松井さんは自分より1学年上だ。学会や研究会の同世代や少し上の学年というと,京大では国広悌二さんや巽敏隆さん,東大では岡真さんや星紀行さん,名大では松井哲男さんや乙藤岳志さんらをよく見かけて話をきいた。京大と名大のグループは当時流行のパイオン凝縮(続)の話題に集まっており,東大グループは核力とクォーク模型について研究を進めていた。いずれも原子核理論の中間エネルギーという分野の話だ。自分はベータ崩壊なので中間エネルギーにも届かないのだけれど。
京大グループの話はモデルとしてはわかりやすかったが(それでも怪しかった),名大グループのそれはあまりよく理解できなかった(物性物理の知識不足からか)。1980年の国際会議のときに記念写真をとって,その後海外に旅立つことになっていた松井さんから送られてきた。お礼の返事をすればよいものの,こしぎりならずいつものように不義理のため放置したままだった。よくないね。
松井さんは岐阜高だから水野義之(1953-)さんと同窓か。京大理学部から大学院で名大の安野愈さんの研究室に進む。1980年からアメリカに渡り,スタンフォード,LBL,MITを経て1993年に京大の基研,1999年から東大の駒場,2015年から放送大学でそれぞれ教授を勤めていた。
放送大学のチャンネルで拝見する限りはお元気そうだったのだけれど。合掌。
写真:放送大学「初歩からの物理」の松井さん(放送大学から引用)
P. S. 原子核理論では若くて亡くなる人が多かった。いやどの分野でもそんなものかもしれない。有馬研の星紀行さんも1980年代に亡くなっている。大坪先生がハイパー核での研究を期待していたのに残念だったと話していたかもしれない。京大で原子核の有効相互作用を研究していた安藤和彦さんと坂東弘治さん。RCNPの理論部にいた後輩の深山良徳君と名大から甲南大学にいった西岡英寿さんは1990年代半ば。最近だと大西明さんなどなど。
P. S. 池上彰が気持ち悪いのはマンスプレイニングだからだ。と誰かがYouTubeで話していたが,それはブラタモリにもいえる。大橋巨泉もそうだった。放送大学の物理などの時間もキッチリあてはまるのだ。自分のブログだってそうかも。いかんともしがたい・・・。みんな少しずつ気持ち悪い。
[1]古くて新しい物質相 クオーク・グルオンプラズマ(数理科学 2001)
[2]Quest for the Quark-Gluon Plasma(2013, T. Matsui)
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