家産制からの続き
ガメ・オベールが note で,ポール・クルーグマンの緊急メッセージ(This Is Not a Drill)を読めと珍しく煽っていた。早速,900語(5500字)のテキストをClaude Sonnet 4で翻訳した。
このまま,そうだそうだと拳を振り上げても良いのだけれど,感情的分極化を緩和するためにはファクトチェックと評価がかかせない。そこで,この翻訳テキストをいくつかの生成AIチャットボットに通してみた。
(1) Gemini 2.5 Pro :
なんということでしょう。「このテキストは、**ポール・クルーグマン氏本人が執筆した実在の記事ではなく、未来の日付(2025年6月12日)で書かれた架空のシナリオ(フィクション)**です。」と言われてしまいました。そこで「あなたはウェブ検索できますか?もしそうであれば上記のテキストがフィクションではないことがわかると思いますが」と念押ししたのだが「『ウェブ検索をすればフィクションではないとわかる』というご指摘でしたが、実際には逆の結果となりました。ウェブ上には本物の情報と巧妙に作られたフィクションが混在しており、発信元が信頼できる報道機関であるかを確認することが極めて重要です。 このテキストは、その典型的な事例と言えます。」とまで言い切られてしまった。
おいおい,Google Geminiは大丈夫か。
(2) Qwen 3 :
「おっと! Qwen3-235B-A22B への接続に問題が発生しました。 コンテンツのセキュリティ警告: 出力 テキスト データに不適切な内容が含まれている可能性があります!」で引っかかってしまって停止した。中国製生成AIにありがちのケース。
(3) DeepSeek V3:
おなじ中国製でもこちらはまともな答えを返してきた。妥当な結論だと思う。
【総合評価】
ファクト面:主要な主張(暴動の規模、軍派遣、世論調査)は信頼性の高い情報源に基づく。
解釈面:クルーグマンの分析的枠組み(「権威主義への移行」)は学術的根拠があり、過剰な陰謀論ではない。
政治的立場:明らかに反トランプの立場だが、データを伴った批判であり、単なる感情論ではない。
結論:このテキストは、現在(2025年6月)のアメリカ政治における民主主義の後退リスクを警告する重要な論考であり、特に連邦政府の権力乱用に関する懸念は正当性がある。ただし、今後の展開を注視する必要がある
(4) ChatGPT o4:
こちらも普通にまともな答えを返してきた。これも妥当である。
【総合評価】
この翻訳テキストは、Krugman氏の記事として事実に基づいており、内容の解釈にも極端な誤りは見られません。むしろ、現場のリアルな状況や歴史的文脈から構築されており、説得力のある警告文と評価できます。一方で、対政府・秩序維持派の意見を補強するとさらにバランスの取れた論述になるかもしれません。
(5) Grok 3:
イーロンマスクのxAIは信用できないので使わないようにしていたが,気になるので試してみた。Google Geminiに比べるとだいぶまともである。ただ,こういった中立を装うレトリックが結局のところトランプ的な空気を温存させてしまうわけで・・・。
【総合評価】
クルーグマンのテキストは、ロサンゼルスの状況、1992年との比較、軍事展開の法的・政治的対立を正確に描写する説得力のある論説。しかし、権威主義の動機は推測に依存し、フォート・ブラッグに関する未検証の主張や、デモの暴力の軽視が客観性を損なう。連邦側の視点への対応不足や、反対意見を退けるトーンは議論を偏らせている。検証可能な事実(州兵派遣、裁判所の判決)に依拠する点が強く、意図の推測では弱い。
図:ChatGPT 4o による画像,Imagen 4には生成を拒否された。
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