番組のサブタイトルは,〜明治のベンチャー起業家〜ということで,起業家としての高峰譲吉に焦点を当てていた。そのなかで,高峰譲吉がアドレナリンの発見(=抽出と結晶化,上中啓三,1901年)により2024年に全米発明家殿堂入りしたことが取上げられた。全米発明家殿堂に入るには人類の福祉を改善し、科学技術の進歩を促進する米国の特許を持つことが条件になっている。1973年から2024年まで600人以上が加わっている。
日本人では,2012年 遠藤章(スタチン),2015年 中村修二(青色LED),2019年 浅川千恵子(視覚障害者用Web読み上げ装置)の3人がいる。ところで,なぜ今ごろになってなのか。アドレナリンは,高峰の特許が消失してから,米国を中心にエピネフリンと呼ばれるようになった。これは,ヒツジの副腎からエピネフリンとよばれる類似物質を抽出した,エイベルが,高峰の業績を盗作だとしたものが広まったことによるらしい。最近になって高峰チームが確かに最初にアドレナリンを抽出したことがわかり,欧州と日本ではアドレナリンの名前が名誉回復している。
写真:高峰譲吉(Wikipediaから引用)
吾輩の主人は滅多に吾輩と顔を合せる事がない。職業は教師だそうだ。学校から帰ると終日書斎に這入ったぎりほとんど出て来る事がない。家のものは大変な勉強家だと思っている。当人も勉強家であるかのごとく見せている。しかし実際はうちのものがいうような勤勉家ではない。吾輩は時々忍び足に彼の書斎を覗いて見るが、彼はよく昼寝をしている事がある。時々読みかけてある本の上に涎をたらしている。彼は胃弱で皮膚の色が淡黄色を帯びて弾力のない不活溌な徴候をあらわしている。その癖に大飯を食う。大飯を食った後でタカジヤスターゼを飲む。飲んだ後で書物をひろげる。二三ページ読むと眠くなる。涎を本の上へ垂らす。これが彼の毎夜繰り返す日課である。吾輩は猫ながら時々考える事がある。教師というものは実に楽なものだ。人間と生れたら教師となるに限る。こんなに寝ていて勤まるものなら猫にでも出来ぬ事はないと。それでも主人に云わせると教師ほどつらいものはないそうで彼は友達が来る度に何とかかんとか不平を鳴らしている。
P. S. かつてネット上で検索できた過去の高峰賞受賞者リストはもう存在していない(Wayback Machineにもない)。ことほどさようにデジタルデータは諸行無常なのであった。21世紀のデジタル化された情報は1000年後にはきれいに欠落している可能性が高いようだ。
[1]高峰譲吉博士の全米発明家殿堂入り(The Nippon Club)
[2]高峰譲吉が全米発明家殿堂入りを果たしました(高峰譲吉博士研究会)
[3]くすり偉人伝No. 3 高峰譲吉(くすり研究所,日本製薬工業協会)
[4]近代日本を支えた偉人たち【高峰譲吉】(金沢ふるさと偉人館)
[6]近代日本人の肖像 高峰譲吉(国立国会図書館)
[7]日本の十大発明家(特許庁,1985)
[8]さくら、さくら_〜サムライ化学者・高峰譲吉の生涯〜(2010)
[9]三共株式会社初代社長高峰譲吉のイノベーションへの熱い想い(第一三共製薬)
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