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2023年7月20日木曜日

大学教育とChatGPT(14)

大学教育とChatGPT(13)からの続き

文部科学省からの高等教育機関向けの通知があったので増えるかと思ったがそうでもなかった。日本大学から入学者選抜における生成AIツールの取り扱いについてが出ていた。

今後,このような入試関係の注意が多くなっていくのだろうか。学内でコントロールできる試験に比べて,さらに生成AIを使ったかどうかの検証は難しいと思われる。というか,これまでだって,第三者の助力支援の有無はわからなかったのではないか。

7月12日
生成AI(ChatGPTなど)の利活用に関する方針
大阪工業大学 学長 井上晋
https://www.oit.ac.jp/japanese/students/detail.php?i=9355

7月13日
本学における生成AI(ChatGPT、Bard、BingAI等)の利用について
清泉女学院大学 学長 田村俊輔
https://www.seisen-jc.ac.jp/info/2023/07/chat-gpt.php

7月13日
入学者選抜における生成AIツールの取扱いについて
日本大学
https://www.nihon-u.ac.jp/admission_info/news/2023/07/636/

7月13日
生成AI(ChatGPT、Stable Diffusion等)の使用に関する留意事項について
同志社女子大学 教務部長 真部真里子
https://www.dwc.doshisha.ac.jp/current/generative_AI

7月13日
「チャットGPT」など対話型生成AIとの向き合い方について
東海学園大学 学長 石川清
https://www.tokaigakuen-u.ac.jp/news/detail.html?id=1226

7月14日
滋賀大学における生成AIの利活用について
滋賀大学 学長 竹村彰通
https://www.shiga-u.ac.jp/15539/
https://www.shiga-u.ac.jp/15529/

7月14日
生成AIの活用について-本学の方針-
徳島文理大学 AI・データサイエンス専門委員会
https://www.bunri-u.ac.jp/info/2023071400027/

7月14日
ChatGPT等の生成系AIの使用に関する留意事項について
岐阜聖徳学園大学 学長 観山正見
ChatGPT 等の生成系 AI の使用に関する留意事項について
http://www.shotoku.ac.jp/information/images/ChatGPT_for_student.pdf
http://www.shotoku.ac.jp/information/images/ChatGPT_for_staff.pdf

7月14日
ChatGPT等の生成系AIに関する基本方針
山梨学院大学 学⻑ ⻘⼭貴⼦
https://www.ygu.ac.jp/news/2022/

2023年7月13日木曜日

大学教育とChatGPT(13)

大学教育とChatGPT(12)からの続き

前期末の試験やレポートが近づいてきたので,再び各大学からの注意喚起が増えてきたような気がする。現状は森木銀河さんのページ(https://note.com/pogohopper8/n/n3126b312f209)が最も詳しい。ところでgoogle検索の仕様が変わったのだろうか。+site:ac.jp では絞り込みができず,ac.jp だけにしたほうが良いようだ。そこで,ac.jp 生成AI|生成系AI|ChatGPT|人工知能  で google検索している。

文部科学省が7月13日付けで,大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについてという通知をだした。その趣旨は,
(1) 各大学・高専において、具体的に行われている教育の実態等に応じて対応を検討することが重要であり、学生や教職員に向けて適切に指針等を示すなどの対応を行うことが望ましい
(2) 技術の進展や指針等の運用状況などに応じ、対応を適宜見直していくことが重要である。
ということだ。後半の留意すべき観点では,(1) 生成 AI と学修活動との関係性、成績評価,(2) 生成 AI の技術的限界(生成物の内容に虚偽が含まれている可能性),(3) 機密情報や個人情報の流出・漏洩等の可能性,(4) 著作権に関する留意点,の4項目について言及している。

6月19日
授業におけるChatGPT等生成AIの利用方針について
松山大学 学長 新井英夫

6月27日
学修における「ChatGPT」等の生成系 AI の利用について
横浜市立大学 学長 相原道子

6月27日
生成AI(生成系AI)の使用について(ガイドライン)
玉川学園理事(高等教育担当) 小田眞幸・玉川大学 ICT教育研究センター長 倉見昇一

6月30日
教育活動における生成系AIの利用に関する留意事項について
北海道教育大学 理事(教育担当) 海老名尚

6月30日
生成AI(ChatGPT等)の利用について
京都ノートルダム女子大学

7月3日
本学における生あきょう成系AIへの対応について
京都先端科学大学 学長 前田正史

7月3日
Chat GPT をはじめとする生成 AI の利活用について
宇都宮共和大学

7月4日
聖泉大学における ChatGPT 等の生成系 AI の使用に関する基本方針
聖泉大学 学長 唐楽寧

7月6日
生成系AIの利用に関する留意事項について
札幌大学 学長 大森義行

7月5日
生成AIの活用について
名古屋大学 副総長(教育担当) 藤巻朗

7月5日
生成AIを利用したレポート課題等の作成における留意点と成績評価における取り扱いについて
大阪法科経済大学 学長 中井英雄

7月5日
生成AI(人工知能)の利用について
志學館大学

7月6日
ChatGPT等の生成系AI利用の留意事項について
園田学園女子大学 学長 大江篤

7月6日
学習における生成 AI の利用について
埼玉大学 理事(教学・学生担当)・副学長 柳澤哲哉

7月6日
生成系 AI の利用について
仙台大学 学長 髙橋仁

7月7日
定期試験・レポート作成等における生成系AIツールの使用について
関西大学 副学長(教育推進担当)

7月7日
学生の皆さんへ~生成AIの利用における基本指針と注意点~
広島国際大学

7月7日
生成AIの利用に関する留意事項
千葉科学大学

7月10日
本学における生成系AI 活用に関する基本方針について
ノートルダム清心女子大学 学長 シスター 津田葵

7月11日
本学の教育現場における生成AIへの向き合い方
滋賀医科大学 理事(教育・学生支援・コンプライアンス担当)・副学長 松浦博
滋賀医科大学 情報総合センター教授・医療情報部長・マルチメディアセンター長 芦原貴司

7月12日
文星芸術大学における生成AIの利用ついて
文星芸術大学 学長 田中久美子

7月12日
ChatGPT 等の生成系 AI について
創価大学 通信教育部長 吉川成司

2023年7月6日木曜日

大学教育とChatGPT(12)

大学教育とChatGPT(11)からの続き

ChatGPTにもそろそろみんな飽きてきたけれど,世間ではまだダラダラと続いている。GPT-4も最近はどうも調子がすぐれない。難しい問い対してブチ切れてしまう現象が頻発している。最新のデータにアクセスできるBing連携の部分も公開が停止されてしまった。かといって,Bard,Perplexity,Bingなどがイマイチである状況には変わりがない。

そうこうしているうちに,国産LLMのニュースがいろいろと入ってきた。しかしそれらは企業・行政向けや研究開発用の特殊なシステムを指向している。いずれもパラメタ数が数十B以下の小規模LLMなのだ。良質な日本語テキストをたっぷりと学習させた,自由に使える標準的な日本語LLMが現れてほしい。
6月28日
ChatGPT等の生成AIについて
常磐大学 学事センター長 河野敬一・学生支援センター長 菅田浩一郎

6月29日
佐賀大学における生成AI を始めとするデジタル技術の利活用に関する基本方針について
佐賀大学

6月29日
Chat GPT等の利用について
周南公立大学 副学長(教学担当) 渡部明

6月29日
学修における生成系AIの使用について
恵泉女学園大学

6月30日
生成AIの使用に関する注意喚起
奈良教育大学 副学長(教育担当) 越野和之

7月1日
金城大学生成AI(ChatGPT、Midjourney等)の活用に関する基本的な考え方
金城大学 学長 米島學

7月3日
生成系AIの利活用に係る注意喚起
筑波技術大学 情報処理通信センター

7月3日
生成AI活用に関するガイドライン(学生向け)(ver. 1.0)について
島根県立大学 学長 山下一也

7月3日
ChatGPTをはじめとする生成系AI利用についての本学の基本的な考え方
沖縄大学 学長 山代寛

7月3日
京都府立大学生成AI利用ガイドラインの策定
京都府立大学 AIデータサイエンス教育研究センター

7月4日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
日本社会事業大学

7月4日
仁愛大学におけるChat GPT等生成系AIの活用に係る基本方針
仁愛大学 学長 田代俊孝

2023年7月5日水曜日

生成AI学校向けガイドライン

7月4日,文部科学省は,日本の初等中等教育の学校を管理している各都道府県・各指定都市教育委員会教育長や都道府県知事などに対して「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」の 作成についてという通知を発出した。

