フェイクニュースが蔓延する昨今,「この番組では、現実の私たちと同じように、架空の世界で社会の変化に翻弄される人々を追い、現代社会で実際に起こっている出来事や社会の矛盾を、モキュメンタリーという手法をもって描くことで、真実に迫る。」とあるが,これぞ純正で良質なSFビデオ作品である。
ザ・モキュメンタリーズ ~カメラがとらえた架空世界~(各編30分)(編者注:丸括弧内はこちらで付加したキーワード)#1 「インビジブル・ブルース」(透明人間皮膚移植・マイノリティー)#2 「(株)わたし」(個人の公開株化「株式人間」・人間の価値)#3 「WORD HUNTER」(言語省・言語取締官・不正日本語取締法)#4 「マイナースポーツ・未来の星」(スルーイング・東西日本国)#5 「ドローン・クライシス」(脱法人工知能搭載野良ドローンとマタギ)#6 「ハラハラ♥ハラスメント」(ハラスメントバッチ・自由恋愛タブー)#7 「冷凍睡眠ビジネスの闇」(家庭用冷凍睡眠カプセル)#8 「仮想俳優A」(フルCGの俳優・最明寺アキラブーム)
本物のドキュメンタリーのような形式で製作されているうえ,非常にていねいなシュミレーションがされているため,うっかりしていると現実と混線してしまいそうになる。放送時間の関係で星新一のショートショートレベルの掘り下げとなり,問題をそこまで深刻に描いているわけではないけれど,ドキュメンタリーの力がこれらにリアリティをもたらす効果は大きい。
各編に出てくる日付が2020年のオーダーだったので調べてみると,最初に放送されたのは2021年の3月・4月だったようだ。なお,モキュメンタリーという言葉は普通名詞だった。
写真:ザ・モキュメンタリーシリーズのタイトルバック(WOWOWから引用)
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