J. G. バラード(1930-2009)の原作で,スティーヴン・スピルバーグ(1946-)の製作によって映画化された太陽の帝国(1987)を録画していたので,夏休み映画教室を開いた。毎日が夏休みというのはちょっとおいといてね。
バラード自身の体験に基づいた小説が原作になっている。彼は上海の共同租界に生まれた上流階級の英国人だが,第二次世界大戦の開戦とともに,日本軍の捕虜収容所に家族で収容された。戦後単身でイギリスに帰国し,1956年にSF作家としてデビューする。クラーク,ディックなどと同様に,自分が最も良く読んだSF作家の一人だ。
映画では,少年が混乱の中で両親と離れ離れになり,紆余曲折の後に捕虜収容所にたどり着き,さらに遍歴を重ねていく。日本人の出演者は,伊武雅刀,片岡孝太郎,ガッツ石松,山田隆夫などである。40年近く前なので皆若い。久しぶりに良質の映画を観た。録画してみるのは韓国映画とかサスペンス映画とかばかりだったから。
そのガッツ石松が,「スピルバーグの太陽の帝国で,全米映画俳優協会最優秀外国人俳優賞を受賞した」という情報をいくつか見かけていたので,注意していたが,ガッツ石松の登場時間は短くてほとんどセリフもなく,映画のストーリーで大きな役割を話していない。どういうこと?
さっそく,生成AI各氏にたずねてみたところ,Grokが一番正しい答えを返してきた。
(1) これはデマ=都市伝説である。(2) 全米映画俳優協会賞(SAG)は1995年に始まっている。(3)最優秀外国人俳優賞というカテゴリーは存在しない。ということで,デマが都市伝説として延々と生き延びていたのだ。危うく信じてしまうところだった。
図:太陽の帝国の映画ポスターから引用
P. S. 映画では収容所のあった蘇州近辺から,長崎の原爆の閃光が見えたというエピソードが含まれていた。これも生成AIに聞いてみたところ,長崎から上海/蘇州までは,800kmあるので,地平線の曲率から無理だとのこと。100kmくらいまでは視認の可能性があるかもしれない。
P. P. S. 爆発高度 h,地球半径 R,視認範囲 Lとすると,L ≒ √2hR 。これに R = 6350km と h = 0.5+0.3 km を代入すると,L = 100 km となる。
[1] J. G. バラードの自伝「Miracles of Life(2008)」
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