2020年10月10日土曜日

村上陽一郎

学術会議(4)からの続き

菅首相は,ついに「会員任命を最終的に決裁したのは9月28日,会員候補リストを拝見したのはその直前だったと記憶している,その時点では最終的に会員となった方(99人)がそのままリストになっていた」(時事通信より抜粋)といい出してしまった。しかし,まともにその論理矛盾を質せるマスコミは皆無の有り様。

そして,村上陽一郎が,「学術会議問題は「学問の自由」が論点であるべきなのか?」などとして,政権擁護(=学術会議批判)発言をはじめたので,ネトウヨや御用学者が大喜びでエサに飛びついている。特に「七期も連続して務めたF氏を中心に,ある政党に完全に支配された状態が続きました」というフレーズが適当に解釈されて拡散されている。F氏が憶測をよんでいるが,伏見康治は7年会長を務めたが,公明党の参議院議員(1983-1989)だったし(日本共産党ではない),福島要一という名前もでてきているが,彼は11期会員を務めている。まともに相手しないほうがよいのだろうけれど,影響力が残存しているので面倒だ。

歴代会長一覧
第1期(昭24.1~昭26.1) 亀山直人
第2期(昭26.1~昭29.1) 亀山直人
第3期(昭29.1~昭32.1) 茅誠司
第4期(昭32.1~昭35.1) 茅誠司
第5期(昭35.1~昭38.1) 和達清夫
第6期(昭38.1~昭41.1) 朝永振一郎
第7期(昭41.1~昭44.1) 朝永振一郎
第8期(昭44.1~昭47.1) 江上不二夫
第9期(昭47.1~昭50.1) 越智勇一
第10期(昭50.1~昭53.1) 越智勇一
第11期(昭53.1~昭56.1) 伏見康治
第12期(昭56.1~昭60.7) 伏見康治
     (昭57.10~昭58.5) 久保亮五
     (昭58.5~昭60.7) 塚田裕三
第13期(昭60.7~昭63.7) 近藤次郎
第14期(昭63.7~平3.7) 近藤次郎
第15期(平3.7~平6.7) 近藤次郎
第16期(平6.7~平9.7) 伊藤正男
第17期(平9.7~平12.7) 吉川弘之
第18期(平12.7~平15.7) 吉川弘之
第19期(平15.7~平17.9) 黒川清
第20期(平17.10~平20.9) 黒川清
第21期(平20.10~平23.9) 金澤一郎
第22期(平23.10~平26.9) 大西隆
第23期(平26.10~平29.9) 大西隆
第24期(平29.10~令2.9) 山極壽一
第25期(令2.10~令5.9) 梶田隆章

村上陽一郎はブルーバックスの「新しい科学論」を大学院時代に読んでいたが,もうひとつわかったようなわからなかったような印象があって,他にも何冊か買ってしまった。しかし,その評価を決定づけたのは,藤永茂先生の「ロバート・オッペンハイマー −愚者としての科学者」などでの,シラードやオッペンハイマーに関する見方である。詳細は,黒木玄さんのまとめ「藤永茂による村上陽一郎批判」に詳しい。それやこれやで,村上陽一郎はほとんど信頼していないのだが,今回更にそれが強化された。

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