素粒子物理学の10年からの続き
高市首相の不規則発言が原因で中国との関係は悪化したままになっている。習近平と会談したトランプからも電話で釘を刺される始末。それにもかかわらず,国内世論は高市万歳という空気がただよっているように見える。それよりも気になるのがアベノミクスを引き継ぐという経済政策。日経新聞の各欄を始めに多くの識者はみなこれ以上の円安,長期国債金利上昇,物価高に警告を発しているが,馬(鹿?)の耳に念仏だ。おまけに万博と「連立」で調子に乗った維新の連中とつるんで様々な悪行を始めている。面倒なことこの上ない。
その中国が建設していたJUNO(Jiangmen Underground Neutrino Observatory)の話題がとんできた。Wikipediaによる概要は以下のとおりである。
江門地下ニュートリノ観測所(JUNO)は、中国南部広東省江門市開平市に建設中の中基線原子炉ニュートリノ実験である。ニュートリノ質量階層の決定とポンテコルボ・マキ・中川・坂田行列要素の高精度測定を目的とする。これまでに実施された多くの実験で得られた混合パラメータの結果を基盤とする。共同研究グループは2014年7月に結成され、建設は2015年1月10日に開始された。資金は国際機関の共同出資により提供されている。当初は2023年にデータ取得を開始する予定だったが、総工費3億7600万米ドルのJUNO施設は完成し、実験は2025年8月26日に開始された。JUNOは世界最大の透明球形検出器である。(大亜湾原子炉ニュートリノ実験の後継プロジェクト)
11月19日(完成後わずか59日!)に最初の結果が発表され,これまでのデータを上回る成果が得られたとのことで注目を集めた。
地下700mの花崗岩中に設置された半径22mのスチール製球体中に超純水をいれて,その中に半径17.7mの液体シンチレータ(密度0.86g/cm^3)を閉じこめたアクリル球が浮かんでいる。ニュートリノのエネルギー分解能は3%で従来の6%を大幅に上回る。原子炉からの反電子ニュートリノと陽子の弱い相互作用で発生する陽電子によるシンチレーション光(および中性子のガドリニウムによる補足からの遅延ガンマ線の一致)を光電子倍増管で測定する。
Q:どこにある原子力発電所のニュートリノを捕らえていますか。
A:JUNOが観測するのは53km離れた台山原子力発電所と陽江原子力発電所から飛来するニュートリノ。これは,ニュートリノ振動を観測するのに「ゴールデン・ベースライン」と呼ばれる最適な距離。ニュートリノが電子型から他の型(ミュー型、タウ型)へ変化する「振動」の確率が最大になり、観測に最も適している。両発電所を合わせると,世界有数の出力を持つため,非常に強力で安定したニュートリノビームを常時受けている。
Q:太陽ニュートリノも同時に観測しているのですか。
A:太陽ニュートリノは,中性カレントによる電子との弾性散乱における,1MeV以下の電子の反跳からくるシンチレーション光をみるため,原子炉ニュートリノとはエネルギースペクトルで区別できる。
今後はニュートリノレスのダブルベータ崩壊の観測にも乗り出すようだ。
図:JUNO施設の構造(Wikipediaから引用)

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