2021年4月20日火曜日

MacBook Air M1(2)

 MacBook Air M1(1)からの続き

新しいコンピュータが導入されると環境設定が大仕事になる。MacならばTimeMachineという強力な移行ツールがあるのだけれど,CPUアーキテクチャが Intel Core iX からAppleシリコン M1に替わり,OSもmacOS Catalina(10.15.x)からmacOS Big Sur (11.2.x)へとメジャーバージョンアップしたので,この際クリーンインストールをすることに。

(0) トラックパッドの設定(アクセシビリティの項目ONでタップ可能にする)

(1) ターミナルの設定(osaka等福14,ウインドウサイズは80x40,漢字コードはUTF8)これまではEUCだったが,もう大学のサーバのmnewsでメールを読まないので必要はないかも。

(2) EPSONプリンタドライバー(EP-805AW)一応BigSurには対応しているようだ。

(3) Xcode 2.4 & コマンドラインツール 2.4 の導入。

(4) homebrew 3.1.2 のインストール M1対応しているはずなのだけれど大丈夫か。

   /bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

   sudoに対してmacbook airの自分のアカウントのパスワードを入れる

   - Add Homebrew to your PATH in /Users/koshi/.zprofile:

   echo 'eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"' >> /Users/koshi/.zprofile

    eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"

(5) 必須コマンドの導入:nkf, wget, lynx, w3m, ffmpeg, gfortran この過程で依存関係からpython3も勝手に入ったようである。

(6) Office 2019 Home & Studentの導入。Parallelsはいらないかなぁ。

(7) Mathematica 12.0 のアクティベーションキーが使用済みなので,システム移行フォームでリセットしてもらう。最初は迷ったけれど結局とても簡単だった。

(8) iTunesの移行のためフォルダごとバックアップからコピーしてら動くかと思ったけれど,iTunesストアライセンスのものはPCの認証が必要で,5台を越えていたのでリセットした。

(9) MacTeX2014 4/1とTeXShop4.62の導入,これがM1 BigSur対応になっていて助かった。

(10) CyberDuck,GraphicConverter, JEdit, かわせみ3などの移行。

あとは細々したアプリやファイルを壊れる直前の状態のSSDからコピーした。古いMacBook Proには,Crucialの512GB SSDが入っていた。アップルストアの人に自分で入れ替えたのですねと聞かれたけれどすっかり忘れてしまっていて最初からSSDのモデルだと思い込んでいた。もしかしたらどこかのSHOPで入れ替えてもらったのだったかそれすら記憶が定かではない。この古いSATAのSSDを,YomttamasterのSATAケース に挿すだけで外付けSSDドライブの出来上がりだ。TimeMachine用にM.2 SSD 4TBの外付けドライブ 2-3Gb/sが欲しいけれどまだ高すぎる。

現在困っていること:Processingが動かない。jupyterlabが動かない。pythonの科学計算用モジュールのいくつかがインストールできない。

良かったこと:指紋認証がなにげにかなり便利。ポートは少ないけれど我慢できる。キーボードの感覚も全く問題なし。重さはそんな軽くはないけれどデザインと色は最高。

MacBookは既に身体の一部になっていて,なければ仕事にならないので,これが使えない時間を最小限に減らすために今回の判断になった。本当のところは,できるだけ旧機種を長く使ってからより性能の高い機種に移行したかったところだ。

2021年4月19日月曜日

非常勤講師2021前期授業開始

大阪教育大学の2021年度前期授業が 4月15日からスタートした。今年の大教大の非常勤は前期1コマ,後期3コマである。その初回が4月19日(月)である。大阪府では医療非常事態宣言が4/15から5/5にかけて発出されている。大阪府からは,大学等へのお願いとして「授業は、原則オンラインとし、困難な場合は、クラスを分割した授業や大教室の活用等により密を回避するようにしてください。(4月15日から要請)」となっていた。

一方,文部科学省からは対面授業実施についての強い圧力が加わっているようで,大学からの教員向けの様々な文書にもそれが滲み出している。そんなわけで,第1週目は必ず対面授業,第2週目以降で期限の5月5日までは,完全オンライン授業,その後は原則対面授業(一部の大人数指定科目だけは全てオンライン授業)として,対面授業の割合は50%以上確保し,教員の都合で勝手にオンライン授業にすることは禁止というなんだかわけのわからないがんじがらめになってしまっていた。

久しぶりの大学はエスカレータの天井や周辺が荒れ始めていたが,エスカレータ三号機だけは新調されていた。非常勤講師のための講師控え室(教務課職員が支援)は無人の印刷室に代わり,学内は消毒剤で溢れていた。教室の扉は開け放してあり,授業の中盤にはチャイムがなって換気を促していた。いくら対策していてもこれだけ若者の密度が高ければ,高齢者にとってはなかなか怖い空間となっているのであった。



写真:新調していない方のエスカレータ1号機(撮影 2021.4.19)

