幻想の未来からの続き
筒井康隆の1998年の長編小説「敵」が吉田大八監督によって映画化された。奈良では上映されていないので,京都か大阪かと迷ったが,大阪梅田スカイビルのテアトル梅田(旧シネ・リーブル梅田)に向かった(2/18のこと)。
昔は操車場の下を潜る長い地下道を通ってスカイビルまで行ったものだけれど,うめきた二期区域再開発のために,地下道はなくなってしまいグラングリーンと公園が整備中だ。
最初に買った筒井康隆は,ハヤカワSFシリーズ(銀背)の「東海道戦争」だったか。あるいは「ベトナム観光公社」とか「アルファルファ作戦」だ。その次が日本SFシリーズの「48億の妄想」と「馬の首風雲録」あたりか。その後,角川文庫の「幻想の未来」,「アフリカの爆弾」,「にぎやかな未来」と続いていった。「霊長類南へ」を含め,このころが最も楽しかった時代だ。
SFマガジンに連載されていた「脱走と追跡のサンバ」以降の1970年代の作品にはどうも乗り切れないと思っているうちに,1980年代の「虚人たち」や「虚構船団」へと飛躍していった。もうあまりSFを読まなくなった時代だ。
さて,小説は未読の映画の「敵」のテーマは老人だ。老人男性だ。自分にぴったりのテーマかな。意識がしだいに妄想に侵食されていく70代後半の爺さんだ。日常のリズムを保とうと努力しているが,それが次第に破綻してしまう年代だ。
全編モノクロだったので食事のシーンがもたれずに進んでいく。女性陣が瀧内公美+河合優美+黒沢あすかというすごい配役を揃えてきた。これに,松尾コンビ(松尾諭+松尾貴史)が加わって,主人公のフランスといえば長塚京三をささえていた。おもしろかったのだが,テアトル梅田のホール2の画面が狭かったので自宅のテレビでも十分だったかもしれない。
写真:映画「敵」のポスターから引用
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