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2024年11月5日火曜日

リュカ数列

フィボナッチ数列と1/89からの続き

ときどきネット上のフリーの教科書で掘り出し物があって楽しい。昨日散歩していた犬棒は,Sheldon Axler の Linear Algebra Done Right という線形代数のpdf教科書に当たった。Springerからも紙版が出版されている。その pdf ファイルの,クリエイティブコモンズ  表示-非営利 4.0 国際ライセンスのトップページには,次の式がでかでかと護符のように貼り付けられていた。
$\displaystyle F_n = \dfrac{1}{\sqrt{5}} \Bigl\{ \Bigl( \dfrac{1+\sqrt{5}}{2} \Bigr)^n - \Bigl( \dfrac{1-\sqrt{5}}{2} \Bigr)^n \Bigr\}$

この式がフィボナッチ数列を表しているというのを知ったのは,ずいぶん遅くて大学4年生のころだ。自宅で塾を開いて,中学生や高校生に数学を教えていたきのこと。大学進学のためのマイナーで難しそうな問題集を解かせていた北野高校の生徒が,フィボナッチ数列の問題を上記の式を使って一発で解いてきた。田舎の高校生時代に,近所に住んでいた数学乙の西野先生にしこまれた数列の漸化式の標準解法しか知らなかった物理学科の学生は見たこともない式にどぎまぎしてしまったのだった。確かに答えはあっていた。

その思い出の式を眺めていたら,$\sqrt{5}$の中を変えたらどうなるのかが初めて気になってきた。早速試してみよう。ということで,Mathematicaで答えを当たってみると,ルートの中身が4の倍数+1の場合に整数の数列が得られることがわかった。

そこで,軟弱なGさんは,久々にOpenAI o1-previewを取り出してその理由を聞いてみた。
Q(koshix):
数列 a_n = f[n_, m_] :=  1/Sqrt[m] (((1 + Sqrt[m])/2)^n - ((1 - Sqrt[m])/2)^n) // Expand がすべて整数の項からなる数列になるのは,n がどのような値をとる場合かを説明してください。

A(o1-preview):
(日本語による不十分で誤った説明→略)
Answer: Because all terms a_n  are integers if and only if n is the square of an odd integer—that is, when m =k^2 with odd k.

Q(koshix):
あなたのおっしゃる条件からはずれる場合,例えばn=5を確かめてみてください。この場合も全て整数の項からなる数列になりますよね。

A(o1-preview):
(日本語によるやや不十分でも正しい結果→略)
Answer: Because all terms a_n are integers if and only if n leaves a remainder of 1 when divided by 4 —that is, when m≡1 mod 4.

すっきりしないので,しぶしぶ人間の脳で考えることにしてみた。
$\alpha_m = \dfrac{1+\sqrt{m}}{2}, \ \beta_m = \dfrac{1-\sqrt{m}}{2}$と置いて,$\displaystyle F(m)_{n}=\dfrac{1}{\sqrt{m}}\Bigl( {\alpha_m}^n - {\beta_m}^n \Bigr)$である。
そこで,$F(m)_{0} = 0, \quad F(m)_{1} = \dfrac{1}{\sqrt{m}}\Bigl( {\alpha_m} - {\beta_m} \Bigr) = 1$
さて,${\alpha_m}^n - {\beta_m}^n = (\alpha_m + \beta_m) \Bigl( {\alpha_m}^{n-1} - {\beta_m}^{n-1} \Bigr)  - \alpha_m \cdot \beta_m \Bigl({\alpha_m}^{n-2} - {\beta_m}^{n-2} \Bigr)$ 
いいかえれば,$F(m)_n = F(m)_{n-1} - \dfrac{1-m}{4} F(m)_{n-2} $
したがって,$m=4k+1$であれば,$F(m)_n = F(m)_{n-1} + k F(m)_{n-2} $が成り立つので,初期値からすべての$F(m)_n$は整数となる。

これはどうやら,リュカ数列という,整係数の2次方程式の2つの解から定義される漸化式による二階線形回帰数列の一種だということだ。フィボナッチ数リュカ数ペル数フェルマー数メルセンヌ数など数論に現れる重要な数列がこれに属するとWikipediaには書いてあった。

2024年10月15日火曜日

へび(2)

へび(1)からの続き 〈AI Chatbot free〉

朝一番にマンションの管理人さんのところに。ヘビ対応の経緯をA4にまとめたもの見せて説明する。9:30にオープンする本部に電話して確認してみますとのこと。なんだか腰が重そうな感じである。

その後管理人さんから,電話。
(1) 本部の担当者が午前中健康診断なので,午後にもう一度電話してお返事します。
(2) 市役所に電話しましたが対応だめと,例の2軒の業者を紹介されただけでした。
(3) 郵便受内部は専有部分になるので,住人の個別負担になる可能性が高いですぅ。
とのこと。むむむ。
そして,午後の電話。
(4) ここは植栽が多いので除草消毒すると潜んでいたヘビが出ることがありますね。
(5) レアケースだが今後のこともありますから取りあえず理事会に報告してみます。
(6) 自分で駆除業者対応された場合の領収書は,念のために保存しておいて下さい。

ということで,さっそく業者に連絡する。
業者:まだいますか。
私:はい,います。郵便屋さんが咬まれると困るので,ポストの入口目張りしました。
業者:それでは14:40-15:00 頃うかがいます。少し遅れるかもです。
私:よろしくお願いします。

