2021年6月30日水曜日

氷室開き

 NHKの列島ニュースで金沢局から氷室開きがとりあげられていた。冬の間に積もった雪や氷を室に蓄えて,夏にかけて利用する氷室の起源は,奈良県天理市福住町の都祁氷室にあるらしい。金沢でも,江戸時代には湯涌温泉あたりに氷室がいくつか設けられていた。

金沢の氷室からは,加賀藩が江戸の徳川将軍に氷を献上していた。7月1日がその献上する氷の出発の日であり「氷室の日」となっていて,その前日6月30日が氷室開きになっている。もっとも江戸時代は旧暦の六月朔日が氷室の日だったようだ。

いまではどうかわからないが,小学校のころは氷室の日に学校で氷室万頭が配られた。もしかすると半ドンくらいの勢いだったかもしれない。いまみると氷室万頭はけっこうおいしそうなのだけれど,当時はそれほどでもなかったな。


写真:湯涌温泉の氷室の仕込み初め(金沢市観光協会から引用)

P. S. 高木屋の茶色の氷室饅頭が小学校の記憶に最も近い。

[1]金沢ふるさと学習 指導資料(金沢市)

[2]金沢の人はどこの氷室饅頭を食べているのか(高井寧香)

2021年6月29日火曜日

音声合成機能(2)

音声合成機能(1)からの続き

 Macの音声合成機能のコマンドライン版 say はもう少し複雑な使い方ができる。なお,$ man -a say > sample.txt でマニュアルコマンドsayの全体をsample.txtに出力できる。以下はzshでなくbashでの例である,zshでは?を\?とエスケープすること。

(1) \$ say -v \? (出力されるVoice一覧)

(2) \$ say --file-format=\? (出力されるファイル形式一覧)

(3) \$ say --file-format=m4af --data-format=\? (あるファイル形式でのデータ形式一覧)

(4) \$ say --file-format=3gpp --bit-rate=\? (あるファイル形式でのビットレート一覧)

(5) \$ say -a \? (出力デバイス一覧)

(6) \$ say '現在の東京の天気は' `curl -s ja.wttr.in/Tokyo\?0 | sed -n 3p | cut -c 31-` 'です'

ビットレートについては,manの記述も微妙だし,うまく出力されないものがあるがよくわからない。例えば,say --file-format m4af --bit-rate ? が返ってこないんだけれど・・・

英語音声として SamanthaとTomをおすすめされた。Good News,Bad News,Cellos,Pipe Organの4つはそれぞれ特定の歌を歌ってくれるらしい。

[1]Mac の say コマンドの使い方(Qiita)
[2]Macのsayコマンドを使って英語スピーチを練習しよう(福野泰介)
[4]Speech Manager (Apple Developer)


2021年6月28日月曜日

音声合成機能(1)

 Macの音声合成機能については,編集メニューにスピーチがあって,アクセシビリティ機能拡張に読み上げコンテンツの設定があることは知っていた。しかし,これらがコマンドラインで使えるとは。それが say コマンドである。

$ say "こんばんは"
$ say -i (インタラクティブに入力)
$ say -f readme.txt
$ say -o output.m4a "こんにちは"
$ say "こんにちは [[slnc 1000]] さようなら"
$ say "こんにちは [[rate 100]] さようなら"
$ say "こんにちは [[pbas 250]] さようなら"

などが最も簡単な使い方である。日本語の音声としてはKyoko(女声)とOtoya(男性)とSiriう(声1)とSiri(声2)が用意されている。システム環境設定で設定された声が使われている。[[slnc 1000]] は 1000ms の無音時間を表している。[[rate 100]] は,一分当たりの発音回数が100であることを意味し,標準値 175に対して発音速度をゆっくりとさせる。[[pbas 250]]は,標準値175に対して,音の高さを高く発音させている。

漢字もいちおう読めるのだが,自分の姓はだめで,名のみOKだった。2012年のMacOSX Lionから実装されているのだけれども知らなかった。

[1]Mac OSX Lionのsayコマンドに感動した。(理想未来ってなんやねん)

2021年6月27日日曜日

ワクチン供給状況

 日本政府が確保しているワクチンは,ファイザー製が1億9400万回分(9700万人分),モデルナ製が5000万回分(2500万人分),アストラゼネカ製が1億2000万回分(6000万人分)である。いずれも国内で承認されているが,アストラゼネカは血栓の発症が海外で報告されているため,当面国内の公的接種には用いられない。台湾には124万回分提供したけれど・・・。

日本の人口は1億2600万人なので,ファイザーとモデルナの合計では400万人分不足するが,12歳未満のこどもが1170万人いることを考慮すれば,いちおう12歳以上の全国民が希望しても賄えるはずだ。

ところが,ファイザーとモデルナの供給スケジュールがここにきて頓挫しかけている。モデルナは職域接種・大学接種などにむけて提供されているが,供給不安から新規予約が一時保留とされた。どうして,もっときちんとシミュレーションできなかったのだろうか。

一方,厚生労働省のファイザー社ワクチン配送スケジュール(2021.6.3)によれば,医療関係従事者向けに963万回分配送している(接種回数は1033万回)。また,高齢者向けに,4410万回(5月末まで),3452万回分(6月分),2340万回分(7月分)の配送が予定されている。6月24日時点での高齢者の接種回数(追加遡及入力分を推計に含めない)は2689万回なので,少なくとも高齢者分に関しては目標の7200万回にはまだ余裕がある。

しかし,8月以降の9000万回分の配送計画が示されておらず,各自治体では供給が絞られることに対する不安が募っているようだ。もしかしてこれはまだ日本に届いていないのか?

