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2023年7月20日木曜日

大学教育とChatGPT(14)

大学教育とChatGPT(13)からの続き

文部科学省からの高等教育機関向けの通知があったので増えるかと思ったがそうでもなかった。日本大学から入学者選抜における生成AIツールの取り扱いについてが出ていた。

今後,このような入試関係の注意が多くなっていくのだろうか。学内でコントロールできる試験に比べて,さらに生成AIを使ったかどうかの検証は難しいと思われる。というか,これまでだって,第三者の助力支援の有無はわからなかったのではないか。

7月12日
生成AI(ChatGPTなど)の利活用に関する方針
大阪工業大学 学長 井上晋
https://www.oit.ac.jp/japanese/students/detail.php?i=9355

7月13日
本学における生成AI(ChatGPT、Bard、BingAI等)の利用について
清泉女学院大学 学長 田村俊輔
https://www.seisen-jc.ac.jp/info/2023/07/chat-gpt.php

7月13日
入学者選抜における生成AIツールの取扱いについて
日本大学
https://www.nihon-u.ac.jp/admission_info/news/2023/07/636/

7月13日
生成AI(ChatGPT、Stable Diffusion等)の使用に関する留意事項について
同志社女子大学 教務部長 真部真里子
https://www.dwc.doshisha.ac.jp/current/generative_AI

7月13日
「チャットGPT」など対話型生成AIとの向き合い方について
東海学園大学 学長 石川清
https://www.tokaigakuen-u.ac.jp/news/detail.html?id=1226

7月14日
滋賀大学における生成AIの利活用について
滋賀大学 学長 竹村彰通
https://www.shiga-u.ac.jp/15539/
https://www.shiga-u.ac.jp/15529/

7月14日
生成AIの活用について-本学の方針-
徳島文理大学 AI・データサイエンス専門委員会
https://www.bunri-u.ac.jp/info/2023071400027/

7月14日
ChatGPT等の生成系AIの使用に関する留意事項について
岐阜聖徳学園大学 学長 観山正見
ChatGPT 等の生成系 AI の使用に関する留意事項について
http://www.shotoku.ac.jp/information/images/ChatGPT_for_student.pdf
http://www.shotoku.ac.jp/information/images/ChatGPT_for_staff.pdf

7月14日
ChatGPT等の生成系AIに関する基本方針
山梨学院大学 学⻑ ⻘⼭貴⼦
https://www.ygu.ac.jp/news/2022/

2023年7月13日木曜日

大学教育とChatGPT(13)

大学教育とChatGPT(12)からの続き

前期末の試験やレポートが近づいてきたので,再び各大学からの注意喚起が増えてきたような気がする。現状は森木銀河さんのページ(https://note.com/pogohopper8/n/n3126b312f209)が最も詳しい。ところでgoogle検索の仕様が変わったのだろうか。+site:ac.jp では絞り込みができず,ac.jp だけにしたほうが良いようだ。そこで,ac.jp 生成AI|生成系AI|ChatGPT|人工知能  で google検索している。

文部科学省が7月13日付けで,大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについてという通知をだした。その趣旨は,
(1) 各大学・高専において、具体的に行われている教育の実態等に応じて対応を検討することが重要であり、学生や教職員に向けて適切に指針等を示すなどの対応を行うことが望ましい
(2) 技術の進展や指針等の運用状況などに応じ、対応を適宜見直していくことが重要である。
ということだ。後半の留意すべき観点では,(1) 生成 AI と学修活動との関係性、成績評価,(2) 生成 AI の技術的限界(生成物の内容に虚偽が含まれている可能性),(3) 機密情報や個人情報の流出・漏洩等の可能性,(4) 著作権に関する留意点,の4項目について言及している。

6月19日
授業におけるChatGPT等生成AIの利用方針について
松山大学 学長 新井英夫

6月27日
学修における「ChatGPT」等の生成系 AI の利用について
横浜市立大学 学長 相原道子

6月27日
生成AI(生成系AI)の使用について(ガイドライン)
玉川学園理事(高等教育担当) 小田眞幸・玉川大学 ICT教育研究センター長 倉見昇一

6月30日
教育活動における生成系AIの利用に関する留意事項について
北海道教育大学 理事(教育担当) 海老名尚

6月30日
生成AI(ChatGPT等)の利用について
京都ノートルダム女子大学

7月3日
本学における生あきょう成系AIへの対応について
京都先端科学大学 学長 前田正史

7月3日
Chat GPT をはじめとする生成 AI の利活用について
宇都宮共和大学

7月4日
聖泉大学における ChatGPT 等の生成系 AI の使用に関する基本方針
聖泉大学 学長 唐楽寧

7月6日
生成系AIの利用に関する留意事項について
札幌大学 学長 大森義行

7月5日
生成AIの活用について
名古屋大学 副総長(教育担当) 藤巻朗

7月5日
生成AIを利用したレポート課題等の作成における留意点と成績評価における取り扱いについて
大阪法科経済大学 学長 中井英雄

7月5日
生成AI(人工知能)の利用について
志學館大学

7月6日
ChatGPT等の生成系AI利用の留意事項について
園田学園女子大学 学長 大江篤

7月6日
学習における生成 AI の利用について
埼玉大学 理事(教学・学生担当)・副学長 柳澤哲哉

7月6日
生成系 AI の利用について
仙台大学 学長 髙橋仁

7月7日
定期試験・レポート作成等における生成系AIツールの使用について
関西大学 副学長(教育推進担当)

7月7日
学生の皆さんへ~生成AIの利用における基本指針と注意点~
広島国際大学

7月7日
生成AIの利用に関する留意事項
千葉科学大学

7月10日
本学における生成系AI 活用に関する基本方針について
ノートルダム清心女子大学 学長 シスター 津田葵

7月11日
本学の教育現場における生成AIへの向き合い方
滋賀医科大学 理事(教育・学生支援・コンプライアンス担当)・副学長 松浦博
滋賀医科大学 情報総合センター教授・医療情報部長・マルチメディアセンター長 芦原貴司

7月12日
文星芸術大学における生成AIの利用ついて
文星芸術大学 学長 田中久美子

7月12日
ChatGPT 等の生成系 AI について
創価大学 通信教育部長 吉川成司

2023年7月6日木曜日

大学教育とChatGPT(12)

大学教育とChatGPT(11)からの続き

ChatGPTにもそろそろみんな飽きてきたけれど,世間ではまだダラダラと続いている。GPT-4も最近はどうも調子がすぐれない。難しい問い対してブチ切れてしまう現象が頻発している。最新のデータにアクセスできるBing連携の部分も公開が停止されてしまった。かといって,Bard,Perplexity,Bingなどがイマイチである状況には変わりがない。

そうこうしているうちに,国産LLMのニュースがいろいろと入ってきた。しかしそれらは企業・行政向けや研究開発用の特殊なシステムを指向している。いずれもパラメタ数が数十B以下の小規模LLMなのだ。良質な日本語テキストをたっぷりと学習させた,自由に使える標準的な日本語LLMが現れてほしい。
6月28日
ChatGPT等の生成AIについて
常磐大学 学事センター長 河野敬一・学生支援センター長 菅田浩一郎

6月29日
佐賀大学における生成AI を始めとするデジタル技術の利活用に関する基本方針について
佐賀大学

6月29日
Chat GPT等の利用について
周南公立大学 副学長(教学担当) 渡部明

6月29日
学修における生成系AIの使用について
恵泉女学園大学

6月30日
生成AIの使用に関する注意喚起
奈良教育大学 副学長(教育担当) 越野和之

7月1日
金城大学生成AI(ChatGPT、Midjourney等)の活用に関する基本的な考え方
金城大学 学長 米島學

7月3日
生成系AIの利活用に係る注意喚起
筑波技術大学 情報処理通信センター

7月3日
生成AI活用に関するガイドライン(学生向け)(ver. 1.0)について
島根県立大学 学長 山下一也

7月3日
ChatGPTをはじめとする生成系AI利用についての本学の基本的な考え方
沖縄大学 学長 山代寛

7月3日
京都府立大学生成AI利用ガイドラインの策定
京都府立大学 AIデータサイエンス教育研究センター

7月4日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
日本社会事業大学

7月4日
仁愛大学におけるChat GPT等生成系AIの活用に係る基本方針
仁愛大学 学長 田代俊孝

2023年6月29日木曜日

大学教育とChatGPT(11)