14:30に駆除業者さん到着
15分ほど格闘してどうにか捕獲できた。
鳩駆除がメインでヘビはあまり経験がなかったのかもしれない。
プロならヘビ捕獲棒を持ってきてほしかったところだが,普通のゴミ拾いトングだった。

行きがかり上,郵便受コーナーの奥の袋小路で観察していたが,ヘビが何度も向かってくるのでたいへんだった。加賀藩の蛇責め前田利常とか加賀騒動とか)の祟りかもしれない。


写真:10分格闘の後,この後さらに5分続くのだった(撮影:2024.10.15)


2024年3月8日金曜日

5次元世界のぼうけん

日本SFシリーズからの続き

犬も歩けば棒に当たる。の良い場合。ときどきおもしろいブログに当たる。前回の覆面座談会事件の参考文献[1]にあげたしろくま日記もその一つ。海外SFを中心とした詳しい読書記録が見つかった。2003年1月にはじまり,2019年1月まで続いていた。筆者は40代とあるので,20代から40代にかけての読書記録ということになる。

その最終回が,マデレイン・レングルの「五次元世界のぼうけん」だ。久しぶりに出会った。自分も小学校の5年か6年の時に図書室で借りて読んだ。SFというとヴェルヌくらいで,むしろ子供向けの全集の翻訳物ミステリーに親しんでいた頃だ。

もちろん,SF的な物語には大いに興味があったので,この児童文学もそれなりに面白かった。谷先生の図画工作の時間に,自分が読んだ本の表紙カバーをデザインするという課題があったので,この「五次元世界のぼうけん」を題材にした。残念ながら,そのイメージはテレビでおなじみの「タイムトンネル」だったけれど。

あれ,調べてみるとタイムトンネルがNHKで放映されていたのは,1967年の春から秋にかけてである。それは自分の中学2年のころだ。ということは記憶のどちらかが間違っている。表紙カバーデザインの課題は中学校の美術の時間のテーマだったか,あるいは,表紙の楕円形のグラデーションのイメージがタイムトンネルとは関係なかったかのどちらかだ。


写真:しろくま日記にあった「五次元世界のぼうけん」の書影


2024年3月5日火曜日

世界SF全集(1)

第26巻,オールディスバラードグレイベアド結晶世界が家の書棚に見つからない。

そういえば,このマンションに30年前に引っ越してから何度かの模様替えの際に,その巻が見あたらなかった記憶がうっすらと残っている。いったいどこに消えてしまったのだろう。

早川書房の世界SF全集は,1968年の10月から1971年8月までに渡って全35巻が刊行された。第1回配本は,第10巻ハックスリイオーウェルすばらしい新世界1984年であり,これを含めて全25巻を購入している。ほとんどは高校時代に買っていたが,古書として後に求めたものも一部ある。

これを整理していて気づいたこと。
(1) 第16巻:シオドア・スタージョンは「人間以上」だと思っていた。実際は,「夢見る宝石」と短編の「雷鳴と薔薇」だった。「人間以上」はハヤカワ文庫SFの方だ。
(2) 第27巻:安部公房は,「第四間氷期」と「人間そっくり」だけだと思っていたら,11篇の短編が含まれていた。
(3) 第28巻:星新一の「作品100」は,昔友達に貸したままになっていたのを,古書で買い直したもの。ここには,「白い服の男」も「」も含まれていなかった。

1 ヴェルヌ
 地底世界・海底二万リーグ

2 ウエルズ ◎1
 タイム・マシン・透明人間・宇宙戦争

3 ドイル
 ロスト・ワールド・毒ガス帯・マラコット海淵・物質分解機・地球の叫び

4 ガーンズバック/テイン
 ラルフ124C41+・ミュンヒハウゼン男爵の科学的冒険 / 鉄の星

5 ワイリイ/ライト ◎2
 闘士/時を克えて

6 ステープルドン/リュイス ◎3
 シリウス/沈黙の惑星より

7 スミス
 銀河パトロール・宇宙のスカイラーク

8 ベリャーエフ
 ドウエル教授の首・無への跳躍

9 エレンブルグ/チャペック ◎4
 トラストD・E/山椒魚戦争

10 ハックスリィ/オーウェル ◎5
 すばらしい新世界/1984年

11 ハミルトン/ラインスター
 時果つるところ/オペレーション外宇宙

12 ハインライン ◎6
 人形つかい・夏への扉

13 ブラッドベリ ◎7
 火星年代記・華氏四五一度

14 アシモフ
 宇宙気流・鋼鉄都市

15 クラーク ◎8
 幼年期の終り・海底牧場

16 スタージョン/ブラウン ◎9
 夢見る宝石・雷鳴と薔薇/火星人ゴーホーム・みみず天使

17 ヴォクト
 スラン・宇宙船ビーグル号

18 ベスター/ディック ◎10
 虎よ!、虎よ!/宇宙の眼

19 ウィンダム
 トリフィドの日・地衣騒動

20 シマック/ブリッシュ ◎11
 都市/地球人よ、故郷に還れ

21 ポール&コーンブルース/アンダースン/ファーマー ◎12
 宇宙商人/タイム・パトロール/恋人たち

22 エフレーモフ
 星の船・アンドロメダ星雲

23 レム ◎13
 砂漠の惑星・ソラリスの陽のもとに

24 ゴール/グロモワ/ストルガツキー ◎14
 クムビ/自己との決闘/神様はつらい

25 バルジャベル/フリック/フランケ ◎15
 荒廃/パーティナ/思考の網

26 オールディス/バラード ◎16?行方不明
 グレイベアド/結晶世界

27 安部公房 ◎17
 第四間氷期・人間そっくり・R62号の発明・赤い繭・闖入者・人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち・永久運動・魔法のチョーク・デンドロカカリヤ・詩人の生涯・完全映画(トータル・スコープ)・盲腸・鉛の卵

