方向 の乖離,(3) 光学変換 である。

文字の反転は(2)によるもので,鏡の前の人の場合 (1)とは区別されるというのだ。ええっ。トンデモ理論ではないのか。それにしては,森津太子さんが神妙に聞いている。岩波書店からも,「岩波科学ライブラリー 55 鏡の中のミステリー 左右逆転の謎に挑む 鏡に映った自分の顔がなぜ左右逆に見えるのか.これまで誰ひとり解けなかった謎が,ついに解けた。(現在品切れ)」と売り出している。

あたまがクラクラしてきた。もう少し調べてみると,ちゃんと反論している人はいた。その結果,認知科学が2008年に誌上討論を実施している。しかし結論はでていない。岩波と放送大学を握ったほうが勝ちなのだろうか?もう少し勉強してから考えをまとめる。

今のところの自分の考え。「上下対称,左右非対称の生物が鏡に正対したとき,彼らは上下が反転していると認識する可能性があるだろう」「文字を2次元の対象と考えれば,鏡によって反転することはない。反転するのは3次元的な対象に限られる。なお,表裏のある2次元の対象は3次元の対象と同等である」


[1]「小特集 − 鏡映反転」(認知科学,2008)
[2]鏡の世界回答編(多幡達夫,2004)
[3]鏡の中の左利き一物理屋のコメント(吉村浩一|多幡達夫,2004)
[4]鏡像問題(発見の発見ブログ,田中潤一,2007-2019)

2023年2月24日金曜日

大奥

よしながふみ原作の歴史改変ジェンダーSFマンガ大奥が,NHKでドラマ化された。あまり真面目に視聴していない大河ドラマの徳川家康よりよほどおもしろいのだ。10月にはシーズン2も予定されている。

さて,高等学校で日本史をとらなかったため,徳川歴代将軍についてもあまりよくわかっていない。そこで,Bing ChatやChatGPTに聞いてみた。
『歴代の徳川将軍について調べています。次のような形式の将軍在位順のテーブルを作ってください。|第○代|名前|在位期間(16xx-17xx)|在位年齢(30-50)|生没年(16xx-17xx)|父|母|』

何となくそれらしいアウトプットはできたもののWikipediaでチェックした(それもどうかという話だが)。半分くらいは間違っているが,そこそこの結果が出てきた,あとは手動で校正したところ,次のようになったので,テレビ視聴の参考資料とする。

第 1代|徳川家康|1603-1605|在位年齢:49-51|1543-1616|松平広忠|伝通院 |
第 2代|徳川秀忠|1605-1623|在位年齢:26-44|1579-1632|徳川家康|西郷局 |
第 3代|徳川家光|1623-1651|在位年齢:19-47|1604-1651|徳川秀忠|崇源院 |
第 4代|徳川家綱|1651-1680|在位年齢:10-39|1641-1680|徳川家光|宝樹院 |
第 5代|徳川綱吉|1680-1709|在位年齢:34-63|1646-1709|徳川家光|桂昌院 |
第 6代|徳川家宣|1709-1712|在位年齢:47-50|1662-1712|徳川綱重|長昌院 |
第 7代|徳川家継|1713-1716|在位年齢: 7-10|1709-1716|徳川家宣|月光院 |
第 8代|徳川吉宗|1716-1745|在位年齢:32-61|1684-1751|徳川光貞|浄円院 |
第 9代|徳川家重|1745-1760|在位年齢:33-48|1712-1761|徳川吉宗|深徳院 |
第10代|徳川家治|1760-1786|在位年齢:23-49|1737-1786|徳川家重|至心院 |
第11代|徳川家斉|1787-1837|在位年齢:14-64|1773-1841|徳川治斉|お富の方 |
第12代|徳川家慶|1837-1853|在位年齢:44-60|1793-1853|徳川家斉|香琳院 |
第13代|徳川家定|1853-1858|在位年齢:29-34|1824-1858|徳川家慶|本寿院 |
第14代|徳川家茂|1858-1866|在位年齢:12-20|1846-1866|徳川斉順|実成院 |
第15代|徳川慶喜|1867-1868|在位年齢:30-31|1837-1913|徳川斉昭|貞芳院 |