大学教育とChatGPT(10)からの続き

各大学では,FDやセミナーなどで生成系AIについて取り上げる例が増えている。国立情報学研究所が開催している教育機関DXシンポジウムのシリーズでも,最近の話題の中心は生成系AIだ。大学からの生成系AIの利用に関する注意のほうはまだ続いている。

一方,組織としてこの問題に真正面から積極的に取り組んでいるところはそれほど多くない。例えば,立命館大学の生命科学部の英語授業の取り組みであり,武蔵野美術大学×AIピカソ,AI絵画AWARD である。AI Picassoを使うことで,著作権問題がクリアされるようだ。これは誰でも応募できるということか。新手の受験生募集作戦かもしれない。

森木銀河さんは,生成AIの台頭に応対する大学組織の動向として,テキストの分析をおこなっている。これは5月27日にJAIR(日本IR協会)の研究会で発表されている。
6月20日
ChatGPT 学生向けメッセージ
神戸常盤大学
https://www.kobe-tokiwa.ac.jp/univ/news/79d167af9c48840589cbe01f5c49663d03ef3211.pdf

6月20日
生成系 AI の利用について
畿央大学 教育推進室長 冬木正彦
https://www.kio.ac.jp/wpmlmain/wp-content/uploads/2023/06/AI_20230620.pdf

6月22日
ChatGPT 等の生成系 AI の授業における 利用について
北陸大学教務部長 杉森公一
https://www.hokuriku-u.ac.jp/sptopics/202306221427.html

6月22日
生成系人工知能について~実践的思考力を高めるために~
ルーテル学院大学 学長 石居基夫
https://www.luther.ac.jp/college/president.html#生成系人工知能について

6月23日
生成系AIに関する学生向けガイドライン
麗澤大学副学長(教育担当) 渡邊信・情報教育センター長 吉田健一郎・データサイエンス教育センター長 小塩篤史
https://www.reitaku-u.ac.jp/news/research/1776803/

6月23日
東邦大学における生成系AI の利用に関する方針
東邦大学 学長 高松研
https://www.toho-u.ac.jp/upnews/2023/20230623_1_AI.html

6月23日
生成系AI(ChatGPT、Bing AI、Bard等)の利用に関する留意事項
愛知工科大学 学長 大西正敏
https://www.aut.ac.jp/outline/policy/#anchor04

6月23日
生成AIツールに対する基本的考え方
法政大学 教育開発支援機構 教育開発・学習支援センター
https://www.hoseikyoiku.jp/lf/project/view.php?c=topics_view&pk=1687401621

6月26日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
大阪人間科学大学 学長 井上博司
https://www.ohs.ac.jp/fiscal/2023/6573/

6月27日
本学におけるChatGPT等の生成系AIの利用における注意点について
福岡教育大学 学長 飯田慎司
https://www.fukuoka-edu.ac.jp/information/u28vtn00000012lz.html

2023年6月24日土曜日

大学の英語教育はいらない?

大学にもう英語教育はいらない」というのは,立命館大学生命科学部で英語教育を担当している山中司さんが2017年に執筆した論文のタイトルだ。

ChatGPTのインパクトを一番切実に受け止めているのが,大学の英語教育のコミュニティだ。各大学から出ている生成AI使用ガイドラインだが,これを3月の段階で日本で最初に発出したのが東京外国語大学でありその内容も秀逸だった。

山中さんは,2022年度秋学期から立命館大学の必修英語科目に翻訳ツール(みらい翻訳)を導入し試験運用を始めている。さらに,授業におけるChatGPTの活用もニュースに取り上げられ,英語教育とAIに関してはトップランナーである。

さてその論文だが,17ページあったので要約をGPT-4 & プラグインにお願いした。ChatWithPDF はファイル読み込みに失敗し,AskYourPDFもLinkReaderも,どうもイマイチの結果しか出してこない。最近,GPT-4の調子はよくないのかもしれない。

しかたがないので,自分で読んでまとめる必要がある。これがまた面倒で仕方がない。AIによってすごい勢いで人間(自分)の退化が促されていることを実感する。これが人類に対するAIの脅威の最大のものだ。そもそも老人の読む力が筋力に比例して落ちているのだった。

○本論文は,大学教育の未来の一つの極としての「英語教育解体論」を語る。
○大学設置基準の大綱化で科目設定が各大学の判断に任されているにも関わらず全ての大学では,「外国語科目」として「英語」が必修化されている。
○AIにより,音声認識や自動翻訳の技術,AIによる4技能の活用が十分実用的になり,(1) 英語教員が不要,(2) 英語教育が不要,(3) 英語学習が不要 になる。
○この状況は英語教育への企業参入を容易にし,市場原理で大学の外国語教育≡教員が駆逐される可能性がある。これらが「強い解体論」と呼ばれる外在的要因である。
○哲学における「言語論的転回」でコミュニケーション=言語(言語至上主義)と捉えられていたのが,複合メディア・表現へのアクセスが容易になり逆転し始めた。
○英語教育=第二言語習得=応用言語学が,確たる方法論と統一理論を持たず解体しつつある分野になった。
○英語が世界言語であることから,言語寛容性がもとめられ規範性を失っている。これらが「弱い解体論」とよばれる内在的要因である。

ということで,ChatGPTが登場する前夜から英語教育は危機に瀕していたことがわかる。




2023年6月22日木曜日

大学教育とChatGPT(10)

大学教育とChatGPT(9)からの続き

私立大学情報教育協会(JUCE)が生成系AI使用ガイドラインを出していたので,他の学会や国大協の会長談話と併せてまとめておく。

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4月25日,人工知能学会としての大規模生成モデルに対してのメッセージ
一般社団法人 人工知能学会 会長 津本周作/倫理委員会

5月1日,生成AIの利用ガイドライン
日本ディープラーニング協会

5月29日,生成 AI の利活用に関する国立大学協会会長コメント
国立大学協会会長 永田恭介

5月31日,生成系 AI 使用ガイドライン
公益社団法人私立大学情報教育協会
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今週は,他のアーカイブを参考にして落ち穂拾いに努めたところ,結構な見落としがあった。あとは,横浜国立大学が受験生向けの注意を出していたのがめずらしかった。生成系AIを駆使して願書等を作成するような学生は真っ先に入学させればいいように思うのだが,気のせいかもしれない。

文科省の学校向けガイドライン案がリークされていたけれど,この小中高ガイドラインに振り舞わされる大学もでてきそうな勢いだ。『指針案は「生成AIを使いこなす力を育てる姿勢が重要」としつつ、著作権侵害や批判的思考、創造性への影響といった懸念やリスクもあると指摘』。批判的思考や創造性を収奪しながらそれを是とする空気を作ってきたのは誰・・・いまさら感がただよう。

6月6日
Chat GPT等の生成AIの利用について
昭和大学 学長 久光正

6月9日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
育英大学

6月13日
ChatGPT等の生成人工知能(生成AI)利用に関する留意事項等について
多摩大学

6月13日
大学における Chat GPT 等 AI の活用に関する指針
日本赤十字九州国際看護大学

6月14日
生成系AIの取り扱いに関して
関西医科大学 学長 木梨達雄

6月14日
ChatGPT等の生成AIの使用に関する留意事項
沖縄国際大学 学長 前津榮健

6月14日
生成AI(ChatGPT等)に関する注意事項
近畿大学 経営学部長 安酸建二

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6月15日
生成AI(Generative AI)の利用に関する本学の考え方について
横浜国立大学 副学長(教育担当) 髙木まさき・副学長(研究・情報担当) 四方順司