[1]自治体のワクチン接種、一転ブレーキ 職域接種に続き…政府の見通しの甘さ露呈<新型コロナ>(東京新聞)

2021年6月26日土曜日

第2回ワクチン接種

第1回ワクチン接種からの続き

6月26日14:30に第2回のワクチン接種を予約していた。

前回の経験から多少早く行っても問題ないことがわかっていたので,14:15には天理市文化センターに到着した。検温,手指消毒,3階受付の移動と前回同様のルーティーンで進んだ。用意するものは,(1) ワクチン接種券と(2) 記入済み問診票と(3) 本人確認ができるものなのだが,免許証を忘れてしまった。別の書類にサインして事なきを得る。

前回よりスムーズに進んだ。3階のホールで待っていると,受付でもらった小さなプラスティックの番号札の番号で呼び出しがある。どうやら4人ずつ呼び出されるようだ。氏名を確認されて,1階のエレベータに誘導される。エレベータも感染防止のために4人ずつ四隅に乗るようになっている。

1階の接種コーナー前の椅子に座るとすぐに番号が呼び出されて接種コーナーに進む。前回は6ブース中2ブースがオープンしていたが,今回は4ブースで運用している。ここも待ちなしで問診,接種,接種証明書の発行と進み,最後に注意書きと待機時間が記載された書類をもらう。

15分の観察スペースに進んで,14:40にはすべてのワクチン接種プロセスが完了した。この間25分であり,非常に効率的に運営されていた。天理市の高齢者ワクチン接種率(6/24で第1回75%,第3回34%)は奈良県の市でトップの成績を収めている。


写真:天理市文化センターのワクチン集団接種会場(2021.6.3撮影)

2021年6月25日金曜日

LGBT法案問題

 夫婦別姓問題からの続き

先日の国会で自民党がつぶしたLGBT法案は,「LGBT理解増進法案」なのだけれど,案文をさがしても見つからない。一方,歩み寄った野党側が当初提案していたのは「LGBT差別禁止法案」であり,こちらのほうは「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」として内容をみることができた。


[1]LGBTの現状と課題(中西絵里,参議院法務委員会調査室)

[2]性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方(自由民主党)

2021年6月24日木曜日

夫婦別姓問題

2021年6月23日に,夫婦同姓での届け出の根拠である民法750条と戸籍法74条の1が合憲であるという最高裁大法廷判決が出された。判決の主文と理由(49p)が公開されている。

理由は4項目から成り立つが,ようは平成27年にすでに判断はされていて,その後の状況からも変更する必要がないという素っ気ないものである。もちろん,この判断と夫婦の氏をどうするかという立法政策は別であり,これは国会で論ぜられ判断されるべき事柄であるとは述べている。ここまで1ページ半である。

その後,深山卓也,岡村和美,長嶺安政の補足意見が,4ページ半ある。夫婦同姓の規定が国会の裁量を超えるほど合理性に欠くと断ずることは困難というものだ。

さらに,三浦守の意見が続く。法が夫婦別姓の選択肢を設けていないことは婚姻の自由を不合理に制約する点で24条に違反する。しかし,原告の請求は棄却されるとする。なぜなら,必要な立法措置が講じられていない状況で,婚姻届は受理できないからというわけだ。10ページ強。

一方,宮崎裕子と宇賀克也及び草野耕一は原告の請求を認め,民法と戸籍法の規定は違憲だとする。前者は,26ページを費やして,人格権,人格的利益,女子差別撤廃などを根拠として,夫婦同姓を受け入れない限り当事者の婚姻の意思決定を法的に認めないとする制約に合理性があるとは言えず,不当な国家介入だとしている。また,草野耕一は,6ページにわたり,選択的夫婦別姓制度を導入することとしないことを考量している。導入しないことは個人の尊厳をないがしろにし,国会の立法裁量の範囲を超えるほどに合理性を欠くから憲法24条に違反するとしている。
日本国憲法
第二十四条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

LBGT差別撤廃問題や夫婦別姓問題 は,日本会議などの右派が支える自民党主流派が保持する復古的政策の中心的課題なので,その牙城を切り崩すのは大変かもしれない。こうした合理性に欠ける政策に固執する限り,日本はその没落への道から逃れられない。

[1]選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について(法務省)

2021年6月23日水曜日

チャルダッシュ

 6月23日は沖縄慰霊の日。昨年のいまごろは,平沢進にハマっていた。最近は,チャールダーシュだ。いや,ヴィットリーオ・モンティ(1868-1922)作曲のチャルダッシュだ。もともとマンドリンのためにかかれた曲だが,ヴァイオリン+ピアノでの演奏をよく見かける。多分,どこかのコンサートで聞いたことがあるのかもしれないけれど,意識には刻まれていなかった。