28 作品100 星 新一 ◎18
 ボッコちゃん・おーいでてこーい・症状・福の神・おみやげ・最初の説得・なぞの青年・鏡・暑さ・マネー・エイジ
 宇宙の男たち・ジャックと豆の木・豪華な生活・財産への道・こん・お地蔵さまのくれた熊・不景気・暗示・デラックスな拳銃・冬の蝶
 ハナ研究所・闇の目・オアシス・賢明な女性たち・ピーターパンの島・アフター・サービス・贈り主・情熱・謎の女・友を失った夜
 誘拐・おみやげを持って・貴重な研究・小さくて大きな事故・キツツキ計画・薄暗い星で・クリスマス・イブの出来事・調査・春の寓話・死の舞台
 肩の上の秘書・その夜・ひとつの装置・ねむりウサギ・変な薬・壁の穴・指導・羽衣・繁栄の花・古風な愛
 黒い棒・コビト・宇宙の英雄・ごきげん保険・サーカスの秘密・分工場・人間的・夢と対策・唯一の証人・箱
 スピード時代・幸運への作戦・品質改良・もたらされた文明・ゆきとどいた生活・危機・殺し屋ですのよ・華やかな三つの願い・そそっかしい相手・隊員たち
 恋がたき・災害・さまよう犬・人形・無料の電話機・追い越し・帰郷・妖精・反応・いじわるな星
 フィナーレ・狂的体質・災難・欲望の城・契約時代・雪の女・ネコ・午後の恐竜・にこやかな男・あるエリートたち
 依頼・善意の集積・語らい・けちな願い・あるノイローゼ・テレビシート加工・進歩・ガラスの花・あすは休日・臨終の薬

29 小松左京 ◎19
継ぐのは誰か?・果てしなき流れの果てに

30 筒井康隆/眉村 卓/光瀬 龍 ◎20
48億の妄想/幻影の構成/たそがれに還る
(続く)


写真:古書店で流通する世界SF全集


2023年12月16日土曜日

情報伝達活動の構造(1)

からの続き

りんちゃんの「棒」は「—」や「|」の問題だった。そうすると答えが変わってくる。
頻度の高い漢字の平均画数が7画程度で,これを棒の数とします。児童・生徒・学生の間は1日100字書いたとして(PCなど除く)10年間≒3000日では,〜30万字程度漢字をかくことになるので,〜200万画くらいかな。
1画5mmだとすれば,200万画は1000kmである。鉛筆1本で 50kmかけるらしいので,鉛筆20本あれば十分だ。ホントか,削りながらの場合は1000本くらいになりそうだ。ジェットストリームのSXR-07では替え芯1本で700mということだから,1400本なのか。


で,あらためて自分が行う情報活動の入出力量について,どの程度になるのか気になった。
のシリーズで半年前に少し考えていたことだけれど,再度見直してみる。

まず,定量的なデータについて考察する前に,個人の情報伝達活動を整理してみた。

図:情報伝達活動の構造

一番下の意識主体が,一人の人だとする。一般化できるように意識主体としている。これが,情報をやり取りするのだけれど,その情報伝達の様態を,(A)入力,(B)出力,(C)対話に分類する。(A)と(B)だけでも十分かもしれないが,あえて独立に(C)という連続的な入出力モード=対話を考えてみる。

また,その情報伝達の対象は,(イ)個体(これも個人=一人の人でもよいが,少し一般化した),(ロ)集団(組織でも社会でもよい),これまたあえて独立に(ハ)AI,を設定した。やりとりされる伝達情報の形態は,(1)静的データ(テキストや図画像),(2)動的データ(音声・音楽,動画),(3)実世界(対面による物理的化学的な接触を含む)とする。(1)と(2)ではメディアを媒介する視聴覚情報だけにフィルタされている。

都合,3×3×3=27通りのパターンに分類できる。技術的な問題を考える場合には,情報伝達の形態を図の右囲みのようにさらに7項目に細分化して考えることもできる。

(例)会話=(イ・ロ,C,3),手紙=(イ,A・B,1),電話=(イ,C,2),
ラジオ・テレビ・映画=(ロ,A,2),SNS=(ロ,A・B,1),VLOG=(ロ,B,2),演劇・音楽=(ロ,A,3),演説・講演=(ロ,B,3),生成AIチャット=(ハ,C,1)

2023年12月14日木曜日

フェイスブックで,芳賀さんが息子のりんちゃんから受けた質問について書いていた。

人生でどのくらい,文字の「」を書かないといけないか」という趣旨のものだ。なぜその質問がでてきたのかはよくわからない。なぜ「棒」なのかな。書くのが面倒だからなのかな。そういう話ではないのかな。犬も歩けば棒にあたったのかな。

準備のための一般論
 モノゴコロついてから惚けるまで,およそ75年≒900ヶ月≒3900週≒2万7千日≒66万時間≒3900万分≒24億秒あるとする。このとき,人生におけるある事象の頻度と総数はおよそ次のように対応する。
 10年に 1回 〜 10回
   3年に 1回 〜 30回
   1年に 1回 〜 100回
  年に 4回 〜 300回
  月に 1回 〜 1000回
  週に 1回 〜 4000回
   3日に 1回 〜 1万回
   1日に 1回 〜 3万回
   1日に 3回 〜 10万回
名前との比較
 一生の間に自分の名前はどのくらい書くだろうか。宅配のサインも含めて週に1回よりは多いような気がするので,多分1万回のオーダーになる。「棒」はこれよりは2桁以上少ないのではないか。100回ほどか