徳川家康が征夷大将軍だったのは2年ほどだったとか,家継が子供であっという間に亡くなったとか,いろいろ知らないことが多い。結局,大河ドラマの綱吉と吉宗と家定(篤姫)の記憶でしか定着していないのだった。

NHKのテレビ放送が1953年2月1日に始まって70周年だ。

2023年1月13日金曜日

量子ピタゴラスイッチ

ビーだま・ビーすけ おどろきの秘密 大公開スペシャル!」のビデオに引き込まれてしまい,おもわず家を出発する時間が遅れてしまう老夫婦(注)。←体言止め

ピタゴラスイッチは,4-6歳児の考え方を育てる番組らしいが,2歳の孫からじじばばまで十分通用することが実証された。これをコンピュータの中で再現できたら(それほどおもしろくないけれど)便利かなと考えたが,案の定すでにアプリが存在していた。モノイズピタゴランがそれだ。試してみるとなかなかよく作られている。きかんしゃトーマスせんろをつくろうというのもある。グリコードに加えて手持ちのおもちゃが増えた。

さて,ピタゴラスイッチは古典物理学の決定論的因果連鎖によって成立する装置だけれど,これが量子物理学の確率論的因果連鎖になればどうなるだろう。なんのことはない,量子コンピュータというのは量子ピタゴラスイッチの一種に他ならない。ただ,一つのデバイス内の話では,電子回路はみんなピタゴラスイッチだと主張しているようなもので,有難みはない。

世の中に量子ピタゴラスイッチへの言及がないかどうか確かめてみると一件だけ見つかった。東大工学研究科物理工学専攻中村研に在籍していた宇佐見康二さんだ(現日亜化学工業?)。光-マグノン-マイクロ波-超伝導量子ビットのリンクあるいは量子ピタゴラスイッチというレポートがあったが,イマイチどのようにピタゴラスイッチなのかがわからなかった。


図:ピタゴラスイッチの「ピ」(ユーフラテスから引用)

(注)赤いビー玉(=大きさは無視しない小球)はピーすけだとばかり思っていたが,ビーすけなのね。ちなみに緑色はビータ,黄色はビーゴローらしい。

[1]748時間かけたピタゴラ装置  京都芸術大学(やぎみっくシステム ピタゴラスイッチ)

2023年1月5日木曜日

小鍛冶 

正月に孫の世話をするのはたいへんだ。

バーバもカーカもお節料理の準備で手一杯なので,ジージにもその順が回ってくる。そんなときは,NHKの教育テレビ(Eテレ)が神様だ。普段はおかあさんといっしょとかピタゴラスイッチを見せている。元旦のEテレは,新春能狂言 能「小鍛冶 白頭」をやっていたので,5歳と2歳はテレビにかじりついて見ていた。

謡曲「小鍛冶五番目物)」のストーリーは次のとおり(精選版日本国語大辞典から引用)。
三条の小鍛冶宗近は剣を打てとの勅命を受けるが相鎚あいづちの者がいないので当惑し,稲荷明神に祈誓に行く。すると童子が現われ,力を貸し与えようといって消える。宗近が用意を整えると,稲荷明神が現われて相鎚をつとめ,名剣小狐丸ができあがる。

稲荷明神が頭に狐の型をつけていた。何も知らないジージは,頭にネコがいるというと,すーちゃんは違うよと。イヌだ。うぅうん。キツネかなというと,そうだよとやっとOKが出た。すーちゃんは何でキツネだとわかったのだろう。


図:小鍛冶のシテの頭のキツネ(銕仙会から引用)

小鍛冶のワキの三条宗近は,平安時代の刀工である。京都の三条通りに住んでいたことからその名がついているが,現在では若草山の麓に三條小鎩治宗近の店がある。

追伸:ChatGPTにクイズを出してみたところ,正解したのだが,後半の説明はウソだった。

Q:能の小鍛冶のシテの頭についている動物は次のどれでしょう。(1) イヌ,(2) ウサギ,(3) キツネ,(4) ネコ の中から選んでください

A:(3) キツネが正解です。能の小鍛冶のシテの頭には、キツネの形をした帽子がついています。能の小鍛冶は、日本の伝統的な芸能の一つで、演者が鎧を着て、剣や槍などの武器を使いながら、模擬戦や舞踏を演じるものです。能の小鍛冶のシテは、その中でも特に重要な役割を担う演者で、能の小鍛冶を指導する役割を担っています