マスコミのニュースを聞く限り,例によって,各大学のガイドラインのような生ぬるいものがでてきたのかと思っていた。ところが,現物は24ページ相当のプレゼン資料を含めて16ページという,かなり気合いが入ったものだった。

ところでその中身をみると,山越えの暗い見通しの悪い道を,車内からワァーワァーいわれて,アクセルとブレーキを踏みながらとばしているような微妙なことになっている。

ポイントは,(1) 利用規約を守れ(ChatGPTは13歳以上+18才までは保護者同意,Bingは未成年には保護者同意が必要,Bardは18歳以上),(2) パイロット的な取り組みを進めよ,(3) 一般の学校はおとなしくせよ,というものだった。AI以前の話なのだけれど「全ての学校で,情報の真偽を確かめること(いわゆるファクトチェック)の習慣付けも含め・・・」とか,そもそも大人ができていないのでは・・・。

一番言いたかったのではないかと思われる事項は,チェックリストの第8項目にあった。
 「読書感想文などを⻑期休業中の課題として課す場合には,AIによる生成物を自己の成果物と して応募・提出することは不適切又は不正な行為であること,自分のためにならないことなどを十分に指導しているか。保護者に対しても,生成AIの不適切な使用が行われないよう,周知・理 解を得ているか」

追伸:この通知を出したのは,初等中等教育局長の藤原章夫さんだ。平成24年(2012年),学長・事務局長らと文部科学省に行ったあと新橋あたりの居酒屋で一度会っている。そのときは,初中局の教職員課長だったのか。大阪教育大学は教職大学院の設置申請を計画中であり,新任の事務局長の若井祐次さんが大学振興課の方々と併せてセッティングした。長尾先生と栗林先生はそれについて若井さんを大層評価していた。藤原さんがかつてフランス大使館にいたころのことが話題になっていたが,ひたすらよろしくお願いします的なことで終始していた。

2023年7月1日土曜日

ロスジェネ世代

ロスジェネ世代という表現がよく用いられるので,この記事で勉強した。しかし,あまりしっくりしないので,GPT-4にきいたりWikipediaで調べた結果,日本におけるジェネレーションについてはおおむね次のようにまとめられそうだ。もちろん年代は厳密なものではない。


1.団塊世代(1947年〜1949年生):第二次世界大戦後のベビーブームにより生まれた世代。経済成長を経験し日本の復興を支えた。

2.(しらけ世代)(1950年〜1964年生):1955年〜1964年生には新人類という名前があるらしいが,1950年〜1954年の我々の世代にはまともな名前がないのだ。第Ⅰ期学習指導要領(規準化+道徳)の世代

3.バブル世代(1965年〜1970年生):バブル経済が最高潮に達した時期に大人になった。そのため、バブル経済の恩恵を受けて育った世代ともいえる。第Ⅱ期学習指導要領(現代化)の世代

4.団塊ジュニア世代(1971年〜1974年生):団塊世代の子供たちにあたる。親の団塊世代が生んだ豊かな時代を享受したが,バブル崩壊の就職氷河期と重なることになった。第Ⅲ期学習指導要領(ゆとりの始まり)の世代

5.就職氷河期世代・ロスジェネ世代(1975年〜1985年生):就職氷河期(バブル崩壊後の厳しい雇用環境)に直面した。そのため以後も経済的に困難な状況に置かれたものが多い。第Ⅲ〜Ⅵ期学習指導要領(プレゆとり)の世代

6.ゆとり世代さとり世代(1986年〜1999年生):学校での競争が緩やかになり,生活ペースが自由になるゆとり教育方針のもとで育った。物欲や出世欲が薄く,現状に満足しているとされる。第Ⅳ・Ⅴ期学習指導要領(ゆとり→生きる力)の世代

7.Z世代(2000年〜2011年生):デジタルネイティブと呼ばれ,インターネットやスマートフォンなどのテクノロジーと共に成長。オンライン上でのコミュニケーションに長け,多様性を尊重する傾向がある。第Ⅵ期学習指導要領(脱ゆとり)の世代

8.α世代(2012年生〜):Z世代以降のテクノロジーを完全に体験して育つ最初の世代。詳細な特性はまだ明確には定まっていない。第Ⅶ期学習指導要領(学び方)の世代


以下の図では,各世代が10歳のときの対応する学習指導要領が並行してわかるようにした欄と,20歳のときの経済状況のイメージをつかむための欄を加えたものを示した。



図:日本の世代と学習指導要領の対比

2023年6月29日木曜日

大学教育とChatGPT(11)

大学教育とChatGPT(10)からの続き

各大学では,FDやセミナーなどで生成系AIについて取り上げる例が増えている。国立情報学研究所が開催している教育機関DXシンポジウムのシリーズでも,最近の話題の中心は生成系AIだ。大学からの生成系AIの利用に関する注意のほうはまだ続いている。

一方,組織としてこの問題に真正面から積極的に取り組んでいるところはそれほど多くない。例えば,立命館大学の生命科学部の英語授業の取り組みであり,武蔵野美術大学×AIピカソ,AI絵画AWARD である。AI Picassoを使うことで,著作権問題がクリアされるようだ。これは誰でも応募できるということか。新手の受験生募集作戦かもしれない。

森木銀河さんは,生成AIの台頭に応対する大学組織の動向として,テキストの分析をおこなっている。これは5月27日にJAIR(日本IR協会)の研究会で発表されている。
6月20日
ChatGPT 学生向けメッセージ
神戸常盤大学
https://www.kobe-tokiwa.ac.jp/univ/news/79d167af9c48840589cbe01f5c49663d03ef3211.pdf

6月20日
生成系 AI の利用について
畿央大学 教育推進室長 冬木正彦
https://www.kio.ac.jp/wpmlmain/wp-content/uploads/2023/06/AI_20230620.pdf

6月22日
ChatGPT 等の生成系 AI の授業における 利用について
北陸大学教務部長 杉森公一
https://www.hokuriku-u.ac.jp/sptopics/202306221427.html

6月22日
生成系人工知能について~実践的思考力を高めるために~
ルーテル学院大学 学長 石居基夫
https://www.luther.ac.jp/college/president.html#生成系人工知能について

6月23日
生成系AIに関する学生向けガイドライン
麗澤大学副学長(教育担当) 渡邊信・情報教育センター長 吉田健一郎・データサイエンス教育センター長 小塩篤史
https://www.reitaku-u.ac.jp/news/research/1776803/

6月23日
東邦大学における生成系AI の利用に関する方針
東邦大学 学長 高松研
https://www.toho-u.ac.jp/upnews/2023/20230623_1_AI.html

6月23日
生成系AI(ChatGPT、Bing AI、Bard等)の利用に関する留意事項
愛知工科大学 学長 大西正敏
https://www.aut.ac.jp/outline/policy/#anchor04

6月23日
生成AIツールに対する基本的考え方
法政大学 教育開発支援機構 教育開発・学習支援センター
https://www.hoseikyoiku.jp/lf/project/view.php?c=topics_view&pk=1687401621

6月26日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
大阪人間科学大学 学長 井上博司
https://www.ohs.ac.jp/fiscal/2023/6573/

6月27日
本学におけるChatGPT等の生成系AIの利用における注意点について
福岡教育大学 学長 飯田慎司
https://www.fukuoka-edu.ac.jp/information/u28vtn00000012lz.html

2023年6月24日土曜日

大学の英語教育はいらない?