ブログの計量
 自分のブログであるOn a Thread of the Webの5年分のデータを全文検索してみると,「棒」は16回ヒットした。つまり,最近は年平均に3回ということになる。75年をかけると,生涯では 200回 程度書くことになるのではないか。

生成AIの考え
Q(私):日本人が一日に書く漢字の数は400字程度です。一生には,1000万字程度の漢字を書くことになるでしょう。このうち,「棒」という漢字を書く回数は何回程度だと推定されますか?
A(Claude):
はい、ご指摘の通り、日本人が一生のうちに書く漢字はおよそ1000万字とされています。このうち、「棒」という漢字が何回含まれるかを推定するため、次のように考えます。日本語の漢字使用頻度データによると、「棒」の出現頻度は0.0026%,1000万字の0.0026%は2600字。したがって、一生のうちに書く漢字1000万字のなかで、「棒」という漢字が含まれる頻度はおよそ2600回と推定されます。
なお,Copilotが4690回,Perplexityが4800回,Bardは200万回,ChatGPTは10億回と答えた。(注)上記の仮定である1日に400字というのは,手書きだけではなくて,SNSなどでのスマホやPCにおけるデジタル入力も含めたつもりだけれど,どうだろうか。

漢字出現頻度
 ClaudeやPerplexityは,漢字の出現頻度という量を持ち出してきた。Perplexityでは,0.0048%とされた。そんなデータがあるのかと検索してみた。令和1年に文化庁の漢字出現度数調査というレポートがある。出現確率ではなく,出現順位が与えられている。棒は1200位あたりで,結構高頻度で出現する文字だった。もう少し調べてみると,mwSoft Blog[1]というサイトが見つかった。2012年6月Wikipediaデータにおける出現漢字をまとめたものだ。このデータを拝借すると,「棒」は1375位で38,285回/528,530,037回(上位3000字の総計)=0.00724%=724回という結果が得られた。

結論
 平均的な人が「書く」漢字の「棒」は,100回〜1000回程度じゃないでしょうか。

参考(学校で棒が出てくる場面)
 棒読み。棒暗記。棒立ち。棒グラフ。棒磁石。乳棒。制御棒。溶接棒。指揮棒。鉄棒。棒高跳び。段違い平行棒。棒球(だま)。綿棒。編み棒。棒針。相棒。泥棒。片棒。棒ダラ。アメン棒。お先棒。棒切れ。火かき棒。金棒。警棒。用心棒。こん棒。ゲバ棒。点棒。

P. S. このページだけで12年分くらいの「棒」を書いてしまった。


写真:画像生成AIがイメージしている「棒」(Diffusion Beeより引用)


2023年11月16日木曜日

相似形

同志社大学田辺キャンパスの交隣館でおにぎりをほおばりながら,Facebookをみていたら,芳賀さんが,盛大に算数の教科書をディスっていた。

教科書にあるのは,相似の例題だ。校舎の高さを影の長さと相似の関係で求めたり,校舎を挟んで立っている2本の木の距離を,運動場の一点から見た角度を測って求めるといった問題だ。目的がその値を求めることなら,屋根から降ろしたロープの長さをはかるとか,学校の設計図面で確認するほうが早いだろうという主張である。みんなで便乗して,算数教育の在り方を批判していた。

そこまで,いじめなくてもよいのにと思ってしまう。自分がこどものときに読んだ「数のふしぎ・形のなぞ」では,ピラミッドの高さの図り方としてこの方法が説明されていた。ピラミッドの横に棒を立ててその影の長さと棒の長さの比を求めておく。ピラミッド頂上の影の長さに相当する距離を測って,先ほどの比を当てはめればピラミッドの高さが推定できるというものだ。

小学校の算数の時間に運動場で測量を行ったときは,確かに角度を正確に求めるのが難しかった。なので,気持ちがわからないこともない。しかし,この方法を理解しておけば,簡単にいろいろな量の概算ができるので,それはそれでよいのではないでしょうか。最も効率のよい方法だけに固執する必要はない。環境次第では,何かの役に立つこともあるかもしれない。

そんなことを考えながら,キャンパスを歩く学生さんを見ていたら,みんな自分の身長の1.3倍くらいの影をずるずる引きずりながら,スイスイ進んでいた。今ごろの太陽高度は南中時刻でも40度はないのだろう。ところが自分の視線の方向を変えると,短くなった影はお団子のように人の後に張り付いていた。そうだ,影を観察する方向によってその見かけの長さを制御できるのだ。

ということで,身長と影の長さが等しくなる方向を選択すれば,ややこしい計算なしに,目標とする高いものの高さがほぼ水平距離に置き換えることができる。それはそれで学びの成果になるだろうか?