それが,YouTubeのおかげで,毎日のようにチャルダッシュを聴きあさることになる。いや,ヴァイオリンだけでなく,様々な楽器でチャルダッシュが演奏されているというその多様性に驚いたからだ。例えば,次のようなことになっている。

1 マンドリン:Paris Perisinakis,https://www.youtube.com/watch?v=4XBC56a8QZ4
2 マンドローネ:肝付兼美,https://www.youtube.com/watch?v=w2HxvHKHTfA
3 ウクレレ:Brittni Paiva,https://www.youtube.com/watch?v=fxZY6y5ziT4
4 ギター:Dimitri Lavrentiev,https://www.youtube.com/watch?v=0ONndN-qdLA
5 エレキギター:Girarula,https://www.youtube.com/watch?v=OYcNoPwqUPk
6 1/16ヴァイオリン:篠崎史紀,https://www.youtube.com/watch?v=UOY2SFbikN0
7 ヴァイオリン:石川綾子,https://www.youtube.com/watch?v=sL0fZbUMvqE
8 ビオラ:Julie Park,https://www.youtube.com/watch?v=g-69xNZ8XqY
9 チェロ:Luka Sulic,https://www.youtube.com/watch?v=DsRSAip5ZLQ
10 コントラバス:Yu-Ka/Uu,https://www.youtube.com/watch?v=3knjxdcn8Lg
11 オカリナ:茨木智博,https://www.youtube.com/watch?v=JnvFOe1S5X8
12 ケーナ:ロベちゃん,https://www.youtube.com/watch?v=-IxGkeZ2RX8
13 リコーダ:Sarah Jeffery,https://www.youtube.com/watch?v=iU6Z3b6pLws
14 パンフルート:Raluca Patuleanu,https://www.youtube.com/watch?v=uTJLeKYD8QE
15 ピッコロ:Leonie Brockmann,https://www.youtube.com/watch?v=Mc4yRv4RG1A
16 フルート:高木綾子,https://www.youtube.com/watch?v=HBeDoaickYo
17 オーボエ:Garrett Hale,https://www.youtube.com/watch?v=m6vZ50wgHrM
18 クラリネット:Han Kim,https://www.youtube.com/watch?v=9rqsfzy9i6I
19 ファゴット:劉澤文,https://www.youtube.com/watch?v=KNdF-OwYkLQ
20 トランペット:Andrea Giuffredi,https://www.youtube.com/watch?v=it1a5euTYfY
21 トロンボーン:中川英二郎,https://www.youtube.com/watch?v=C0in4nGdxsU
22 ホルン:Eric Ruske,https://www.youtube.com/watch?v=UR3MEysCgnk
23 サクソフォン:Maxime Bazerque,https://www.youtube.com/watch?v=O0lzvqqmrSo
24 バリトンサックス:田中靖人,https://www.youtube.com/watch?v=RVOBQBamjDA
25 ユーフォニアム:David Childs,https://www.youtube.com/watch?v=nKaH-IlXnRA
26 チューバ:Oystein Baadsvik,https://www.youtube.com/watch?v=fYOsNp4O7AU
28 ハープ:Koki Cabanas,https://www.youtube.com/watch?v=QpG1ND9ybNk
30 ピアニカ:伊藤英,https://www.youtube.com/watch?v=BOLvaEnaVUo
31 オルガン:Vincent de Pol,https://www.youtube.com/watch?v=AjHTppc5Jt8
32 電子キーボード:Ashvin Varadharajan,https://www.youtube.com/watch?v=qkdUJlGnXiI
33 アコーディオン:Vilma Slattegard,https://www.youtube.com/watch?v=qVitiRTgIAM
34 ハーモニカ:浅見安二郎,https://www.youtube.com/watch?v=Ktk3LD4z3Hk
35 オルゴール:石澤潤,https://www.youtube.com/watch?v=QXI53MHxZBY
37 マリンバ:菅原淳,https://www.youtube.com/watch?v=ZXFbzcrlMcg
38 パーカッション:Percussion Performance Players,https://www.youtube.com/watch?v=awJ-d5x0Z88
42 中国琵琶:叶桜,https://www.youtube.com/watch?v=ocKf4Tw97Z4
43 津軽三味線:はなわちえ,https://www.youtube.com/watch?v=UZ6UvwJFiw0
44 13弦箏:清水範子,https://www.youtube.com/watch?v=kWw34IfRuB4
45 25弦箏:渡邊香澄,https://www.youtube.com/watch?v=v7BYqqGSF6k
47 ヴィオリラ:妃城みれい,https://www.youtube.com/watch?v=WuaJhK2Vq9s
49 笙ダイジェスト:真鍋尚之,https://www.youtube.com/watch?v=nIJ50l9tf1E
50 口笛:青柳呂武,https://www.youtube.com/watch?v=hbOm2Fa4nMA
52 太鼓の達人チャーリーダッシュ:はる〜〜ん,https://www.youtube.com/watch?v=2_uFV5aGybg 
53 ダンス:Liscsinszky Katinka,https://www.youtube.com/watch?v=DnekDd6Xwjg
54 はげしいやつ:Ciganski Diabli ,https://www.youtube.com/watch?v=8fot7ORv6ig