6月15日
ChatGPT等の生成系AIに関する本学での対応について
実践女子大学 学長 難波雅紀

6月15日
生成系AIに関する本学の基本方針
四天王寺大学 学長 須原祥二

6月16日
生成系AI(人工知能:Artificial Intelligence)に関する本学の考え方と留意点
十文字学園女子大学 教育担当副学長 安達一寿

6月16日
学生による生成系AIの利用における注意点について
日本医療科学大学 学長・教務部長

6月16日
ChatGPT等の生成系AIの利用に関する注意喚起
敦賀市立看護大学 学長 内布敦子

6月19日
授業などにおけるChatGPTなどの生成AIの利用について
福井大学 理事(教育,評価担当)/副学長・データ科学・AI教育研究センター長

6月19日
生成系AIの学習・研究活動への利用について
山梨英和大学 学長 朴憲郁

6月20日
ChatGPT等の生成系AI(人工知能) 利用について
静岡県立大学 副学長(全学教務委員長) 今井康之・学生部長 細川光洋

6月20日
宮崎大学における生成系AIの利用にかかる留意事項について
宮崎大学長 鮫島浩
宮崎大学における生成系 AI の学習上の利用についての考え

6月20日
生成AIを活用するための基本方針
徳島大学長 河村保彦

6月21日
生成系AIの使用に関する注意について
名古屋経済大学 学長 佐分晴夫
6月21日
東洋学園大学 ChatGPTなどの生成AIへの本学の考え方
東洋学園大学学長 辻中豊
6月21日
本学におけるChatGPT等の生成系AIツールの利用について
神戸学院大学 学長 中村恵
6月21日
酪農学園大学における ChatGPT 等の生成系 AI 利用に関する留意事項について
酪農学園大学 学長 岩野英知
https://www.rakuno.ac.jp/archives/28167.html

 

2023年6月15日木曜日

大学教育とChatGPT(9)

大学教育とChatGPT(8)からの続き

まだ大学からのアナウンスが続いている。ChatGPTへの怖れからくる反応のようにも思える。機密情報(そんなもの学生が持ってるのか)や個人情報の漏洩も著作権の侵害も,SNSなどのほうが実質的に影響は大きいはずだ。生成系AIに限らずインターネットのサービスには様々な落とし穴があるにもかかわらず,生成系AI固有の問題点が沢山あるかのように強調されている。

東京都教育委員会は,都立学校宛に生成AIの利用に関する注意喚起を通知した。都立学校だから小中は含まれていないのか。でも児童や生徒にという表現もあるのでどうなっているのかはっきりしない(例外的な都立小学校1校と都立中学校5校はある)。具体例として (1) 日記や読書感想文,(2)プログラミング,(3) 校内コンテスト用のポスターの作成 などがあげられているらしい。

そうか,日記も書けて写真や絵も付けることができるなら生成系AIは夏休み最強のツールではないか。仮想日記コンテストをやればいいのに。一番ビックリするような仮想絵日記作品を選ぶコンテスト。生成系AIの使い方にかなり習熟するはずだ。子どもだと下手にAIに頼らない方がすごい結果がでるかもしれないけど。

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ChatGPT/生成AIへの対応を表明した国内の大学一覧(森木銀河)

生成系AIガイドライン(奥村晴彦)

生成系AIに対する各大学の見解や指針など(坂根弦太)

生成系AIに関する留意事項など(越桐國雄)

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6月7日
生成系 AI の適切な利用についての学長メッセージ
東京医療保健大学 学長 亀山周二
https://www.thcu.ac.jp/uploads/posts/2597/file.pdf

6月8日
ChatGPTをはじめとする生成系AIの利用に関して
藤女子大学 学長

6月8日
ChatGPT等の生成系AIに関する基本方針について
桃山学院大学 学長 中野瑞彦

6月8日
生成系AIに関する学長メッセージ
東北学院大学 学長 大西晴樹

6月8日
ChatGPT等の生成AI利用に関する本学の方針と留意事項
新潟医療福祉大学 副学長(教育担当) 大山峰生・研究科長 佐藤大輔

6月8日
チャットGPTなどの生成系AIの利用について
名古屋学院大学 学長

6月8日
生成系 AI (人工知能)の 利用 について (方針)
愛知学院大学 学長 引田弘道

6月9日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
琉球大学 理事(教育・学習支援)・副学長

6月9日
対話型生成系AIの使用について
昭和女子大学 学長 金尾朗

6月12日
ChatGPT などの⼈⼯知能の講義・実習における活⽤について(4月10日)
九州大学 教育担当理事 園⽥佳巨

6月12日
本学におけるChatGPT等の生成系AIの使用に関する取扱いについて
共立女子大学 学長 川久保清

6月12日
Chat GPT等の生成系AIの利用に関する学生向け指針
新潟リハビリテーション大学長 山村千絵

6月13日
ChatGPT等(生成系AI)への対応について
愛知淑徳大学 学長 島田修三

6月14日
レポート・論文執筆等の学修における生成系 AI の利用について
奈良県立大学 教務委員会

6月14日
生成系AI(ChatGPT、Bing AI等)の使用に関する留意事項について
鳴門教育大学 学長 佐古秀一

2023年6月12日月曜日

IUGC

FeedlyでブログのRSSフィードを読んでいる。登録されているうちのひとつが,弦理論批判で有名なビーター・ウォイトNot Even Wrong だ。

そのタイトルが Zen Unviersity だった。えっ,なんで。ZEN大学というと,ドワンゴと日本財団がつくるというオンライン大学だ。ドワンゴはN高等学校で成功しているので,高等教育まで触手を伸ばしたようだ。

Not Even Wrong でなぜZEN大学をとりあげているかというと,ZEN大学にIUGC(宇宙際幾何学研究センター)が設立されるから。加藤文元さんが所長で,イヴァン・フェセンコを副所長にすえてIUTをテーマとした研究所というところに,ピーター・ウォイトがひっかかったからだ。彼は望月新一さんの宇宙際タイヒミュラー理論をさんざんディスってきた張本人だった。今回も皮肉交じりの嘲笑か。

ZEN大学のニュースはチラッと聞いただけだったが,ドワンゴなので無視していた。改めて,どんな人がスタッフになるのか確認してみた。教員予定者一覧。チェアマン鈴木寛・・・ぬぐぐ。副学長上山信一・・・こりゃあかんわ。東浩紀・・・げげげ(ゲンロンとタッグを組むらしい・・・orz),遠藤諭・・・へにょ,西郷甲矢人・・・おぅ,竹内薫・・・ほゎん,深津貴之・・・れれれ,松尾豊・・・はぁ。

玉石混交わけわかめ状態であった。

2023年6月9日金曜日

大学教育とChatGPT(8)

大学教育とChatGPT(7)からの続き

そろそろ150大学に到達しようとしている。大学の本来の機能から考えれば,ソーシャルメディアの利用ガイドラインよりも,生成系AIへの対応のほうが重要度は高いからかもしれない。非常勤先の大阪教育大学と同志社大学からもそろって具体的注意が発出されていた(同志社大学学長のお気持ちはもっと早かったけど)。

その後,目に付いた大学は次のようなところだ。
・甲南大学:公開後 pdf を不可視にしてしまった。wayback machineで見えたけど
・中央大学:さすが中央大というか留意事項の詳細な規程化を図ってしまった
・四国大学:ChatGPT-4のアカウント(約30)を配布,教職員+学生(教員推薦者)
・大東文化大学:生成系AIガイダンスでアカウントの取得方法まで説明
・長浜バイオ大学:学生への利用の奨励,試験じゃ使えないよねと ^_^;;;