図:高さ2の影が4のとき,方向によって長さ2にできる

[1]太陽高度(一日の変化)(CASIO高度計算サイト)

2023年11月12日日曜日

奈良の神社寺院

融通念仏宗からの続き

散歩の犬棒で思い出したが,うちの近所の寺には融通念仏宗が多いような気がする。早速,調べてみよう。日本の神社・寺院検索サイト「八百万の神」という,センスのよい有難い場所がある。誰が運営しているかというと,株式会社 INFO UNITE というあまり聴いたことのない会社だった。とりあえずなんとなくニュートラルな印象で,他にも日本の住所というデータベースを運営している。なんなのだろうか。

その結果を以下に整理した。まず。奈良県の神社・寺院数を市町村別に見たベスト7だ。五條とか宇陀などがかつては相対的に栄えていたのかもしれない。
奈良市   396   12%
五條市   238   7%
宇陀市   229   7%
橿原市   214   7%
大和郡山市 193   6%
桜井市   156   5%
天理市   155   5%
その他   1602  50%
また,神道の系列別のベスト7は次のようになる。八王子神社も散歩でよく見かける。
春日系列  146  20%
八幡系列  139  19%
祇園系列  83  11%
天神系列  81  11%
八王子系列 39  5%
伊勢系列  35  5%
稲荷系列  24  3%
その他   188  26%
問題の仏教の宗派別のベスト7は次のとおりで,融通念仏宗は第3位,奈良県ではけっこう存在感を示していた。
浄土真宗本願寺派 424  24%
浄土宗      318  18%
融通念仏宗    205  11%
高野山真言宗   164  9%
真宗大谷派    100  6%
曹洞宗      74  4%
真宗興正派    67  4%
その他      441  25%
なお,天理市には融通念仏宗の寺が25あった。なるほど近所でよく見かけるわけだ。


写真:融通念仏宗本山は大阪市平野区の大念彿寺(Wikipediaから引用)

2023年11月11日土曜日

融通念仏宗

朝の散歩でたまに珍しいものに出会う。犬も歩けば棒に当たる

11月8日の水曜日,北東に向って天理喜殿町セブンイレブンまで往復の散歩。ひまわり保育園の近くの八幡神社の向いに融通念仏宗大念仏寺の大きめののマイクロバスが停まっていた。中には運転手だけが待っている。こんな朝早くから法事でもあるまいし?そのまま北東に向かった。

帰り道,どこかから鉦の音が響いてくる。やっぱり法事なのだろうか。しかし,あいかわらずマイクロバスは空のままだ。さらに進むと,止んだと思った鉦の音が大きくなってきた。そちらの方をみると遠くに黒衣の坊さんが歩いているようだ。そのあたりには確か墓地があるが,そこに向かって田んぼの中のあぜ道を5人ばかりが鉦を鳴らしながら進んでいた。

うーん,これはいったい何だろう。本当にあのマイクロバスと関係があるのか。あのなんの変哲もない田んぼの中の小さな墓地に一体何があるのだろうか。謎は謎をよぶばかりだ。

かくして,人間は僅かな情報から,これらを結びつける説明や物語を紡ぎ出そうとする。


写真:鉦の音のなる方向に見えたのは(撮影 2023.11.08)

[1]融通念仏縁起絵巻(Wikipedia)
[2]融通念仏縁起絵巻(クリーブランド美術館)
[3]融通念仏縁起絵巻(シカゴ美術館)


2023年11月9日木曜日

昼夜時間(1)

11月8日は立冬。朝の散歩で,日の出がしだいに遅くなっていく。

日の出から日没までの昼時間の一年における変化は,三角関数になっているはずだと思い込んでいた。秋分から冬至にかけての位相はπ//2で立冬がπ/4だ。そうならば今ごろの日の出時間は午前6時(秋分)と午前7時(当時)の間の1/√2の午前6時40分ごろになるはずだが,実際には午前6時20分ごろ。もしかして,三角関数ではない?

小学校のころ緯度と太陽高度の関係ははさんざん勉強したはずだ。小学校5年生の理科では,春夏秋冬の良く晴れた一日が太陽高度の観察日にあてられた。授業中でも1時間毎に運動場に出て,画用紙をおいた画板に立てた棒の影の長さを記録するのだ。それでも昼の時間が1年でどう変わるかの定量的議論には至らなかった。小学生には計算できません。


図:昼夜時間計算のための座標

地球の自転軸を$z$軸とする$xyz$座標系を考える。$x$軸$\phi$方向すなわち$\bm{s} = (\cos\phi, 0, \sin \phi)_{xyz}$から太陽光線がくるものとする。ただし,公転面に対する自転軸の傾き$\phi_0=23.4^\circ$として,$-\phi_0 \le \phi \le \phi_0$の範囲で振れることになる。

この角度$\phi$は,地球の公転面を$XY$平面とした座標系において,自転軸の方向ベクトル$\bm{a}=(\sin \phi_0, 0, \cos \phi_0)_{XYZ}$と,太陽から見た公転軌道上の地球への方向ベクトル$\bm{t}=(\cos \tau, \sin \tau, 0)_{XYZ}$の内積の角度を$\pi/2$から引いたものになる。つまり,$\sin \phi = \sin \phi_0 \cos \tau$となる。


昼夜時間を求めるために,半径を1とした地球の$xyz$座標系で考える。

太陽入射光線の方向ベクトル$\bm{s}=(\cos\phi,0,\sin\phi)$に垂直な平面と地表面が交わる大円を考えると,大円上の点$(x,y,z)$は$x\cos\phi + z \sin \phi = 0$を満たす。なお,この大円より$x$軸負方向側が夜である。

緯度$\theta$の観測点は,$z=\sin\theta$なので,$x^2+y^2=\cos\theta^2$の小円上にある。さきほどの大円との交点が昼夜分界点となるので,これらの連立方程式を解いて,$(x_b,y_b)$を求めればよい。その結果,$x_b = -\tan\phi \sin\theta,\ \  y_b=\pm \sqrt{\cos^2 \theta-\tan^2 \phi \sin^2 \theta\ \ }$となる。

