2025年9月4日木曜日

教員養成の行方

中央教育審議会の初等中等教育分科会の教員養成部会から,「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)」が出てきた。

ChatGPT-5に,上記の論点整理の概要案 1p を添付して「ここ30年の日本の教員養成の推移や社会の現状を踏まえ,添付ファイルにおける日本の教員養成改革の論点を批判的に分析して,その本質的な問題点と現実的な課題を適示してください」と聞いた結果は,こんな感じ

まあまあなのだけれども再度,別の聞き方をしてみた。
Q(koshix):
(論点整理本文(案)の 25p を添付)
報告書の肝の部分やそれが意味する背後関係(真の意図や関係する組織への利害得失)についてを分析してまとめてください。

A(ChatGPT-5):
了解しました。いただいた報告書(中央教育審議会教員養成部会「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)」)の「肝の部分」と、それが意味する「背後関係(真の意図や関係する組織への利害得失)」を分析してまとめます。

1.報告書の肝の部分
大きく分けて4本柱があります。
(1)教職課程・免許制度の再編
・各大学の自由度を増やしつつ、コアカリキュラムや共用試験で「質保証」する仕組み。
・学部段階で基礎、大学院段階で高度専門性という「二段階モデル」へ。
・特別支援・ICT活用など新課題に対応できる資質能力を必須化。
(2)採用制度の改変と広報戦略
・教員採用試験の「共同実施」や日程早期化。
・国主導での広報・ブランディング。
・「サプライティーチャー」(退職教員活用)の仕組み。
(3)現職教員の学び直し・研修改革
・サバティカル導入、研修履歴データベース(Plant)の活用。
・管理職研修を外部リソースで強化。
・在職型大学院支援。
(4)社会人・企業人材の活用
・特別免許や認定試験を活性化。
・シニア人材から始める「在籍型出向」を推奨。
・企業側に税制優遇などインセンティブを与える。

総じて「従来の教育学部・単科大を中心とした閉じた養成→大学横断・社会人参入を前提とした開かれたシステム」への転換が核心です。

2.真の意図と背後関係
表向きは「多様な専門性の確保」ですが、裏にいくつかの政策意図が見えます。
(1)教員不足への対応
少子化にも関わらず、現場では教員不足が深刻。免許取得・採用のハードルを下げ、社会人・企業人材を柔軟に導入することで人材プールを広げたい。
(2)大学制度改革との接続
「大学院段階で高度専門性」という設計は、教職大学院の存在意義を強化する一方で、地方の単科教員養成大学には統廃合や他大学との連携を迫る布石。
(3)中央集権的統制の強化
「共用試験」「コアカリキュラム」「共同採用試験」によって、大学や自治体の独自性よりも国基準を優先させ、質保証と同時に国の統制力を拡大。
(4)産業界との利害調整
企業人材の派遣を教育現場に組み込むことで、企業は「社会貢献+人材育成の機会」を得られ、国は教育予算を大幅に増やさずに人材を補填できる。企業への税制優遇が議論されているのもこの文脈。

3.関係組織ごとの利害得失
(1)文部科学省・中央教育審議会
・得:質保証と採用を「国主導」で握れる。教員不足への即応策を示せる。
・失:地方大学・自治体の反発リスク。
(2)国立の単科教員養成大学
・得:フラッグシップ大学化すれば権限と予算増。
・失:規模が小さい大学は統廃合や役割縮小の圧力を受ける。
(3)教育委員会(自治体)
・得:共同採用試験で負担軽減。社会人導入で人手不足緩和。
・失:国主導により採用の裁量が減少。人材流動性増で定着率低下リスク。
(4)民間企業
・得:人材育成・社会貢献アピール、税制優遇。
・失:人材流出リスク、教育現場との文化摩擦。
(5)教師・志望学生
・得:柔軟な免許取得ルート、ICTや社会人交流を通じた専門性の多様化。
・失:共用試験導入による負担増、従来型「教育学部出身者」の独占的優位性の低下。

4.全体的な評価
この論点整理は、表向きには「多様性と質保証」を掲げながら、実質的には ①教員不足への緊急対応、②大学制度改革(特に教員養成系統の再編)、③産業界を巻き込んだ教育人材供給システムの設計 を同時に進めようとする戦略文書です

つまり「教育改革」というよりは、「教育人材市場の構造改革」として読むべきものです。

ご希望であれば、これを 「国・大学・教育委員会・産業界・現場教師」別にシナリオ分析(得する組織/失う組織の未来像)として整理することもできますが、そちらも必要でしょうか?

元教員養成単科大学の関係者としては,なかなか大変な状況だという印象だ。これまでは,教員が余っているということで,1988年に大教大では教養学科(ゼロ免許=非教員養成コース)を設置し暫くは落ち着いていたが,2003年に国立大学が法人化され教員養成単科大学の統合再編話がひとしきり盛り上がった。

そしてその後も学生定員削減と組織改革が頻繁に繰り返されてきた。2006年の教育基本法改正,2007年の専門職大学院としての教職大学院制度の創設。2009年に教員免許更新制が教員の資質能力の向上(自民党右派の本音は不適格教員の排除)を目的に導入など,てんてこ舞いで振り回され続けたのだ。

大教大には夜間学部があったために,機能がやや重複する教職大学院設置になかなか踏み切れなかったが,2015年には関西大学,近畿大学とともに連合教職大学院を設置することになった。2012年から設置に向けた仕事をしていました。あ〜あれからもう10年も経ったのね。

定年退職後も,2022年に教員養成フラグシップ大学に選定され(同時期には免許更新制も廃止),2024年には大阪市総合教育センターを含むみらい教育共創館もオープンして一息ついたと見えていた。そこのところにまたこの荒波がくるのか。



図:ChatGPTが生成した大教大連合教職大学院のフェイク画像


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