どうやら,トンデモ科学ではなさそうである。さっそく原論文を調べてみた。英国のサリー大学の数学物理学科の教授,D. C. Brody の Quantum formalism for cognitive psychology (2023) だ。そこで,Claudeにファイルをアップロードし,要約させていろいろ尋ねてみた。
Q:次の論文を詳しく要約してください。A:はい、論文の要約を試みます。この論文は、量子力学の形式主義を認知心理学に応用し、精神状態をヒルベルト空間のベクトルで表現することを提案しています。・選択肢の集合は観測量演算子として表現でき、確率は量子力学の振幅に対応する。・情報取得による精神状態の変化は、フォン・ノイマン=リューダースの投影公式によって記述できることを示し、これがベイズ的更新に一致することを説明している。・投影公式は不確実性を最小化する過程を導くため、適応的な情報処理の原理と整合的である。・状態空間上のダイナミクスでは、不確実性ゼロの状態が引力点となる。これが偏見の強固さの起源となる。・非可換な選択肢を導入することで、偏見からの脱出経路を提供できる。これは古典的推論では不可能。・量子力学的形式主義は認知心理学に新しい洞察を提供し、実験結果の説明に有用である。このように、本論文は認知プロセスを記述・予測するために、量子力学の数学的枠組みが非常に効果的であることを説得力を持って主張している、と要約できると思います。Q:精神状態をヒルベルト空間のベクトルで表現する場合,その時間発展を支配するハミルトニアンはどんな構造をしているのですか?A:この論文では、精神状態の時間発展を支配するハミルトニアンについては具体的に触れられていないようです。一般に、量子力学的な形式主義を認知プロセスに適用する場合、ハミルトニアンよりもむしろ観測プロセス(情報の取得)に注目が置かれることが多いと思われます。この論文でも、情報取得による状態変化をフォン・ノイマン=リューダースの投影公式によって表現しています。投影過程はハミルトニアンによる自発的な時間発展ではなく、外部からの作用による状態変化を記述していると見ることができます。したがって、この枠組みでは明示的なハミルトニアンよりも、むしろ投影演算子に注目が置かれているように思われます。ハミルトニアンの存在は仮定されていないと考えられます。精神状態の時間発展を記述する上で、具体的なハミルトニアンを特定することは今後の課題かもしれません。この論文ではそこまで踏み込んでいないように思われます。Q:それでは,このヒルベルト空間を具体的な関数空間として表現したときの関数の引数となる変数群は,精神状態におけるどの観測量と対応することになるのでしょうか。A:はい、精神状態のヒルベルト空間を具体的な関数空間として表した場合についてですが、この論文からは直接その点を読み取ることは難しいと思います。一般的に、量子力学的な認知モデルでは、以下のような対応付けがなされることが多いと考えられます。・ヒルベルト空間の基底は、選択肢や判断の対象となる事象などを表現する。・関数の引数となる変数は、それらの選択肢や事象を区別するのに必要な特徴量や属性値と対応する。例えば、2つの選択肢AとBがある場合、関数空間は2次元となり、その引数はAとBを識別できる何らかの変数になると考えられます。具体的には、判断対象の視覚画像であれば画素値、意思決定なら結果の価値や確率、概念であれば特徴的な属性等が変数となるのではないでしょうか。ただし、この論文から直接そうした対応関係を特定することは難しく、仮説の域を出ないと思われます。重要なのは選択肢などをベクトルで表現し得ること自体だと考えられます。Q:精神状態をヒルベルト空間のベクトルで表現することを正当化する具体的な実験的事実はなんでしょうか。精神状態をヒルベルト空間のベクトルで表現することを正当化する実験的事実について、この論文からは具体的に特定できるものはないと思われます。ただし、一般的には以下のような心理学実験の結果が、精神状態のベクトル表現の妥当性を支持する証拠として論じられることが多いと思います。・確率の法則が成立しない判断パターンの存在・順序効果の存在(判断の順序によって結論が変わる)・意思決定の非可換性(選択肢の順番に依存する)・確率の更新に関する非ベイズ的なパターンこれらの結果は、古典的確率では説明が困難である一方、量子確率の枠組みで説明可能とされています。しかし、この論文中にそうした具体的な実験事実への言及は見当たりませんでした。むしろ一般的な提案の域を出ない印象です。正当性の具体的な実証は今後の課題として残されているのかもしれません。
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