大学にもう英語教育はいらない」というのは,立命館大学生命科学部で英語教育を担当している山中司さんが2017年に執筆した論文のタイトルだ。

ChatGPTのインパクトを一番切実に受け止めているのが,大学の英語教育のコミュニティだ。各大学から出ている生成AI使用ガイドラインだが,これを3月の段階で日本で最初に発出したのが東京外国語大学でありその内容も秀逸だった。

山中さんは,2022年度秋学期から立命館大学の必修英語科目に翻訳ツール(みらい翻訳)を導入し試験運用を始めている。さらに,授業におけるChatGPTの活用もニュースに取り上げられ,英語教育とAIに関してはトップランナーである。

さてその論文だが,17ページあったので要約をGPT-4 & プラグインにお願いした。ChatWithPDF はファイル読み込みに失敗し,AskYourPDFもLinkReaderも,どうもイマイチの結果しか出してこない。最近,GPT-4の調子はよくないのかもしれない。

しかたがないので,自分で読んでまとめる必要がある。これがまた面倒で仕方がない。AIによってすごい勢いで人間(自分)の退化が促されていることを実感する。これが人類に対するAIの脅威の最大のものだ。そもそも老人の読む力が筋力に比例して落ちているのだった。

○本論文は,大学教育の未来の一つの極としての「英語教育解体論」を語る。
○大学設置基準の大綱化で科目設定が各大学の判断に任されているにも関わらず全ての大学では,「外国語科目」として「英語」が必修化されている。
○AIにより,音声認識や自動翻訳の技術,AIによる4技能の活用が十分実用的になり,(1) 英語教員が不要,(2) 英語教育が不要,(3) 英語学習が不要 になる。
○この状況は英語教育への企業参入を容易にし,市場原理で大学の外国語教育≡教員が駆逐される可能性がある。これらが「強い解体論」と呼ばれる外在的要因である。
○哲学における「言語論的転回」でコミュニケーション=言語(言語至上主義)と捉えられていたのが,複合メディア・表現へのアクセスが容易になり逆転し始めた。
○英語教育=第二言語習得=応用言語学が,確たる方法論と統一理論を持たず解体しつつある分野になった。
○英語が世界言語であることから,言語寛容性がもとめられ規範性を失っている。これらが「弱い解体論」とよばれる内在的要因である。

ということで,ChatGPTが登場する前夜から英語教育は危機に瀕していたことがわかる。




2023年6月23日金曜日

生成系AI利用の基本方針


一部の大学は別として,多くの大学で今一つ十分な検討がされていないような気がする。生成系AIの利用上の注意文書のことだ。本来は大学としての基本方針を確立し,それに基づいて,教職員向け(教育・研究・事務)と学生向け(学習)の具体的なガイドラインを2本作るという構造になるべきだろう。

せめて,ChatGPTにたたき台を出してもらってから,考えればよかったのではないだろうか。例えば,以下のようにそれらしい基本方針がでてくるのに。リテラシーがないままに,自分たちは知っているという雰囲気のガイドラインを出しているわけで。

生成系AI利用の基本方針(GPT-4からの提案)

1. オープン性と透明性
我々の大学はオープンで透明な利用を推進します。AIの利用の過程と結果は、利用者が学び、理解し、さらにはその適用を改善するための知識を共有することを可能にするべきです。

2. 教育的な目的
AIの利用は教育的な目的を優先するべきです。研究、学習、そして教育的な探求が主な利用目的となります。

3. 倫理と責任
AIの利用は常に倫理的な枠組みの中で行われるべきであり、利用者はその使用について全面的な責任を負うべきです。これには、潜在的なバイアス、データの使用、AIの出力への理解と扱いについての考慮が含まれます。

4. データのプライバシー
AIの利用はプライバシーを尊重するべきです。敏感なデータを扱う場合や、特定の個人が識別可能な状況では、データの匿名化や適切な扱いが行われるべきです。

5. コラボレーションと共有
我々の大学は、AIの成功した利用事例と失敗事例の共有を推奨します。これにより、一人一人の学習が共同体全体の知識に反映され、全体として前進することができます。

6. 継続的な学習と適応
AIとその利用は進化し続けます。そのため、我々の大学は継続的な学習、適応、そしてAIの利用の改善を推進します。

7. アクセシビリティ
我々の大学は、全ての学生、教員、職員がAIを公平に利用できることを保証します。そのために、我々は必要なリソースと教育を提供します。

日本の大学の注意文書に欠けているのが ,1,5,7あたりだ。2が妥当なのかどうかはよくわからない。

2023年6月22日木曜日

大学教育とChatGPT(10)

大学教育とChatGPT(9)からの続き

私立大学情報教育協会(JUCE)が生成系AI使用ガイドラインを出していたので,他の学会や国大協の会長談話と併せてまとめておく。

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4月25日,人工知能学会としての大規模生成モデルに対してのメッセージ
一般社団法人 人工知能学会 会長 津本周作/倫理委員会

5月1日,生成AIの利用ガイドライン
日本ディープラーニング協会

5月29日,生成 AI の利活用に関する国立大学協会会長コメント
国立大学協会会長 永田恭介

5月31日,生成系 AI 使用ガイドライン
公益社団法人私立大学情報教育協会
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今週は,他のアーカイブを参考にして落ち穂拾いに努めたところ,結構な見落としがあった。あとは,横浜国立大学が受験生向けの注意を出していたのがめずらしかった。生成系AIを駆使して願書等を作成するような学生は真っ先に入学させればいいように思うのだが,気のせいかもしれない。

文科省の学校向けガイドライン案がリークされていたけれど,この小中高ガイドラインに振り舞わされる大学もでてきそうな勢いだ。『指針案は「生成AIを使いこなす力を育てる姿勢が重要」としつつ、著作権侵害や批判的思考、創造性への影響といった懸念やリスクもあると指摘』。批判的思考や創造性を収奪しながらそれを是とする空気を作ってきたのは誰・・・いまさら感がただよう。

6月6日
Chat GPT等の生成AIの利用について
昭和大学 学長 久光正

6月9日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
育英大学

6月13日
ChatGPT等の生成人工知能(生成AI)利用に関する留意事項等について
多摩大学

6月13日
大学における Chat GPT 等 AI の活用に関する指針
日本赤十字九州国際看護大学

6月14日
生成系AIの取り扱いに関して
関西医科大学 学長 木梨達雄

6月14日
ChatGPT等の生成AIの使用に関する留意事項
沖縄国際大学 学長 前津榮健

6月14日
生成AI(ChatGPT等)に関する注意事項
近畿大学 経営学部長 安酸建二

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6月15日
生成AI(Generative AI)の利用に関する本学の考え方について
横浜国立大学 副学長(教育担当) 髙木まさき・副学長(研究・情報担当) 四方順司

6月15日
ChatGPT等の生成系AIに関する本学での対応について
実践女子大学 学長 難波雅紀

6月15日
生成系AIに関する本学の基本方針
四天王寺大学 学長 須原祥二

6月16日
生成系AI(人工知能:Artificial Intelligence)に関する本学の考え方と留意点
十文字学園女子大学 教育担当副学長 安達一寿

6月16日
学生による生成系AIの利用における注意点について
日本医療科学大学 学長・教務部長

6月16日
ChatGPT等の生成系AIの利用に関する注意喚起
敦賀市立看護大学 学長 内布敦子

6月19日
授業などにおけるChatGPTなどの生成AIの利用について
福井大学 理事(教育,評価担当)/副学長・データ科学・AI教育研究センター長

6月19日
生成系AIの学習・研究活動への利用について
山梨英和大学 学長 朴憲郁

6月20日
ChatGPT等の生成系AI(人工知能) 利用について
静岡県立大学 副学長(全学教務委員長) 今井康之・学生部長 細川光洋

6月20日
宮崎大学における生成系AIの利用にかかる留意事項について
宮崎大学長 鮫島浩
宮崎大学における生成系 AI の学習上の利用についての考え

6月20日
生成AIを活用するための基本方針
徳島大学長 河村保彦

6月21日
生成系AIの使用に関する注意について
名古屋経済大学 学長 佐分晴夫
6月21日
東洋学園大学 ChatGPTなどの生成AIへの本学の考え方
東洋学園大学学長 辻中豊
6月21日
本学におけるChatGPT等の生成系AIツールの利用について
神戸学院大学 学長 中村恵
6月21日
酪農学園大学における ChatGPT 等の生成系 AI 利用に関する留意事項について
酪農学園大学 学長 岩野英知
https://www.rakuno.ac.jp/archives/28167.html