昼夜分境界点までの角度$\alpha$は,$\tan\alpha = \dfrac{x_b}{y_b} = \dfrac{\tan\phi \tan \theta}{\sqrt{1-\tan^2 \phi \tan^2 \theta\ \ }}$となる。
$\alpha$はラジアン単位なので,$\alpha \cdot \frac{180}{\pi}$で度になおし,さらに $\frac{24}{360}$をかけて,$\alpha \cdot \frac{12}{\pi}$が時間単位の値だ。この2倍が12時間からの夜時間の余剰部分に相当する。
これから夜時間の長さは,$T= 12\Biggl\{1 - \dfrac{2}{\pi} \tan^{-1}\Bigl( \dfrac{\tan\phi \tan \theta}{\sqrt{1-\tan^2 \phi \tan^2 \theta\ }} \Bigr) \Biggr\}$で与えられる。


2023年6月20日火曜日

ローラー式すべり台(2)

ローラー式すべり台(1)からの続き

さて,ローラ式すべり台において,雨粒のように速度の2乗に比例する抵抗が働く理由である。これを牧野さんにならってローラーの回転エネルギーへの損失からくるとしてみよう。

村田さんらの論文では,実験データとして次の情報が与えられている。ローラ式すべり台の直線部分7.5m,角度13度,直径18mm の軸受け付きアルミ棒・25mm 間隔 とある。アルミ棒はたぶんアルミパイプだと思うが,厚みや長さや質量などの情報はなかった。

これから,回転アルミパイプの外径$R$は9mm で間隔$d$は25mm となる。仮に厚みを5mm とするとアルミパイプの内径$R'$は4mmである。アルミパイプの軸回りの慣性能率$I$は,その質量を$M$として,$I=(R^2+R'^2)/2 \cdot M$ となる。よくある力学の演習問題だ。

終端速度$v$に達すると,すべり台を滑る位置エネルギーがすべてローラーの回転エネルギーに転化される。あるいはこの際に損失を伴うかもしれない。短時間$\Delta t$の間に物体が角度 $\theta$のすべり台を$v \Delta t$だけ滑り落ちるとする。その際の位置エネルギー変化は$\Delta U = m g v \Delta t \sin \theta$ となる。

一つのローラユニットの幅は$d$なので,この間に通過するユニット数 $n$は,$n=\frac{v \Delta t }{d}$となる。また,1ユニットのローラが受け取るエネルギー$\Delta L$は,$\Delta L = \frac{1}{2} I \omega^2 $となる。ただし,$\omega = \frac{v}{R}$は,ローラーの回転角速度である。これから,$\Delta L = \frac{I v^2}{2 R^2} $となる。

$\Delta U =  n \Delta L$から $v \Delta t$を消去すると,$m g \sin \theta =\frac{1}{d} \cdot \frac{I v^2}{2 R^2} $となる。
$\therefore  v = \sqrt{\dfrac{4 g \sin \theta \  R^2 d }{(R^2+R'^2) M}} \cdot \sqrt{m}$
ここで,$M$はアルミパイプの質量。アルミパイプの長さを60cm ,$R'$=4mmとすると,$M$=0.33kgとなる。これらを代入すると, $v=0.74 \sqrt{m}$ となる。

牧野さんの前半の値とほぼ整合するというか,真似しただけなのであたりまえなのだった。


図:アルミパイプ内径の関数としての係数と質量(直線は係数の実験値)

2023年3月12日日曜日

幽霊漢字

 今日,第1回AIアートグランプリ発表があった。主催がドスパラ(サードウェーブ)で事務局が清水亮さんのMEMEPLEXだ。

279件の応募作品から,17作品が第一次選考を通過した。そのうち12作品が佳作であり,第2次選考を通過した5作品から,グランプリ1作品と準グランプリ4作品が選ばれた。なんと,グランプリは,backspace.fmでお馴染の松尾公也さんの「Desperado by 妻音源とりちゃん[AI]」だ。

これまでも亡くなった妻のとりちゃんの音源を作ってきたが,AIによって画像イメージも生成した上に,自分の歌声をとりちゃんの声に変換できるようになった。さらに3次元化にもチャレンジしているらしい。自分の声やテキストもAI化して残る未来を想定している。

最近,テクノエッジを運営するテクノコアに入社した松尾さんは,MacUserの初代編集長で,有料メールマガジンMacWIREも立ち上げている。ドリキン,西川善治と3人で毎週流しているbackspace.fmの話が面白い。

さて,AIアートグランプリで印象に残ったのは,カラス=ヨーロッパ中世の防疫マスクで登場した機能美Pさんの作品だ。急遽作られた審査員特別賞も受書した。AIグランプリなのにAIは2%しか使っていないというメタコンセプトの「そんな話を彁は喰った」がその作品だ。そのタイトルに登場する漢字「彁(か・せい)」は幽霊漢字とよばれている。

1978年に通商産業省が制定したJIS C 6226(後のJIS X 0208)では,いわゆるJIS第1・第2水準漢字として6349字が規定された。このとき典拠は次の4つの漢字表だ。
 1. 標準コード用漢字表(試案): 情報処理学会漢字コード委員会(1971年)
 2. 国土行政区画総覧: 国土地理協会(1972年)
 3. 日本生命収容人名漢字: 日本生命(1973年、現存せず)
 4. 行政情報処理用基本漢字: 行政管理庁(1975年)
この中に,音義・使用例の不明な文字があることが指摘され,辞書類に収録されながら実用例のない単語を意味する「幽霊語」をもじって「幽霊文字」と呼ばれるようになった(WIkipedia 幽霊文字から抜粋引用)。

