2026年2月11日水曜日

角川類語新辞典



図:日本語シソーラス空間のイメージ(Nano Banana Proによる)



角川類語新辞典は,日本語シソーラス6万語を10×10×10の項目体系で分類収容した辞典である。その1000項目をざっとみると,おもに漢字二文字の項目がずらっと並んでいて気持ちが良い。

例えば,10×10の上位階層を引用すると次のようになっている(090の物象のみ,さらに下位の階層を展開した,なお✓は ChatGPTによる漢字2文字に寄せた修正項目名)。
  0:自然
 00:天文:天体とその現象
 01:暦日:暦で定めてある日
 02:気象:大気の状態と現象
 03:地勢:地形の起伏の状態
 04:景観:地表にあるものの眺め
 05:植物:生物の中で植物に対するもの
 06:動物:生物の中で動物に対するもの
 07:生理:生物の生命の現象
 08:物質:物を形作っている実質
 09:物象:生命のない物質が起こす現象
090:物象|生命のないものに関する現象
091:反応|物質の間に起こる化学的な変化や働き
092:燃焼|空気中の酸素と化合して熱と光を出すこと
093:熱|温度や状態の変化を起こさせるエネルギー
094:煮沸|水などを煮え立たせること
095:光|光ること。光るもの
096:音|耳に聞こえる物の響き
097:波|動媒質の振動が波のように伝わって行く現象
098:力|物体を動かしたり、速度を変えたりする作用のもと
099:電気|発電体に電気作用を起こさせるもと

  1:性状
 10:位置:もののある場所
 11:形状:物を形作っているその形・様子
 12:数量:物の数と量
 13:実質:事物の実際の内容・性質
 14:刺激:感覚を起こさせる外的な条件
 15:時間:過去から現在・未来へ移り行く現象
 16:状態:外部から見た物事のありさま
 17:価値:ものの持っている値打ち
 18:類型:似通った型や形式
 19:程度:物事の度合い

  2:変動
 20:動揺:物が動き揺れること
 21:移動:物の位置・場所が他へ変わること
 22:離合:事物が離れることと合うこと
 23:出没:出入りして見え隠れすること
 24:変形:物の形が変わること
 25:変質:物の性質・物質が変わること
 26:増減:数量が増えることと減ること
 27:情勢:物事の変化・進展して行く有様
 28:経過:時間が過ぎてゆくこと
 29:関連:物事と物事の間につながりがあること

  3:行動
 30:動作:何かをするときの体の動き
 31:往来:行ったり来たり
 32:表情:気持ちを顔付きや身振りに表すこと
 33:見聞:見たり聞いたりすること
 34:陳述:意見や考えを口で述べること
 35:寝食:寝たり食べたりする日常生活のこと
 36:労役:体を動かして仕事をすること。その仕事
 37:授受:物品や物事をやり取りすること
 38:操作:物を操って役立てること
 39:生産:生活に必要な物を作り出すこと

  4:心情
 40:感覚:外からの刺激に対する心身の反応
 41:思考:問題の解決を求めて思い巡らすこと
 42:学習:知識や行動の能力を身につけること
 43:意向:心がある物事を目ざして動くこと
 44:要求:相手に対して自分の意志を通じること
 45:誘導:人の心を誘って、ある状態に導くこと
 46:闘争:相手に逆らって打ち負かそうとすること
 47:栄辱:名誉になることと恥になること
 48:愛憎:愛することと憎むこと
 49:悲喜:悲しみや喜びなど人間感情の動き

  5:人物
 50:人称:話し手・聞き手・話題の人などの区別
 51:老若:年寄りと若い人
 52:親族:血統・結婚によってつながる人々
 53:仲間:一緒に物事をする人
 54:地位:位・身分などからみた人
 55:役割:各人に割り当てられた役目
 56:生産:生産する仕事に携わる人 ✓
 57:役務:生産生産する仕事に直接携わらない人 ✓
 58:人物:人柄・才能などからみた人
 59:神仏:神や仏、またそのような存在