2021年4月18日日曜日

MacBook Air M1(1)

 天災は忘れた頃にやって来る。じゃなくて,昨日まで普通に使えていたものが,存在していたものが,ある日突然事故で消滅してしまう,というのはよくあることだ。53年使っていた腕時計が壊れ,8年使っていたMacBook Pro mid2012に,こぼしたお茶が浸水して電源が入らなくなってしまった。今後の教訓としては,(1) Apple Careには入れれば入る。(2) 電源ケーブルを抜き決して焦って電源ボタンは押さない。(3) 水はできるだけ吸い取るが,基盤の細部に染みたものは数日間乾かない可能性がある。(4) そもそも机の面とコンピュータの底面に段差を設ける。などなど。

そんなわけで,バッテリ交換から3週間で再びApple心斎橋に向かった。相変わらずの丁寧な対応の結論は,浸水による基盤交換等は一律8万数千円かかる。ということで,心が折れてしまった(というか当初の見込みは8万円以上は新品購入,5万円以下は修理というものだった)。早速,MacBook Air M1 16GB/1TBの在庫を確認してもらい,内蔵SSDを取り出して壊れた本体を引き取ってもらった。

この日は,4月22日は地球環境を考えるアースデイとのことで,アップルロゴのてっぺんの葉がグリーンになっていた。スタッフのTシャツもいつもの青から緑に変わっていた。Macを1980年台から使っていて,@mac.comのメールアドレスを使っているというと,販売担当のスタッフさんは驚いていた。また,技術担当のスタッフさんも,MacBookProの側面のCD/DVDドライブスロットや有線Ethernet Portには興味津々という感じだった。


写真:アースデイの心斎橋アップルロゴ(撮影 2021.4.18)


2021年4月17日土曜日

Antonia Brico

 録画してあった映画「レディ・マエストロ」を観た。英語タイトルは「The Conductor」だったので,この日本語タイトルはなんだかなあだったが直訳にならないのはやむを得ないかもしれない。アメリカ映画かと思ったが,マリア・ペーテルス監督の2018年オランダ映画だった。史実に基づいた伝記映画であり,最初期の女性指揮者であるオランダ系移民のアントニア・ブリコ(1902-1989)が主人公である。

上記の日本語版ウィキペディアに詳しいあらすじがあるので,これを読めばどんな物語かは正確にわかる。普通このような実録映画のエピローグでは,主人公が先駆者として道を切り拓いたおかげで,現在のその領域の隆盛があるということで,めでたしめでたしとなる。しかし,この映画では,アントニア・ブリコがベルリン・フィルを指揮した1930年から90年経っても,世界の主要な20のオーケストラの主席指揮者には女性はいないし,世界の指揮者ベスト50にも女性がいないという結果を示して終わっている。

指揮や音楽の場面は今ひとつ惜しかったが,ニューヨークの貧しい移民街や家庭の風景はハリウッド映画ではないオランダ映画的なリアリズムが見られたかもしれない。

2021年4月16日金曜日

新型コロナワクチン接種予約(2)

 新型コロナワクチン接種予約(1)からの続き

天理市では,4月中の高齢者向けワクチン接種数は375名であり,4/12から4/30の19日間に,2箇所の集団接種会場が設けられて実施される。平均約20名/日である。

奈良県の資料によれば,高齢者向けのファイザーのワクチンの第1クールでは,全国100箱のうち奈良県には2箱届いている。1箱には冷凍された195バイアルが入っており,解凍して希釈した1バイアルからは5-6回分の摂取ができる。したがって,奈良県の第1クールでは,2000回分のワクチンが届いている。

全国ではその50倍で10万回分であり,これを4月12日から接種開始するならば,全国の高齢者向けワクチンの1日平均の接種数は約5000回となるはずだ。ところが,首相官邸のコロナワクチンのページでは,4/12から4/15までの4日間でほぼ毎日1600回となっていた。大丈夫か。

そもそも,全国470万人の医療従事者への接種が185万回(1/5)しか済んでいないのに,アリバイ的に高齢者向け接種を始めたところに問題がある。これからは接種回数が加速するとはいえ,とても6月中に医療従事者と高齢者の接種が終わりそうにないのだけれど。

[1]新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種について(奈良県医療審議会報告資料)

[2]新型コロナワクチン(首相官邸)

[3]新型コロナワクチンの接種実績(厚生労働省)

2021年4月15日木曜日

ALPS処理水(1)

多核種除去設備等処理水からの続き

 経済産業省によると,風評被害防止のため「東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の定義を変更しました」とのこと。これまでの報道でも処理水=トリチウムだけを含んだ処理済み汚染水というニュアンスで伝えられていたが,さすがに自民党内の原発推進派からもクレームが来るようなことだったので,保管されているいわゆる処理水の7割には,規制基準を越えるトリチウム以外の放射性物質が含まれていることを明示せざるをえなくなったようだ。