本来はマンドリンの曲だけれど,離散化されたマンドリンの音色はどれも音の十分な密度が足りないように感じる。上記リストにはあげなかったけれど,桐朋祭2020の超絶技巧選手権における飯塚歩夢さんのチャルダッシュと,バイオリンはじめちゃんねるのまなみ先生の7分解説チャルダッシュ練習用楽譜つきも欠かせません。

ヴァイオリンは今のところ,石川綾子さんの↑(別バージョンも)が一番良かった。管楽器では超難しいという話だったけれど,そんなことはなくて山のように演奏例がある。びっくりしたのはパーカッションとか口笛なので,ぜひ御覧ください。

2021年6月22日火曜日

東京オリンピック(2)

 東京オリンピック(1)からの続き

開催中止や無観客どころか,会場定員の50%で上限1万人+小中学生枠+大会関係者枠(スポンサー招待等含むかも)+酒類販売OKという悲惨な状況になっているけれど,マスメディアは,スポーツの時間になると急に表情を変えてオリンピックの宣伝に暇がない。

さて,これによって,どのくらいの新たな人出が発生するかを評価してみた。

   会場             収容定員 日数  延人数
1 オリンピックスタジアム    68,000  13  130,000
2 東京体育館          7,000  13  45,500
3 国立代々木競技場       10,200  16  81,600
4 日本武道館          11,000  11  60,500
5 東京国際フォーラム      5,000  10  25,000
6 国技館            7,300  15  54,750
7 馬事公苑           9,300  12  55,800
8 武蔵野の森総合スポーツプラザ 7,200  11  39,600
9 東京スタジアム        48,000  10  100,000
10 武蔵野の森公園        -
11 有明アリーナ         15,000  16  120,000
12 有明体操競技場        12,000  14  84,000
13 有明アーバンスポーツパーク  7,000    8  28,000
14 有明テニスの森        19,900    9  89,550
15 お台場海浜公園        5,500    5  13,750
16 潮風公園           12,000  15  90,000
17 青海アーバンスポーツパーク  8,400    9  37,800
18 大井ホッケー競技場      15,000  14  105,000
19 海の森クロスカントリーコース 16,000    1  8,000
20 海の森水上競技場       16,000  14  112,000
21 カヌー・スラロームセンター  7,500    6  22,500
22 夢の島公園アーチェリー場   5,600    9  25,200
23 東京アクアティクスセンター  15,000  27  202,500
24 東京辰巳国際水泳場      4,700  16  37,600
25 札幌大通公園         -
26 幕張メッセAホール・Bホール  9,000  20  90,000
27 釣ヶ崎海岸サーフィンビーチ  6,000    8  24,000
28 さいたまスーパーアリーナ   21,000  15  150,000
29 陸上自衛隊朝霞訓練場     3,200  10  16,000
30 霞ヶ関カンツリークラブ    25,000    8  80,000
31 江の島ヨットハーバー     3,000  11  16,500
32 伊豆ベロドローム       3,600    7  12,600
33 伊豆 MTBコース        11,500    2  11,500
34 富士スピードウェイ      22,000    3  30,000
35 福島あづま球場        14,300    3  21,450
36 横浜スタジアム        35,000  13  130,000
37 札幌ドーム          41,000    5  50,000
38 宮城スタジアム        49,000    6  60,000
39 茨城カシマスタジアム     40,000    8  80,000
40 埼玉スタジアム2002      64,000    8  80,000
41 横浜国際総合競技場      72,000    8  80,000

    合  計                      2,500,700

東京オリンピック2020によって,新型コロナ感染症が終息していない状況で新たに250万人の人出を持ち込むことになる。さらに,小中学生枠(東京都だけで約80万人) と大会関係者枠(スポンサー枠等?万人)が加わるので,およそ300万人のオーダーであり,直接的な影響としては一日あたり平均約15万人の人出が加わる。

東京都特別区部への通勤・通学による流入人口は約300万人なので,これと比べれば,5%の増加というイメージだ。この流れに付随してさまざまな活動が生起するとともに,「オリンピックやっているくらいだから大丈夫だよね」効果が間接的な影響として想定される。

P. S. 赤旗6/24によれば,一般観戦チケット(再抽選後)272万枚,スポンサー等関係者向け50万枚+α,学校関係59万内の合計最大381万枚ということだ。これなら,1日平均18万人の人出となる。

[1]オリンピック競技スケジュール
[2]オリンピック競技会場

2021年6月21日月曜日

対面授業再開

 大阪府の緊急事態宣言が蔓延防止等重点措置に変更され,大阪府からの大学に対するオンライン授業実施要請が解除されたことにともなって,6/21(月)から対面授業が再開された。大学としては,一般の授業の場合は全体の1/3以上を対面授業とするようにとのこと。文科省からネジを巻かれているのだろう。

そんなわけで,久しぶりの柏原キャンパス往復で疲れた。大学は特に変わったことはなかったが,非常勤講師控室の出勤簿やコピーカード返却箱の位置を軒並み忘れていてウロウロした。名札をどこにしまったかわからなくて焦ったけれど,これは自分の鞄の中だった。

