仮名手本忠臣蔵(八段目より十一段目)からの続き
11月7日(木)吉田簑助が91歳で亡くなった日。そうとは知らないまま開場40周年記念11月文楽公演に行く。立冬の前日,急に寒くなったのだけれど晴れていれば大丈夫。国立文楽劇場の西側の入口で高校生の団体に遭遇する。聞いてみれば天王寺高校の2年生全員(360名)で,第1部(4時間!)を観るとのこと。文楽劇場の後半分と前半分のうち左1/3が高校生だった。皆さんおとなしく最後まで観劇していた。
今回2024年11月公演では忠臣蔵の大序から七段目までが2部にわけて上演される。来年2025年の1月公演で,8段目と9段目がかかり,ほぼ通し狂言となる。国立文楽劇場の前回の仮名手本忠臣蔵の通しは,2019年の春,夏,秋の3回に分割されたバージョンであり,2012年には1日通しの公演が行われた。いずれもすべてクリアしている。今回は,体力の関係で,第1部の大序から四段目までということで勘弁してもらう。
2012年/2019年/2024年の仮名手本忠臣蔵の通し狂言大序○○○鶴が岡兜改めの段(25分/24分/23分)○○○恋歌の段(12分/13分/11分)二段目×○○桃井館力弥使者の段(_/23分/22分)○○○本蔵松切の段(18分/18分/17分)三段目○○○下馬先進物の段(20分/20分/19分)○○○腰元おかる文使いの段(14分/14分/14分)○○○殿中刃傷の段(28分/28分/30分)○○○裏門の段(16分/15分/14分)四段目○○○花籠の段(17分/17分/16分)○○○塩谷判官切腹の段(53分/49分/46分)○○○城明渡しの段(8分/7分/8分)五段目○○○山崎街道出合の段(15分/16分/15分)○○○二つ玉の段(20分/17分/18分)六段目○○○身売りの段(27分/25分/26分)○○○早野勘平腹切の段(47分/45分/41分)七段目○○○祇園一力茶屋の段(85分/93分/87分)八段目○○○道行旅路の嫁入(33分/34分/**分)九段目○○○雪転しの段(15分/14分/**分)○○○山科閑居の段(96分/97分/**分)十段目×○×天河屋の段(_/68分/_)十一段目・大詰○××花水橋引揚の段(11分/_/_)×○×花水橋引揚より光明寺焼香の段(_/23分/_)
写真:塩谷判官(国立文楽劇場第176回パンフレットから引用)
塩谷判官切腹の段(通さん場)は,前回2019年に観たときすごい緊張感があって良かったのだが,今回はそこまでではなかった。上演時間がこれまで3回の通しで,毎回減少している(53分→49分→46分)のがちょっと気になる。「遅(おそかり)し由良助」というセリフが出てくるのかと期待していたら,これは歌舞伎バージョンの浄瑠璃台本だけのようだ。
由良之助が到着した後「由良助。この九寸五分は汝へ形見。わが鬱憤を晴らさせよ。」として息絶えたところで,「御台を始め,並みゐる家中,目を閉ぢ息をつめ,歯を喰ひ縛り控ゆれば」とあるのだけれど,肝腎の顔世御前の人形は別室に隠れている。歌舞伎だと衣裳交換の時間稼ぎだとの説があるけれど,人形浄瑠璃ではどうなのよという疑問は残ったまま。
下馬先進物の段の豊竹亘太夫(大序鶴ケ岡兜改めの段も)と腰元お軽文使いの段の豊竹睦太夫(恋歌の段も)が今回の良かったでしょう。塩谷判官切腹の段の豊竹若太夫はちょっと声がでていなかったかなあ。
元禄十四年(1701年)の赤穂事件が,元禄十五年(1703)の吉良邸討ち入りに至る。この事件の47年後の寛延元年(1748年)に,二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳による人形浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」として上演され,それ以来「忠臣蔵」がこの事件の代名詞となった。
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