今後は,「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」のみを「ALPS処理水」と呼称することとします,ということである。トリチウム($^3$H)だけでなく,放射性炭素($^{14}$C)もALPSでは除去できないが基準以下という説明だ。東電のスキームでは,放出前に希釈するといっているので,この表現ならば7割の基準を満たさない「処理水」も希釈後は「ALPS処理水」になってしまうのだが大丈夫なのか。普通は信頼関係でそんなとんでもないインチキはないと思うのだが,相手が東電や経産官僚なので疑心暗鬼にならざるを得ない。

反ニセ科学の人たちは,ここぞとばかりにトリチウムの安全性を強調しているが,その前にもう少し前提条件を疑っても良いのではないか。これ以上の保管が困難な理由は何か。トリチウム水 HTO を,水蒸気として大気中に放出するのではなく,液体の水として海へ放出するのでなければならない理由は何か。

(1) 福島第一原発の敷地は137万平方kmあって,5号機6号機の北や西のエリアには建物がない場所がたくさんある。もちろん,今後の廃炉計画上は一定の用途が割り当てられているが本当に見直す余地はないのだろうか。廃炉過程の廃棄物の受け入れ予定場所とはいえども,漁業風評被害と天秤にかければ全く議論の余地がないわけではないだろう。正常にALPSを経由した3割の「ALPS処理水」については40年保管すれば放射線量は1/8には減らすことができる(トリチウムの半減期は12.3年,毎年5.5%の割合で減少する)。複雑な構造の原子炉本体を60年動かそうとしているのに,単純なタンクが60年維持できないのはなぜなのか(最も,自宅マンションの貯水槽も30年目にして更新作業中なので何か理由があるのかもしれない)。

(2) 世界各国の正常に稼働している原子力発電所の場合は,トリチウムの液体(水)放出と気体(水蒸気)放出が同程度に行われている。福島第一原発は原発事故地という特別な環境にあるため,そもそもこれらの正常な原発のトリチウム放出と同等に考えて良いのかどうかは議論の余地があるが,それにしても漁業への影響のない水蒸気放出が困難である理由がほとんど具体的に示されていない。

(3) 正常に運転される原子力発電所では,原子炉周りの地下水の流入による汚染を防ぐためにサブドレンという名前の井戸を周囲に設けている。その水位を保つためにサブドレンの水を汲み上げて海に放出しているが,この水は一定の汚染レベルになることがある。その放出水に含まれるトリチウムが1500Bq/Lであり,今回のALPS処理水をこの水準まで希釈して放出するというのが東電の方針である。このためには平均500倍に希釈する必要がある。タンクのトリチウム汚染濃度平均が73万Bq/Lであるからだ(現時点の福島第一原発のトリチウム総量は860兆Bq)。これって海水で500倍に薄めるのよね。この論理が使えるならば,どんな物質でも海水で基準以下まで希釈してから海に放出できるのではないか。

[1]ALPS処理水について(経済産業省)

[2]廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議(第5回)(首相官邸)

[3]廃炉・汚染水・処理水対策ポータルサイト(経済産業省)

[4]処理水ポータルサイト(東京電力)

[5]Japan plans to release Fukushima’s wastewater into the ocean(Science)

2021年4月14日水曜日

国性爺合戦

 近松門左衛門(1653-1725)の国性爺合戦(1715)は,人形浄瑠璃の歴史物としては異色で中国が主な舞台となっている。なかなかナショナリズムを鼓舞する内容だった。主人公の和藤内は,明の役人であり日本に渡っていた老一官とその日本人妻の間の子供という設定だ。老一官と和藤内は,清朝からの明朝の復興運動を行った鄭芝龍(1604-1661)と鄭成功(1624-1662)=国姓爺をモデルとしている。老一官の妻は物語の中で中国に渡って重要な役割を果たすのだが名前が付いていない。何とかならなかったのか。17ヶ月連続興行の大ヒット作品だったわけだけれど,当時はどんなイメージで見られたのだろうか。

国立文楽劇場で国性爺合戦を見るのは2回目であり,前回は2016年の初春文楽公演だった。が,前回の記憶はほとんど飛んでいて,あらすじもよくわかっていなかった。しかも虎が出てきたのにはっきりと覚えていない。多分例によって寝ていたのだろうと思われる。今回も,呂勢太夫と清治による楼門の段はほとんど寝ていたので,いつの間にか老一官の妻が縛られて連れられていく始末だった。

久しぶりの4月文楽公演鑑賞は,大阪府のコロナ新規感染者が1000名を越えた日だった。公演記録のために撮影録音が行われていたが,観客の入りは間隔を開け定員の1/3から1/4程度だった。プログラムによれば太夫に新人2名が加わったようで,心強い限りであるが,この調子で大阪の感染拡大が続けば,7月公演はどうなることか心配だ。