また知らなかった事実に出会うことになる。犬も歩けば棒に当たる。

図:幽霊漢字の例(

P. S. AIアートグランプリはNHKニュースでも取り上げられて,松尾さんがインタビューに答えていた。


[1]「松尾PはなぜAIアートグランプリで優勝できたのか?!」(第1965話 shi3z & drikinの#AIドリフト)
[2]第一回AIアートグランプリを受賞したので自分の作品解説とファイナリスト作品への感想。そしてその先(CloseBox)(松尾公也)
[3]第1回 AI Art GrandPrix が素晴らしかった件(白井暁彦)

2022年10月19日水曜日

カーリングの原理(2)

カーリングの原理(1)からの続き 

富山大学の対馬勝年先生が,2013年に「氷雪のトライポロジー」というまとまったレポートを出していた。 ただ,カーリングがカールする根拠としてあげた左右に錘のついた棒のモデルや角度方向の摩擦係数の議論は理解できなかった。

そこで,カーリングのカールに関するこれまでの議論を少し復習してみる。

カーリングのストーンの質量は,$M=20{\rm \ kg}\ $であり,氷上に接するのはランニングバンドとよばれる狭い円環部分である。その半径は$\ R=0.1 {\rm \ m}\ $だ。そこで,ストーンを円環によってモデル化すると,中心の周りの慣性モーメントは,$I = M R^2 = 0.2 {\rm \ kg m^2}\ $となる。ストーンの初速度は,$u_0 = 2 {\rm \ m/s}$,回転を与えた場合の初角速度は,$\omega_0 = 1 {\rm \ rad/s}\ $とする。つまり回転方向の初速度は,$w_0=R \omega = 0.1 {\rm \ m/s}\ $となる。

摩擦のメカニズムを,動摩擦力$\bm{F}\ $ によって現象論的に表現すると,その力は,ストーンと氷の接点の相対速度ベクトル$\bm{v}\ $とは逆向きで,大きさが垂直抗力に比例するものとなる。その比例定数が動摩擦係数 $\ \mu\ $になり,必要ならばこれに速度依存性を導入する。つまり,$\bm{F} =- \mu(v) \ Mg \ \hat{\bm{v}} = -\dfrac{\mu(v)}{v}\ Mg\  \bm{v} \rightarrow -\dfrac{\mu(v)}{v^p}\ Mg\  \bm{v}$。

なお,動摩擦係数の値を$\mu = 0.01 \ $のオーダーとすれば,動摩擦力の大きさは,$F = \mu \ M g = 2 {\rm \ N \ } $となる。ストーンの初期運動エネルギー$K_0$が,停止するまでに摩擦力がする仕事 $F d$と等しいと置けば,$K_0 = \frac{M}{2}u_0^2 = F d \ $から 停止距離は $ \ d= \frac{K_0}{F} = 20 {\rm \ m\ }$ である。

図:カーリングストーンの円環モデル

図の角度$\ \theta \ $ の位置の円環要素$ \delta M(\theta) $の氷に対する相対速度ベクトルは,$\bm{v} = (v_x, v_y)  = (u_x - w \sin \theta, \  u_y + w \cos \theta) \ $であり,その大きさは,$v = \sqrt{v_x^2+v_y^2} = \sqrt{ u_x^2 + u_y^2 + w^2 - 2w (u_y \cos \theta - u_x  \sin \theta ) }\ $である。したがって,摩擦力は,$\bm{F} = - \frac{\mu}{v} M g \  (u_x - w \sin \theta, \  u_y + w \cos \theta) \ $ となる。

また,この円環要素に働く摩擦力のトルクの大きさは,
$ N =  (\bm{R} \times \bm{F})_z = R_x F_y - R_y F_x = R\  ( \cos \theta F_y - \sin \theta F_x) $
$  \quad = - \frac{\mu}{v} R M g \ (w + u_y \cos \theta - u_x \sin \theta )$

2022年7月25日月曜日

全固体電池

スマートフォンなどのデジタルデバイスはほとんどリチウムイオン電池(二次電池=充電池)を使っている。これは,正極と陰極および有機溶媒を用いた電解質からなっている。

今の電気自動車(EV)にもこのリチウムイオン電池が使われているが,次のような問題がある。(1) 衝突の際に発火の危険性がある。(2) 有機溶媒電解質の性質から高温での安全性の危険,低温での機能不全,温度変化による劣化などがある。 (3) 充電に時間がかかる。 (4) 有機溶媒の漏れを防ぐための密閉構造に余分の重量が生ずる。

これらの課題を解決するものとして,電解質部分が固体のイオン伝導体になっている,全固体電池の開発が進められている。なお,経済産業省がこちらへの政策誘導を急速に進めたため,日本のリチウムイオン電池の世界シェアが,2015年の40%から2020年の20%から急減したというのが,朝日新聞論座の見立てだ。

Wikipediaは仕方ないにしても,全固体電池とか固体電解質の固体→個体というミスプリントがあまりにも多いのはいったいなんなのだろうか?まあ,NHKニュースが毎日のように放送中に訂正を出す時代なので,そんなものかもしれない。

小学生のころに,単一マンガン乾電池の外側の紙を取り除くと亜鉛の負極があらわれた。これをニッパーで切り開いて,正極の炭素棒を取り出したことがある。マンガンの混じった電解質は糊状になっていた。この炭素棒を使って電気分解をするつもりだったような気もするが,そこまで至ったかどうかは記憶にない。


