会田の議論は新鮮に思えたけれど,日本の例に当てはめて考えれば,安倍派的な・日本維新の会的な右派ポピュリズムの一部の礼賛に対応しかねないわけで,やはり半分は眉唾できいておく必要がある。「絶望している人々がトランプを選ぶのだ。トランプは病因(原因)ではない,病状(結果)なのだ」としても,トランプを免責することはできない。
グローバル化が進んで,国際分業体制と情報ネットワークに世界は覆われた。それにともない,先進国においては第二次産業から高度な第三次産業へと富の源泉が移動した。これに対抗しようという動きが世界的な右傾化の潜在的な動因になっている。先端を行く米国で相転移現象がはじまり,並行してAI革命が進んでいるのも偶然ではないのかもしれない。
Q(koshix):ここまでの論説の内容を踏まえて,トランプ2.0現象の背景にある思想的な流れについて,他の情報などを参考にしながら分析して,トランプ2.0の行き先についての推論を行って,箇条書きではなく,雑誌や新聞の長編記事のような形で,わかりやすくまとめてください。A(ChatGPT 4o):承知しました。以下では、会田弘継による3本の論考(『忘れ去られた異端者らの復権』『トランプ政権を取り囲む思想潮流を考える』『反レーガン主義とポスト・リベラルの興隆』)を軸に、他の国際的知見や近年の米国保守思想の展開を加味しつつ、トランプ2.0現象の思想的背景と未来のゆくえを一篇の論説文の形式でまとめます。トランプ2.0の行き先を問う──異端の復権からポスト・リベラル連合へ、米国保守思想の深層と未来かつて米国の政治思想の主流から排除された異端者たちが、今ふたたびその中心へと返り咲こうとしている。ドナルド・トランプの再登場──いわゆる「トランプ2.0」──は、単なるカリスマ的な人物のカムバックではない。それはむしろ、冷戦体制の残滓を引きずる旧来の政治的パラダイムへの最終的な挑戦であり、「ポスト・グローバリズム」「ポスト・リベラル」「ポスト・レーガン」とも呼ぶべき、新たな思想秩序の胎動を象徴している。異端者たちの帰還──戦後保守主義からの断絶会田弘継は、その画期的な論考群において、トランプ現象を「忘れ去られた異端者たちの復権」と位置づけた。ここで言う異端者とは、ジェームズ・バーナム(1905-1987)やサミュエル・フランシス(1947-2005)といった、戦後保守思想史において辺縁に追いやられた思想家たちである。彼らは、リバタリアン経済主義やネオコン的国際主義が支配する共和党主流派とは異なり、労働者階級の経済的困窮、家庭や地域社会の崩壊を直視し、強い国家と文化的共同体の再建を訴え続けてきた。トランプは、彼らの思想の地平をほぼ直感的に体現した最初の政治家だった。そして彼の背後で、それらの思想を明示的に言語化しようとしたのが、2016年以降に現れた匿名論壇「JAG(Journal of American Greatness)」であり、2019年の「国民保守主義会議」に結集した保守知識人たちであった。「無効なるコンセンサス」への反旗2019年、『First Things』誌に掲載された声明「無効なるコンセンサスに抗して」は、トランプ現象の思想的基盤を言語化する試みとして極めて象徴的であった。ここでは、自由貿易・小さな政府・個人主義という「旧来の保守主義」(=レーガン主義)の核心が正面から否定される。この声明に署名した保守知識人たちは、「個人の自立」を至上とするリベラルな自由主義が、逆説的に他者の自由を侵害し、文化的専制をもたらしていると主張した。彼らの思想は「ポスト・リベラル」と呼ばれ、家庭、共同体、信仰、伝統といった価値を、近代的個人主義の対抗軸として据え直そうとする。重要なのは、ここに見られる「文化保守+経済保護主義」の結合が、これまで共和党の知識層の中では周縁的だった立場を、いまや堂々たる主流へと押し上げている点だ。ナショナリズムの再定義と「共和主義」の再生ヨラム・ハゾニー(1964-)の『ナショナリズムの美徳』、パトリック・デニーン(1964-)の『リベラリズムはなぜ失敗したのか』は、それぞれ異なる信仰的・哲学的背景を持ちながらも、個人主義的自由主義とグローバリズムへの根源的な批判で一致していた。