微細構造定数αを数学的に根拠付けるという話で思い出すのが,学生の頃に読んだ岩波講座現代物理学の基礎11 素粒子論(1974年12月)の中にあった次の記述である。
すでに,Bohrは次元のない定数の値,すなわち電子と陽子の質量比および微細構造定数の値を予言することが将来の理論に課されていると指摘している(1930年).そのような理論の存在を前提とするならば,くりこみ処法は過渡的なものと評価するのが適切であろう.
われわれはBohrの指摘を満足させる理論を現在もっていないが,その徴候は見られる.Wylerは,ある代数学的な理由によって,
e24πℏc=2−1943745−14π−114=(137.03608)−1
の値を得た(1971年).これは実測値(137.03602±0.00021)−1と驚くほど一致している.これはまだ憶測の段階をでていないが,将来への足場となるかもしれない.
へーっと思ったが,その後これは話題にはならなかった。この話はWolframのMathWorldで数論のところで Wyler's Constant として取り上げられているが,αの現在の実測値とは,誤差の範囲でずれているためにそもそもこの話はつぶれていたのだった。
(小出の質量公式に続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