小学校理科5年に「振り子の運動」の単元がある。振り子の等時性を,条件制御した実験によって明らかにするというのが目的である。その条件としては,振り子のおもりの重さ,振り子の長さ,振り子の振れ幅(振れ角の初期値の大きさ)の3つが設定されている。
実験で使う安価なデジタルストップウォッチでも100分の1秒まで測れるものが普通なので,小学生による実験でもそれなりの精度が出てしまうわけだ。そういうわけで,丁寧な実験をすると振り子の周期の振れ幅依存性が見えてしまう。単振動の一定周期$T=2 \pi \sqrt{\frac{L }{g}} \approx 2 \sqrt{L}$からのずれ,楕円積分から出てくる効果だ。振れ幅が大きいほど周期が単振動の場合より大きくなる。
これを,実験誤差だからといって無視したり抑え込んでしまうのか,あるいは,将来の学習への含みを残すのかは難しいところである。けれども,とりあえず小学校教員(理科系でないとしても)の豆知識としては,この事実を理解しておくことは必要だと思うので,授業でも取り上げることにしている。
近似式が転がっていたので,Mathematicaで計算してみた。振れ幅(片側)は30度以下が推奨となる。
k[s_] := Sin[s Degree/2]
t[s_] := 1 + k[s]^2/4 + 9*k[s]^4/64 + 225*k[s]^6/2304
Plot[{1.0, t[s]}, {s, 0, 90}, Frame -> True, GridLines -> Automatic]
Table[{s, "->", t[s]}, {s, 0., 90, 15}]
{{0., "->", 1.}, {15., "->", 1.0043}, {30., "->", 1.01741}, {45., "->", 1.03993}, {60., "->", 1.07281}, {75., "->", 1.11693}, {90., "->", 1.17236}}