今から5年前の2019年,NHKスペシャルで美空ひばりの歌う姿をAIで再現するという番組をやっていた。鳴り物入りで宣伝された割には,それほど凄いという印象でもなかった。ChatGPTが登場する3年前である。最新のAI技術を元にした故人の再現人格という意味では,亡き妻のとりちゃんの再現を続けている松尾公也さんが最先端をいっているかもしれない。
OpenAIのo1のpreviewが取れたと思ったら,o1 Proが登場して月$200=3万円のプランが始まった。無職老人にはちょっと手が出ないが,ネット上の有名人はどんどん参入している。o1 Proは,推論機能に一日の長があるのだろうが,全体として生成AIの水準は高まっている。その中で,1人2時間余りのインタビューでつくられた1000人の人格再現集団が,実在集団の85%程度を再現できる程度で十分シミュレーションに使える時代になったということだ。
これらを踏まえると,AGIの時代は,こうした仮想人格再現や実在人格再現が大きな着目点になってくるのではないかと考えられる。これについていくつかの質問をChatGPTに投げ掛けた。
Q(koshix):AIによる人格再現が可能になった場合にどのような応用例が展開されますか。人格再現は,人の知識や性格や記憶などを再現できるものとします。次の2つの場合に分けて考察してください。(1) 仮想人格再現現実には存在しないけれど様々な技能や性格を持った典型的な人格を任意の数だけ再現する場合(2) 実在人格再現現実に存在する人間からの学習や情報転移によって,チューリングテストで本人とほぼ区別できない人格を再現する場合A(ChatGPT o1)以下では、人格再現という概念を「人の知識、性格、記憶などをAI上で模倣・生成する技術」として捉えた上で、仮想人格再現(1)と実在人格再現(2)のそれぞれにおける主な応用例を体系的に考察します。また、考察に入る前に、前提や基本的な発想プロセスを示します。【コンテキスト・前提条件・考え方のステップ】1.技術的背景:人格再現技術は、大規模言語モデルや強化学習、デジタルツイン技術など、多様なAI技術を統合することで実現可能と考えられます。人格再現には、知識データベースの構築(どのような経歴や知見を持つか)、性格特性の定義(性格五因子モデルなどの標準化指標)、記憶の再現(履歴対話や出来事ログなど)などが組み合わされます。2.応用可能性評価の枠組み:(1) 仮想人格再現:フィクション的存在または完全に合成されたキャラクター。利点としては「デザイン自由度の高さ」「原典となる個人への権利配慮不要」「任意の数を生成可能」が挙げられます。(2) 実在人格再現:既に実在した/している人間の人格をデジタル化したもの。特定の個人(現存/故人)の知識や話し方を再現し、本人と識別困難なほどリアルな体験を提供することができます。権利・倫理・プライバシーなど実務上の制約や懸念が大きくなります。3.考察のフレームワーク:各ケースで主な応用領域を整理するために、以下のカテゴリーに分けて考えます。(1) 教育・学習支援と訓練(2) ビジネス・サービス支援(3) クリエイティブ用途(エンタメ、創作支援など)(4) 医療・メンタルヘルスケア(5) 歴史・文化財継承(6) コミュニケーション・プロトコルの代行(代理応答、顧客対応など)【続く】
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概ね期待通りの答えが帰ってきたが,考察のフレームワークには異論がある。
(1) 教育・学習支援と訓練(例の教育実習など教師の訓練用を想定)
(2) ビジネス・サービス支援と訓練(6はここに含まれるだろう)
(3) クリエイティブ支援と訓練(文学や音楽や演劇の観客をも仮想的につくれる)
(4) 医療・メンタルヘルスケア支援と訓練
(5) メモリアル・歴史継承(戦争や震災の被害者の記憶を継承するのだ,被団協・慰安婦)
(6) 社会科学・政策・行政シミュレーション
こんなふうになるのではないか。まだ見落としがあるかもしれないけれど。支援だけではなくて,人格の多様性が必要となる訓練=シミュレーションに重点をおくべきだという考え。
[1]AIによる人格の再現は利用する(Kei Tanahashi,2019)
[2]人格の再現実装について(Zxyeon)
[3]性格を持ったAIとの対話が可能に。人格化されたAIの加害性とは?(かさいちひろ)
[4]異なる“人格”をもつAIが話し合い、企業のアイデア出しをしている(WEIRED)
[5]Character.ai(Wikipedia)
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