なお,注意喚起が丁寧で分量が多い(10kB以上)の大学は次の通り。
1. 東京大学,2. 武蔵野美術大学,3. 中央大学,4. 東京大学(授業における利用)
5. 東洋大学(坂村健),6. 大阪公立大学(教員向け),7. 早稲田大学,8. 東京外国語大学

(注)奥村晴彦先生が同じようにデータをまとめたエクセル(生成系AIガイドライン)を公開していた。



図:大学における生成系AI注意喚起テキスト量のヒストグラム

5月26日
授業レポート等における生成系 AI への対応について
学習院女子大学 教務部長

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6月1日
生成系AIの利用に関する対応について
中部大学 学長 竹内芳美,教務部長 佐伯守彦

6月1日
ChatGPT等の生成系AIの利用に関する注意喚起
聖学院大学 学長 小池茂子,教務部長 若原幸範

6月1日
生成系AIの使用に関する留意事項について
大阪教育大学 副学長 廣木義久

6月1日
学習における生成AI(ChatGPT、Bard、BingAI等)の使用について
同志社大学 教務部長

6月1日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
国学院大学 学長 針本正行

6月1日
授業におけるChatGPT等生成AIの利用方針について
松山大学 学長 新井英夫

6月2日
愛媛大学における生成AIの利活用に関する基本的考え方
愛媛大学 学長 仁科弘重

6月5日
鳥取大学における生成系AIの利用に関する基本方針と注意事項
鳥取大学長 中島廣光

6月6日
中央大学における「生成系AI」についての基本的な考え方
中央大学 学長 河合久
中央大学の教育課程における「生成系AI」利用上の留意事項について

6月6日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
大阪産業大学

6月7日
生成AIの利活用について
信州大学理事(情報・DX担当)・副学長 不破泰

6月7日
生成系AI・翻訳AIの利用についての基本方針
公立はこだて未来大学長 鈴木恵二

2023年6月1日木曜日

大学教育とChatGPT(7)

大学教育とChatGPT(6)からの続き

テレビと新聞は連日生成系AIの話題を出しているものだから,引き続き各大学からの「生成AIの利用に関する注意」の公表が続いている。5月29日にはとうとう,国立大学協会が「生成AIの利活用に関する国立大学協会会長コメント」を出した。

大学のソーシャルメディア利用ガイドラインは,174大学=全大学の23%が公開している。当面の危機管理的にはより影響が小さい生成AI(137大学=全大学の17%が公開)の方もそろそろ頭打ちになるのではないかと思われる。以下のリストがデータをよくまとめている。
ChatGPT/生成AIへの対応を表明した国内の大学一覧
各大学のChatGPT等生成系AIへの対応・方針・留意点を調べてみた(手羽一郎)
生成系AIに対する各大学の見解や指針など(坂根弦太)

 

5月10日
ChatGPTをはじめとする生成AI(generative artificial intelligence)の利用に関して
旭川市立大学 学長 三上隆

5月15日
ChatGPT等の生成AI(人工知能)への対応について
新潟薬科大学 学長 下條文武

5月15日
人工知能チャットボットの利用について
浜松医科大学 理事(教育・産学連携担当)・副学長 山本清二

5月16日
学修における生成系人工知能の取り扱いについて
九州工業大学 教育高度化本部長

5月17日
生成系AIの利活用について
関東学院大学 学長 小山嚴也

5月18日
生成系AI(ChatGPT等)の利活用について
四国大学 学長 松重和美

5月19日
生成系AI(ChatGPT等)利用上の留意点等について
城西大学 学長 藤野陽三

5月24日
生成系AIガイダンス
大東文化大学 学園総合情報センター

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5月25日
生成系AIの利用について
千葉商科大学 学長 原科幸彦

5月25日
生成 AI(対話型 AI)の利用に関する本学の方針について
東京未来大学 学長 角山剛

5月25日
教育・研究活動における生成系AIの利用について
八戸工業大学 学⻑ 坂本禎智

5月26日
ChatGPT 等の生成系 AI について
日本獣医生命科学大学 学長 鈴木浩悦

5月26日
ChatGPT等の生成系AIの利用に関する注意事項について
鶴見大学 学長 中根正賢

5月26日
生成系AI(ChatGPT,BingAI,Bard等)利用についての注意喚起
中国学園大学 学長 千葉喬三

5月26日
岡山理科大学の教育における生成系AI の取扱いについて
岡山理科大学 副学長(教育担当) 松浦洋司

5月26日
科学技術における知的⽣産活動と⽣成系AIの利⽤について(4月28日)
東京理科大学 学長 石川正俊

5月29日
ChatGPTなど生成系AIの利用についての本学の基本的な考え方
成城大学 学長 杉本義行

5月29日
生成系AIの利用に関する留意事項について
東京情報大学 大学院総合情報学研究科委員長 花田真樹・総合情報学部長 圓岡偉男・看護学部長 藤井博英

5月31日
本学の教育における生成系AIツールの利用に関する留意事項について
福岡大学 教学担当副学長 加留部善晴

5月31日
生成AIの利用について
徳島大学 理事(教育担当) 長宗秀明

5月31日
生成系AIの利用に関する留意事項
北海道大学 理事・副学長 山口淳二

2023年5月25日木曜日

大学教育とChatGPT(6)

大学教育とChatGPT(5)からの続き

毎週一度,大学から発出されているChatGPT(生成系AI)への注意を集めてまとめている。5月25日現在で,全国の大学のほぼ15%が一般公開していることになる。

各大学が足並みをそろえて同じテーマについてメッセージを出すというのは,新型コロナ感染症以来のことで,シンギュラリティ・サロンの松田卓也さんがおっしゃるように,2020-2022年のコロナ騒動が,2023-2025年に生成AI騒動として再現されることになるのかもしれない。
5月15日
長浜バイオ大学における生成系 AI の使用に関する方針
長浜バイオ大学 学長 伊藤正惠
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5月19日
国立音楽大学における生成系AIへの教学上の対応について
国立音楽大学

5月19日
教育におけるChatGPT等の生成系AIの利用について
北海商科大学 教務センター長

5月19日
全学教育科目における生成系AIの利用に際しての留意事項
名古屋大学 教養教育院長 納谷信

5月19日
学修における生成系AI(ChatGPT等)活用に関する注意事項
武蔵野大学 学長 西本照真

5月21日
学修におけるChatGPT等の生成系AIの使用への対応について
鈴鹿大学情報教学管理委員会

5月22日
ChatGPT等の生成AIの利用について
成蹊大学長 森雄一

5月22日
生成AIへの愛知大学の対応について
愛知大学

5月22日
生成AIの利用について
北星学園大学 学長 大坊郁夫

5月23日
生成系AI(ChatGPTなど)の使用に関わる注意
京都産業大学 学長 黒坂光

5月23日
生成系AI(ChatGPT等)の利用について
和洋女子大学 学長 岸田宏司

5月23日
本学の教育活動における生成系AI(ChatGPT等)の利用方針
広島大学 理事・副学長(教育・平和担当) 鈴木由美子

5月23日
生成系AI(人工知能)の利用についての考え方
神戸女学院大学

5月24日
ChatGPT等生成系AIの利用について
宮城大学 副学長(教育担当) カリキュラムセンター長

5月24日
学生の生成系AIの使用に関する本学の考え方
国際基督教大学 教養学部長 生駒夏美・大学院部長 溝剛・学生部長 木部尚志

2023年5月18日木曜日

大学教育とChatGPT(5)


連休明けも,各大学から生成系AIの利用に関する注意が公開されている。もうすぐ東京外国語大学のアナウンスから2ヶ月近くになるが,現時点で100大学/790大学≒13%に達する。もちろん,学内だけの公開で観測されていない大学も多いかもしれない。