2022年12月22日木曜日

ウルトラQ

ウルトラQは,円谷プロダクションによる空想特撮テレビシリーズの第1弾として1966年1月から7月にかけて放映された。この武田薬品提供枠では,月光仮面(1958-1959),豹(ジャガー)の眼(1959-1960),隠密剣士(1962-1965)なども見ていた。月光仮面やジャガーの眼は自分がまだ幼稚園のころだ。小学生のころ,風呂敷被って月光仮面ごっこをしている絵日記を書いた記憶や真っ赤なサタンの爪が印象的だった絵本を読んだ記憶もある。

ウルトラQは,当時の中学1年生にとって丁度手ごろなSFドラマだった。アウター・リミッツなどもうすこし高級で怖いものもたまに見る機会があったけれど,民放のチャンネルが限られている田舎町にはなかなか文化の香りが届かない。その後,ウルトラマン(1966.7-1967.4),ウルトラセブン(1967.10-1968.9)ときて中学生を卒業することになる。

高校になると,この枠は桜木健一・吉沢京子・近藤正臣の柔道一直線(1969.6-1971.4)になってしまう。柔道が得意でピアノもひける同級生の上出君が,若き日の近藤正臣がピアノの上を跳ね回って演奏するシーンに感心していたのが印象的だった。なんだったのだろう。


さて,「ウルトラQとウルトラマンの関係について」とChatGPTに日本語で尋ねてみると,次のような残念な答しか返ってこなかった。
「ウルトラQ」は、1966年から1967年にかけて放送された「ウルトラマン」シリーズの第1作です。この番組は、地球を守るために、人間から姿を変えた異星人が、異星生命体との戦いを繰り広げるという内容です。
ところで,ChatGPTは,英語では十分訓練されていて日本語に比べてずっとマシな答えを返すという話だ。そこで,英語で尋ねてみた。
Please explain the story of Ultra Q which is the TV program in Japan mid 1960's
答えをDeepLで翻訳すると次の通りだった。だいぶマシなのである。
「ウルトラQ」は、1966年1月2日から7月3日まで日本で放送されたサイエンスフィクションテレビシリーズです。ウルトラシリーズの最初の作品であり、その後に多くの他の特撮番組や映画が加わることになりました。

番組は、奇妙な現象を調査する科学者やジャーナリストたちを描いており、彼らは様々な怪物や宇宙生物と出会います。主人公は写真家としてチームに加わる若い女性、江戸川ゆり子です。彼らは世界中を旅し、チームのリーダーである岩本教授が備える技術的に先進的な車両や武器を活用しながら、奇妙で危険な状況に遭遇します。

「ウルトラQ」は日本で人気を博し、いくつかの続編シリーズを生んでいます。その中でも「ウルトラマン」は文化的現象となり、今でも最も有名な特撮番組の一つとして知られています。日本のサイエンスフィクションの代表的作品とされ、特撮ジャンルに長く影響を与えています。
岩本教授というのはちょっと余計だが,かなり適確な回答が返ってきた。


写真:ウルトラQのタイトル(円谷プロから引用)

2022年11月5日土曜日

戦争と人間(3)

戦争と人間(2)からの続き

山本薩夫監督(1910-1983,両親は小松市出身,山本三兄弟は甥)の「戦争と人間」三部作は,なんとなく消化不良のノモンハン事件までで終ってしまった。なお,ノモンハン事件は,中公文庫「失敗の本質−日本軍の組織的研究」の「一章 失敗の事例研究」の6件のうち,真っ先に取り上げられてた。

よく考えると,原作は五味川純平(1916-1995)の小説なので続きがあるかもしれないと調べてみた。三一新書,後に光文社文庫から出版されていた。Kindle版は今もあるのだけれど,文庫版のほうは古書で1冊数万円の値がついているものもある。

古書店など探していると,メルカリに「戦争と人間(三一新書全18冊揃い)」が3000円で出品されていたので,早速注文してみた。12巻の劫火の狩人第四部までが映画の三部作に対応しているようで,その後の話は13巻から18巻まで続くことになる。

五味川純平といえば「人間の條件」なのだが,こちらの方はテレビの昼のメロドラマ帯で断片的にみたような気がするけれど,軍隊の横暴さ残酷さは同じように描かれていたとしても,違う作品だったのかもしれない。

