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2021年10月10日日曜日

円筒電荷分布の電場(2)

円筒電荷分布の電場(1)からの続き

 直感的な説明はできた(と思う)ので,次に積分を真面目に計算してみる。

z軸を対称軸とする半径Rの円筒に,面密度σの電荷が一様に分布している。x軸上の点Pは座標(r,0,0)であり,この点における電場を計算しようというわけだ。このためには円筒面上のすべての電荷素片がP点に作る電場を重ね合わせればよい。

いま,円筒面上に点Qをとり,その近傍の電荷素片はσRdθdzの電荷を持っている。なお,θは電荷素片をxy平面に射影した点とx軸のなす角度である。この点Qの座標は,(Rcosθ,Rsinθ,z)である。そこで電場の式は次のようになる。

E(P)=σ4πε02π0(rRcosθ,Rsinθ,z)(r22rRcosθ+R2+z2)Rdθdz

ここで,z軸方向の対称性からP点でのEzは0,y軸方向の対称性からP点でのEyも0となる。さらに,x軸方向の電場は,θ=0πθ=π2πで同じ寄与となるので,片方を計算して2倍すれば良い。つまり,Exだけが残っていて,

Ex(P)=2σR4πε0π0rRcosθ(r22rRcosθ+R2+z2)3/2

ここで,s2=r22rRcosθ+R2z=stanϕ として,変数zϕに書き換えると,Ex(P)=2σR4πε0π/2π/2π0rRcosθs3(1+tan2ϕ)3/2dθsdϕcos2ϕ=2σR4πε0π/2π/2π0rRcosθs2dθcosϕdϕ=4σR4πε0π0rRcosθs2dθ

さらに,tanθ/2=tとおいて有理関数の積分にする。このとき,dθ=2dt1+t2cosθ=1t21+t2であるから,

Ex(P)=σRπε00rR1t21+t2r22rR1t21+t2+R22dt1+t2=σRπε00r(1+t2)R(1t2)(r2+R2)(1+t2)2rR(1t2)2dt1+t2=σRπε01r0{11+t2R2r2(Rr)2+(R+r)2t2}dt=σRπε01r[tan1ttan1R+rRrt]0dt

したがって,R>rの場合は,Ex(P)=0R<rの場合は,Ex(P)=σRε0r=λ2πε0rとなる。λ=2πσRは円筒の線電荷密度である。


図:円筒電荷分布がP点に作る電場

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