2024年5月2日木曜日

消滅可能性自治体

今から10年前の2014年5月,増田寛也(1951-)がやっていた日本創成会議が,人口再生産力に着目した市区町村別将来推計人口についてをまとめた。
合計特殊出生率のうち 95%は 20~39歳の女性によるものなので,20〜39歳の女性の減少率に着目した。2010年から2040年の30年で,「20~39 歳の女性人口」が5割以下に減少する自治体数は, 896自治体,全体の 49.8%にものぼり,これらを「消滅可能性都市」とした。
10年経って,この話がまた蒸し返された。日本創成会議は休止中で,かわりに人口戦略会議(議長 三村明夫,副議長 増田寛也,ウェブサイト不明)が新しいデータ令和6年度・地方自治体「持続可能性」分析レポート(2024.4.24)を示した。この度は,2020年度から2050年度の30年間に,20-39歳の女性人口が50%以上減少する自治体を消滅可能性自治体としている。前回から99自治体が加わり,239自治体が脱却した結果,744 自治体となった(注:前回は福島県を含まず,今回は含む)。
全国1729自治体の持続可能性分析結果

1.自立持続可能性自治体(65)
20~39歳の若年女性人口の自然減・社会減の影響が抑えられている自治体
千葉県流山市、静岡県長泉町、沖縄県宜野湾市

2.ブラックホール型自治体(25)
人口の増加分を他地域からの人口流入に依存しており、しかも当該地域の出生率が非常に低い
千葉県浦安市、東京都新宿区・渋谷区・品川区、京都市

3.消滅可能性自治体(744)
20~39歳の若年女性人口における減少率が大きい自治体
北海道函館市、茨城県日立市、大阪府門真市、鹿児島県南九州市

4.その他(895)
詳細な区市町村別のデータが掲載されたエクセルデータをみると,奈良県は,ワースト15自治体に,5自治体(黒滝村,吉野町,御杖村,下市町,野迫川村)が含まれている。青森県や北海道に並んで全国最悪レベルである。

菅野完によれば,若い女性が定着しない地域はミソジニーを何とかするのが先だといっている。そうだよなあ,人口問題の第1歩は人権問題の解決であり,びっしりと根を張っている宗教右翼勢力の根絶だ。夫婦別姓や同性婚に手を付けられない自民+公明+維新勢力がブイブイいわせているうちは,人口問題は解決しない。



[1]人口ビジョン2100(人口戦略会議,2024年1月)

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