 

2023年6月21日水曜日

メディアリテラシー教育の原理

法政大学の坂本旬さんが,アメリカの National Association for Media Literacy Education (NAMLE)が出している,Core Principles of Media Literacy (2023) 和訳して紹介していた。

そこで,自分でも試してみる。もちろん下請け(DeepLとかChatGPTとか)に任せるわけだけれど。結局,両者をミックスして人間の手を入れないとだめだった。
1. メディアリテラシーの概念を拡大する。それは全てのメディア形態を含み,意識的なメディアの消費者と創作者を育成するために複数のリテラシーを統合するものである。

2. すべての人が,自分の背景,知識,スキル,信念を用いてメディア体験から意味を創り出すことができる学習者であると想定する。

3. 好奇心,柔軟な思考,自己反省的な探求を優先する教育方法を推進する。ただし,理性,論理,証拠を重視することを踏まえながら。

4. 学習者が,絶えず変化するメディアの風景を通じて体験,創造,共有するメッセージについて,積極的な問い掛け,反省,批判的思考を行うことを奨励する。

5. 学習者に対して,統合的で,学際的で,対話的で,年齢と発達段階に適したスキル向上の機会が継続的に必要であるようにする。

6. 個々の人々がメディアを作成し共有する際に多くの倫理的責任を果たす,参加型のメディア文化の発展を支援する。

7. メディア機関は社会化,商業,変化の担い手として機能する文化的および商業的な存在であると認識する。

8. 公共の福祉のための健全なメディア環境は,メディアおよび技術関連企業,政府,市民間での共有の責任であると主張する。

9. メディア産業の社会における役割についての批判的な探求を重視する。メディア産業が,権力の仕組みにどのように影響を与え,また影響を受けているかを含め,公平性,包括性,社会正義,持続可能性に影響を与えるものだから。

10. 個人が,民主主義社会の中で,情報を得,反省し,関与し,社会的責任を負う参加者となるよう支援する。




2023年6月15日木曜日

大学教育とChatGPT(9)

大学教育とChatGPT(8)からの続き

まだ大学からのアナウンスが続いている。ChatGPTへの怖れからくる反応のようにも思える。機密情報(そんなもの学生が持ってるのか)や個人情報の漏洩も著作権の侵害も,SNSなどのほうが実質的に影響は大きいはずだ。生成系AIに限らずインターネットのサービスには様々な落とし穴があるにもかかわらず,生成系AI固有の問題点が沢山あるかのように強調されている。

東京都教育委員会は,都立学校宛に生成AIの利用に関する注意喚起を通知した。都立学校だから小中は含まれていないのか。でも児童や生徒にという表現もあるのでどうなっているのかはっきりしない(例外的な都立小学校1校と都立中学校5校はある)。具体例として (1) 日記や読書感想文,(2)プログラミング,(3) 校内コンテスト用のポスターの作成 などがあげられているらしい。

そうか,日記も書けて写真や絵も付けることができるなら生成系AIは夏休み最強のツールではないか。仮想日記コンテストをやればいいのに。一番ビックリするような仮想絵日記作品を選ぶコンテスト。生成系AIの使い方にかなり習熟するはずだ。子どもだと下手にAIに頼らない方がすごい結果がでるかもしれないけど。

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ChatGPT/生成AIへの対応を表明した国内の大学一覧(森木銀河)

生成系AIガイドライン(奥村晴彦)

生成系AIに対する各大学の見解や指針など(坂根弦太)

生成系AIに関する留意事項など(越桐國雄)

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6月7日
生成系 AI の適切な利用についての学長メッセージ
東京医療保健大学 学長 亀山周二
https://www.thcu.ac.jp/uploads/posts/2597/file.pdf

6月8日
ChatGPTをはじめとする生成系AIの利用に関して
藤女子大学 学長

6月8日
ChatGPT等の生成系AIに関する基本方針について
桃山学院大学 学長 中野瑞彦

6月8日
生成系AIに関する学長メッセージ
東北学院大学 学長 大西晴樹

6月8日
ChatGPT等の生成AI利用に関する本学の方針と留意事項
新潟医療福祉大学 副学長(教育担当) 大山峰生・研究科長 佐藤大輔

6月8日
チャットGPTなどの生成系AIの利用について
名古屋学院大学 学長

6月8日
生成系 AI (人工知能)の 利用 について (方針)
愛知学院大学 学長 引田弘道

6月9日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
琉球大学 理事(教育・学習支援)・副学長

6月9日
対話型生成系AIの使用について
昭和女子大学 学長 金尾朗

6月12日
ChatGPT などの⼈⼯知能の講義・実習における活⽤について(4月10日)
九州大学 教育担当理事 園⽥佳巨

6月12日
本学におけるChatGPT等の生成系AIの使用に関する取扱いについて
共立女子大学 学長 川久保清

6月12日
Chat GPT等の生成系AIの利用に関する学生向け指針
新潟リハビリテーション大学長 山村千絵

6月13日
ChatGPT等(生成系AI)への対応について
愛知淑徳大学 学長 島田修三

6月14日
レポート・論文執筆等の学修における生成系 AI の利用について
奈良県立大学 教務委員会

6月14日
生成系AI(ChatGPT、Bing AI等)の使用に関する留意事項について
鳴門教育大学 学長 佐古秀一

2023年6月11日日曜日

インターネットと教育フォーラム(2)

インターネットと教育フォーラム(1)からの続き

6/9-10に,OMMで開催されたNew Education Expo 2023(第28回)の最終セッションに参加してきた。

120人の会場は満員というわけではなかったが,懐かしい顔ぶれが集まった。大教大関係では卒業生の井野君,松本君,片桐先生(仲矢さん?),大阪では,重松先生,野村先生,十河先生,全国から,高橋校長,その息子さん,渡辺さん,中島さん,大倉さん,前田さん,足立さん,幸地さん,竹中さん,宮澤さん,デジタルシティズンシップ関係では,坂本さん,豊福さん,今度さん,林さん,登壇者は,芳賀さん,石原さん(オンライン),影戸さん,三輪さん,大久保さん(NEE副委員長)などなど。

芳賀さんの趣旨説明で始まって,→越桐→石原→影戸→三輪→大久保と続いて70分経過,後半のポイントは,歴史は繰り返えすのか?GIGAスクールはどうなるのか?だった。インターネットと教育の場合,1993年に始まり(千葉大学附属中),1997年がターニングポイント(環境整備から活用方法の追求)で,その後数年の高揚期のあとリバウンドで低迷期に入ったという歴史観にあてはめるとどうなるかという問題意識だった。

残り20分くらいで,あまり掘り下げることはできなかったが,大久保さんのGIGAやそれを取り巻く状況についての認識からくる力強い発言に圧倒された。まさに,選挙に行ってください,民主主義が重要ですということかもしれない。

大阪教育大もそうだが,多くの大学ではBYODになっているので,これをいかに下に拡大していくかという戦略が必要だと自分は思う。まあ,それより先に生成AIの波がやってくるのかもしれないが。


写真:O38セッション終了後の関係者記念写真(2023.6.10)

終了後,バスで内田洋行大阪支店の懇親会会場に移動した。懇親会終了後は皆さんと別れて,卒業生で,神戸親和大学教授の松本宗久先生と居酒屋で久しぶりにお話する。

2023年6月9日金曜日

大学教育とChatGPT(8)

大学教育とChatGPT(7)からの続き

そろそろ150大学に到達しようとしている。大学の本来の機能から考えれば,ソーシャルメディアの利用ガイドラインよりも,生成系AIへの対応のほうが重要度は高いからかもしれない。非常勤先の大阪教育大学と同志社大学からもそろって具体的注意が発出されていた(同志社大学学長のお気持ちはもっと早かったけど)。