そろそろこれはという目新しい表現はなくなってきた。坂根弦太氏のブログによれば,92大学になっている。gmorikiさんはデータをExcelでまとめているのはすごいが,55大学にとどまっていた。

なお,データ収集は,google検索で,"生成系AI | 生成AI | ChatGPT +site:ac.jp" の結果から目視で選別している。
5月9日
ChatGPT等の生成系AI利用に関して
北海道科学大学 学長 川上敬

5月10日
対話型AI サービスの利用について
山梨県立大学教育改革推進室室長・副学長 八代一浩

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5月11日
筑波大学における生成系AIの使用に関する基本方針
筑波大学

5月11日
生成系AIの使用について
総合研究大学院大学

5月11日
生成系AI(ChatGPT等)の使用について
宮崎産業経営大学 学長 大村昌弘

5月11日
生成AIツールと教育についての教員向けガイド
大阪公立大学高等教育研究センター

5月11日
ChatGPTをはじめとする生成AIの利用に関して
神戸大学 海洋政策科学部・海事科学部・海事科学研究科

5月12日
生成系AI(ChatGPT等)の取り扱いについて
横浜国立大学 副学長(教育担当)髙木まさき・副学長(研究・情報担当)四方順司

5月12日
チャットGPT等の生成系AI(人工知能) 利用に関する対応について
常葉大学 副学長 安藤雅之・磯貝香・小田寛人 教務部長 笛木茂雄

5月12日
ChatGPT等生成系AI利用上の注意事項について
城西国際大学 学長・教務部長

5月12日
ChatGPTなどの生成系AI利用について
平安女学院大学学長 谷口吉弘

5月12日
APU における生成系 AI の利活用について
立命館アジア太平洋大学 教学部長 MEIRMANOV Serik

5月12日
生成系人工知能をはじめとするAIの利活用について
立教大学

5月12日
教育研究上における Chat(チャット)GPT 等の利用に関する注意事項
九州産業大学 学長 北島己佐吉

5月15日
ChatGPT等生成AIの利用について
慶應義塾大学

5月15日
ChatGPT等(AIチャットボット)の取扱いについて
独協大学

5月16日
生成系AIの利用について
和光大学 学長 半谷俊彦

5月16日
ChatGPT などの生成系人工知能(AI)について
順天堂大学 学長 新井一

5月17日
生成系AI(ChatGPT等)利用に関する注意事項について
新潟大学 学務部教務課

5月17日
生成系AIに対する大東文化大学の対応について
大東文化大学

5月17日
生成系AIの利活用について
関東学院大学 学長 小山嚴也

5月17日
ChatGPTをはじめとする生成系AIの利用について
明治大学 学長 大六野耕作

5月18日
ChatGPT等の生成AIへの対応について
敬愛大学 学長 中山幸夫

5月18日
生成系 AI(Generative AI)の利用に関する注意事項について
大分県立看護科学大学 学長 村嶋幸代

5月18日
大学での生成系AIの活用について
文教大学 学長 中島滋

2023年5月11日木曜日

大学教育とChatGPT(4)

大学教育とChatGPT(3)からの続き

大型連休を挟んで前回から2週間経過したので,4月27日以降の追加リスト(前回の取りこぼしを含む)をまとめてみた。大学ではないが,今年の4月に開校した徳島県の神山まるごと高等専門学校が,全学生・教員にChatGPTの有償ライセンスを付与というのが目に付いた。全学生44名と教職員に対して,月額$20を負担するということだ。

明確に禁止のメッセージを出すのも憚られるので,学生の本分は・・・的な道徳論に逃げ込みながら,それでも生成系AIの(この表現の方が生成AIより学術的だとアピールしつつ)重要性はわかっていますよ,といったおためごかしのメッセージであふれているのだった。

武蔵野美大のものは,メディア制作の現場に出る学生さんを預かっているだけに,思慮にとんだメッセージになっている。自分の目で確かめること,現状を知ること,概念的理解と法整備について考えること,危険な側面を考えること(ヘイトスピーチや差別にも言及している)など,後発組だけにこれまでの中でも出色のものだ。
4月12日
学修及び研究活動における AI の取り扱いについて
京都芸術大学大学院芸術研究科長 上村博

4月18日
ChatGPT等の生成系AIの使用に関する留意事項について
兵庫教育大学長 加治佐哲也

4月25日
ChatGPT 等の AI 対話サービスの利用について
山梨大学学長

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4月27日
ChatGPTをはじめとする生成AIの利用に関して
神戸大学 教育担当理事 大村直人

4月27日
人工知能の利用について(方針)
駒澤大学長 各務洋子

4月27日
ChatGPT など生成系 AI について
芝浦工業大学長 山田純

4月27日
生成系 AI(Generative AI)の利用に関する注意事項について
大分大学 教育マネジメント機構長 藤井弘也

4月28日
ChatGPT等の生成系AIに対する本学の方針について
北見工業大学 学長 鈴木聡一郎

4月28日
生成AIの利用について
⾼崎健康福祉⼤学 学⻑ ⽯⽥朋靖

4月28日
生成系AI利用に関する注意喚起の発出について
島根県立大学 学長 山下一也

4月28日
生成系AI(ChatGPT等)の使用に関する注意事項(第1報)
東京都市大学 副学長(教育担当) 大上浩

4月28日
ChatGPT 等生成 AI の修学上での利用について
宇都宮大学 理事(学務・社会共創担当)・副学長 吉澤史昭

5月1日
生成系AI(Chat GPT等)と「大学生としてのあり方」について
国士舘大学 学長 佐藤圭一

5月1日
全学生・教員にChatGPTの有償ライセンスを付与
神山まるごと高等専門学校

5月2日
生成系AI(ChatGPT、BingAIなど)の利活用について
近畿大学 学長 細井美彦

5月8日
対話型の生成系AI の利用について
流通科学大学 学長 藤井啓吾

5月8日
生成系AIについての基本的な考え方
神戸女子大学 学長 栗原伸公 副学長(研究・情報担当) 山根千弘

5月8日
宮崎国際大学の生成系AI(主に対話型AI)への対応について
宮崎国際大学 学長 村上昇

5月8日
ChatGPT等の生成系AIの学習での利用について
神奈川工科大学 副学長・教務主任 井上哲理

5月8日
勉学におけるChatGPT の利用について
清泉女子大学 学務部部⻑ 鈴木卓 情報運営委員会委員⻑ 福田健

5月9日
生成系AIへの対応について
武蔵大学長 高橋徳行

5月9日
鹿児島大学における生成系AIの利用について
鹿児島大学長 佐野輝

5月9日
学長メッセージ ~ChatGPT等生成AIについて~
広島修道大学 学長 矢野泉

5月10日
生成人工知能の学修利用に関するガイドライン
工学院大学副学長(教学担当) 教育開発センター

5月10日
東京農業大学における生成AI(ChatGPT等)の取扱いについ
東京農業大学 学長 江口文陽

5月10日
ChatGPT 等(生成系 AI)の利用についての注意喚起
名古屋市立大学 学長

5月10日
ChatGPT等の生成系AIの使用に関する留意事項
神奈川大学

5月10日
生成系AIを学生が利用することに対する本学の考え
湘南工科大学 学長 木枝暢夫

5月10日
本学における生成AIの取り扱いについて
武庫川女子大学 武庫川女子大学短期大学部 学長 瀬口和義

5月10日
ChatGPTなどの生成系AIの利用について
東京経済大学

5月10日
生成系AI(ChatGPT等)の利用に関する留意事項について
植草学園大学・植草学園短期大学 教学改革推進センター長

5月11日
ChatGPT等の生成系AIの使用に関する取り扱いについて
滋賀県立大学 副学長(教育・学生支援担当) 小泉尚嗣

5月11日
学修におけるAIツール利用に関する宮崎公立大学の考え方
宮崎公立大学 学長 辻利則

5月11日
生成系人工知能(生成AI)についての学長からのメッセージ
武蔵野美術大学 学長 樺山祐和

2023年4月27日木曜日

大学教育とChatGPT(3)