  6:性向
 60:体格:からだの骨組みや肉付きの様子
 61:容貌:顔かたち。顔の様子
 62:姿態:体つき・体の様子
 63:所作:考えや気持ちを表す体の動き ✓
 64:態度:ことをする時の心・身の構え方
 65:応対:他人に対するときの心・身の構え方 ✓
 66:性格:その人に特有の行動の傾向
 67:才能:物事を理解したり実行したりする力
 68:境遇:社会における人の置かれた位置
 69:心境:物事について考える心の状態

  7:社会
 70:地域:ある一定の区切られた土地
 71:集団:多くの人が集まった一塊
 72:施設:ある目的のための建物や設備
 73:統治:主権者が国・人民を治めること
 74:取引:売買での金銭と商品との受け渡し
 75:報道:出来事を広く世間に告げ知らせること
 76:習俗:習慣や風俗
 77:処世:世間でうまく暮らして行くこと
 78:社交:世間における人と人との付き合い
 79:人倫:人と人との関係。また人として守るべき道徳

  8:学芸
 80:学術:学問とその応用に関する事柄
 81:論理:考えを進めてゆくときの筋道
 82:記号:一定の思想・事柄を表すための印
 83:言語:音声や文字で思想・感情を表し伝えるもの
 84:文書:文字によって人の意思を書き記したもの
 85:文学:言語によって表現される芸術
 86:美術:主として人間の視覚に訴える芸術
 87:音楽:音をもとにして作る芸術
 88:芸能:映画・演劇・舞踊・寄席演芸・芸事など
 89:娯楽:心に楽しみや慰みを与えるもの

  9:物品 
 90:物資:人間の生活に必要な物品・資材
 91:薬品:病気・傷を治すために用いるもの
 92:食品:食物または飲み物となる品物
 93:衣類:体に着る物のすべて
 94:建物:人が住んだり物を置いたりするために建てたもの
 95:家具:家の中で使用する道具
 96:文具:ものを書くのに用いる道具など
 97:標識:目印として作られたもの
 98:工具:工作に使う小道具・刃物類
 99:機械:一定の動きを繰り返し作業をする仕掛け

これを生成AI(LLM)諸氏にインプットして何が欠けているかを尋ねた。1981年に出版されたものだから,現在のトレンドが反映されていないのは仕方ない。ところが,ChatGPTとGeminiだけがわりと本質的な問題点を指摘してきた。
Q(koshix):
世界がさきほどの1000の言葉で文節化されたわけですが,ここから抜け落ちている,まとまったカテゴリーはありませんか?

A(ChatGPT 5.2):
結論から言うと――あります。しかも「偶発的な欠落」ではなく、この体系の設計思想から必然的に抜け落ちている塊がいくつかあります。

1.この1000語体系が「強くカバーしている世界」
まず確認ですが、この分類は非常に一貫しています。
自然 → 性状→変動 → 行動 → 心情 → 人物 → 性向 → 社会 → 学芸 → 物品
いずれも「観察可能」「名詞化しやすい」「日常言語で安定して指示できる」ものを中心に構成されています。つまりこれは「人間が生活世界の中で “見て・して・感じて・使う” 世界」を、最大限バランスよく敷き詰めた体系です。その結果、ある種の「現代的・抽象的・メタ的なまとまり」が意図的に薄くなっています。(後略)

ChatGPTとGemini以外のLLMではこのような見方は出てこなかった。単に新しい言葉が足りないというだけだ。そこで欠落した部分を補うように指摘すると以下のような提案をしてきた。
A(ChatGPT 5.2):
ここでは 「1000語=第0層」 を壊さず、その上に 必然的に生成される上位層 を、世界像として自然に積み上げます。目的は分類表を増やすことではなく、因果地形として安定する層構造を与えることです。
全体像(先に輪郭だけ)
第0層:生活世界(Already given)
 あなたが提示した1000語体系。人間の直接経験世界。
第1層:抽象運動世界(Invisible but operative)
 情報・制度・モデル・技術など、人間が作ったが人間から自律し始めたもの。
第2層:意味・因果地形(Meta-operating layer)
 世界をどう切り、どう理解し、どう誤るかを決める層。

この三層は「包含」ではなく、重なり合いながら因果を流す構造です。

(続く) 

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