その後,目に付いた大学は次のようなところだ。
・甲南大学:公開後 pdf を不可視にしてしまった。wayback machineで見えたけど
・中央大学:さすが中央大というか留意事項の詳細な規程化を図ってしまった
・四国大学:ChatGPT-4のアカウント(約30)を配布,教職員+学生(教員推薦者)
・大東文化大学:生成系AIガイダンスでアカウントの取得方法まで説明
・長浜バイオ大学:学生への利用の奨励,試験じゃ使えないよねと ^_^;;;

なお,注意喚起が丁寧で分量が多い(10kB以上)の大学は次の通り。
1. 東京大学,2. 武蔵野美術大学,3. 中央大学,4. 東京大学(授業における利用)
5. 東洋大学(坂村健),6. 大阪公立大学(教員向け),7. 早稲田大学,8. 東京外国語大学

(注)奥村晴彦先生が同じようにデータをまとめたエクセル(生成系AIガイドライン)を公開していた。



図:大学における生成系AI注意喚起テキスト量のヒストグラム

5月26日
授業レポート等における生成系 AI への対応について
学習院女子大学 教務部長

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6月1日
生成系AIの利用に関する対応について
中部大学 学長 竹内芳美,教務部長 佐伯守彦

6月1日
ChatGPT等の生成系AIの利用に関する注意喚起
聖学院大学 学長 小池茂子,教務部長 若原幸範

6月1日
生成系AIの使用に関する留意事項について
大阪教育大学 副学長 廣木義久

6月1日
学習における生成AI(ChatGPT、Bard、BingAI等)の使用について
同志社大学 教務部長

6月1日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
国学院大学 学長 針本正行

6月1日
授業におけるChatGPT等生成AIの利用方針について
松山大学 学長 新井英夫

6月2日
愛媛大学における生成AIの利活用に関する基本的考え方
愛媛大学 学長 仁科弘重

6月5日
鳥取大学における生成系AIの利用に関する基本方針と注意事項
鳥取大学長 中島廣光

6月6日
中央大学における「生成系AI」についての基本的な考え方
中央大学 学長 河合久
中央大学の教育課程における「生成系AI」利用上の留意事項について

6月6日
ChatGPT等の生成系AIの利用について
大阪産業大学

6月7日
生成AIの利活用について
信州大学理事(情報・DX担当)・副学長 不破泰

6月7日
生成系AI・翻訳AIの利用についての基本方針
公立はこだて未来大学長 鈴木恵二

2023年6月2日金曜日

インターネットと教育フォーラム(1)

岐阜聖徳学園大学DX推進センター長で,最近はデジタルシティズンシップで有名になってしまった芳賀高洋先生基礎自治体教育ICT指数サーチ)から,しばらく前に召喚呪文がきた。6月10日(土)に大阪で開かれるNEE2023 OSAKAの最後のセッション「インターネットの教育利用30年,その黎明からネクストGIGAを展望する」に出てねということだった。

記憶が薄れつつあるので,参考資料で復習している。そのひとつ。1999年に大阪で開催された「99インターネットと教育フォーラム」実践報告集にあった資料から,自分のメモの部分を抜粋してみると次のようなものだった。1995年までのことしか書いていなかった。

'99『インターネットと教育』フォーラム

エピソードのつながりとしての歴史,人のつながりとしてのプロジェクト
1969年から1999年までのインターネットと教育

野島久雄 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 nojima@tantra.brl.ntt.co.jp
芳賀高洋 千葉大学附属中学校 jtaka@ir.chiba-u.ac.jp

1.その時何があったか
2.マリオン以前,以後

[1969-1978 前史]
1969
(1) 高校生の時はじめてコンピュータにさわる。カシオの卓上電子計算機4メモリ26ステップ、30万円。 階乗のプログラムをつくるが、ステップ数で友達に負ける。
1970
(2) アナログコンピュータで、滅表・強制振動をプロット。数学の試験でFORTRANのプログラミングの問題がでる。
1971
(3) 日常的には計算尺を使っていた(受験問題を解くときなど)。
1972
(4) 教養の物理学実験は、タイガー計算機でデータ整理。最小自乗法の計算には複雑な技があるようだった。
1973
1974
(5) 学部の物理学実験では、みな電卓を使い始めていた。四則演算で3万円くらいかな。しかし自分では買わない。新聞で、シャープの関数電卓が10数万円との記事をみる。
1974
(6) 電子計算機実習ではじめて大型計算機 (ACOS)を使う。IBMではなく、JUKIのキーパンチャーで、バッチ処理。課題は行列の対角化と5次方程式を解くが、成績はいまいち。
1975
1976
1977
(7) 修士論文のための計算をようやくはじめる。センターまでカード2000枚の箱をかかえて、毎日通う。使ったのはTOSBAC。カードのジャムとプリントアウトのジャムに泣く。
1978
(8) はじめて自分の関数電卓を買う、もらったのかな?

[1979-1988 まだはじまらない]
1979
(9) はじめてマイコンの雑誌を買う。これからはこんな時代だ。このころパソコン関係の雑誌は 立ち読みですべて読めた。
1980
(10) 研究室からTSSで大型計算機を 使えるようになる。タイプライター端末はじめは300bpsその後1200bps。
1981
(11) PC-8001を使ったスクリーン型端末が登場。研究室の先生がアセンブラで端末ソフトを作成(流行)
1982
(12) PC-8801用のターミナルプログラムをBASICで自作。
1983
(13) PC-9801を研究室で購入。CP/M-86をもらってきて遊ぶ。ベクトル計算機登場前夜でHFPなどにも凝る。
1984
(14) 8087が手に入ったのでアセンブラで連立方程式のプログラムをつくる。11万円で中古9801を買う。256kBの37500円のメモリボード2枚かっ て、RAMディスク快適。
1985
(15) 理科教育講座の学生のための情報処理実習の授業がスタート。 内容は、コンピュータの基礎とBASICプログラミング入門。
1986
1987
(16) 本屋でMacの雑誌を買う。これからはこんな時代だ。Mathematicaも登場。やっぱりこれからはこんな時代だ。
1988
(17) MacIIを使って情報の授業を 行うが、ウイルスとバグと GUIが結構大変。研究室で は、PC-9801とMacを併用。

[1989-1994 まだちゃんとはつながらない,が・]
1989
(18) 大学の情報処理センタ創設の為の準備で忙殺。SUN4/330を導入。
1990
(19) 情報科学講座の先生のおかげでUUCPでSRA に接続される。まいにち、Netnewsを読んで いるので仕事にならない。firec.pachinkoで齋藤明紀さんが最初のダメ出したころ。
1991
(20) f読み続けて1年、はじめてfi.booksに投稿。
・・・
[1994.8 有楽町マリオン]
[1994-1997 100校プロジェクト]
1992
1993
1994
1995
(21) 3月、教育情報リンク集「インターネットと教育」スタート。

[1996.12 そして世田谷]
[1998-1999 とても書ききれない・・・]
[2000- そして新たなつながり]
野島久雄さんは2011年に若くしてなくなってしまった。自分の記憶というのも本当に夢幻泡影なのだけれど,当時,宮澤賀津雄さんによびだされて横浜までいって,3人であって話をしたのは野島さんだったような気がする。違うかもしれない。


[1]インターネットと教育 No.393 2002.12.14(WaybackMachine)

2023年6月1日木曜日

大学教育とChatGPT(7)

大学教育とChatGPT(6)からの続き

テレビと新聞は連日生成系AIの話題を出しているものだから,引き続き各大学からの「生成AIの利用に関する注意」の公表が続いている。5月29日にはとうとう,国立大学協会が「生成AIの利活用に関する国立大学協会会長コメント」を出した。

大学のソーシャルメディア利用ガイドラインは,174大学=全大学の23%が公開している。当面の危機管理的にはより影響が小さい生成AI(137大学=全大学の17%が公開)の方もそろそろ頭打ちになるのではないかと思われる。以下のリストがデータをよくまとめている。
ChatGPT/生成AIへの対応を表明した国内の大学一覧
各大学のChatGPT等生成系AIへの対応・方針・留意点を調べてみた(手羽一郎)
生成系AIに対する各大学の見解や指針など(坂根弦太)

 

