2025年6月20日金曜日

人型ロボット


2024年の日本の出生数が70万人を割ったが,合計特殊出生率の低下の8割は晩婚や未婚化などで説明できるらしい。なおかつ,結婚できる条件が整わず,結婚欲が薄い未婚男女が増えているそうだ(国立社会保障・人口問題研究所,岩澤美帆)。1.15となった合計特殊出生率の回復は困難であり,2100年の日本の推定人口は5000万人を切るかもしれない。

この急速な人口減少による社会・経済的な混乱を緩和するための方策は2つしかない。一つは外国人の積極的な受け入れであり,もう一つは人型ロボット(Humanoid Robot)の導入だ。あと75年のうちにこれらが実現するだろうか。女性差別(ミソジニー)がこの社会の通奏低音として組み込まれ(いまだに夫婦別姓すら実現できない),外国人差別がそれに輪をかけているような空気が満ちているこの国で,それが可能なのだろうか。外国人を外来生物呼ばわりしたタレントを礼賛するSNS空間,そしてグローバル化に伴う富の偏在と階層格差が原因となって世界全体に蔓延する極右拝外思想。


日本は,「鉄腕アトム(1952-1968)」や「ドラえもん(1969-1997)」の母国であり,一時は産業用ロボット大国といわれて「わたしは真吾(1982-1986)」という名作が生まれた。AIBO(1999-2006)とASIMO(2000-2018)が明るい未来を予感させたこともあった。しかし今はこの国にはその面影もない。

NHKのニュースーンで中国の人型ロボット開発が取上げられていた。ハーフマラソンはこなすは,格闘技はできるは,ボストンダイナミックス(今は,韓国の現代自動車グループ傘下)のアクロバティックな動作に匹敵する機能の人型ロボット開発が進んでいる。トヨタ自動車あたりがハイブリッド車程度でブイブイ言わせているようではだめなのだ。

2026年までに、少なくともベータテスト段階の人型ロボット(ヒューマノイド)が、一般家庭で洗濯や掃除機がけ、皿洗いを手伝うようになる可能性があるという。そして2040年までに、世界に100億台ものヒューマノイドが存在するようになり、その労働コストは1日あたりわずか10ドルになるかもしれない。
というわけだ。これなら人口減少問題の一部分は解決できるかもしれない。今の自動車程度の数百万円台の価格のロボットが普及するならば,ロボット人頭税を課して経済システムに組み込めばいいのだ。当然すべての人型ロボットにはAGIが装備されている。

NHKではアシモフのロボット工学三原則まで取上げていたけれど(普通のニュースの文脈でこれが登場する時代になってしまった),はたしてこうして普及するロボットは人間の制御の及ぶところになるのだろうか。あるいは,人間とロボットの立場は逆転してしまうのだろうか。

Appleもバカな自動車等に手を出さず,素直に人型ロボットに足を踏みだしていればよかったのに。日本に残されたのは,LaQ的なモジュールの集合体で機能する自律分散ロボット群の開発くらいかな。



図:日常生活の中の人型ロボット(Imagen4による陳腐なイメージ)

[3]NEO Gamma(1X)
[4]Motion 1(VinMotion)
[5]Digit (Agility Robotics)
[6]Optimus(Tesla)
[7]Atlas(Boston Dynamics)
[8]Figure 02 (Figure)
[9]Agibot A2 (AGIBOT)
[10]APOLLO (Aptronik)
[11]H1 (Unitree)
[12]T-HR3(Toyota)




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