菅首相と関係の深いぐるなび(Go To イートでもおなじみ)創業者で実業家の滝久雄が「パブリックアート」というふれこみで2020年度の文化功労者に選ばれている。彼は広告代理店エヌケービーの取締役会長・創業者をつとめているが,伊藤詩織さんの準強姦事件の当事者である山口敬之を事件後の資金提供のためにエヌケービーの顧問として抱えていたことがある。これは当時の官房長官であった菅の口添えによるらしい。
文化功労者に,学術や芸術にたずさわるもの以外が選ばれることがあるのかと,Wikipediaの文化功労者の一覧を眺めてみる。日本国憲法第14条により文化勲章には年金などの特権はつけられない。これを回避するために,1951年に文化功労者年金法が設けられ,文化功労者の制度が発足した。2020年までの70年間で907人が選ばれている。このうち51%の467人が学術関係,45%の406人が芸術関係,残りの34人がスポーツその他であり,まったくないわけではない。
発足時の1951年に34名,2年目の1952年に16名,1953年から1987年までは毎年10名の文化功労者が選ばれてきた。その後竹下内閣時代に13名が2年続き,1990年以降2017年まではほぼ15名で推移してきた。ほぼと書いたのは,ノーベル賞の受賞者が発表されたことで,1,2名のプラスが必要な年があったからだ。2018年に18名,2019年に20名,2020年に21名と最近急にインフレが起こったと同時に,「その他」枠の微妙な運用が始まっている。
スポーツも文化だといえばそうなのもしれない。その他のうち18名はスポーツ関係である。その最初は,1955年の平沼亮三(スポーツ振興)や1961年の三船久蔵(柔道)であった。一方,実業家で芸術関係のパトロンであった人や純粋な実業家も選ばれている。1955年に松竹の大谷竹次郎(演劇振興),1973年の田中角栄時代に鹿島守之助(経営)・・・経営も文化なのかもしれない・・・。1989年の竹下内閣で井深大(電子技術),技術者と考えれば他にも数人該当するのでここは個人的には納得(テキトー)。1995年に再び松竹の永山武臣(経営),こんどはこうきたか。まあ,歌舞伎は松竹が持っているので仕方ないかもしれない(テキトー)。
そしていよいよ2018年になって,文化振興で茂木友三郎と福原義春とくる。かりにここまではなんとか理解できたとしても,2019年の笹川陽平(文化振興他),渡辺美佐(文化振興),2020年の酒井政利(音楽文化振興),鈴木幸一(文化振興)そして滝久雄とイケイケになってきている。滝久雄を文化振興ではなくパブリックアート(1% FOR ART)というキーワードで埋め込もうとしているのが気持ち悪い。ベネッセと吉本興業の経営者が登場する日も近い。
日本国憲法第十四条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
文化功労者年金法
第一条 この法律は、文化の向上発達に関し特に功績顕著な者(以下「文化功労者」という。)に年金を支給し、これを顕彰することを目的とする。
第二条 文化功労者は、文部科学大臣が決定する。
2 文部科学大臣は、前項の規定により文化功労者を決定しようとするときは、候補者の選考を文化審議会に諮問し、その選考した者のうちからこれを決定しなければならない。
第三条 文化功労者には、終身、政令で定める額の年金を支給する。