授業は,久しぶりに立って声を出し続けたので大変だったが,受講登録した学生さんは欠けることなく出席している。普通だとこの時期には2/3になっているのに,いったいどうしたことでしょう。なお,授業中にチャイムがなって換気が強制される仕組みになっている。

電車の中で森田先生にあって,最近の話を少し聞いたけれど,あまり楽しそうな話題はなかった。コロナワクチンの職域集団接種は注射の打ち手の確保がネックになっていて進みにくいようだ。あと,学長選考の意向投票が廃止されて,学長選考会議議長も企業からの外部委員に置き換わったとのこと。

昨日だったか,NHKのおはよう日本で国立大学の学長に関して,「学長の大学運営で何が 学長の大学運営に反発の声相次ぐ…国公立大学でいま何が?」というニュースをやっていたばかりだが,全国的にこんな感じになっているわけね。公的セクター(社会的共通資本)としての大学は弱体化して,様々な形で民間に切り売りされていくというプロセスが進行していく。


写真;リニューアルされたエスカレータ3号機(2021.6.21 夏至)

2021年6月20日日曜日

教育データサイエンスセンター

文部科学省:青木栄一からの続き 

2021年の10月,国立教育政策研究所の下に教育データサイエンスセンターが設置される予定だ。定員が5名のごく小規模な組織である。その目的は,(1) 全国学力・学習状況調査のCBT(Computer Based Testing)化,(2) 教育データサイエンスの普及活動,(3) 教育データ利活用に関わる検討 などとなっている。

教育ビッグデータとは,児童・生徒・学生の学習履歴や行動履歴を広範に収集分析して,個人の学習活動にフィードバックするとともに,教育行政の改善につなげよういうものである。その大きな流れにおける文部科学省側の動きの一つが教育データサイエンスセンターだろう。

これについても,青木栄一さんが「文部科学省」の中で注意を促している。すなわち,文部科学省に対する間接統治の文脈で 268pに,

「間接統治」の「旨味」は,官邸の主である首相が代替わりしても忘れられることはないだろう。むしろ経産省以外の他官庁,その他の政治主体も教育・学術・科学技術の「間接統治」を目論む流れが強まっていくだろう。総務省は学校でのICT活用の主導権を経産省から取り戻そうとするかもしれないし,財務省は効率的(安上がり)な教育政策をさらに実現するかもしれない。また,学校の抱える多種多様で大量の個人データは,マイナンバーを通じた国民管理にはうってつけである。例えば,生徒個人の成績データや問題行動データ(暴力・暴言など)を犯罪抑止に使おうとすることは十分ありえる

権力の源泉は,情報ひと(人事)とかね(予算)である。情報を持つものが権力を掌握し,ひととかねを通じて支配構造を貫徹する。ビッグデータはその情報の部分の鍵なのだ。すでに張り巡らされた監視カメラとネットを流通するデータは補足されているが,GIGAスクール構想によって学校の中にもこの神経網が張り巡らされることになる。

2021年6月19日土曜日

文部科学省:青木栄一

 中公新書2635の「文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術」を読了した。著者の青木栄一(1973-)さんは,東北大学教育学部教授で前職は国立政策研究所の研究員(2003-2010)だ。

「文部科学省」の目次は次のようになっている。

序 章 「三流官庁」論を超えて
第1章 組織の解剖−統合は何をもたらしたか
   1 幅広い業務,最小の人員
   2 組織構成から見る文部・科技のバランス
   3 揺らぐ機関哲学
第2章 職員たちの実像
   1 文科官僚−特急券をもつ者たち
   2 キャリアパスは変化したか
   3 融合は進んだか−幹部人事と出向人事から読み解く
第3章 文科省予算はなぜ減り続けるのか
   1 67万人の教員人件費,3万校の学校施設建築費
   2 高校無償化−政治に翻弄される4000億円予算
   3 国立大学の財政−年マイナス1%の削減
第4章 世界トップレベルの学力を維持するために
   1 ゆとり教育から学力向上へ
   2 教員の多忙化−過労死ライン6割超の衝撃
   3 教育委員会は諸悪の根源か?
第5章 失われる大学の人材育成機能
   1 高大接続−誰のための入試改革か
   2 大学改革−なんのためのグローバル化か
   3 先細る日本の学術・科学技術人材
終 章 日本の教育・学術・科学技術のゆくえ
2001年に文部省と科学技術庁が統合されて発足した,定員数が最も小さな文部科学省(定員2150人)の組織,人事,予算を説明した後,その政策について初等中等教育と高等教育にそれぞれ焦点をあてて非常にバランスよく説明している。自分の見聞・体験してきた分野とほぼ重なるので非常に読みやすく,飲み込みやすかった。

青木さんの専門分野は,教育行政学,地方自治論,公共政策論であり,現在の研究テーマは,官僚制のパネルデータ分析,教育と政治の関係,教員の労働時間とワークライフバランスなどであるため,第4章のゆとり教育の失敗や教員の多忙化のあたりが丁寧に分析されていた。