1 大明御殿の段(17分)
2 大明御殿奥殿の段(23分)
3 芦辺の段(10分)
4 平戸浜伝いより唐土船の段(39分)
5 千里が竹虎狩りの段(23分)
6 楼門の段(47分)
7 甘輝館の段(49分)
8 紅流しより獅子が城の段(28分)

前回は,1段目から3段目(1-8)までだったが,今回は三部構成で時間が3時間半程度だったため,2段目と3段目(3-8)だけだった。虎は面白いのだけれど,ネズミと同じようなもので,文楽の子供向け演目以外で動物が出る場合は狐(桐竹勘十郎)が最も洗練されている。三味線は皆さん元気だったけれど,相変わらず呂太夫の声量が乏しく,その分は藤太夫の声量に回っていた。希太夫も今回は割と頑張っていた。


写真:国性爺合戦の和藤内と虎(文化デジタルライブラリより引用)

2021年4月13日火曜日

蔦屋書店

 京阪枚方市駅前の商業施設,HIRAKATA T-SITEには蔦屋書店が入っている。最近は本屋がどんどん消滅しているが,その中で蔦屋書店だけが生息域を拡大している。春日原始林に蔓延るナンキンハゼみたいなもので,シカが食べないことから森林生態系の変化が危惧されている。まあそもそも春日原始林はアマゾン熱帯雨林で置き換えられてしまったのかもしれないが。

1983年に開業した蔦屋書店の1号店が蔦屋書店枚方市駅前なので,ここは大変由緒正しいTSUTAYAの聖地なのだった。レンタルCD・ビデオのTSUTAYAと併せて,1985年に設立されたカルチャ・コンビニエンス・クラブ(CCC)によって運営されている。このCCCの名前が知れ渡ったのが,図書館の委託管理事業への進出である。当時の樋渡啓祐市長によりCCCが初めて指定管理者となった武雄市図書館では,CCCの関連会社からゴミのような中古書籍を多数購入したり,貴重な地域の歴史資料資料を除籍・廃棄処分したり,改革の名の下に図書館機能をズタズタにしてしまった。

そんなわけで,CCCには悪い印象しか持っておらず,地元の図書館が浸食されないように祈るばかりであるが,蔦屋書店も自分の肌には合わないのだった。

(1) 選書がお洒落な本に偏っており,書店の規模に対して,理工書やしっかりした人文科学書の割合が少ない。本屋ではなくファッション系の小物のお店になってしまっている。あるいはファッションの一部としての見せかけの書籍群。その極限が大きな壁面に糊付けされている洋書の見掛け倒しである。本物の図書館では,一応アクセスは確保されている。大嫌いな安藤忠雄設計のこども本の森中之島も同じ発想だ。

(2) 書籍の配列がでたらめになっている。よくいえばテーマ別で新しい発見を促すともいえるが,あるべき場所に本がないので特定の意図を持って探すのが面倒である。端末で検索せよというならば,アマゾンとどこが違うのか。文庫本が著者のアイウエオ順なのはまだ許せるとして,場合によっては単行本と文庫本が混在し,恣意的な分類をしている。

そんなわけで,仮想空間で自分好みの本屋体験ができるアプリの出現を待っている。

2021年4月12日月曜日

蔓延防止要請内容

 大阪府のまん延防止等重点措置を実施すべき区域における要請内容は,大阪府全域を対象として4月5日から5月5日まで発令されている。大阪府民ではないのでスルーしておけば良いのだが,〈大学等〉へのお願いでは次のようになっていた。

○ 学生に対し、4人以下でのマスク会食の徹底を求めること
○ 学生に対し、営業時間短縮を要請した時間以降、飲食店等にみだりに出入りをしないよう求めること
○ 学生に対し、歓送迎会、宴会を伴う花見を控えるよう求めること
○ 感染防止と面接授業・遠隔授業の効果的実施等により学修機会を確保すること
○ 部活動、課外活動、学生寮における感染防止策などについて、学生等に注意喚起を徹底すること
○ 年度当初に行われる行事(入学式等)は、人と人との間隔を十分に確保する等、適切な開催方法を検討すること
吉村知事によるあの悪評高い「マスク会食」が一番に入っている。そのため大阪府内の主な大学が4月8-9日に出している「大阪府の医療緊急事態宣言を受けて」のお知らせでは,軒並みこれに追随した表現が取られていた。近畿大学,大阪教育大学,大阪市立大学,大阪大学,摂南大学などである。

一方,よく考えている大学ではそのままではなく,むしろ会食自体を控えるような表現で注意喚起している。大阪府立大学,関西大学,立命館大学(大阪茨木キャンパスがある)などである。1月18日に発出された大阪市立大学・大阪府立大学・関西大学の学長共同メッセージにもマスク会食の表現はなかった(その後のバージョンでは見かけたような気もする)。

