屈折率が,n=√εrμr>1 である媒質中の光速度は,c′=c/nと真空中より遅くなる。ここで,εr,μr は無次元の比誘電率と比透磁率である。この媒質中を進む荷電粒子が媒質中の光速度を超える場合,波面の作る包絡線に垂直な方向に生ずるのがチェレンコフ光である。典型的な例は水に浸かった原子炉中の核燃料が出す放射線から生ずる青白い光である。
ところで,荷電粒子が電磁波を放出するのはそれが加速度運動している場合である。上記の放射線(高エネルギーのベータ線)は媒質の水の中を等速度で運動している。
砂川さんの理論電磁気学によれば,点電荷の座標をr(t′0),観測点の座標をx,粒子の位置から観測点に向かう単位ベクトルをn(t′0)=x−r(t′0)|x−r(t′0)|=x−r(t′0)R(t′0)とする。
さらに次の量 β(t′0)=˙r(t′0)/c と α(t′0)=1−n(t′0)⋅β(t′0) を定義した。
ただし,t′0 は t′0=t−|x−r(t′0)|/c の解であり,t′0のなかにxが含まれる。
スカラーポテンシャルϕ(x,t)とベクトルポテンシャルA(x,t)は,次式で与えられる。
ϕ(x,t)=e4πε01α(t′0)R(t′0)
A(x,t)=μ0e4π˙r(t′0)α(t′0)R(t′0)
また,電場E(x,t)と磁場B(x,t)=1cn(t′0)×E(x,t))は,
E(x,t)=e4πε0[(n−β)(1−β2)α3R2+(n−β)(n⋅˙β)−α˙β}cα3R]t′0
B(x,t)=μ0e4πε0[(β×n)(1−β2)α3R2+(β×n)(n⋅˙β)+α˙β×n}cα3R]t′0
加速運動する荷電粒子から生ずる電磁波は˙βの項からくる。これを含まない項は,遠方でR−2で減衰するのでエネルギーの放射には関係しない。一方,媒質中で光速を超える場合は,˙β=0ではあるが,同時にα=0になる可能性がある。そこでこの項が消えずに残るというのが,ものの資料[1]の説明だったが,イマイチよくわからない。フーリエスペクトル以降の計算を追えていない。
結局,チェレンコフ放射についても自分はよくわかっていなかった。まあそんなものだ。
図:チェレンコフ放射のイメージ(github-nakashoから引用)
[2]フランク=タムの公式
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