ただ,文部科学行政を牛耳ってきた自民党清和会の最近の極右的な傾向を反映した教科書検定の結果としての現状(従軍慰安婦記述など)や,その観点からの教員免許更新の意味,あるいは道徳教育の復活など,文科省がかかえる復古的な動きについてはほとんどスルーされているような気がした。

一方,第5章の大学の危機について。高等教育は著者の直接の専門分野ではないけれど,実体験に裏打ちされたリアリティのある記述が,直近の様々な事態までを含んで語られており,とても共感できるのであった。例えば,221ページ
まず政治家は危機を煽り改革を叫び,制度改革の機運を醸成する。いつの間にか既存制度の改革自体が目的となり,冷静な政策論議が忘れられる。企業は,こうした醸成された状況にキャッチアップし,受託を見据えた動きをする。ここに有識者が影に日向に関わっていく。
例としては,大学入試改革が,世代交代した新自由主義的傾向の強い文教族によって,民間委託の名のもとに売り払われようとしていることが挙げられている。そう,GIGAスクール構想などのEdTechの動きについてもまったく同様なのだった。そしてその端緒となる「インターネットの教育利用」に自らの手を貸していた私なのだった。

さらに,文科省の背後にいる,官邸,他省庁,政治家,財界の「間接統治」によってこうした政策(ロジスティクス軽視,前線依存)が進められていることが明らかにされていくが,これを防ぐものがいない。例えば,266ページ
不幸なことに,文科省のこうした思考と姿勢に注意を促す外部主体がいない。教職員組合は本来,文科省を叱咤激励するべき存在だが組織率が低下し弱体化してしまった。教育学者は「エビデンスの罠」に囚われてしまい迷走している。多くの教育学者はエビデンスが政治家や各省庁に都合よく使われる危険性に気づかず,エビデンス重視の流れに無批判に乗ってしまい,その結果,文科省の挙証責任ばかりが求められるようになった。教育メディアは改革の紹介記事を特集するが調査報道は不十分で,多くは「提灯記事」の域を超えない。他方,改革に対する批判の多くが感情的で,何らかの学術的知見に裏付けられたものではない。
最後に,これを打開するための著者のアイディアとして,シンクタンクの活動を呼びかけている。詳細は,本を買って読んでください。


写真:中公新書2635 文部科学省 青木栄一(amazonより書影引用)


2021年6月18日金曜日

コロナワクチン接種状況(3)

 コロナワクチン接種状況(2)からの続き

6/17に,6/20まで出されていた緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の継続・変更・解除についての菅首相の記者会見があった。相変わらず,リスクコミュニケーションに失敗しているのだが,気になったのがワクチン接種100万回を達成したという部分

もし,首相官邸の新型コロナワクチンについてのデータが正しくて,それ以外の接種統計情報がないのであれば,菅首相の説明は誤っている。しかし,だれもこれを指摘していない。いや,リベラシオンとラジオ・フランスの特派員のKaryn Nishimuraさんがtwitterでつぶやいていた。その結果,当日の資料が公開された。


図 首相記者会見でのワクチン接種回数資料(2021.6.17)

6/16水と6/9水の差分が728万回なので,1日平均104万回に達したと書いてあるし,菅首相は自信満々で説明していた。 うーん,ホントなの? 政府のデータが,厚生労働省の新型コロナワクチンの接種実績(2/17-4/9=159万回)と首相官邸のこれまでのワクチン総接種回数だけであれば,首相記者会見で出された数字はおかしいように思われる。それ以外の情報が加わっていたり情報が加工されているのであれば,その限りではない

そもそも,注釈にある「土日は接種がないので金曜日分・月曜日分をつないで補完」とあるが,土日の情報が欠けているのは医療関係従事者等分であり,これも月曜分として,土日を含めた数字が計上されているため,注釈のような補完をすればダブルカウンティングになってしまう。

ただし,6/9-6/16の期間ではこの影響は高々36万回程度であって,大きな要因ではない。6/17付の政府公表データが正しいのであれば,新型コロナワクチン総接種回数は,6/9で2093万回(2038万回),6/16で2660万回(2766万回)なので,その差は567万回(728万回)となる(カッコ内は記者会見資料)。先程の本当は正しくない補完の効果を加えても,603万回にしかならないので,残念ながら菅首相のいう1日100万回には惜しくも到達しないのであった。

P. S. コロナワクチン接種状況(2)で指摘した,まだ加えられていない遡及入力分を評価しているから平均100万回/日突破は正しいという説があった。あるいはそうなのかも知れないので,来週もう一度確認してみることにしよう。

2021年6月17日木曜日

イベント制限

なにがなんでも オリンピックに向かってまっしぐらに進んでいる今日このごろ。

6月20日迄の緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置は解除の方向となり,変更されたものの期限は7月11日迄である。

緊急事態宣言10都道府県{北海道,東京,愛知,京都,大阪,兵庫,岡山,広島,福岡沖縄}のうち,沖縄は継続,岡山と広島は解除,その他下線のところは蔓延防止措置に移行。

