2020年10月6日火曜日

学術会議(3)

学術会議(2)からの続き

安倍政権時代の2017年の前回の学術会議の105名の交代会員の推薦過程で,官邸が介入し110名超の名簿を出させたという話が出てきた。

菅首相は,記者会見を開くかわりに少数のマスコミに対するインタビューという形式を使って,逆宣伝を始めている。(1) 10億の予算を使った組織の,(2) 特別公務員に任命するが,(3) 現行の会員推薦過程は現会員が推薦できる仕組みになっている。という話を組み立てて,違法行為の正当化を図ろうとしている。

予算については,前回眺めたので,今回は会員推薦過程を調べてみた。

(1) 現会員及び現連携会員(特任の連携会員を除く。以下同じ。)は, 幹事会が定めた様式により,新たな会員候補者及び連携会員候補者を合わせて5人 以内(うち会員候補者は2人以内)推薦する。ということは,全分野に渡って,(210+2000)  × (2+3)人以内の会員+連携会員の推薦が出るということか(*)。

(2) 上記の推薦書は選考委員会にあがる。選考委員会は,会長+副会長(3名)+各部の4名(×3)=16名で構成される。各部の4名のうち1名は役員(部長,副部長,幹事)。

(3) 選考委員会の下に3部(人文・社会科学,生命科学,理学・工学)の選考分科会が設けられる。各選考分科会は,各部の会員のうち,副会長,役員,委員会の委員並びに分野別委員会の委員長及び副委員長で構成される。委員会は,関連法規集に20余りあるがどの範囲なのだろうか。なお,この任期は改選前の9ヶ月間くらいである。

(4) 分野別委員会は,言語・文学,哲学,心理学・教育学,社会学,史学,地域研究,法学,政治学,経済学,経営学,基礎生物学,統合生物学,農学,食料科学,基礎医学,臨床医学,健康・生活科学,歯学,薬学,環境学,数理科学,物理学,地球惑星科学,情報学,化学,総合工学,機械工学,電気電子工学,土木工学・建築学,材料工学の30分野からなる。

(5) 選考委員会の結果は,幹事会に伝えられる。日本学術会議法の「第十二条 各部に、部長一人、副部長一人及び幹事二人を置く」と「第十四条 日本学術会議に、その運営に関する事項を審議させるため、幹事会を置く。2 幹事会は、会長、副会長、部長、副部長及び幹事をもつて組織する」から,幹事会は16名で構成される。

(6) この原案が総会で承認された後,改選会員が会長から内閣総理大臣に推薦される。菅政権の説明が匂わせようとしている委員の「世襲」的な恣意性が入る余地はない。

そうこうしているうちにも,研究者の分断は進んでいる。

(*) 改選期の会員が次期の会員を選ぶという話もみかけたので,上限はこれよりもかなり少ないのかもしれない。また,会員と連携会員は推薦数の計算はそれぞれ独立なのかもしれない。

[1]日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議(2015)
[2]日本学術会議における連携会員の主な活動について

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