次のような前提で考えてみよう。
・地球と月の距離 $\ D \ $ は三角測量によってわかっている。
・地球の半径$\ R \ $と月の半径$\ r \ $は緯度観測と三角測量からわかっている。
(直接不要だが,地球質量$\ M \ $,月質量$\ m \ $,万有引力定数を ${\ G \ }$とする。)
まず,$\displaystyle g = \dfrac{GM}{R^2}, \quad g_m = \dfrac{Gm }{r^3}, \quad \dfrac{g_m}{g} = \dfrac{m}{M} \Bigl( \dfrac{R}{r} \Bigr)^2 \ $が成り立つ。
また,地球−月系における万有引力の法則とケプラーの法則からは次式が得られる。
$\displaystyle \mu D \bigl( \dfrac{2\pi}{T} \bigr)^2 = \dfrac{G m M}{D^2}$
ただし,$\mu \ = \dfrac{m}{1+m/M} \ $は月の換算質量,$\ T\ $は月の公転周期である。
したがって,$\displaystyle \bigl( \dfrac{2\pi}{T} \bigr)^2 = \dfrac{GM (1+ m/M) }{D^3} = \dfrac{g R^2 (1+ m/M) }{D^3}$
この式に,$T=27.32 {\ \rm d},\quad g=9.81 {\ \rm m/s^2}, \quad R = 6.37*10^6 {\ \rm m}, \quad D = 3.844 * 10^8 {\ \rm m}$を代入すると,$m/M = 0.0111$を得る(ちょっと足りないか,現在わかっている質量を入れると,$m/M = 7.35*10^22 {\ \rm kg} / 5.97*10^24 {\ \rm kg} = 0.0123 \ $である)。
この質量比の値と,地球と月の半径の比の値がわかれば,重力加速度の比が求まる。地球から月までの距離 $\ D \ $ を三角測量で求めたり,月の直径 $\ 2r \ $を逆三角測量で与えるためには,月の直径$\ 2r = 3470 {\ \rm km}$と,地球から月の距離 $D = 384400 {\ \rm km}$の比率の逆正接の値が必要となるが,その角度は 約 0.5度である。
図:月までの距離の三角測量(参考文献 [2]からの引用)
[1]三角点の基礎知識
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