学術会議(1)からの続き
制御されたネトウヨ(とその周辺のカスケード集団)や新自由主義的な御用学者による直接的な攻撃だけではなく,若手の科学者を中心として,今回の問題に対する冷笑的なあるいは反学術会議的な意見がめだつような気がする。
この問題は香山リカが指摘しているように,杉田水脈が先鞭を切ったヘイト側の科研費攻撃や国立大学攻撃と一続きの問題である。また,安富歩が指摘しているように,軍事研究への道(閉じた科学への道)を開くかどうかの分水嶺の問題でもある。あるいは,学術会議の担ってきた大学教育の分野別質保証の問題などを踏まえれば,高等教育への介入の先駆現象といえるのかもしれない。
令和二年度の日本学術会議の予算は,令和2年度内閣府所管一般会計歳出予算各目明細書の71pから見ることができる。総額は,10億4千9百万円で,日本学術会議の運営に必要な経費が5.5億円,科学に関する重要事項の審議等に必要な経費が5億円だ。小規模な単科大学の1/7程度のたいへん慎ましい予算である。一般職の職員が50人はりついており,庁舎費や情報処理業務庁の1億を除いた職員の人件費が約4.5億ということか。
業務遂行のための費用は,国際学術組織への分担金が1.1億円なので,会員や委員の手当てと旅費などが3.4億円ほどになる。残り0.5億円は国際会議関係と庁費だ。学術会議の会員自身は210名だが,連携会員が2000名おり,学術会議の会合や各種委員会への出席における旅費や手当てをイメージすればひとり平均20万円オーダーの簡素な運用を行っていることになる。
会員の構成をみても女性がかなり多いことがわかる。まあ,政権側には意図的に不正確な情報を流し,それを自発的に増幅する取り巻きがいるわけで,まともな科学アカデミーを維持できない国が滅びへの歩みを進めていくのは必須と思われる。
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