図:マンガン乾電池の構造(NeoMagから引用)


[1]全固体電池とは?科学の目でみる,社会が注目する本当の理由(産総研)

[2]無機固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池の開発(辰巳砂昌弘)


2022年7月15日金曜日

iPhoneの隠しコマンド

 iPhoneの裏コマンドというページにいきあたった。犬は毎日散歩しているので棒にぶつかりっぱなしだ。だから平均移動速度は極端に遅くなる。

iPhoneの電話アプリで,一連の番号を入力すると機能が発現するというものだ。電話番号として,*3001#12345#* を入力すると,接続されている回線業者のネットワークの情報が見える。

試してみると,上記のWebページとは表示が異なったが,いろいろと情報が出てくる。が,素人にはあまり御利益はなかった。ということは,他にもあるのではないかと検索したら,iPhoneの隠しコマンド集というのがあった。

■【注意事項】隠しコマンドは説明書にも書かれておらず、アップル社が公式に公表しているものではないので、何か不利益な事があっても自己責任・自己解決ということを忘れないでください。また、全てのiPhoneの型番で再現する保証はありませんので事前にご了承ください。

それはそうです。なので眺めるだけにしておく。 


写真:iPhoneの画面キャプチャー(右上のリストから詳細情報に入る)

2020年6月20日土曜日

平沢進(1)

犬も歩けば棒にあたる。今日は平沢進(1954.4.1-)にあたった。Twitterでみた「賢者のプロペラ」が頭痛に効くというのがきっかけ。JASRACと喧嘩しているところもよろしい。オフィシャルウェブサイトには無料ダウンロードページもあった。4月1日生まれだと同学年になるのかな。さっそくyoutubeのhirasawasusumuもチャンネル登録してみる。

2019年9月1日日曜日

若槻先生と内山先生

原子核物理(実験)が専門の若槻哲雄先生が,阪大の学長になられたのは,自分が4回生のときだった。原子核物理に関係する授業というと,1回生の原子物理学は杉本健三先生で,3回生の原子核物理学は江尻宏康先生だった。若槻先生の授業があったのかどうかあまりはっきりしない。ただ,学長になられる前にクラスの数名と研究室に押し掛けて,当時の学内問題について意見をしにいったというのか聞きに行ったことがあり,たいへん丁寧に対応していただいた。

学長になられてからだったかどうか。理学部5階の大講義室で全学の学生が要求した集会が開かれて,そこで矢面に立たれたことがある。当時の阪大の諸問題のうちで何をめぐるものだったのかははっきり憶えていない。授業料値上反対闘争は,自分たちが入学した時点で収束しており,筑波大学設置をめぐる反「大学管理法案」闘争やそれに連動した言語文化部設置反対運動も2回生のときに収束している。あるいは,宮山寮廃止やその入退寮権をめぐる問題だったのだろうか。こちらの方はかなり長引いていた。

1960年代後半の大学闘争の大波は引いていたが,まだ学内には崩壊熱が残っている時代だった。その理学部での集会はヘルメット学生やゲバ棒は見られない,いたって穏健なものだったが,会場いっぱいに学生や教職員が集まり,学生からはきつい言葉が飛びかっていたと思う。内山先生を見たのはそのときが最初だった。体格のよい先生が若槻先生の演壇の脇に仁王のように立って学生を睥睨し,なにかあったら容赦しないぞという緊張感がただよっていたが,それでも会場の笑いをとっていたのが内山先生らしかった。

2019年1月28日月曜日

地獄からの復活劇

新聞によりますと,岡山の小学校5年生が,地獄−極楽の移動時間を求めたとのこと。移動時間は12.7年とのことで,移動に用いられる蜘蛛の糸の強度も割り出したそうだ。

これは,是非とも調べてみなければいけません。一般財団法人理数教育研究所(代表理事岡本和夫)が主催している「算数・数学の自由研究」作品コンクール審査員特別賞の受賞作の1つであった。「地獄からの復活劇 〜御釈迦様からの試練〜岡山県 岡山大学教育学部附属小学校5年末光由季

地獄と極楽の距離は,何万里という芥川の本文の表現の下限から1万里≒4万kmとしている。静止軌道半径に近いので,極楽は静止軌道上にあるのかもしれない。ということは蜘蛛の糸は宇宙エレベータの暗示だったのか・・・

すばらしいのは,蜘蛛の糸を登る時間を自分で実験しているところだ。近所の公園の登り棒を3m昇る時間の平均から,5秒で1m(0.2m/秒)を得ている。最近は,危険だということで公園から次々と遊具が撤去されている。うちの近くの公園でも子どもたちが遊んでいたブランコや回転遊具は何年か前に消えてしまい,もうすぐ鉄棒までなくなるそうだ。組み体操をやめるのは賛成だが,公園の遊具は残してほしかった。

話がそれた。結局,4万km÷ 0.2 m/秒=2億秒= 6.4 年・・・あれ?ファクター2違うな。2億秒まではあっている。で,1年≒ π × 10^7秒ですよね。2億秒から時間に換算する計算が2倍になっているようだ。1日の半分は休憩とすればつじつまがあうということにしておこう。

さらに蜘蛛の糸の強度まで計算してピアノ線と比較しているところがすごい。最後のコメントも含蓄がある。宇宙エレベータ協会の皆様は是非,彼女を顧問に迎えられたい。