2025年6月13日金曜日

サザエさん

夫婦別氏夫婦別姓問題選択的夫婦別姓制度からの続き

6月10日の衆議院法務委員会で,選択的夫婦別姓法案に関する参考人意見陳述があった。The PAGEのYouTube動画のコメント欄はネトウヨ言説に満ち溢れていてとても悲しい。

反動勢力の日本維新の会は参考人としてよりにもよって竹田恒泰(1975-)なんぞを呼んできた。その馬鹿げたロジックは顰蹙ものなのだが,ネトウヨの皆さんは大喜びしている。(このへんの表現に私自身の感情的分極化がみてとれる)

さて,百害あって一利なしとはいわれながらも欲求が押さえられないので,竹田何某の意見陳述の論理的整合性や事実関係の妥当性をChatGPT o3 様に確認してみた。文字データは,YouTubeの文字起しから該当の10分程度を切り出したテキストファイルを添付した。

Q(koshix):
(竹田何某の意見陳述のテキストファイルを添付)
この文章の論理的整合性や事実関係の妥当性を検証してください。

A(ChatGPT o3):
(回答略)
結論
竹田氏の発言は「通称使用拡大で十分」「制度改正はコスト高で社会的損失が大きい」という結論を導くために、
・統計の取り上げ方と計算に複数の誤りや抜けがある
・コスト・出生率・子どもへの影響について実証データを欠く
――という点で 論理的整合性・事実妥当性ともに弱い という評価になります。


Q(koshix):
とくにサザエさんの例の部分の論理的な整合性を検証してください。

A(ChatGPT o3):

1.サザエさん一家を“例示”した竹田氏の主張
発言要旨:選択的夫婦別姓が導入されると、
・波平だけが「磯野」、フネと3きょうだいが「石田」、サザエの子タラオは「フグ田」——と家の中に3つ以上の姓が混在する。
・「表札も掛けられない」「磯野一家と呼べない」「レストランで名字を呼ばれても応答できない」「お墓も作れない」といった不都合が起きる。 

→ この例は一見わかりやすそうですが、前提事実の取り違えと制度理解の不足が複数重なっており、論理的に成立しません。

2.事実誤認①──そもそも作品内に既に複数の姓が共存
・原作・アニメの公式設定では、
  波平・フネ・カツオ・ワカメは 磯野、
  サザエは結婚後に フグ田サザエ、
  夫マスオと子タラオも フグ田。 
・つまり現在の放送でも「磯野」と「フグ田」の2つの姓が同居し、郵便・表札・呼称も機能しています(表札は「磯野」あるいは2表札方式)

→ 複数姓だから家族が成り立たないという竹田氏の前提は、作品自体が反証しています。

3.事実誤認②──フネの「石田」という姓は作中に存在しない(×)
・フネの旧姓は公式に開示されておらず、作中でも一貫して「磯野フネ」。
・「石田フネ/石田カツオ…」という設定は竹田氏の独自創作であり、原作・アニメに根拠がありません。(注:旧姓石田フネは竹田の独自創作ではない

4.制度誤解──子どもの姓は“1人ずつバラバラ”にはならない
・1996年法務省要綱案や直近の野党提出法案では、別姓を選んだ夫婦は婚姻時(または出生時)に 子ども全員に適用する姓を一つ決める 仕組みです。兄弟姉妹で姓が異なるのは例外的ケースに限られます。
・したがって、「カツオだけ石田、タラオだけフグ田」のように家族内の子どもごとに姓がバラバラという竹田氏のシナリオは法案の想定から外れています。

5.帰結誤り──表札・呼称・墓の混乱は制度と無関係
指摘された不都合 現行制度/社会慣行 実際は…
・表札が掛けられない すでに二世帯・二姓同居の家は「○○・△△」と2枚並べる、戸建てでも表札を付けない例も多数 別姓導入と直接関係なし
・レストランで呼べない 予約時に代表者名を伝えるだけ 現行の国際結婚・再婚家庭と同じ運用
・お墓が作れない 戸籍上の姓と墓碑名は必ずしも一致不要。夫婦同墓・別墓いずれも可 墓石の彫刻は家ごとの慣習で調整可能

→要するに、名字の選択肢が増えること自体がサービス提供や慣習を阻む決定的要因にはなりません。

6.論理的整合性の総括
(1) 事実ベースが誤り – 作品設定を無視して仮の姓を当てはめ、現状で既に成立している複数姓同居を見落としている。
(2) 制度理解が不十分 – 子どもの姓決定ルールを無視し“家族全員バラバラ姓”という あり得ない 状態を前提にしている。
(3) 結論が飛躍 – 表札・呼称・墓の混乱は現行でも調整可能であり、「家族が名乗れなくなる」という帰結は実態にそぐわない。

→したがって、竹田氏の「サザエさん一家」例は、前提事実の誤認と制度設計の誤解に基づくストローマン論法であり、論理的整合性を欠くと言わざるをえません。

図:著作権的問題がないザザエさん的家族関係の微妙なイメージ(ChatGPT 4o)


まあこんな調子だから,世界経済フォーラムで日本は男女平等で118位(148カ国中)になってしまうわけでイノベーションも何もあったものではない。おまけにNHKは,日本維新の会や国民民主党に引きずられて,夫婦別姓制度への賛否アンケートを従来の二択から三択に変更してしまった結果,賛成が激減して反対派を勢いづかせてしまったorz...。


[1]サザエさんの登場人物(Wikipedia)

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