P. S. 仲代達矢ではなく加藤剛のイメージだったが,「テレビドラマ版の人間の條件」確かにありました。昼帯ではなかったけれど,1962年10月から1963年4月までの放映だ(小学校3年生のころか)。

2022年6月27日月曜日

太陽フレア

 NHKニュースで太陽フレアの危機が取り上げられていた。

なんでも,2025年は太陽活動が活発になり,太陽フレアが2週間続き,ケータイも繋がらなくて大変なことになるという説だった。なんとなく胡散臭かったので確認してみる。

太陽活動は11年周期で変動しているが,その本質は,太陽の自転による磁場の22年周期変動である。11年で太陽極磁場のNSが逆転するが,絶対値を考えると活動値(黒点数,太陽フレア頻度,太陽放射量)の周期は11年ということになる。活動期には,黒点数や太陽フレア頻度が増加し,太陽放射も0.1%程度強くなる。

1843年にドイツの天文学者シュワーベによって,太陽活動周期(黒点周期)が発見され,スイスの天文学者ウォルフの研究から1755-1766年が第1周期とされた。最近のピーク年と周期番号を並べると,1981年(第21周期),1992年(第22周期),2003年(第23周期),2014年(第24周期),2025年(第25周期)となるので,2025年という時期は正しそうだ。

ただし,フレア頻度は活動極小期に比べて1桁増えるが,爆発の大きさ自体は周期と直接関係しない。

ところで,近年の太陽活動をみると,22周期,23周期,24周期と次第に活動が衰えており,黒点数も近年になく減少している。大規模太陽フレアも24周期にはほとんど発生していない。それでは,このたび25周期の危険性に警鐘を鳴らしている根拠はなんなのだろうか。

ニュースになったのは,6月21日に,総務省の宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会報告書を公表したからだ。そこでは,一般的な太陽活動への監視態勢や対応体制の構築ポリシーについて議論すると同時に,100年に一度の大きな太陽フレアがあったときにどんな影響が考えられるかを評価(シミュレーション)したものだった。

つまり,2025年の太陽フレア予報に重点があったわけではなかったのだ。ニュースの取り上げ方と受け止め方は本当に難しい。ましてや,忖度まみれの政治経済関係のニュースはどうなのだろうか。情報系の人たちはメディアリテラシーと簡単にいうけれど,結局,個別分野の知識に基づきながら,事実とデータを積み上げ読み解いて分析することでしか,相対的に正しい事実には接近できない。


図:22〜24周期までの黒点数の変動(Wikipediaより引用)

2022年6月16日木曜日

浄瑠璃坂の仇討

 初夢の一富士二鷹三茄子でおなじみの日本三大仇討ちのうちのひとつ,曾我兄弟の仇討ちが前回の鎌倉殿の13人のテーマだった。大掛かりなロケ映像もあってなかなかよかったけれど,三谷幸喜のストーリーによれば,これは仇討ちではなくて,源頼朝に対する謀反の話だった。

浄瑠璃のテーマとして,完全に定着している曾我物なので,いまさら違いましたといわれても困るのだった。まあ,曾我兄弟の仇討ち(1193)は12世紀末であり,赤穂浪士の討ち入り(1703)や鍵屋の辻の決闘(1634)は,江戸時代なので,この際,浄瑠璃坂の仇討(1672)を加えた江戸時代の三大仇討ちを復活させるほうがよいのかもしれない。初夢は,一鷹二茄子三浄瑠璃になるのだろうか。

浄瑠璃坂の仇討ちなんてまったく聞いたこともなかったが,宇都宮藩の内輪の刃傷沙汰が原因で40名を越える討ち入りに至るという,赤穂浪士の討ち入りの前哨戦のような話だった。なお,浄瑠璃坂は,被害者となる奥平隼人が身をよせた戸田屋敷の場所であり,江戸の市谷(現在の新宿区鷹匠町)にある。


写真:2017年の浄瑠璃坂(Wikipedikaから引用)

[1]浄瑠璃坂の討入り|竹田真砂子(てくてく神楽坂)