この言葉が他の地域にも,普通名詞であるかのように浸透しつつあり,西日本や東北の一部の大学では「マスク会食」というキーワードで注意喚起している。そんな中でも,まともな大学は次のように書いているのだった。
こうした調査報告を踏まえますと、学生さんには、久しぶりに会う友人、例えば2週間以上会っていないなどの友人との食事やお茶の場にはくれぐれも注意いただきたいと思います。食事やお茶などの飲み物を飲みながらの会話では、どうしてもマスクを外す機会が多くなります。「マスク会食」も勧められていますが、おしゃべりに一生懸命になると、マスクを外したまま会話を続ける時間が長くなってしまうかもしれません。(白百合女子大学学長室だよりから
それにしても去年の今頃より危険な状況なのに,対面授業を中心に授業を実施するという文部科学省=各大学の方針は揺らぎそうにない。

2021年4月11日日曜日

冷蔵箱

日本の高度経済成長期と自分の子供時代が重なっているので,小学生のころに耐久消費財の変遷を目の当たりにすることになる。また,大人になってからは情報技術革命の真っ只中で環境の激変を体験した。さらには日本の没落過程(後進国化)と自分の老年期が重なるという,なんとも不思議な巡り合わせだ。

炊飯:幼稚園のころはかまどで炊飯し,おひつに移して食べていた。その後,ジャーによる保温に変わり,小学校低学年のころには電気炊飯器がやってきた。炊飯後の電気炊飯器が熱いことを十分学習していなかったため,軽い火傷をすることになる。

暖房:小学校低学年までの掘りごたつには炭が入れられていた。炬燵の中にもぐって遊ぶことも多かったがよく一酸化炭素中毒しなかったものだ。足の裏がおこしたばかりの炭に当たって火傷して水膨れを作ることになる。火鉢もあってお好み焼きのヘラのような道具で灰を炭火に寄せていた。小学校中学年以降は,石油ストーブ・ガスストーブ・電気炬燵の組み合わせに変わった。

冷房(エアコン):寺町のおばあちゃんの家には1960年代中期からあったがうちには扇風機しかなかった。1980年代に帰省したときにようやくエアコンが設置されていた。なお,大学の研究室(職場)でエアコンの恩恵を受けるのは1992年に柏原キャンパスに移転してからである。

テレビ:幼稚園のころ(1958-1959年)には白黒テレビがあった。NHKのテストパターンで薔薇や撮影機のレンズがズームしていたのが印象深い。カラーテレビは小学校の高学年になったころから。ブラウン管に磁石を近づけると電子ビームが偏向して色むらを生ずるので注意してください。1964年の東京オリンピックか,1965年のジャングル大帝かどちらかをカラーでみた記憶にあるがこれもあまり当てにならない。

洗濯機:風呂場に洗濯板で洗濯していたような場面は覚えている。妹のオムツが庭に盛大に干してあったので,おむつだけ手洗いだったのだろうか。電気洗濯機は小学校低学年のころには風呂場の隣にあった。脱水はローラを手回しするやつだ。洗濯機の横に置いてあった粉洗剤に水を垂らすと水がどんどん粉の中に吸い込まれていく。楽しくなった小学生が止まらずやっているうちに大変なことになり,母親にこっぴどく叱られた。

冷蔵庫:冷蔵箱ともよばれる木製の氷冷蔵庫が家の台所にあったような気がする。小学校低学年のころに小さな電気冷蔵庫もやってきた。もちろん1ドア式で,製氷は可能だけれど冷凍庫なんてものはない時代。いたずら好きの小学生はコップに色々とややこしい材料(食べられないものを含む)を混ぜた魔女の薬のようなものを作って冷蔵庫に入れておいたら,母親が間違えて飲みそうになったということでこっぴどく叱られた。

小学校4年までは,金沢市泉野町が住所の平屋に住んでいたが,昭和38年から昭和40年ごろに行政合理化のため旧町名が一斉に整理統合され,金沢市寺町に変わった。ちょうどその頃古い家を壊して2階建の家を新築している。1963-1964年(小学校4年生から5年生)が時代の境目だった。1960年代後半にかかる中学生時代には,今とほぼ同様の家庭電化製品が揃うことになった。


写真:冷蔵箱=木製氷冷蔵庫のイメージ(千葉県立中央博物館大利根分館から引用)



2021年4月10日土曜日

ミューオンの異常磁気能率(3)

 ミューオンの異常磁気能率(2)の続き

英語版Wikipediaによれば,電子の異常磁気能率は,$a_e = \dfrac{g_e - 2}{2} $として以下のとおりであり標準模型(Standard Model)を用いた理論計算値と実験値に矛盾はなく,有効数字10桁の範囲で一致している。

\begin{equation} \begin{aligned} a_e^{SM} &= 0.\ 001\ 159\ 652\ 181\ 643 (764) \\ a_e^{exp} &= 0.\  001\ 159\ 652\ 180\ 73 (28) \end {aligned} \end{equation}

