Typstは2023年に生まれた組版処理システム(PCで整形されたきれいな文書をつくるもの)だ。同種のものとして,ドナルド・クヌース(1938-)が1978年に開発したTeXや,レスリー・ランポート(1941-)がこれに続いて1984年に作ったLaTeXがある。まあ,Wordだってその仲間だ。咲子がLaTeXならば風葉がTypstだ。軽量マークアップ言語のMarkdown(2004)に数式表現が加わっている。同工のものとして日本発のSATySFy(2021)がある。
さて,ローカル版はhomebrewで簡単にインストールできる。sample.typ ファイルに対して, typst c sample.typ とすれば,sample.pdf が得られる。しかも,LaTeXよりずっと速い。typst w sample.typ とすれば,ソースコードを修正しながらこれが反映した結果のpdfファイルを確認できる。Typst.appにはWeb版もあって,登録すれば無料で利用できる。Sing In したところ,メールアドレスは登録済みだったので,昔いちど試してみたのかもしれない。もう忘れている。
LaTeXとTypstのコンバータがあれば便利だろうと,OpenAI o3-mini-high にやらせてみたところ,すぐにできたが,入力したtexファイルに問題があって,うまくいかなかった。そうこうしているうちに,ファイルコンバータのpandoc にはこの変換が組み込まれている(逆方向はダメ)ことがわかり,確かにうまくいった(\Big は\big に直す必要があった)。
図:Typst のアイコン(Typstのホームページから引用)
Q(koshix):日本語と数式と図を含んだ組版システムとして,LaTeX(昔から)とTypst(最近)があります。この両者の特徴を比較して,どちらがお薦めかを教えてください。A(Perplexity Pro):LaTeXとTypstは、両者とも日本語、数式、図を含んだ文書の組版に適したシステムですが、それぞれに特徴があります。以下に両者を比較し、どちらがおすすめかを検討します。LaTeXの特徴長所:・長年の実績があり、学術界で広く使用されている・複雑な数式や特殊文字を正確に表現できる・異なる要素のスタイルを厳密かつ一貫して制御できる・すべてのOSと互換性がある・数式や図表の自由な配置編集が可能・安定性が高く、バグが少ない短所:・環境構築が複雑・エラーメッセージが不親切で、デバッグが困難・初心者には扱いづらいTypstの特徴長所:・文法がわかりやすく、特に数式の記述が直感的・エラーメッセージが親切で理解しやすい・環境構築が簡単・処理速度が非常に速い・レイアウトの調整が容易・LaTeXからの移行がしやすい短所:・比較的新しいシステムのため、LaTeXほどの実績がない・英語のドキュメントしかないおすすめどちらがおすすめかは、ユーザーの状況や目的によって異なります。LaTeXをおすすめする場合:・学術論文を執筆し、広く受け入れられているフォーマットが必要な場合・複雑な数式や特殊な組版が必要な場合・長期的なサポートや豊富なリソースが必要な場合Typstをおすすめする場合:・迅速な文書作成や編集が必要な場合・環境構築の手間を省きたい場合・より直感的な文法を好む場合・処理速度を重視する場合結論として、学術界での実績や豊富なリソースを重視するならLaTeXが、使いやすさや処理速度を重視するならTypstがおすすめです。ただし、Typstは比較的新しいシステムなので、今後の発展や学術界での受け入れ状況を注視する必要があります。
[1]Typst.app 公式ページ
[3]Typst入門(奥村晴彦)
[4]Typstの使い方(KumaROOT)
[5]Typstのはじめかた(monaqa)
[6]組版処理システムTypstの紹介(樫村博基)
[7]便利パッケージと使用例の紹介(Qiita,key_271)
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