2022年6月9日木曜日

アルゼンチンアリ

 先日のクローズアップ現代で,「静かなる侵略者“史上最強”アルゼンチンアリとの攻防」をやっていて,これは大変だ!と思った。

アルゼンチンアリは,南米原産の特定外来生物であり,日本で大繁殖しているとして,大阪空港や周辺の住宅地での調査や防護の様子が紹介されていた。生態系を破壊し農作物にも被害を与えるのは,複数の女王蟻を擁し,スーパーコロニーという巨大な地下ネットワークを作るからだ。国立環境研究所の五箇公一生態リスク評価・対策研究室がロックなヘアースタイルで説明していた。

ところで,この番組内容をどのくらいの重みで受け止めるべきなのだろうか。一般に放送番組は,その内容を強調して印象を強めるように作られている。放送直後の,これは大変だ!はどこまで尤もな話と考えればよいのか。念のために確認してみる。

環境省の生態系被害防止外来種リストのパンフレットをみると,全体像とアルゼンチンアリの位置づけがわかる。外来種リストには,421種が登録されている。そのうち,外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)で定義される特定外来生物であり,かつ緊急対策外来種であるものは,ほ乳類8種,鳥類1種,爬虫類4種,両生類1種,魚類4種,昆虫類3種(アルゼンチンアリも含む),クモ・サソリ類3種,軟体動物1種,その他の無脊椎動物1種,草本植物(陸生植物)4種,草本植物(水生植物)9種の計38種である。

また,防除に関する手引きが作られているのは,アメリカザリガニ,アカミミガメ,アライグマ,カミツキガメ,オオクチバス,アルゼンチンアリの6種なのでそれなりに重要視されていることは間違いなかった。


図:アルゼンチンアリ(防除の手引きより引用, 実サイズは体長2.5mmで小さい)

[1]我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト

2022年6月3日金曜日

鶴瓶・二葉・べ瓶

 UNEXTの宣伝用に,笑福亭鶴瓶(1951-)の無学 鶴の間 第1回 が無料公開されていた。記念すべき第1回ゲストは桂二葉(1986-)だった(天狗刺し参照)。冒頭,桂二葉が入門前に笑福亭鶴瓶のおっかけをしていたことが紹介されていた。二葉は大学に入るまではTVを見ることがなかったらしい。そのテレビで初めて見たのが,きらきらアフロの鶴瓶であり,それからおっかけがはじまった。

これをきっかけとして,二葉は落語にめざめるのだけれど,弟子入りしたのは鶴瓶ではなく米朝一門の桂米二(1957-)だった。面倒見がよさそうだったというのがその理由らしい。芸歴をアフロヘアーでスタートしたというのも,二葉と鶴瓶の共通点になっている。

桂二葉のエピソードは,鶴瓶の最後の弟子である笑福亭ベ瓶(べべ,1982-)との対談,桂二葉に迫りたいでも繰り返されていた。べ瓶のことは,ほとんど知らなかったけれど,鶴瓶に3回破門されて,再び戻ってきた人だった。

笑福亭べ瓶は,去る3月31日に新宿の末広亭で,笑福亭鶴瓶との親子会を開いている。主要演目はらくだであり,そのコンテンツはネット上に見当たらないが,対談の様子を鶴瓶・べ瓶親子会 師弟対談ほぼ完全版でみることができた。

笑福亭鶴瓶が笑福亭松鶴(6代目,1918-1986)に入門し,ほぼ同時にマスメディアデビューしたのが,1972年である。自分が大阪で大学生をはじめたころだ。テレビの深夜番組に,ベテランの落語家や漫才師に混じって,アフロへアの鶴瓶が出演していた。三題噺を即興で楽々と作り上げるセンスのよさが群を抜いていて印象的だった。

その後,秀逸で記憶に残る11pmでのやしきたかじんとの漫才,鶴瓶・新野のぬかるみの世界突然ガバチョ,9年9組つるべ学級,鶴瓶・上岡パペポTVなど,50年に渡って楽しんでいる。役者としても活躍しているが,古典落語の行方が興味深い。

2022年6月1日水曜日

タテ型コンテンツ

 NHKのクローズアップ現代でタテ型コンテンツ(動画/漫画)が流行しているという話題。

その前にひとこと。地方版も含めて最近のNHKニュースの訂正頻度がとても多くなってきた。毎日のようにお詫びしている。それに加えて政治ニュースの軽重の付け方や恣意的な報道内容の表現のレトリックにより,ほとんど政府広報のようだといわれている・・・