5月10日
ChatGPTをはじめとする生成AI(generative artificial intelligence)の利用に関して
旭川市立大学 学長 三上隆

5月15日
ChatGPT等の生成AI(人工知能)への対応について
新潟薬科大学 学長 下條文武

5月15日
人工知能チャットボットの利用について
浜松医科大学 理事(教育・産学連携担当)・副学長 山本清二

5月16日
学修における生成系人工知能の取り扱いについて
九州工業大学 教育高度化本部長

5月17日
生成系AIの利活用について
関東学院大学 学長 小山嚴也

5月18日
生成系AI(ChatGPT等)の利活用について
四国大学 学長 松重和美

5月19日
生成系AI(ChatGPT等)利用上の留意点等について
城西大学 学長 藤野陽三

5月24日
生成系AIガイダンス
大東文化大学 学園総合情報センター

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5月25日
生成系AIの利用について
千葉商科大学 学長 原科幸彦

5月25日
生成 AI(対話型 AI)の利用に関する本学の方針について
東京未来大学 学長 角山剛

5月25日
教育・研究活動における生成系AIの利用について
八戸工業大学 学⻑ 坂本禎智

5月26日
ChatGPT 等の生成系 AI について
日本獣医生命科学大学 学長 鈴木浩悦

5月26日
ChatGPT等の生成系AIの利用に関する注意事項について
鶴見大学 学長 中根正賢

5月26日
生成系AI(ChatGPT,BingAI,Bard等)利用についての注意喚起
中国学園大学 学長 千葉喬三

5月26日
岡山理科大学の教育における生成系AI の取扱いについて
岡山理科大学 副学長(教育担当) 松浦洋司

5月26日
科学技術における知的⽣産活動と⽣成系AIの利⽤について(4月28日)
東京理科大学 学長 石川正俊

5月29日
ChatGPTなど生成系AIの利用についての本学の基本的な考え方
成城大学 学長 杉本義行

5月29日
生成系AIの利用に関する留意事項について
東京情報大学 大学院総合情報学研究科委員長 花田真樹・総合情報学部長 圓岡偉男・看護学部長 藤井博英

5月31日
本学の教育における生成系AIツールの利用に関する留意事項について
福岡大学 教学担当副学長 加留部善晴

5月31日
生成AIの利用について
徳島大学 理事(教育担当) 長宗秀明

5月31日
生成系AIの利用に関する留意事項
北海道大学 理事・副学長 山口淳二

2023年5月30日火曜日

対話型AIによる教育と評価(2)

対話型AIによる教育と評価(1)からの続き

実際にプロンプトを作ってChatGPT(GPT-4)で試してみると次のような結果が得られた。何度か繰り返してみて,そこそこの解答が得られたものだ。丁寧に指示しないといきなり問題が全て表示されたり,解答途中にコメントが入ったりする。また,評価基準はかなり甘くなっている。Bardではほとんど指示のとおりには機能しなかった。一方的にQとAの提示が始まって,余計な説明がされてしまうのだった。ChatGPTの応答についての経験値を増やす必要がある。

User
生成系AIが学校教育の評価について参与できるか
どうかのテストをしていますので協力してください。

私が問題数Nとテーマを与えますので,そのテーマについて
生徒が理解しているかどうかを判定するためのN個の質問項目を
考えて,まず第1問目だけを提示して下さい。
生徒はその質問に対する解答を入力します。
その後に,あなたからの質問と生徒の解答の繰り返しが続きます。
質問や解答の途中段階における説明やコメントは不要です。

N個の問題の解答をあなたが受け取った後に,これらを総合的に評価して
理解度を5段階で答えてください。5:優秀,4:良い,3:普通,
2:あまりわかっていない,1:まったくわかっていない。です。
その後,この評価に至った根拠を分かりやすく説明して,今後の学習に
必要となる指針を与えてください。

N=3でテーマは,「力学(物理学)におけ作用と反作用」についてです。

ChatGPT
それでは、評価のための質問を始めさせていただきます。

第1問目: ニュートンの第三法則(作用反作用の法則)とは何ですか?

User
物体の運動を作用といいます。反作用は反対に運動することです。

ChatGPT
第2問目: 物体Aが物体Bに力を作用させたとき、物体Bはどのような反応を示しますか?

User
物体Bは力を吸収します,これが反作用です。

ChatGPT
第3問目: 作用と反作用が同時に発生する具体的な日常生活での例を一つ挙げてください。

User
日常生活では起こりません。宇宙空間でのみ起こります。例えば小惑星の接近です。

ChatGPT
理解度評価:2:あまりわかっていない

ご解答ありがとうございました。今回のテーマ「力学(物理学)における作用と反作用」についての理解度を評価すると、"あまりわかっていない" という結果となりました。以下にその理由を説明します。

ニュートンの第三法則(作用反作用の法則)についての理解が不十分です。作用と反作用はそれぞれ物体の運動ではなく、一つの物体に力が働くと、その力と等しい大きさの逆方向の力(反作用)が働くという法則です。
物体Bが力を吸収するという表現は少し誤解を生む可能性があります。物体Aが物体Bに力を作用させた場合、物体Bは物体Aに等しい大きさで逆方向の力を作用させます。これが反作用の法則です。 
作用と反作用は日常生活で常に起こっています。例えば、地面を蹴って走るとき、我々は地面に力を加え(作用)、その反作用として地面は我々に逆方向の力を加え、それが前進する力となります。
以上の理由から、力学の基本的な法則である作用反作用の法則について、もう少し深く理解することが必要だと感じました。教科書を読み直すだけでなく、日常生活での例を思い浮かべながら理解を深めてみてください。それが理解の助けとなるでしょう。

User
次に移ります。N=1でテーマは,「力学(物理学)におけ力のつり合い」についてです。

ChatGPT
了解しました。それでは、評価のための質問を始めさせていただきます。

力のつり合い(力の平衡)について説明してください。

User
重さに等しいモノを天秤の両端に取り付けると天秤がつり合います。運動している天秤ではこのようなことはありえません。

ChatGPT
理解度評価:3:普通

ご解答ありがとうございました。今回のテーマ「力学(物理学)における力のつり合い」についての理解度を評価すると、"普通"という結果になりました。以下、その理由を説明いたします。

あなたの説明は、力のつり合いの概念を一部正しく捉えています。天秤の例は力のつり合いを示す一つの具体的な例であり、それぞれの物体の重さ(つまり力)が等しい場合、天秤は平衡状態になるという理解は正確です。

ただし、運動している物体についての理解については少し誤解があるようです。力のつり合い(力の平衡)は運動状態にある物体でも成り立つことがあります。例えば、一定の速度で直線運動をしている物体は、前後から働く力が等しければ力のつり合いの状態にあります。

力のつり合いの概念は、物体が静止している状態だけでなく、一定の速度で直線運動をしている状態でも成り立つという点を理解することが大切です。そのために、力のつり合いについてさらに学び直すことをお勧めします。この理解は物理学全体の理解にとって重要な基礎となります。

 

2023年5月29日月曜日

対話型AIによる教育と評価(1)

教育における評価の問題というのはそもそも一大テーマで難しいのだ。

FacebookでTakuya Kawaiさんが,生成AIを教育に使うといってもそもそも評価はどうするのかという問題提起をしていたので(そのとおりだ),さっそくChatGPTさんと相談してみた。

Q:User
生成系AIを学校教育で利用する場合,評価の問題を切り離して考えることはできません。「測定できないものは評価することができない」からです(*)。
これまでの学校教育でも,評価者個人の主観による影響が小さくなるような
工夫はされてきました(例えば,客観テストやルーブリックなど)。

生成系AIの場合は,
・いつ測るのか
・どこで測るのか
・だれが測るのか
・何を測るのか
・どのように測るのか
の問題が特にクローズアップされてきます。
これについての名案を求めます。

A:ChatGPT
生成系AIを学校教育に用いる際の評価についての問題は、非常に重要で複雑です。以下に、ご提示いただいた各問題点に対して提案を行います。

いつ測るのか
AIの活用は学習の過程を進行中に測る形で最も効果的です。AIは生徒の学習パターンを評価し、その結果を元に最適な教材や学習方法を提案できます。したがって、定期的な評価(例:週単位や各学習単元終了後など)が推奨されます。

