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2021年12月20日月曜日

メタバース(3)

メタバース(2)からの続き

metaverseというキーワードを全文に含む論文は,arXivには13本しかない。その中で,最も重要なのは,All One Needs to Know about Metaverse: A Complete Survey on Technological Singularity, Virtual Ecosystem, and Research Agenda(2021 Nov)である。そこで,そのアブストラクトの訳(DeepL supported)を紹介する。

[要旨] 1990年代にインターネットが普及して以来,サイバースペースは進化を続けている。私たちは,ソーシャルネットワーク,ビデオ会議,仮想3D世界(例:VRChat),拡張現実アプリケーション(例:ポケモンGO),非代替性トークン・ゲーム(例:アップランド)など,コンピュータを介したさまざまな仮想環境を作り出してきた。

このような仮想環境は,非永続的で相互に接続されていないとはいえ,さまざまな程度のデジタルトランスフォーメーション(DX)を私たちにもたらしてきた。「メタバース」という言葉は,私たちの物理的生活のあらゆる側面における DX をさらに促進するために創り出された。メタバースの中核には,巨大で統一された永続的な共有領域としての没入型インターネットというビジョンがある。メタバースは,拡張現実(XR),5G,人工知能(AI)などの新しい技術に牽引され,未来的なものに見えるかもしれないが,サイバースペースのデジタル「ビッグバン」はそう遠くはない。

この総括論文は,最新のメタバース開発を最先端技術とメタバースエコシステムの次元で検証し,デジタル「ビッグバン」の可能性を示す包括的なフレームワークを提供する初めての試みである。まず,現在のインターネットからメタバースへの移行を推進する技術として,1) 拡張現実,2) ユーザーインターフェイス (Human-Computer Interaction),3) 人工知能,4) ブロックチェーン,5) コンピュータビジョン,6) IoTとロボティクス,7) エッジとクラウドコンピューティング,8) 未来のモバイルネットワークという8つの実現技術を厳密に検討する。

アプリケーションの面では,メタバースエコシステムは,人間のユーザーが自立的,持続的,かつ共有された領域内で生活し,遊ぶことを可能にする。そこで,1) アバター,2) コンテンツ作成,3) 仮想経済,4) 社会的受容性,5) セキュリティとプライバシー,6) 信頼と説明責任という6つのユーザー中心的な要因について議論する。最後に,メタバースの発展のための具体的な研究課題を提案する。

[索引語]メタバース,没入型インターネット,拡張/仮想現実,アバター,人工知能,デジタルツイン,ネットワーキングとエッジコンピューティング,仮想経済,プライバシーと社会的受容性。

もう少し短かくて技術よりでないのは,A Survey on Metaverse: the State-of-the-art, Technologies, Applications, and Challengesである。

2021年12月19日日曜日

メタバース(2)

メタバース(1)からの続き

1992年にスノウ・クラッシュで誕生し,2003年にSecond Lifeとして実体化し,2007年ごろに第1次ブームを迎えて消え去ったメタバースである。2021年に第2次ブームが立ち上がるかどうかの時期に差し掛かっている。コロナ禍とそれにともなう在宅勤務が追い風になっていることは間違いない。

この様子を,論文について調べてみた。1つは日本語の論文であり,これはCiNiiのキーワード検索(メタバース OR metaverse)による。もう1つは英語の科学系の論文であり,これはarXivのキーワード検索による。後者では13本しか見つからなかった。案外少ないので学術用語としては十分定着していないのかもしれない。

2007  2
2008  10  (1)
2009  15  (6)
2010  9  (2)
2011  8  (5)
2012  7  (5)
2013  0
2014  0
2015  1
2016  0
2017  2
2018  1
2019  1  (1)
2020  2
2021  8  (2)
これは前者のCiNiiでヒットした文献の数(合計66件)である。2008年から2009年にピークがあり,2021年に再び増大している。なお,括弧内はタイトルに(メタバース OR metaverse)を含むもの。

P. S. CiNiiは,もうすぐ(2022年4月から)CiNii Researchに移行する。すでに試運転は始まっているので,こちらでも試してみたが,あまりクリアな結果は得られなかった。


写真:スノウ・クラッシュ下の書影(amazonから引用)


2021年12月18日土曜日

メタバース(1)

いろいろと問題を抱えていた FaceBook(2004-2021) が Meta に社名を変更したのが,2021年の10月28日だった。その理由として,今後の成長が見込まれるメタバースの開発を事業の中核に向けるということだった。

機が熟していたからなのか,それ以来メタバースの話題をあちこちでよく目にするようになった。ポッドキャストのbackspace.fmでも,2週連続でVRChatの関係者,クレマさんぴちきょさんが登場していた。

「メタバース」は,ニール・スティーヴンスン(1959-)がSF小説「スノウ・クラッシュ(1992)」の中で初めて用いた造語である。ニール・スティーヴンスンといえば,「ダイヤモンド・エイジ(1995)」であり,この中に出てくるプリマーのイメージはこれからのデジタル化された教育のモデルとして欠かせないものだと思えた。ハヤカワ文庫SFに収録されてすぐのころに両方とも読んでいる。

2003年にはSecond Lifeがスタートし,2007年ごろには日本でも一時かなり流行って注目を集めた(なにせ電通が乗り込むくらいだから)のだが,評判倒れになってしまった。グーグルグラスが潰れたこともあり,XRやメタバースはまだまだ先のことだと思っていた。なにしろ,Appleが本気を出していないので,macOS上ではまともなVR対応アプリが動かないのだ。

さて,この度はどうなることだろうか。どう考えてもVRゴーグルをつけっぱなしで半日過ごすとかいうのは無理のような気がするのだけれど・・・。


写真:スノウ・クラッシュ上の書影(amazonから引用)

[1]ソーシャルVR国勢調査2021(バーチャル美少女ねむ)
[2]いまこそ知りたいVRとメタバース第1回〜これから起きる未来とは〜
[3]いまこそ知りたいVRとメタバース第2回


2021年10月21日木曜日

フォトグラメトリ

 水中考古学の山舩幸太郎の話がテレビで流れていた。NHKのカネオ君だったのかな。YouTubeチャンネルもある。沈没船の様子を記録するためには,長期間のダイビング作業が必要であり,コストもたいへんなものになるところ,フォトグラメトリの技術を使って圧倒的に時間と費用が削減できたという印象的な話だった。

そういえば,大学の地学実験の授業ではじめてみたステレオグラムの写真に感動したことを思い出した。ここでは狭義に「デジタルカメラ等で多面的に撮影した複数のデジタル写真をコンピュータで画像解析し,3次元コンピュータグラフィックス等を得るプロセス」のことを考えたい。

AppleのMacBook発表会をみて,ほとんどのYouTuberが単純な性能や機能談義に終始していたところ,トバログ氏が,MacBook Proからみえる今後のAppleの方向性を議論していたのがおもしろかった。それは,Appleが出遅れている 3DCGを利用したVRARなどのMRが重要な役割を果たす世界である。

その兆候は,iPhoneカメラにおけるLiDARセンサーや,次期macOSのMontereyにおけるObjectCaptureという開発者向けAPIなどにみられる。そう,住宅・建築・土木関係や美術館・博物館・考古学あたり,あるいは自動運転・ロボティックス業界の皆様にとってはフォトグラメトリ最強かもしれませんが,一般コンシューマにtiktokのように浸透するには何が必要なのだろうか。VR/ARヘッドセットをかぶるのはちょっと勘弁してほしいのだけれど。


図:photogrammetryのイメージ(lecture.nakayasu.comから引用)

[1] Sketchfab(The Leading Platform for 3D & AR on the web)