大学教育とChatGPT(2)からの続き

前回は4月20日公開分までの大学のURLを集めたが,少し見落としていた。とくに早稲田大学の4月18日公開のものは,ああしろこうしろとはいわずに丁寧に説明している。東大のものからテクニカルな部分を引いて精神論をトッピングしたものだが,チョアヨ。トップランナーの東京外国語大学公式の体験コーナーを設けていてこれはこれですごい。

その他で注目したいのが,三条市立大学のメッセージだ。『対話型AIサービスは「認める」「認めない」などと許可のもとで行うものではなく,自己責任,自己判断のもとで適切に活用されるものである』。そのとおりだ。それがうまくいかないことを見越して,安全牌の留意事項を書きたがるのが凡大学の浅知恵だ。多分自分も同じ立場なら安全牌を引いて誤魔化しているに違いない。

東京工科大学の檄文もすごかった。『様々な情報を学生自身の頭の中で処理し表現する(=学習する)というプロセスこそが教育上最も重要なのであり、このプロセスを経ていない出力物は教育上の一切の価値を持たないということです』。自分では本当にそうなのかどうかまったくわからなくて,GPT-4に聞いてみたのだが,やはりよくわからなかった。

なお,Bing chat にこのような大学のURLリストを作ってもらうように頼んだところ,5個で挫折していた。Bardには拒絶された。参考URLを出してくれるPerplexity はわりと優秀で何回か繰り返して頼むと15個ほどのサイトを上げてくれた(現在42サイトあり,全大学の5%に達している)。だが,それ以上お願いするともう無理だとギブアップしていた。

東大の吉田塁さんが情報をまとめていたはずだけれど,最初の7大学のままでフリーズしていた。この手のまとめ情報は,Noteのサイトでみることができる。各大学のChatGPT等生成系AIへの対応・方針・留意点を調べてみた(手羽イチロウ|美大愛好家)とかChatGPT/生成AIへの対応を表明した国内の大学一覧(Pogo/gmoriki)に多くの大学URLが集約されていた。

4月10日
生成AI(ChatGPT)などへの対応について
横浜商科大学

4月17日
ChatGPT等の自然言語処理モデルの利用に関する注意
高崎経済大学 学長 水口剛

4月18日
生成AIなどの利用について
早稲田大学 副総長(教学担当・プロボスト) 須賀晃一

4月20日
ChatGPT体験コーナーを設置しました
東京外国語大学 教育情報化支援室

4月20日
生成系 AI(ChatGPT 等)の授業等における利用について
会津大学⻑

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4月21日
教育における ChatGPT 等の生成系 AI 利用にかかる留意事項について
富山大学⻑ 齋藤滋 / 学務部学務課修学支援チーム

4月21日
三条市立大学における『ChatGPT』を含む対話型AIサービスの活用ポリシー
三条市立大学

4月21日
生成系AIについての学長声明文を発表しました
大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 学長 加藤映子

4月21日
学修におけるAI利用に関する注意事項
電気通信大学 理事(教育・国際戦略担当) 阿部浩二 副学長(教育担当) 村松正和

4月21日
授業における生成AIツールの使用について
日本大学

4月21日
学習・教育における生成系AIの利用について
本学教職員の生成系AI利用に関する留意事項について
岡山大学長 那須保友

4月21日
ChatGPT等の利用に関する注意喚起
北海学園大学 学長 森下宏美

4月24日
生成系AI(人工知能)について
学習院大学長 荒川一郎

4月24日
レポート作成等での生成系AI(ChatGPT等)の利用について
東洋大学 教務部長 東海林克彦

4月25日
生成系AI(人工知能)の利用にあたって
立命館大学教学部

4月25日
生成系AI(ChatGPT等)の利用に関する注意事項
東京農工大学 副学長(教学総括担当)

4月25日
ChatGPT 等生成系 AI への対応について
長崎大学 理事(教学担当)

4月25日
ChatGPT等の生成型AIの利用について
彿教大学長 伊藤真宏

4月25日
ChatGPT 等の生成系 AIに関する注意
白百合女子大学学長 髙山貞美 教学担当副学長 海老根龍介

4月26日
生成系AIの利用について
東京工科大学 学長 香川豊

4月26日
ChatGPT 等をはじめとする生成系 AI への対応について
中京大学

4月26日
ChatGPT 等の生成型 AI 利用に関する留意事項
就実大学大学院・就実大学・就実短期大学 教務課

4月26日
大学で学ぶということ~生成AIをめぐって~
同志社大学長 植木朝子

2023年4月20日木曜日

大学教育とChatGPT(2)

大学教育とChatGPT(1)からの続き

その後,いくつかの大学から生成系AIの利用に関する注意喚起が公開されている。全国の大学数が約800だとすれば,2%というところか。学内向けだけのアナウンスにとどめているところはもっとあるのかもしれない。いずれにしても,感度が低いような気がする。ウェブブラウザが登場して,大学のホームページが立ち上がり始めたころに似ているかもしれない。

おおむね共通しているのは,レポートに使うな(剽窃になる),危ないぞ(個人情報が漏洩する,著作権を侵害する),自分で書く力=考える力が重要だ。というあたりか。ただ,生成系AIの重要性はなんとなく理解しているらしいので,なんとも歯切れの悪い表現になっている。なお,これらの危険度は,普通の検索やSNSの場合と同レベルだと思われるし,剽窃だと断定するのも微妙な気がする。

ChatGPT(生成系AIシステム)を使いたおすようでないと,就職もできなくなると煽っているのは,シンギュラリティサロンの松田卓也先生くらいか。神戸大学の塚本昌彦先生は授業で,ChatGPTを積極的に使うという課題を出しているが,これは下記の東洋大学の坂村健さんも同様であり,情報系の先端研究者には多いパターンだ。

P. S.  東京外国語大学のガイドラインを見落としていた。実は,これが現時点における最良の回答になっている。後発の大学は少なくともこれを参照した上で議論すべきだった。なお,東京工業大学も前向きでシンプルなものになった(4.21)
3月22日
大学教育における AI について 東京外国語大学としての教員向けガイドライン
東京外国語大学 総合戦略会議

3月27日
ChatGPT等のAIチャットボット(生成AI)への対応について
上智大学

3月31日(4月11日)
ChatGPT等の生成系AI利用に関する留意事項(学生向け)
ChatGPT等の生成系AI利用に関する留意事項(教員向け)
東北大学 デジタル教育アドバイザリ・グループ

4月3日
生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について
東京大学 理事・副学長(教育・情報担当) 太田邦史

4月4日
武蔵大学の知名度を上げる方法←AIに聞いてみた
Musashi Web Magazine(学生がイマを伝えるウェブマガジン)

4月7日
京都大学令和5年度学部入学式 式辞
京都大学 第27代総長 湊長博

4月7日
学生の皆さんへ:生成系AIの使用についての注意(第1報)
神戸市外国語大学

4月11日
法政大学情報科学部・情報科学研究科 生成系AIの利用に関する指針
法政大学 情報科学部長 藤田悟  情報科学研究科長 小池崇文

4月13日
ChatGPTなどの生成系AIについての注意喚起
群馬大学 理事(教育・評価)・副学長

4月14日
生成系AIに関するINIADの見解
東洋大学INIAD (東洋大学情報連携学部) 学部長 坂村健

4月14日
島根大学におけるChatGPT等の生成系AIの利用におけるリスク管理について ―教職員及び学生のみなさんへの注意喚起―
島根大学長 服部泰直

4月14日
教育研究におけるChat(チャット)GPT等の利用について
北里大学学長 島袋香子  教育委員長 江川徹

4月17日
生成AI(Generative AI)の利用について
大阪大学総長 西尾章治郎

4月17日
教育・学習におけるChatGPT等の生成系AIツールへの対応について
関西大学 副学長(教育推進担当)