蔓延防止等重点措置5県{埼玉,千葉,神奈川,岐阜,三重}の内,岐阜と三重は解除,その他は継続。したがって,蔓延防止等重点措置は合計10都道府県となる。

イベント制限については,緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置が出されている都道府県に対して,現在の定員50%以内かつ上限5000人を解除後は定員50%以内かつ上限10000人に変更し,1ヶ月後程度で問題がなければ,現在のその他地域と同様に,5000人以下か定員50%以内のいずれか大きい方に変更する予定である。

7月23日のオリンピック開始時には,定員の50%がOKになるということだ。関係者が口をそろえて今回のイベント制限変更措置は五輪とは関係ないというのでますます怪しさが露呈している。わかりにくいので,Mathematicaで現在と今後の制限のようすを図示してみる。

現在: g1 = RegionPlot[ {y < 0.5 x && y < 5, y <= 0.5 x || y <= 5}, {x, 0, 40}, {y, 0, 20}, PlotLegends -> "Expressions"]

今後: g2 = RegionPlot[ { y < 0.5 x && y < 10, y <= 0.5 x || y <= 5}, {x, 0, 40}, {y, 0, 20}, PlotLegends -> "Expressions"]



図 イベント制限(左6/20まで,右6/21から,単位は千人)

P. S. 日本経済新聞の朝刊記事の内容をまとめると上のようになったのだけれど,6月17日に開催された,新型コロナウイルス感染症対策本部(第 69 回) によると微妙に解釈が間違っているのかもしれない。その場合,その他地域でも上限の1万人が存在していることになるのだけれど,ちょっと自信がない。どうして,こんなにわかりにくい文書を作れるの?

2021年6月16日水曜日

辻村史朗

NHKのプロフェッショナル仕事の流儀で,「つくることが,生きること 陶芸家・辻村史朗」をやっていた。就寝の時間だったのでテレビを消して寝ようと思ったのだけれど,「奈良」というキーワードに引っかかって最後までみてしまった。

奈良の山奥(奈良市水間=みま)に自宅と窯があって陶芸を営んでいるが,自然の中で生活している夫婦の笑顔が素晴らしい。辻村史朗の略歴はこれが詳しい。京都のたち吉のウェブサイトにも紹介のショートムービーがある。

海外では高く評価されていて,Wikipediaの英語版はあるが,日本語版がない。細川護熙の陶芸の師匠であり,例年日本のデパートなどで個展を続けている。オンラインストアを覗いてみると,55万円とかだったのでちょっと手が出ません。


写真:陶塚となった水間の山(阪急百貨店から引用)

[1]陶芸家・辻村史朗さんからいただいた「宝物」(永松仁美)


2021年6月15日火曜日

要塞地帯法

 要塞地帯法(1899-1945)は,戦前の大日本帝国憲法(1889-1947)下に制定された法律である。衆議院を通過し,参議院で審議中の「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案土地規制法案)」との関連が指摘されている。

要は,大日本帝国時代の法律である要塞地帯法のほうが,現在提出されている基地周辺土地規制法案より,法律としての禁止事項の構成要件が明確になっているという皮肉な事態になっているということだ。政府与党参考人にまで現行法案の重大な問題点が指摘されても,カエルの面に水の自民党,公明党,日本維新の会なのであった。

この法案の源泉には,石原慎太郎−野田佳彦による尖閣列島国有化が影を落としているし,基地や原発への反対運動を弾圧するためにフルに活用されそうな勢いであり,基本的人権に対する深刻な脅威となっている。

P. S. 6/15 国会閉幕直前に参議院を通過成立。

[1]「基地周辺土地規制法」について(内藤功)

[2]取り返しのつかない土地規制法案(馬奈木厳太郎)

[3]要塞地帯法の成立と治安体制(Ⅰ)(遠藤芳信)

2021年6月14日月曜日

ドローン

 周回遅れの三乗くらいだが,NHKで国産ドローンが重要だというニュースをやっていた。ドローンという言葉を最初に耳にしたのはTEDトークだった。2012年から2013年にかけてだと思う。探してみたけれど,どうもそれらしいものが見当たらない。その後まもなく,ドローンが話題になって普及し始めたと思ったら,2015年4月に首相官邸無人機墜落事件が発生して,日本ではあっというまに冷水が浴びせかけられた。

YouTubeとドローンの相性もよかったので,新型コロナ感染症がはびこる前までは,ガジェット系のYouTuberがドローンをとりあげることも多かった。そんなわけで,小型ドローンのトップメーカで世界シェアの76%を占める中国のDJIもなじみ深い会社となった。DJIはドローンだけでなく,動画カメラのジンバルや小型スタビライザー付カメラ,教育用ロボットなど魅力的な製品を送り出している。

中国の急速な技術進化が,このようにハイテク分野に及ぶにいたって,アメリカは中国技術の排除に動き出した。日本も喜んでこれにしっぽを振っている。5G通信インフラからのファーウェイの排除から始まったこの動きはどこまで突き進むのだろうか。多少あがいても中国の技術優位の傾向はかわらないだろう。なにせ,もう月面探査機からのサンプルリターン火星の表面探査に成功するところまで来ているのだから。