一方,Fermilabの最新データを加味したミューオンの異常磁気能率は,$a_\mu = \dfrac{g_\mu - 2}{2} $として次のようになっている。

\begin{equation} \begin{aligned} a_\mu^{SM} &= 0.\ 001\ 165\ 918\ 10(43) \\ a_\mu^{exp} &= 0.\  001\ 165\ 920\ 61(41) \end {aligned} \end{equation}

これは,理論値と実験値が $4.2\sigma$もずれていることを示しており,標準理論の綻びを示す重要な実験的データが明らかになったという論調が見られた。

しかし,質量の大きなミューオンの理論計算には,量子電磁力学による相互作用の計算方法が確定しているレプトンだけでなく,ハドロンを構成するクォークやグルーオンの粒子・反粒子対の効果が,不確定要素として現れてくる。これに対しては,最新の格子QCDの計算が,理論値と実験値の食い違いをかなり縮めるという議論もあるため,まだどうなるかわからない。

[1]ミュオン異常磁気能率 g–2 の超精密測定(三部勉)

[2]The anormalous magnetic moment of the muon in the Standard Model(arXiv:2006.04822v2 )

[3]First results from Fermilab's Muon g-2 experiment strengthen evidence of new physics (Fermilab)

[4]Leading hadronic contribution to the muon magnetic moment from lattice QCD(arXiv:2002.12347)

2021年4月9日金曜日

ミューオンの異常磁気能率(2)

 ミューオンの異常磁気能率(1)からの続き

微視的な粒子(電子,陽子など)の多くはそれぞれが小さな磁石の性質を持っている。この磁石の強さを粒子の磁気能率とよんでいる。粒子の磁気能率は粒子の持つ電荷(電磁相互作用の源)に由来し,古典物理学でいえば,電荷を持つ粒子が回転することにともなう円電流によって磁気能率が生ずるというアナロジーで考えるとわかりやすい。そこでは,粒子の回転運動における角運動量と磁気能率が比例することになる。この比例定数で単位を取り除いたものをg因子とよぶ。回転運動のうち粒子の自転に対応するものがスピン(スピン角運動量)である。

電子のスピンに対しては g ≒ 2 であることが理論的にわかっている。電子に対する相対論的な運動方程式である電磁場中のディラック方程式を非相対論的に近似して磁場に比例する項を見ると,スピン角運動量と磁気能率の間の関係が求まり,この場合は厳密に g = 2 となる。ところが,場の量子論では粒子の生成消滅を許すため,真空中に電子-陽電子などの仮想粒子のペアが絶えず発生したり消滅したりすることから,g = 2 から少しだけ値がずれることになる。これが,異常磁気能率とよばれる項であり,朝永振一郎の量子電磁力学で初めて理論的に説明された。

電子の異常磁気能率については実験値と理論値が非常に高い精度で一致したため,量子電磁気学の驚異的な成果として認められることになった。ところが,電子とほぼ同じ性質を持ち,質量だけが約200倍重い素粒子であるミューオンの異常磁気能率については,まだ決着していなかった。今日はここまで。


2021年4月8日木曜日

高野山町石道

 町石道(ちょういしみち)は,和歌山県九度山町(くどやまちょう)の慈尊院から高野山までの参詣道である。弘法大師が母のいる慈尊院に月に九度通ったことから九度山の名前が付いたということだけれど,往復に丸一日費やすことになりそうで,他の仕事に差し支えるのではないかと思う。

町石というのは一町(109m)ごとに置かれた道標のことであり,根本大塔から慈尊院までの22kmの道のりに180基,根本大塔から奥之院の弘法大師御廟まで4kmで36基と,あわせて216基あるとのこと。ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部を構成している。慈尊院から高野山までは6-7時間のコースだとのこと。

高野山町石道の途中に丹生都比売神社がある。空海の高野山開創の伝説を構成する紀伊國一宮なので,ちょっと期待していたのだけれど,周辺にへび出没注意の看板があるくらいで一般参詣者には見所もなく残念だった。せめて,弘法大師を高野山に案内した犬の子孫?の二匹の神犬を見ることができれば良かったのだけれど,公開日ではなかったのだ。



写真:慈尊院と丹生都比売神社(撮影:2021.4.7)


2021年4月7日水曜日

奥之院参道

 高野山の奥之院参道は,一の橋から弘法大師の御廟がある奥之院まで北西に2 km続いている。,杉木立の中に墓所や供養塔,慰霊碑などが20万基あまり並んでいる。織田信長,明智光秀,石田光成などの戦国大名や豊臣家,前田家などの大名家と,主に関西系の企業,パナソニック,クボタ,住友,南海,江崎グリコなどに普通の個人の墓が時間と空間を超えて入り混じる不思議な空間だった。