・・・NHKの質的低下がひどいという前振りのつもりが,感情に任せて話がそれてしまった。そのクローズアップ現代で,桑子キャスターが平然として「固定概念」という識者コメントの言葉をそのまま伝えていた。固定観念または既成概念が正しい

もちろん,言葉は移り変わるものであり,最近の若い人達が固定概念という言葉を使うのは耳にすることがあるので,100%おかしいとはいえない。それにしても,NHKという日本の言語表現基準の中心にあるべき組織で,言葉への感度が落ちているのだろうことが想像され,さきほどの政治的偏向と併せて残念な話なのだった。

さて本題は,YouTubeのようなPCに対応したヨコ型コンテンツより,TikTocのようなスマートフォンと親和性の高いタテ型コンテンツの方が最近注目を集めやすくなっている。スマートフォン上の漫画も,従来のような横スライドでなく,縦スライドでコマ移動するものが増えている。このようなタテ型コンテンツの方が,視聴者への主観的な訴求力が高いという結論だった。

パソコンでも昔,日本電気のPC-100という縦型ディスプレイとマウスから構成された日本版Alto(AppleのMacintoshのルーツ)が,1983年に発売されている。大阪駅前第1ビルのNECショールームで始めた見たときは,なかなかカッコよかった。残念ながら,その後主流になったのはスタンダートな横型ディスプレイのPC-9800シリーズのほうであった。


写真:NECのPC-100(Wikipediaより引用)

P. S.  NECの大阪 Bit-INN かと思ったが,それはやはり日本橋にあった。C&Cプラザ的なものだったのだろうか。

2022年5月18日水曜日

堀河夜討

NHKの大河ドラマ「 鎌倉殿の13人」は,平家が滅亡して義経が追われる段階に入ってきた。

人形浄瑠璃や歌舞伎の演目と重なるところが多いのでたいへん勉強になる。「義経千本桜」をはじめとして,「ひらかな盛衰記」「一谷嫩軍記」「源平布引滝」「近江源氏先陣館」「鬼一法眼三略巻」「鎌倉三代記」「梶原平三誉石切」「御所桜堀河夜討」などがこのテーマに関連した主な作品であり,文楽劇場でも何度か観ている。

今回は,1185年に頼朝の命を受けた土佐坊昌俊が,京都の六条堀河邸または六条室町亭にいる源義経を夜討するという史実に基づいた話だったが,ドラマでは義経の正妻の郷御前(三浦透子)がからむということになっていた。これが,浄瑠璃作品になると,平時忠の娘が正妻の郷の君になって,弁慶の隠し子が出てくるとか,もっと話がややこしくなったりするわけだ。


写真:堀河夜討の図(勝川春章,神奈川県立歴史博物館より引用)

2022年4月16日土曜日

にほんごであそぼ

 4月のNHKの番組改編では例年より大幅なものとなった。その中でも,Eテレのにほんごであそぼの評判が極めて悪かったので,録画を飛ばし飛ばしちょっとだけチェックしてみた。

うーん,頭にポットをつけたお姉さんが,百発百中の説明というかゲームに無駄な時間を費やすだけで時間が過ぎてゆく。部分的に以前のフレーバーが残っているものの,伝統芸能のかけらもなく,貴重だった織太夫,清介,勘十郎の文楽のコーナーも見当たらなかった。

1979年に福音館書店から出版された「にほんご」は,安野光雅,大岡信, 谷川俊太郎,松居直によって,小学校低学年の国語の教科書に代わるものとしてデザインされた労作だった。子供が小学校にあがるまで,ふとんの中でよく読んだものだ。そのフレーバーやコンセプトがふんだんに盛り込まれたのが,NHKの「にほんごであそぼ」だったが,番組改編で大変残念なことにそれが失われてしまった。

NHKはニュース系がひどくても,Eテレがあるからと我慢していた。この調子だと本当に全部がダメになりそうで怖い。まあ,あの優等生的で擬似中立主義的な総体による隠れた洗脳が問題だというのであれば,Eテレの優良番組だってどうなのよということかもしれないが。


写真:福音館のにほんごの書影(福音館書店から引用)