4月17日
本学の教育における生成系AIの取扱いについて
兵庫県立大学 副学長(教育担当) 内田 勇人

4月17日
生成系AI(ChatGPT等)に関する留意事項
近畿大学 情報学部長 久夛良木健  情報学部長代理 井口信和
4月18日
教育における生成系AIの利用について
山形大学 理事(教育、入学試験担当)・副学長 出口毅

4月18日
ChatGPT 等の生成系 AI について
群馬県立女子大学 学長 小林良江

4月19日
大学授業課題に対する生成系 AI の取り扱いについて
甲南大学長 中井伊都子  甲南大学 教務部長 小出武
4月19日
生成系AIの使用に関する注意(第1報)
福井工業大学 学務部長 田中智一
https://www.fukui-ut.ac.jp/news/topics/entry-9308.html 
4月20日
学修における生成系人工知能の使用に関する本学の考え方について
東京工業大学 理事・副学長(教育担当) 井村順一
https://www.titech.ac.jp/student/students/news/2023/066590
4月20日
生成系AI(ChatGPT等)の活用について
龍谷大学・龍谷大学短期大学部

 

2023年4月16日日曜日

大学教育とChatGPT(1)

いよいよ明日から大阪教育大学の前期の授業がはじまる。コロナ以降,開始日が10日ほど遅くなってしまった。すでに,授業が始まっている大学も多いはずだ。

さて,ChatGPTがそれなりの日本語のレポートを簡単に作ることがわかったため,レポート課題を出していた大学人は慌てているかもしれない。そうでないかもしれない。各大学では,対応を検討しているし,文部科学省も,初等中等教育におけるChatGPTの使い方について,なんらかのアナウンスをする方向らしい。

早かったのは,東京大学と東北大学と上智大学だ。東大の吉田塁さんの「ChatGPT・AIの教育関連情報まとめ」のページに,海外や国内の大学の対応例がある。NHKでもニュースに取り上げていたが,完全に偏っていた。京都大学の入学式における湊総長の式辞での警告(以下にGPT-4に該当部分をまとめさせた)と,上智大学のレポートでの使用禁止のネガティブ事例2件だった。
最近、生成AIであるChatGPTなどの自動文章作成ソフトが話題になっていますが、それらにはいくつかの問題点があります。まず、明らかな誤情報が含まれるリスクがあり、特定の論旨について根拠となる資料を正確に引用できないことも指摘されています。これは、サーチのみでリサーチという検証が欠けているためです。学術レポートとしては致命的な問題であり、主要な国際学術誌はChatGPTを論文の共著主体として認めることはないと言われています。現状では、AIによる自動文章作成には、自ら「文章を書く」という重要な検証プロセスが欠けているとされています。(京都大学湊総長式辞の該当部分をGPT-4で200−300字に要約)
なお,東大は,教育・情報担当の理事・副学長である太田邦史さんからの解説的な注意喚起,東北大は,デジタル教育アドバイザリグループによる,学生向け及び教員向けの留意事項でありいずれも禁止とはしていない。

まあ,実際問題,生成AIの利用は禁止はできないと思う。ただし,無料で使えるChatGPT(GPT-3.5)やBing Chatと有料版のGPT Plus(GPT-4)では大きな差がある。GPT-4のAPIやPlug in 利用では学生によってさらに大きな違いが生ずるかもしれない。現在のように誰でも平等にGoogle検索をできるような状況とは違う。

この情報アクセスの非対称性を放置すると,隣の学生が簡単にレポート代行サービスできるという新たな経済活動=ビジネスチャンスが発生する。まあ,いまでも友達のレポートほとんど丸写しという例があるし,宿題代行サービスはあるといえばあるのだけれど,その閾値が劇的に下がってしまうというかなんというか・・・。

明日は,芳賀さんがやってたような学生の生成AI認知度アンケートをとってみよう。


P. S. 4月17日(月)に大阪大学が,西尾章治郎総長名で「生成AI(Generative AI)の利用について」という注意喚起を発した。情報工学者(自然言語処理ではない)だけれど総長なので無難なメッセージになっている。同い歳の東大の坂村健はNHKでかなりアグレッシブな発言をしていたけれどね。

2023年3月19日日曜日

AIと職業

2015年だから今から7-8年前に,野村総研が「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」という調査結果を公表していた。それからしばしばこのような言説が色々な場面で登場することになる。自分の思い込みによればGIGAスクールとかSociety5.0の旗を振るときかもしれない。

その調査を請け負ったのは,2013年に英国における同様の調査 "The Future of Employment" という研究を行った,オックスフォード大学のオズボーンとフレイだった。本文テキストへのリンクがつながらなかったので,代替の資料を参考としてあげる。日本版の説明は資料[1]にある。

最近,ChatGPTなどの登場を受けて職業へのAIの影響度を分析したのが,Feltonらだ。彼らの分析手法は必ずしも手の込んだものではないかもしれないが,職業が代替されるかどうかまでは踏み込まずに,影響度の大きさを評価するということにとどめている。ただ,その分析方法が妥当なのかどうなのか。AIの影響が大きな職業ベスト20はかなり偏った結果になった。

なお,職業名の和訳にはGPT-4の力を借りたので少し微妙。「大学」というのは原文では post secondary という表現なので,大学や短大を含む高等教育ということになろうか。
1. テレマーケティング担当者
2. 英語・英文学教授(大学)
3. 外国語・外国文学教授(大学)
4. 歴史教授(大学)
5. 法学教授(大学)
6. 哲学・宗教学教授(大学)
7. 社会学教授(大学)
8. 政治学教授(大学)
9. 刑事司法・法執行教授(大学)
10. 社会学者
11. 社会福祉学教授(大学)
12. 心理学教授(大学)
13. コミュニケーション学教授(大学)
14. 政治学者
15. 地域・民族・文化研究教授(大学)
16. 仲裁者・調停者・調解者
17. 裁判官・裁判所判事・法官
18. 地理学教授(大学)
19. 図書館情報学教授(大学)
20. 臨床・カウンセリング・学校心理学者
同じ著者によるChatGPT登場以前の2021年論文の分析はまったく同じ手法だけれど,以下のようによりマイルドだった。どういうこと。以下がAIの影響の大きな職業ベスト20。
1 遺伝カウンセラー
2 金融検査官
3 精算士
4 卸売、小売、農産物以外の購買担当者
5 予算アナリスト
6 裁判官、裁判所判事、法官
7 調達事務員
8 会計士および監査人
9 数学者
10 司法書記官
11 大学教育管理者
12 臨床心理士、カウンセリング心理士、学校心理士
13 財務マネージャー
14 給与、福利厚生、職務分析の専門家
15 信用承認担当者、チェッカー、事務員
16 大学の歴史教師
17 地理学者
18 疫学者
19 経営分析士
20 仲裁者、調停者、調解者
[1]日本におけるコンピュータ化と仕事の未来(フレイ,オズボーン, 2015)
[2]Digital Automation and the future of work (Europian Goverment,2021)
[4]How will Language Modelers like ChatGPT Affect Occupations and Industries?(E. Felton, M. Raj, R. Seamans, 2023)

2023年1月30日月曜日

京大OCW

高等教育研究センター(2)からの続き

騒動になってから半年たち,京都大学からオープンコースウェアを継続することが発表された。現行OCWコンテンツを維持とし,新しいOCW2.0(仮称)や検索システムKU-Search(仮称)を構築するとのこと。そのために,コンテンツ企画・支援室(仮称)を設けるらしいが,京都大学情報環境機構の情報環境支援センターに位置づけられるのかな。