一の橋,中の橋をすぎて,休憩所の先の御廟ノ橋を渡ると撮影禁止の聖域に入る。高野山大学の新入生らしき一団が研修のためなのか,教員(僧侶)に引率されて奥之院についての説明を受けながら回っていたので,その後についていった。弘法大師の御廟に向かって般若心経の斉唱が始まったので,大人しく聞きながらお参りしていました。


写真:高野山奥之院参道(2021.4.6撮影)




2021年4月6日火曜日

ビビビ・ビ・バップ:奥泉光

奥泉光(1956-)の「ビビビ・ビ・バップ」 を読了。奥泉光は「石の来歴」で1994年の芥川賞を受賞している。受賞後に出版された文春文庫で読み今一つピンとこなかったが,どこか惹かれるものがあって結局あれこれと7冊買ってしまっていた。「葦と百合」,「ノヴァーリスの引用」,「バナールな現象」,「グランド・ミステリー」,「鳥類学者のファンタジア」,「モーダルな事象」,「神器」である。「雪の階」も読みたいけれどまだ買っていない。

彼は,ミステリーやSFの色彩の濃い作品も書いているが,特に「ビビビ・ビ・バップ」はSF+ミステリのど真ん中だった。大森望の解説から引用すれば,

AI,仮想現実,アンドロイド,テレロボティックス,人格のデジタル化,コンピュータ・ウィルスなど,いまどきのSFネタを全部盛りにした上に,古今東西の実在有名人をよりどりみどりにトッピングする,ぜいたくきわまりない近未来冒険SFエンターテインメント小説

というわけだ。また,これは「鳥類学者のファンタジア」 のフォギーの物語の続編にもなっている。

これまでに読んでいた7冊のうちで最も印象深かったのが,「鳥類学者のファンタジア」のおまけの部分である「終曲,ないしはニューヨーク・オプショナル・ツアー」の章だ。主人公達が時間を超えて1945年のニューヨーク,ハーレムでジャズセッションをするというものであり,ジャズでフルートを演奏する奥泉光の趣味が濃厚に反映されていた。そしてこの著者の気分が「ビビビ・ビ・バック」の主題に見事に引き継がれていた。

2021年4月5日月曜日

新型コロナワクチン接種予約(1)

天理市の新型コロナワクチン接種【高齢者】の第2回目(4/26-5/16,1000名分)の予約が4月5日の午前8時半から始まるというチラシが入っていた。第1回目(4/12-4/30,375名分)は3月29日に受付開始してすぐにいっぱいになったらしい。第1回目に予約サイトにアクセスしたが,そもそも登録ができずに終わってしまった。

天理市の人口は6万4千人あまり,その1/4の1万6千人が65歳以上の高齢者である。この調子で1ヶ月1000人のペースで接種していたら,高齢者だけで1年半かかってしまう計算なんですが。そもそも医療関係者などの接種は全員終わったのだろうか。

受付開始から1時間以上たっていたが,今日はどうかと試してみると辛うじて6月の予約を取ることができた。ただし,予約システム(複数の市町村に提供されているものらしい)のユーザインタフェース設計はあまりよくなかった。
予約方法
【接種会場を選択】ボタンを押して、接種会場を選んでください。
【接種日時を選択】ボタンを押して、予約日時を選んでください。
【予約登録に進む】ボタンを押して、予約を確定してください。
予約完了画面で予約票をダウンロードしてください。

となっているが,1回目と2回目がほぼ独立になっていて,3週間空けるはずの2回目の登録で混乱してしまい3週間後の日程が見当たらず,1回目の登録をキャンセルする羽目に落ち入ってしまった。予約票のダウンロードも1回だけできたが再出力できなかった。意味がよくわからないデジタル庁を作るとこのような混乱にさらに拍車をかけそうで怖い。

2021年4月4日日曜日

引き込み線

 引き込み線とは,鉄道の本線から分岐して車両基地や工場に引き込まれた専用の線路である。後者については,Wikipediaに専用鉄道として,全国の例が示されている。ほとんどが,機械・製紙・セメント・化学などの重化学工業を中心とする大規模な工場である。

金沢にも自分の記憶にある小規模な実例がある。今はなき,北陸鉄道石川線の野町-白菊町の終点白菊町駅と国鉄の西金沢駅である。いずれもインターネット上にも廃線跡としての記録が残っている。

白菊町駅は1970年に旅客の取り扱いがなくなり,1972年には貨物も含めて営業が終了し廃駅になったらしい(懐想石川の鉄道 北陸鉄道石川線1)。それまでは時々貨車が止まっているのを見かけた。乗車したことはない。

西金沢駅は1984年に貨物の取り扱いをやめており,そのときに引き込み線も廃線となった。工場には,当時の国鉄から(記念に?)貰い受けた貨車が1台残っていたけれど,いつの間にか処分されてしまったようだ。西金沢駅自体はまだ命運を保っており,2011年には駅舎もきれいになり東西に出口が整備された。

[1]廃線跡 北陸鉄道石川線 白菊町駅付近(vient49の日記,2015-12-9)

