ところで,三角錐に内接する球におけるある式が目についた。$\displaystyle V = \dfrac{1}{3} r S$ だ。しかも,これは角柱,円柱,角錐でも成立するとある。えー,そんな式習ってないけど。と思ったが,おちつていよく考えてみるとなるほど案件だった。
$N$個の多角形で囲まれる一般の凸$N$多面体${\rm P}$の内部に一点${\rm O}$を取る。凸$N$多面体${\rm P}$は,その内部の点${\rm O}$と凸$N$多面体の表面を構成する隣接各点${\rm p_k}$を結んでできる三角錐${\rm \tau_i}$に,重ならないようにして分割できる(分割方法は一意的ではない)。
さらに凸$N$多面体の表面を構成する各面${\rm s_k}$(面積は$S_k$とする)に寄与する三角錐${\rm \tau_i}$を集めた一つの多角錐を${\rm t_k}$とし,その体積を$V_k$とする。また${\rm O}$点から,凸$N$多面体の各面${\rm s_k}$への距離(面に下ろした垂線の長さ)を$H_k$とする。
凸$N$多面体${\rm P}$の体積を$V$,表面積を$S$とすると,$\displaystyle V=\sum_{k=1}^N V_k, \quad S=\sum_{k=1}^N S_k$ である。一方,$V_k = \dfrac{1}{3} H_k S_k$ である。もし$H_k$がすべて等しい値$r$であれば,凸$N$多面体${\rm P}$の全ての面と内接する球が存在し,その半径が$r$になったものだと理解できる。このとき,$\displaystyle V = \dfrac{1}{3} r S $となる。
この特別な場合が角柱であり,角柱の一底面を一点に縮めてその点と中心点の関係を外せば角錐になる。また,正多角形を底面として側面をすべて合同な長方形や二等辺三角形にした角柱や角錐の側面を無限に小さく刻めば円柱や円錐になる。
図:真鍋さん(MIPO)の伊佐爾波神社算額No.6から引用
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