どこで測るのか
AIの利用により場所の制限は大きく緩和されます。学校、自宅、または任意の場所でインターネットにアクセスできれば、AIの学習プログラムは生徒の進捗を評価できます。

だれが測るのか
生成系AI自体が生徒の学習を評価します。ただし、教師や教育関係者はAIが出力した結果を監視し、解釈し、最終的な評価をすることが重要です。

何を測るのか
AIは以下のような事項を測ることができます:

学習内容の理解度:例えば、生徒が学習した内容について問い合わせを行い、その回答を分析します。
学習の進捗度:教材をどの程度進めたか、理解度テストのスコアはどうかなどを分析します。
学習行動・習慣:どの程度の時間と頻度で学習に取り組んでいるか、どの時間帯に活動的であるかなどを分析します。
どのように測るのか

生成系AIは主に以下のような方法で評価を行います:

データ分析:AIは生徒の学習データを収集し、分析します。それにより、生徒の理解度や進捗度を評価します。
自動フィードバック:AIは生徒からの質問に回答したり、問題の解答を提供したりします。その結果を基に、生徒の理解度を評価します。
適応的学習:AIは生徒の学習パターンとニーズに応じて教材を調整します。それにより、生徒の学習効果を最大化し、進捗を測定します。

パーソナライズされたレポート: AIは収集したデータを用いて、各生徒の進捗レポートを作成します。これは教師や保護者に対するフィードバックの一部となります。 
その他の注意点
ただし、AIの評価システムを適切に実装し使用するためには、以下の点に注意が必要です。

データプライバシーとセキュリティ:生徒の学習データは敏感な情報を含む可能性があります。したがって、データの保護とプライバシーの確保が必要です。
公平性と偏見の排除:AIは、学習データから偏見を学んでしまう可能性があります。そのため、AIの評価が公平であることを確認し、必要に応じて調整を行うことが重要です。
教師の役割:AIが生徒の学習を評価するとはいえ、教師の役割は依然として重要です。教師はAIの出力を解釈し、生徒の学習状況を理解するために必要なコンテクストを提供します。
学習意欲の保持:AIが適切なフィードバックを提供し、学習の進捗を評価することで、生徒の学習意欲を保つことが可能です。
生成系AIの活用は学校教育に新たな可能性をもたらしますが、上記の問題に対する解決策を明確にすることで、より効果的な活用が可能になります。
相変わらずの優等生的な模範解答だった。問題は個人ごとの学習履歴記録システムをリンクする必要があることだ。トークンバッファが非常に大きくなれば可能なのかもしれないし,別途プラグインとのデータのやりとりが必要かもしれない。いずれにせよ,そのうちベネッセとか予備校とかあちこちで始まることになるだろう。

(*) 測定というとすぐに定量的あるいは半定量的なモノがイメージされるけれど,主観的な測定も測定の一種で,ただ確率分布が歪んでいるだけなのかもしれない。職人技によってそれが乗り越えられてきた部分もあるし,芽を潰してきたという負の側面もあるかもしれない。

(**) 人間の直観や洞察力が衰えてきたため,外部の道具に頼るとともに,安易な数値化を選択してしまうことになるというのは,なにも教育の現場だけではない。しかし,データを可視化することで圧倒的な生産性の向上や安全性の確保につながった場面も多々あるわけでむずかしいところ。

(***) で,これから人間に最後に残された砦だった,「言語を用いた総合的な判断の場」が奪われようとしているわけだ。まあ,そんなものとっくに消えていたのかもしれないけれど。

(****) NHKの映像の世紀でベトナム戦争におけるマクナマラの誤謬が取り上げられていた。データにできるものをコンピュータに取り入れて評価する,それが数値から言葉に広がったとしても,データにはできないものがまだ残っている。

2023年5月26日金曜日

対話型AIと教育(5)

対話型AIと教育(4)からの続き
Q:User
大学の授業で出されるレポート課題(エッセイ)に対して,ChatGPTを使って答えを生成してそのまま提出する学生が頻出するのではないかとの懸念が示されている。このため,大学によっては,ChatGPTの使用を禁止したり,制限しようとする動きがみられる。これは,各大学で発出される「生成系AIの利用に関する注意事項」として成文化されつつある。ここでは,上記のようなレポート問題だけではなく,機密情報や個人情報の漏洩,著作権侵害の恐れなどが指摘されている。これによって,ChatGPTなどの生成系AIの利用を,程度の大小はあれ,抑制することで,大学でのトラブル発生を減らそうようというリスク管理の動きが顕著にうかがえる。
ところで,今後の社会は,現在の生成系AIやその発展形態となるAIシステムとは無関係ではありえない。そのため,できるだけ早期にその利用方法を習得して対応することが求められている。授業のレポート課題などでの使用制限を越えて,教員や学生が積極的にChatGPTなどの生成系AIシステムを活用することができるようにするには,どうすればよいか,具体的な例を箇条書きで示すことで,これらの疑問や懸念を払拭する方法を教えてください。

A:ChatGPT
生成型AIの恰好な利用に関して教員や学生を支援するための具体的な提案は以下のとおりです。

教育的な目的でのAI利用: 学生が生成型AIを使ってエッセイを書く代わりに、学生が自分の言葉で議論を組み立てる訓練の一環として、AIを使用する方法を教える。AIは情報源やアイデア生成ツールとして有用だが、最終的な書き上げと分析は学生自身が行うべきである。
プラグラミングスキルの教育: 学生自身がAIを制御、調整、プログラムする方法を教える。これは学生がテクノロジーを適切に利用する方法を理解し、潜在的なミスや誤解を避けるのに役立つ。
AIの限界と可能性についての教育: AIが何を得意とし、何が苦手であるかを学生に理解させる。これにより、AIが学術的なタスクにどのように利用できるか、またどのように利用すべきでないかについて理解を深める。
データプライバシーと情報セキュリティの教育: AIがどのようにデータを処理し、保管するかについての教育を強化する。これにより、学生は自分の情報をどのように安全に管理するか、またAIを使用する際にどのようなリスクが存在するかを理解する。
情報源の評価: AIが生成する情報の信頼性を評価するためのスキルを教える。これにより、AIが提供する情報が常に正確であるわけではないことを理解する。
AIの倫理的使用: AIが持つ可能性とリスクについての議論を促す。これにより、AIを道徳的、倫理的にどのように使用すべきかについての理解を深める。
AIの使用ガイドラインとポリシーの作成: 学校全体でAIの使用ガイドラインとポリシーを作成し、これをすべての学生と教職員に共有する。これにより、AIの適切な使用に関する共通の理解を形成し、問題の予防を図る。
学生と教員のためのAIリテラシーワークショップ: 定期的にAIに関する教育ワークショップを開催し、学生と教員がAIについての最新の知識を得ることを支援する。これにより、AIの正しい利用と倫理的な問題に対する理解が深まる。
対話とフィードバック: 教員と学生がAIの使用経験について定期的に意見交換を行い、互いに学び合う環境を作る。これにより、問題や新たな利用法が迅速に共有され、学習経験が改善される。
AI利用の透明性: AIを使用して生成された作業や研究についてはその事実を明示する。これにより、利用の公正さと透明性が保たれ、評価における不公平さが避けられる。

これらの提案を通じて、教員と学生がAIを適切に使用し、理解するスキルを育てることが可能となるでしょう。AIが学術環境での問題解決や創造性を刺激するツールとして有効に活用されるためには、その正しい利用法と倫理的な問題について理解を深めることが必要となります。

Q:User
対応のための全体的イメージや戦略は把握できました。とくに第1項目に関連して,これまで出していたようなエッセイ課題はどのように修正すれば,ChatGPTの結果をそのまま回答に使う(大学によってはこれを剽窃とまでよんでいます)ことを避けることはできるでしょうか。学生は全員ChatGPTにいつでも自由にアクセスできる環境があるものとします。

A:ChatGPT
ChatGPTなどの生成型AIが学生の手元にあり、それを活用する能力もある状況下で、エッセイ課題を設計する際には、以下のような要素を考慮すると良いでしょう。