[2]羽二重豆腐専用線(廃鉄の処女Ⅱ,2015-8-21)

2021年4月3日土曜日

若い力

 若い力作詞:佐伯孝夫、作曲:高田信一)は,1947年10月の第2回国民体育大会(石川県)の際に国民体育大会歌として作られた。金沢が非戦災都市だったので戦後すぐの石川県単独での国体開催となった。開会式は10月30日に金沢市営陸上競技場(金澤市運動場)で行われている。

この国体で,金沢市の小学校6年生男女 4000名による若い力の集団演技が披露された。その振り付けは,石川師範学校男子部付属小学校の稲場四郎と野町小学校の勝尾信子,文部省職員の3名で創作されたものである。それ以来,金沢市の小学校6年生は若い力の発祥の地である金沢市営競技場で開催される金沢市立小学校連合体育大会で,若い力の集団演技をするのが伝統となった。

というわけで,自分の小学生時代も若い力の演技をさんざん練習したのである。小学校の運動会の出し物にもなっていた。ここから記憶が曖昧になるのだけれど,泉野小学校の若い力運動会バージョンは六年生の男子児童のみが上半身裸で演技するということになっていた。ある日,その練習を体育館でやっていたのだけれど,女子は周りに座ってお喋りしているのである。その声がだんだん大きくなってきたので「静かにしろ」と切れて大声を出したのは私です。一瞬だけしずまったが,ほとんど効果はありませんでした。結局,この年の運動会は雨のため上半身裸の若い力の演技は中止になってしまったのだった。

[1]「若い力」と金沢(金沢文化スポーツコミッション)

[2]若い力〜金沢の伝統演技〜(かなざわスポーツねっと)


2021年4月2日金曜日

生物季節観測

標本木からの続き

 桜の開花は天気予報で知らされる。気象庁はこれまで生物季節観測として,桜だけでなく動物23種目,植物34種目の生物季節現象を記録してきた。ところで,気象庁大気海洋部は,昨年の11月に「生物季節観測の種目・現象の変更について」として,令和3年1月からこれらの観測を植物6種類9現象(あじさいの開花,いちょうの黄葉・落葉 , うめの開花, かえでの紅葉・落葉 , さくらの開花・満開 , すすきの開花)のみに変更すると発表した。まあ,国が貧しくなるとリストラはどんどん進行するのだ。

ところが,3月30日には気象庁と環境庁が,「生物季節観測」の発展的な活用に向けた試行調査の開始について,ということで,国立環境研究所も含めて存続の方向で進められるようだ。朝の散歩で,奈良盆地中央部における四季折々の植物や動物を見る機会が増えていたのでちょっとホッとした。スマートフォンのアプリにも生物名を判定するものがあって,これを市民からの情報提供のツールとして役立てるとか,学校教育と連携するなどの手もあるだろう。そもそも日本人の感性は古来,これらの環境によって育まれ,俳句などの文芸に結実しているわけで,この根幹の部分の情報が欠落することの損失は計り知れなかったと思う。

[1]気象庁に問いたい。動物季節観測の完全廃止は、気象業務法の精神に反するのではないだろうか(森田正光)

[2]生物季節観測,廃止・縮小から一転存続へ 気象庁と環境省、国立環境研究所がタッグを組む(森田正光)

2021年4月1日木曜日

佐保川の桜並木

コロナ禍の中,先日は月ヶ瀬梅林に行ったが,昨日は佐保川の桜並木を見てきた。これまでも遠目には眺めていたかもしれないが,満開の時期に歩くのは初めてだ。

江戸時代末期,奈良の名奉行として現在でも尊敬を集める「川路聖謨(かわじとしあきら,1801-1868)」が山林の整備や東大寺周辺の植樹など,景観整備を行う一環で植えさせたものに端を発すると言われています。

ということで,奈良にしては珍しく江戸時代が起源のものらしい。休館日の奈良県立図書情報館にクルマを止めて,小一時間散策した。佐保川の両岸に桜の並木が連なり,北の上流側から下流に向かって左岸と右岸の桜樹に管理用の樹木台帳プレートが設置されている(小さな金属製の円版を釘止め)。左岸がL-xxx,右岸がR-xxxとなっていた。情報館あたりで300-400番台なので,延長5kmの両岸で1000本以上はありそうだ。残念ながらまだ川路桜は拝めていません。

そういえば,金沢の寺町通りに市電が走っていた頃,広小路の近くに大桜という停留所があった。今もその松月寺の大桜は残っているのだが,ちょうど咲いている時期に訪れる機会がない。小学生の頃,大桜あたりから市電と競争した記憶というのは真性の記憶だろうか。市電は寺町にあるいくつかの停留所で何度も止まるので全く荒唐無稽な競争というわけではないのだが,夢の記憶かもしれない。


図/写真 佐保川の桜並木(撮影 2021.3.31)