そう,光瀬龍の宇宙史シリーズでは,宇宙空間における活動の主役は中国系とアフリカ系の人々だった。


写真:DJI mini2 (DJIから引用)

2021年6月13日日曜日

プリズナーNo. 6

 プリズナー No. 6は1967年から1968年にイギリスで制作・放映されたテレビ番組であり,1969年の3月から6月にかけてNHKの総合テレビで放映された。当時高校1年生。SFドラマだと思って毎週わくわくしながらみていたのだけれど,最終回までたどり着いた記憶がない。途中で挫折したのかもしれない。あるいはストーリーがわからないまま終わったので印象が霧の中なのか。

トマス・M・ディッシュ(1940-2008)によるノベライズがハヤカワ文庫SFの1冊として出たときには飛びついたのは,やはりそのTVドラマのほうが顛末が気になっていたためだ。いや,ドラマの主人公の諜報部員であるNo. 6が閉じこめられていた村の No. 1 が No. 6自分自身だったという結論はどこかでみかけた。もろにインナースペースSFだった。

最近,YouTube上に過去の17回の英語版をみつけ,初回をみたところ,意外なことに気がついた。プリズナー No. 6の主演・企画・(監督)はパトリック・マクグーハン(1928-2009)だ。ドラマ中でNo. 2から監視されていたプリズナー No. 6 の生年月日1928年3月19日というのは,演じている現実のマクグーハンの生年月日に他ならないのだった。

当時のドラマとしては最先端の科学技術考証をしているので,いまみても色あせていない。村に張り巡らされた情報伝達システム,監視システム,白い球やヘリコプターは,現代のインターネット,監視カメラとドローンにそのまま置き換えることができる。


写真:Patrik McGoohan as Prisoner No. 6(Wikipediaより引用)

2021年6月12日土曜日

東京オリンピック(1)

東京オリンピック1964のときには,小学5年生だったので, オリンピックに対してはそれなりに刷り込まれたイメージがある。10月1日の開会式は,晴の確率が高いということで選ばれたが,金沢の家からみた庭の空も晴れていたような気がする。テレビでみた開会式はカラーだったのだろうか?

泉野小学校の各教室の掲示板にはメダル星取り表が配られた。金銀銅メダルのシールを種目別に貼っていくのがクラスの日課になっていた。メダルの結果を知るために4年生の教室に偵察にいったところ,まきびしならぬ押しピンで退散させられた。当時履いていたズックはすぐボロボロになるので,ほぼ裸足状態で校内を走り回っていたからだ。

当時,廊下のささくれが足の裏にささって痛みが続いていたところ,母が夜中に焼いた針でこれを取り除いてくれた。親心のありがたさが身にしみた。

近代オリンピックが,フランスのクーベルタンの提唱によって1896年にアテネで始まってから125年になり,その歪みがこのコロナ禍によって可視化されている。特に,IOCに巣くういわゆる五輪貴族と商業主義の弊害だ。そして,国内でも人材派遣のパソナや電通や大手ゼネコンやITベンダーと中抜きのシステムによって,税金がボロボロに食い荒らされている。

100年前の1920年アントワープオリンピックは,第一次世界大戦とスペイン風邪の後の大会として今回の東京2020と比較されることが多いが,開会式が4月20日,閉会式が9月12日,種目に綱引きがある時代だった。そして,多くの医療関係者や市民の反対にもかかわらず,東京2020は強行されそうだ。

2021年6月11日金曜日

コロナワクチン接種状況(2)

 コロナワクチン接種状況(1)からの続き

自衛隊が東京と大阪で運営する大規模接種センターが現段階で予約が2割とか3割しか満たされていないために,全国からの接種を可能にするらしい。おい,人流はどうなった。大阪維新もそうだけれど,安倍−菅政権を通して十分に吟味検討されていない政策が,整合性も反省もなくいきあたりばったりに積み重ねられている。アジャイル政策開発といえばもっともらしくごまかせるのかな。

さて,証拠に基づく政策づくり(EBPM)とはほど遠い現状で,重要な社会統計データの質や信頼性についても不審な点が多々観測される。コロナワクチンの接種回数統計もその一つかもしれない。前回に続いて,医療関係従事者と高齢者の接種回数をプロットしてみた。一日あたりの接種回数100万回の目標にはほぼ順調に接近しているように見える。ただし,菅首相が100万回に達したと言及したのは嘘であり,高齢者分だけに限ればまだ60万人程度の水準である。

図1 ワクチン接種状況(2021.6.10まで)

高齢者向けワクチン接種統計はワクチン記録システム(VRS)によって集計されているようだが,いまだに1ヶ月以上過去のデータが更新され続けている。つまり,首相官邸のワクチン接種回数データは,数日の遅れはあってもそれより過去のデータは変化しないというものではなくて,毎回の更新時に全過去データへの修正が行われるということだ(医療関係従事者のほうはそうなっておらず過去分は確定した状態で更新される)。

善意で解釈すれば,VRSの導入がまだ続いていて,利用できるようになった会場での遡及入力が行われているということなのかもしれないが,それにしても時系列統計としてどうなのよという感じである。


図2 6/10時点の接種回数と6/9時点からの遡及差分(対数軸)