個人的な視点や体験を求める: AIは一般的な知識に基づく答えを生成できますが、個人的な経験や視点に基づく答えを生成することはできません。したがって、学生に自分自身の意見や体験に基づく思考を要求するエッセイ課題は、AIがそのまま解答することを防ぐことができます。
クリティカルシンキングの展開: AIは情報を提示し、論理的な結論を導くことができますが、複雑な問題に対する深い洞察や独自の分析を提供することは困難です。そのため、特定の問題やトピックについての深い分析や評価を要求する課題は、AIの直接の回答を避ける助けになります。
アプリケーションとシミュレーション: 抽象的な概念や理論を具体的な状況や事例に適用するような課題は、AIが自動的に解答することを難しくします。これは、AIが現実の状況を完全に理解する能力に限界があるためです。
ディスカッションとコラボレーション: チームやグループでのディスカッションやコラボレーションを必要とする課題は、AIの単独での解答を防ぐことができます。また、ディスカッションの過程を報告するような課題は、学生自身の対人スキルやチームワークのスキルを評価する機会にもなります。
リフレクション: 自己反省や思考の反省を要求する課題は、AIが解答することを困難にします。これは、AIが自己意識や自己理解を持つことができないためです。 
上記のようなアプローチにより、生成型AIの単純な利用を超えて、学生自身の思考力や独自性を引き出す課題設計が可能となります。また、以下の点も考慮するとより有効でしょう。 
オープンエンドの問い: 一つの明確な正解が存在しない問題を提出することも、生成型AIの単純な利用を避ける有効な手段となります。このような問題は、学生が多角的に考え、自分自身の見解を形成することを促します。
プロジェクトベースの学習: 長期的なプロジェクトを課題とすることで、学生が深く学び、自分自身の解釈と分析を形成するプロセスを評価できます。これは、単一の問題に対する一時的な回答よりも、AIを単純に利用することを避ける助けとなります。
実験や観察に基づくレポート: 実験の設計、実行、観察、そしてその結果の解析と報告を求める課題は、AIが単独で完結することを難しくします。これは学生自身の科学的な思考や観察力を評価する良い方法です。
教材の外部情報の使用: 一部の情報を教材以外から引用するような課題も、生成型AIの単純な利用を防ぐ手段となります。その際、どの情報源をどう選択し、その信憑性をどう判断したかを報告することを求めると、情報リテラシーも評価できます。

これらの提案を通じて、教員は学生が自分自身の思考力と創造性を発揮し、生成型AIを超えた高度な学習を達成するのを助けることができます。

2023年5月25日木曜日

大学教育とChatGPT(6)

大学教育とChatGPT(5)からの続き

毎週一度,大学から発出されているChatGPT(生成系AI)への注意を集めてまとめている。5月25日現在で,全国の大学のほぼ15%が一般公開していることになる。

各大学が足並みをそろえて同じテーマについてメッセージを出すというのは,新型コロナ感染症以来のことで,シンギュラリティ・サロンの松田卓也さんがおっしゃるように,2020-2022年のコロナ騒動が,2023-2025年に生成AI騒動として再現されることになるのかもしれない。
5月15日
長浜バイオ大学における生成系 AI の使用に関する方針
長浜バイオ大学 学長 伊藤正惠
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5月19日
国立音楽大学における生成系AIへの教学上の対応について
国立音楽大学

5月19日
教育におけるChatGPT等の生成系AIの利用について
北海商科大学 教務センター長

5月19日
全学教育科目における生成系AIの利用に際しての留意事項
名古屋大学 教養教育院長 納谷信

5月19日
学修における生成系AI(ChatGPT等)活用に関する注意事項
武蔵野大学 学長 西本照真

5月21日
学修におけるChatGPT等の生成系AIの使用への対応について
鈴鹿大学情報教学管理委員会

5月22日
ChatGPT等の生成AIの利用について
成蹊大学長 森雄一

5月22日
生成AIへの愛知大学の対応について
愛知大学

5月22日
生成AIの利用について
北星学園大学 学長 大坊郁夫

5月23日
生成系AI(ChatGPTなど)の使用に関わる注意
京都産業大学 学長 黒坂光

5月23日
生成系AI(ChatGPT等)の利用について
和洋女子大学 学長 岸田宏司

5月23日
本学の教育活動における生成系AI(ChatGPT等)の利用方針
広島大学 理事・副学長(教育・平和担当) 鈴木由美子

5月23日
生成系AI(人工知能)の利用についての考え方
神戸女学院大学

5月24日
ChatGPT等生成系AIの利用について
宮城大学 副学長(教育担当) カリキュラムセンター長

5月24日
学生の生成系AIの使用に関する本学の考え方
国際基督教大学 教養学部長 生駒夏美・大学院部長 溝剛・学生部長 木部尚志

2023年5月18日木曜日

大学教育とChatGPT(5)


連休明けも,各大学から生成系AIの利用に関する注意が公開されている。もうすぐ東京外国語大学のアナウンスから2ヶ月近くになるが,現時点で100大学/790大学≒13%に達する。もちろん,学内だけの公開で観測されていない大学も多いかもしれない。

そろそろこれはという目新しい表現はなくなってきた。坂根弦太氏のブログによれば,92大学になっている。gmorikiさんはデータをExcelでまとめているのはすごいが,55大学にとどまっていた。

なお,データ収集は,google検索で,"生成系AI | 生成AI | ChatGPT +site:ac.jp" の結果から目視で選別している。
5月9日
ChatGPT等の生成系AI利用に関して
北海道科学大学 学長 川上敬

5月10日
対話型AI サービスの利用について
山梨県立大学教育改革推進室室長・副学長 八代一浩

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5月11日
筑波大学における生成系AIの使用に関する基本方針
筑波大学

5月11日
生成系AIの使用について
総合研究大学院大学

5月11日
生成系AI(ChatGPT等)の使用について
宮崎産業経営大学 学長 大村昌弘

5月11日
生成AIツールと教育についての教員向けガイド
大阪公立大学高等教育研究センター

5月11日
ChatGPTをはじめとする生成AIの利用に関して
神戸大学 海洋政策科学部・海事科学部・海事科学研究科

5月12日
生成系AI(ChatGPT等)の取り扱いについて
横浜国立大学 副学長(教育担当)髙木まさき・副学長(研究・情報担当)四方順司

5月12日
チャットGPT等の生成系AI(人工知能) 利用に関する対応について
常葉大学 副学長 安藤雅之・磯貝香・小田寛人 教務部長 笛木茂雄

5月12日
ChatGPT等生成系AI利用上の注意事項について
城西国際大学 学長・教務部長

5月12日
ChatGPTなどの生成系AI利用について
平安女学院大学学長 谷口吉弘

5月12日
APU における生成系 AI の利活用について
立命館アジア太平洋大学 教学部長 MEIRMANOV Serik

5月12日
生成系人工知能をはじめとするAIの利活用について
立教大学

5月12日
教育研究上における Chat(チャット)GPT 等の利用に関する注意事項
九州産業大学 学長 北島己佐吉

5月15日
ChatGPT等生成AIの利用について
慶應義塾大学

5月15日
ChatGPT等(AIチャットボット)の取扱いについて
独協大学

5月16日
生成系AIの利用について
和光大学 学長 半谷俊彦

5月16日
ChatGPT などの生成系人工知能(AI)について
順天堂大学 学長 新井一

5月17日
生成系AI(ChatGPT等)利用に関する注意事項について
新潟大学 学務部教務課

5月17日
生成系AIに対する大東文化大学の対応について
大東文化大学

5月17日
生成系AIの利活用について
関東学院大学 学長 小山嚴也

5月17日
ChatGPTをはじめとする生成系AIの利用について
明治大学 学長 大六野耕作

5月18日
ChatGPT等の生成AIへの対応について
敬愛大学 学長 中山幸夫

5月18日
生成系 AI(Generative AI)の利用に関する注意事項について
大分県立看護科学大学 学長 村嶋幸代

5月18日
大学での生成系AIの活用について
文教大学 学長 中島滋