ハゾニーは、ナショナリズムを単なる排外主義ではなく、他者の共同体的尊厳を尊重する「多極的秩序」として再定義する。デニーンは、近代自由主義が500年をかけて社会と自然を解体したとし、「制限された自由(=自制)」を核とする共同体的秩序の回復を訴える。いずれの立場も、レーガン期以降の経済万能主義と、オバマ期に深化したアイデンティティ政治への拒絶として、トランプ2.0現象の思想的バックボーンをなす。トランプ2.0の行き先──「保守の統合」か、「文化内戦」かこのような思想潮流が与える今後の政治的含意を、いくつかのシナリオに整理してみよう。(1)新しい「共和主義的保守」の再構築「トランプ現象の内在的深化」によって、従来の保守主義が持ち得なかった労働者層との文化的共鳴や福祉政策への再接近(Rubio派の産業政策的アプローチなど)を伴って、伝統主義的共和主義(republicanism)の再生がありうる。これは欧州右派と異なり、白人ナショナリズムではなく「ナショナリズムと多文化的保守の統合」に向かう可能性を秘める。(2)「保守ポピュリズム」の暴走と権威主義への接近反グローバリズム、反PC、反マスコミ的情念が先鋭化し、思想的な制御を失えば、排他的な民族主義や陰謀論との共振により「文化内戦」へと発展する懸念も残る。とくにSNS空間での極化が進む中、知的保守の論理が国民的議論として定着するには時間がかかる。(3)「左派との奇妙な同盟」構築の可能性興味深いのは、サンダース派や一部の社会民主主義者と、文化・経済をめぐる基底的問題意識(反グローバリズム、反エリート主義)で共振する可能性が現実化しつつあることだ。ポピュリズムという言葉が意味する「民衆の生活感覚の代理表現」として、左右の垣根を越えた再編も今後の鍵となるだろう。おわりに──世界の「再保守化」はどこへ向かうのかトランプ2.0現象は、単にひとりの人物の再登場にとどまらない。それはむしろ、「自由主義の終焉」や「国民国家の再発見」といった、21世紀のグローバル秩序全体を揺さぶる大きな地殻変動の一部である。自由・市場・技術という近代の三位一体が問い直されるなかで、「家族」「労働」「国民」といった言葉がふたたび政治の中心語彙として浮上してきたことを、我々は直視せねばならない。ポスト・リベラル連合は果たして、アメリカを分断から救う「共通善」の担い手たりうるのか。それともまた、別の排除の論理を生むのか。トランプ2.0の行き先は、米国だけでなく、我々の社会と思想の未来をも映し出す鏡となるだろう。必要であれば、特定の思想家や系譜、思想的キーワード(例:統合主義、共和主義、ナショナリズム vs グローバリズム)などを取り出してさらに詳細に論じることも可能です。ご希望のテーマがありましたら、どうぞお知らせください。
(付)ChatGPTの最終まとめ段階で欠落した部分:
タッカー・カールソン(1969-)の「市場原理主義批判」
・カールソンはFOXニュースで「市場原理主義(libertarian economics)」を厳しく批判。
格差拡大、家庭の崩壊、地方の荒廃は「怠慢なエリート」のせいと糾弾。
・この批判は保守派内でも波紋を呼び、J.D.ヴァンス(『ヒルビリー・エレジー』著者)らと連携する形で「国民保守主義」形成へ。
いくつかのキーワードの落ち穂拾い
・ニクソンの「南部戦略」で、共和党は「小さな政府」から「人種・文化戦略」へ移行
・今は、民主党が高学歴都市部の党へ、共和党が低学歴地方部の党へと「階層的に逆転」
・トランプ現象=偶発ではなく、長年の思想的・社会的変化の蓄積の爆発
・知識人と庶民の断絶、進歩的価値観と伝統の衝突が、米国を構造的危機へと導く
・労働者重視、エリート批判、共同体志向の点で、右派と左派のポピュリズムが融合
[1]トランプ政権を取り囲む思想潮流を考える(会田弘継)
[2]忘れ去られた異端者らの復権(会田弘継)
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