2025年10月28日火曜日

グランドツアー

マンションの配電盤の交換のため,10:00〜16:00まで全面停電のアナウンスがあった。エレベータはもちろん,電気も水道もトイレもWiFiもみなストップしてしまう。しかたがないので,脱出して映画を観に行くことになった。

日経の夕刊で紹介されていた,ミゲル・ゴメス監督のグランドツアーがおもしろそうだったので探してみたが,奈良県では上演されていない。しかたないので四条烏丸の京都シネマに向かう。おしゃれな烏丸古今(COCON)というビルの3Fにある名画館で,マイナーな映画ばかり扱っている。

グランドツアーの舞台は1918年のアジアで,逃げる男を女が追いかけるという話だ。ビルマ(ミャンマー)−タイ−ベトナム−フィリピン−大阪−上海−成都と物語が進んでいく。ほとんどはモノクロの映像で,一部カラーが混じる。映像はドラマとドキュメンタリーが適度に混ざっていて,わかったようなわからないようななストーリーが展開する。

大阪では道頓堀の風景と地下街のうどん屋が映っているがどうみても1918年代のものではなくて,たぶん昭和の風景だ。それと虚無僧が登場していた。そうか,安部公房の箱男の原点は虚無僧なのかと気付いた。成都では森の中のパンダが見え隠れしていた。

アジアの様々な人形劇が挟まれていた。影絵,操り人形,棒人形。ビルマの人形は三人遣いで,黒子のかわりに顔を黒塗りしていた。人形浄瑠璃文楽の三人遣いは世界的に珍しいということだったけれど,まったく存在しないわけではなかった。

平日の10時過ぎから2時間の上映だが,10人あまりのシニア割引客がいたので,かなり盛況だったのではないだろうか。あいかわらず,京都の街は(奈良もそうだが)外国人観光客でとても賑わっている。



図:グランドツアーのポスター(ミモザフィルムズから引用)



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