総務省に関係人口のポータルサイトには次のように説明されている。
「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、変化を生み出す人材が地域に入り始めている例も多くあり、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が、地域づくりの担い手となることが期待されています。
とても曖昧な定義だけれど,人口減少社会で地方圏の活性化を図るためのツールにしたいという気持ちはわからないでもない。図の例示をみると,「行き来する者(風の人)」「地域内にルーツがある者(近居・遠居)」「何らかの関わりがある者(過去の勤務や居住、滞在等)」なのだ。自分は石川県の関係人口にカウントされる。少しだけわかった気がする・・・わけでもない。なお,肝腎の石川県は,マッチングナビのリンク無し4県に含まれていて,まったくやる気無しだった。
さて,今回関係人口を持ち出したのが,株式会社ブランド総合研究所の関係人口意識調査2024である。詳細データが欲しければ10万円必要となる。2021年から始めているが,よくある商売だ。ニュースリリースでは,「石川など北陸の関係人口は増加。32都道府県で減少」となっている。調査日は,2024年2月2日〜4日で,インターネット上の19歳から79歳,17686人の有効回答を分析したものだ。
トップの石川県の関係人口は,1831.1万人であり昨年の95.6万人から1815%増えている。あほらしい。これは令和6年能登半島地震の効果を調べているだけで,特異値を拾うほとんど意味を成さない統計データになっている。これを10万円で買う自治体はどこなのか。
そもそも観光で何度か訪れたも関係人口に含めているように見え,総務省の定義とも齟齬があるのだ。もう少しまじめにやってほしい。
図:総務省がイメージしている関係人口(総務省から引用)
[1]関係人口とは何か?(自治体・公共Week)
[2]関係人口地方創成フォーラム(内閣府地方創成推進事務局)
[3]全国の関係人口は1800万人超(国土交通省,2021年)
[4]関係人口の実態把握(国土交通省国土政策局,2021年)
[5]現代日本社会における「関係人口」の実態分析(杉本あおい他,2020年)
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