この機会に他大学のOCWはどうなったかをgoogleにOCW +site:ac.jpを入れて検索した。

  (338通常講義,477公開講義,81最終講義,95国際会議,90その他)
  (5078講義ノート,40動画音声)
  (150学部講義,50大学院講義,170公開講座)
  (48テレビ講義,43ラジオ講義,131テレビC,152ラジオC)
  (269コンテンツ)
  (92学部講義,48大学院講義,264公開講座)
  (136コンテンツ)
  (352授業,251最終講義,)

googleで見つかるのものは,京大,東工大,東大がほとんどを占めていた。阪大と東北大がOCWで引っかからない。なぜなら彼らはMOOCの名前を使って,阪大はedX,東北大はJMOOCにアウトソーシングしているからだった。

それでは,OCWとMOOCの違いはなんなのだろうか。JOCW(日本オープンラーニングコンソーシアム)が解消発展したOEジャパンに定義があった。
OCW(Open Course Ware):大学や大学院などの高等教育機関で正規に提供された教材を,インターネット上に無償で公開する活動

MOOC (Massive Open Online Course):インターネットにアクセスできれば誰でも無償もしくは安価に利用できるオンライン講義

OE(Open Education):世界中のすべての人が質の高い教育経験と資源にアクセスできるようにすることで,人類の発展に貢献しようとする教育ムーブメント


OER(Open Education Resource):教材の作成者が利用者に対し,その教材の修正や改変の許可を与えてる学習資料,クリエイティブ・コモンズ・ライセンスなどにより著作権の一部もしくは全てを放棄することで,他の人々は自由にアクセス・再利用・翻訳・修正できる。
インターネットがブレイクして10年後,今から20年前にOCWは一時流行しかけていたけれど,やがて下火になって現在に至っている。GIGAスクール(一人一端末)の時代に,OERの重要性はますます高まっているはずなのだが・・・


図:MOOCのイメージ(Wikipediaから引用)




2022年11月10日木曜日

最小交換硬貨枚数(1)


2025年度の大学入学共通テストに新規参入する「情報I」の試作問題が,日経の朝刊に掲載されていた。

退職前には,監督に当たるのはこれ以上体力的精神的な限界をはるかにこえてもう絶対無理と思っていた大学入学センター試験だ。これが,大学入学共通テストと看板を替えて,教科「情報」を新しい試験科目として追加採用してしまった。情報教育関係の大学や高校の教員の皆さんはお喜びのようであるが,なんだかなぁの案件である。

60分で全問必答の大問が4問出題されている。掲載されていた第3問がプログラミングの問題だったので,さっそくチャレンジしてみた。その問題のテーマは最小交換硬貨枚数だ。最近は,PayPayで支払うことが増えてきたが,財布の硬貨数の制御は老人の認知症防止のために最適である。おつりが増えすぎないように,少し硬貨を加えて切りのよいおつりにするあれね

例えば,46円の支払いだと,10円×4 + 5円×1 + 1円×1 でもよいし,50円×1 + 1円×1 - 5円×1 もある。ここで,マイナスはお店から戻ってくる硬貨を表わしている。前者の交換硬貨枚数は6枚であり,後者では3枚となり,後者の方が交換硬貨枚数は少ない。

問題の誘導部分を読む前に,さっそくプログラムを作ってみたが,肝腎の多めに払っておつりが返ってくるところに不備がありまくりだった。

function pay(m,y)
    n = 0
    c=[500,100,50,10,5,1]
    d=[y]
    for i in 1:6
        while y-c[i] >= 0
            y = y - c[i]
            n = n + 1
            push!(d,c[i])
        end
    end
    push!(d,-(m+n))
    println(d)
    return m+n
end

function change(y)
    m = 0
    n = 0
    c=[1,5,10,50,100,500]
    d=[y]
    pay(0,y)
    for i in 1:5
        while mod(y,c[i+1])!=0
            y = y + c[i]
            n = n + 1
            push!(d,c[i])
        end
        m1 = m + n
        if m1!=m
            push!(d,-m1)
            print(d)
            pay(m1,y)
            n=0
            deleteat!(d,length(d))
        end
        m = m1
    end
end

change(46)
[46, 10, 10, 10, 10, 5, 1, -6]
[46, 1, 1, 1, 1, -4][50, 50, -5]
[46, 1, 1, 1, 1, 50, -5][100, 100, -6]
[46, 1, 1, 1, 1, 50, 100, 100, 100, 100, -9][500, 500, -10]

そこで,1000円以下なら数もしれているということで,方針を変えて総当たりで確認するアルゴリズムに変更した。全くスマートではないのである。この中から最小値を探すのは目の子でできる。出力される配列 [ ] の中身は,交換される硬貨枚数が並んでいて,マイナスがついたものは店から客へのバック分を表わしている。最後の出力値が交換硬貨枚数だ。

function foop(y)
    c=[1,5,10,50,100,500]
    k=[0,0,0,0,0,0]
    for k[1] in -4:4
    for k[2] in -1:1
        for k[3] in -4:4
        for k[4] in -1:1
            for k[5] in -4:4
            for k[6] in 0:2
                z = 0
                n = 0
                for j in 1:6
                    n = n + abs(k[j])
                    z = z + c[j]*k[j]
                end
                if z==y
                    println(z," : ",k," : ",n)
                end
            end
            end
        end
        end
    end
    end
end

foop(46)
46 : [-4, 0, 0, -1, -4, 1] : 10
46 : [-4, 0, 0, -1, 1, 0] : 6
46 : [-4, 0, 0, 1, 0, 0] : 5
46 : [1, -1, 0, -1, -4, 1] : 8
46 : [1, -1, 0, -1, 1, 0] : 4
46 : [1, -1, 0, 1, 0, 0] : 3
46 : [1, 1, -1, -1, -4, 1] : 9
46 : [1, 1, -1, -1, 1, 0] : 5
46 : [1, 1, -1, 1, 0, 0] : 4
46 : [1, 1, 4, 0, 0, 0] : 6

ここまでくるのに2時間くらいかかったので,とてもじゃないけれど自分の場合60分で大問4問も解けそうにはない。ループ変数を配列にするなんていうのは初めての経験だった。


写真:日本の通常硬貨(造幣局から引用)


2022年11月7日月曜日

NARASIA

秋晴れの立冬前日の午後,天理市のなら歴史芸術文化村に立ち寄った。

いつものように,ひととおり,文化財修復・展示棟をみてまわり,1Fの資料・パンフレットコーナをみていると,EURO-NARASIA Q 22号というしっかり製本された雑誌があった。手に取ると,奈良県立大学ユーラシア研究センターが発刊している。

大学の刊行物にしてはすごくお金がかかっていそうでびっくりした。奈良県立大学のユーラシア研究センターは,「広くユーラシアと関わる奈良の文化資源に関する調査研究」を行いその成果を県民はじめ内外に発信することが目的なので,奈良県としては広報の一環として予算をつぎこんでいるのかもしれない。

NARASIAのバックナンバーは,第14号から21号までがpdf公開されている。最新号は,奈良県施設に置いて無料配布している。年に2-3回の発行なのでなかなか太っ腹なのだ。第22号は,上質紙64ページでカラーページも多く,テーマが安如宝・和と洋・タジキスタン・ゾロアスター教・モダニズム・妖怪博士・雲土器と読みごたえもありそうだ。


写真:EURO-NARASIA Q 第22号の書影

P. S. 1 現在の奈良県立大学の理事長は,天理市長並河健の師匠の北岡伸一だった。
P. S. 2 NARASIAは奈良NARAとアジアASIAを繋げた造語であり,平城遷都1300年のころから使われているようだ。