さきほどは,底面を構成する正n角形の一辺の長さを$a$として議論を進めた。これだと$n$を無限大にしたときに $a$ を無限小にする必要があって円錐への極限をとる話が面倒になる。正三角錐や正四角錐から話を繋げたのでこんなことになってしまった。
そこで,正n角形の中心Hからその1つの頂点までの距離を$a$とする。正n角錐の頂点Gから底面の頂点までの距離を$b$とする。Hから正n角形の一辺を見込む角度は$\dfrac{2\pi}{n}$であり,Hから辺までの距離は$\cos(\pi/n)$,一辺の長さの半分が$\sin(\pi/n)$となる。また正n角錐の高さGHは $\sqrt{b^2-a^2}$である。
正n角錐の内接球の半径を$r$とすると,前回のように三角形GOKにおけるピタゴラスの定理が$r$を決める条件式を与える。
$\displaystyle \Bigl\{ \sqrt{b^2-a^2 \sin^2(\pi/n) } - a \cos(\pi/n) \Bigr\}^2 + r^2 = \Bigl\{ \sqrt{b^2-a^2} - r \Bigr\}^2$
これを解くと,
$\displaystyle r(b) = \dfrac{a \cos(\pi/n) \Bigl\{ \sqrt{b^2-a^2 \sin^2(\pi)/n } - a \cos(\pi/n) \Bigr\}}{\sqrt{b^2-a^2}}$
前回のように,球の体積の多角錐の体積に対する比率を最大化する$b$を求めると,
$ \dfrac{d}{db} \Bigl\{ r(b)^3/\sqrt{b^2- a^2} \Bigr\} = 0$
を解いて,
$\displaystyle b = a \sqrt{5+4 \cos(2\pi / n)}$
となる。
$n$が無限大の極限の正円錐の場合は,$b=3a$となり,$r=\dfrac{a}{\sqrt{2}}になる。
図:半径aの円に内接する斜辺bの正n角錐と内接球
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